JP4366800B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関する。更に詳しくは、成形・加工時の変色が著しく抑制され、かつバリ発生が少なく、機械的強度に優れる成形品を与えることができるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略す。)は、耐熱性、難燃性、耐薬品性および剛性などに優れたエンジニアリングプラスチックであり、射出成形用を中心として、電気・電子機器部材、自動車機器部材および精密機械部材に応用されている。
【0003】
しかしながら、PPS樹脂は、充填剤との混練、押出加工や射出成形の際に、熱および酸素の影響で樹脂が変色し、得られた成形品の白色度低下あるいは色相の悪化が問題となっている。
【0004】
そこで、変色を低減するために、フェノール系安定剤または有機燐系安定剤を添加する試みがなされた。例えば、有機モノホスファイトを添加する方法(特開昭47−1735号公報)、アミン誘導体、フェノール誘導体、ハイドロキノン誘導体、カテコール誘導体、亜燐酸エステル、アルキルチオエーテルの中から選ばれる1種以上を添加する方法(特開昭59−213759号公報)、スピロ環を有する燐化合物を添加する方法(特開昭63−159470号公報)、特定のフェノール系化合物と特定の燐化合物を併用する方法(特開平2−73859号公報)、また、特定の構造の有機ビスホスファイトを用いる方法(特開平3−28267号公報、特開平3−28268号公報、特開平7−62238号公報)が知られている。
【0005】
しかしながら、これらの方法の場合、上記安定剤の耐熱性が不十分であり、PPS樹脂の加工温度である300〜350℃では、分解や揮散が生じ、着色防止の効果が満足できるものではなく、また、射出成形時のガスが異常に多くなったり、金型のベント部に分解物がヤニとして付着するなどの問題を生じる。
【0006】
一方、PPS樹脂は、射出成形時にバリが発生しやすいという欠点を有している。PPS樹脂は、溶融粘度の剪断速度依存性が小さく、キャビティの末端や金型の微小クリアランス部などのように、樹脂の剪断速度が小さくなる個所においても溶融粘度が比較的低いことが、バリの発生しやすい原因として挙げられる。
【0007】
PPS樹脂のバリ低減については、これまでにもいくつかの検討がなされている。例えば、高度に架橋したPPS樹脂を特性改良剤として配合する方法(特開昭64−9266号公報)、PPS樹脂を酸または強酸−弱塩基型塩の水溶液で処理し、これと官能基を有するシランカップリング剤とを加熱混練する方法(特開平1−146955号公報)、ベースポリマーに特定の直鎖状PPS樹脂と架橋PPS樹脂を組み合わせて使用し、更に官能基を有するシランカップリング剤を使用する方法(特開平3−197562号公報)などが知られている。
【0008】
しかしながら、高度に架橋したPPS樹脂の添加は、総体的に組成物の流動性を低下させるという問題があり、一方、官能基を有するシランカップリング剤の添加は、射出成形時の溶融粘度が著しく変化するという問題があった。そのため、従来の低バリ化技術は、精密成形用途においては、充填不良、部分的過充填などの問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形・加工時の変色が著しく抑制され、かつ射出成形時の溶融粘度が安定しており、バリ発生が少なく、機械的強度に優れる成形品を与えることができるPPS樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、重量平均分子量が15,000〜100,000である酸化架橋処理を施されていないポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100重量部と下記式で表わされる環状シロキサン化合物(B)0.05〜5重量部からなることを特徴とする。
【0011】
【化2】
Figure 0004366800
【0012】
(Xは炭素数1〜6のアルコキシ基、アルキル基またはシクロアルキル基であり、1分子中に少なくとも一つのアルコキシ基を有し、Yはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、Rは炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、nは3〜8の整数であり、mは1を示す。)
本発明に使用されるPPS樹脂は、その構成単位として、
【0013】
【化3】
Figure 0004366800
【0014】
を70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有しているものが、耐熱性、機械的物性等の物性上の点から適当である。
【0015】
また、構成単位として30モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、m−フェニレンスルフィド単位
【0016】
【化4】
Figure 0004366800
【0017】
o−フェニレンスルフィド単位、
【0018】
【化5】
Figure 0004366800
【0019】
フェニレンスルフィドスルホン単位、
【0020】
【化6】
Figure 0004366800
【0021】
フェニレンスルフィドケトン単位、
【0022】
【化7】
Figure 0004366800
【0023】
フェニレンスルフィドエーテル単位、
【0024】
【化8】
Figure 0004366800
【0025】
ジフェニレンスルフィド単位、
【0026】
【化9】
Figure 0004366800
【0027】
種々の官能基を有するフェニレンスルフィド単位、
【0028】
【化10】
Figure 0004366800
【0029】
(ただし、式中R1はアルキル基、フェニル基、ニトロ基、カルボキシル基、ニトリル基、アミノ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基またはスルホン酸基である。)
等の共重合単位を含有していてもさしつかえない。
【0030】
これらの共重合単位を含有したポリマーの方が、組成物の加工性という点から好ましい場合がある。
【0031】
更に、本発明に使用されるPPS樹脂は、1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフ法において、IR検出器で求められた重量平均分子量が、15,000〜100,000であり、好ましくは20,000〜70,000である。重量平均分子量が、15,000未満では成形体の機械的強度、特に靭性が低くなり、100,000を越えては成形加工時の流動性が低下する。
【0032】
また、該PPS樹脂は、酸化架橋処理を施されていないPPS樹脂である。
【0033】
酸化架橋処理を施したPPS樹脂、例えば、170〜350℃程度の高温において酸化性ガスで処理して得られたもの、あるいはPPS樹脂を酸化剤またはラジカル発生剤で処理したもの等では、成形時の流動性が悪化し、溶融加工性に劣ると共に成形時の着色も著しく、好ましくない。
【0034】
また、上記のPPS樹脂は、脱イオン処理を行うことによってイオンを低減させたものであってもよい。脱イオン処理の方法としては、PPS樹脂を130〜250℃の高温水によって洗浄する方法、有機溶剤で洗浄する方法、酸またはその水溶液にて洗浄する方法、あるいはこれらの組合せによる洗浄などから所望により任意に選択できる。
【0035】
本発明において使用する環状シロキサン化合物は、下記式で表わされる。
【0036】
【化11】
Figure 0004366800
【0037】
(Xは炭素数1〜6のアルコキシ基、アルキル基またはシクロアルキル基であり、1分子中に少なくとも一つのアルコキシ基を有し、Yはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、Rは炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、nは3〜8の整数であり、mは1を示す。)
その具体例としては、1,3,5−トリスエトキシ−1,3,5−トリス(3−グリシジルプロピル)シクロトリシロキサン、1,3,5−トリスメトキシ−1,3,5−トリス(3−グリシジルプロピル)シクロトリシロキサン、1,3,5−トリスエトキシ−1,3,5−トリス(3−アミノプロピル)シクロトリシロキサン、1,3,5−トリスメトキシ−1,3,5−トリス(3−アミノプロピル)シクロトリシロキサン、1,3,5−トリスエトキシ−1,3,5−トリス(3−イソシアネートプロピル)シクロトリシロキサン、1,3,5−トリスメトキシ−1,3,5−トリス(3−イソシアネートプロピル)シクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラキス(3−グリシジルプロピル)シクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメトキシ−1,3,5,7−テトラキス(3−グリシジルプロピル)シクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラキス(3−アミノプロピル)シクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメトキシ−1,3,5,7−テトラキス(3−アミノプロピル)シクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラキス(3−イソシアネートプロピル)シクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメトキシ−1,3,5,7−テトラキス(3−イソシアネートプロピル)シクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−グリシジルプロピル)シクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−グリシジルプロピル)シクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−アミノプロピル)シクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−アミノプロピル)シクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−イソシアネートプロピル)シクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−イソシアネートプロピル)シクロペンタシロキサンなどが挙げられる。
【0038】
これら環状シロキサン化合物は、各々単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0039】
本発明で使用する環状シロキサン化合物の添加量は、PPS樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部である。環状化合物の添加量が0.05重量部未満では、成形・加工時の変色を抑制する効果、およびバリの低減効果が小さく、5重量部を越えると、加工性が損なわれたり、ガス発生等の問題が生じて好ましくない。
【0040】
また、本発明の樹脂は、所望により更に無機充填剤成分をPPS樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜450重量部、特に好ましくは10〜250重量部含むことができる。0.01重量部未満では機械的強度の増加を図ることができず、450重量部を越えては、加工成形作業が困難となり好ましくない。
【0041】
無機充填剤としては、繊維状、粉粒状、板状等の公知の充填剤が用いられる。繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維状物が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維、炭素繊維である。また、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂等の高融点有機質繊維状物質も使用することができる。
【0042】
粉粒状充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ケイ酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ウォラストナイトのようなケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミのような金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのような金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのような金属の硫酸塩、その他炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、各種金属粉末等が挙げられる。
【0043】
また、板状充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。
【0044】
これらの無機充填剤は、一種または二種以上併用することができる。繊維状充填剤、特にガラス繊維またはカーボン繊維と粒状および/または板状充填剤の併用は、特に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組合せである。
【0045】
上記充填剤の使用に当たっては、必要ならば収束剤または表面処理剤を使用することが好ましい。例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物である。これらの化合物は、無機充填剤を予め表面処理または収束処理することにより用いるか、または組成物の調整の際に同時に添加してもよい。
【0046】
また、本発明の樹脂組成物は、その目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を少量併用することも可能である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂としては、高温において安定な熱可塑性樹脂で有ればいずれのものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸とジオールあるいはオキシカルボン酸などからなる芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS、ポリフェニレンオキサイド、ポリアルキルアクリレート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトン、フッ素樹脂などを挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂は2種以上混合して使用することもできる。
【0047】
更に、本発明の組成物には、一般に熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂に添加される公知の物質、すなわち酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、核剤等も要求性能に応じて適宜併用添加することができる。
【0048】
本発明のPPS樹脂組成物の調整は、一般に合成樹脂組成物の調整に用いられる設備と方法により調整することができる。例えば、PPS樹脂と環状シロキサン化合物を予めヘンシェルミキサー等を利用してドライブレンドし、1軸または2軸の押出機を使用して混練し、押出して成形用ペレットとする方法、あるいは上記押出機のサイドフィード口より環状シロキサン化合物を添加して混練し、押出して成形用ペレットとする方法等も使用することができる。また、上記ドライブレンドの際に、環状シロキサン化合物をアルコール、アセントン等の溶媒で、濃度10〜90重量%の溶液として使用することもできる。
【0049】
その他の調整方法として、PPS樹脂の重合工程において生成したスラリーを濾過、水洗して得たPPS樹脂に、環状シロキサン化合物を配合することも可能である。すなわち、生成したPPS樹脂を重合スラリーから分離回収すべく、濾過、水洗を行う脱塩水洗後、回収したPPS樹脂を環状シロキサン化合物溶液で再スラリー化する方法によっても調整できる。ここで、環状シロキサン化合物溶液の濃度は、PPS樹脂を再スラリー化するのに必要な溶液量から任意に設定することができる。溶媒は、アルコール、アセトン等の有機溶媒が好適に使用できる。環状シロキサン化合物を配合後のPPS樹脂は、好ましくは80〜200℃の温度で、好ましくは0.1〜24時間乾燥される。
【0050】
本発明により得られたPPS樹脂組成物は、低剪断速度域(100sec-1以下の剪断速度域)における溶融粘度が、環状シロキサン化合物を含まない対応する組成物に比較して、大幅に増加している。
【0051】
バリ低減のためには、バリとなる金型の微小なクリアランス部分での樹脂の溶融粘度、つまり低剪断速度域の溶融粘度が高く、流れ難いことが望ましい。
【0052】
本発明のPPS樹脂組成物は、更に溶融粘度の安定性に優れるため、射出成形時のショット間のバラツキが少なく、精密成形に適した組成物である。
【0053】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものでない。
【0054】
【実施例】
実施例および比較例の中で述べられる、色相、溶融粘度、バリ長さおよび引張り強度は、各々次の方法に従って測定した。
【0055】
重量平均分子量:1−クロロナフタレンを移動層としてゲル浸透クロマトグラフィー(センシュー科学製)で、210℃において測定した保持時間を標準ポリスチレン分子量換算し、更にユニバーサルキャリブレーション法で補正した分子量である。
【0056】
色相の測定:PPS樹脂粉末あるいは樹脂組成物ペレットを320℃で1.5分間予熱後、320℃で1.5分間、続けて130℃で1.5分間、30kg/cm2の圧力でホットプレスにより加圧成形して、50mm×30mm×2mmtの板状プレートを成形し、これについて色彩色差計(スガ試験機社製)を用いて白色度W(Lab)値を測定した。
【0057】
色相変化率αは、次式のように定義する。
【0058】
α=W1/W2×100
ここで、W1は押出機を用いてペレット化する前のPPS樹脂の白色度W(Lab)を示し、W2はペレット化後の白色度W(Lab)を示す。
【0059】
溶融粘度の測定:キャピログラフ(東洋精機社製)を用いて、測定温度315℃、ダイスサイズL/D=40mm/1mmにて測定した。
【0060】
バリ長の測定:図1の如き、A;10μmのクリアランスを持つバーフロー(10×0.5mmt)金型を使用し、射出成形機(住友重機社製、SYCAP S−165/75)を用いて、樹脂がゲート部から30mm充填した時に、Aのクリアランス部分に発生したバリを万能投影機にて測定してバリ長とした。
【0061】
参考例1(PPSの合成)
PPS−1:オートクレーブにN−メチルピロリドン 48lを仕込み、120℃に昇温した後、2.8水塩硫化ナトリウムを18.6kg仕込み、徐々に205℃まで昇温しながら水4.1kgを溜出させた。次に、これを140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼンを21.3kg加え、225℃に昇温させて3時間重合させた。更に、n−デカン 19.2kgを追加して、250℃で3時間重合を行った。重合終了後、冷却して重合スラリーを得た。
【0062】
得られた重合スラリーを温水で5回洗浄した後、1%酢酸水溶液中に浸漬して80℃で1時間攪拌を行った。その後、更に水洗を行った後、80℃で24時間減圧乾燥を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の重量平均分子量は44,000、溶融粘度は920ポイズ、また、得られたPPS樹脂をホットプレスにより加圧成形した成形体の白色度W(Lab)は84であった。
【0063】
参考例2(PPSの合成)
PPS−2:オートクレーブにN−メチルピロリドン 35lを仕込み、120℃に昇温した後、2.8水塩硫化ナトリウムを13.5kg仕込み、徐々に205℃まで昇温しながら水5.7kgを溜出させた。次に、これを140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼンを15.4kg加え、225℃に昇温させて3時間重合させた。更に、イソオクタン11.2kgを追加して、250℃で2時間重合を行った。重合終了後、冷却して重合スラリーを得た。
【0064】
得られた重合スラリーを温水で5回洗浄した後、1%酢酸水溶液中に浸漬して80℃で1時間攪拌を行った。その後、更に水洗を行った後、80℃で24時間減圧乾燥を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の重量平均分子量は39,000、溶融粘度は450ポイズ、また、得られたPPS樹脂をホットプレスにより加圧成形した成形体の白色度W(Lab)は84であった。
【0065】
参考例3(PPSの合成)
PPS−3:オートクレーブにN−メチルピロリドン 5.3lを仕込み、120℃に昇温した後、2.8水塩硫化ナトリウムを2056g仕込み、徐々に205℃まで昇温しながら水453gを溜出させた。次に、これを140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼンを2352g加え、225℃に昇温させて3時間重合させた。更に、水865gを追加して、250℃で2.5時間重合を行った。重合終了後、冷却して重合スラリーを得た。
【0066】
得られた重合スラリーを温水で5回洗浄した後、1%酢酸水溶液中に浸漬して80℃で1時間攪拌を行った。その後、更に水洗を行った後、80℃で24時間減圧乾燥を行い、PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂の重量平均分子量は42,000、溶融粘度は650ポイズ、また、得られたPPS樹脂をホットプレスにより加圧成形した成形体の白色度W(Lab)は84であった。
【0067】
実施例1〜3および比較例1
参考例1で得たPPS樹脂(PPS−1)を用い、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−アミノプロピル)シクロペンタシロキサン(以下、SI−1と略す。)の50重量%エタノール溶液を、SI−1の配合量が表1に示す割合になるように予備混合した後、真空ベント口を有する二軸混練押出機を用いて、シリンダー温度300℃で溶融混練し、押出してペレット化した。得られた樹脂組成物の物性を表2に示す。尚、キャピログラフにより溶融粘度の剪断速度依存性を示す指標として剪断速度60sec-1での溶融粘度(ηlow)と、剪断速度1200sec-1での溶融粘度(ηhigh)の比を示した。この比が高いものほど、溶融粘度の剪断速度依存性が大きいことを示している。また、溶融粘度の安定性を示す指標として、315℃で30分間滞留させた後に、剪断速度1200sec-1での溶融粘度(η30)を測定して、前述の(ηhigh)との比を示した。この比が1に近いほど、溶融粘度が安定していることを示している。
【0068】
表2より、本願発明の組成物は、溶融粘度の剪断速度依存性が増加して、バリ低減に大きな効果があり、また色相変化率が少なく、成形・加工時の変色が抑制され、溶融粘度の変化(η30/ηhigh)が少なく、更に射出成形により得られた成形品の引張り強度が高いことが判る。
【0069】
実施例4および比較例2
参考例2で得たPPS樹脂(PPS−2)を真空ベント口を有する二軸混練押出機を用いて実施例1と同条件で溶融混練する際に、1,3,5,7,9−ペンタメトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−アミノプロピル)シクロペンタシロキサン(以下、SI−2と略す。)の50重量%エタノール溶液を、ギアポンプにてSI−2の配合量が表1に示す割合になるように、二軸混練押出機に直接投入してペレット化した。得られた樹脂組成物の物性を表2に示す。
【0070】
実施例5および比較例3
参考例2で得たPPS樹脂(PPS−2)を用い、SI−1の50重量%エタノール溶液を、SI−1の配合量が表1に示す割合になるように予備混合した後、真空ベント口を有する二軸混練押出機を用いて溶融混練する際に、ガラス繊維(日本板硝子社製:10μm径)を押出機のサイドフィーダーより表1に示す配合割合になるように投入してペレット化した。得られた樹脂組成物の物性を表2に示す。
【0071】
実施例6〜7
環状シロキサン化合物として、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−グリシジルプロピル)シクロペンタシロキサン(以下、SI−3と略す。)および1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタキス(3−イソシアネートプロピル)シクロペンタシロキサン(以下、SI−4と略す。)を用い、参考例1で得たPPS樹脂(PPS−1)に表1に示す割合で予備混合した後、二軸混練押出機を用いて実施例1と同様にペレット化した。得られた樹脂組成物の物性を表2に示す。
【0072】
比較例4〜7
環状シロキサン化合物として、本願請求範囲外である1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン(以下、SI−5と略す。)、1,3,5,7−テトラブトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(以下、SI−6と略す。)、1,3,5,7−テトライソプロポキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(以下、SI−7と略す。)および1,3,5,7−テトラプロポキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(以下、SI−8と略す。)を用い、参考例1で得たPPS樹脂(PPS−1)に表1に示す配合で予備混合した後、二軸混練押出機を用いて実施例1と同様にペレット化した。得られた樹脂組成物の物性を表2に示す。
【0073】
本願請求範囲外の環状シロキサン化合物を用いた場合、剪断速度依存性の増大が認められず、バリ量も低減していない。
【0074】
実施例8および比較例8
参考例3で得たPPS樹脂(PPS−3)を用いた以外は、実施例1と同様にペレット化して物性を評価した。配合割合を表1に、物性を表2に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0004366800
【0076】
【表2】
Figure 0004366800
【0077】
【発明の効果】
本発明により得られるPPS樹脂組成物は、成形加工時の変色が著しく抑制され、かつバリ発生が少なく、機械的強度に優れる成形品を与えることができ、特に射出成形による精密成形部品に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られるPPS樹脂組成物のバリ長を測定するために用いたバーフロー金型である。

Claims (1)

  1. 重量平均分子量が15,000〜100,000である酸化架橋処理を施されていないポリフェニレンスルフィド樹脂(A)100重量部と下記式で表わされる環状シロキサン化合物(B)0.05〜5重量部からなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
    Figure 0004366800
    (Xは炭素数1〜6のアルコキシ基、アルキル基またはシクロアルキル基であり、1分子中に少なくとも一つのアルコキシ基を有し、Yはエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、Rは炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、nは3〜8の整数であり、mは1を示す。)
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