JP2018053004A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する機械的特性、特にTD方向の機械的強度を維持しつつ、かつ、成形品表面に対し厚み方向(深さ方向)の熱伝導性に優れた成形品、当該成形品を提供しうるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供する。【解決手段】 本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)および数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)を必須成分として溶融混練するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品および製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法に関する。
近年、生産性、成形性に優れ、かつ高耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックが開発され、軽量でもあることから金属材料に代わる材料として電気、電子機器や自動車用等の部材として幅広く使用されている。特にポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略することがある)樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略することがある)樹脂は、耐熱性に優れつつ、かつ、機械的強度、耐薬品性、成形加工性、寸法安定性にも優れ、これら特性を利用して、電気・電子機器部品、自動車部品材料などとして利用されている。
また、これら電気・電子機器部品、自動車部品材料など分野では、高出力化と伴に発熱量も増大しており、放熱特性を良好にするため、材料自体の熱伝導性のさらなる向上は喫緊の課題となっていた。
このため、PPS樹脂に、窒化ホウ素および塩基性硫酸マグネシウムフィラー(繊維径0.5〜1.0μmの無機短繊維)を配合してなる、表面粗さRz6μm以下の成形品表面を有する成形品が知られており、当該成形品表面を放熱対象物へ密着させることで、放熱特性を向上する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、該成形品は、射出成形する際に成形品表面と平行に配向したフィラーの向きに沿って熱が伝導するため、放熱対象物から成形品表面へ伝導した熱が、成形品表面で横方向(表面方向)に伝導するばかりで、成形品表面に対し厚み方向(深さ方向)の熱伝導性が不十分であり、熱伝導性向上へ向け改良の余地があるばかりでなく、さらに、TD方向(溶融成形時の樹脂流れ方向に対して直角方向。以下、同じ)の機械的強度にも改良の余地があった。
特開2014−234407号公報
さらに本発明が解決しようとする課題は、ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する特性を維持しつつ、かつ、成形品表面に対し厚み方向(深さ方向)の熱伝導性およびTD方向の機械的強度に優れた成形品、当該成形品を提供しうるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂に、従来よりも繊維径の大きいウィスカー、すなわち針状構造を有する単結晶体と、球状フィラーとを必須成分として溶融混練してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、成形品表面方向(ウィスカー等のフィラーの配向方向)だけでなく、成形品表面に対して厚み方向(深さ方向)の熱伝導性およびTD方向の機械的強度にも優れた成形品を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)および数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)を必須成分として溶融混練するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法、に関する。
さらに本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)および数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)を必須成分として配合してなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、に関する。
さらに本発明は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品、に関する。
本発明により、ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する特性を維持しつつ、かつ、成形品表面に対し厚み方向(深さ方向)の熱伝導性およびTD方向の機械的強度に優れた成形品、当該成形品を提供しうるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)および数平均粒子径5〜40μmである球状フィラー(C)を必須成分として溶融混練することを特徴とする。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法において必須成分である、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記一般式(1)
Figure 2018053004
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4の範囲のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、必要に応じてさらに下記一般式(2)
Figure 2018053004
で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。式(2)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して0.001〜3モル%の範囲が好ましく、特に0.01〜1モル%の範囲であることが好ましい。
ここで、前記一般式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(3)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(4)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 2018053004
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記一般式(3)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、前記一般式(1)や(2)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(5)〜(8)
Figure 2018053004
で表される構造部位を、前記一般式(1)と一般式(2)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記一般式(5)〜(8)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂中に、上記一般式(5)〜(8)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂の物性は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、以下の通りである。
(溶融粘度)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、300℃で測定した溶融粘度(V6)が2〜1000〔Pa・s〕の範囲であることが好ましく、さらに流動性および機械的強度のバランスが良好となることから2〜500〔Pa・s〕の範囲がより好ましく、2〜200〔Pa・s〕の範囲であることが特に好ましい。本発明において、溶融粘度(V6)の測定は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT−500Cを用いて行い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10/1にて、6分間保持した後に測定した溶融粘度を測定値とする。
(非ニュートン指数)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の非ニュートン指数は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、0.90〜2.00の範囲であることが好ましい。リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いる場合には、非ニュートン指数が0.90〜1.50の範囲であることが好ましく、さらに0.95〜1.20の範囲であることがより好ましい。このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、本発明において非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて融点+20℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度(SR)及び剪断応力(SS)を測定し、下記式を用いて算出した値である。非ニュートン指数(N値)が1に近いほど線状に近い構造であり、非ニュートン指数(N値)が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
Figure 2018053004
[ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]
(製造方法)
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩や、水酸化アルカリを添加しても良い。上記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの範囲の有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18の範囲のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含む反応混合物の後処理方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥する方法、或いは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともポリアリーレンスルフィドに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィドや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(4)重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(5)重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に水洗浄、濾過および乾燥する方法、等が挙げられる。
尚、上記(1)〜(5)に例示したような後処理方法において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)(以下、ウィスカー(B)と記載することがある)を必須成分として配合する。該ウィスカー(B)は、針状構造を有する単結晶体である。
本発明に用いるウィスカー(B)の数平均繊維径としては、数平均繊維径が2〜50μmの範囲のものであり、さらに熱伝導性に優れる点から3μm以上の範囲のものが好ましく、さらに7μm以上の範囲のものがより好ましく、一方、流動性に優れる点から、35μm以下の範囲のものが好ましく、さらに25μm以下の範囲のものがより好ましい。
前記ウィスカー(B)のアスペクト比(数平均繊維長/数平均繊維径)としては1.5〜50の範囲であることが好ましく、より成形品表面の横方向に対する熱伝導性に優れるさらに2以上の範囲のものが好ましく、さらに10以上の範囲のものがより好ましく、一方、機械的強度、特に、ウェルド部における機械的強度に優れる点から、50以下の範囲のものが好ましく、さらに30以下の範囲のものがより好ましく、さらに20以下の範囲のものがより好ましい。
また、前記ウィスカー(B)の数平均繊維長は、上記の数平均繊維径とアスペクト比とから算出される範囲であれば特に制限されるものではないが、例えば、5〜800μmの範囲のものが好ましく、さらに30〜300μmの範囲のものがより好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法において、前記ウィスカー(B)の配合割合は、熱伝導性に優れる点からポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して1〜100質量部の範囲であることが好ましく、さらに、熱伝導性に加え、流動性および機械的強度、特に、ウェルド部における機械的強度に優れる点から5〜90質量部の範囲であることが好ましく、10〜80質量部の範囲であることがより好ましい。
本発明に用いる前記ウィスカー(B)としては、市販品、および合成品のいずれを用いても良く、特に制限されるものではないが、例えば、ウォラストナイト、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー、珪酸カルシウムウィスカー(ゾノトライト)、炭化珪素ウィスカー、窒化珪素ウィスカー、アルミナウィスカー、グラファイトウィスカー等が挙げられる。これらの中でも熱伝導性の向上と機械的強度の向上、流動性に優れる点から、ウォラストナイト、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカーが好ましいものとして挙げられ、特にウォラストナイトが特に好ましいものとして挙げられる。
ウォラストナイトの市販品としては、巴工業株式会社製「NYAD−G」、同社製「NYAD−G」、同社製「NYAD 400」、同社製「NYAD 1250」、同社製「NYGLOS 4W」、同社製「NYGLOS 8」、同社製「NYGLOS 12」、同社製「NYGLOS 20」などを用いることができる。また、ウィスカー状無機フィラー(B)としては、フィラーをシランカップリング剤により表面処理したものを用いても良い。これらシランカップリング剤としては後述するものを所望の性状に応じて選択することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)(以下、球状フィラー(C)と記載することがある)を必須成分として配合する。形状としては、球状のものが挙げられるが、これは厳密な真球状のものに限定されるわけではなく、繊維状、針状、鱗片状、板状、不定形状のものが除かれるという意味であり、略球状のものも含まれていてよい。なお、球状の語を厳密に定義する場合は、成形品を溶融成形時の樹脂流れ方向(MD方向)と、該MD方向に対し垂直方向(厚み方向、ND方向)に切り取った断面(x)、MD方向に対し垂直方向かつND方向に対し垂直な軸方向(TD方向)とMD方向に切り取った断面(y)、ND方向とTD方向に切り取った断面(z)をそれぞれ走査型電子顕微鏡にて撮影(倍率1000倍)し、各SEM画像からそれぞれ粒子50個を無作為に選択した上で、個々の粒子の長径と、それと垂直に交わる短径の比(短径/長径)を算出し、それらの算術平均値によって求められる真球度を用いて定義することが好ましく、該定義による真球度が0.6以上の範囲のものであることが好ましく、0.7以上の範囲のものであることがより好ましく、0.8以上の範囲のものであることが特に好ましい。真球度は最大で1である。
本発明に用いる球状フィラー(C)の数平均粒子径は5〜40μmの範囲であり、さらに熱伝導性に優れる点から、6μm以上の範囲であるものが好ましく、7μm以上の範囲のものがより好ましく、一方、溶融時の流動性に優れる点から35μm以下の範囲が好ましく、25μm以下の範囲がより好ましく、20μm以下の範囲がさらに好ましく、20μm未満の範囲が特に好ましい。
本発明に用いる球状フィラー(C)としては、数平均粒子径が前記の範囲のものであれば特に制限されるものではなく、略球状の形状を有する各種フィラーを用いることができる。このような球状フィラー(C)としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、シリカなどを用いることができ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムが好ましく、炭酸マグネシウムが最も好ましい。本発明に用いる前記球状フィラー(C)としては、市販品、および合成品などのいずれを用いても良く、特に制限されるものではない。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法において、前記球状フィラー(C)の配合割合は、成形品表面の厚み方向への熱伝導性に優れる点からポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、成形品表面の厚み方向への熱伝導性に優れつつ、かつ、機械的強度および成形品表面の平滑性に優れる点から5〜85質量部の範囲であることがより好ましく、10〜75質量部の範囲であることがさらに好ましい。
本発明において、前記ウィスカー(B)と前記球状フィラー(C)の配合割合は特に限定されるものではないが、前記ウィスカー(B):前記球状フィラー(C)が質量比で1:20〜20:1の範囲であることが好ましく、さらには1:10〜10:1の範囲であることがより好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、必要に応じて、熱可塑性エラストマーを任意成分として配合することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、弗素系エラストマーまたはシリコーン系エラストマーが挙げられ、このうちポリオレフィン系エラストマーが好ましいものとして挙げられる。これらのエラストマーを添加する場合、本発明の効果を損ねなければその配合割合は特に限定されないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、さらに0.1〜5質量部の範囲であることがより好ましい。かかる範囲において、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐衝撃性が向上するため好ましい。
前記ポリオレフィン系エラストマーは、例えば、α−オレフィンの単独重合または異なるα−オレフィン同士の共重合により、さらに、官能基を付与する場合には、α−オレフィンと官能基を有するビニル重合性化合物との共重合により得ることができる。α−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン−1等の炭素原子数2〜8の範囲のものが挙げられる。また、官能基としては、カルボキシ基、式−(CO)O(CO)−で表される酸無水物基、それらのエステル、エポキシ基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、またはオキサゾリン基などが挙げられる。
このような官能基を有するビニル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその他の炭素原子数4〜10のα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体(モノ若しくはジエステル、及びその酸無水物等)、並びにグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、上述したエポキシ基、カルボキシ基、及び、該酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエチレン−プロピレン共重合体及びエチレン−ブテン共重合体が、靭性及び耐衝撃性の向上の点から好ましい。
また本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、その他にも充填剤、シランカップリング剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、または防錆剤等の公知慣用の添加剤を必要に応じ、任意成分として配合することができる。これらの添加剤を配合する場合には、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0.01〜1000質量部の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
前記充填剤は、本発明に用いるウィスカー(B)および球状フィラー(C)を除く、他の充填剤であれば、繊維状、粒状、板状などいずれの形状でも良く、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シランガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭化珪素、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム等の繊維、ウォラストナイト等の天然繊維、合成繊維等の繊維状充填剤や、ガラスフレーク、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、アタパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記シランカップリング剤は、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物;γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物;γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、上記成分に加えて、さらに用途に応じて、適宜、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂、ポリ二弗化エチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等の合成樹脂などを任意成分として配合することができる。また、これらの樹脂の配合割合は、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0.01〜1000質量部の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は特に制限なく、必須成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、前記ウィスカー(B)と、前記球状フィラーと、さらに、必要に応じて加える上記の任意成分を、粉末、ペレット、細片など様々な形態でリボンブレンター、ヘンシェルミキサー、Vブレンダーなどに投入してドライブレンドした後、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出機およびニーダーなどの公知の溶融混練機に投入し、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上となる温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上となる温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃となる温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃となる温度範囲で溶融混練する工程を経て製造することができる。溶融混練機への各成分の添加、混合は同時に行ってもよいし、分割して行っても良い。
前記溶融混練機としては分散性や生産性の観点から二軸混練押出機が好ましく、例えば、樹脂成分の吐出量5〜500(kg/hr)の範囲と、スクリュー回転数50〜500(rpm)の範囲とを適宜調整しながら溶融混練することが好ましく、それらの比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜5(kg/hr/rpm)なる条件下に溶融混練することがさらに好ましい。また、前記必須成分のウィスカー(B)と、前記任意成分のうち、繊維状の充填剤や添加剤を添加する場合は、前記二軸混練押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが形状保持と分散性の観点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記二軸混練押出機のスクリュー全長に対する、該押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.9であることが好ましい。中でも0.3〜0.7であることが特に好ましい。
このようにして得られる本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必須成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂と、前記ウィスカー(B)と、前記球状フィラー(C)と、必要に応じて加える任意成分とを配合してなる溶融混練物であり、該溶融混練後に、公知の方法でペレット、チップ、顆粒、粉末等の形態に加工してから、必要に応じて100〜150℃の温度で予備乾燥を施して、各種成形に供することが好ましい。
上記各種製造方法により製造される本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をマトリックスとし、当該マトリックス中に、必須成分である前記ウィスカー(B)と、前記球状フィラー(C)と、それらに由来する成分、必要に応じて添加する任意成分が分散した構造を有するモルフォロジーを形成することにより、機械的強度を維持しつつ、かつ熱伝導性が良好なものとなる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、コンポジット、シート、パイプなどの押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に離形性にも優れるため射出成形用途に適している。射出成形にて成形する場合、各種成形条件は特に限定されず、通常一般的な方法にて成形することができる。例えば、射出成形機内で、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上の温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上の温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃の温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃の温度範囲で前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融する工程を経た後、樹脂吐出口よりを金型内に注入して成形すればよい。その際、金型温度も公知の温度範囲、例えば、室温(23℃)〜300℃、好ましくは120〜180℃に設定すればよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品は、成形品表面に対し表面方向および厚み方向のいずれの方向に対して優れた熱伝導性を示すだけでなく、ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する特性に優れ、好適な機械的強度、中でも特に、成形品がウェルド部を有する場合において、当該ウェルド部の曲げ強さおよび引張強度に優れおよび軽量性に優れ、さらに、TD方向に対する機械的強度に優れる。このことから、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は放熱性、熱伝導性が必要とされる各種製品、部材として用いる成形品として好適に用いることができる。
当該成形品の用途としては、特に限定されるものではなく各種製品として用いることが可能であるが、特に熱源に対して高い放熱特性を示す放熱部材として用いることが好ましく、発熱部材または放熱部材と接合された複合成形品や、PAS樹脂単独の成形品等として用いることができる。本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物と接合する発熱部材としては電子回路、その他各種発熱し得る部品や、さらにアルミダイキャストなどの金属等の放熱部材により構成される部品であってもよい。前記発熱部材と接合された複合成形品の接合方法としては、例えばインサート射出成形、振動溶着、赤外溶着、電磁誘導加熱、およびこれらを組み合わせた接合方法を用いることができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品および複合成形品の製品としては、例えば、自動車のエンジンコントロールユニット用、またはモーター用の放熱部材、LED用基板の放熱部材、各種電気・電子機器基板用のヒートシンク等が例示される。また、本発明の成形品は放熱部材のみではなく、以下のような通常の樹脂成形品とすることもできる。例えば箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材・複数の個別半導体またはモジュール、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスク・DVDディスク・ブルーレイディスク等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ブラシホルダー、スリップリング、ICレギュレータ、ライトディヤ用ポテンシオメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、イグニッションコイルおよびそのボビン、モーターインシュレータ、モーターロータ、モーターコア、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品が挙げられ、その他各種用途にも適用可能である。
以下、実施例、比較例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下、特に断りが無い場合「%」や「部」は質量基準とする。
<実施例1〜7及び比較例1〜5>
表1〜3に記載する組成成分および配合量にしたがい、各材料を配合した。その後、株式会社日本製鋼所製ベント付2軸押出機「TEX−30(製品名)」にこれら配合材料を投入し、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数200rpm。設定樹脂温度330℃で溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。ガラス繊維はサイドフィーダーから投入し、それ以外の材料はタンブラーで予め均一に混合しトップフィーダーから投入した。得られた樹脂組成物のペレットを140℃ギヤオーブンで2時間乾燥した後、射出成形することで各種試験片を作製し、下記の試験を行った。各試験結果を表1〜3に示す。
<MD/TD曲げ強さの測定>
試験片として流動方向(MD)の評価用としてISO TYPE−Aダンベルを、流動と直角方向(TD)の評価用としてISO D2シートから25mm幅で切り出したものを作製し、測定試験に用いた。なお、ウェルド部を含まない試験片となるよう前記ダンベル片端部またはISO D2シートの1点ゲートから樹脂を射出して作製した。
曲げ強さの測定として、ISO178「プラスチック−曲げ特性の求め方」の測定方法に準拠して、各実施例および比較例で得られた組成物からなる試験片について測定を行った。
<ウェルド曲げ強さの測定>
試験片としてISO TYPE−Aダンベルを作製し、測定試験に用いた。試験片はウェルド部を含むよう、前記ダンベルの両端部の対向2点ゲートから樹脂を射出し、幅のせまい平行部分のほぼ中央部にウェルドができるよう作製した。
曲げ強さの測定として、ISO178「プラスチック−曲げ特性の求め方」の測定方法に準拠して、各実施例および比較例で得られた組成物からなる試験片について測定を行った。
<引張強度の測定>
試験片としてISO TYPE−Aダンベルを作製し、測定試験に用いた。なお、ウェルド部を含まない試験片となるよう前記ダンベル片端部の1点ゲートから樹脂を射出して作製した。引張強度の測定として、JIS K 7161「プラスチック−引張特性の試験方法」の測定方法に準拠して、各実施例および比較例で得られた組成物からなる試験片について測定を行った。
<ウェルド引張強度の測定>
試験片としてISO TYPE−Aダンベルを作製し、測定試験に用いた。なお、試験片はウェルド部を含むよう、前記ダンベルの両端部の対向2点ゲートから樹脂を射出し、幅のせまい平行部分のほぼ中央部にウェルドができるよう作製した。引張強度の測定として、JIS K 7161「プラスチック−引張特性の試験方法」の測定方法に準拠して、各実施例および比較例で得られた組成物からなる試験片について測定を行った。
<シャルピー衝撃強さ>
試験片としてISO TYPE−Aダンベルを作製し、測定試験に用いた。なお、ウェルド部を含まない試験片となるよう前記ダンベル片端部の1点ゲートから樹脂を射出して作製した。シャルピー衝撃強さの測定は、ISO 179−1「プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方」の測定方法に準拠して、各実施例および比較例で得られた組成物からなる試験片について測定を行った。
<熱伝導率の測定(キセノンフラッシュ法)>
試験片として縦横それぞれ10mm、厚み2mmの平板を各実施例および比較例について作製し、試験に用いた。なお、表中MD(Machine Direction)とは射出成形時の樹脂流れ方向、ND(Normal Direction)とはMD方向に対し垂直方向(厚み方向)、TD(Transverse Direction)とはMD方向に対し垂直方向かつND方向に対し垂直な軸方向、をそれぞれ意味するものとする。熱伝導率の測定は、JIS R 1611「ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法」の測定方法に準拠して、各実施例および比較例の組成物からなる試験片について測定を行った。
<溶融粘度>
実施例においてポリアリーレンスルフィド樹脂のV6溶融粘度は、300℃での溶融粘度(V6)を、島津製作所製フローテスター「CFT−500D」を用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10(mm)/1(mm)の条件にて、6分間保持した後に測定した値である。
<ウィスカー形状の測定>
ウィスカー成分の数平均繊維径および数平均繊維長は、キーエンス製「超深度マルチアングル顕微鏡VHX−D500」によりSEM画像(倍率1500倍)を得、当該SEM画像中の任意の繊維20本を選び出し、測定した。
<球状フィラーの粒径測定>
レーザー回折・散乱法(JIS Z8825)に準拠した方法で測定を行い、各試料の数平均粒子径として算出した値を用いた。
Figure 2018053004
Figure 2018053004
Figure 2018053004
なお、表1〜3中の配合成分の配合比率は質量部を表し、下記のものを用いた。
・PAS樹脂成分
A :ポリフェニレンスルフィド樹脂(V6溶融粘度50Pa・s)
・ウィスカー成分
B−1:ウォラストナイト、数平均繊維長50μm、数平均繊維径4.5μm、アスペクト比11
b−2:塩基性硫酸マグネシウム無機繊維、数平均繊維長20μm、数平均繊維径1.0μmm、アスペクト比20
・球状フィラー成分
c−1:炭酸マグネシウム(数平均粒子径1μm)
C−2:炭酸マグネシウム(数平均粒子径8μm)
C−3:炭酸マグネシウム(数平均粒子径18μm)
C−4:炭酸マグネシウム(数平均粒子径30μm)
c−5:炭酸カルシウム(数平均粒子径50μm)
・その他フィラー成分
c−6:窒化ホウ素(数平均粒子径45μm)
・その他成分
D :ガラス繊維、繊維径10μm、繊維長3mm、熱伝導率1(W/m・K)
E :エチレン/グリシジルメタクリレート(88/12質量%)共重合体

Claims (11)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)および数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)を必須成分として溶融混練するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  2. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)が1〜100質量部の範囲であり、かつ、数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)が1〜100質量部の範囲である請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記ウィスカー(B)が、ウォラストナイト、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカーおよび硫酸マグネシウムウィスカーからなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記球状フィラーが、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラスビーズおよびシリカからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  5. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)および数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)を必須成分として溶融混練して得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形することを特徴とする成形品の製造方法。
  6. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)および数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)を必須成分として配合してなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  7. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、数平均繊維径2〜50μmの範囲であるウィスカー(B)が1〜100質量部の範囲であり、かつ、数平均粒子径5〜40μmの範囲である球状フィラー(C)が1〜100質量部の範囲である請求項6記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  8. 前記ウィスカー(B)が、ウォラストナイト、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカーおよび硫酸マグネシウムウィスカーからなる群から選択される1種以上である請求項6または7に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  9. 前記球状フィラーが、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラスビーズおよびシリカからなる群から選ばれる1種以上である請求項6〜8のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  10. 溶融混練物である請求項6〜9の何れか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  11. 請求項6〜10の何れか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品。
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