JP2010006858A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、靭性(特に低温における引張特性、耐衝撃性)、剛性の両方が特異的に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得ることを課題とするものである。
【解決手段】(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂80〜95重量%、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体1〜20重量%、および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体1〜20重量%を含有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物(ただし各成分の合計を100重量%とする。)であり、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂のクロロホルム抽出量が0.01〜1重量%であり、かつナトリウム含有量が300ppm以上であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形に好適な物性バランスに優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)樹脂は優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形用を中心として各種電気電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されている。しかし、PPS樹脂は、ナイロンやPBTなどの他のエンジニアリングプラスチックに比べ靭性が低く、その適用が限定されているのが現状であり、その改良が強く望まれている。
PPS樹脂の靭性を改良する方法として、これまで各種の軟質樹脂等を溶融ブレンドする方法が検討されてきた。特定のPPS樹脂にエポキシ基含有オレフィン系共重合体およびエポキシ基、酸無水物基を含有しないエラストマーを配合する方法(特許文献1)、特定の分子量分布を有するエチレン・α−オレフィン系共重合体およびエポキシ基、酸無水物基などの官能基含有オレフィン系共重合体を配合する方法(特許文献2)、PPSにオレフィン共重合体を特定の分散状態で混合する方法(特許文献3)、特定のPPS樹脂に特定のオレフィン共重合体を組み合わせる方法(特許文献4)が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3では室温条件での衝撃性の向上は見られるものの低温(−40℃)における衝撃性は充分でなく、特許文献4では低温における衝撃性も改良されているが本来PPS樹脂が有している優れた剛性は低下する傾向であり、これら各々の特性を高度にバランスよく有する材料が要求されている。
特開平1−306467号公報(第1頁左欄第1〜5行目) 特開2000−198923号公報(請求項1) 特開2002−226706号公報(請求項1) 特開2004−217888号公報(請求項1)
本発明は、靭性(特に低温における引張特性、耐衝撃性)、剛性の両方が特異的に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得ることを課題とするものである。
本発明によれば、低温雰囲気下においても高い靭性、耐衝撃性を有すると共に本来PPSが有している剛性をバランス良く有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が得られる。
本発明のPPS樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、剛性が優れることから射出成形体用途、特に各種容器、自動車部品、機械部品等の大型の成形品の射出成形に有用である。また該特徴を活かして、一般機器あるいは自動車用のパイプ、ケース等の構造体、または電気電子用の金属インサート成形物品などにも適している。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、特定のPPS樹脂からなる連続相中に、複数のオレフィン共重合体の分散相を形成させることにより上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂80〜95重量%、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体1〜20重量%、および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体1〜20重量%を含有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物(ただし各成分の合計を100重量%とする。)であり、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂のクロロホルム抽出量が0.01〜1重量%であり、かつナトリウム含有量が300ppm以上であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(2)前記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂をASTM−D1238 に従い、315.5℃、5000g荷重で測定したときのメルトフローレートが50〜200g/10分であることを特徴とする上記(1)に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(3)前記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂をクエンチ法で得られたものである上記(1)または(2)に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(4)前記(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体がエチレン90〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル1〜10重量%の共重合体であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(5)前記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂が連続相を形成する一方、前記(b)エポキシ基含有オレフィン重合体のシェル相中に前記(c)エチレン/α−オレフィン共重合体のコア相が包含されたコアシェル型分散相を形成し、かつその平均分散粒径が1〜200nmであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(6)上記(1)〜(5)のいずれか記載の樹脂組成物において、ASTM−D256に従って−40℃で測定したアイゾット衝撃強度が300J/m以上であり、かつASTM−D790に従って23℃で測定した曲げ弾性率が2000MPa以上を有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(7)前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を構成する樹脂の溶融混合物に、樹脂温度を320℃〜350℃に制御しつつ0.4kWh/kg以上の混練エネルギーを付与することにより製造せしめることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法
である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明で用いられる(a)PPS樹脂は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2010006858
耐熱性の観点からは、上記構造式で示される繰り返し単位を70モル%以上、さらには90モル%以上含む重合体が好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 2010006858
かかる構造を一部有するPPS重合体は、融点が低くなるため、本発明の樹脂組成物において融点が低い場合には成形性の点で有利となる。
PPS樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、特に射出成形用途に好適に用いられる。
本発明で用いられる(a)PPS樹脂は、クロロホルム抽出量が0.01〜1重量%である。(a)PPS樹脂のクロロホルム抽出量は、0.05〜0.95重量%がより好ましく、0.1〜0.9重量%がさらに好ましい。本発明におけるクロロホルム抽出量とは、有機低重合成分(オリゴマー)量の指標となるものである。本発明におけるクロロホルム抽出量は、測定するPPS樹脂10gをクロロホルム200mLを用いて、ソックスレー抽出5時間処理時の残差量から算出する。オリゴマー量が上記の範囲にあると得られるPPS樹脂組成物の低温衝撃性を大幅に向上することが可能となる。クロロホルム抽出量が1重量%を越える場合には、得られるPPS樹脂組成物の低温衝撃性が低下する傾向になるため好ましくない。
本発明で用いられる(a)PPS樹脂は、ナトリウム含有量は300ppm以上である。ナトリウム含有量は、500ppm以上がより好ましく、特に好ましくは700ppm以上である。ナトリウム含有量の上限については特に制限はないが低温衝撃性とPPS樹脂組成物成形時の流動性の観点から1500ppm以下であることが好ましい。本発明におけるナトリウム含有量とは、PPS樹脂を白金皿上に乗せ灰化処理した後、塩酸処理したものを原子吸光分析によって測定した値である。ナトリウム含有量が上記の範囲にあると、得られるPPSとエポキシ基含有オレフィン共重合体との反応が速やかに進行するため低温衝撃性を大幅に向上することが可能となる。
本発明で用いられる(a)PPS樹脂は、ASTM−D1238に従って、315.5℃、5000g荷重で測定したメルトフローレート(以下、MFRと略す)が50〜200g/10分であることが好ましい。(a)PPS樹脂のMFRは、55〜180g/10分がより好ましく、60〜150g/10分がさらに好ましい。MFRが50g/10分未満である場合には、得られるPPS樹脂組成物の流動性が低下し、大型成形品を成形することが困難になるので好ましくない。逆にMFRが200g/10分を超える場合には得られるPPS樹脂組成物の衝撃強度が低下し、大型成形品とした場合に割れなどが生じる可能性があるので好ましくない。
またPPS樹脂は、熱酸化架橋処理による高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。熱酸化架橋処理による高分子量化を行わずに、上記のMFRの範囲を有するPPS樹脂は、低分子量(高MFR)PPSを熱酸化架橋により高分子量化したPPS樹脂と比較して、耐衝撃性が高い。さらに、実質的に直鎖状のPPS樹脂は、後述のコアシェル型構造を形成しやすく、好ましい。
PPS樹脂は、ポリハロゲン芳香族化合物とスルフィド化剤とを極性有機溶媒中で反応させて得られるPPS樹脂を回収、後処理することで高収率で製造することができる。
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどが挙げられる。これらの中で、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のPPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、さらに好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
本発明において、仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、さらに好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
以下に、本発明に用いる(a)PPS樹脂の製造方法の一例について、前工程、重合反応工程、回収工程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明する。
スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
また、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。望ましい条件は、不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、より好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、150℃以上、より好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.5〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは、重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。水分量のより好ましい範囲は、スルフィド化剤1モル当たり0.75〜2.5モルであり、1.0〜1.25モルの範囲がより好ましい。かかる範囲に水分を調整するために、重合前あるいは重合途中で水分を添加することも可能である。
N−メチル−2−ピロリドンなどの有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂を製造する。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜220℃の温度範囲で、有機極性溶媒にスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を加える。この段階で酢酸ナトリウムなどの重合助剤を加えてもよい。ここで、重合助剤とは得られるPPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃〜245℃で一定時間反応させた後、250〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜245℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲内で選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲内で選択される。
重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。
本発明で用いるPPS樹脂の回収方法としては、重合反応物を結晶化させながら徐々に冷却した後、固形物を濾過して回収する方法(クエンチ法)が、好ましく挙げられる。この方法の場合は、結晶化過程で粒子から排除されるために、回収した固形物から残存するイオン性化合物などの不純物や有機低重合度物が除去されやすい。そのため本発明で用いるクロロホルム抽出量が0.01〜1重量%のPPS樹脂を得るために好適な方法である。その他の回収法として重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法(フラッシュ法)が挙げられるが、この回収方法では固化過程で不純物や有機低重合度物(オリゴマー)がポリマー中に取り込まれやすい傾向があるため本発明で用いるクロロホルム抽出量が0.01〜1重量%のPPS樹脂を得る方法としては好ましくない。
本発明で用いられる(a)PPS樹脂は、上記重合、回収工程を経て生成した後、熱水処理や有機溶媒による洗浄を施して用いられる。また、洗浄時にアルカリ土類金属塩や酸などの添加剤を適宜用い洗浄を行って良いが、目的のナトリウム含有量のPPS樹脂を得るには上記添加剤を使用せずに洗浄を行うことが好ましい。
熱水処理を行う場合は次のとおりである。PPS樹脂を熱水処理するにあたり、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上とすることが好ましい。100℃未満ではPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。
熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、乾燥PPS1kg当たり水1kg以上用いて洗浄することが好ましく、3kg以上用いて洗浄することがより好ましい。上限としては特に制限はないが、使用量と得られる効果の点から100kg以下であることが好ましい。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解は好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。さらに、この熱水処理操作を終えたPPS樹脂は、残留している成分を除去するため温水で数回洗浄するのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。PPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド/スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール/フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用が好ましく、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の例としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめる方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能であり、洗浄を複数回行ってもよい。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。特に好ましい洗浄温度は70〜100℃である。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。PPS樹脂と有機溶媒との割合は、乾燥PPS1kg当たり有機溶媒1kg以上用いて洗浄することが好ましく、3kg以上用いて洗浄することがより好ましい。上限としては特に制限はないが、使用量と得られる効果の点から100kg以下であることが好ましい。また、有機溶媒による洗浄を行った後に温水で洗浄処理してもよく、かかる温水洗浄は複数回行ってもよい。温水での洗浄温度は、常温〜95℃が好ましく、50℃〜90℃がより好ましい。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。PPS樹脂と温水との割合は、乾燥PPS1kg当たり温水1kg以上用いて洗浄することが好ましく、3kg以上用いて洗浄することがより好ましい。上限としては特に制限はないが、使用量と得られる効果の点から100kg以下であることが好ましい。
これら熱水処理や有機溶媒による洗浄は、目的の溶融粘度およびクロロホルム抽出量、ナトリウム含有量を有する(a)PPS樹脂を得るために適宜組み合わせて行うことが可能であり、本発明においては有機溶媒による洗浄を行ったPPS樹脂が好ましく用いられ、特に好ましくは有機溶媒で複数回洗浄した後に温水で3回以上洗浄したPPS樹脂である。
本発明で用いられる(a)PPS樹脂は、その灰分量が0.1重量%以上0.6重量%以下であることが好ましく、0.15重量%以上0.30重量%以下の範囲がより好ましい。灰分量が上記の範囲にあると(a)PPS樹脂中に分散するコアシェル型構造の分散相の平均分散粒径を微細化でき、その結果、靭性(特に低温における耐衝撃性、引張特性)が良くなる。灰分量が0.15重量%未満では低温引張伸びが低くなるため好ましくなく。一方、灰分量が0.6重量%を越える範囲では、後述のコアシェル型構造の形成を阻害してしまい、結果として低温衝撃強度が低下するため好ましくない。
ここで灰分量の測定方法は、150℃で1時間乾燥したPPS樹脂約5gを、秤量した後、るつぼに入れ、電気コンロで3時間程度予備燃焼させた後、電気炉で550℃、約20時間燃焼させ、完全に灰化する。残渣重量を測定し、乾燥後の樹脂の重量に対する残渣の重量の割合を算出したものである。
また、本発明において、PPS樹脂に含まれる灰分を制御するためには、熱水処理を行う条件が重要な要件の一つである。さらに、この熱水処理操作を終えたPPS樹脂を温水で洗浄する操作も、灰分量を制御する上で重要な要件である。洗浄水量が少なすぎると灰分量が多くなり、多すぎると灰分量が少なくなる傾向にある。
また、揮発分除去を目的として、低酸素濃度で、熱酸化架橋を抑制しながら、乾式熱処理を行うことも可能である。その温度は130〜250℃が好ましく、160〜250℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は5体積%未満、さらには2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。
本発明で用いる(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体は、オレフィン重合体もしくはオレフィン共重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン共重合体である。
エポキシ基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
これらのエポキシ基含有成分を導入する方法は特に制限はなく、重合時に共重合せしめたり、オレフィン重合体もしくはオレフィン共重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。
エポキシ基を含有する単量体成分の導入量は、エポキシ基含有オレフィン共重合体全体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが好ましい。
本発明で特に有用な(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体としては、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン共重合体が好ましく挙げられる。上記α−オレフィンとしては、エチレンが好ましく挙げられる。また、これら共重合体にはさらに、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステル等を共重合することも可能である。
本発明においては、α−オレフィン80〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜20重量%を必須共重合成分とするオレフィン共重合体が好ましく、α−オレフィン90〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜10重量%を必須共重合成分とするオレフィン共重合体が特に好ましい。
上記α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルは、
Figure 2010006858
(Rは水素原子または低級アルキル基を示す)で示される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。 α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。中でも、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体から選ばれた共重合体が好ましく用いられる。
本発明の(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体は、ASTM−D1238に従って190℃、2160g荷重で測定したメルトフローレート(以下MFRと略す)が、0.01〜70g/10分であることが好ましく、さらに好ましくは0.03〜60g/10分である。MFRが0.01g/10分未満の場合は、樹脂組成物の流動性が低くなり、好ましくない。MFRが70g/10分を超える場合は、成形品の形状によっては、その衝撃強度が低くなる場合もあり好ましくない。
本発明の(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体の密度は850〜990kg/mが好ましい。密度が990kg/mを越えると靭性が低下する傾向を示し、好ましくない。密度が850kg/m未満ではハンドリング性が低下するため好ましくない。
また、本発明で特に有用な(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレンおよび炭素数3〜20を有する少なくとも1種のα−オレフィンを構成成分とする共重合体である。上記の炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも炭素数4から12であるα−オレフィンを用いた共重合体が機械強度の向上、改質効果の一層の向上が見られるためより好ましい。
本発明の(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体は、ASTM−D1238に従って190℃、2160g荷重で測定したメルトフローレート(以下MFRと略す)が、0.01〜50g/10分であることが好ましく、さらに好ましくは0.03〜40g/10分である。MFRが0.01g/10分未満の場合は、樹脂組成物の流動性が低くなり、好ましくない。MFRが50g/10分を超える場合は、成形品の形状によっては、その衝撃強度が低くなる場合もあり好ましくない。
本発明の(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体の密度は800〜920kg/mが好ましい。密度が920kg/mを越えると低温耐衝撃性が発現し難く、好ましくない。密度が800kg/m未満ではハンドリング性が低下するため好ましくない。
本発明の(a)PPS樹脂、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体、および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの配合割合は(a)PPS樹脂80〜95重量%、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体1〜20重量%、および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体1〜20重量%(ただし各成分の合計を100重量%とする。)であり、好ましくは(a)PPS樹脂82〜90重量%、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体1〜10重量%、および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体5〜15重量%(ただし各成分の合計を100重量%とする。)である。PPS樹脂が80重量%より小さいとPPS樹脂本来の熱安定性、バリア性が損なわれるため好ましくない。逆に、PPS樹脂が95重量%より多いと本発明の特徴である優れた低温耐衝撃性が発現できないため好ましくない。さらに、本発明の(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体と(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体の配合割合は、両者の合計に対し、(b)成分が5〜60重量%、(c)成分が95〜40重量%が好ましく、より好ましくは(b)成分が10〜50重量%、(c)成分が90〜50重量%であり、さらに好ましくは(b)成分が10〜40重量%、(c)成分が90〜60重量%である。(b)成分が5重量%より小さいと目的のモルホロジーが得られにくい傾向にある。また(b)成分が60重量%より多いと溶融混練時の増粘が大きくなる傾向にある。
さらに本発明においては、高い耐熱性および熱安定性を保持するために、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤の中から選ばれた1種以上の酸化防止剤を含有せしめることが好ましい。酸化防止剤の配合量は、耐熱改良効果の点からは、(a)PPS樹脂、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体の合計100重量部に対して、0.01重量部以上、特に0.02重量部以上であることが好ましい。酸化防止剤の配合量は、成型時に発生するガス成分の観点からは、(a)PPS樹脂、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体の合計100重量部に対して、5重量部以下、特に1重量部以下であることが好ましい。また、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤を併用して使用することは、特に耐熱性および熱安定性保持効果が大きく好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物が好ましく用いられる。具体例としては、トリエチレングリコール−ビス[3−t−ブチル−(5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。中でも、エステル型高分子ヒンダードフェノールタイプが好ましく、具体的には、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが好ましく用いられる。
リン系酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビスフェニレンホスファイト、ジ−ステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリフェニルホスファイト、3,5−ジーブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネートジエチルエステルなどが挙げられる。
中でも、PPS樹脂のコンパウンド中に酸化防止剤の揮発や分解を少なくするために、酸化防止剤の融点が高いものが好ましく、具体的にはビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどが好ましく用いられる。
さらに、本発明のPPS樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体以外の樹脂を添加することが可能である。例えば、柔軟性の高い熱可塑性樹脂を少量添加することにより柔軟性および耐衝撃性をさらに改良することが可能である。ただし、この量が組成物全体50重量%を超えるとPPS樹脂本来の特徴が損なわれるため好ましくなく、特に30重量%以下の添加が好ましい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。
また、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン/ステアリン酸/セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、その他、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも組成物全体の20重量%を越えるとPPS樹脂本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量%以下が好ましく、1重量%以下がさらに好ましい。
本発明において有機シランなどのカップリング剤を配合することは、低温靭性をさらに高める上で好ましい。有機シランの配合量は(a)PPS樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部であり、好ましくは0.5〜2.5重量部である。
また、本発明のPPS樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で充填材を配合して使用することも可能である。かかる充填材の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、ワラステナイトウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石こう繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これらの充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。
本発明のPPS樹脂組成物は、(a)PPS樹脂が連続相(マトリックス)を形成し、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体が分散相を形成することが好ましい。これにより、PPS樹脂の本来有する優れた耐熱性、耐薬品性およびバリア性を樹脂組成物の特性に反映させるとともに、優れた流動性、柔軟性、耐衝撃性および低温靭性を有することができる。
さらに本発明のPPS樹脂組成物は、図1に示すように、PPS樹脂1が連続相(マトリックス)を形成し、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体成分2が一次分散相(シェル相)を形成し、さらにその一次分散相(シェル相)中に(c)エチレン/α−オレフィン共重合体成分3の二次分散相(コア相)が包含されたコアシェル型分散相を形成することが好ましい。このようなコアシェル構造を形成させることにより、特に低温領域での耐衝撃性(すなわち、低温靭性)が著しく向上することを見いだした。ここで、コアシェル構造としては、図1に示すようにシェル相が、コア相全体を包含していることが好ましいが、図2に示すように、部分的に包含した状態でもよい。この場合、分散相外周の50%以上、好ましくは80%以上を(b)成分2が覆っていることが好ましい。
ここでコアシェル構造が形成されているか否かは、樹脂組成物で観察しても良いし、樹脂組成物を成形して、成形品を観察しても良い。樹脂組成物で観察する場合、本発明のPPS樹脂組成物の断面をルテニウム染色した後、0.1μm以下の薄片を切削し、透過型電子顕微鏡を用いて1万倍の倍率で観察し、判断することができる。
本発明において、分散相がコアシェル構造を形成しているとは、このようにして観察した全分散相の数に対して、コアシェル構造を有する分散相の割合が50%以上、より好ましくは80%以上であることを言う。コアシェル構造を有する分散相の割合が50%未満の場合は、コアシェル構造を有さないとする。
また、コアシェル型分散相の(a)PPS樹脂中での平均粒子径は1〜200nmで分散していることが好ましく、さらに20〜150nmで分散していることがより好ましい。この分散形態は、PPS樹脂組成物から無染色、凍結法で0.1μm以下の薄片を切削し、透過型電子顕微鏡で観察することができる。無作為に選択した100個のコアシェル型分散相について、まずそれぞれのコア層外径の最大径と最小径を測定して平均値を求めて、各分散相の粒子径とし、その後、100個を平均して平均粒子径とする。
本発明のPPS樹脂組成物はASTM−D1238に従い、測定温度315.5℃、荷重5000gで測定したMFRが10〜50g/10分であることが必要であり、好ましくは14〜30g/10分、より好ましくは15〜26g/10分である。MFRが10g/10分未満では大型成形品を射出成形する際に充填が不良となったり、型締め圧の大きい成形機を用いる必要が生じるために好ましくない。逆にMFRが50g/10分超の場合は、成形品の耐衝撃特性が低下する傾向にあり、やはり好ましくない。
本発明のPPS組成物はASTM−D256に従い、測定温度−40℃で測定したノッチ付きアイゾット衝撃強度が300J/m以上であることが好ましく、より好ましくは400J/m以上である。衝撃強度が300J/m未満であると大型成形品を低温環境下で使用する場合に衝撃によるクラックや割れが生じる可能性があり好ましくない。また本発明のPPS組成物はASTM−D790に従い、測定温度23℃で測定した1/8インチ厚み曲げ試験片の曲げ弾性率が2000MPa以上であることが好ましく、より好ましくは2500MPa以上である。曲げ弾性率が2000MPa未満であると大型成形品を使用時に撓みや変形を引き起こす可能性があり好ましくない。本発明のPPS樹脂組成物においては、上記衝撃強度と曲げ弾性率を同時に満たすものであり、特に大型成形品用途に好適に用いられる。
本発明のPPS樹脂組成物の製造に用いる混練機は、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機に供給してPPS樹脂の融点以上の加工温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。中でも押出機、特に2軸押出機が生産性の面で好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や、低分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設けることも好んで用いられる。2軸押出機を用いて、本発明のPPS樹脂組成物の分散構造を上述の如くコントロールするためには、押出時の混練エネルギー(吐出量あたりの押出機仕事量(kW/(kg/h)))を大きくすることが必要である。押出機サイズにより異なる場合もあるが、例えば、シリンダー径30mmの2軸押出機を用いて混練した際の好ましい混練エネルギーは、0.4以上であり、特に好ましくは0.45以上である。これによって良好な溶融混練を行うことができ、目的とする樹脂相分離構造を形成することができる。混練エネルギーが大きく過ぎる場合には後述のように発熱による熱分解を生じるため0.65以下であることが好ましい。通常、混練エネルギーを大きくするとせん断による発熱で樹脂温度が上昇し、熱分解を引き起こし、物性低下を引き起こす。ここで言う樹脂温度とは、例えば押出機ダイより吐出された溶融樹脂を温度計により測定した温度を言う。そのため本発明のPPS樹脂組成物を溶融混練する時の樹脂温度は320℃〜350℃の範囲であることが好ましい。このように溶融混練時の混練エネルギーと樹脂温度を制御することは分解を抑制しつつ目的の分散離構造を形成することが可能となるため好ましい。上記のように混練条件を制御する方法の一例を示す。2軸押出機を用いた溶融混練において、シリンダー温度を低温とし、スクリュー回転数を高回転とする方法は高せん断を得ることができ、高混練エネルギーを達成することができるため好ましく用いられる。しかしながら、この場合において混練部のスクリューエレメントに従来のニーディングディスクを用いた場合には、せん断による発熱量が大きく、押出時の樹脂温度を上述のように制御することが困難である。これに対して、混練部のスクリューエレメントに低発熱混練エレメントを用いるとせん断による発熱を抑えることができ、押出時の樹脂温度制御が容易となるため好ましい。ここで言う低発熱エレメントとは、従来のニーディングディスクでは平行に配列されているフライトチップ部を螺旋角度が0〜90度あるいは90〜180度の範囲内で傾斜したスクリューエレメント、切り欠き形状のエレメントを用いて従来のせん断ではなく撹拌主体の混練をおこなうスクリューエレメント等が挙げられ、これらをスクリューの混練部に導入することにより従来のニーディングディスクに不足している樹脂の温度上昇抑制効果を得ることができる。また混練部に超臨界二酸化炭素、超臨界窒素を導入する方法もせん断による発熱を抑えることができるため好ましい。
2軸押出機のシリンダー温度は、2軸押出機に投入された樹脂を可塑化する可塑化部と可塑化された溶融樹脂を溶融混練する混練部に分けた場合、可塑化部を(a)PPS樹脂のうち融点〜融点+20℃の温度とし、混練部のシリンダー温度を150〜300℃の範囲とすることが好ましい。この際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原料を配合後溶融混練する方法、一部の原材料を溶融混練した後さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練しながらサイドフィーダーを用いて残りの原料を供給し溶融混練する方法など、いずれの方法を用いてもよい。中でも、PPS樹脂を押出機上流部の供給口から供給し、オレフィン系樹脂およびその他の成分を押出機下流部からサイドフィードする方法が好ましい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
以下の実施例において、材料特性については下記の方法により測定した。
(1)クロロホルム抽出量
PPS樹脂約10gを秤量して円筒形濾紙に入れ、クロロホルム200mLを用いて、バス温120℃で、5時間ソックスレー抽出を行った。抽出後、クロロホルムを留去し、残差量を秤量しポリマー重量当たりで計算した。
(2)ナトリウム含有量
PPS樹脂5gを白金皿上に乗せ538℃で灰化処理し、塩酸処理したものを島津製作所製の原子吸光度計AA−670を使用し、原子吸光分析によって測定した。
(3)モルホロジーの観察(コアシェル構造)
射出成形により、ASTM1号ダンベル試験片を成形した。(a)PPS樹脂マトリックス中のb)エポキシ基含有オレフィン共重合体、および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体の分散形態は、試験片の中央部を流れ方向に対して直角方向に切断し、その断面の中心部から無染色、凍結法で0.1μm以下の薄片を切削し、透過型電子顕微鏡で1万倍で観察した。
また、コアシェル構造が形成しているか否かは、試験片の中央部を流れ方向に対して直角方向に切断し、その断面の中心部を染色した後、室温にて0.1μm以下の薄片を切削し、透過型電子顕微鏡で1万倍で観察を行った。同一視野に20個以上の分散相が観察される状態で、個々の分散相につきコアシェル構造が形成されているか否かを判別し、全分散相の数に対する、コアシェル構造を有する分散相の割合から以下のように判定した。◎は、良好、○は、やや良好、×は、不十分である。
◎:コアシェル構造の形成が80%以上
○:コアシェル構造の形成が50%以上、80%未満
×:コアシェル構造の形成が50%未満
(4)モルホロジーの観察(分散粒径)
射出成形により、ASTM1号ダンベル試験片を成形した。試験片の中央部を流れ方向に対して直角方向に切断し、その断面の中心部から無染色、凍結法で0.1μm以下の薄片を切削し、透過型電子顕微鏡で1万倍で観察した。無作為に選択した100個のコアシェル型分散相について、まずそれぞれのコア層外径の最大径と最小径を測定して平均値を求めて、各分散相の粒子径とし、その後、100個を平均して平均粒子径とした。
(5)MFR
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238に従って測定した。
(6)高速引張伸び(−40℃)
ASTM1号ダンベル試験片を用い、温度雰囲気を−40℃にした以外はASTM D638に従って、引張速度500mm/minの条件で破断伸びを測定した。3個の試験片について測定し、平均値を求めた。
(7)アイゾット衝撃強度(23℃)
射出成形により、ASTM−D256に規定された、厚さ1/8インチのノッチ付試験片を作成した。ASTM−D256に従って、23℃でノッチ付アイゾット衝撃強度を測定した。5個の試験片について測定し、平均値を求めた。
(8)アイゾット衝撃強度(−40℃)
測定温度を−40℃にした以外は上記と同様にして、ASTM D256に従ってノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
(9)曲げ弾性率
射出成形により、ASTM−D790に規定された、厚さ1/4インチの曲げ試験片を作成した。ASTM−D790に従って、23℃で曲げ試験を行い、弾性率を測定した。3個の試験片について測定し、平均値を求めた。
[参考例1]A−1の調製
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム2.24kg(27.3モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.77kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.32kg(70.20モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.8℃/分の速度で200℃から235℃まで昇温し、235℃で40分反応した。その後0.8℃/分の速度で270℃まで昇温し、270℃で70分反応した後、270℃から250℃まで15分かけて冷却しながら水2.40kg(133モル)を圧入した。ついで250℃から220℃まで75分かけて徐々に冷却した後、室温近傍まで急冷し内容物を取り出した。
内容物を約35リットルのNMPで希釈しスラリーとして85℃で30分撹拌後、80メッシュ金網(目開き0.175mm)で濾別して固形物を得た。得られた固形物を同様にNMP約35リットルで洗浄濾別した。得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収する操作を合計5回繰り返した。このようにして得られた固形物を窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。得られたPPSは、クロロホルム抽出量が0.1重量%、ナトリウム含有量が650ppm、MFRが77g/10分であった。
[参考例2]A−2の調製
参考例1と同様に反応を行い、80メッシュ金網(目開き0.175mm)で濾別して固形物を得た。得られた固形物を同様にNMP約35リットルで洗浄濾別した。得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収する操作を合計3回繰り返した。得られた固形物および酢酸32gを70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過し、更に得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収した。このようにして得られた固形物を窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。
得られたPPSは、クロロホルム抽出量が0.1重量%、ナトリウム含有量が65ppm、MFRが95g/10分であった。
[参考例3]A−3の調製
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.1モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.77kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.42kg(70.86モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温し、270℃で140分反応した。その後、270℃から250℃まで15分かけて冷却しながら水2.40kg(133モル)を圧入した。ついで250℃から220℃まで75分かけて徐々に冷却した後、室温近傍まで急冷し内容物を取り出した。
内容物を約35リットルのNMPで希釈しスラリーとして85℃で30分撹拌後、80メッシュ金網(目開き0.175mm)で濾別して固形物を得た。得られた固形物を同様にNMP約35リットルで洗浄濾別した。得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収する操作を合計5回繰り返した。このようにして得られた固形物を窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。
得られたPPSは、クロロホルム抽出量が0.2重量%、ナトリウム含有量が550ppm、MFRが300g/10分であった。
[参考例4]A−4の調製
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム2.24kg(27.3モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.34kg(70.32モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.8℃/分の速度で200℃から235℃まで昇温し、235℃で40分反応した。その後0.8℃/分の速度で270℃まで昇温し、270℃で70分反応した後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。
得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。
得られたPPSは、クロロホルム抽出量が2.4重量%、ナトリウム含有量が1050ppm、MFRが180g/10分であった。
[実施例1〜10、比較例1〜6]
下に示す各成分を表1に記載の各割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機で、可塑化部のシリンダー温度を290℃、混練部のシリンダー温度を230℃、スクリュー回転数を300rpmの条件に設定して、実施例1〜8、比較例1〜6はスクリュー混練部に低発熱混練エレメントとしてフライトチップ部を螺旋角度75度で傾斜したスクリューエレメント、切り欠き形状のエレメントをそれぞれ3ユニットずつ導入したスクリューを用い、実施例9〜10はスクリュー混練部に通常のニーディングディスクを6ユニット導入したスクリューを用いて溶融混練を行い、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。110℃で1晩乾燥したペレットを用い、射出成形製(東芝機械社製IS100FA)により、シリンダー温度300℃、金型温度130℃で、ASTM1号ダンベル試験片およびノッチ付アイゾット衝撃強度測定用試験片を成形した。各サンプルのコアシェル構造形成の有無、平均分散粒径、流動性、引張伸び、衝撃強度などを測定した結果は表1に示すとおりであった。比較例1はナトリウム含有量が異なるPPS樹脂、比較例2はクロロホルム抽出量が異なるPPS樹脂を用いた場合であるがいずれも実施例と比較して分散相の平均粒径が大きく、比較例1は−40℃衝撃強度が低く、比較例2は低温高速伸びが充分でない。比較例3〜5は本願とは異なるエラストマーを使用した場合であるが−40℃衝撃強度、低温高速伸びがいずれも低かった。比較例6はPPS樹脂、エポキシ基含有オレフィン共重合体、エチレン/α−オレフィン共重合体の構成組成が本願要件とは異なる材料であり、−40℃衝撃強度、低温高速伸びの改良効果は見られるが流動性やPPSが本来有している剛性が著しく低下しており充分ではない。これに対して本実施例は低温高速伸び、衝撃強度(特に低温衝撃強度)、剛性がバランス良く優れていることが明らかである。
Figure 2010006858
本実施例および比較例に用いた(a)PPS樹脂は以下の通りである。
A−1:参考例1に記載の方法で重合したPPS樹脂
A−2:参考例2に記載の方法で重合したPPS樹脂
A−3:参考例3に記載の方法で重合したPPS樹脂
A−4:参考例4に記載の方法で重合したPPS樹脂
同様に、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体は以下の通りである。
B−1:エチレン/メタクリル酸グリシジル=92/8(重量比)の共重合体(住友化学製“ボンドファースト”ETX−6)
B−2:エチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量比)の共重合体(住友化学製“ボンドファースト”BF−E)
B−3:エチレン/メタクリル酸グリシジル/アクリル酸メチル=54/6/30(重量比)の共重合体(住友化学製“ボンドファースト”BF−7M)
同様に、(c)エチレン/α−オレフィン共重合体は以下の通りである。
C−1:MFR=0.5g/10分(190℃、2.16kg荷重)、密度0.861g/cm3のエチレン/1−ブテン共重合体(三井化学製“タフマー”TX−610)
C−2:MFR=0.5g/10分(190℃、2.16kg荷重)、密度0.868g/cm3のエチレン/1−オクテン共重合体(ダウケミカル製“エンゲージ”ENR8150)
以下のエラストマーを比較例に用いた。
D−1:アクリル酸エチル含有量18%のエチレン/アクリル酸エチル共重合体(日本ユニカー製DPDJ−6169)
D−2:エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(三井化学製三井EPT3045)
D−3:MFR=0.9g/10分(190℃、2.16kg荷重)、密度0.940g/cm3のエチレン/メタクリル酸共重合体のNa塩(三井デュポンポリケミカル製“ハイミラン”1707)
本発明によれば、成形加工時の流動性に優れると共に、高い耐衝撃性および低温靭性を有するPPS樹脂組成物が得られる。
本発明のPPS樹脂組成物は、耐衝撃性、低温靭性および流動性が優れることから射出成形体用途、特に各種容器、自動車部品、機械部品等の大型の成形品の射出成形に有用である。また該特徴を活かして、一般機器あるいは自動車用のパイプ、ケース等の構造体、または電気電子用の金属インサート成形物品などにも適している。
コアシェル型分散相構造のモデル図である。 コア相がシェル相に部分的に包含されているコアシェル型分散相構造のモデル図である。
符号の説明
1 (a)PPS樹脂
2 (b)エポキシ基含有オレフィン共重合体
3 (c)エチレン/α−オレフィン共重合体

Claims (7)

  1. (a)ポリフェニレンスルフィド樹脂80〜95重量%、(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体1〜20重量%、および(c)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体1〜20重量%を含有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物(ただし各成分の合計を100重量%とする。)であり、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂のクロロホルム抽出量が0.01〜1重量%であり、かつナトリウム含有量が300ppm以上であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂をASTM−D1238 に従い、315.5℃、5000g荷重で測定したときのメルトフローレートが50〜200g/10分であることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂をクエンチ法で得られたものである請求項1または2に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 前記(b)エポキシ基含有オレフィン共重合体がエチレン90〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル1〜10重量%の共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 前記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂が連続相を形成する一方、前記(b)エポキシ基含有オレフィン重合体のシェル相中に前記(c)エチレン/α−オレフィン共重合体のコア相が包含されたコアシェル型分散相を形成し、かつその平均分散粒径が1〜200nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の樹脂組成物において、ASTM−D256に従って−40℃で測定したアイゾット衝撃強度が300J/m以上であり、かつASTM−D790に従って23℃で測定した曲げ弾性率が2000MPa以上を有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を構成する樹脂の溶融混合物に、樹脂温度を320℃〜350℃に制御しつつ0.4kWh/kg以上の混練エネルギーを付与することにより製造せしめることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
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