JPWO2019208377A1 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、複合成形品及びそれらの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、複合成形品及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

エポキシ接着性に優れ、かつ、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れるポリアリーレンスルフィド(PAS)樹脂組成物の成形品、該成形品を提供可能なPAS樹脂組成物、および、該成形品と、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物とが接着してなる複合成形品およびその製造方法を提供する。さらに詳しくは、PAS樹脂とエポキシ樹脂とエポキシ基含有ポリオレフィンとガラス繊維とガラスフレークとを配合してなり、PAS樹脂100質量部に対しガラス繊維10〜350質量部、ガラスフレーク1〜250質量部であり、PAS樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂とエポキシ基含有ポリオレフィンとが有するエポキシ基の合計割合が25〜300μmolであり、エポキシ樹脂のエポキシ当量が100〜2400g/eq.であるPAS樹脂組成物、成形品、複合成形品および製造方法を提供する。

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド(以下、「PAS」と略称することがある)樹脂を含む樹脂組成物、成形品、複合成形品およびそれらの製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下、「PPS」と略すことがある)樹脂に代表されるPAS樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、成形加工性、寸法安定性に優れ、これら特性を利用して、電気・電子機器部品、自動車部品材料等として使用されている。
そして、これら部品はその二次加工としてエポキシ樹脂等からなる部品材料と接着する場合が多々見られる。しかし、PAS樹脂は他の樹脂との接着性、特にエポキシ樹脂との接着性が比較的悪い。そのため、例えばエポキシ系接着剤によるPAS同士の接合、PAS樹脂と他の材料との接合、あるいはエポキシ樹脂による電気・電子部品の封止等の際に、PAS樹脂とエポキシ樹脂との接着性(以下、単に「接着性」ということがある)の悪さが問題となっていた。
また、PAS樹脂は靱性に劣るため、低温と高温の繰り返しによる冷熱サイクル、あるいはサーマルショックに対して脆く、冷熱衝撃性に劣るという問題がある。さらに、ガラス繊維等の繊維状強化材で補強すると、異方性が生じ、成形体にソリ、ねじれ等の現象が起こり、寸法安定性が十分といえるものではなかった。
このような現状から、PAS樹脂の冷熱衝撃性、寸法安定性、エポキシ樹脂との接着性の改良を目的にこれまでにいくつかの検討がなされ、例えば、ガラス繊維、オレフィン系重合体、エポキシ樹脂、ガラスフレークを配合したPAS樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかし、該方法は、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いるため、エポキシ樹脂との接着性や流動性に優れるものの、冷熱衝撃性が実用では充分とは言い難いレベルのものであった。
そこで、PAS樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、ノボラック型エポキシ樹脂と、ガラス繊維と、ガラスフレークとを配合して溶融混練して得られるPAS樹脂組成物からなる成形体が提案されている(特許文献2参照)。該成形体はエポキシ樹脂との接着性と、ウェルド部を有していても冷熱衝撃性に優れるものであったが、当該冷熱衝撃性にまだ改良の余地があるだけでなく、射出成形等の溶融成形時に樹脂の流れに対する直角方向(TD方向)の冷熱衝撃性にもまだ改良の余地があった。
特開2005−306926号公報 WO2013/141363号パンフレット
そこで本発明が解決しようとする課題は、エポキシ接着性に優れ、かつ、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品、該成形品を提供可能なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、および、該成形品と、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物とが接着してなる複合成形品およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と100〔g/eq.〕以上から2400〔g/eq.〕以下の範囲のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)とを用い、かつ、組成物中のエポキシ基量を、樹脂組成物1g中25〔μmol〕以上から300〔μmol〕以下の範囲とすることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)とを配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、ガラス繊維が10質量部以上から350質量部以下の範囲、ガラスフレークが1質量部以上から250質量部以下の範囲であり、
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とが有するエポキシ基の合計の割合が25〔μmol〕以上から300〔μmol〕以下の範囲であり、さらにエポキシ樹脂(B)のエポキシ当量が、100〔g/eq.〕以上から2400〔g/eq.〕以下の範囲であるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形してなる成形品に関する。
また、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)とを溶融混練するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、ガラス繊維が10質量部以上から350質量部以下の範囲、ガラスフレークが1質量部以上から250質量部以下の範囲であり、
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とが有するエポキシ基の合計の割合が25〔μmol〕以上から300〔μmol〕以下の範囲であり、さらにエポキシ樹脂(B)のエポキシ当量が、100〔g/eq.〕以上から2400〔g/eq.〕以下の範囲であるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記成形品と、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物とを接着する複合成形品の製造方法に関する。
さらに本発明は、前記成形品に、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物を接触させた後、該硬化性樹脂組成物を硬化する工程を含む、複合成形品の製造方法に関する。
本発明によれば、エポキシ接着性に優れ、かつ、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品、該成形品を提供可能なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、および、該成形品と、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物とが接着してなる複合成形品およびその製造方法を提供することができる。
実施例において、成形品(ウェルド部なし)のTD方向の耐冷熱衝撃性(ヒートサイクル性)試験に用いた金属ブロック部材である。 実施例において、TD方向の耐冷熱衝撃性(ヒートサイクル性)試験に用いた成形品(ウェルド部なし)である。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)とを配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、ガラス繊維が10質量部以上から350質量部以下の範囲、ガラスフレークが1質量部以上から250質量部以下の範囲であり、
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とが有するエポキシ基の合計の割合が25〔μmol〕以上から300〔μmol〕以下の範囲であり、さらにエポキシ樹脂(B)のエポキシ当量が、100〔g/eq.〕以上から2400〔g/eq.〕以下の範囲であることを特徴とする。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を必須成分として配合してなる。本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記一般式(1)
Figure 2019208377
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4の範囲のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、必要に応じてさらに下記一般式(2)
Figure 2019208377
で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。式(2)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して0.001モル%から3モル%以下の範囲が好ましく、特に0.01モル%以上から1モル%以下の範囲であることが好ましい。
ここで、前記一般式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(3)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(4)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 2019208377
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記一般式(3)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、前記一般式(1)や(2)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(5)〜(8)
Figure 2019208377
で表される構造部位を、前記一般式(1)と一般式(2)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記一般式(5)〜(8)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂中に、上記一般式(5)〜(8)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂の物性は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、以下の通りである。
(溶融粘度)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度は特に限定されないが、300℃で測定した溶融粘度(V6)が2〔Pa・s〕以上から1000〔Pa・s〕以下の範囲であることが好ましく、さらに流動性および機械的強度のバランスが良好となることから10〔Pa・s〕以上から500〔Pa・s〕以下の範囲がより好ましく、特に60〔Pa・s〕以上から200〔Pa・s〕以下の範囲であることが特に好ましい。但し、本発明において、溶融粘度(V6)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT−500Dを用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10(mm)/1(mm)にて、6分間保持した後に溶融粘度を測定した値とする。
(非ニュートン指数)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の非ニュートン指数は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、0.90以上から2.00以下の範囲であることが好ましい。リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いる場合には、非ニュートン指数が0.90以上から1.50以下の範囲であることが好ましく、さらに0.95以上から1.20以下の範囲であることがより好ましい。このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した値である。
Figure 2019208377
[ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]N値は1に近いほどPPSは線状に近い構造であり、N値が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
(製造方法)
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩や、水酸化アルカリを添加しても良い。上記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02モル以上から0.5モル以下の範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01モル以上から0.9モル以下の範囲の有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18の範囲のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含む反応混合物の後処理方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥する方法、或いは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともポリアリーレンスルフィドに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィドや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(4)重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(5)重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に水洗浄、濾過および乾燥する方法、等が挙げられる。
尚、上記(1)〜(5)に例示したような後処理方法において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、エポキシ樹脂(B)を必須成分として配合する。
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、本発明の効果を奏するものであれば特に限定されず、たとえば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂やポリアリーレンエーテル構造(α)を有するエポキシ樹脂などが挙げられ、このうち、接着性に優れ、かつ冷熱衝撃性に優れ、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れることからビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましいものとして挙げられる。
本発明に用いるエポキシ樹脂のエポキシ当量としては、溶融時のガス発生量を低減しつつ、かつ、接着性に優れ、さらに、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れる観点から、好ましくは2400〔g/eq.〕以下、より好ましくは2100〔g/eq.〕以下、さらに好ましくは1900〔g/eq.〕以下の範囲であり、かつ、流動性に優れる観点から、好ましくは100〔g/eq.〕以上、より好ましくは190〔g/eq.〕以上、さらに好ましくは210〔g/eq.〕以上の範囲である。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ樹脂の種類としては、ビスフェノール類のグリシジルエーテルが挙げられ、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、またはテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂の場合、溶融時のガス発生量を低減しつつ、かつ、接着性に優れ、さらに、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れる観点から、好ましくは2400〔g/eq.〕以下、より好ましくは2100〔g/eq.〕以下、さらに好ましくは1900〔g/eq.〕以下の範囲であり、かつ、流動性に優れる観点から、好ましくは100〔g/eq.〕以上、より好ましくは190〔g/eq.〕以上、さらに好ましくは210〔g/eq.〕以上の範囲である。
また、前記ノボラック型エポキシ樹脂の種類としてはフェノール類とアルデヒドとの縮合反応により得られたノボラック型フェノール樹脂をエピハロヒドリンと反応させて得られるノボラック型エポキシ樹脂が挙げられ、具体例には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂がノボラック型エポキシ樹脂の場合、溶融時のガス発生量を低減しつつ、かつ、接着性に優れ、さらに、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れる観点から、好ましくは300〔g/eq.〕以下、より好ましくは250〔g/eq.〕以下の範囲であり、かつ、流動性に優れる観点から、好ましくは100〔g/eq.〕以上、より好ましくは190〔g/eq.〕以上の範囲である。
本発明に用いるエポキシ樹脂(B)は、上記の種々のものを1種または2種以上併用することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、エポキシ基含有ポリオレフィン(C)を必須成分として配合する。
前記エポキシ基含有ポリオレフィンは、例えば、α−オレフィンの単独重合または異なるα−オレフィン同士の共重合により、さらに、官能基を付与する場合には、α−オレフィンと官能基を有するビニル重合性化合物との共重合により得ることができる。α−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン−1等の炭素原子数2〜8の範囲のものが挙げられる。また、官能基としては、エポキシ基(グリシジル基)が挙げられる。
このような官能基を有するビニル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその他の炭素原子数4〜10のα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体(モノ若しくはジエステル、及びその酸無水物等)、並びにグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、上述したエポキシ基を有するエチレン−プロピレン共重合体及びエチレン−ブテン共重合体が、機械的強度、特に靭性及び耐衝撃性の向上の点から好ましい。
本発明に用いるエポキシ基含有ポリオレフィン(C)は、上記の種々のものを1種または2種以上併用することができる。本発明に用いるエポキシ基含有ポリオレフィン(C)は、後述するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とが有するエポキシ基の合計の割合が所定量となるよう適宜調整しながら用いればよいが、溶融時のガス発生量を低減しつつ、かつ、接着性に優れ、さらに、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れる観点から、エポキシ基含有ポリオレフィン(C)のエポキシ当量が、好ましくは5000〔g/eq.〕以下、より好ましくは4900〔g/eq.〕以下、さらに好ましくは4800〔g/eq.〕以下の範囲であり、かつ、流動性に優れる観点から、好ましくは1200〔g/eq.〕以上、より好ましくは1300〔g/eq.〕以上、さらに好ましくは1400〔g/eq.〕以上の範囲である。
本発明では、溶融時のガス発生量を低減しつつ、かつ、接着性に優れ、さらに、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れる観点から、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とが有するエポキシ基の合計の割合が25〔μmol〕以上の範囲であり、接着性および冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性がより向上する観点から30〔μmol〕以上の範囲が好ましく、35〔μmol〕以上の範囲がより好ましく、かつ、ガス発生量が低減でき、さらに流動性に優れる観点から300〔μmol〕以下の範囲であり、270〔μmol〕以下の範囲が好ましく、250〔μmol〕以下の範囲がより好ましい。
さらに、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)が有するエポキシ基の割合が20〔μmol〕以上から250〔μmol〕以下の範囲であることがより好ましく、エポキシ基含有ポリオレフィン(C)が有するエポキシ基の割合が5〔μmol〕以上から50〔μmol〕以下の範囲であることがより好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)のそれぞれの配合割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とが有するエポキシ基の合計の割合が25〔μmol〕以上から300〔μmol〕以下の範囲となる配合割合でエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とを配合すれば特に限定されないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、エポキシ樹脂(B)は5質量部以上から30質量部以下の範囲であることが好ましく、エポキシ樹脂接着性、冷熱衝撃性の観点から7質量部以上の範囲であることがより好ましく、9質量部以上の範囲がさらに好ましく、かつ、冷熱衝撃性、ガス発生量の観点から28質量部以下の範囲であることがより好ましく、26質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。また、同様に、エポキシ基含有ポリオレフィン(C)は5質量部以上から30質量部以下の範囲であることが好ましく、エポキシ樹脂接着性、冷熱衝撃性、耐衝撃性の観点から7質量部以上の範囲であることがより好ましく、9質量部以上の範囲がさらに好ましく、かつ、ガス発生量の観点から28質量部以下の範囲であることがより好ましく、26質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。さらに、エポキシ接着性に優れ、かつ、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れる観点から、エポキシ樹脂(B)が有するエポキシ基量は、エポキシ基含有ポリオレフィン(C)が有するエポキシ基量よりも多くなるように配合することが好ましい。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ガラス繊維(D1)を必須成分として配合してなる。
ガラス繊維としては、射出成形用コンパウンド向けに用いられるチョップドストランドが好ましく用いられる。繊維径、繊維長は本発明の効果を損ねない範囲であれば特に限定されないが、繊維径(直径)が3μm以上から20μm以下の範囲が好ましく、6μm以上から13μm以下の範囲がより好ましい。ガラス繊維の長さは任意であるが、成形品の機械的性質と変形との兼ね合いにより、成形品の変形量を小さくする為には短い方が好ましいが、機械的強度の面からは平均繊維長が少なくとも30μm以上で長い方が好ましく、要求される性能に応じて適宜選択される。通常は50μm以上から2000μm以下の範囲が好ましい。ガラス繊維の断面形状について制限はなく、通常、丸形が用いられるが、成形品のそりを抑える場合には扁平形、まゆ形、長円形、楕円形、半円若しくは円弧形、矩形又はこれらの類似形状の断面形状が好ましく、特に扁平形の断面形状であることがより好ましい。
本発明に用いるガラス繊維にはシランカップリング剤等で予め処理されたものを用いることが好ましい。
ガラス繊維の配合割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、10質量部以上から350質量部以下の範囲であることが好ましく、耐熱性、機械的強度、特に冷熱衝撃性が向上する観点から20質量部以上の範囲であることがより好ましく、30質量部以上の範囲であることがさらに好ましく、かつ、寸法安定性、流動性が向上する観点から100質量部以下の範囲であることがより好ましく、80質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ガラスフレーク(D2)を必須成分として配合してなる。
本発明で用いるガラスフレークは、鱗片状のガラスフィラーであれば公知のものを用いることができるが、このうち、平均粒径が10μm以上から4000μm以下の範囲であり、および/または、平均厚みが0.1μm以上から20μm以下の範囲の鱗片状ガラスであるものが好ましく、耐透湿性および表面外観性に優れる点から、平均粒径が100μm以上から300μm以下の範囲であり、および/または平均厚みが2μm以上から10μm以下の範囲のものを用いることが好ましい。平均粒径が100μm以上および/または平均厚みが2μm以上のものを用いた場合には、成形品の表面に鱗片状ガラスフレークがガラス繊維を伴って浮くために発生する表面外観性の低下を抑制することができ、一方、平均粒径が300μm以下および/または平均厚みが10μm以下のものを用いた場合にも、溶融混練時に鱗片状ガラスフレークの一部が破砕され、小粒径のものが形成されやすくなる結果、ガラス繊維を伴って成形品表面に浮き、表面外観性を損ねる現象を抑制することができるため好ましい。
なお、本発明において、平均粒径、平均厚みはレーザー光回折法によって測定された累積粒度分布曲線より得られる累積度50%粒度を意味する。
本発明に用いるガラスフレークにはシランカップリング剤等で予め処理されたものを用いることが好ましい。
本発明はこのような鱗片状のガラスフレークを用いて成形品中に分散させることにより、流動方向・直角方向の線膨張係数を小さくさせ、低温と高温を繰り返す冷熱衝撃性を向上させることができる。
ガラスフレークの配合割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、接着性、耐熱性、機械的強度、冷熱衝撃性、特にウェルド部を有する場合の冷熱衝撃性のみならず、TD方向の冷熱衝撃性にも優れる観点と、寸法安定性が向上する観点から、1質量部以上の範囲であることが好ましく、20質量部以上の範囲であることがより好ましく、30質量部以上の範囲であることがさらに好ましい。一方、機械的強度、成形性が向上する観点から、250質量部以下の範囲が好ましく、100質量部以下の範囲がより好ましく、80質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。
ガラス繊維とガラスフレークの配合割合は、本発明の効果を奏する範囲であれば特に限定されないが、機械的強度が向上する観点からガラスフレークよりガラス繊維の配合割合が多いことが好ましく、一方で、寸法安定性が向上する観点からガラス繊維よりガラスフレークの配合割合が多いことが好ましい。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)以外の充填剤(以下、単に「他の充填剤」という)を任意成分として含有することができる。これら他の充填剤としては本発明の効果を損なうものでなければ公知慣用の材料を用いることもでき、例えば、繊維状のものや、粒状や板状などの非繊維状のものなど、さまざまな形状の充填剤等が挙げられる。具体的には、炭素繊維、シランガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭化珪素、珪酸カルシウム、ワラストナイト等の繊維、天然繊維等の繊維状充填剤が使用でき、またガラスビーズ、硫酸バリウム、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、マイカ、タルク、アタパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ、ゼオライト、ミルドファイバー、硫酸カルシウム等の非繊維状充填剤も使用できる。
本発明において他の充填剤は必須成分ではなく、添加する場合、その含有量は本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではない。他の充填剤の含有量としては例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上から、好ましくは600質量部、より好ましくは200質量部以下の範囲である。かかる範囲において、樹脂組成物が良好な機械的強度と成形性を示すため好ましい。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を奏する範囲で、必要に応じて、シランカップリング剤を任意成分として含有することができる。シランカップリング剤としては、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、カルボキシ基と反応する官能基、例えば、エポキシ基、イソシアナト基、アミノ基または水酸基を有するシランカップリング剤が好ましいものとして挙げられる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物は官能基を介してポリアリーレンスルフィドポリマーと反応し、見かけ上の分子量をさせることができるため好ましい。本発明においてシランカップリング剤は必須成分ではないが、添加する場合、その配合量は、本発明の効果を損ねなければその添加量は特に限定されないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下の範囲である。かかる範囲において、樹脂組成物が良好な耐コロナ性と成形性、特に離形性を有し、かつ成形品がエポキシ樹脂と優れた接着性を呈しつつ、さらに機械的強度が向上するため好ましい。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を奏する範囲で、必要に応じて、エポキシ基含有ポリオレフィン(C)以外の熱可塑性エラストマーを任意成分として含有することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、弗素系エラストマーまたはシリコーン系エラストマーが挙げられ、このうちポリオレフィン系エラストマーが好ましいものとして挙げられる。これらのエラストマーを添加する場合、その含有量は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下の範囲である。かかる範囲において、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐衝撃性が向上するため好ましい。
前記ポリオレフィン系エラストマーは、例えば、α−オレフィンの単独重合または異なるα−オレフィン同士の共重合により、さらに、官能基を付与する場合には、α−オレフィンと官能基を有するビニル重合性化合物との共重合により得ることができる。α−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン−1等の炭素原子数2〜8の範囲のものが挙げられる。また、官能基としては、エポキシ基以外の官能基であれば特に限定されず公知のものが挙げられ、カルボキシ基、式−(CO)O(CO)−で表される酸無水物基、それらのエステル、アミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、またはオキサゾリン基などが挙げられる。
このような官能基を有するビニル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその他の炭素原子数4〜10のα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体(モノ若しくはジエステル、及びその酸無水物等)、並びにグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、上述したエポキシ基、カルボキシ基、及び、該酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエチレン−プロピレン共重合体及びエチレン−ブテン共重合体が、機械的強度、特に靭性及び耐衝撃性の向上の点から好ましい。
更に、本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)以外の樹脂を任意成分として配合することができる。そのような樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエチレン樹脂(エポキシ基含有ポリオレフィン(C)を除く)、ポリプロピレン樹脂(エポキシ基含有ポリオレフィン(C)を除く)、ポリ四弗化エチレン樹脂、ポリ二弗化エチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等の合成樹脂などを任意成分として含有することができる。また、これらの樹脂の含有量は、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して0.01質量部以上から1000質量部以下の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
また本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他にも着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、防錆剤、離型剤等の公知慣用の添加剤を必要に応じ、任意成分として含有してもよい。これらの添加剤は必須成分ではなく、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上から1000質量部以下の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
他の離型剤としては、例えばカルナバワックス等の天然ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩類、酸化ないし非酸化ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックスが挙げられる。
本発明に用いるエポキシ樹脂やエポキシ基含有ポリオレフィンは、フェノール樹脂やアミン(活性水素化合物)、カルボン酸無水物といった、いわゆる硬化剤として作用する成分(以下、硬化剤作用成分という)が存在すると溶融混練時に硬化反応(活性水素化合物との付加反応、酸無水物との共重縮合反応)によりエポキシ基が消失するため、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物中の硬化剤作用成分の割合が、エポキシ樹脂成分中のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤作用成分中の活性基が0.1当量以下、より好ましくは0.01当量以下、最も好ましくは0当量、すなわち不存在(検出限界量以下)である。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)とを必須成分として、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の融点以上で溶融混練する工程を含む製造方法により得られる。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の好ましい製造方法は、上述した含有量となるよう、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラスフレーク(D2)の各必須成分と、必要に応じて、上述した他の充填剤、添加剤などの任意成分を、粉末、ペレット、細片など様々な形態でリボンブレンター、ヘンシェルミキサー、Vブレンダーなどに投入してドライブレンドした後、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出機およびニーダーなどの公知の溶融混練機に投入し、ガラス繊維(D1)を溶融押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが分散性および繊維の破損を抑制する観点から好ましい。また、押出機内の樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上、好ましくは融点+10℃以上、より好ましくは融点+10℃以上、さらに好ましくは融点+20℃以上から、好ましくは融点+100℃以下、より好ましくは融点+50℃以下となる温度範囲で溶融混練する工程を経て製造することができる。溶融混練機への各成分の添加、混合は同時に行ってもよいし、分割して行っても良い。
前記溶融混練機としては分散性や生産性の観点から二軸混練押出機が好ましく、例えば、樹脂成分の吐出量5(kg/hr)以上から、500(kg/hr)以下の範囲と、スクリュー回転数50(rpm)以上から、500(rpm)以下の範囲とを適宜調整しながら溶融混練することが好ましく、それらの比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02(kg/hr/rpm)以上から、5(kg/hr/rpm)以下の範囲となる条件下に溶融混練することがさらに好ましい。また、サイドフィーダーの位置は、前記二軸混練押出機のスクリュー全長に対する、該押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上から、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下の範囲である。
このように溶融混練して得られる本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必須成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)と、必要に応じて加える任意成分およびそれらの由来成分を含む溶融混合物であり、該溶融混練後に、公知の方法でペレット、チップ、顆粒、粉末等の形態に加工してから、必要に応じて100℃以上から150℃以下の温度で予備乾燥を施して、各種成形に供することが好ましい。
上記製造方法により製造される本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をマトリックスとし、当該マトリックス中に、必須成分であるエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)と、それらに由来する成分、必要に応じて添加する任意成分が分散したモルフォロジーを形成する。その結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品が優れたエポキシ樹脂接着性、耐熱性、機械的強度、冷熱衝撃性、さらに寸法安定性に優れたものとすることができる。
本発明の成形品は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形することにより得られる。溶融成形としては一般的な方法で良く、射出成形、インサート成形、圧縮成形、コンポジット、シート、パイプなどの押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に離形性にも優れるため射出成形用途に適している。射出成形や、インサート成形にて成形する場合、各種成形条件は特に限定されず、通常一般的な方法にて成形することができる。例えば、射出成形機内で、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上、好ましくは該融点+10℃以上、より好ましくは融点+10℃以上、さらに好ましくは融点+20℃以上から、好ましくは融点+100℃以下、より好ましくは融点+50℃以下の温度範囲で前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融する工程を経た後、樹脂吐出口よりを金型内に注入して成形すればよい。その際、金型温度も公知の温度範囲、例えば、室温(23℃)以上、好ましくは120℃以上から、好ましくは300℃以下、より好ましくは180℃以下の範囲に設定すればよい。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂成形品は、接着性、すなわち、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物との接着性に優れる。ここで言うエポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物とは、エポキシ樹脂と硬化剤とを混合して得られる組成物であることが好ましい。
本発明において用いる前記エポキシ樹脂としては、本発明の効果を損ねなければ特に限定されず、たとえば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂やポリアリーレンエーテル構造(α)を有するエポキシ樹脂などが挙げられ、このうち、接着性に優れることからビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましいものとして挙げられる。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ樹脂の種類としては、ビスフェノール類のグリシジルエーテルが挙げられ、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、またはテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、前記ノボラック型エポキシ樹脂の種類としてはフェノール類とアルデヒドとの縮合反応により得られたノボラック型フェノール樹脂をエピハロヒドリンと反応させて得られるノボラック型エポキシ樹脂が挙げられ、具体例には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物に含まれるこれらのエポキシ樹脂は、硬化剤により硬化反応させ使用されることが好ましい。当該硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、アミン型硬化剤、フェノール樹脂型硬化剤、酸無水物型硬化剤、潜在性硬化剤等が挙げられる。
アミン型硬化剤としては、公知のものを用いることができ、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、複素環式ポリアミン等やそれらのエポキシ付加物、マンニッヒ変性化物、ポリアミドの変性物を用いることができる。具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルへキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート等が挙げられる。このうち、硬化性に優れることから、m−キシレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが特に好ましいものとして挙げられる。
フェノール樹脂型硬化剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール等のビスフェノール類、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリ(ヒドロキシフェニル)エタン等の3官能フェノール化合物、フェノールノボラック、又はクレゾールノボラック等が挙げられる。
酸無水物型硬化剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。
これらの硬化剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、硬化促進剤を適宜併用して用いることも可能である。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。
本発明に用いるエポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物は、無溶媒下で硬化反応をさせても良いが、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、N−メチルピロリドン、イソプロピルアルコールやイソブタノール、t−ブチルアルコール等の溶媒下で硬化反応をさせてもよい。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物において、エポキシ樹脂と硬化剤との使用割合は、本発明の効果を損なわない範囲において公知の割合であれば特に限定されるものではないが、硬化性に優れ、硬化物の耐熱性や耐薬品性に優れる硬化物が得られることから、エポキシ樹脂成分中のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.7当量以上から1.5当量以下の範囲になる量が好ましい。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品は、エポキシ樹脂接着性に優れることから、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物とが接着してなる複合成形品として好適に用いることができる。
本発明の複合成形品は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形してなる成形品と、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物とを接着する工程を含む方法により製造することができる。
前記成形品と硬化物との接着は、本発明の効果を損なわない範囲において公知の方法でよいが、前記成形品と、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物とを接触させ、該硬化性樹脂組成物を硬化させる工程を含む方法が挙げられる。また、前記成形品を、接着時に前記硬化性樹脂組成物と接着させる表面の少なくとも一部、好ましくは50%以上、より好ましくは全面を加熱して溶融してから、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物とを接触させ、該硬化性樹脂組成物を硬化させる方法も挙げられる。一方、該硬化性樹脂組成物の硬化は、該硬化性樹脂組成物の未硬化状態のものを該成形品と接触させてから完全に硬化させることや、一旦、該硬化性樹脂組成物を半硬化状態(いわゆるBステージ状態)としてから、該成形品と接触させて完全硬化させることもできる。
このようにして得られた本発明の複合成形品は、種々の用途に用いることが出来る。主な用途例としては、各種家電製品、携帯電話、及びPC(Personal Computer)等の電子機器の筐体、箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材・複数の個別半導体またはモジュール、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスク・DVDディスク・ブルーレイディスク等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ブラシホルダー、スリップリング、ICレギュレータ、ライトディマ用ポテンシオメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、イグニッションコイルおよびそのボビン、モーターインシュレータ、モーターロータ、モーターコア、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース、パワーモジュール、インバータ、パワーデバイス、インテリジェントパワーモジュール、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、パワーコントロールユニット、リアクトル、コンバータ、コンデンサ、インシュレーター、モーター端子台、バッテリー、電動コンプレッサー、バッテリー電流センサ、ジャンクションブロック、DLIシステム用イグニッションコイル等を収納するケース等の自動車・車両関連部品、その他各種用途にも適用可能である。
以下に具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、部、%は、特に断りがない場合、質量基準とする。また、製造例にて製造した樹脂の分析はそれぞれ以下の条件で行った。
(実施例1〜8及び比較例1〜6)PPS樹脂組成物の製造
表1及び表2に記載する組成成分および配合量にしたがい、各材料をタンブラーで均一に混合した。その後、東芝機械株式会社製ベント付き2軸押出機「TEM−35B」に前記配合材料を投入し、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数200rpm、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)=0.1(kg/hr・rpm)、設定樹脂温度320℃で溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを用いて以下の接着試験を行った。試験及び評価の結果は、表1〜4に示す。
(測定例)PPS成形品とエポキシ樹脂との接着強度(エポキシ接着強度)
次いで、得られたペレットをシリンダー温度310℃に設定した住友重機製射出成形機(SE75D−HP)に供給し、金型温度140℃に温調したASTM1号ダンベル片成形用金型を用いて射出成形を行い、ASTM1号ダンベル片を得た。その後、ASTM1号ダンベル片を中央から2等分し、エポキシ接着剤との接触面積が170mmとなるようにフッ素樹脂粘着テープ(テフロン(登録商標)テープ)(厚さ:0.08mm)でマスキングし、エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製2液型エポキシ樹脂、主剤:XNR5002、硬化剤:XNH5002、配合比は主剤:硬化剤=100:90)を塗布した(塗布面積:12.9mm×12.9mm)。もう一方を塗布面に張り合わせて、クリップを用い固定し、135℃に設定した熱風乾燥機中で3時間加熱し硬化・接着させた。23℃下で1日冷却後スペーサーを外し、得られた試験片を得て、次いで歪み速度5mm/min、支点間距離60mm、23℃下でインストロン社製引張試験機を用い引張破断強さを測定し、接着面積で除した値をエポキシ接着強度(MPa)とした。
(測定法) weld部を有する成形品の耐冷熱衝撃性(ヒートサイクル性)試験
以下に示す、ウェルド部を有する成形品を用いて耐冷熱衝撃性評価を行った。なお、当該評価は、加速試験とするために、熱膨張係数の大きい金属部材をインサート成形した成形品を用いることにより実施した。
縦25mm、横40mm、厚さ10mmの鋼鉄製のインサートブロック部材の、前記部材縦方向の辺の中点同士を結び、前記部材横方向の辺に平行な直線上に、直径3.55mmの厚さ方向に平行な2個の貫通穴の直径の中心を有し、該貫通穴の直径の中心同士が前記直線の中点を中心にして20mm離れて配置されたインサートブロック部材を準備し、次いで、前記2個の貫通穴と射出成形用金型内部に設置された2本の鋼鉄製円柱形のピンとを用いて、前記インサートブロック部材が前記射出成形用金型の内部に保持されるように設置し、かつ、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを射出成形した後に、前記インサートブロック部材の外周全面が肉厚1mmのポリフェニレンスルフィド樹脂組成物で被覆され、かつ、weld部が形成されるように設計された射出成形金型を用いて、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを射出成形し成形品を得た。得られた前記インサートブロック部材を内包するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の成形品を用いて、気相式の冷熱衝撃試験機中で−40℃/1時間保持〜140℃/1時間保持を冷熱サイクル1サイクルとする冷熱衝撃試験を実施し、クラックが発生して破断するまでのサイクル数を測定した。
(測定法) 成形品(ウェルド部なし)のTD方向の耐冷熱衝撃性(ヒートサイクル性)試験
以下に示す、成形品(ウェルド部無し)を用いてTD方向の耐冷熱衝撃性評価を行った。なお、当該評価は、加速試験とするために、熱膨張係数の大きい金属部材(図1)をインサート成形し、TD方向へのクラックが生じるよう金属部材の四隅が樹脂部材で被覆部されないよう、非被覆部(L)を設けた成形品(図2)を用いることにより実施した。
まず、図1に示す、縦56mm、横66mm、厚さ5mmの鋼鉄製のインサートブロック部材(M)を準備し、次いで、前記部材の角に設けられた4個の貫通穴(h)と射出成型用金型内部に設置された4本の鋼鉄製円柱形のピンとを用いて、前記インサートブロック部材(M)が前記射出成型用金型の内部に保持されるように設置し、かつ、溶融したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が側面F側からF側へ流動して、ウェルド部が形成されない様にゲート部および液逃げ部が形成され、射出成型後に、前記インサートブロック部材(M)の上下面が肉厚1mmの樹脂部で図2に示す形状に被覆されるように設計された射出成形金型を用いて、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを射出成型し成型品(P)を得た。
気相式の冷熱衝撃試験機中で−40℃/1時間保持〜170℃/1時間保持を冷熱サイクル1サイクルとする冷熱衝撃試験を実施し、クラックが発生して破断するまでのサイクル数を測定した。
(測定法) ガス発生量(加熱時の重量減少率)
リガク製示差熱天秤TG8120を用い、溶融混練して得られた樹脂組成物のペレットを10g計り取り、50℃から325℃まで20℃/minで昇温した後、325℃で3時間加熱を行い、加熱前後の重量減少率を測定した。
なお、この重量減少率は加熱時にペレットから発生するガス発生量に相当する。このガス発生量は、金型メンテナンス性、表面外観性、機械的物性、成形性の観点からも少ないほど優れていることから、実用に際し、以下の評価基準に沿って分類した。
◎(大変良い):2.0%以下の範囲
○(良い) :2.0%超から2.2%以下の範囲
△(充分) :2.2%超から2.5%以下の範囲
×(不充分) :2.5%超の範囲
Figure 2019208377
Figure 2019208377
Figure 2019208377
Figure 2019208377
なお、表1〜4中の配合樹脂、材料の配合比率は質量部を表し、下記のものを用いた。
ポリフェニレンスルフィド樹脂
(A−1) 以下の(製造例1)により製造したものを用いた。
(製造例1) ポリフェニレンスルフィド樹脂(a−1)の製造
[工程1]
圧力計、温度計、コンデンサ、デカンタ、精留塔を連結した撹拌翼付き150リットルオートクレーブにp−ジクロロベンゼン(以下、「p−DCB」と略記する。)33.222kg(226モル)、NMP3.420kg(34.5モル)、47.23質量%NaSH水溶液27.300kg(NaSHとして230モル)、及び49.21質量%NaOH水溶液18.533g(NaOHとして228モル)を仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で173℃まで5時間掛けて昇温して、水27.300kgを留出させた後、オートクレーブを密閉した。脱水時に共沸により留出したp−DCBはデカンターで分離して、随時オートクレーブ内に戻した。脱水終了後のオートクレーブ内は微粒子状の無水硫化ナトリウム組成物がp−DCB中に分散した状態であった。この組成物中のNMP含有量は0.079kg(0.8モル)であったことから、仕込んだNMPの98モル%(33.7モル)がNMPの開環体(4−(メチルアミノ)酪酸)のナトリウム塩(以下、「SMAB」と略記する。)に加水分解されていることが示された。オートクレーブ内のSMAB量は、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.147モルであった。仕込んだNaSHとNaOHが全量、無水NaSに変わる場合の理論脱水量は27.921gであることから、オートクレーブ内の残水量878g(48.8モル)の内、609g(33.8モル)はNMPとNaOHとの加水分解反応に消費されて、水としてオートクレーブ内に存在せず、残りの269g(14.9モル)は水、あるいは結晶水の形でオートクレーブ内に残留していることを示していた。オートクレーブ内の水分量はオートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.065モルであった。
[工程2]
上記脱水工程終了後に、内温を160℃に冷却し、NMP46.343kg(467.5モル)を仕込み、185℃まで昇温した。オートクレーブ内の水分量は、工程2で仕込んだNMP1モル当たり0.025モルであった。ゲージ圧が0.00MPaに到達した時点で、精留塔を連結したバルブを開放し、内温200℃まで1時間掛けて昇温した。この際、精留塔出口温度が110℃以下になる様に冷却とバルブ開度で制御した。留出したp−DCBと水の混合蒸気はコンデンサーで凝縮し、デカンターで分離して、p−DCBはオートクレーブへ戻した。留出水量は228g(12.7モル)であった。
[工程3]
工程3開始時のオートクレーブ内水分量は41g(2.3モル)で、工程2で仕込んだNMP1モル当たり0.005モルで、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.010モルであった。オートクレーブ内のSMAB量は工程1と同じく、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.147モルであった。次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で1時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。内温200℃時点のゲージ圧は0.03MPaで、最終ゲージ圧は0.40MPaであった。冷却後、得られたスラリーの内、650gを3リットルの水に注いで80℃で1時間撹拌した後、濾過した。このケーキを再び3リットルの温水で1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。この操作を4回繰り返した。このケーキを再び3リットルの温水と、酢酸を加え、pH4.0に調整した後、1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。このケーキを再び3リットルの温水で1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。この操作を2回繰り返した。熱風乾燥機を用いて120℃で一晩乾燥して白色の粉末状のPPS樹脂(A−1)を得た。このポリマーの300℃における溶融粘度は41Pa・sであった。非ニュートン指数は1.07であった。
(a−2) 以下の(製造例2)で製造したものを用いた。
(製造例2)
「次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で1時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。」とする部分を「次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で1.5時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。」としたこと以外は製造例1と同様にして、白色の粉末状のPPS樹脂(以下、A−2)を得た。得られたポリマーの溶融粘度は73Pa・s、非ニュートン指数が1.07であった。
(a−3) 以下の(製造例3)で製造したものを用いた。
(製造例3)
圧力計、温度計、コンデンサを連結した撹拌翼および底弁付き150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.3重量%NaS)19.413kgと、NMP45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水4.644kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル当り1.13モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン22.185kg、1,2,4−トリクロロベンゼン0.027kg及びNMP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いてゲージ圧で0.1MPaに加圧して昇温を開始した。液温240℃で2時間保持したのち、液温260℃で3時間攪拌しつつ反応を進め、オートクレーブ上部を散水することにより冷却した。次に降温させると共にオートクレーブ上部の冷却を止めた。オートクレーブ上部を冷却中、液温が下がらないように一定に保持した。反応中の最高圧力は、0.85MPaであった。反応後、冷却し、温度170℃の時点でシュウ酸・2水和物0.284kg(2.25モル)をNMP0.663kgに含む溶液を加圧注入した。30分間撹拌後、冷却し、100℃で底弁を開き、反応スラリーを150リットル平板ろ過機に移送し120℃で加圧ろ過したのち、NMP16kgを加え、加圧ろ過した。ろ過後、撹拌翼付き150リットル真空乾燥機を用いて、減圧下150℃で2時間撹拌してNMPを除去し、白色の粉末状のPPS樹脂(A−3)を得た。 このポリマーの300℃における溶融粘度は77Pa・sであった。非ニュートン指数は1.25であった。
エポキシ樹脂
(b−1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂 DIC株式会社製「エピクロン7050」(エポキシ当量1900〔g/eq.〕)なお、本発明においてエポキシ樹脂のエポキシ当量はJIS K7236(2001)に準拠して測定した値をいう。
(b−2):クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 DIC株式会社製「エピクロンN−695P」(エポキシ当量210〔g/eq.〕)
(b−3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂 DIC株式会社製「エピクロンHM−101」(エポキシ当量3900〔g/eq.〕)
(b−4):ビスフェノールA型エポキシ樹脂 ジャパンエポキシレジン株式会社製「エピコート1009」(エポキシ当量2900〔g/eq.〕)
ポリオレフィン樹脂
(c−1):エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート(67/27/6質量%)共重合体 住友化学工業株式会社製「ボンドファースト7M」(エポキシ当量2369〔g/eq.〕)。なお、本発明においてポリオレフィン樹脂のエポキシ当量は、原料中の各成分及びその比率を元にした算出値である。なお、原料中の各成分及びその比率は納入仕様書、カタログ等から確認できる。
(c−2):エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート(70/27/3質量%)共重合体 住友化学工業株式会社製「ボンドファースト7L」(エポキシ当量4738〔g/eq.〕)
(c−3):エチレン/グリシジルメタクリレート(88/12質量%)共重合体 住友化学工業株式会社製「ボンドファーストE」(エポキシ当量1185〔g/eq.〕)
(c−4):エチレン−1−オクテン共重合体 ダウケミカル株式会社製「エンゲージ8842」
(c−5):エチレン/無水マレイン酸/アクリル酸エチル共重合体 住友化学工業株式会社製「ボンダインAX8390」
(c−6):ポリエステルエラストマー 東洋紡株式会社製「ペルプレンP150B」(芳香族ポリエステルおよび脂肪族ポリエーテルからなる共重合体)
無機充填剤
(d−1):ガラス繊維(繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランド)
(d−2):ガラスフレーク(日本板硝子株式会社製「REFG−301」平均厚さ5μm、平均粒径160〔μm〕)
その他
(e−1):モンタン酸カルシウム(クラリアントジャパン株式会社製「CaV−102」)
(e−2):エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物 共栄社化学株式会社製「ライトアマイドWH−255」
h・・・貫通穴
M・・・インサートブロック部材
P・・・成形品
L・・・非被覆部
・・・溶融樹脂の流動方向(ゲート部側)
・・・溶融樹脂の流動方向(液逃げ部側)

Claims (9)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)とを配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、ガラス繊維(D1)が10質量部以上から350質量部以下の範囲であり、ガラスフレーク(D2)が1質量部以上から250質量部以下の範囲であり、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とが有するエポキシ基の合計の割合が25〔μmol〕以上から300〔μmol〕以下の範囲であり、さらにエポキシ樹脂(B)のエポキシ当量が、100〔g/eq.〕以上から2400〔g/eq.〕以下の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)が有するエポキシ基の割合が20〔μmol〕以上から250〔μmol〕以下の範囲であり、エポキシ基含有ポリオレフィン(C)が有するエポキシ基の割合が5〔μmol〕以上から50〔μmol〕以下の範囲である、請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ基含有ポリオレフィン(C)のエポキシ当量が1200〔g/eq.〕以上から5000〔g/eq.〕以下の範囲である請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 溶融混練物である、請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 前記請求項1〜4の何れか一項記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。
  6. 請求項5記載の成形品と、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物とが接着してなる複合成形品。
  7. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)とを溶融混練するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、ガラス繊維(D1)が10質量部以上から350質量部以下の範囲であり、ガラスフレーク(D2)が1質量部以上から250質量部以下の範囲であり、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物1g中における、エポキシ樹脂(B)とエポキシ基含有ポリオレフィン(C)とが有するエポキシ基の合計の割合が25〔μmol〕以上から300〔μmol〕以下の範囲であり、さらにエポキシ樹脂(B)のエポキシ当量が、100〔g/eq.〕以上から2400〔g/eq.〕以下の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項5記載の成形品と、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物とを接着する複合成形品の製造方法。
  9. 請求項5記載の成形品に、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物を接触させた後、該硬化性樹脂組成物を硬化する工程を含む、複合成形品の製造方法。
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