JP2007217679A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品 Download PDF

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秀幸 中島
Shigeru Okita
茂 沖田
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Abstract

【課題】 耐衝撃性、高剛性、成形加工性に優れ、かつ、電気特性に優れ、特に塗装時に前処理せず塗装するのに適したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】組成物全体を100重量%として、(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂30〜70重量%と(B)変性オレフィン重合体1.0〜10重量%(C)未変性オレフィン重合体1.0〜15重量%で、かつ(B)と(C)の重量比(B)/(C)が0.1〜1.9であり、(D)無機繊維を20〜60重量%、(E)エポキシ樹脂を0.01〜6.0重量%を配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性、高剛性、成形加工性に優れ、かつ、電気特性に優れた成形品に成形品表面をアルコール等で脱脂することなく、プライマーを塗布し、プライマーと同じ系統の塗料を塗布したときの塗料の密着性にすぐれるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品、さらにはその成形品の塗装方法に関するものである。
熱可塑性樹脂の中でもポリフェニレンスルフィド樹脂を使用した部品は、耐衝撃性、高剛性、成形加工性に優れ、かつ、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、電気特性に優れた性能を有するため高機能、高性能のエンジニアリングプラスチックとして注目されている。また近年、これらの特性を活かして外観部品として注目されている。
ところがポリアリーレンスルフィド樹脂を使用した材料もいくつかの欠点が指摘されている。例えば、外観部品として使用するには意匠性が求められるため、塗装を施す必要があるが、耐薬品性に優れるポリフェニレンサルファイド樹脂組成物では、塗装方法が限られた方法でのみの使用となることや、塗装前に成形品表面に脱脂処理や表面改質処理することが必要となる。このような問題があるため、ポリフェニレンサルファド樹脂組成物に塗装を施すことは、コストが高く汎用性が低いため、安価で汎用性の高い手法で塗装性に優れた性能を有する樹脂材料での部品供給が求められている。
特許文献1,2には、塗装の密着性を挙げるためには、ポリフェニレンサルファイド樹脂成形品にイソプロピルアルコールやエタノールなどで脱脂することで樹脂表面の異物を取り除き、プライマーとの密着性を上げ、塗装性を向上させることが報告されている。しかし、この手法では、拭き取り工程が必要なため、コストアップや拭き取りムラによる塗装性の悪化が懸念される。また、特許文献1については変性エラストマと未変性エラストマの添加の記載はあるものの、エポキシ樹脂については何ら記載されていない。特許文献2についてはエラストマの記載およびエポキシ樹脂については何ら記載されていない。
特許文献3,4には、樹脂成形品表面を粗化させてアンカー効果によりプライマーとの密着性を上げることが報告されている。しかしながら、表面を粗化させる工程や表面処理装置が必要であるため、塗装時のコストアップのため汎用的に使用できないという問題があった。また、特許文献3には変性、未変性エラストマともに記載がなく、エポキシ樹脂についても全く言及されておらず、表面処理無では塗装密着性が悪くなるため表面処理が必須となる。
特許文献5には、塗装時の乾燥温度を120℃以上に上げてエポキシ系プライマーとポリフェニレンサルファイド樹脂との密着性を高める方法が記載されている。しかし、プライマーの種類や乾燥温度が限定されるため、特定の塗装メーカーのみでしか塗装することができないという問題があった。また、この塗装方法も、プライマー処理前に脱脂しなければ、密着性が悪くなることが知られている。さらに、エポキシ樹脂については何ら記載されていない。
特許文献6には、エポキシ樹脂とオレフィン、エポキシ、シラン化合物からなるポリフェニレンサルファイド樹脂組成物が報告されている。しかし、これはエポキシ樹脂単体との接着性であり、本発明は塗料、シンナー、硬化剤からなるプライマーとの密着性であり、その特許文献6では、全く検討されていない。また、特許文献6で検討されているのは、変性エラストマと未変性エラストマの比率が2.0のみの場合であり、その比率以外のエポキシ樹脂の密着性はもちろんのこと、塗装性に関しては全く言及されていない。
さらに、一般的に表面活性を促すためのコロナ放電処理、紫外線照射処理、ガス炎処理、プラズマ処理、光グラフト処理などを施し、プライマーとの密着性を上げることが知られている。しかしながら、表面を粗化させる工程や表面活性処理装置が必要であるため、塗装時のコストアップのため汎用的ではないという問題があった。
特開2004−359845号公報(特許請求の範囲) 特開平11−347483号公報(特許請求の範囲) 特開2003−159562号公報(特許請求の範囲) 特開2002−97292号公報(特許請求の範囲) 特開2001−316587号公報(特許請求の範囲) 特開2005−60454号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明は、耐衝撃性、高剛性、成形加工性に優れ、かつ、電気特性に優れ、特に塗装時に前処理せず塗装するのに適したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、以下のような手法にてポリアリーレンスルフィド樹脂とポリオレフィン樹脂、シラン化合物、無機繊維およびエポキシ樹脂を配合することにより上記課題が解決できる。
すなわち、本発明は、
(1)組成物全体を100重量%として、(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂30〜70重量%と(B)変性オレフィン重合体1.0〜10重量%(C)未変性オレフィン重合体1.0〜15重量%で、かつ(B)と(C)の重量比(B)/(C)が0.1〜1.9であり、(D)無機繊維を20〜60重量%、(E)エポキシ樹脂を0.01〜6.0重量%を配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、
(2)さらに、(F)シラン化合物を0.01〜3.0重量%配合してなる(1)記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、
(3)曲げ弾性率が8.0GPa以上、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)が8.0kJ/m以上でありかつ、周波数1MHz〜3GHzでの誘電正接が0.01以下である(1)〜(2)のいずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、
(4)(1)〜(3)いずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品、
(5)(4)記載の成形品に塗装をした成形品、
(6)成形品が電気電子、自動車用の外装または筐体部品である(4)または(5)いずれか記載の成形品、
(7)筐体部品が携帯電話用部品である(6)記載の成形品、および
(8)(4)記載の成形品に脱脂することなく、エポキシ系、アクリルウレタン系、アクリルシリコン系、アクリルメラミン系のプライマーを塗布し、プライマーと同じ系統の塗料を塗布する成形品の塗装方法である。
上記のように構成される本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を用いれば、耐衝撃性、高剛性、成形加工性に優れ、かつ、電気特性に優れ、特に塗装性を向上させることができ、該樹脂組成物を、縦80mm、横80mm、厚さ3mmの角板を射出成形してなる成形品の表面を脱脂することなく塗装したときのJIS K5400の碁盤目法の評価点数が8点以上であり、極めて実用性に優れた塗装部品を得ることができる。特に上記本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を用いた成形品は塗装性に優れるため、各種外装用および筐体用部品に有用である。
(a)本発明で使用するポリアリーレンスルフィド樹脂としては、下記構造式で示される繰り返し単位を有するポリフェニレンスルフィド樹脂が好ましく挙げられる。
Figure 2007217679
上記構造式で示される繰り返し単位を70モル%以上、特に90モル%以上含むポリフェニレンスルフィド樹脂であることが耐熱性の点でより好ましい。また、上記ポリフェニレンスルフィド樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成したものであってもよい。
Figure 2007217679
ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法については、特に制限はなく、通常、公知の方法、例えば特公昭45−3368号公報に記載される方法あるいは特公昭52−12240号公報に記載される方法などによって製造できる。本発明において上記のように得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、また、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄を施した上で使用することも可能である。有機溶媒で洗浄する場合、用いる有機溶媒としてはポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアルデヒド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドラフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化メチレン、パークロルエチレン、モノクロルエチレン、モノクロルエタン、クロルベンゼン、などのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、及びベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられ、中でもN−メチルピロリドンやアセトンが好ましい。洗浄温度についても特に制限が無く通常、常温から300℃程度が選択される。酸水溶液で洗浄する場合、用いる酸としてはポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用を有しないものであれば、特に制限は無く、例えば酢酸、塩酸、リン酸、珪酸、炭酸及びプロピル酸などが挙げられる。また、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネ−ト基などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも可能である。
上記(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂の配合量は、組成物全体を100重量%として、30〜70重量%、好ましくは40〜65重量%、より好ましくは50〜63重量%である。30重量%よりも少ないと押出性や成形性が悪化するため好ましくなく、70重量%より多いと曲げ弾性率が低くなるため好ましくない。
本発明において(B)変性オレフィン重合体は1種もしくは2種類以上で使用することも可能である。変性オレフィン重合体とは、少なくとも1種類以上の官能基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン重合体などが挙げられる。
オレフィン重合体にエポキシ基、酸無水物基などの官能基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの酸無水物基を含有する単量体、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
本発明において(B)変性オレフィン重合体に、導入する上記官能基含有成分以外の部分を構成するオレフィン系重合体部分としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、イソブチレンなどのα−オレフィン単独または2種以上を重合して得られる重合体、α−オレフィンとアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和酸およびそのアルキルエステルとの共重合体、カルボン酸金属錯体などのアイオノマーを含有する単量体などが挙げられる。
配合量が少な過ぎると衝撃性が不十分の傾向にあり、配合量が多過ぎるとガスの発生量が多く、かつ流動性が不十分となる傾向にある。
本発明において(B)変性オレフィン重合体のオレフィン重合体部分の好適な具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体などが挙げられる。
これらオレフィン重合体部分に官能基含有成分を導入する方法は特に制限なく、共重合せしめたり、オレフィン重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。官能基含有成分の導入量は変性オレフィン重合体全体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
本発明で特に有用なオレフィン重合体にエポキシ基、酸無水物基などの官能基を有する単量体成分を導入して得られる(B)変性オレフィン重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体などを挙げることができる。
好ましいものとしては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
とりわけ(B)変性オレフィン重合体の好ましいものとしては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられる。
上記(B)変性オレフィン重合体の配合量は、組成物全体を100重量%として、1.0〜10重量%、好ましくは1.0〜6.0重量%、より好ましくは1.0〜5.0重量%である。1.0重量部よりも少ないと塗装性も衝撃性も向上しないため好ましくない。10重量%よりも多いと成形時の発生ガスが多くなり好ましくない。
本発明において(C)未変性オレフィン重合体は1種もしくは2種類以上で使用することも可能である。未変性オレフィン重合体とは、官能基が導入されていないオレフィン重合体のことである。
上記(C)未変性オレフィン重合体としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、イソブチレンなどのα−オレフィン単独または2種以上を重合して得られる重合体、α−オレフィンとアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和酸およびそのアルキルエステルとの共重合体、カルボン酸金属錯体などのアイオノマーを含有する単量体などが挙げられる。
なかでも、特に靭性改良の観点からエチレン・α−オレフィン系共重合体が好ましい。エチレン・α−オレフィン系共重合体の具体例としては、エチレンおよび炭素数3〜20を有する少なくとも1種以上のα−オレフィンを構成成分とする共重合体である。上記の炭素数3〜20のα−オレフィンとして、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、 4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも炭素数6から12であるα−オレフィンを用いた共重合体が靭性の向上、改質効果の一層の向上が見られるためより好ましい。
上記(C)未変性オレフィン重合体の配合量は、組成物全体を100重量%として、1.0〜15重量%、好ましくは1.0〜12重量%、より好ましくは1.0〜10重量%である。1.0重量部よりも少ないと塗装性も衝撃性も向上しないため好ましくない。15重量%よりも多いと成形時の発生ガスが多くなり好ましくない。
また、本発明では(B)と(C)の重量比(B)/(C)が0.1〜1.9となるように配合することが重要である。このような比率で配合することで、塗装性に優れる樹脂組成物が得られる。なかでも、好ましくは0.2〜1.2であり、より好ましくは0.3〜1.0であり、機械的特性、電気的特性および塗装性のバランスに優れた樹脂組成物を得ることができる。(B)/(C)が0.1より小さいか、あるいは1.9より大きいと塗装性が悪くなるため好ましくない。
本発明で用いられる(D)無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維などを挙げることができ、他にチタン酸カリウムウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、ワラステナイト、セリサイト、カオリンなどのウィスカも使用することが出来る。より好ましくは、平均繊維径5〜14μm、繊維の長さについては、短繊維であれば、1mm〜6mmの長さが押出時の供給安定性の面で好ましく、もしくはロービング状でも良い。本発明に用いられる、このような無機繊維の例としては、特にガラス繊維が好ましい。
本発明においては、本発明の効果を損なわない程度の範囲で、さらにその他の非繊維状の充填材を配合することができる。このような非繊維状の補強材としては、上記(D)無機繊維以外のものであり、具体例としては、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート、などのケイ酸塩、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属化合物、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素及びシリカなどが挙げられる。このような非繊維状の充填材としては、長径Lと短径Dの比(L/D)が10以下のものが特に好ましい。
上記(D)無機繊維の配合量は、組成物全体を100重量%として、20〜60重量%、好ましくは25〜50重量%、より好ましくは30〜40重量%である。20重量%よりも少ないと曲げ弾性率が低くなり、60重量%以上だと押出性、成形性が悪化するため好ましくない。
本発明において(E)エポキシ樹脂は、1種または2種以上で使用することも可能である。ここでエポキシ樹脂とは、液体または固体状のものであり、分子量が50から10000の1分子中にエポキシ基を1個以上含むものである。
具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビスフェノールAD、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、レゾルシン、サリゲニン、トリヒドロキシジフェニルジメチルメタン、テトラフェニロールエタンこれらのハロゲン置換体およびアルキル基置換体、ブタンジオール、エチレングリコール、エリスリット、ノボラック、グリセリン、ポリオキシアルキレン等のヒドロキシル基を分子内に2個以上含有する化合物とエピクロルヒドリン等から合成されるグリシジルエーテル系、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系、アニリン、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、1,3−ビスアミニメチルシクロヘキサン等の第一または第二アミンとエピクロロヒドリン等から合成されるグリシジルアミン系、等々のグリシジルエポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリオレフィン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等々の非グリシジルエポキシ樹脂が挙げられる。
好ましいものとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビスフェノールADなどのビスフェノール型エポキシ樹脂などが挙げられる。とりわけ好ましいものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
上記(E)エポキシ樹脂の配合量は、組成物全体を100重量%として、0.01〜6.0重量%、好ましくは0.1〜4.0重量%、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。0.01重量%よりも少ないと塗装性が悪くなり、6.0重量%を超えると塗装性や押出性が悪化するため好ましくない。
本発明で用いられる(F)シラン化合物としては、エポキシシラン化合物、アミノシラン化合物、ウレイドシラン化合物、イソシアネートシラン化合物のほか種々のものが使用できる。
かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、およびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
上記(F)シラン化合物の配合量は、組成物全体を100重量%として、0.01〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.2〜2.0重量%である。0.01重量%より少ないと物性の低下や成形時のバリが多くなり、3.0重量%より多いと成形時の流動性悪化やガス発生量が多くなるため好ましくない。
本発明においては、本発明の効果を損なわない程度の量で他種ポリマーを添加することができる。
他種ポリマーとしてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマなどの熱可塑性樹脂を挙げることができる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない程度の量で、さらに離型剤、結晶核剤等を配合することができる。この離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、またはモンタン酸ワックス類、または脂肪酸アミド系重縮合物、例えばエチレンジアミン・ステアリン酸重縮合物、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸などが挙げられる。結晶核剤としてはポリエーテルエーテルケトン樹脂、ナイロン樹脂、タルク、カオリン等が挙げられる。
通常、成形性を改良するためにポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には離形剤が添加されており、この離形剤が成形後の製品表面に存在することにより塗装性が悪くなることが知られている。そのため、従来は表面の離形剤を拭き取ってから塗装する必要があった。しかし、本発明の組成物では離形剤が添加されていても塗装性が良好となるため、従来、塗装する前に実施していた離形剤の除去が不要となり、製品の製造工程を簡略化し、製造コストを大幅に抑えることが可能となる。
また、改質剤、着色防止剤、可塑剤、あるいは防食剤、酸化防止剤、熱安定剤、渇剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法に特に制限はないが原料の混合物を2軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなどの通常公知の溶融混合機に供給して、オレフィンの酸化による炭化物発生やポリマー酸化による茶褐色化を抑制するため不活性ガス中で280℃〜380℃の温度で溶融混練する方法などを代表例として挙げることができる。さらに口金からでてきた樹脂の温度が280℃〜340℃であることが好ましい。これは、280℃以下ではポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以下であり、押出安定性が悪く、340℃以上ではオレフィンのゲル化により炭化物が発生し、衝撃性が低下するため好ましくない。また、原料の混合順序に特に制限はなく、ポリアリーレンスルフィド樹脂、非晶性樹脂、フッ素樹脂、繊維状補強材、炭酸カルシウムおよび任意の添加剤を予めドライブレンドして、もしくはしないで上記溶融混合機に供給することにより、配合する方法が好ましく挙げられる。
かくして得られる本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、吹込成形、射出圧縮成形、トランスファー成形、真空成形など一般に熱可塑性樹脂の公知の成形方法により成形されるが、なかでも射出成形が好ましい。
本発明の組成物は、成形品としたときの曲げ弾性率が8.0GPa以上、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)が8.0kJ/m以上、周波数1MHz〜3GHzでの誘電正接が0.01以下のものが得られるので、好ましい。
曲げ弾性率の測定は、片方にゲートを有する厚み4mm、幅10mmのISO−A形の引張試験片を型締力50tonの射出成形機を用いてシリンダー温度335℃、金型温度145℃の条件で成形し、引張試験片の中央部を厚み4mm、幅10mm、長さ80mmの形状に切り出し、曲げ歪み速度2.0mm/min、支点間距離64mmの条件でISO−178に従い曲げ弾性率の測定を行った。
曲げ弾性率の測定に使用したものと同じISO引張試験片の中央部を厚み4mm、幅10mm、長さ80mmの形状に切り出し、シャルピー衝撃試験片を作成し、ISO−179に従いシャルピー衝撃強さ(ノッチ付)の測定を行った。
誘電正接の測定は、フィルムゲートを有する縦80mm、横80mm、厚さ1mmの角板を型締め力100tonの射出成形機を用いてシリンダー温度320℃、金型温度130℃の条件で成形した成形品を使用した。得られた角板をASTM2520の空洞共振摂動法に従い測定を行った。
本発明における塗装に用いる第一塗装工程の塗料をプライマーといい、プライマーは、特に限定するものではなく1種または2種以上で使用することも可能である。
具体例としては、アクリル系、アミノ系、アルキド系、エポキシ系、シリコン系、フッ素系、アクリルウレタン系、アクリルシリコン系、アクリルメラミン系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、酢ビエマルジョン系、アクリルエマルジョン系等を使用することが可能で、なかでもアクリルウレタン系、アクリルシリコン系、アクリルメラミン系、エポキシ系が好適に使用することができる。第二塗装工程の塗料も必要に応じて使用することができ、同様の塗料から選択され特に、アクリルウレタン系、アクリルシリコン系、アクリルメラミン系、エポキシ系が好ましい第二塗装工程の塗料として選択される。
次に上記方法によって得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を、縦80mm、横80mm、厚さ3mmの角板を射出成形する。第一塗装工程として、この成形品にアクリルウレタン系プライマーもしくはエポキシ系プライマーを公知の方法によって塗装する。また、第二塗装工程として、第一塗装工程で使用するプライマーと実質的に密着し得る塗料を塗装する。好ましくは第一塗装工程で使用した同種の塗料である。
塗装条件である塗装温度および時間については、塗料が硬化すれば良く、特に限定されるものではないが、アクリルウレタン系、アクリルシリコン系、アクリルメラミン系は、塗装温度30℃〜100℃、塗装時間1分〜60分であり、好ましくは塗装温度40℃〜90℃、塗装時間10分〜50分であり、より好ましくは塗装温度50℃〜80℃、塗装時間20分〜40分である。エポキシ系は、塗装温度100℃〜200℃、塗装時間1分〜60分であり、好ましくは塗装温度120℃〜180℃、塗装時間10分〜50分であり、より好ましくは塗装温度130℃〜170℃、塗装時間20分〜40分である。
塗装した成形品に、碁盤目試験をした際の塗装との密着評価点数が8以上となり、極めて塗装密着性に優れ、誘電特性および機械的特性に優れた成形品を得ることが出来る。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、塗装性に優れるため、自動車の内外装部品、ノート型パソコン、電子手帳、携帯電話、PHS、携帯型オーディオ等や各種機器の塗装を必要とする内外装部品に有用である。
また、本件は塗装性と誘電特性さらには機械的特性に優れた樹脂組成物であり、かかる特性を生かしてノート型パソコン、電子手帳、携帯電話、PHS、携帯型オーディオ等の各種携帯機器の塗装を必要とする筐体に有用であり、機械特性にも優れるため内部アンテナを有する携帯電話の筐体に極めて有用である。
次に実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限を受けるものではない。
実施例における機械的特性、電気特性、塗装性は次の方法で測定を行った。
〈アクリルウレタン系塗料の塗装〉
フィルムゲートを有する縦80mm、横80mm、厚さ3mmの角板を型締め力100tonの射出成形機を用いてシリンダー温度320℃、金型温度130℃の条件で成形した。得られた角板を次のようにして塗装を行った。
第一塗装工程として、アクリルウレタン系プライマー(膜厚15μm±1μm)を塗布し、80℃、30分の条件で乾燥させた。その後、第二塗装工程の塗料(膜厚15μm±1μm)を塗布し、80℃、30分の条件で乾燥させた。
なお第一塗装工程で、角板表面をイソプロピルアルコールで拭いた状態で塗装した塗装方法を脱脂有とし、角板表面をイソプロピルアルコールで拭かなかない状態で塗装した塗装方法を脱脂無とした。
〈エポキシ系塗料の塗装〉
アクリルウレタン系塗料の塗装と同じ方法で角板を作成した後は、以下の手法によって塗装を行った。
第一塗装工程として、エポキシ系プライマー(膜厚15μm±1μm)を塗布し、160℃、20分の条件で乾燥させた。その後、第二塗装工程の塗料(膜厚15μm±1μm)を塗布し、160℃、20分の条件で乾燥させた。
〈曲げ弾性率〉
曲げ弾性率の測定は、片方にゲートを有する厚み4mm、幅10mmのISO−A形の引張試験片を型締力50tonの射出成形機を用いてシリンダー温度335℃、金型温度145℃の条件で成形し、引張試験片の中央部を厚み4mm、幅10mm、長さ80mmの形状に切り出し、曲げ歪み速度2.0mm/min、支点間距離64mmの条件でISO−178に従い曲げ弾性率の測定を行った。
〈シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)〉
曲げ弾性率の測定に使用したものと同じISO引張試験片の中央部を厚み4mm、幅10mm、長さ80mmの形状に切り出し、シャルピー衝撃試験片を作成し、ISO−179に従いシャルピー衝撃強さ(ノッチ付)の測定を行った。
〈誘電正接〉
誘電正接の測定は、フィルムゲートを有する縦80mm、横80mm、厚さ1mmの角板を型締め力100tonの射出成形機を用いてシリンダー温度320℃、金型温度130℃の条件で成形した成形品を使用した。得られた角板をASTM2520の空洞共振摂動法に従い測定を行った。
〈碁盤目試験〉
アクリルウレタン系またはエポキシ系塗料の塗装を行った成形品に、1mm角を100マスになるようにカッターナイフで碁盤目状に傷をつけ、傷をつけた100マスの上にセロハンテープ(登録商標)を貼り、そのセロハンテープ(登録商標)を剥がし、そのときの塗料の密着性評価をJIS−K5400の碁盤目法に従い実施した。
実施例1〜19、比較例1〜10
用意したPPS−1、変性オレフィン重合体(オレフィン−1)、未変性オレフィン重合体、(オレフィン−2)、繊維補強材、エポキシ樹脂およびシラン化合物を表1、表2に示す組成でドライブレンドした。使用した塗料、PPS−1、オレフィン−1,オレフィン−2、繊維補強材、エポキシ樹脂およびシラン化合物を下記に示す。
(アクリルウレタン系塗料)
第一塗装工程のプライマー
武蔵塗料(株)製
アクリルウレタン系プライマー(8950):硬化剤(8954NY):シンナー(2868)
=10:1:6(重量比)
第二塗装工程の塗料
武蔵塗料(株)製
アクリルウレタン系主剤(P79−シルバー):硬化剤(H−300−5 0):シンナー(27 993)
=4:1:3(重量比)
(エポキシ系塗料)
第一塗装工程のプライマー
武蔵塗料(株)製
エポキシ系プライマー(HB8655):シンナー(2854)
=100:60(重量比)
第二塗装工程の塗料
武蔵塗料(株)製
エポキシ系主剤(AT20−シルバー):シンナー(2253)
=100:70(重量比)。
(ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)の製造方法)
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.205kg(2.5モル)およびN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとする)5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.719kg(25.7モル)ならびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱されNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾過のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥して、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Bを用いて測定される、バレル径9.55mm、ポリアリーレンスルフィド樹脂の滞留時間8分、樹脂温度300℃、せん断速度200s−1、キャピラリーの長さをL、キャピラリーの径をDとしたときのL/D=60/1における溶融粘度が400Pa・sのポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)を得た。
(オレフィン−1)
住友化学工業(株)製 エチレン/グリシジルメタクリレート=88/12(重量%)共重合体 BF−E。
(オレフィン−2)
三井化学(株)製 エチレン/ブテン−1=82/18(重量%)(株)製 タフマーTX650。
(無機繊維)
日本電気硝子(株)製 ガラス繊維 T747GH 繊維長3mm、繊維径10μm(測定法:JIS R3420)。
(エポキシ樹脂)
ジャパンエポキシレジン(株)製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 エピコート1009。
(シラン化合物)
信越化学(株)製 β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランカップリング剤 KBM303。
このようにして得られたドライブレンド混合物をシリンダー温度320℃に設定し、不活性ガスとして窒素を二軸押出機(東芝製TEX−44)に供給し、二軸押出機により溶融混練して、ペレタイズし、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。その時の吐出後の樹脂温度は310℃〜335℃であった。
Figure 2007217679
Figure 2007217679
表1、2から明らかなように、比較例1、2はガラス繊維量が不適切な場合であり、ガラス繊維量が多いと溶融混練が出来ず、比較例2はガラス繊維量が少ないため曲げ弾性率が低くなっている。
比較例3はオレフィン量が不適切な場合であり、オレフィン量が多いと曲げ弾性率および誘電正接が悪くなる。
比較例4,5はエポキシ量が不適切な場合であり、エポキシ量が少ないと塗装性が悪くなり、エポキシ量が多いと溶融混練ができなかった。
比較例6,7は、オレフィン−1とオレフィン−2の比率が請求項の範囲外であるため、塗装性が悪くなっている。
比較例8は、イソプロピルアルコールで脱脂をした場合であり、従来技術に相当する部分である。
比較例9、10はプライマーがエポキシ系の場合であり、オレフィン−1とオレフィン−2の比率が請求項の範囲であってもエポキシ量が少ないため塗装性が悪くなり、逆にオレフィン−1とオレフィン−2の比率が請求項の範囲外であり、塗装性が悪くなっている。
それに対して、実施例1から19は機械的特性、誘電特性および塗装性の全てに優れる場合である。
実施例20,21、比較例11〜13
用意したPPS−1、変性オレフィン重合体(オレフィン−1)、未変性オレフィン重合体、(オレフィン−2)、繊維補強材、エポキシ樹脂およびシラン化合物を表3に示す組成でドライブレンドした。使用した塗料、PPS−1、オレフィン−1,オレフィン−2、繊維補強材、エポキシ樹脂およびシラン化合物は実施例1〜19、比較例1〜10と同じであり、使用した離形剤を下記に示す。
(離形剤)
共栄社化学(株)製 エチレンジアンミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物 WH255。
Figure 2007217679
表3から明らかなように、実施例20、21は、離形剤が添加されても塗装性が良い場合であり、比較例11、12は、脱脂をしないと塗装性が悪くなる場合であり、比較例13は、イソプロピルアルコールで脱脂をした場合であり、従来技術に相当する部分である。

Claims (8)

  1. 組成物全体を100重量%として、(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂30〜70重量%と(B)変性オレフィン重合体1.0〜10重量%(C)未変性オレフィン重合体1.0〜15重量%で、かつ(B)と(C)の重量比(B)/(C)が0.1〜1.9であり、(D)無機繊維を20〜60重量%、(E)エポキシ樹脂を0.01〜6.0重量%を配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. さらに、(F)シラン化合物を0.01〜3.0重量%配合してなる請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 曲げ弾性率が8.0GPa以上、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)が8.0kJ/m以上でありかつ、周波数1MHz〜3GHzでの誘電正接が0.01以下である請求項1〜2のいずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
  5. 請求項4記載の成形品に塗装をした成形品。
  6. 成形品が電気電子、自動車用の外装または筐体部品である請求項4または5いずれか記載の成形品。
  7. 筐体部品が携帯電話用部品である請求項6記載の成形品。
  8. 請求項4記載の成形品に脱脂することなく、エポキシ系、アクリルウレタン系、アクリルシリコン系、アクリルメラミン系のプライマーを塗布し、プライマーと同じ系統の塗料を塗布する成形品の塗装方法。
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