JP4553114B2 - ゴルフボール用樹脂成形物及びゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟かつ高い反発弾性を備え、強靭で耐摩耗性に優れるゴルフボール用樹脂成形物及び該ゴルフボール用樹脂成形物を使用して形成され、飛距離、フィーリング、耐擦過傷性および繰返し打撃における耐久性に優れたゴルフボールに関するものである。
ポリブチレンテレフタレート単位のような結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体は、柔軟で反発弾性に優れ、強度、耐衝撃性、弾性回復性などの機械的性質や、低温および高温特性が良好で、更に熱可塑性で成形加工が容易であることから、ゴルフボール用樹脂組成物として注目されてきた。例えば、特許文献1:特開平7−24084号公報に記載されたゴルフボール用樹脂組成物が挙げられる。
このように、優れた物性を有するポリエーテルエステルブロック共重合体ではあるが、耐擦過傷性や繰返し打撃における耐久性が不足しているため、カバーとして使用することは難しく、これまでは、スリーピースボールやフォーピースボールをはじめとするマルチピースゴルフボールの中間層に使用されるに止まっていた。また、カバー用材料として、特許文献2:特開平6−142228号公報に記載されているように、熱可塑性で成形加工が容易で、極めて強靭で、特に高速で大きな変形を与えられた際にも破断しにくく、ゴルフボールの耐擦過傷性や繰返し打撃における耐久性向上に非常に有利な、α−オレフィンと、α,β−不飽和カルボン酸の共重合体を1〜3価の金属イオンで中和したアイオノマー樹脂が長年使用されてきた。
しかしながら、この材料には柔軟性が不足していて硬い感触がある。そこで、α−オレフィンと、α,β−不飽和カルボン酸と、α,β−不飽和カルボン酸エステルの共重合体を1〜3価の金属イオンで中和し、柔軟化したアイオノマー樹脂をゴルフボール用組成物として用いる提案もなされている。しかしながら、このような柔軟化したアイオノマー樹脂は、反発弾性、低温特性、耐擦過傷性が劣るため、更なる改良が求められている。
また、新たなカバー用材料として、特許文献3:特開2004−49913号公報に記載されているように、熱可塑性ポリウレタン組成物を使用するものも登場し、飛び、コントロール性、スピン安定性、フィーリング、耐擦過傷性および打撃耐久性にバランスのとれたゴルフボールも提案されている。
しかしながら、この材料については、フィーリングを改良するために、より柔軟にしようとすると、反発弾性や耐擦過傷性が不十分となってしまう。このため、ポリエーテルエステルブロック共重合体の、高い反発弾性と柔軟な感触が活かされることによって飛距離やフィーリングに優れ、しかも耐擦過傷性や繰返し打撃における耐久性を備えたゴルフボールに使用可能なカバー用材料、およびそのような材料で形成したカバーを有するゴルフボールの出現が望まれている。
なお、成形加工性や耐熱性と耐加水分解性の改良を目的として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーにポリエーテルエステルブロック共重合体を配合した樹脂組成物(例えば、特許文献4:特公昭52−786号公報参照)が提案されている。また、成形性や耐熱性改善を目的としてポリエーテルエステルブロック共重合体にポリイソシアネート化合物を反応させたブロック共重合熱可塑性ポリウレタンエラストマー(例えば、特許文献5:特開昭52−121699号公報、特許文献6:特開昭57−78413号公報参照)が提案されている。さらに、耐屈曲疲労性や成形加工時のフィッシュアイの改善を目的としてポリエステル系ブロック共重合体に特定のジイソシアネート化合物を配合した組成物(例えば、特許文献7:特開昭61−111318号公報参照)も提案されている。また更には、ポリエーテルエステルブロック共重合体にポリイソシアネート化合物とシリコーン化合物を配合してなる耐摩耗性が優れた樹脂組成物(例えば、特許文献8:特開平9−136934号公報,特許文献9:特開平10−101761号公報参照)も提案されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物はいずれも、柔軟かつ高い反発弾性を備え、強靭で耐摩耗性に優れるという要求性能を十分に満たし、さらに、飛距離、フィーリング、耐擦過傷性および繰返し打撃における耐久性に優れたゴルフボールを提供するものではない。
更に、特許文献10:特開2002−336378号公報に記載されているように、熱可塑性ポリウレタン材料とイソシアネートとを熱可塑性樹脂に分散させた混合物とからなる組成物を用いたゴルフボールも提案されているが、更なる反発性が望まれている。
特開平7−24084号公報 特開平6−142228号公報 特開2004−49913号公報 特公昭52−786号公報 特開昭52−121699号公報 特開昭57−78413号公報 特開昭61−111318号公報 特開平9−136934号公報 特開平10−101761号公報 特開2002−336378号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、柔軟かつ高い反発弾性を備え、強靭で耐摩耗性に優れるゴルフボール用樹脂成形物、及び、該ゴルフボール用樹脂成形物を使用し、飛距離、フィーリング、耐擦過傷性および打撃耐久性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)60〜95質量%と、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)5〜40質量%との合計量100質量部に対して、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2−イソシアナトエチル(2,6−ジイソシアネート)ヘキサノエート、2,5−または2,6−ジイソシアナトメチル−2−イソシアネートプロピルノルボルナン、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、及びジイソシアネートまたはトリイソシアネートのイソシアネート基同士を環状三量体化したイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートの群から選ばれる特定イソシアネート化合物が50質量%以上占めるポリイソシアネート化合物(C)0.05〜10質量部を配合してなる組成物を射出成形等により成形し、得られた成形物におけるASTM D−2240に基づくショアD硬度が25〜85であり、かつBS規格903に基づく反発弾性率が62〜90%であるゴルフボール用樹脂成形物が、柔軟かつ高い反発弾性を備え、十分な耐摩耗性を有し、強靭で耐摩耗性に優れていることを知見し、更に、上記ゴルフボール用樹脂成形物をゴルフボールのカバーに適用した場合、そのゴルフボールの飛距離、フィーリング、耐擦過傷性及び打撃耐久性が優れていることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記のゴルフボール用樹脂成形物及びゴルフボールを提供する。
〔1〕結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)60〜95質量%と、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)5〜40質量%との合計量100質量部に対して、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2−イソシアナトエチル(2,6−ジイソシアネート)ヘキサノエート、2,5−または2,6−ジイソシアナトメチル−2−イソシアネートプロピルノルボルナン、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、及びジイソシアネートまたはトリイソシアネートのイソシアネート基同士を環状三量体化したイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートの群から選ばれる特定イソシアネート化合物が50質量%以上占めるポリイソシアネート化合物(C)0.05〜10質量部を配合してなる組成物を射出成形等により成形し、得られた成形物におけるASTM D−2240に基づくショアD硬度が25〜85であり、かつBS規格903に基づく反発弾性率が62〜90%であることを特徴とするゴルフボール用樹脂成形物。
〔2〕上記特定化イソシアネート化合物がポリイソシアネート化合物(C)の70質量%以上占める請求項1記載のゴルフボール用樹脂成形物。
〔3〕請求項1又は2記載のゴルフボール用樹脂組成物を射出成形等により成形して得られた成形物に対して、JIS K7218に記載されたA法に基づいて、中空円筒状の金属を荷重をかけて回転させた時の滑り摩耗において、試験速度vを0.5m/s、試験荷重Pを50N、滑り距離Lを3km、の条件とした時の比摩耗量が以下の式(1)を満たすことを特徴とするゴルフボール用樹脂成形物。
Vx={(Wa−Wb)/(ρ・1000)}/(P・L)≦0.5 …(1)
〔但し、Vxはゴルフボール用樹脂組成物の比摩耗量(mm3/(N・km))、Wa,Wbはそれぞれゴルフボール用樹脂組成物からなる成形品である試験片の試験前,試験後の質量(mg)、ρはゴルフボール用樹脂組成物の密度(kg/m3)と定義する。〕
〔4〕請求項1、2又は3記載のゴルフボール用樹脂成形物をボール構造の少なくとも1層の材料として使用することを特徴とするゴルフボール。
〔5〕コアと、カバーとを具備してなるゴルフボールであって、上記カバーが請求項1、2又は3記載のゴルフボール用樹脂成形物にて形成されたことを特徴とするゴルフボール。
〔6〕コアと、中間層と、カバーとを具備してなるゴルフボールであって、上記カバーが請求項1、2又は3記載のゴルフボール用樹脂成形物にて形成されたことを特徴とするゴルフボール。
本発明によれば、柔軟で高い反発弾性を備え、耐摩耗性に優れたゴルフボール用樹脂組成物、及び、飛距離、フィーリング、耐擦過傷性および繰り返し打撃耐久性に優れたゴルフボールを得ることができる。
発明を実施するための最良の形態及び実施例
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に用いられる成分の1つであるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)は、結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とする。
高融点結晶性重合体セグメント(a)は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールとから形成される結晶性芳香族ポリエステルからなる単位であり、好ましくはテレフタル酸およびまたはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールとから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位であるが、この他にテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステル単位、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステル単位であってもよい。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテルを主たる構成成分とする単位である。脂肪族ポリエーテルの具体例としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルの中でも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性が優れることから、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールおよびポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物などの使用が好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては、共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)における低融点重合体セグメント(b)の共重合量は、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは15〜75質量%の範囲である。
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)は、溶融重縮合により得られる。溶融重縮合は公知の方法で実施することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメント成分を、触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、ジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、およびあらかじめ高融点結晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法などのいずれの方法をとってもよい。
溶融重縮合で得られたポリエーテルエステルブロック共重合体(A)は、次いで細粒化される。細粒化はガット状またはシート状に取り出したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)を、カッターでペレタイズするコールドカット法によってもよいし、ガット状やシート状にすることなくペレタイズするホットカット法によってもよい。また、塊状に取り出したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)を粉砕して得てもよい。
本発明で用いられる成分の1つである熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)は、ポリウレタン成分をハードセグメントとし、分子量700〜8000程度の脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネートをソフトセグメントとしたブロック共重合体である。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、およびポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどが、脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、およびポリカプロラクトンなどが、脂肪族ポリカーボネートとしては、ポリヘキサンジオールカーボネートが挙げられる。これらのソフトセグメントの中でも、得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーの弾性特性や低温特性が優れることから、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテルを使用したものが好ましい。本発明の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)は、このようなソフトセグメント成分と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、およびエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのグリコールから合成される。完全に鎖状のものと、若干の分岐と架橋を有するものがあるが、そのいずれでもよい。
本発明で用いられる成分の1つであるポリイソシアネート化合物(C)としては、下記の群から選ばれる1分子中にイソシアネート基を3個以上有する特定イソシアネート化合物を使用することができる。
即ち、特定イソシアネート化合物としては、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2−イソシアナトエチル(2,6−ジイソシアネート)ヘキサノエート、2,5−または2,6−ジイソシアナトメチル−2−イソシアネートプロピルノルボルナントリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェート、およびポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート挙げることができる。さらにジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環状三量体化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート挙げることができる。
本発明で使用されるポリイソシアネート化合物(C)において、上記特定イソシアネート化合物がポリイソシアネート化合物(C)に占める割合は50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物においては、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)を60〜95質量%、好ましくは75〜95質量%と、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)を5〜40質量%、好ましくは5〜25質量%との合計量100質量部に対して、ポリイソシアネート化合物(C)0.05〜10質量部、好ましくは、0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.2〜3質量部の範囲を配合する。ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の配合量が50質量%よりも少なくなった場合、反発弾性率が低くなり、95質量%よりも多くなった場合、耐磨耗性が低下する。ポリイソシアネート化合物(C)の配合量が上記の範囲未満では十分な性能が付与されず、配合量が上記の範囲を超えると溶融加工時にゲル化が起こり、成形できなくなるため好ましくない。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、上記(A)、(B)および(C)成分を必須成分とするが、更に、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤を添加することができ、例えば、公知のヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエステル系、芳香族アミン系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等の耐光剤、顔料、染料などの着色剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、補強剤、充填剤、可塑剤、および離型剤などを任意に含有せしめることができる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、上述したように、上記(A)、(B)および(C)成分を、必要に応じて各種添加剤を加え溶融混練して得ることができ、例えば、下記a〜gの方法等を採用することができる。
a.ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレット混合物、あるいはポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)の溶融混練物に、ポリイソシアネート化合物(C)をドライブレンドし、事前に溶融混合することなく射出成形する方法。
b.ポリイソシアネート化合物(C)を熱可塑性樹脂に配合したマスターバッチペレットを、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレット混合物、あるいはポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)の溶融混練物にドライブレンドし、事前に溶融混合することなく射出成形する方法。なお、マスターバッチペレットに使用する熱可塑性樹脂は、特に何ら制限を受けるものではないが、ポリエーテルエステルブロック共重合体との相溶性が良好なものが好ましい。
c.ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレット混合物、あるいはポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)の溶融混練物に、ポリイソシアネート化合物(C)を配合した原料をスクリュー型押出機に供給し、溶融混練する方法。
d.スクリュー型押出機にポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレット混合物、あるいはポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)の溶融混練物を供給して溶融し、更に他の供給口からポリイソシアネート化合物(C)を供給し、溶融混練する方法。
e.ポリイソシアネート化合物(C)を熱可塑性樹脂に配合したマスターバッチペレットを、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレット混合物、あるいはポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)の溶融混練物に配合した原料をスクリュー型押出機に供給し、溶融混練する方法。なお、マスターバッチペレットに使用する熱可塑性樹脂は、特に何ら制限を受けるものではないが、ポリエーテルエステルブロック共重合体との相溶性が良好なものが好ましい。
f.ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレット混合物、あるいはポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)の溶融混練物に、ポリイソシアネート化合物(C)を配合した原料を、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機に供給して溶融混練した後、スクリュー型押出機に供給してペレット化する方法。
g.ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレット混合物、あるいはポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)の溶融混練物に、ポリイソシアネート化合物(C)を配合した原料を、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機に供給し、溶融混練した後に取り出し、冷却後、粉砕する方法。
上記のゴルフボール用樹脂組成物は、上述したように、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)50〜95質量%と、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)5〜50質量%との合計量100質量部に対して、ポリイソシアネート化合物(C)0.05〜10質量部を配合してなるものであるが、上記ゴルフボール用樹脂組成物を射出成形等により成形して得られた成形物におけるASTM D−2240に基づくショアD硬度が25〜85であり、かつBS規格903に基づく反発弾性率が62〜90%であることが好ましい。
更には、本発明のゴルフボール用樹脂組成物を射出成形等により成形して得られた成形物において、JIS K7218に記載されたA法に基づいて、中空円筒状の金属を荷重をかけて回転させた時の滑り摩耗において、試験速度vを0.5m/s、試験荷重Pを50N、滑り距離Lを3km、の条件とした時の比摩耗量が以下の式(1)を満たすことが好ましい。
式Vx={(Wa−Wb)/(ρ・1000)}/(P・L)≦0.5 …(1)
〔但し、Vxはゴルフボール用樹脂組成物の比摩耗量(mm3/(N・km))、Wa,Wbはそれぞれゴルフボール用樹脂組成物からなる成形品である試験片の試験前,試験後の質量(mg)、ρはゴルフボール用樹脂組成物の密度(kg/m3)と定義する。〕
次に、本発明のゴルフボールは、少なくとも上記ゴルフボール用樹脂組成物にて形成されたボール構造を有するもので、柔軟かつ高い反発弾性を備え、強靭で、優れた耐摩耗性を有するゴルフボール用樹脂組成物を用いることにより、飛距離、フィーリング、耐擦過傷性および繰り返し打撃耐久性に優れたゴルフボールを得ることができる。
即ち、本発明のゴルフボールによれば、上記ゴルフボール用樹脂組成物をゴルフボールのコア材、中間層材、カバー材、ワンピースゴルフボール材、ソリッドセンター材(糸巻きゴルフボール用)等の各種ゴルフボール用材料として用いられるものであり、コアとカバーを具備してなるツーピースゴルフボール、コアに2層以上の熱可塑性樹脂若しくはゴムを被覆形成したマルチピースゴルフボール、ワンピースゴルフボール、糸巻きゴルフボール等として構成することができる。具体的には、本発明の樹脂組成物によりソリッドコアを作成した場合、その直径は、25.00mm以上、特に35.00mm以上、上限として39.95mm以下、特に38.90mm以下に作成することができる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物をソリッドコア材として使用する際、ゴルフ規則に沿った大きさ、質量に形成されるように、比重の調整には不活性充填剤を用いることができる。不活性充填剤としては酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛等が例示されるが、硫酸バリウムが特に好ましい。その配合量は、コアとカバーの比重、ボールの質量規格等に左右され、特に限定的ではないが、通常は本発明の組成物100質量部に対して10質量部以上、特に15質量部以上、上限として60質量部以下、特に30質量部以下にすることができる。
また、本発明のゴルフボール用樹脂組成物を中間層材として使用する場合には、厚さを0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは1.4mm以上、上限として3.0mm以下、好ましくは2.5mm以下、更に好ましくは1.9mm以下とすることができ、これよりも厚いと反発性を損ない、飛距離が低下し、薄いと耐久性に劣る場合がある。
更に、本発明のゴルフボール用樹脂組成物をカバー材として使用する場合には、厚さを0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは1.4mm以上、上限として3.0mm以下、好ましくは2.5mm以下、更に好ましくは1.9mm以下とすることができ、これよりも厚いと反発性を損ない、飛距離が低下し、薄いと耐久性に劣る場合がある。
また更に、ワンピースゴルフボール材として使用する場合には、42.60mm以上、特に42.65mm以上、上限として42.75mm以下、特に42.70mm以下にすることができる。
なお、本発明の樹脂組成物を使用して上記ボール構造にする場合、いずれの場合も、本発明のゴルフボール用樹脂組成物による製造には、金型に圧縮又は射出成形する方法を好適に採用することができ、特に射出成形を好適に採用することができる。
本発明のゴルフボールは、ゴルフ規則に沿った大きさ、質量に形成することができ、通常、直径は42.65〜42.75mm、重さは45.0〜45.5gに形成することができる。
本発明のゴルフボールは、上述したように、各種ボール構造の少なくとも1層に上記本発明の樹脂組成物を使用して形成したものであるが、特に、本発明の樹脂組成物をカバーとして使用したゴルフボールにすることで、樹脂組成物の特性が十分に生かされたものになり得る。
ここで、上記ソリッドゴルフボールを得るには、例えば、コア材としては、本発明の樹脂組成物を使用してもよいが、通常の材料を用いることができ、加硫条件、配合比等を調整して得ることができる。この場合、コアの配合には基材ゴム、架橋剤、共架橋剤、不活性充填剤等が含まれる。基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている天然ゴム及び/又は合成ゴムを使用することができるが、本発明においては、シス構造を少なくとも40%以上有する1,4−ポリブタジエンが好ましい。この場合、所望により該ポリブタジエンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等を適宜配合しても良い。
架橋剤としてはジクミルパーオキサイドやジ−t−ブチルパーオキサイドのような有機過酸化物等が例示されるが、特に好ましいものはジクミルパーオキサイドである。架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して通常0.5質量部以上、好ましくは0.8質量部以上、上限として3質量部以下、好ましくは1.5質量部以下とすることができる。
共架橋剤としては、特に限定するものではないが、不飽和脂肪酸の金属塩、就中、炭素原子数3〜8の不飽和脂肪酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸等)の亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩を例示できるが、亜鉛塩が特に好適である。この共架橋剤の配含量は、基材ゴム100質量部に対して24質量部以上、好ましくは28質量部以上、38質量部以下、好ましくは34質量部以下にすることができる。
不活性充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛等が例示されるが、酸化亜鉛が一般的で、その配合量は、コアとカバーの比重、ボールの質量規格等に左右され、特に限定的ではないが、基材ゴム100質量部に対して10〜60質量部とすることができる。
上記成分を配合して得られるコア用組成物は、通常の混練機、例えばバンバリーミキサーやロール等を用いて混練し、コア用金型に圧縮又は射出成形し、成形体を架橋剤及び共架橋剤が作用するのに十分な温度(例えば、架橋剤としてジクミルパーオキサイドを用い共架橋剤としてアクリル酸亜鉛を用いた場合には、約130〜170℃)で加熱硬化することができる。
上記成分を配合して得られるコアは、特に制限はないが通常、直径38.85〜39.95mmとすることができる。
このようにして得たコアに、本発明のゴルフボール用樹脂組成物をカバー材として、通常のゴルフボール成形で用いられる金型にコアを配備して圧縮又は射出成形してカバーを形成してツーピースボールとすることができる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物を中間層材として、通常のゴルフボール成形で用いられる金型にコアを配備して圧縮又は射出成形して中間層を形成することもできる。この場合は、中間層に次いでカバー材を圧縮又は射出成形してカバーを形成してスリーピースボールとすることができる。この場合、カバー材としては、公知のアイオノマー樹脂を好適に使用することができ、具体的には、ハイミラン1554、同1557、同1601、同1605、同1706、同1855、同1856、同AM7315、同AM7316、同AM7317、同AM7318(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン6320、同7930、同8120、同8945、同9945(いずれもデュポン社製)等を挙げることができる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物をカバー材として使用する場合は、通常のゴルフボール成形で用いられる金型にコアを配備した後、例えばポリエーテルエステルブロック共重合体を中間層材として用い、通常のゴルフボール成形で用いられる金型にコアを配備して圧縮又は射出成形して中間層を形成し、その後、その上に本発明のゴルフボール用樹脂組成物をカバー材として圧縮又は射出成形により被覆してカバーを形成してスリーピースボールとすることができる。
なお、カバー被覆後、バリ取り研磨、前処理を施した後に塗装する工程については、通常のゴルフボール製造法に準じた方法を採用することができる。
[実施例]
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下、部及び反発弾性率以外の%はすべて質量基準である。また、例中に示される樹脂物性及びゴルフボール物性は次のように測定した。
樹脂物性
[融点]
差動走査熱量計(Du Pont社製DSC−910型)を使用して、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱した時の融解ピークの頂上温度を測定した。
[溶融粘度指数(MFR値)]
ASTM D−1238にしたがって荷重2160gで測定した。
[表面硬度]
ASTM D−2240にしたがって測定した硬度(ショアD硬度)。
[反発弾性率]
BS規格903にしたがって測定した。
[比重]
ASTM D−792にしたがって測定した。
[比摩耗量]
JIS K7218に記載されたA法に適用しうる直径40mm、厚さ3mmの円板を成形した。摩耗摩擦試験機((株)オリエンテック社製EFM−III−EN/F型)を使用して、JIS K7218に記載されたA法に従い、その成形品上に中空円筒状の金属を荷重をかけて回転させて滑り摩耗試験を行った。試験速度vを0.5m/s、試験荷重Pを50N、滑り距離Lを3km、の条件とし、耐摩耗性として比摩耗量を求めた。この比摩耗量は下記式
Vx={(Wa−Wb)/(ρ・1000)}/(P・L)
から算出した。ここで、Vxはポリエステルエラストマー樹脂組成物の比摩耗量(mm3/(N・km))、Wa,Wbはそれぞれポリエステルエラストマー樹脂組成物からなる成形品を使用した試験片の試験前,試験後の質量(mg)、ρはポリエステルエラストマー樹脂組成物の密度(kg/m3)と定義される。このうち、密度ρ(kg/m3)は比重/1000で算出される値を使用した。
ゴルフボール物性
[外径]
コア、中間層被覆状態、製品の外径(mm)をそれぞれ測定した。
[質量]
コア、中間層被覆状態、製品の質量(g)をそれぞれ測定した。
[硬度]
コア、中間層被覆状態、製品に対し、100kg荷重時の変形量(mm)を測定した。数値が大きいほど軟らかいことを示す。
[飛距離]
打撃マシン((株)ミヤマエ社製)を用い、ドライバー(W#1)でヘッドスピード45m/sで打撃したときの、キャリー飛距離、トータル飛距離をそれぞれ測定した。
[繰り返し打撃耐久性]
打撃マシン((株)ミヤマエ社製)を用い、ドライバー(W#1)でヘッドスピード45m/sで繰り返し打撃し、打撃傷を目視で判断した。比較球(比較例1)と同時に評価を行い、次の評価基準で評価した。
[耐擦過傷性]
ボールを23℃に保温し、ピッチングウェッジをスイングロボットマシンに取り付け、ヘッドスピード33m/sにて打撃し、打撃傷を目視で判断した。次の評価基準で評価した。
○:傷がない、もしくは使用上、全く気にならない程度の傷。
×:表面が毛羽立つ、ディンプルが欠ける、などのひどい傷。
[打球感]
トップアマ各5人のゴルファーにより、ドライバー(W#1)を用いた実打テストで下記基準で評価した。
◎:大変良い
○:良い
[ゴルフボールコアの製造]
表1に示す配合のコア用組成物をモールド内で加硫し、表1に示す物性、形状を有するコアを成形した。
Figure 0004553114
[ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)]
参考例1および参考例2に示したように重合し、ペレタイズしたポリエーテルエステルブロック重合体(A−1)および(A−2)を用いた。
[参考例1]
テレフタル酸419部、1,4−ブタンジオール409部および数平均分子量が約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(デュポン社製“テラタン”1400)476部を、チタンテトラブトキシド2部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行った。この反応混合物に“イルガノックス”1010(チバガイギー社製ヒンダードフェノ−ル系酸化防止剤)0.75部を添加した後、245℃に昇温し、次いで40分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で2時間40分重合を行わせてポリエーテルエステルブロック共重合体(A−1)を得た。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングしてペレット化した。このペレットの融点は195℃で、220℃で測定した溶融粘度指数(MFR)は18g/10分、硬度は47ショアD、比重1.15であった。
[参考例2]
テレフタル酸444部、1,4−ブタンジオール386部および数平均分子量が約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(保土谷化学(株)製PTG1400SN)439部を使用した以外は、参考例1と同様にして重合、カッティングして、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−2)を得た。このペレットの融点は199℃、220℃で測定した溶融粘度指数(MFR)は16g/10分、硬度は50ショアD、比重1.17であった。
[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)]
実施例および比較例において使用した熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)は、以下のとおりである。
B−1:“パンデックス”T−8295(ディーアイシー・バイエル・ポリマー(株)製 ポリエーテル型熱可塑性ポリウレタンエラストマー。硬度は56ショアD。)
[ポリイソシアネート化合物(C)]
実施例および比較例において使用したポリイソシアネート化合物は、以下のとおりである。
C−1:日本ポリウレタン工業(株)製“ミリオネート”MT
(ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート)
C−2:日本ポリウレタン工業(株)製“コロネート”HX
(ヘキサメチレンジイソシアネートを3量体化したイソシアヌレート構造を有 するポリイソシアネート)
C−3:日本ポリウレタン工業(株)製“ミリオネート”MR−400
(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1分子中にイソシアネート 基が3個以上のイソシアネートを71%以上含有)
[アイオノマー樹脂(D)]
比較例で使用したアイオノマー樹脂は以下のとおりである。
D−1 :サーリン8120、デュポン社製、エチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル三元共重合体アイオノマー、イオン種Na、表面硬度(ショアD)45
D−2 :ハイミラン1706、三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、イオン種Zn、表面硬度(ショアD)62
D−3 :ハイミランAM7316、三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル三共重合体アイオノマー、イオン種Zn、表面硬度(ショアD)40
参考例3
80℃で3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、表2に示したような配合比でV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、直径45mmで三条ネジタイプのスクリューを有する二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ペレット化して樹脂組成物を得た。これらの樹脂組成物ペレットを80℃で3時間の熱風乾燥を施した後、ポリイソシアネート化合物(C)とともに、表2に示したような配合比になるようにV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、住友重機械工業(株)製ネオマット150/75SYCAP−M型住友−ネスタール射出成形機のホッパーに供給した。ドライブレンドされた混合物はホッパーから成形機内に供給され、240℃に設定されたシリンダー内で溶融混練され、それから50℃に設定された金型キャビティー内に射出成形された。このような方法で、直径100mm、厚さ3mmの円盤状成形品を得た。23℃、50%RHで24時間放置した後、摩耗量を測定し、この値から式(1)の比摩耗量を求めた。また、別途、各々の試験片を用意して、表面硬度と反発弾性率を測定した。結果を表2に併記する。
同様に、80℃で3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、表2に示したような配合比でV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、直径45mmで三条ネジタイプのスクリューを有する二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ペレット化して樹脂組成物を得た。これらの樹脂組成物ペレットを80℃で3時間の熱風乾燥を施した後、ポリイソシアネート化合物(C)とともに、表2に示したような配合比になるようにV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、表1に示すコアを、通常のゴルフボール成形で用いられる金型に配備した射出成形機を用いて表3に示すツーピースゴルフボールを、それぞれ製造した。得られたゴルフボールについて、上記評価方法に従って、それぞれ評価を行った結果を表3に示す。
実施例1,2
ポリイソシアネート化合物(C−2),(C−3)を、各々共重合ポリエステル樹脂に配合して、ポリイソシアネート化合物(C−2),(C−3)の含有量を、各々30質量%とした3種類のマスターバッチペレットを用意した。80℃で3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、表2に示したような配合比でV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、直径45mmで三条ネジタイプのスクリューを有する二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ペレット化して樹脂組成物を得た。これらの樹脂組成物ペレットを80℃で3時間の熱風乾燥を施した後、上記3種類のマスターバッチペレットを、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)の配合比が表2に示したような割合になるようにV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、住友重機械工業(株)製ネオマット150/75SYCAP−M型住友−ネスタール射出成形機のホッパーに供給した。ドライブレンドされた混合物はホッパーから成形機内に供給され、240℃に設定されたシリンダー内で溶融混練され、それから50℃に設定された金型キャビティー内に射出成形された。このような方法で、直径100mm、厚さ3mmの円盤状成形品を得た。23℃、50%RHで24時間放置した後、摩耗量を測定し、この値から式(1)の比摩耗量を求めた。また、別途、各々の試験片を用意して、表面硬度と反発弾性率を測定した。結果を表2に併記する。
同様に、ポリイソシアネート化合物(C−2),(C−3)を、各々共重合ポリエステル樹脂に配合してポリイソシアネート化合物(C−1)〜(C−3)の含有量を、各々30質量%とした3種類のマスターバッチペレットを用意した。80℃で3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、表2に示したような配合比でV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、直径45mmで三条ネジタイプのスクリューを有する二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ペレット化して樹脂組成物を得た。これらのペレットを80℃で3時間の熱風乾燥を施した後、上記3種類のマスターバッチペレットを、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)と、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)の配合比が表2に示したような割合になるようにV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、表1に示すコアを、通常のゴルフボール成形で用いられる金型に配備した射出成形機を用いて表3に示すツーピースゴルフボールを、それぞれ製造した。得られたゴルフボールについて、上記評価方法に従って、それぞれ評価を行った結果を表3に示す。
実施例3,4
80℃で3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、ポリイソシアネート化合物(C)とともに、表2に示したような配合比でV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、直径45mmで三条ネジタイプのスクリューを有する二軸押出機を用いて230℃で溶融混練してペレット化し、ゴルフボール用樹脂組成物を得た。これらのペレットを80℃で3時間の熱風乾燥を施した後、住友重機械工業(株)製ネオマット150/75SYCAP−M型住友−ネスタール射出成形機のホッパーに供給した。ドライブレンドされた混合物はホッパーから成形機内に供給され、240℃に設定されたシリンダー内で溶融混練され、それから50℃に設定された金型キャビティー内に射出成形された。このような方法で、直径100mm、厚さ3mmの円盤状成形品を得た。23℃、50%RHで24時間放置した後、摩耗量を測定し、この値から式(1)の比摩耗量を求めた。また、別途、各々の試験片を用意して、表面硬度と反発弾性率を測定した。結果を表2に併記する。
同様に、80℃で3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、ポリイソシアネート化合物(C)とともに、表2に示したような配合比でV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、直径45mmで三条ネジタイプのスクリューを有する二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ペレット化してゴルフボール用樹脂組成物を得た。これらのペレットを80℃で3時間の熱風乾燥を施した後、表1に示すコアを、通常のゴルフボール成形で用いられる金型に配備した射出成形機を用いて表3に示すツーピースゴルフボールを、それぞれ製造した。得られたゴルフボールについて、上記評価方法に従って、それぞれ評価を行った結果を表3に示す。
Figure 0004553114

※ 実施例では、マスターバッチペレットを用いて各成分を配合した。
Figure 0004553114
[比較例1〜6]
80℃×3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、表4に示したような配合比になるようにV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、直径45mmで三条ネジタイプのスクリューを有する二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ペレット化して樹脂組成物を得た。これらの樹脂組成物ペレットを80℃で3時間の熱風乾燥を施した後、住友重機械工業(株)製ネオマット150/75SYCAP−M型住友−ネスタール射出成形機のホッパーに供給し、50℃に設定された金型キャビティー内に射出成形した。このような方法で、直径100mm、厚さ3mmの円盤状成形品を得た。23℃、50%RHで24時間放置した後、摩耗量を測定して比摩耗量を求めた。また、別途、各々の試験片を用意して表面硬度と反発弾性率を測定した。結果を表4に併記する。
同様に、80℃×3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、表4に示したような配合比になるようにV−ブレンダーを用いてドライブレンドし、直径45mmで三条ネジタイプのスクリューを有する二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ペレット化して樹脂組成物を得た。これらの樹脂組成物ペレットを80℃で3時間の熱風乾燥を施した後、表1に示すコアを通常のゴルフボール成形で用いられる金型に配備した射出成形機を用いて表5に示すツーピースゴルフボールを、それぞれ製造した。得られたゴルフボールについて、上記評価方法に従って、それぞれ評価を行った結果を表5に示す。
[比較例7]
80℃で3時間の熱風乾燥を施したポリエーテルエステルブロック共重合体(A)のペレットと、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)のペレットを、平行に並んだ二本のブレードを有するニーダー中で240℃で2.5分間の溶融混練を行って溶融した。ここに、ポリイソシアネート化合物(C)を、表4に示したような配合比になるように供給して、さらに、240℃での溶融混練を行おうと試みたところ、急速なゲル化を生じて樹脂組成物がブレードに巻き付いた。ブレードに巻き付いた樹脂組成物をブレードから剥ぎ取って調べたところ、不溶かつ不融で、成形加工性を有しておらず、物性を測定することができなかった。
[比較例8]
本発明のゴルフボール用樹脂組成物の代わりに、アイオノマー樹脂を使用して、表1に示すコアを、通常のゴルフボール成形で用いられる金型に配備した射出成形機を用いて表5に示すツーピースゴルフボールを、それぞれ製造した。得られたゴルフボールについて、上記評価方法に従って、それぞれ評価を行った結果を表5に併記する。
[比較例9]
本発明のゴルフボール用樹脂組成物の代わりに、熱可塑性ポリウレタン樹脂(MDI-PTMGタイプの熱可塑性ポリレタンエラストマー)を使用して、表1に示すコアを、通常のゴルフボール成形で用いられる金型に配備した射出成形機を用いて表5に示すツーピースゴルフボールを、それぞれ製造した。得られたゴルフボールについて、上記評価方法に従って、それぞれ評価を行った結果を表5に併記する。
Figure 0004553114

Figure 0004553114
以上の結果より、実施例1〜4に示した本発明のゴルフボール用樹脂成形物は、柔軟性と高い反発弾性率(反発弾性率が62〜90%)を有し、強靭で耐摩耗性および繰り返し打撃耐久性に優れている。そして、実施例1〜4に示した本発明のゴルフボール用樹脂成形物を用いて製造したゴルフボールは、飛距離、フィーリング、耐擦過傷性および打撃耐久性のバランスのとれたものであった。これに対して、比較例1〜6に示した樹脂は、柔軟で、一部の物は反発弾性も大きかったが、耐摩耗性も、繰り返し打撃耐久性も低く、強靱ではなかった。そして、比較例1〜6に示した樹脂成形物を用いて製造したゴルフボールは、耐擦過傷性と打撃耐久性に劣っていた。また、比較例8に示したアイオノマー樹脂を用いて製造したゴルフボールも、比較例9に示した熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて製造したゴルフボールも、飛距離に劣っていた。

Claims (6)

  1. 結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)60〜95質量%と、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(B)5〜40質量%との合計量100質量部に対して、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2−イソシアナトエチル(2,6−ジイソシアネート)ヘキサノエート、2,5−または2,6−ジイソシアナトメチル−2−イソシアネートプロピルノルボルナン、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、及びジイソシアネートまたはトリイソシアネートのイソシアネート基同士を環状三量体化したイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートの群から選ばれる特定イソシアネート化合物が50質量%以上占めるポリイソシアネート化合物(C)0.05〜10質量部を配合してなる組成物を射出成形等により成形し、得られた成形物におけるASTM D−2240に基づくショアD硬度が25〜85であり、かつBS規格903に基づく反発弾性率が62〜90%であることを特徴とするゴルフボール用樹脂成形物。
  2. 上記特定イソシアネート化合物がポリイソシアネート化合物(C)の70質量%以上占める請求項1記載のゴルフボール用樹脂成形物。
  3. 請求項1又は2記載のゴルフボール用樹脂組成物を射出成形等により成形して得られた成形物に対して、JIS K7218に記載されたA法に基づいて、中空円筒状の金属を荷重をかけて回転させた時の滑り摩耗において、試験速度vを0.5m/s、試験荷重Pを50N、滑り距離Lを3km、の条件とした時の比摩耗量が以下の式(1)を満たすことを特徴とするゴルフボール用樹脂成形物。
    Vx={(Wa−Wb)/(ρ・1000)}/(P・L)≦0.5 …(1)
    〔但し、Vxはゴルフボール用樹脂組成物の比摩耗量(mm3/(N・km))、Wa,Wbはそれぞれゴルフボール用樹脂組成物からなる成形品である試験片の試験前,試験後の質量(mg)、ρはゴルフボール用樹脂組成物の密度(kg/m3)と定義する。〕
  4. 請求項1、2又は3記載のゴルフボール用樹脂成形物をボール構造の少なくとも1層の材料として使用することを特徴とするゴルフボール。
  5. コアと、カバーとを具備してなるゴルフボールであって、上記カバーが請求項1、2又は3記載のゴルフボール用樹脂成形物にて形成されたことを特徴とするゴルフボール。
  6. コアと、中間層と、カバーとを具備してなるゴルフボールであって、上記カバーが請求項1、2又は3記載のゴルフボール用樹脂成形物にて形成されたことを特徴とするゴルフボール。
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