JP2658811B2 - スリーピースソリッドゴルフボール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、飛び性能及び耐久性を
劣化させることなくフィーリングの向上を図ったスリー
ピースソリッドゴルフボールに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、種々の構造のゴルフボールが
市場にでており、中でもゴムを基材とするコアをアイオ
ノマー樹脂等からなるカバーで被覆したツーピースソリ
ッドゴルフボールと、ソリッド又はリキッドセンターに
糸ゴムを巻きつけ、これをカバーで被覆した糸巻ゴルフ
ボールとが市場の大半を占めている。

【０００３】上記ツーピースソリッドゴルフボールは、
優れた飛び性能及び耐久性を有することから、多くの一
般ゴルファーに使用されているが、打感が非常に硬く感
じられ、また打撃時の球離れの速さからコントロール性
能に劣るという欠点を有し、このためプロゴルファーや
アマチュア上級者は、ツーピースソリッドゴルフボール
よりも糸巻ゴルフボールを使用する人が多い。一方、糸
巻ゴルフボールは、フィーリング、コントロール性に優
れる反面、飛距離、耐久性の点でツーピースソリッドゴ
ルフボールに劣るという欠点がある。

【０００４】このように、ツーピースソリッドゴルフボ
ールと糸巻ゴルフボールとは、互いに相反する性能を有
しており、プレーヤーは自分の義倆や好みにより使用す
るゴルフボールを選択しているのが現状である。

【０００５】現在、ソリッドゴルフボールにおいて、糸
巻ゴルフボールに近いフィーリングを実現するため、軟
らかいタイプのツーピースソリッドゴルフボールが提案
されている。このような軟らかいタイプのツーピースソ
リッドゴルフボールを得るためには、軟らかいコアを用
いることになるが、コアを軟らかくすると、反撥性が低
下して飛び性能が劣化すると共に、耐久性も著しく低下
し、ツーピースソリッドゴルフボールの特徴である優れ
た飛び性能及び耐久性が得られないばかりでなく、実際
の使用に耐え難くなってしまう場合もある。即ち、従来
のツーピースソリッドゴルフボールは、軟らかさ、反撥
性及び耐久性の３つの特性の最適化により構造が決定さ
れ、いずれかの性能を向上させようとすれば他の性能が
低下してしまうものである。

【０００６】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、ソリッドゴルフボールの特徴である良好な飛び性能
及び耐久性を劣化させることなく、フィーリングを向上
させ、トータルバランスに優れたソリッドゴルフボール
を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ボールの
中心となるセンターコアとボール最外層のカバーとの間
に軟らかい中間層を設け、これらセンターコア、中間層
及びカバーの厚さ、比重を特定範囲に設定することによ
り、フィーリングを向上させるためにセンターコアを比
較的軟らかく形成しても、飛び性能及び耐久性を劣化さ
せることがなく、良好にフィーリングの向上を図ること
ができることを見出した。

【０００８】即ち、直径２６ｍｍ以上、比重１．４未
満、ＪＩＳ−Ｃ硬度８０以下のセンターコアの外周に、
厚さ１ｍｍ以上、比重１．２未満、ＪＩＳ−Ｃ硬度８０
未満の中間層を形成し、この中間層の外周を厚さ１〜３
ｍｍ、ＪＩＳ−Ｃ硬度８５以上のカバーで被覆すること
により、センターコアをＪＩＳ−Ｃ硬度８０以下に軟ら
かく形成しても飛距離や耐久性を低下させることなく、
フィーリングを向上させることができ、またこの場合上
記中間層をポリエステル系の熱可塑性エラストマーを主
成分とする樹脂を用いて形成することにより、飛距離や
耐久性の低下を生じることなくより確実にフィーリング
を向上させ得ることを見出し、本発明を完成したもので
ある。

【０００９】従って、本発明は、センターコアと、中間
層と、カバーとからなるスリーピースソリッドゴルフボ
ールにおいて、センターコアがポリブタジエンを主材と
するゴム組成物からなり、直径２６ｍｍ以上、比重１．
４未満、ＪＩＳ−Ｃ硬度８０以下であり、中間層がポリ
エステル系熱可塑性エラストマーを主材として形成さ
れ、厚さ１ｍｍ以上、比重１．２未満、ＪＩＳ−Ｃ硬度
８０未満てあり、カバーが厚さ１〜３ｍｍ、ＪＩＳ−Ｃ
硬度８５以上であることを特徴とするスリーピースソリ
ッドゴルフボールを提供する。

【００１０】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のスリーピースソリッドゴルフボールは、図１に
示すように、ボールの中心となるセンターコア１とボー
ル最外層のカバー３との間に軟らかい中間層２を設け、
これらセンターコア１、中間層２及びカバー３の厚さ、
比重を特定範囲に設定したものである。

【００１１】上記センターコア１は、直径２６ｍｍ以
上、好ましくは２７〜３７ｍｍ、比重１．４未満、好ま
しくは１〜１．３５に形成する。直径が２６ｍｍ未満で
あると、このセンターコア１を軟らかく形成しても十分
なフィーリング向上効果が得られない上、ボールの反撥
弾性が大きく低下して飛距離の低下を招くことになる。
また、比重が１．４以上であると、ボール重量が大きく
なり過ぎ、ゴルフボールとしての重量規定に適合したボ
ールを構成することが困難になる。

【００１２】ここで、ドライバー打撃時のように変形量
の大きなインパクトにおいて、プレーヤが感じるフィー
リングは、このセンターコア１の硬度に大きく依存し、
この場合フィーリングはプレーヤのクラブヘッドスピー
ドによって変化するものである。従って、このセンター
コア１の硬度は対象プレーヤのヘッドスピードに応じて
設定されるべきもので、特に制限されるものではない
が、一般的にはＪＩＳ−Ｃ硬度で８０以下（センターコ
ア表面）、特に４０〜７５の範囲とすることが好まし
い。

【００１３】このセンターコア１は、基材ゴムに共架橋
剤、過酸化物を配合した公知のゴム組成物を加熱・加圧
・成型して形成することができる。

【００１４】この場合、基材ゴムとしては、従来からソ
リッドゴルフボールに用いられているポリブタジエンゴ
ム或いはポリブタジエンゴムとポリイソプレンゴムとの
混合物などを使用することができるが、本発明において
は、高反撥性を得るためにシス構造を９０％以上有する
１，４−ポリブタジエンゴムを用いることが好ましい。

【００１５】共架橋剤としては、従来ソリッドゴルフボ
ールには、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和脂肪酸
の亜鉛塩、マグネシウム塩やトリメチルプロパントリメ
タクリレート等のエステル化合物が使用されており、本
発明においてもこれらを使用することができるが、反撥
性の高さからアクリル酸亜鉛が好適に使用し得る。これ
ら共架橋剤の配合量は、上記基材ゴム１００重量部に対
し１０〜２７重量部とすることが好ましい。

【００１６】過酸化物としては、種々選定し得るが、ジ
クミルパーオキサイド或いはジクミルパーオキサイイド
と１，１−ビス（ｔ−ブチルパーオキシ）３，３，５−
トリメチルシクロヘキサンとの混合物が好適である。そ
の配合量は、基材ゴム１００重量部に対し０．５〜１重
量部とすることが好ましい。

【００１７】なお、上記ゴム組成物には、更に必要に応
じ、比重調整に酸化亜鉛や硫酸バリウムなどを配合し得
るほか、老化防止剤を配合することができる。

【００１８】上記中間層２は、厚さ１ｍｍ以上、好まし
くは１．３ｍｍ以上、比重１．２未満、好ましくは０．
９〜１．１９、ＪＩＳ−Ｃ硬度８０未満、好ましくは４
５〜７５に形成する。厚さが１ｍｍ未満であると反撥性
が低下して飛距離の低下を招くことになり、また比重が
１．２以上であると、ボール重量が大きくなり過ぎ、ゴ
ルフボールとしての重量規定に適合したボールを構成す
ることが困難になり、更にＪＩＳ−Ｃ硬度が８０以上で
あるとフィーリングが低下する。

【００１９】この中間層２は、軟らかく形成したセンタ
ーコア１の反撥性の低下を補うためのものて、軟らかく
（ＪＩＳ−Ｃ硬度８０未満）かつ反撥性に優れた材質で
形成され、特に制限されるものではないが、具体的に
は、熱可塑性エラストマーや熱可塑性エラストマーにア
イオノマー樹脂を混合したものなどが好適に用いられ
る。この場合、熱可塑性エラストマーとしては、ポリエ
ステル系熱可塑性エラストマーが使用される。

【００２０】ここで、ポリエステル系熱可塑性エラスト
マーとは、テレフタル酸、１，４−ブタンジオール及び
ポリテトラメチレングリコール（ＰＴＭＧ）もしくはポ
リプロピレングリコール（ＰＰＧ）から合成され、ポリ
ブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）部分をハードセグメ
ント、ポリテトラメチレングリコール（ＰＴＧＭ）もし
くはポリプロピレングリコール（ＰＰＧ）部分をソフト
セグメントとするポリエーテルエステル系のマルチブロ
ックコポリマーをいい、具体的には、ハイトレル４０４
７、同Ｇ３５４８Ｗ（東レ・デュポン社製）等が挙げら
れる。

【００２１】また、上記熱可塑性エラストマーに混合す
ることができるアイオノマー樹脂としては、比較的高反
撥なハイミラン１６０５、同１７０７（三井・デュポン
ポリケミカル社製）等が挙げられ、これらアイオノマー
樹脂の混合量は熱可塑性エラストマー１００重量部に対
し０〜５０重量部とすることができる。

【００２２】なお、この中間層２には、上記熱可塑性エ
ラストマー及びアイオノマー樹脂に加えて重量調節剤と
して酸化亜鉛、硫酸バリウム等の無機充填剤や着色のた
めに二酸化チタン等の添加剤を添加することができる。

【００２３】上記カバー３は、厚さ１〜３ｍｍ、好まし
くは１．５〜２．５ｍｍに形成される。この場合、カバ
ー３の厚さが３ｍｍを超えると反撥性、フィーリング等
の性能が劣化し、一方１ｍｍ未満であると、耐カット性
等の耐久性が低下する。また、このカバー３の硬度は、
特に制限されるものではないが、ＪＩＳ−Ｃ硬度で８５
以上、特に８５〜１００の範囲に設定することが好まし
い。この場合、カバー３の硬度が８５未満であると、反
撥性が低下する場合がある。

【００２４】このカバー３は、ソリッドゴルフボールの
カバー材として通常使用されるアイオノマー樹脂で形成
することができ、アイオノマー樹脂として具体的には、
ハイミラン１７０６、同１６０５（三井・デュポンポリ
ケミカル社製）等を例示することができる。

【００２５】

【実施例】以下、実施例，比較例を示して本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。 ［実施例，比較例］表１に示した組成でセンターコア、
中間層、及びカバーを形成し、表２に示した性状のスリ
ーピースソリッドゴルフボール（実施例１〜７、比較例
１，２）及びツーピースソリッドゴルフボール（比較例
３，４）を製造した。

【００２６】この場合、センターコア及びツーピースボ
ールのコアは各成分を混練ロールを用いて混練し、１５
５℃で１５分間加圧成形することにより形成し、また中
間層は射出成形により、センターコアの外周を被って形
成した。そして、この中間層又はツーピースボールのコ
アの外周に射出成形によってカバーを形成し、ソリッド
ゴルフボールとした。

【００２７】得られた各ゴルフボールにつき、下記方法
により飛び性能、フィーリング、耐久性を評価した。結
果を表２に示す。飛び性能 ツルーテンパー社製スイングロボットを用い、ドライバ
ーでヘッドスピード４５ｍ／ｓ（表ではＨＳ４５と略
記）及ひ３５ｍ／ｓ（表ではＨＳ３５と略記）で打撃
し、それぞれの飛距離を測定した。フィーリング プロゴルファーにより打撃時の感触を下記基準で評価し
た。 良好： ○ 普通： △ 劣る： ×耐久性 フライホイール打撃Ｍ／Ｃを用い、ヘッドスピード３８
ｍ／ｓで繰返し打撃して、ボールが破壊するまでの打撃
回数の多少により評価した。 良好： ○ 普通： △ 劣る： ×

【００２８】

【表１】

【００２９】

【表２】

【００３０】表２の結果から明らかなように、本発明の
スリーピースソリッドゴルフボールは、良好なフィーリ
ングが得られるようにセンターコアを軟らかく形成して
も、飛び例能や耐久性を劣化させることがなく、バラン
スの優れたゴルフボールを得ることができる。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のスリーピ
ースソリッドゴルフボールによれば、良好なフィーリン
グを得るためにセンターコアを軟らかく形成しても飛び
性能や耐久性を劣化させることなく、トータルバランス
に優れたゴルフボールを構成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明スリーピースソリッドゴルフボールの一
例を示す概略断面である。

【符号の説明】

１ センターコア ２ 中間層 ３ カバー

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 センターコアと、中間層と、カバーとか
   らなるスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、 センターコアがポリブタジエンを主材とするゴム組成物
   からなり、直径２６ｍｍ以上、比重１．４未満、ＪＩＳ
   −Ｃ硬度８０以下であり、 中間層がポリエステル系熱可塑性エラストマーを主材と
   して形成され、厚さ１ｍｍ以上、比重１．２未満、ＪＩ
   Ｓ−Ｃ硬度８０未満であり、 カバーが厚さ１〜３ｍｍ、ＪＩＳ−Ｃ硬度８５以上であ
   ることを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボー
   ル。