JP3985107B2 - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、コアが内芯球と該内芯球を被覆する包囲層からなり、このコアを被覆するカバーが外層と内層からなる4層構造のマルチピースソリッドゴルフボールに関し、更に詳述すると、サンドウェッジ等でのアプローチショット時におけるスピン性能に優れ、アプローチショット、パッティング時における打感がソフトであると共に、ドライバーでのフルショット時におけるヘッドスピードの高低にかかわらず飛距離が増大し、軟らかい良好な打感を有するマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、ゴムを基材とするコアをアイオノマー樹脂等からなるカバーで被覆したツーピースソリッドゴルフボールは優れた飛び性能及び耐久性を有するものの打感が硬いという欠点がある。このため軟らかいタイプのツーピースソリッドゴルフボールが種々提案されている。このような軟らかいタイプのツーピースソリッドゴルフボールを得るためには、一般に軟らかいコアを用いることになるが、コアを軟らかくすると、反発性が低下して飛び性能が劣化すると共に、耐久性も著しく低下し、ツーピースソリッドゴルフボールの特徴である優れた飛び性能及び耐久性が得られないばかりでなく、実際の使用に耐え難くなってしまう場合もある。
【0003】
このため、多くのスリーピースソリッドゴルフボールが提案されている。例えば、▲1▼内層と外層からなる芯を外皮で被覆したソリッドスリーピースゴルフボールにおいて、軟らかく、比較的小さい内層(外径:24〜29mm、硬度:ショアD15〜30)を硬い外層(外径:36〜41mm、硬度:ショアD55〜65)で被覆した芯を有し、大きな飛距離と糸巻きゴルフボールに極めて近い打撃感およびコントロール性を有するもの(特公平4−55077号公報、特開昭64−80377号公報)、▲2▼センターコアと、中間層と、カバーとからなるスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、軟らかく形成したセンターコアの外周に軟らかい中間層を設け、これらセンターコア、中間層、カバーの厚さ、比重を特定の範囲に設定することにより、飛び性能、耐久性を劣化させることなくフィーリングの向上を図ったもの(特開平7−24084号公報)、▲3▼センターコアと、中間層と、カバーとからなるスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、比較的軟らかいコアとカバーとの間に比較的硬い中間層を形成し、飛び性能及び耐久性を劣化させることなく、良好なフィーリング、コントロール性の向上を図ったもの(特開平7−24085号公報)などが試みられている。
【0004】
しかしながら、▲1▼は、カバーに関する規定はされていないが、カバーに軟らかい部材を用いた場合は反発性が十分ではなく飛距離がでない。一方カバーに硬い部材を用いた場合はカバーとその内側のコア外層が硬いため、特に小変形領域であるアプローチショット時の打感が硬くなる。▲2▼は、軟らかいコア、中間層によりドライバーでの打感は良好となるが、カバーが硬いためにサンドウェッジでの打感が硬くなり、十分にスピンがかからずコントロール性に劣るものである。▲3▼は、打感、反発性に最も影響のあるコアが比較的軟らかく形成され、打感が十分に軟らかい範囲では反発が不十分となり、飛距離がでない。一方反発性が十分な範囲ではコアがやや硬めとなり打感が十分に軟らかくない上に、中間層も硬いために、特に低ヘッドスピードのプレーヤーではボールに十分な変形を与えることができず、飛距離が十分に得られない、という問題点をそれぞれ有しており、未だ改良の余地を残していた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、コアが内芯球と該内芯球を被覆する包囲層からなり、このコアを被覆するカバーが外層と内層からなるマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、サンドウェッジ等でのアプローチショット時におけるスピン性能に優れ、アプローチショット、パッティング時における打感がソフトであると共に、ドライバーでのフルショット時におけるヘッドスピードの高低にかかわらず飛距離が増大し、軟らかい良好な打感を有するマルチピースソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、コアが内芯球と該内芯球を被覆する包囲層からなり、このコアを被覆するカバーが外層と内層からなるマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、軟らかい内芯球と比較的硬い包囲層とからなるコアを、軟らかい外層と硬い内層とからなるカバーで被覆した4層構造に形成することにより、▲1▼軟らかく形成されたカバーの外層によりサンドウェッジ等でのアプローチショット時におけるスピン性能が向上すると共に、アプローチショット、パッティング時の打感がソフトになること、▲2▼カバーの内層に硬く、反発性の良い樹脂を用いることにより飛び性能を良好に保つことができること、▲3▼内芯球を軟らかく形成し、その周りに比較的硬く、反発性の良い部材からなる包囲層を被覆することにより、ドライバーでのフルショット時におけるヘッドスピードの高低にかかわらず、高反発性を保ちつつ、非常に軟らかい打感が得られること、をそれぞれ知見した。
【0007】
そして、上記知見に基づき更に鋭意検討を重ねた結果、コアが内芯球と該内芯球を被覆する包囲層からなり、このコアを被覆するカバーが外層と内層からなるマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、上記カバーの外層硬度をショアDで40〜53とし、上記カバーの内層硬度をショアDで55〜70、上記包囲層の表面硬度をショアDで内芯球の表面硬度より高くし、上記内芯球の硬度を100kg荷重負荷時の変形量で3.0〜8.0mmとし、この内芯球硬度Aとボール硬度Bとの比が100kg荷重負荷時の変形量で1.1≦A/B≦3.5に形成することにより、ボールの大変形領域であるドライバーでのフルショット時、中でも低ヘッドスピードのプレーヤーがショットした場合にもボールに十分な変形を与えることができ、ヘッドスピードの高低にかかわらず、高反発性を維持しつつ、適度なスピン量により飛距離が飛躍的に増大し、軟らかく非常に良好な打感が得られると共に、ボールの小変形領域であるサンドウェッジ等でのアプローチショット時やパッティング時においてスピンがよくかかり、優れたコントロール性と軟らかく良好な打感を有し、従来のスリーピースソリッドゴルフボールにおける課題を効果的に解決し得るマルチピースソリッドゴルフボールが得られることを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
従って、本発明は、
(1)コアが内芯球と該内芯球を被覆する包囲層からなり、このコアを被覆するカバーが外層と内層からなるマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、内芯球の直径が20〜37mm、ボールの直径が42.67mm以上であり、上記カバーの外層硬度がショアDで40〜53であり、上記カバーの内層硬度がショアDで55〜70で、カバーの内層硬度が外層硬度より高く形成され、上記包囲層の表面硬度がショアDで内芯球の表面硬度より高く、上記内芯球の硬度が100kg荷重負荷時の変形量で3.0〜8.0mmであり、この内芯球硬度Aとボール硬度Bとの比が100kg荷重負荷時の変形量で1.1≦A/B≦3.5であることを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール、
(2)コア直径が32〜41mmである(1)記載のマルチピースソリッドゴルフボール、
(3)内芯球がゴム基材を主材とし、直径が33.7〜35mmであり、コア直径が36.7〜41mmである(1)記載のマルチピースソリッドゴルフボール、
(4)カバーの外層の厚さが0.3〜3.0mm、カバーの内層の厚さが0.5〜3.0mmであり、これら外層と内層の硬度差がショアDで5以上である請求項(1),(2)又は(3)記載のマルチピースソリッドゴルフボール、
(5)カバーの外層と内層の硬度差が14〜25である(1)〜(4)のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール、
(6)包囲層が熱可塑性樹脂を主材とする(1)〜(5)のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール、
(7)内層カバーがアイオノマー樹脂又はポリエステルからなる(1)〜(6)のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール
を提供する。
【0009】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明のマルチピースソリッドゴルフボール1は、図1に示すように、内芯球3と、この内芯球を被覆する包囲層4からなるコア2と、このコアの周りに形成された内層6と外層7からなるカバー5とからなる4層構造のゴルフボールである。なお、包囲層4は単層には限られず2層以上の複数層に形成することができる。
【0010】
本発明のゴルフボール1のコア2を構成する内芯球3の硬度は、100kg荷重負荷時の変形量で3.0〜8.0mmであり、より好ましくは3.5〜7.5mmである。変形量が3.0mm未満ではコアが硬くなりすぎ、特に低ヘッドスピードのプレーヤーにおいて飛距離が低下し、打感が硬くなる。一方、8.0mmを超えるとコアが軟らかくなりすぎ、反発性や耐久性が低下しすぎる。また、内芯球の表面硬度は、ショアD硬度計での測定(以下、ショアDという)で好ましくは15〜55、より好ましくは20〜50である。ここで、内芯球の表面硬度とは内芯球の表面の硬度を示し、5点測定の平均値である。
【0011】
また、内芯球の直径は好ましくは20〜37mm、より好ましくは22〜35mmである。なお、内芯球の比重、重量などは、本発明の目的を達成し得る範囲で適宜調整することができる。
【0012】
本発明において内芯球を形成するための組成物としては、特に制限されず、通常内芯球の形成に用いられるゴム基材を主材とし、このゴム基材に架橋剤、共架橋剤、不活性充填剤等を添加して形成することができる。この場合、ゴム基材としては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている天然ゴム及び/又は合成ゴムを使用することができるが、本発明においては、シス構造を少なくとも40%以上有する1,4−シス−ポリブタジエンが特に好ましい。この場合、所望により該ポリブタジエンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等を適宜配合してもよい。また、架橋剤としてはジクミルパーオキサイドやジ−t−ブチルパーオキサイドなどのような有機過酸化物等が例示される。この架橋剤の配合量は通常、基材ゴム成分100重量部に対して通常0.5〜2.0重量部程度とされる。
【0013】
上記共架橋剤としては、特に制限されず、不飽和脂肪酸の金属塩、特に、炭素原子数3〜8の不飽和脂肪酸(例えばアクリル酸、(メタ)アクリル酸等)の亜鉛塩やマグネシウム塩が例示されるが、アクリル酸亜鉛が特に好適である。なお、共架橋剤の配合量は適宜設定され、通常は基材ゴム成分100重量部に対して5〜50重量部程度とされる。更に、不活性充填剤としては酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛等が例示されるが、酸化亜鉛、硫酸バリウムが一般的であり、その配合量はコアとカバーの比重、ボールの重量規格等に左右され、特に制限されないが、通常は基材ゴム100重量部に対して5〜100重量部である。なお、本発明においては上記架橋剤や酸化亜鉛、硫酸バリウム等の充填剤の配合割合を適宜調整することにより、内芯球の硬度及び重量を最適値に調整することができる。
【0014】
上記成分を配合して得られる内芯球用組成物は通常の混練機、例えばバンバリーミキサーやロール等を用いて混練し、内芯球用金型を用いて上記硬度の内芯球を形成することができる。
【0015】
上記内芯球3を被覆する包囲層4は、その表面硬度がショアDで好ましくは40〜70、より好ましくは45〜68である。この包囲層の表面硬度は上記内芯球の表面硬度より高いことが必要であり、具体的にはショアDで好ましくは5〜55、より好ましくは5〜45高く形成される。包囲層の表面硬度が内芯球の表面硬度より低くなると反発性、耐久性が低下しすぎる。なお、包囲層の表面硬度の定義、測定方法は上記内芯球の場合と同じであり、包囲層が2層以上の複数層の場合は、この包囲層の表面硬度は最外包囲層の表面硬度を指す。
【0016】
なお、包囲層の厚さは好ましくは0.5〜10.5mm、より好ましくは1〜9mmであり、比重は本発明の目的を達成し得る範囲で適宜調整することができる。
【0017】
上記包囲層4は、比較的硬く、反発性の良い部材を用いることが好ましく、上記内芯球と同様にゴム基材を主材として形成してもよく、或いは、熱可塑性樹脂を主材として形成してもよい。この場合、熱可塑性樹脂としては、例えばハイトレル4767(東レ・デュポン社製)等のポリエステル系熱可塑性エラストマー、ハイミラン(三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン(米国デュポン社製)等のアイオノマー樹脂などが好適に用いられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、上記樹脂組成物に加えて重量調整剤として酸化亜鉛、硫酸バリウム等の無機充填剤や着色のために二酸化チタン等の添加剤を添加することができる。
【0018】
上記包囲層4を内芯球3に被覆する方法は、特に制限されず、包囲層がゴム部材の場合は、予めハーフカップ状に半加硫状態で成形しておき、この一対のハーフカップで上記内芯球を被包し、所定の条件下加熱加圧成形する方法が採用され、一方、包囲層が熱可塑性樹脂の場合は、溶融包囲層組成物を射出成形により内芯球の周囲に被覆する方法などが採用される。
【0019】
このようにして得られたコア2は、その直径が好ましくは32〜41mm、より好ましくは34〜40mmである。
【0020】
上記コア2を被覆するカバー5は、内層6と外層7とからなり、この内層6の周囲に外層7を被覆してなるものである。カバーの外層7は、その硬度がショアDで40〜53であり、好ましくは42〜53である。外層の硬度が40未満では反発性が低下しすぎ、60を超えるとアプローチショット時のスピン性能が低下し、打感が硬くなる。また、カバーの内層6の硬度は、ショアDで55〜70であり、内層の硬度が55未満であると反発性が低下しすぎ、70を超えると打感が硬くなりすぎる。また、カバーの内層硬度は外層硬度より高いほうが好ましく、内層と外層との硬度差はショアDで好ましくは5以上、より好ましくは5〜25である。
【0021】
上記カバー外層の厚さは好ましくは0.3〜3.0mm、より好ましくは0.5〜2.5mmであり、カバー内層の厚さは好ましくは0.5〜3.0mm、より好ましくは0.7〜2.8mmである。また、外層と内層とを合わせたカバー全体の厚さは好ましくは0.8〜5.4mm、より好ましくは1.3〜4.4mmである。
【0022】
上記カバー内層を構成する材料としては、硬く、反発性に優れた樹脂が好ましく、例えばハイミランAM7317、同AM7318、同1605、同1706、同1557、同1856(三井・デュポンポリケミカル社製)等の市販アイオノマー樹脂が好ましく、その他としてはポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0023】
またカバー外層を構成する材料としては、特に制限されずサーリン8120(米国デュポン社製)、ハイミラン1706(三井・デュポンポリケミカル社製)等の市販アイオノマー樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂などが好適に用いられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
更に、上記カバー内層、外層組成物には、必要に応じてUV吸収剤、酸化防止剤、金属石鹸等の分散助剤などを添加することもできる。
【0025】
なお、コアの周囲にカバーを被覆する方法は特に制限されず、通常は予め半殻球状に成形した2枚のハーフカップでコアを包み加熱加圧成形するか、カバー用組成物をコアの周囲に射出成形してもよい。
【0026】
このようにして得られたゴルフボールの硬度は、100kg荷重負荷時の変形量で好ましくは2.3〜4.0mm、より好ましくは2.5〜3.8mmである。この場合、上記内芯球の硬度Aとゴルフボールの硬度Bとの比が100kg荷重負荷時の変形量で1.1≦A/B≦3.5であり、好ましくは1.1≦A/B≦3.0である。A/Bが1.1未満ではボールが軟らかくなりすぎて反発性が低下し、3.5を超えるとボールが硬すぎて打感が硬くなる。
【0027】
なお、ボール重量、直径等のボール性状はゴルフ規則に従い適宜設定することができる。
【0028】
本発明のゴルフボールは、以上の構成とすることにより、ドライバーでのヘッドスピードの依存性が極めて少なく、クラブの番手の影響が極めて小さいものである。即ち、ボールの大変形領域であるドライバーでのフルショット時、特に低ヘッドスピードのプレーヤーがフルショットした場合でもボールに十分な変形を与えることができ、ヘッドスピードの高低のかかわらず高反発性を維持しつつ、軟らかく非常に良好な打感が得られると共に、ボールの小変形領域であるサンドウェッジ等でのアプローチショット時やパッティング時においてスピンがよくかかり、優れたコントロール性と軟らかく良好な打感を有するものである。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、ドライバーでのフルショット時にヘッドスピードの高低にかかわらず高反発性を保ちつつ、良好な打感が得られると共に、サンドウェッジ等でのアプローチショット時のスピン性能及びアプローチショットやパッティング時の打感に優れたものである。
【0030】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0031】
〔実施例、比較例〕
表1に示した配合処方の内芯球組成物を混練ロールを用いて混練し、モールド内で155℃において15分間加硫して、内芯球を調製した。この内芯球上に包囲層がゴム部材の場合は、表1に示す処方のゴム組成物を混練ロールで混練し、ハーフカップ状に半加硫状態で成形しておき、この一対のハーフカップで上記内芯球を被包し、再度155℃で15分間加圧成形しコアを得た(実施例5、6)。一方、包囲層が熱可塑性樹脂の場合は、表1の処方に従い内芯球の周りに包囲層組成物を射出成形しコアを得た(実施例1〜4)。
【0032】
得られたコアの上に表1に示した配合処方により調製したカバー内層、外層を順次射出成形して実施例1〜6の4層構造のゴルフボールを得た。また、比較例1〜3はコアと2層のカバーからなるスリーピースソリッドゴルフボール、比較例4はコアと1層のカバーからなるツーピースゴルフボールである。なお、表1に示した配合量は総て重量部であり、その量比は内芯球、包囲層、カバー内層、外層でそれぞれ独立したものである。
【0033】
【表1】
*1:米国デュポン社製のアイオノマー樹脂
*2:三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー樹脂
*3:東レ・デュポン社製のポリエステル系熱可塑性エラストマー
【0034】
次に、得られたゴルフボールについて、飛び性能、打感を下記方法に従って計測した。結果を表2に示す。
【0035】
飛び性能
スウィングロボットを用いて、ドライバー(PRO 230 Titan,ロフト角10度(ブリヂストンスポーツ株式会社製;#W1)にてヘッドスピード50m/sec(HS50)及びヘッドスピード35m/secでショットした時のスピン量、落下距離(キャリー)、到達距離(トータル)を測定した。また、サンドウェッジ(J’s Classical Edition(ブリヂストンスポーツ株式会社製;#SW))にてヘッドスピード20m/sec(HS20)でショットした時のスピン量を測定した。
【0036】
打感
ドライバー(#W1)により、ヘッドスピード約50m/sec(HS50)でプロ5名、ヘッドスピード約35m/secで女子トップアマ5名が実打したときの感触を下記基準により評価した。
○:軟らかい
△:普通
×:硬い
また、サンドウェッジ(#SW)により、ヘッドスピード約20m/sec(HS20)でプロ5名が実打したときの感触を下記の基準により評価した。
○:軟らかい
△:普通
×:硬い
【0037】
【表2】
*4:100kg荷重負荷時の変形量(mm)
【0038】
表2の結果から、比較例1は、特開平7−24084号公報に記載したものと同じタイプのスリーピースゴルフボールであり、コアと中間層(内層カバー)が軟らかいためにドライバーでの打感は軟らかいが、カバーが硬いためにサンドウェッジでの打感が硬く、スピンが十分にかからないものである。比較例2は、特開平7−24085号公報に記載したものと同じタイプのコアが軟らかいスリーピースゴルフボールであり、コアが軟らかいのでドライバーでの打感は軟らかいが、コア、カバーともに軟らかいために反発性が不十分で飛距離がでないものである。比較例3は、特開平7−24085号公報に記載したものと同じタイプのコアがやや硬めのスリーピースゴルフボールであり、打感がやや硬くなり、特に低ヘッドスピードでの打感、飛距離が劣るものである。比較例4は、一般的なスピンタイプのツーピースゴルフボールであり、サンドウェッジでのスピン性能、打感は優れているが、コアが硬く、カバーが単層で軟らかいためにドライバーでの打感が硬くなり、スピン量の増大により飛距離が十分でないものである。
【0039】
これに対して、本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、ドライバーではヘッドスピードの高低にかかわらず飛距離が増大し、軟らかい打感が得られると共に、サンドウェッジでは軟らかい打感と良好なスピン性能が得られることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるゴルフボールの概略断面図である。
【符号の説明】
1 ゴルフボール
2 コア
3 内芯球
4 包囲層
5 カバー
6 内層
7 外層
Claims (7)
- コアが内芯球と該内芯球を被覆する包囲層からなり、このコアを被覆するカバーが外層と内層からなるマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、内芯球の直径が20〜37mm、ボールの直径が42.67mm以上であり、上記カバーの外層硬度がショアDで40〜53であり、上記カバーの内層硬度がショアDで55〜70で、カバーの内層硬度が外層硬度より高く形成され、上記包囲層の表面硬度がショアDで内芯球の表面硬度より高く、上記内芯球の硬度が100kg荷重負荷時の変形量で3.0〜8.0mmであり、この内芯球硬度Aとボール硬度Bとの比が100kg荷重負荷時の変形量で1.1≦A/B≦3.5であることを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
- コア直径が32〜41mmである請求項1記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
- 内芯球がゴム基材を主材とし、直径が33.7〜35mmであり、コア直径が36.7〜41mmである請求項1記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
- カバーの外層の厚さが0.3〜3.0mm、カバーの内層の厚さが0.5〜3.0mmであり、これら外層と内層の硬度差がショアDで5以上である請求項1,2又は3記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
- カバーの外層と内層の硬度差が14〜25である請求項1〜4のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
- 包囲層が熱可塑性樹脂を主材とする請求項1〜5のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
- 内層カバーがアイオノマー樹脂又はポリエステルからなる請求項1〜6のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
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