JPH09157525A - 精密成形用ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物 - Google Patents

精密成形用ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物

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JPH09157525A
JPH09157525A JP10944296A JP10944296A JPH09157525A JP H09157525 A JPH09157525 A JP H09157525A JP 10944296 A JP10944296 A JP 10944296A JP 10944296 A JP10944296 A JP 10944296A JP H09157525 A JPH09157525 A JP H09157525A
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sulfide resin
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出成形などの成形加工性が良好であり、同
時に成形時のバリの発生が無いか極端に少なく、剛性、
寸法精度にも優れたポリフェニレンサルファイド樹脂組
成物を提供する。 【解決手段】 (a)300℃、せん断速度500sec
-1にて300〜3000ポイズの溶融粘度を有するPP
Sに対し、300℃でのせん断速度500sec-1にて5
000〜50000ポイズの溶融粘度を有するPPEを
配合してなる樹脂組成物、(b)カオリン、アタパルジ
ャト又はその混合物(c)繊維状充填材、その他の無機
充填材又はその混合物を配合してなる精密成形用ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学系部品、電子
・電気部品、自動車部品等の分野において、アルミダイ
キャスト、亜鉛ダイキャスト等の金属の代替として使用
されるプラスチック製の精密成形部品に使用されるポリ
フェニレンサルファイド樹脂組成物よりなる精密成形用
材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、光学系部品、電子・電気部
品、自動車部品等に代表される精密部品の用途において
はアルミダイキャスト、亜鉛ダイキャスト等の金属が使
われてきた。しかしながら所定の形状に高い寸法精度で
加工するための費用が製品のコストアップにつながり、
近年においてはエンプラを中心とする熱可塑性樹脂への
代替が進んでいる。つまり複雑な形状でも射出成形によ
り大量に連続生産できるため部品生産コストが削減され
るうえに、複数部品の一体化により部品点数も少なくで
きるためである。熱可塑性樹脂のなかでもポリフェニレ
ンサルファイド樹脂(以下PPSと略す)は、耐熱性、
寸法安定性、耐薬品性、難燃性、成形性に優れ、剛性、
寸法安定性の要求が厳しい当用途においては、繊維状、
板状、粒状等の無機充填材を高濃度で充填したPPSが
用いられている。しかし、PPSの持つ短所として成形
時にバリが発生しやすいという点が挙げられる。これは
PPSの溶融粘度のせん断速度依存性が小さく、キャビ
ティの末端や金型の微小クリアランス部などのように樹
脂のせん断速度が小さくなる箇所においても溶融粘度が
比較的低いことが原因として挙げられる。PPSを用い
た成形品については、微粒のナイロンビーズを高速で噴
射する等のブラスト処理でバリを除去しているのが現状
あり、これにかかる工数は無視できない状況にある。ま
た最近の傾向として、更なる部品コスト低減の目的で他
の金属箔等との一体成形方式への切換が積極的に進めら
れており、金属箔へのダメージを考慮するとこれまでの
ブラスト処理が必然的に出来ない状況にあるため、当用
途に用いられるPPSのノンバリ化が強く求められてい
る。
【0003】PPSのバリの低減についてはこれまで色
々な方法が検討されている。例えば、PPSの流動特性
を改質する目的でPPSにポリアミドや液晶ポリマー、
その他特定のポリエステル化合物やシラン化合物を添加
する方法があるが、決定的なバリ低減には至っておら
ず、その際材料の剛性低下も著しく、特にポリアミド系
を添加する場合は材料の吸水性が増しPPSの寸法安定
性が損なわれる等の致命的な問題を抱えている。一方、
PPSにポリフェニレンエーテル樹脂(以下PPEと略
す)を添加する組成物(例えば 特開平 7−5386
5)が提案されている。PPEを添加することによりバ
リを低減させることは可能であるが極端にバリの発生を
抑える、あるいはバリが発生しないようにするためには
PPEの配合量を多くする必要があり、材料の成形加工
性、剛性が著しく低下してしまうという問題点を抱えて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】射出成形などの成形加
工性が良好であり、同時に成形時のバリの発生が無いか
極端に少なく、剛性、寸法精度にも優れたポリフェニレ
ンサルファイド樹脂組成物よりなる精密成形用材料に関
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(a)300℃、せん断速度500sec-1にて300〜
3000ポイズの溶融粘度を有するPPS60〜95重
量%に対し、300℃でのせん断速度500sec-1にて
5000〜50000ポイズの溶融粘度を有するPPE
を40〜5重量%配合してなる樹脂組成物100重量部
に対し、(b)平均粒子径0.5μm以下のカオリン、
平均粒子径0.2μm以下のアタパルジャト、又はその
混合物を10〜150重量部、及び(c)繊維状充填
材、その他の無機充填材、又はその混合物を10〜40
0重量部(但し(b)と(c)の合計が410重量部以
下)を配合してなる精密成形用ポリフェニレンサルファ
イド樹脂組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される(a)成分であるPPSは一般式
【化1】 で示される構成単位を70モル%以上含むものが好まし
く、その量が70モル%未満では優れた特性をもつ組成
物は得難い。PPSの重合方法としては、N−メチルピ
ロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒やス
ルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−
ジクロロベンゼンを反応させる方法が適当である。この
際、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸の
アルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリ、アルカ
リ金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物を添加する。共
重合成分として30モル%未満であれば、メタ結合、オ
ルト結合、エーテル結合、スルホン結合、ビフェニル結
合、置換フェニレンスルフィド結合(ここで置換基とし
ては、アルキル基、ニトロ基、フェニル基、アルコキシ
基、カルボン酸基、カルボン酸の金属塩基)、3官能結
合などを含有していてもポリマーの結晶性に大きく影響
しない範囲でかまわないが、好ましくは共重合成分は1
0モル%以下がよい。PPSは通常、酸素の存在下20
0〜250℃の温度で熱架橋し溶融粘度を調整した後使
用される。本発明において使用するPPSの望ましい溶
融粘度は300℃、せん断速度500sec-1にて300
〜3000ポイズ、更に好ましくは600〜2500ポ
イズの範囲である。溶融粘度が300ポイズより低い場
合はバリが発生しやすくなり、3000ポイズより高い
場合は成形加工性が低下する。充填材を高濃度で配合す
る場合は押出加工性、成形性を考慮し上記範囲内で比較
的低粘度のものを使用することが望ましい。
【0007】同じく(a)成分で使用されるPPEは一
般式
【化2】 (式中のR1及びR2の少なくとも一方は直鎖状または
第一級もしくは第二級分枝鎖状の炭素数1〜4のアルキ
ル基、アリール基、ハロゲン原子残りは水素原子であっ
て、これらは同一であってもよいし、たがいに異なって
いてもよい)で示される繰り返し単位からなる単独重合
体、前記一般式(化2)で示される繰り返し単位と一般
【化3】 (式中のR3,R4,R5,R6は、それぞれ直鎖状また
は第一級もしくは第二級分枝鎖状の炭素数1〜4 のア
ルキル基、アリール基、ハロゲン原子、水素原子などで
あって、これらは同一であってもよいし、たがいに異な
っていてもよいが、R3及びR4は同時に水素原子になる
ことはない)で示される繰り返し単位とからなる共重合
体、これらの単独重合体や共重合体にスチレンをグラフ
ト重合させたグラフト共重合体などである。PPEの単
独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6
−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,
6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,
4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n
−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−
エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エー
テル、ポリ(2−メチル−6−クロロ−1,4−フェニ
レン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエ
チル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチ
ル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル
などのホモポリマーが挙げられる。PPE共重合体は、
o−クレゾール又は一般式
【化4】 (式中のR3,R4,R5,R6,は前記と同じ意味をも
つ)で表される2,3,6−トリメチルフェノールなど
のアルキル置換フェノールと共重合して得られるポリフ
ェニレンエーテル構造を主体とするポリフェニレンエー
テル共重合体を包含する。本発明において使用するPP
Eの望ましい溶融粘度は300℃、せん断速度500se
c-1にて5000〜50000ポイズ、更に好ましくは
10000〜30000ポイズの範囲である。5000
ポイズより低い場合はバリ低減の効果が小さく、500
00ポイズより高い場合は成形加工性が低下する。PP
SとPPEの配合比率はPPS60〜95重量%に対し
てPPE40〜5重量%、更に好ましくはPPS70〜
90重量%に対してPPE30〜10重量%である。P
PEが5重量%より少ない場合はバリ低減の効果が小さ
く、40重量%より多い場合は成形加工性が低下する。
【0008】本発明の(b)成分で使用されるカオリン
は白色微細な粘土鉱物で、一般に2SiO2・Al23
2H2Oの組成式で表される平均粒子径が0.05μm
以上0.5μm以下、更に好ましくは0.1μm以上
0.4μm以下のものである。平均粒子径が0.05μ
m未満だと成形性に問題が発生し、0.5μmを越える
とバリの発生を防止する効果が少なくなる。アタパルジ
ャイトは極微細の針状充填材で、一般に組成式Si8
20Mg5(OH2)(OH2)・4H2Oで表される平均粒
子径が0.02μm以上0.2μm以下、更に好ましく
は0.05μm以上0.1μm以下のものである。平均
粒子径が0.02μm未満だと成形性に問題が発生し、
0.2μmを越えるとバリの発生を防止する効果が少な
くなる。これらカオリン、アタパルジャイトは材料に揺
変性を付与する効果(溶融粘度のせん断速度依存性を高
める効果)があると思われ、射出成形における保圧過程
(せん断速度が小さくなる過程)で材料の溶融粘度が一
気に上昇することによりバリの発生が大幅に低減される
と思われる。これらは(b)成分としてそれぞれ単独で
用いても良いし、混合して用いても良い。配合量は
(a)成分100重量部に対し10〜150重量部、更
に好ましくは20〜130重量部である。10重量部よ
り少ない場合はバリ低減の効果が少なく、150重量部
より多い場合は成形性及び強度が低下する。材料に平滑
性が求められる場合はカオリンを単独で用いた方が良
い。
【0009】本発明の(c)成分である繊維状充填材、
その他の無機充填材は、材料の機械強度、耐熱性、寸法
安定性、電気特性等の諸物性を向上させるために(b)
成分と併用することが望ましい。繊維状の充填材として
は、ガラス繊維、カーボン繊維、アスベスト繊維、シリ
カ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコ
ニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊
維、チタン酸カリウム繊維、更にステンレス、アルミニ
ウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機
質繊維状物質があげられる。またその他の無機充填材と
しては、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラス
ビーズ、ガラス粉、ガラスフレーク、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸アルミニウム、タルク、クレー、マイカ、ケ
イ藻土、ワラストナイト等のケイ酸塩、酸化鉄、酸化チ
タン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム等の金属の炭酸塩、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウム等の金属の硫酸塩、その他炭化ケイ
素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、各種金属粉末等が挙げら
れる。これらの充填材は二種以上併用することができ
る。また使用するにあたっては表面処理剤により粒子表
面を改質することが望ましい。表面処理剤の例としては
エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系
化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物があげら
れる。これらの化合物で充填材をあらかじめ表面処理し
て用いるか、または材料混合時に同時に添加してもさし
つかえない。
【0010】これらの充填材の配合量は(a)成分10
0重量部に対して10〜400重量部、更に好ましくは
50〜300重量部である。10重量部より少ない場合
は諸特性向上の効果が小さく、400重量部より多い場
合は成形加工性が著しく低下する。更にこれらの充填材
と(b)成分との合計量は、(a)成分100重量部に
対して410重量部以下であり、410重量部を越える
と成形加工性が著しく低下する。更に本発明の組成物に
は、一般に熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂に添加さ
れる公知の物質、すなわち、酸化防止剤や紫外線吸収剤
等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色
剤、潤滑剤等も必要に応じて適宜添加することができ
る。本発明における組成物の製造方法としては限定する
ものではないが、例えば各成分を計量後、ブレンダー、
ミキサー、等で混合し、押出機にて溶融混練してペレッ
ト化を行ってもよいし、ガラス繊維をサイドフィーダー
により定量供給して混練、ペレット化してもよい。この
ようにして得られたペレット状の成形材料は、通常広く
用いられている熱可塑性樹脂の成形機、射出成形機、射
出圧縮成形機等によって所望の形状に成形され使用され
る。
【0011】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳し
く説明するが本発明はこれらに限定されるものではな
い。実施例1〜8および比較例1〜10に使用した各成
分については下記に示す通りである。 PPS : トープレン株式会社製 商品名 K-4 PPE : 溶融粘度 18000 ホ゜イス゛(at 300℃、500sec-1) カオリン : ENGELHARD(米)社製 商品名 ASP200 アタパルジャイト : ENGELHARD(米)社製 商品名 ATTAGEL#50 ガラス繊維 : 日本板硝子株式会社製 商品名 RES03-TP29 炭酸カルシウム : 白石カルシウム株式会社製 商品名 ホワイトン P-30 上記成分を表1から表3に示した組成で配合し、二軸混
練機にて溶融混練しペレット化を行った。また得られた
成形材料を140℃で5時間除湿乾燥した後、射出成形
機(東芝機械製IS80EPN)を用いてシリンダー温
度300℃、射出圧力1200kg/cm2、射出速度中
速、金型温度140℃の条件で成形を行い、各種試験片
を作製した。各々の試験片を用い、曲げ強度、曲げ弾性
率、成形収縮率をASTM試験法に準じて測定した。ま
た、バリ特性については、それぞれ充填最小射出速度で
成形した時にキャビティ周囲に設けたクリアランス部
(幅5mm、深さ20μm)に発生するバリの長さを実
測することで評価した。更に、材料の溶融粘度をキャピ
ログラフ(東洋精機製)により測定した(310℃、剪
断速度20〜6000sec-1)。これらの結果を表1か
ら表3に示した。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
【発明の効果】本発明によると、成形加工性、剛性、寸
法精度が良好で且つ成形時にバリが発生しないか極めて
少ないPPS樹脂組成物を提供することができる。この
様な樹脂組成物は光ピックアップの光学部品などに代表
される精密部品用途に利用できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)300℃、せん断速度500sec
    -1にて300〜3000ポイズの溶融粘度を有するポリ
    フェニレンサルファイド樹脂60〜95重量%に対し、
    300℃、せん断速度500sec-1にて5000〜50
    000ポイズの溶融粘度を有するポリフェニレンエーテ
    ル樹脂を40〜5重量%配合してなる樹脂組成物、
    (b)カオリン、アタパルジャイト又はその混合物であ
    る無機充填材、及び(c)繊維状充填材、その他の無機
    充填材、又はその混合物を配合してなることを特徴とす
    る精密成形用ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (a)の樹脂組成物100重量部に対
    し、(b)の無機充填材を10〜150重量部、(c)
    の繊維状充填材、その他の無機充填材、又はその混合物
    を10〜400重量部(但し(b)と(c)の合計が4
    10重量部以下)を配合してなることを特徴とする請求
    項1記載の精密成形用ポリフェニレンサルファイド樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 (b)の該カオリンの平均粒子径が0.
    05μm以上0.5μm以下、該アタパルジャイトの平
    均粒子径が0.02μm以上0.2μm以下であること
    を特徴とする請求項1または2記載の精密成形用ポリフ
    ェニレンサルファイド樹脂組成物。
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