JP2014065774A - 難燃性ポリアリーレンスルフィド樹脂成物及びそれよりなる複合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも、溶融粘度が50〜1000ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、変性エチレン系共重合体(B)、エポキシ当量300〜2500の固形状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)を含んでなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、それぞれの重量分率配合割合(a)、(b)、(c)の関係が下記式1〜3のそれぞれを満足する難燃性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
((b)+(c))/((a)+(b)+(c))=0.070〜0.110 (式1)
(b)/((a)+(b))=0.030〜0.100 (式2)
(c)/((a)+(c))=0.040〜0.080 (式3)
【選択図】 なし
Description
((b)+(c))/((a)+(b)+(c))=0.070〜0.110 (式1)
(b)/((a)+(b))=0.030〜0.100 (式2)
(c)/((a)+(c))=0.040〜0.080 (式3)
以下に、本発明を詳細に説明する。
((b)+(c))/((a)+(b)+(c))=0.070〜0.110 (式1)
(b)/((a)+(b))=0.030〜0.100 (式2)
(c)/((a)+(c))=0.040〜0.080 (式3)
そして、本発明の難燃性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物においては、上記式1〜3のそれぞれの関係を満足することにより、高い難燃性と高い成形流動性、金属との良好な接合力を有するとともに、薄い肉厚であっても高い難燃性を有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となるものである。ここで、式1〜3で示される関係のうち1つでも満足しない樹脂組成物である場合、薄肉での高い難燃性、高い成形流動性、金属との良好な接合力という特性を同時に満足することができない。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−1)と記す。):溶融粘度400ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−2)と記す。):溶融粘度450ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−3)と記す。):溶融粘度380ポイズ。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−1)(以下、変性エチレン系共重合体(B−1)と記す。):アルケマ(株)製、(商品名)ボンダインTX8030
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−2)(以下、変性エチレン系共重合体(B−2)と記す。):アルケマ(株)製、(商品名)ボンダインAX8390
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸−グリシジルエステル共重合体(B−3)(以下、変性エチレン系共重合体(B−3)と記す。):住友化学(株)製、(商品名)ボンドファーストE
<固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)>
固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)(以下、エポキシ樹脂(C−1)と記す。); DIC(株)製、(商品名)エピクロン3050;エポキシ当量780、ビスフェノールA型、固体状。
固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C−2)(以下、エポキシ樹脂(C−2)と記す。); 三菱化学(株)製、(商品名)jER1055;エポキシ当量850、ビスフェノールA型、固体状。
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(Na2S・2.9H2O)1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)8.7g及びN−メチル−2−ピロリドン3232gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、339gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2129g、N−メチル−2−ピロリドン1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、250℃にて2時間重合を行った。次いで、この系に250℃で蒸留水509gを圧入し、255℃まで昇温してさらに2時間重合反応を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを遠心濾過器で固液分離した。ケーキをN−メチル−2−ピロリドン、アセトン及び水で順次洗浄した。得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を105℃で一昼夜乾燥することによって、溶融粘度が400ポイズのPPS(A−1)を得た。
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(Na2S・2.9H2O)1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)8.7g及びN−メチル−2−ピロリドン3232gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、340gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2107g、N−メチル−2−ピロリドン1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、250℃にて2時間重合を行った。次いで、この系に250℃で蒸留水509gを圧入し、255℃まで昇温してさらに2時間重合反応を行った。重合後、減圧下で重合スラリーからN−メチル−2−ピロリドンを蒸留操作で回収した。最終到達温度は170℃で圧力は4.7kPaであった。得られたケーキに80℃の温水を加えスラリー濃度20%として洗浄し、再度、同様に温水を加え205℃まで昇温してポリ(p−フェニレンスルフィド)の洗浄を合計2回行った。得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を105℃で一昼夜乾燥することによって、溶融粘度が450ポイズのPPS(A−2)を得た。
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(Na2S・2.9H2O)1854g、30%苛性ソーダ溶液(30%NaOHaq)48g及びN−メチル−2−ピロリドン3679gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、380gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2140g、N−メチル−2−ピロリドン985gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合後、減圧下で重合スラリーからN−メチル−2−ピロリドンを蒸留操作で回収した。最終到達温度は170℃で圧力は4.7kPaであった。得られたケーキに80℃の温水を加えスラリー濃度20%として洗浄し、再度、同様に温水を加え175℃まで昇温してポリ(p−フェニレンスルフィド)の洗浄を合計2回行った。得られたポリフェニレンスルフィドを105℃で一昼夜乾燥した。次いで、乾燥したポリフェニレンスルフィドをバッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、窒素雰囲気下で245℃まで昇温し、1時間の保持による硬化処理を行うことによって、溶融粘度が380ポイズのPPS(A−3)を得た。
縦50mm×横12mm×厚さ1.5mmの短冊形状を有するアルミニウム(A5052)製板をアセトンによる脱脂処理を行った。続いて、1%塩酸水溶液、1%水酸化ナトリウム水溶液、1%塩酸水溶液の順で前処理を行った。次に、5%ヒドラジン一水和物の水溶液に浸漬した後に風乾することで、表面を酸又はアルカリ処理したアルミニウム製板を得た。
縦50mm×横12mm×厚さ1.5mmの短冊形状を有するアルミニウム(A5052)製板をアセトンによる脱脂処理を行った後、該試験片を1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液、次いで10重量%硫酸水溶液に浸漬し、さらに15重量%硫酸水溶液中で電流密度0.5A/cm3で陽極酸化することにより、表面を陽極酸化処理したアルミニウム製板を得た。
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、商品名CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)を用い、長さ127mm×幅12.7mm×厚さ0.75mmの薄肉試験片を作製し、該薄肉試験片5本をJIS C 60695−11−10 :2006 B法 垂直燃焼試験に記載の方法を準拠し、1本毎にバーナーの炎を薄肉試験片に接炎した時の試験片の残炎時間を測定し、5本の合計残炎時間を計算した。
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE75)に、深さ1mm、幅10mmの溝がスパイラル状に掘られた金型を装着し、次いで、シリンダー温度を310℃、射出圧力を190MPa、射出速度を最大、射出時間を1.5秒、及び金型温度を135℃に設定した該射出成形機のホッパーにポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を投入し、射出した。そして金型内のスパイラル状の溝を溶融流動した長さを成形流動性として測定した。成形流動性として180mmを超えるものを実用上十分な成形流動性を有すると判断した。
調製例1、調製例2により得られた表面を化学処理した金属部材を金型内にセットし、シリンダー温度330℃、金型温度150℃に設定した射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE75S)を用いて、インサート成形を行うことにより金属部材及びポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材からなる複合体を作成し、該複合体を試験片とした。該試験片を、測定装置(島津製作所製、(商品名)オートグラフAG−5000B)を用い、引張速度10mm/minで、引張試験を実施した。
合成例1で得られたPPS(A−1)89.0重量%、変性エチレン系共重合体(B−1)5.3重量%及びエポキシ樹脂(C−1)5.7重量%を予め均一に混合し、シリンダー温度320℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、繊維径10μm、繊維長3mmのガラス繊維(日本板ガラス(株)製チョップドストランド:(商品名)RES03−TP91)を該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化した難燃性ポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂組成物(以下、難燃性PPS組成物と記す。)を作製した。得られた難燃性PPS組成物は、PPS(A−1)、変性エチレン系共重合体(B−1)及びエポキシ樹脂(C−1)の合計量100重量部に対して、ガラス繊維75重量部を配合するものであった。得られた難燃性PPS組成物の難燃性、調製例1の金属部材との接合強度、成形流動性を評価した。評価結果を表1に示す。
PPS(A−1、A−2、A−3)、エチレン系共重合体(B−1、B−2、B−3)、エポキシ樹脂(C−1、C−2)を表1に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、一方、実施例1と同様のガラス繊維を、表1に示す構成割合になるように二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法により難燃性PPS組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
PPS(A−1、A−2、A−3)、エチレン系共重合体(B−2)、エポキシ樹脂(C−1、C−2)を表1に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、一方、実施例1と同様のガラス繊維を、表1に示す構成割合になるように、二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法により難燃性PPS組成物を作製した。得られた難燃性PPS組成物の、難燃性、調製例2の金属部材との接合強度、成形流動性を評価した。評価結果を表1に示す。
予め複数種のPPS(A−1、A−2)をヘンシェルミキサーで混合させておき、そのPPSと、エチレン系共重合体(B−1)、エポキシ樹脂(C−1、C−2)を表1に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、一方、実施例1で用いた同じ硝子繊維を、表1に示す構成割合になるように、二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法により難燃性PPS組成物を作製した。得られた難燃性PPS組成物の、難燃性、調製例2の金属板との接合強度、成形流動性を評価した。評価結果を表1に示す。
PPS(A−3)、変性エチレン系共重合体(B−1)、エポキシ樹脂(C−1)を表2に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、一方、実施例1で用いた同じ硝子繊維を、表2に示す構成割合になるように、二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法によりPPS組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
PPS(A−1)、エチレン系共重合体(B−2)、エポキシ樹脂(C−1)を表2に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、一方、実施例1で用いた同じ硝子繊維を、表2に示す構成割合になるように、二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法によりPPS組成物を作製した。得られたPPS組成物の、難燃性、調製例2の金属板との接合強度、成形流動性を評価した。評価結果を表2に示す。
Claims (7)
- 少なくとも、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が50〜1000ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体,エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体,エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体,エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系共重合体(B)、エポキシ当量300〜2500の固形状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)を含んでなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の重量分率配合割合(a)、該変性エチレン系共重合体(B)の重量分率配合割合(b)及び該固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)の重量分率配合割合(c)のそれぞれの関係が下記式1〜3のそれぞれを満足することを特徴とする難燃性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
((b)+(c))/((a)+(b)+(c))=0.070〜0.110 (式1)
(b)/((a)+(b))=0.030〜0.100 (式2)
(c)/((a)+(c))=0.040〜0.080 (式3) - 該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、該変性エチレン系共重合体(B)及び該固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)の合計量100重量部に対して、さらに繊維状充填材20〜80重量部を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の難燃性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を長さ127mm×幅12.7mm×厚さ0.75mmの薄肉試験片とし、該薄肉試験片5本をJIS C 60695−11−10 :2006 B法 垂直燃焼試験に記載の方法を準拠し、1本毎にバーナーの炎を薄肉試験片に接炎した時の試験片の残炎時間を測定し、5本の合計残炎時間が45秒以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- 物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属部材と請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物よりなる部材とを一体化してなることを特徴とする複合体。
- 物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属部材が、アルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材、銅製部材、銅合金製部材、マグネシウム製部材、マグネシウム合金製部材、鉄製部材、チタン製部材、チタン合金製部材及びステンレス製部材からなる群より選択される1種以上の金属部材であることを特徴とする請求項4に記載の複合体。
- 物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属部材が、アルミニウム製部材又はアルミニウム合金製部材をヒドラジン水溶液、アンモニア水溶液及び水溶性アミン水溶液から選択される1種以上の水溶液に浸漬する化学処理を施した表面を有する金属部材であることを特徴とする請求項4又は5に記載の複合体。
- 射出インサート成形にて一体化された複合体であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の複合体。
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