JP2009126884A - ポリアリーレンスルフィド組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド(A)67〜98.9重量%、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体(b1),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(b2),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(b3),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体(b4),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(b5)からなる群より選択される少なくとも1種以上のポリエチレン系共重合体(B)1〜30重量%、及び、ケチミン構造を有するシラン化合物(C)0.1〜5重量%からなるポリアリーレンスルフィド組成物。
【選択図】 なし
Description
(ここで、R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基であり、R3は炭素数1〜6のアルキル基又はシクロアルキル基であり、Qは炭素数1〜18の2価の炭化水素基であり、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、ケトオキシム基、イソプロペノン基またはハロゲン原子であり、nは0〜2の整数を示す。)
以下、本発明に関し詳細に説明する。
アミノ基含有ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、単にPPS(a1−2)と記す。):溶融粘度1600ポイズ、フェニレンスルフィド単位当たりのアミノ基含有量0.1モル%。
無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体(b1−1)(以下、単にPE系共重合体(b1−1)と記す。):合成例4に従って得られた無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン;無水マレイン酸含有量1.4重量%、MFR=0.7g/10分。
シラン化合物(C−1):チッソ社製、(商品名)S340;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン。
シランカップリング剤(C’−1):信越化学工業(株)製、(商品名)KBE−403;3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。
カルナバワックス(d1−1);日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末。
エポキシ樹脂(E−1):大日本インキ化学工業(株)製、(商品名)エピクロン3050;ビスフェノールA型エポキシ樹脂。
ガラス繊維(f−1); エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91;繊維径9μm、繊維長3mm。
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(Na2S・2.9H2O)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7278g、3,5−ジクロロアニリン11.7g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が400ポイズのアミノ基含有ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a1−1)と記す。)を得た。このPPS(a1−1)を、さらに酸素雰囲気下250℃で2時間硬化を行いアミノ基含有ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a1−2)と記す。)を得た。
攪拌機を装備する50リットルチタン製オートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン10773g、47%硫化水素ナトリウム水溶液5607g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3807gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、4533gの水を溜出させた。この系を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン7060gとN−メチル−2−ピロリドン5943gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて1時間重合し、続けて250℃まで昇温し、250℃にて2時間重合した。更に、250℃で水1503gを圧入し、再度255℃まで昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを固液分離した。ポリマーをN−メチル−2−ピロリドン、アセトン及び水で順次洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、PPS(a2−1)を得た。
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(Na2S・2.9H2O)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7160g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が280ポイズのポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a−1)と記す。)を得た。このPPS(a−1)を、さらに酸素雰囲気下250℃で4時間硬化を行いPPS(a−2)を得た。
赤外線吸収スペクトル測定装置により、1900cm−1の吸収(ベンゼン環のC−H面外偏角振動)と、3387cm−1の吸収(アミノ基のN−H伸縮振動)を測定し、該吸収比よりアミノ基含有量を得た。なお、その際の検量線はベンゼンとアニリンの混合物より作成した。
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、商品名CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ニポロンZ 1P53A)10kgに対し無水マレイン酸(和光純薬工業(株)製)250g、ジアルキルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ25B)10gをヘンシェルミキサーにて均一に混合した。その後、二軸押出機(東芝機械(株)、商品名TEM−35−102B)にて、シリンダー温度220℃で押出し、PE系共重合体(b1−1)を得た。赤外線吸収スペクトルによりカルボニル基による吸収を測定し、別途作成した検量線から求めた無水マレイン酸含有量は1.4wt%であった。また、メルトフローレート(MFR)は0.7g/10分(測定温度190℃、荷重21.18N)であった。
射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)によって、ASTM D638 1号ダンベル試験片を作製した。試験片をダンベル平行部中心で2つに切断し、二液性エポキシ接着剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名XNR5002及びXNH5002)にて、接着面積1.27cm2(試験片幅1.27cm、接着代1.0cm)、厚さ0.1mmで接着し、100℃×1hr続いて150℃×3hrでエポキシ接着剤を硬化させた。硬化した試験片を引張試験機((株)島津製作所製、商品名オートグラフAG−5000B)で5mm/分で引張り、破断強度を測定した。破断強度を接着面積で除して、接着強度とした。また、接着破壊の形態を次の3つに分類した。
凝集(破壊);接着強度が高く、接着剤で破壊。
母材(破壊);接着強度が中で、ポリアリーレンスルフィド組成物の試験片が破壊。
界面(破壊);接着強度が低く、ポリアリーレンスルフィド組成物の試験片と接着剤との界面で破壊。
接着強度の測定に用いた試験片を100℃に設定したギヤー式老化試験器((株)東洋
精機製作所製、商品名60−P)に入れ、1000時間加熱した。その後試験片を取り出し、接着強度を測定した。この値を熱老化後の接着強度とし、加熱前の接着強度を100%とした熱老化後の接着強度の残率が、100%に近いほど熱老化性に優れると判断した。
射出成形によりASTM D−638の1号試験片を作製し、該試験片を用いて、ASTM D−638に準じ、引張強度及び引張伸びを測定した。測定装置(島津製作所製、(商品名)オートグラフAG−5000B)を用い、チャック間距離110mm、測定速度5mm/分の試験条件で行った。引張強度が高いほど機械的強度に優れ、引張伸びが大きいほど靭性に優れると判断した。
射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)によってシャルピー衝撃強度測定用試験片を作製し、ノッチングマシーン((株)東洋精機製作所製、商品名A−3型)によりノッチを入れ、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製、商品名DG−CB型)を用いて、ISO179に準拠し測定を行った。
射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)によって試験片を作製し、引張試験機((株)島津製作所製、商品名オートグラフAG−5000B)を用いて、ASTM D638に準拠し測定を行った。
射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)によって、30mm×20mm×10mmの直方体の鋼材(炭素鋼)をインサートするインサート成形を行い、肉厚1mmのポリアリーレンスルフィド組成物で被覆する耐ヒートサイクル用テストピースを作製した。得られたテストピースを150℃で30分保持した後、−40℃で30分保持を行うことを1サイクルとする冷熱サイクルに供し、目視によりクラックが発生まで該サイクルを継続し、クラックの発生が認められた冷熱サイクル処理数を耐ヒートサイクル性として評価した。該冷熱サイクル処理数が大きいものほど耐ヒートサイクル性に優れると判断した。
PPS(a1−2)84重量%、PE系共重合体(b1−1)15重量%及びシラン化合物(C−1)1重量%の割合で配合して、290℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド組成物を作製した。
PPS(a1−2、a2−1、a−2)、PE系共重合体(b1−1、b2−1,2、b3−1)、シラン化合物(C−1)及びエポキシ樹脂(E−1)を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
PPS(a1−2)、PE系共重合体(b2−1)、シラン化合物(C−1)、シランカップリング剤(C’−1,2)、及びエポキシ樹脂(E−1)を表2に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
PPS(a1−2)84重量%、PE系共重合体(b1−1)15重量%、及びシラン化合物(C−1)1重量%からなる合計量100重量部に対し、滑剤(カルナバワックス(d1−1))0.5重量部の割合で配合し、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(f1−1)が50重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド組成物を作製した。
PPS(a1−2、a2−1、a−2)、PE系共重合体(b1−1、b2−1,2、b3−1)、シラン化合物(C−1)、滑剤(カルナバワックス(d1−1),酸アマイドワックス(d2−1))、エポキシ樹脂(E−1)及び充填材(ガラス繊維(f1−1)、炭酸カルシウム(f2−1))を表3に示す割合で配合した以外は、実施例10と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド組成物を作製し、実施例10と同様の方法により評価した。評価結果を表3に示す。
PPS(a1−2)、PE系共重合体(b2−1)、シラン化合物(C−1)、シランカップリング剤(C’−1,2)、滑剤(カルナバワックス(d1−1),酸アマイドワックス(d2−1))、エポキシ樹脂(E−1)及び充填材(ガラス繊維(f1−1)、炭酸カルシウム(f2−1))を表4に示す配合割合とした以外は、実施例10と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド組成物を作製し、実施例10と同様の方法により評価した。評価結果を表4に示す。
Claims (6)
- ポリアリーレンスルフィド(A)67〜98.9重量%、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体(b1),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(b2),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(b3),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体(b4),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(b5)からなる群より選択される少なくとも1種以上のポリエチレン系共重合体(B)1〜30重量%、及び、下記式(1)で表されるケチミン構造を有するシラン化合物(C)0.1〜5重量%からなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド組成物。
(ここで、R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基であり、R3は炭素数1〜6のアルキル基又はシクロアルキル基であり、Qは炭素数1〜18の2価の炭化水素基であり、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、ケトオキシム基、イソプロペノン基またはハロゲン原子であり、nは0〜2の整数を示す。) - ポリアリーレンスルフィド(A)が、アリーレンスルフィド単位あたり0.05〜5モル%に相当する官能基を有する官能基含有ポリアリーレンスルフィド(a1)及び/又は直鎖状ポリアリーレンスルフィド(a2)であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
- ポリアリーレンスルフィド(A)が、アミノ基含有ポリアリーレンスルフィド、カルボキシル基含有ポリアリーレンスルフィド、チオール基含有ポリアリーレンスルフィド、水酸基含有ポリアリーレンスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種以上のポリアリーレンスルフィドであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
- シラン化合物(C)が、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
- ポリアリーレンスルフィド(A)、ポリエチレン系共重合体(B)、シラン化合物(C)の合計100重量部に対し、カルナバワックス(d1)及び/又はカルボン酸アマイド系ワックス(d2)からなる滑剤(D)0.05〜5重量部を配合してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
- ポリアリーレンスルフィド(A)、ポリエチレン系共重合体(B)、シラン化合物(C)の合計100重量部に対し、さらにエポキシ樹脂(E)0.1〜5重量部、充填材(F)10〜150重量部を配合してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
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