JP4265328B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びそれを用いた成形品に関するものである。詳しくは、機械的強度、耐熱性に優れる上に、流動性に優れることから成形加工性に優れ、成形品とした際に発生するバリが低減されることから電気・電子分野の小型精密部品,薄肉成形部品等にも使用可能なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びそれを用いた成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PAS樹脂とも記す。)、特にポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂とも記す。)は、優れた耐熱性、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、剛性及び電気絶縁性等のエンジニアリングプラスチックとしての優れた性質を有していることから、射出成形を中心として各種電機・電子部品、機械部品及び自動車部品等の用途に使用されている。しかしながら、最近の高機能化、軽量化、低コスト化等の社会的ニーズを反映して、これらの分野における成形部品は、従来以上の、薄肉化、小型化、複合化が求められる傾向にある。従って、材料としてのPPS樹脂は、成形に際し薄肉部における十分な流動性と、金型のパーティング面への樹脂の流出する現象、いわゆるバリの発生が極めて少ないことが重要である。PPS樹脂により薄肉成形を行うには、比較的低分子量で溶融粘度の低いポリマーを用いるか、射出成形温度を通常の条件より高く設定し、ポリマーの溶融粘度を下げて成形することが一般に行われている。
【0003】
しかしながら、これらの方法では、溶融粘度の低下に伴い、発生するバリの量も多くなるという欠点を有している。更に、成形品の機械的強度や寸法精度が低下するなどの問題点がある。特に、高流動、低バリが要求される小型精密部品等の用途においては使用が制限されてきた。
【0004】
そこで、高度に架橋したPPS樹脂を特性改質材として配合する方法(例えば、特許文献1参照。)、PPS樹脂にシラン化合物を配合する方法(例えば、特許文献2参照。)、ベースポリマーに特定の直鎖状PPS樹脂と架橋PPS樹脂を組み合わせて使用し、さらにシランカップリング剤を使用する方法(例えば、特許文献3参照。)等の方法、ポリアリーレンチオエーテル樹脂とナイロン46樹脂をアロイ化する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
【0005】
一方、PPS樹脂に、層間をポリカルボン酸−過酸化物複合体で変性した膨潤性層状珪酸塩を配合する方法(例えば、特許文献5参照。)、特定のPPS樹脂に層状無機物を配合する方法(例えば、特許文献6参照。)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭64−009266号公報
【特許文献2】
特開昭63−251430号公報
【特許文献3】
特開平3−197562号公報
【特許文献4】
特開平3−64358号公報
【特許文献5】
特開2003−049070号公報
【特許文献6】
特開2003−096300号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1〜3に提案の方法においては、ある程度のバリ発生は低減されるものの、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂等の他のエンジニアリングプラスチックに比べると、未だバリの低減が不十分であり、また、無機フィラーを充填すると機械的物性が低下してしまい成形性も極端に低下するという課題もある。
【0008】
また、上記特許文献4に提案された方法は、射出成形時のバリ低減にはある程度の効果はあり、成形加工性も良好であるものの、PPS樹脂組成物の成形加工温度での熱安定性が乏しく射出成形時の安定が劣る。更に、熱安定性不良よりガスの発生があり成形品の外観を著しく低下させるという課題を有するものであった。
【0009】
また、上記特許文献5、6に提案された方法は、射出成形時のバリ低減にはある程度の効果はあるものの、PPS樹脂組成物に耐熱性、寸法安定性、剛性、機械的特性を付与する繊維状充填剤を用いた場合にはその流動性が劣り、成形加工性に劣るという課題を有するものであった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、機械的強度、耐熱性に優れる上に、流動性に優れることから成形加工性に優れ、成形品とした際に発生するバリが低減されるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びそれからなる成形品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、PAS樹脂、繊維状充填剤、特定の化合物からなるPAS樹脂組成物が機械的強度、耐熱性に優れる上に、流動性に優れることから成形加工性に優れ、成形品とした際に発生するバリが低減される樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明は、PAS樹脂100重量部に対し、繊維状充填剤10〜150重量部、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド0.3〜5.0重量部及び離型剤としてカルナバワックス0.2〜5重量部を配合してなることを特徴とするPAS樹脂組成物及び該樹脂組成物を射出成形してなる成形品に関するものである。
【0013】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明のPAS樹脂組成物は、PAS樹脂100重量部に対し、繊維状充填剤10〜150重量部、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド0.3〜5.0重量部及び離型剤としてカルナバワックス0.2〜5重量部を配合してなる樹脂組成物である。
【0015】
本発明のPAS樹脂組成物に用いられるPAS樹脂とは、例えばPPS樹脂、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン等を挙げることができ、該PAS樹脂としては、その分子鎖の一部及び/又は末端を例えば、カルボキシル基、カルボキシ金属塩、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基等の官能基により変性されたものであってもよく、その中でも、機械的強度、耐熱性、成形加工性のバランスに優れた樹脂であることからPPS樹脂が好ましい。また、樹脂組成物とした際に繊維状充填剤との接着性に優れ、機械的性質に優れた樹脂組成物が得られることから、その分子鎖の一部及び/又は末端をカルボキシル基、カルボキシ金属塩、アミノ基、ニトロ基により変性されたPPS樹脂であることが特に好ましい。
【0016】
該PPS樹脂は、例えば硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンを極性有機溶媒中で反応することにより得ることが可能であり、該PPS樹脂としては、重合反応により得られたままのリニア型と称されるPPS樹脂、重合反応にポリハロ芳香族化合物を添加し得られる部分架橋型又は分岐型と称されるPPS樹脂、重合反応により得られたPPS樹脂を酸化硬化することにより得られる硬化型と称されるPPS樹脂のいずれを用いてもよく、その中でも、特にバリ低減化に優れた効果を発揮することから、キャピラリーレオメーターを用い300℃で測定した非ニュートン指数が1.1〜1.7の範囲内にある部分架橋型、分岐型又は硬化型のいずれかに属するPPS樹脂であることが好ましい。なお、ここでいう非ニュートン指数は、直径1mm、長さ60mmのダイスを装着したキャピラリーレオメーターを用い、測定温度300℃、剪断速度10〜1000秒-1で測定した剪断応力をそれぞれ対数プロットし、得られる直線の傾きを測定することにより得られる。
【0017】
本発明のPAS樹脂組成物は、PAS樹脂100重量部に対し、繊維状充填剤10〜150重量部、好ましくは20〜100重量部を配合してなるものである。ここで、繊維状充填剤が10重量部未満である場合、得られるPAS樹脂組成物から得られる成形品は、機械的特性、耐熱性、剛性に劣るものとなる。一方、繊維状充填剤が150重量部を越える場合、得られるPAS樹脂組成物は流動性に劣るものとなり、成形加工に供した際の成形加工性に劣るものとなる。
【0018】
本発明のPAS樹脂組成物に用いられる繊維状充填剤としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維、ウィスカー繊維等の繊維状充填剤を挙げることができ、その中でも特に流動性、成形加工性に優れると共に機械的強度、耐熱性にも優れるPAS樹脂組成物となることから、繊維長0.1〜6mm、繊維径3〜20μmを有するガラス繊維及び/又は繊維長0.1〜9mm、繊維径1〜15μmを有する炭素繊維であることが好ましく、特に機械的強度、耐熱性にも優れるPAS樹脂組成物となることからシランカップリング剤により表面処理された繊維長0.1〜6mm、繊維径3〜20μmを有するガラス繊維及び/又は繊維長0.1〜9mm、繊維径1〜15μmを有する炭素繊維であることが好ましい。
【0019】
本発明のPAS樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100重量部に対し、ジメチルジオクダデシルアンモニウムクロライド0.3〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部を配合してなるものである。ここで、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライドが0.3重量部未満である場合、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は流動性に劣るものとなり、成形加工に供した際の成形加工性に劣るものとなる。一方、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライドが5重量部を越える場合、これらの成分が金型汚染を惹起し好ましくない。
【0025】
そして、本発明のPAS樹脂組成物においては、特に流動性、成形加工性に優れると共に機械的強度、耐熱性にも優れるPAS樹脂組成物となることから、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライドである。
【0026】
本発明のPAS樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリアルキレンオキシオリゴマー化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物等の可塑剤;有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトン等の結晶核剤;ポリオレフィン系化合物、シリコーン系化合物、長鎖脂肪族系エステル系化合物、長鎖脂肪族アミド系化合物、カルナバワックス等の離型剤;次亜リン酸塩等の着色防止剤;酸化防止剤;熱安定剤;ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等の滑剤;紫外線防止剤;着色剤;難燃剤;発泡剤等を含んでいてもよい。
【0027】
また、本発明のPAS樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエステルエラストマー、ポリアルキレンオキシド、カルボキシル基を有するポリオレフィン、エポキシ基を有するポリオレフィンを含んでいてもよい。
【0028】
さらに、本発明のPAS樹脂組成物は、成形加工に供した際の成形品の回収が容易となることから、PAS樹脂100重量部に対し、離型剤としてカルナバワックス0.2〜5重量部を配合してなるものである。
【0029】
本発明のPAS樹脂組成物の製造方法としては、本発明のPAS樹脂組成物の製造が可能であればいかなる制限をうけることはなく、通常PAS樹脂組成物を製造する際に用いられる製造方法を用いることができ、例えばPAS樹脂、繊維状充填剤、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド、カルナバワックスをPAS樹脂の溶融状態下で機械的剪断を行い混合を行う方法を挙げることができ、その際に用いる装置としては混練装置であればよく、例えばブラベンダーミキサー、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ミル等を挙げることができる。そして、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、混練温度は、通常280〜370℃の中から適宜選択される。原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を配合した後上記の方法により溶融混練する方法、原材料の一部を配合した後で上記の方法により溶融混練し、さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは原材料の一部を配合後単軸あるいは二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、溶融混練時に発生する水分や低分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設けることも可能である。
【0030】
本発明のPAS樹脂組成物は、流動性に優れ、成形加工性にも優れることから射出成形装置による通常の射出成形により、機械的特性、耐熱性に優れ、バリが低減化された成形品を得ることが可能となる。
【0031】
本発明により得られるPAS樹脂組成物は、耐薬品性、成形加工性、寸法安定性などの特性を保持し、良好な機械的強度及び耐熱性をも合わせ持ち、しかも軽量であることを特徴とする。さらに、得られたPAS樹脂組成物は、射出成形機、押出成形機、圧縮成形機などを用いて任意の形状に成形することができるが、特に射出成形には好適な樹脂組成物である。本発明のPAS樹脂組成物の成形体は、電気・電子機器部材、自動車部材及びOA機器部材などに幅広く使用できる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0033】
なお、得られたPAS樹脂及びPAS樹脂組成物は、以下の方法により評価・測定した。
【0034】
〜PAS樹脂の溶融粘度〜
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにより測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した。
【0035】
〜PAS樹脂の非ニュートン指数〜
直径1mm、長さ60mmのダイスを装着したキャピラリーレオメータにて測定温度300℃、剪断速度10〜1000(秒-1)に対する剪断応力をそれぞれ測定し、それらの対数プロットの傾きから計算した。
【0036】
〜PPS樹脂組成物の比重〜
ASTM D−792(1990)に従って測定を行った。
【0037】
〜PPS樹脂組成物の曲げ強度〜
ASTM D−790(1990)に従って測定を行った。
【0038】
〜PPS樹脂組成物の流動性〜
厚さ1.0mm、幅10mmのバーでスパイラル状の目盛りのついた金型を装着した射出成型機を用い、シリンダー温度310℃、金型温度140℃、射出圧力183MPaで成形した際のスパイラル長を測定した。
【0039】
合成例1(PPS(1)樹脂の合成)
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、Na2S・2.9H2O1866g及びN−メチル−2−ピロリドン5lを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、407gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2150gとN−メチル−2−ピロリドン1500gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3.0時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより280ポイズのPPS樹脂(PPS樹脂(1))を得た。PPS樹脂(1)の非ニュートン指数は、1.03であった。
【0040】
合成例2(PPS樹脂(2)の合成)
合成例1で得られたPPS樹脂(1)を、さらに空気雰囲気下250℃で3時間硬化を行ったところ溶融粘度1800ポイズ、非ニュートン指数1.48のPPS樹脂(2)を得た。
【0041】
合成例3(PPS樹脂(3)の合成) 合成例1で得られたPPS樹脂(1)を、さらに窒素雰囲気下235℃で5.5時間、加熱処理し、PPS樹脂(3)を得た。得られたPPS樹脂(3)は、実質的に熱酸化架橋されていないものであり、溶融粘度4300ポイズ、非ニュートン指数1.75であった。
【0042】
実施例1
合成例2で得られたPPS樹脂(2)100重量部に対し、有機オニウム塩としてジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド1重量部及びカルナバワックス0.2重量部をあらかじめヘンシェルミキサーにて均一に混合した。その後、スクリュー径37mmφの二軸押出機((東芝機械(株)製、TEM−35B−102B)を用い、PPS樹脂(2)100重量部に対し繊維径10μm、繊維長3mmのガラス繊維70重量部をサイドフィーダーから供給しながら、シリンダー温度300℃で溶融混練してペレット化しPPS樹脂組成物を得た。得られたペレットは175℃で5時間乾燥した。
【0043】
シリンダー温度310℃、金型温度140℃に設定した射出成形機(住友重機械工業製、SE75S)により、得られたPPS樹脂組成物を試験片に成形し、成形性、流動性、比重、曲げ強度の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0044】
また、同じ射出成形機でを用いて、シリンダー温度310℃、金型温度140℃、射出圧力50〜120MPa射出速度中速でカードエッジ型コネクター成形し、その際のバリ長の測定を行い、その結果を表1に示した。
【0045】
【表1】
実施例2
実施例1のジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライドの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例1同様の方法によりPPS樹脂組成物ペレットを作成した。また、実施例1同様の方法により評価結果を行い、その結果を表1に示した。
【0046】
実施例3
実施例1のガラス繊維を炭素繊維に変更し表1に示す配合量で実施例1同様の方法によりPPS樹脂組成物ペレットを作成した。また、実施例1同様の方法により評価結果を行い、その結果を表1に示した。
【0047】
実施例4
実施例3の炭素繊維の添加量及びジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライドの添加量を変更した以外は、実施例1同様の方法によりPPS樹脂組成物ペレットを作成した。また、実施例1同様の方法により評価結果を行い、その結果を表1に示した。
【0048】
実施例5
合成例3で得られたPPS樹脂(3)を用い、実施例1と同様の配合、操作及び評価を行い、その結果を表1に示した。
【0049】
実施例6
合成例1で得られたPPS樹脂(1)を用い、実施例1と同様の配合、操作及び評価を行い、その結果を表1に示した。
【0050】
比較例1
実施例1で使用したジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドを除き表2に示す配合に変更した以外は、実施例1同様の操作及び評価を行い、その結果を表2に示した。得られた樹脂組成物は、流動性が劣るものであった。
【0051】
【表2】
比較例2
実施例1で使用したジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドの添加量を表2に示す割合に変更した以外は、実施例1同様な操作及び評価を行い、その結果を表2に示した。得られた樹脂組成物は、流動性は良好であったがバリ長、曲げ強度が劣るものであった。
【0052】
比較例3
実施例1で使用したガラス繊維及び有機オニウム塩の添加量を表2に示す割合に変更した以外は、実施例1同様な操作及び評価を行い、その結果を表2に示した。得られた樹脂組成物は、バリ長、曲げ強度は良好であるが流動性が劣るものであった。
【0053】
比較例4
実施例4で使用したジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドを除き表2に示す配合に変更した以外は、実施例1同様の操作及び評価を行い、その結果を表2に示した。得られた樹脂組成物は、流動性が劣るものであった。
比較例5
合成例1で得られたPPS樹脂(1)を用い、実施例1で使用したジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドを除き表2に示す配合に変更した以外は、同様の配合、操作及び評価を行い、その結果を表2に示した。得られた樹脂組成物は、流動性、曲げ強度は良好であるがバリ長が劣るものであった。
【0054】
比較例6
実施例3の炭素繊維の添加量を表2に示す割合に変更した以外は、実施例3同様の操作及び評価を行い、その結果を表2に示した。得られた樹脂組成物は、流動性は良好であるが曲げ強度、バリ長が劣るものであった。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、流動性に優れ、バリの発生が少ないポリアリーレンサルファイド樹脂組成物が得られるため、その工業的価値は高い。
Claims (4)
- ポリアリーレンスルフィド樹脂100重量部に対し、繊維状充填剤10〜150重量部、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド0.3〜5.0重量部及び離型剤としてカルナバワックス0.2〜5重量部を配合してなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- ポリアリーレンスルフィド樹脂が、直径1mm、長さ60mmのダイスを装着したキャピラリーレオメーターを用い300℃で測定した非ニュートン指数1.1〜1.7を有するポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
(ここで、非ニュートン指数は、キャピラリーレオメーターにて温度300℃、直径1mm、長さ60mmのダイスを用いて10〜1000(秒−1)の剪断速度に対する剪断応力をそれぞれ対数プロットした傾きから計算した。) - 繊維状充填材が、繊維長0.1〜6mm、繊維径3〜20μmを有するガラス繊維及び/又は繊維長0.1〜9mm、繊維径1〜15μmを有する炭素繊維であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなることを特徴とする成形品。
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