JP2002294072A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれを用いた摺動部材 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれを用いた摺動部材

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JP2002294072A
JP2002294072A JP2001095343A JP2001095343A JP2002294072A JP 2002294072 A JP2002294072 A JP 2002294072A JP 2001095343 A JP2001095343 A JP 2001095343A JP 2001095343 A JP2001095343 A JP 2001095343A JP 2002294072 A JP2002294072 A JP 2002294072A
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Yukio Imai
幸男 今井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械物性に優れ、かつ、摺動性、特に耐摩耗
性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および
それを用いた摺動部材を提供すること。 【解決手段】 (A)ポリアリーレンスルフィドと、
(B)ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール短繊
維と、(C)カーボンファイバー短繊維とを含有するポ
リアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれを用いた
摺動部品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィド樹脂組成物およびそれを用いた摺動部材に関
し、さらに詳しくは、ポリアリーレンスルフィドと、ポ
リパラフェニレンベンゾビスオキサゾール短繊維と、カ
ーボンファイバー短繊維とを含有する樹脂組成物および
それを用いた優れた摺動性を有する摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド(以下、「P
PS」と略すことがある。)などのポリアリーレンスル
フィド(以下、「PAS」と略すことがある。)は、機
械的強度、耐熱性、耐薬品性、電気特性、難燃性、寸法
安定性などに優れるため、近年、自動車、電気・電子部
品、化学機器などの部品材料として幅広く使用されてい
る。特に、高分子量PASについては、その高分子量化
技術の著しい進歩により、耐熱性に加えて、高靱性を有
する材料が開発されてきており、その工業的用途が拡大
しつつある。
【0003】ポリアリーレンスルフィドまたはポリアリ
ーレンスルフィド樹脂組成物の摺動性については、例え
ば、特開昭54−135845号公報に、PASにシリ
コーン油を含有させることにより、良好な摺動性を示す
PAS樹脂組成物およびその成形物が開示されている。
しかしながら、該PAS樹脂組成物を調製する段階にお
いて、シリコーンオイルの添加方法によって、シリコー
ンオイルが偏在し、必ずしも優れた摺動性が得られない
という問題があった。
【0004】また、特開平9−255871号公報に
は、PPSを含む熱可塑性樹脂に、ポリベンザゾール繊
維が含有されてなる熱可塑性樹脂組成物およびその成形
品が開示されているが、該樹脂組成物は、強靭性、耐熱
性、電気絶縁性、耐衝撃性に優れ、かつ高い熱伝導性を
有する樹脂組成物の開発を目的としたものであり、その
摺動性、特に耐摩耗性については、触れられていなかっ
た。従って、PASまたはPAS樹脂組成物について
は、さらに摺動性、特に耐摩耗性に優れた材料の開発が
切望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、摺動
性、特に耐摩耗性に優れたPAS樹脂組成物およびそれ
を用いた摺動部材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアリーレン
スルフィドと、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾ
ール短繊維と、カーボンファイバー短繊維とを含有する
樹脂組成物とすることにより、優れた摺動性を示す摺動
部材を与えるPAS樹脂組成物が得られることを見出
し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
(A)ポリアリーレンスルフィドと、(B)ポリパラフ
ェニレンベンゾビスオキサゾール短繊維と、(C)カー
ボンファイバー短繊維とを含有するポリアリーレンスル
フィド樹脂組成物が提供される。
【0008】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、(A)ポリアリーレンスルフィドの含
有量が30〜93重量%であり、(B)ポリパラフェニ
レンベンゾビスオキサゾール短繊維の含有量が2〜50
重量%であり、(C)カーボンファイバー短繊維の含有
量が5〜50重量%であるポリアリーレンスルフィド樹
脂組成物が提供される。
【0009】また、本発明の第3の発明によれば、第1
又は第2の発明において、上記(B)ポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾール短繊維の長さが、0.1〜1
0mmであり、上記(C)カーボンファイバー短繊維の
長さが、0.1〜12mmであるポリアリーレンスルフ
ィド樹脂組成物が提供される。
【0010】また、本発明の第4の発明によれば、第1
ないし第3のいずれかの発明におけるポリアリーレンス
ルフィド樹脂組成物を用いる摺動部材が提供される。
【0011】本発明の好ましい態様としては、以下のも
のが挙げられる。 (1)上記(A)ポリアリーレンスルフィドが、ポリフ
ェニレンスルフィドであることを特徴とする上記ポリア
リーレンスルフィド樹脂組成物。 (2)上記ポリフェニレンスルフィドがリニア型ポリフ
ェニレンスルフィドであることを特徴とする上記ポリア
リーレンスルフィド樹脂組成物。 (3)上記ポリフェニレンスルフィドの溶融粘度が、3
00〜1200ポイズであることを特徴とする上記ポリ
アリーレンスルフィド樹脂組成物。 (4)上記(B)ポリパラフェニレンベンゾビスオキサ
ゾール短繊維の繊維径が、10〜50μmであることを
特徴とする上記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。 (5)上記(C)カーボンファイバー短繊維の繊維径
が、5〜20μmであることを特徴とする上記ポリアリ
ーレンスルフィド樹脂組成物。 (6)上記(A)ポリアリーレンスルフィドの含有量が
50〜85重量%であり、上記(B)ポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾール短繊維の含有量が5〜20重
量%であり、上記(C)カーボンファイバー短繊維の含
有量が10〜30重量%であることを特徴とする上記ポ
リアリーレンスルフィド樹脂組成物。 (7)上記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を射出
成形にて成形したことを特徴とする上記摺動部材。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のポリアリーレン
スルフィド樹脂組成物およびそれを用いた摺動部材につ
いて各項目毎に詳細に説明する。本発明のポリアリーレ
ンスルフィド樹脂組成物は、(A)ポリアリーレンスル
フィド、(B)ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾ
ール短繊維および(C)カーボンファイバー短繊維を含
有する。
【0013】[I]ポリアリーレンスルフィド樹脂組成
物 1.(A)ポリアリーレンスルフィド 本発明で用いられるPASは、実質的に繰り返し単位
が、−Ar−S−(Ar:アリーレン基)からなるポリ
マーである。好ましくは、p−フェニレン基を繰り返し
単位とするポリマーおよび主成分としてp−フェニレン
基を含み、少量成分として、その他のアリーレン基、例
えば、m−フェニレン基、o−フェニレン基、アルキル
置換フェニレン基、p,p′−ジフェニレンスルフォン
基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェニレ
ンエーテル基、p,p′−ジフェニレンカルボニル基、
ナフタレン基などを含有するランダム共重合体および/
またはブロック共重合体が挙げられる。また、これらの
PASは混合物であってもよい。本発明において、特に
好ましいPASは、ポリp−フェニレンスルフィドであ
る。
【0014】PPSとしては、例えば、特公昭45−3
368号に開示される、有機アミド溶媒中でアルカリ金
属硫化物とポリハロ芳香族化合物を反応させる方法によ
り得られるPPS、各種の重合助剤、例えば、アルカリ
金属カルボン酸塩、芳香族カルボン酸のアルカリ金属
塩、アルカリ金属ハライドなどを用いて得られる高分子
量のPPS、第1段階でアルカリ金属硫化物とポリハロ
芳香族化合物とを180〜235℃にて50〜98%ま
で反応した後、水を添加し、さらに昇温して2段階で重
合して得られるPPS、アルカリ金属硫化物とポリハロ
芳香族化合物とを有機アミド溶媒中で反応させた後、有
機アミド溶媒で熱時洗浄して重合阻害物質および未反応
物質を除去し、さらに200〜260℃にて反応させて
得られるPPS、さらに、反応時、1,3,5−トリク
ロロベンゼンなどのポリハロ芳香族化合物を添加して重
合して得られる分岐したPPS、−NH、−SH、−
OH、−NHR、−COOH、−CONH又は−CO
NHRなどの官能基含有ハロ置換芳香族化合物を添加し
て得られる官能基含有PPS(ただし、Rはアルキル
基、シクロアルキル基、アリール基又はアリール置換ア
ルキル基を示す。)、あるいは液相の大気圧下における
沸点を超える温度に液相を加熱し、かつ閉じた反応缶の
気相部分を冷却して反応系内の気相の一部を凝縮させ、
液相に還流せしめる方法(特開平5−222196号公
報)により得られるPPSなどが挙げられる。
【0015】本発明の(A)ポリアリーレンスルフィド
としては、PPS、特に、ポリパラフェニレンベンゾビ
スオキサゾール繊維又はカーボンファイバー繊維が浮き
出しにくい、線状の分子構造を有するリニア型PPSを
用いることが好ましい。また、該PPSの溶融粘度は、
流動性の観点より、300〜1200ポイズであること
が好ましく、500〜1000ポイズであることが特に
好ましい。溶融粘度が、300ポイズ未満であると、引
張強度などの機械的物性が低く、一方、1200ポイズ
を超えると流動性が悪いので、いずれも好ましくない。
さらに、該PPSとしては、ガス発生の少ないものを用
いることが好ましい。なお、上記の溶融粘度は、島津製
作所製フローテスターCFT−500Cを用い、温度3
00℃、荷重1.96×10Pa、L/D=10/1
にて6分間保持した後、測定した溶融粘度である。
【0016】2.(B)ポリパラフェニレンベンゾビス
オキサゾール短繊維 本発明で用いられるポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾール(以下、「PBO」と略すことがある。)に
は、モノマー単位が、下記式(1)で表されるシス体
と、下記式(2)で表されるトランス体が存在する。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】本発明のPBOは、上記シス体、トランス
体のいずれを用いてもよい。また、本発明のPBO繊維
は、上記モノマーをポリリン酸中などで重合して得られ
るドープを乾湿式方式で液晶紡糸して製造される。該P
BO繊維は、東洋紡績(株)より、商品名「ザイロン」
として上市されている。該「ザイロン」には、レギュラ
ータイプ(AS)と高弾性率タイプ(HM)の2種類が
あり、いずれも繊維径は、11.7μmである。
【0020】本発明においては、PBO繊維を一定長に
カットした短繊維、いわゆるチョップド繊維を用い、そ
の短繊維の長さは、0.1〜10mm、より好ましくは
0.3〜6mmである。短繊維の長さが0.1mm未満
であると、摺動性が発現できなく、一方、10mmを超
えると、短繊維を樹脂組成物中に均一に分散させること
が困難となり、いずれも好ましくない。また、PBO短
繊維の繊維径は、通常、10〜15μmである。
【0021】3.(C)カーボンファイバー短繊維 本発明で用いられるカーボンファイバーには、有機繊維
原料の種類によって、セルロース系、PAN系、ピッチ
系などがあるが、どの種類を用いても構わない。また、
本発明においては、カーボンファイバーを一定長にカッ
トした短繊維、いわゆるチョップド繊維を用い、その短
繊維の長さは、0.1〜12mm、より好ましくは3〜
6mmである。短繊維の長さが0.1mm未満であると
機械的強度が低下し、一方、12mmを超えると、短繊
維を樹脂組成物中に均一に分散させることが困難とな
り、いずれも好ましくない。カーボンファイバー短繊維
の繊維径は、通常、5〜20μmである。
【0022】4.ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
の配合割合 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物におけ
る、(A)ポリアリーレンスルフィドと、(B)ポリパ
ラフェニレンベンゾビスオキサゾール短繊維と、(C)
カーボンファイバー短繊維との配合割合は、(A)PA
Sが30〜93重量%、より好ましくは50〜85重量
%、(B)PBO短繊維が2〜50重量%、より好まし
くは5〜20重量%、(C)カーボンファイバー短繊維
が5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%で
ある。 (A)PASの含有量が30重量%未満であると、機械
的強度が低下し、一方、93重量%を超えると摺動性が
悪くなるので、いずれも好ましくない。また、(B)P
BO短繊維が2重量%未満であると、摺動性が悪くな
り、一方、50重量%を超えると機械的強度が低下する
ので、いずれも好ましくない。さらに、(C)カーボン
ファイバー短繊維が5重量%未満であると、曲げ弾性率
が低下し、一方、50重量%を超えると摺動性が悪くな
るので、いずれも好ましくない。
【0023】本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組
成物が、優れた摺動性、特に耐摩耗性を発現するのは、
下記の理由によるものと考えられる。PBO繊維は、繊
維が配向する方向において高強度および高弾性率を示す
が、それ以外の方向に対しては、弾性率が低い。従っ
て、PASとPBO繊維を一定長さにカットしたPBO
短繊維とからなる樹脂組成物を射出成形して得られる成
形体は、非配向方向の機械物性、例えば、強度および弾
性率が著しく低く、これに伴って、摺動性も低下する場
合が多い。一方、カーボンファイバーは、高強度かつ高
弾性率であるが、非配向方向に対して脆い。PASとカ
ーボンファイバー短繊維とからなる樹脂組成物を射出成
形して得られる成形体は、摺動する相手材の擦傷性が高
い。このPBO短繊維と、カーボンファイバー短繊維と
を併用することにより、PBO繊維の非配向方向の弾性
率の低さ、樹脂との親和性の悪さによる強度低下および
カーボンファイバーの非配向方向の脆さが補完され、同
時に、摺動性についても、その相乗効果により、個別に
用いた場合よりも優れた性能、例えば、良好な摩擦係
数、比摩耗量などを発現するものと考えられる。さら
に、PBO繊維と併用することにより相手材の擦傷性を
軽減することが可能となる。
【0024】5.無機充填材 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、機
械的強度、耐熱性、寸法安定性、電気的性質などの性能
の、さらに優れた成形品を得るため、必要に応じて、無
機充填材を配合することができる。該無機充填材として
は、繊維状、粉粒体状、板状などの公知の充填材が用い
られる。
【0025】繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊
維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊
維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、
窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、
さらに、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮
などの金属の繊維状物などの無機質繊維状物質が挙げら
れる。特に代表的な繊維状充填材は、ガラス繊維であ
る。
【0026】粉粒体状充填材としては、例えば、カーボ
ンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス
粉、ケイ酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、ケ
イ藻土、ウォラストナイトのようなケイ酸塩、塩化鉄、
酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのような金属酸化物、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのような金属の炭酸
塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのような金属の硫酸
塩、ハイドロタルサイト、リチウムアルミニウム複合水
酸化物塩化物のような複合金属塩化合物、その他炭化ケ
イ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、各種金属粉末などが挙
げられる。
【0027】板状充填材としては、マイカ、ガラスフレ
ーク、各種金属箔などが挙げられる。チタン酸カリウ
ム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アルミニウムなどのウイス
カも使用することができる。これら無機充填材は、一種
または二種以上を併用することもできる。繊維状充填
材、特に、ガラス繊維と粉粒体状および/または板状充
填材の併用は、好ましい組合わせである。
【0028】上記無機充填材の配合量は、ポリアリーレ
ンスルフィド樹脂組成物100重量部に対して400重
量部以下が好ましく、より好ましくは10〜250重量
部である。400重量部を超える配合は、樹脂組成物の
溶融混練が困難となり好ましくない。
【0029】上記無機充填材の配合にあたっては、必要
に応じてシランカップリング剤やチタネート系カップリ
ング剤などの収束剤または表面処理剤を使用することが
できる。これらは、無機充填材を予め表面処理または収
束処理する際に用いても、樹脂組成物調製の際に、同時
に添加してもよい。
【0030】さらに、本発明のポリアリーレンスルフィ
ド樹脂組成物には、通常の熱可塑性樹脂および熱硬化性
樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、酸化防止剤や
紫外線吸収剤などの安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料
や顔料などの着色剤、滑剤、結晶化促進剤なども必要に
応じて、適宜添加することができる。
【0031】6.ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
の調製 本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、通常
の合成樹脂組成物の調製に用いられる設備および方法に
より調製することができる。すなわち、PAS、PBO
短繊維およびカーボンファイバー短繊維、並びに必要に
応じて、無機充填材および添加剤を、予めヘンシェルミ
キサーなどを利用してドライブレンドし、一軸または二
軸の押出機を用いて溶融混練し、押し出して成形用ペレ
ットとする方法などを用いることができる。
【0032】[II]摺動部材 上記のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を用いて、
通常の射出成形法または射出圧縮成形法などにより、摺
動部材を成形することができるが、本発明の摺動部材
は、射出成形にて成形することが好ましい。また、本発
明の摺動部材としては、歯車、軸受け、対物レンズ駆動
装置、光ピックアップ装置などが例示できるが、これら
に限定されるものではない。本発明の摺動部材は、PA
S、PBO短繊維およびカーボンファイバー短繊維を含
有する樹脂組成物を用いているので、引張り強さ、破断
伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率などの機械物性に優れる
上、動摩擦係数、比摩耗量などの摺動性に優れる。
【0033】
【実施例】以下に、本発明について実施例を挙げてさら
に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例に用いた材料および評価方法
は、以下の通りである。
【0034】(1)材料 (i)PAS: (株)トープレン製、リニア型ポリフ
ェニレンスルフィド(LR−2:溶融粘度 800ポイ
ズ) (ii)PBO短繊維:東洋紡績(株)製、ザイロン
(ZYLON−AS:1.5デニール/繊維長0.5m
m) (iii)カーボンファイバー短繊維:東邦レーヨン
(株)製、PAN系チョップ(HTP−C6−US)
【0035】(2)摺動性評価方法 (i)動摩擦係数及び比摩耗量:JIS K 7218
A法に準拠し測定した。測定条件は、以下のとおりで
ある。 試験片:30mm×30mm×3mm厚の角板 相手材料の材質:S45C 試験速度:0.5m/秒 試験荷重:50N
【0036】(3)機械物性評価方法 (i)溶融粘度:島津製作所製フローテスターCFT−
500Cを用い、温度300℃、荷重1.96×10
Pa、L/D=10/1にて6分間保持した後、測定し
た。 (ii)引張り強さ:島津製作所製AG−5000Bを
用い、ASTM−D638に準拠し測定した。引張り速
度は5mm/分、チャック間距離は115mm、試験片
はASTM Type−1によった。 (iii)破断伸び:ASTM−D638に準拠し測定
した。 (iv)曲げ強さ:JIS K 7203に準拠し測定
した。 (v)曲げ弾性率:JIS K 7203に準拠し測定
した。
【0037】実施例1 PAS(リニア型PPS) 72重量%、PBO短繊維
(長さ:0.5mm)5重量%およびカーボンファイバ
ー短繊維(長さ:6mm) 23重量%の配合割合にて
混合し、溶融混練機(W&P社製、ZSK−25:L/
D=42)を用いて、押出し温度 320℃、スクリュ
ー回転数 200r.p.m、吐出量5kg/時間の条
件にて混練し、PAS樹脂組成物ペレットを得た。上記
ペレットより、射出成形法を用いて、成形温度 320
℃、金型温度 130℃の条件にて、評価用試験片を成
形した。上記評価用試験片を用いて、摺動性評価および
機械物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0038】実施例2 PAS(リニア型PPS) 72重量%、PBO短繊維
10重量%およびカーボンファイバー短繊維 18重
量%の配合割合としたこと以外は、実施例1と同様にし
て、溶融混練、射出成形を行い評価用試験片を作成した
上記評価用試験片を用いて、摺動性評価および機械物性
評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】比較例1 PBO短繊維およびカーボンファイバー短繊維を配合せ
ず、PAS(リニア型PPS)100重量%としたこと
以外は、実施例1と同様にして、ペレット化および射出
成形を行い評価用試験片を作成した上記評価用試験片を
用いて、摺動性評価および機械物性評価を行った。結果
を表1に示す。
【0040】比較例2 PAS(リニア型PPS) 95重量%およびPBO短
繊維 5重量%の配合割合としたこと以外は、実施例1
と同様にして、混練、射出成形を行い評価用試験片を作
成した上記評価用試験片を用いて、摺動性評価および機
械物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】比較例3 PAS(リニア型PPS) 90重量%およびPBO短
繊維 10重量%の配合割合としたこと以外は、実施例
1と同様にして、混練、射出成形を行い評価用試験片を
作成した上記評価用試験片を用いて、摺動性評価および
機械物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】比較例4 PAS(リニア型PPS) 67重量%およびカーボン
ファイバー短繊維 33重量%の配合割合としたこと以
外は、実施例1と同様にして、混練、射出成形を行い評
価用試験片を作成した上記評価用試験片を用いて、摺動
性評価および機械物性評価を行った。結果を表1に示
す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂
組成物は、ポリアリーレンスルフィド、ポリパラフェニ
レンベンゾビスオキサゾール短繊維およびカーボンファ
イバー短繊維を含有するので、引張り強さ、破断伸び、
曲げ強さ、曲げ弾性率などの機械物性に優れる上、動摩
擦係数、比摩耗量などの摺動性に優れる。従って、本発
明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形体は、
歯車、軸受けなどの摺動部材としての使用に好適であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアリーレンスルフィドと、
    (B)ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール短繊
    維と、(C)カーボンファイバー短繊維とを含有するこ
    とを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)ポリアリーレンスルフィドの含有
    量が30〜93重量%であり、(B)ポリパラフェニレ
    ンベンゾビスオキサゾール短繊維の含有量が2〜50重
    量%であり、(C)カーボンファイバー短繊維の含有量
    が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記
    載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記(B)ポリパラフェニレンベンゾビ
    スオキサゾール短繊維の長さが、0.1〜10mmであ
    り、上記(C)カーボンファイバー短繊維の長さが、
    0.1〜12mmであることを特徴とする請求項1又は
    2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を用いることを
    特徴とする摺動部材。
JP2001095343A 2001-03-29 2001-03-29 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれを用いた摺動部材 Pending JP2002294072A (ja)

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