JP2017155221A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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【課題】高い寸法精度を維持したまま、流動性、低温靭性、ウエルド部の耐冷熱衝撃性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品の提供。【解決手段】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体とを合計10〜20重量部、(D)無機充填材を100〜200重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体が、エチレンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとアクリル酸エステルとを含む、オレフィン共重体であり、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体が、エチレンとアクリル酸ブチルを含む、オレフィン共重合体であることが好ましいポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は高い寸法精度を維持したまま、流動性、低温靭性、ウエルド部の耐冷熱衝撃性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその成形品を提供する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略す)は、剛性、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、電気絶縁性および成形加工性をバランスよく備えているため、電気・電子部品、水廻り部品および自動車部品などに広く用いられている。
一方、PPS樹脂は、他のエンジニアリングプラスチックに比べ、靭性に劣る。そのため、金属をインサートして使用される用途などにおいて求められる、低温と高温の繰り返しによる冷熱衝撃性向上を目的に、PPS樹脂にオレフィン系共重合体を配合してなるPPS樹脂組成物の検討が行われている。
ところで、特許文献1には、耐衝撃性を発現させる目的で、PPS樹脂に反応性オレフィン系共重合体、アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体、および無機充填材を配合してなる組成物が記載されている。
一方、特許文献2、3には、耐冷熱衝撃性を発現させる目的で、PPS樹脂に反応性オレフィン系共重合体、未変性オレフィン系共重合体、および無機充填材を配合してなる組成物が記載されている。
また、特許文献4、5には、ウエルド部を含む成形品への適応を目的に、PPS樹脂に反応性オレフィン系共重合体、未変性オレフィン系共重合体、および無機充填材を配合してなる組成物が記載されている。
更に、特許文献6には、低温靭性を向上させる目的で、PPS樹脂に反応性オレフィン系共重合体、およびアクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体を配合してなる組成物が記載されている。
特開平1−306467号公報 特開2008−75049号公報 特開2002−129014号公報 特開2001−31867号公報 特開2002−3716号公報 特開2008−75034号公報
本発明は流動性、低温靭性、ウエルド部の耐冷熱衝撃性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供するものである。
近年、ハイブリッドカーや電気自動車の普及に伴い、バスバーなど、自動車に搭載される金属インサートを有する製品類が大幅に増加し、また、省スペース化のニーズも相まって、製品類の形状は小型、複雑化している。それに伴い、製品に形成されるウエルド部は増加しており、こうしたウエルド部での割れが発生しない、耐冷熱衝撃性に優れる樹脂組成物が求められている。
また、冷熱衝撃による割れは、低温側で樹脂が収縮することにより応力が発生し、それが繰り返しかかることで、樹脂が徐々に劣化していく結果、発生する。前述のとおり、PPS樹脂にオレフィン系共重合体を配合させ、靭性を向上させる検討が行われているが、更なる耐冷熱衝撃性向上には、低温環境下での靭性を向上させ、収縮により発生する応力を緩和させることが重要である。一方、無機充填材を減らす、もしくはオレフィン系共重合体を増やすことによる高靭性化は、製品の機械強度、および寸法精度を悪化させる懸念がある。
更に、薄肉、複雑形状の製品を成形するためには、流動性の良い樹脂組成物が求められるが、流動性とウエルド強度は相反する関係にあり、樹脂組成物の良流動化は、ウエルド強度、ひいては前記ウエルド部の耐冷熱衝撃性の低下を引き起こす原因となりかねない。
従って、近年のこうした用途に用いられるPPS樹脂組成物には、高い寸法精度を維持したまま、良流動であると共に低温靭性に優れ、かつウエルド部の冷熱衝撃性に優れる樹脂組成物が求められる。
しかしながら、特許文献1に記載の組成物は、オレフィン系共重合体の配合量が多く、無機充填材の配合量は少ないため、寸法精度が不十分であり、また、金型汚れ性も不十分である。一方、特許文献2〜5では、アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体の記載はあるものの、これらを併用した具体的な検討は実施されておらず、低温靭性や、ウエルド部の耐冷熱衝撃性を向上させた組成物は見出されていない。更に、特許文献6の組成物は、無機充填材を含んでおらず、機械強度、および寸法精度が不十分である。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記を提供するものである。
(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体とを合計10〜20重量部、(D)無機充填材を100〜200重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(2)前記(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体/前記(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体重量比が、1/4〜4/1である(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(3)前記(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体が、エチレンと、α、β−不飽和酸のグリシジルエステルと、アクリル酸エステルとを含むオレフィン共重合体である(1)、または(2)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(4)(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体が、エチレンと、アクリル酸ブチルとを含むオレフィン共重合体である(1)〜(3)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(5)前記(D)無機充填材が、(D−1)ガラス繊維、(D−2)炭酸カルシウムおよび(D−3)金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(4)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(6)前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、架橋状のポリフェニレンスルフィド樹脂である(1)〜(5)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(7)前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(a)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下、(b)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶融してポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残渣量が4.0重量%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂である(1)〜(6)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(8)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する(E)アルコキシシラン化合物を、前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部配合してなる(1)〜(7)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(9)(1)〜(8)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
(10)前記成形品が、2つ以上のウエルド部を含む(9)記載の成形品。
(11)前記成形品が、金属インサートを含む(9)、または(10)記載の成形品。
本発明は、特定組成のPPS樹脂組成物が、高い寸法精度を維持したまま、優れた流動性と低温靭性を両立し、かつ、高いウエルド部の冷熱衝撃性をも有するという未知なる特性を有することを見いだし、さらに金属水酸化物を配合した組成物では、耐トラッキング性にも優れることを見出したものである。本発明のPPS樹脂組成物は、複雑形状の成形品に有用であり、特に2つ以上のウエルド部を含む成形品、および金属インサートを含む成形品に有用である。
耐冷熱衝撃性−1の評価に用いた成形品の概略図である。 耐冷熱衝撃性−2の評価に用いた成形品の概略図である。 寸法精度の評価に用いた成形品の概略図である。 金型汚れ性の評価に用いた成形品の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性が必要とされるため、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂)組成物からなる。
(1)PPS樹脂
本発明で用いられる(A)PPS樹脂は、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
本発明で用いられる(A)PPS樹脂の溶融粘度は、優れた溶融流動性を有する樹脂組成物を得る観点から、5〜50Pa・s(310℃、剪断速度1,216/s)の範囲が好ましく、10〜45Pa・sの範囲がより好ましく、10〜40Pa・sの範囲が更に好ましい。また溶融粘度の異なる2種以上のPPS樹脂を併用して用いてもよい。なお、本発明における(A)PPS樹脂の溶融粘度は、310℃、剪断速度1,216/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて測定した値である。
以下に、本発明に用いる(A)PPS樹脂の製造方法について説明するが、上記構造と特性を有するPPSが得られれば下記方法に限定されるものではない。但し、ジクロロベンゼンと硫黄源を主たるモノマー(90モル%以上)とし、非プロトン性極性溶媒存在下で重合する方法が、生産安定性の点で最も好ましい。
次に、製造に使用するポリハロゲン芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
本発明で用いられるポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3.5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくは、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3.5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼンなどのポリクロロベンゼンが好ましく用いられ、更にp−ジクロロベンゼンが特に好ましく用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジクロロベンゼンで代表されるp−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度とオリゴマー低溶出性のPPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.8から1.023モル、好ましくは0.8から1.020モル、更に本発明に有用な重合度と低オリゴマー性を両立させる意味からは、0.9から1.015モルの範囲が有用である。上記範囲の場合、前述したクロロホルム抽出量が好ましい範囲にあるPPS樹脂を得ることが出来る。
[スルフィド化剤]
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
本発明において、仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.90から1.50モル、好ましくは0.90から1.30モル、更に好ましくは0.95から1.20モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選択される。
[分子量調節剤]
本発明においては、生成するPPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。モノハロゲン化化合物としては、モノハロゲン化ベンゼン、モノハロゲン化ナフタレン、モノハロゲン化アントラセン、ベンゼン環を2個以上含むモノハロゲン化化合物、モノハロゲン化複素環式化合物、などを挙げることができる。なかでも、経済性の観点からするとモノハロゲン化ベンゼンが好ましい。また、異なる2種以上のモノハロゲン化化合物を組み合わせて用いることも可能である。
[重合助剤]
本発明においては、重合度調節のために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩、水、およびアルカリ金属塩化物が好ましく、更にはナトリウム、リチウムのカルボン酸塩および/または水が特に好適に用いられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これらアルカリ金属カルボン酸塩を重合助剤として用いる場合の使用量は、加工に適した粘度とオリゴマー低溶出性のPPS樹脂を得る点から、仕込みスルフィド化剤1モルに対し、通常0.01モル〜2モルの範囲であり、本発明に有用な重合度と低オリゴマー性を両立させる意味からは、0.010〜0.088モルの範囲が好ましい。上記範囲の場合、前述した溶融粘度が好ましい範囲にあるPPS樹脂を得ることが出来る。
また水を重合助剤として用いる場合の添加量は、仕込みスルフィド化剤1モルに対し、通常0.3モル〜15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲がより好ましい。これら重合助剤は2種以上を併用することももちろん可能であり、例えばアルカリ金属カルボン酸塩と水を併用すると、それぞれより少量で高分子量化が可能となる。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みスルフィド化剤1モルに対して、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下したりする傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。
次に、本発明に用いる(A)PPS樹脂の製造方法について、前工程、重合反応工程、回収工程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明する。
[前工程]
本発明に用いる(A)PPS樹脂の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるスルフィド化剤も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.3〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
本発明においては、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂を製造する。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜240℃、好ましくは100〜230℃の温度範囲で、有機極性溶媒とスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を混合する。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃〜260℃で一定時間反応させた後、270〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選択される。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である場合がある。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点であることが有効である。
また、ポリハロゲン化芳香族化合物(ここではPHAと略記)の転化率は、以下の式で算出した値である。PHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(a)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モル)〕
(b)上記(a)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕
[回収工程]
本発明で用いる(A)PPS樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。本発明で用いる(A)PPS樹脂は、公知の如何なる回収方法を採用してもよい。
例えば、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いてもよい。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全行程において同一速度で徐冷する必要もなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用してもよい。上記回収方法を用いる場合、前述したクロロホルム抽出量が好ましい範囲にあるPPS樹脂を得ることが出来る。
また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてはフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm2 以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選択される。
なかでも、より優れた低オリゴマー性を発現させるためには、後述の有機溶媒による洗浄効果を上げるために、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法が好ましく用いられる。
[後処理工程]
本発明で用いられる(A)PPS樹脂は、上記重合、回収工程を経て生成した後、酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄を施されたものであってもよい。
酸処理を行う場合は次のとおりである。本発明でPPS樹脂の酸処理に用いる酸は、PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のようなPPS樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。例えば、酢酸を用いる場合、pH4の水溶液を80〜200℃に加熱した中にPPS樹脂粉末を浸漬し、30分間撹拌することにより十分な効果が得られる。処理後のpHは4以上例えばpH4〜8程度となってもよい。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
熱水処理を行う場合は次のとおりである。本発明において使用するPPS樹脂を熱水処理するにあたり、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上とすることが好ましい。100℃未満ではPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。
本発明の熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱、撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解は好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。更に、この熱水処理操作を終えたPPS樹脂は、残留している成分を除去するため温水で数回洗浄するのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。本発明でPPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が好ましく、特に優れたオリゴマー除去効果を得る意味では、N−メチル−2−ピロリドンの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。かかる有機溶媒による洗浄は、高いオリゴマー除去効果が得られることから、本発明で用いるPPS樹脂の製造に好適なプロセスである。
本発明においては、上記のようにして得られたPPS樹脂を、アルカリ土類金属塩を含む水による洗浄による処理を施してもよい。PPS樹脂を、アルカリ土類金属塩を含む水で洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。アルカリ土類金属塩の種類としては特に制限は無いが、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの水溶性有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物が好ましい例として挙げられ、特に酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの水溶性有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩が好ましい。水の温度は、室温〜200℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましい。上記水中におけるアルカリ土類金属塩の使用量は乾燥PPS樹脂1kgに対し0.1g〜50gであることが好ましく、0.5g〜30gであることがより好ましい。洗浄時間としては0.5時間以上が好ましく、1.0時間以上がより好ましい。また好ましい洗浄浴比(乾燥PPS樹脂単位重量当たりのアルカリ土類金属塩を含む温水使用重量)は洗浄時間、温度にもよるが、乾燥PPS1kg当たり、上記アルカリ土類金属を含む温水を5kg以上用いて洗浄することが好ましく、10kg以上用いて洗浄することがより好ましい。上限としては特に制限はなく、高くてもよいが、使用量と得られる効果の点から100kg以下であることが好ましい。かかる温水洗浄は複数回行ってもよい。
本発明において用いるPPS樹脂は、重合終了後に酸素雰囲気下においての加熱または過酸化物などの架橋剤を添加しての加熱により、架橋状PPSとして用いることも可能である。
熱酸化処理による架橋を目的として乾式熱処理する場合には、その温度は160〜260℃が好ましく、170〜250℃の範囲がより好ましい。また、酸素濃度は5体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。酸素濃度の上限には特に制限はないが、50体積%程度が限界である。処理時間は、0.5〜100時間が好ましく、1〜50時間がより好ましく、2〜25時間が更に好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
また、熱酸化処理による架橋を抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行うことが可能である。その温度は130〜250℃が好ましく、160〜250℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は5体積%未満、更には2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、1〜10時間が更に好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
中でも、本発明においては下記(1)、(2)の特徴を有するPPS樹脂が、高ウエルド強度、高耐不凍液性の点で、特に好ましく用いられる。
(1)真空下、320℃で2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下であり、好ましくは0.28重量%以下、更に好ましくは0.22重量%以下であることが望ましい。かかる性質を有するPPS樹脂は上記の洗浄や熱酸化処理を適切に適用することにより得られる。ガス発生量を0.3重量%以下にすることで、揮発性成分が減少し、ウエルド強度、耐不凍液性が向上するため好ましい。熱酸化処理後のガス発生量の下限については、少ないことが好ましいが、好ましい下限は0.01重量%である。0.01重量%以上とすることで、熱酸化処理の時間が長くなりすぎるのを防ぎ、経済的にも不利となることを防ぐことができる。また、熱酸化処理する時間の長期化により、ゲル化物が生じ易くなり、成形不良を引き起こす一因となるため、それを防ぐ意味においても好ましい。
なお、上記ガス発生量とは、PPS樹脂を真空下で加熱溶融した際に揮発するガスが、冷却されて液化または固化した付着性成分の量を意味しており、PPS樹脂を真空封入したガラスアンプルを、管状炉で加熱することにより測定されるものである。ガラスアンプルの形状としては、腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmである。具体的な測定方法としては、PPS樹脂を真空封入したガラスアンプルの胴部のみを320℃の管状炉に挿入して2時間加熱することにより、管状炉によって加熱されていないアンプルの首部で揮発性ガスが冷却されて付着する。この首部を切り出して秤量した後、付着したガスをクロロホルムに溶解して除去する。次いで、この首部を乾燥してから再び秤量する。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差よりガス発生量を求める。
(2)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶解して、ポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残渣量が4.0重量%以下、好ましくは3.5重量%以下、更に好ましくは3.0重量%以下であることが望ましい。残渣量を4.0重量%以下とすることで、揮発性成分が減少し、ウエルド強度、耐不凍液性が向上するため好ましい。残渣量の下限については特に制限しないが、1.5重量%以上、好ましくは1.7重量%以上が好ましい。残渣量を1.5重量%以上とすることで、熱酸化処理による架橋を進行させ、溶融時の揮発成分を低減させる効果が得られる。かかる性質を有するPPS樹脂は上記の熱酸化処理を適切に適用することにより得られる。
なお、上記残渣量は、PPS樹脂を約80μm厚にプレスフィルム化したものを試料とし、高温濾過装置および空圧キャップと採集ロートを具備したSUS試験管を用いて測定されるものである。具体的には、まずSUS試験管にポアサイズ1μmのメンブランフィルターをセットした後、約80μm厚にプレスフィルム化したPPS樹脂および20倍重量の1−クロロナフタレンを秤量して密閉する。これを250℃の高温濾過装置にセットして5分間加熱振とうする。次いで空圧キャップに空気を含んだ注射器を接続してから注射器のピストンを押し出し、空圧による熱時濾過を行う。残渣量の具体的な定量方法としては、濾過前のメンブランフィルターと濾過後に150℃で1時間真空乾燥したメンブランフィルターの重量差より求める。
例えば、上記のごとき製造法を採用することで、優れた高ウエルド強度、高耐不凍液性を備えたPPS樹脂組成物に好適なPPS樹脂を得ることが可能であり、本発明にはかかるPPS樹脂を用いることが好ましい。このようなPPS樹脂を、本発明のPPS樹脂組成物に配合されるPPS樹脂として配合することが好ましいが、PPS樹脂の少なくとも10重量%をこのようなPPS樹脂とすることで、PPS樹脂組成物に優れた耐熱性、高ウエルド強度、高耐不凍液性を備えることができる。PPS樹脂組成物に配合されるPPS樹脂の少なくとも30重量%をこのようなPPS樹脂とすることが好ましく、50重量%以上が更に好ましい。
本発明のPPS樹脂組成物における(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体との合計の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対し、10〜20重量部である。これらは、優れた流動性、低温靭性、およびウエルド部の耐冷熱衝撃性を並立させる意味、および適切な強度、および寸法精度を付与する意味において必要である。
本発明において、反応性オレフィン系共重合体とは、反応性官能基、例えばエポキシ基、カルボン酸、酸無水物などがすくなくとも1種類以上導入されているオレフィン系共重合体のことである。一方、未変性オレフィン系共重合体とは、前記反応性官能基が導入されていないオレフィン系共重合体のことである。
(A)PPS樹脂100重量部に対し、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体との合計が10重量部未満の場合は、組成物としての適切な耐冷熱衝撃性が得られないため好ましくない。また(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体との合計が20重量部を超える場合は、流動性が悪化し、成形性が損なわれるため好ましくない。また、適切な寸法精度が得られないため好ましくない。更に、連続成形時の金型汚れ性が悪化するため好ましくない。特に(A)PPS樹脂100重量部に対し、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体との合計が10〜20重量部の範囲である必要があり、12〜18重量部の範囲が特に好適である。(A)PPS樹脂100重量部に対し、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体との合計が13〜17重量部の範囲では、優れた耐熱性と組成物としての適切な機械強度、および寸法精度を兼ね備えるため特に好ましい。
更に、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体とを併用して用いることが優れた低温靭性、およびウエルド部の耐冷熱衝撃性を得る上で好ましい。これらの比率は、(B)/(C)=1/4重量比〜4/1重量比が好ましく、(B)/(C)=1/2重量比〜2/1重量比の範囲が、成形時の流動性、低温靭性、およびウエルド部の耐冷熱衝撃性のバランスに優れるため、より好ましい。
かかる(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体としては、α−オレフィンとアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、などのα,β−不飽和酸のアルキルエステルとの共重合体、例えば、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体などにエポキシ基を有する単量体成分(官能基含有成分)を導入することにより得られるが、その官能基含有成分の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体などが挙げられる。これら官能基含有成分を導入する方法は特に制限なく、オレフィン系(共)重合体を(共)重合する際に共重合させたり、オレフィン系(共)重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入させたりするなどの方法を用いることができる。官能基含有成分の導入量は変性オレフィン系(共)重合体を構成する全単量体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。特に有用なオレフィン重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入して得られるグリシジル基を有するオレフィン系共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/1−ブテン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、あるいは、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルに加え、更に他の単量体を必須成分とするエポキシ基含有オレフィン系共重合体もまた好適に用いられる。
好ましいものとしては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられる。とりわけ好ましいものとしては、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
一方、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体としては、α−オレフィンとアクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、などのα,β−不飽和酸のアルキルエステルとの共重合体、例えば、エチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸t−ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソブチル共重合体などが挙げられる。
とりわけ好ましいものとして、エチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体が挙げられる。
本発明のPPS樹脂組成物における(D)無機充填材の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対し、(D)無機充填材を100〜200重量部である。優れた機械強度、靭性、および寸法精度を並立させる意味において必要である。ここで、(D)無機充填材として複数のものを用いる場合は、合計の配合量を(D)無機充填材の配合量とする。
(A)PPS樹脂100重量部に対し、(D)無機充填材が100重量部未満の場合は、組成物としての適切な寸法精度が得られないため好ましくない。また(D)無機充填材が200重量部を超える場合は、組成物の溶融流動性が低下し、適切な成形加工性が得られず、また、靭性も得られないため好ましくない。更に、特に(A)PPS樹脂100重量部に対し、(D)無機充填材を100〜200重量部の範囲である必要があり、100〜190重量部の範囲が特に好適である。(A)PPS樹脂100重量部に対し、(D)無機充填材が100〜190重量部の範囲では、優れた耐熱性と組成物としての適切な機械強度、寸法安定性を兼ね備えるため特に好ましい。
かかる(D)無機充填材としての繊維状充填材としては、具体的には、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフラットファイバー、異形断面ガラスファイバー、ガラスカットファイバー、扁平ガラス繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維、ロックウール、PAN系やピッチ系の炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、セラミック繊維、ジルコニア繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、などが挙げられ、これらは2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。好ましいものとしては、ガラス繊維、炭素繊維が上げられ、とりわけ好ましいものとしては、ガラス繊維が挙げられる。
また(D)無機充填材としての非繊維状充填材の具体例としては、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、ハイドロタルサイトなどの珪酸塩、酸化珪素、ガラス粉、酸化マグネシウム、酸化アルミ(アルミナ)、シリカ(破砕状・球状)、石英、ガラスビーズ、ガラスフレーク、破砕状・不定形状ガラス、ガラスマイクロバルーン、二硫化モリブデン、酸化アルミニウム(破砕状)、透光性アルミナ(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、酸化チタン(破砕状)、酸化亜鉛(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)などの酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛、窒化アルミニウム、透光性窒化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物などが挙げられ、ここで金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。また、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、フラーレン、グラフェンなどが挙げられ、これらは中空であってもよく、更にはこれら充填材を2種類以上併用することも可能である。また、これら非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。好ましいものとしては、炭酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛、金属水酸化物が挙げられる。中でも、金属水酸化物が、優れた耐トラッキング性を得る上で好適である。
ここで、トラッキング破壊とは、汚損した絶縁体表面に対して電圧を印加した際に、炭化導電路の形成に伴い短絡電流が流れるものである。
本発明において用いられる金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムがあげられるが、耐トラッキング性の向上効果を考慮すると、水酸化マグネシウムを用いることが好ましい。
本発明において用いられる水酸化マグネシウムとしては、化学式Mg(OH)で示される無機物を80重量%以上含む比較的純度の高い水酸化マグネシウムが挙げられ、耐トラッキング性、機械的強度、溶融粘度の点から、好ましくはMg(OH)で示される無機物を80重量%以上、CaO含量5重量%以下、塩素含量1重量%以下、より好ましくはMg(OH)を95重量%以上含み且つ、CaO含量1重量%以下、塩素含量0.5重量%以下、更に好ましくはMg(OH)98重量%以上含み且つ、CaO含量0.1重量%以下、塩素含量0.1重量%以下の高純度水酸化マグネシウムが適している。
本発明で使用される水酸化マグネシウムの形状は、粒子状、フレ−ク状、繊維状いずれでもよいが分散性などの観点から粒子状、フレ−ク状が最も好適である。また比表面積は15m/g以下、更には10m/g以下であることが好ましく、比表面積が15m/gを越えると水酸化マグネシウムの分散性に影響するためか耐トラッキング性向上効果、機械的強度などに悪影響を与えるため好ましくない。粒子状、フレ−ク状の場合その平均一次粒径は0.3〜5μm、好ましくは0.3〜3μmの範囲のものが耐トラッキング性向上効果、機械的強度、溶融粘性のバランス上適している。また繊維状を用いる場合、平均繊維径が0.1〜2μmでアスペクト比20〜60、好ましくは平均繊維径0.3〜2μmでアスペクト比30〜50の範囲のものが適当である。
また、この水酸化マグネシウムを、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシランなどのビニルシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリロキシシラン化合物、ステアリン酸、オレイン酸、モンタン酸、ステアリルアルコールなどの長鎖脂肪酸または長鎖脂肪族アルコールで表面処理して使用することは好ましく、特にエポキシシラン化合物、アミノシラン化合物、イソシアナトシラン化合物で表面処理した水酸化マグネシウムの適用は組成物あるいは成形体中での凝集抑制の点、および因って得られる耐トラッキング性や機械的強度の点で好適である。
かかる金属水酸化物の好適な添加量は、PPS樹脂100重量部に対し、20〜100重量部の範囲が選択され、より好ましくは40〜90重量部の範囲が選択される。金属水酸化物が20重量部未満の場合は、耐トラッキング性の向上効果が得られないため、好ましくない。また、金属水酸化物が100重量部を超える場合は、機械強度が低下するため好ましくない。
更に、本発明のPPS樹脂組成物には、機械的強度、靱性などの向上を目的に、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物を添加することが好ましい。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、およびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。なかでもエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基を有するアルコキシシランが優れたウエルド強度を得る上で特に好適である。かかるシラン化合物の好適な添加量は、(A)PPS樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部の範囲が選択される。
本発明のPPS樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、更に他の樹脂をブレンドして用いてもよい。かかるブレンド可能な樹脂には特に制限はないが、その具体例としては、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、芳香族系ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、エポキシ基含有ポリオレフィン共重合体などが挙げられる。
なお、本発明のPPS樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば前記以外の酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダートフェノール系、ヒドロキノン系、リン系、ホスファイト系、アミン系、硫黄系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、ステアラート、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、熱安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムなどの滑剤、ビスフェノールA型などのビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの強度向上材、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤および発泡剤などの通常の添加剤を添加することができ、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダートフェノール系、ヒドロキノン系、リン系、ホスファイト系、アミン系、硫黄系およびこれらの置換体等)を用いることが好ましい。
より好ましくはリン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤が用いられる。
その具体例としては、上記リン系、ホスファイト系酸化防止剤として例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンフォスフォナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、4,4−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニル・フェニル)フォスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレンなどあるいはこれらの混合物が例示できる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスファスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチルカルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ベンゼンプロパン酸,3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−メチル−,2,4,8,10−テトラオキサピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイルビス(2,2−ジメチル−2,1−エタンジイル)エステル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3‘−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、d−α−トコフェロール、3、9−ビス(2−(3−(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニールオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどあるいはこれらの混合物を例示できる。
アミン系酸化防止剤としては、例えばコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどあるいはこれらの混合物が例示できる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば4,4’−チオビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ジアルキル(C12−18 )3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などあるいはこれらの混合物が例示できる。
本発明のPPS樹脂組成物の調製方法には特に制限はないが、各原料を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して、280〜380℃の温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法などのいずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することももちろん可能である。
このようにして得られる本発明のPPS樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に射出成形用途に適している。
以上のように、本発明のPPS樹脂組成物は、流動性に優れるだけでなく、低温靭性、ウエルド部の耐冷熱衝撃性について均衡して優れている。すなわち、本発明のPPS樹脂組成物は、流動性、低温靭性、ウエルド部の耐冷熱衝撃性に優れるという特性を有しているため、複雑形状の成形品に有用であり、特に2つ以上のウエルド部を含む成形品、および金属インサートを含む成形品に有用である。
その他本発明のPPS樹脂組成物の適用可能な用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、民生用コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品への適用も可能である。その他、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、ウォーターポンプハウジング、エンジン冷却モジュール、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品など各種用途が例示できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[参考例で製造したPPS樹脂の評価方法]
(1)ガス発生量
腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルにPPS樹脂3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発ガスの付着したアンプルの首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差をガス発生量(重量%)とした。
(2)残渣量
空圧キャップと採集ロートを具備したセンシュー科学製のSUS試験管に、予め秤量しておいたポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターをセットし、約80μm厚にプレスフィルム化したPPS樹脂100mgおよび1−クロロナフタレン2gを計り入れてから密閉した。これをセンシュー科学製の高温濾過装置SSC−9300に挿入し、250℃で5分間加熱振とうしてPPS樹脂を1−クロロナフタレンに溶解した。空気を含んだ20mLの注射器を空圧キャップに接続した後、ピストンを押出して溶液をメンブランフィルターで濾過した。メンブランフィルターを取り出し、150℃で1時間真空乾燥してから秤量した。濾過前後のメンブランフィルター重量の差を残渣量(重量%)とした。
(3)メルトフローレート(MFR)
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238−70に準ずる方法で測定した。
[参考例1]PPSの重合(PPS−1)
撹拌機および底に弁のついたオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.4g(70.0モル)、96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13860.0g(140.0モル)、酢酸ナトリウム1894.2g(23.1モル)、およびイオン交換水10500.0gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14772.1gおよびNMP280.0gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.08モルであった。また、硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.023モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10646.7g(72.4モル)、NMP6444.9g(65.1モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、270℃で70分保持した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。
得られた固形物およびイオン交換水53リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してPPS樹脂ケーク18000g(その内PPS樹脂7550gが含まれる)を得た。
前記PPS樹脂ケーク18000g、イオン交換水40リットル、および酢酸43gを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持して酸処理を施した。酸処理時のpHは7であった。オートクレーブ冷却後、内容物をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。次いで、70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下120℃で4時間乾燥し、酸処理を施したPPS樹脂の粉末を得た。次いで、このPPS樹脂粉末を容積100リットルの撹拌機付き加熱装置に入れ、200℃、酸素濃度21%で2時間熱酸化処理を施した。なお、熱酸化処理は、空気1.96リットル/分の空気雰囲気下で行い架橋状PPS−1を得た。得られたポリマーのガス発生量は0.16重量%、残渣量1.9重量%、MFRは554g/10分であった。
[参考例2]PPSの重合(PPS−2)
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、およびイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.48kg(71.27モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温した。270℃で100分反応した後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。
得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが7になるよう酢酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。
これをMFR値が500g/10分となるまで酸素気流下200℃で熱処理し、架橋状PPS−2を得た。得られたポリマーのガス発生量は0.39重量%、残渣量4.3重量%であった。
[実施例および比較例で用いた配合材]
本実施例および比較例に用いた配合物は以下の通りである。
(A)PPS樹脂
PPS−1:参考例1に記載の方法で重合したPPS樹脂
PPS−2:参考例2に記載の方法で重合したPPS樹脂
(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体
B−1:エチレン・グリシジルメタクリレート・アクリル酸メチル共重合体(住友化学株式会社製ボンドファースト7M)
B−2(比較例):エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学株式会社製ボンドファーストE)
(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体
C−1:エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体(アルケマ株式会社製ロトリル35BA40)
C−2(比較例):エチレン・アクリル酸メチル(アルケマ株式会社製 ロトリル29MA03)
C−3(比較例):エチレン・1−オクテン共重合対(ダウケミカル日本株式会社製エンゲージ8842)
(D)無機充填材
D−1:チョップドストランド(日本電気硝子株式会社製 T−760H 3mm長 平均繊維径10.5μm)
D−2:重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製 KSS−1000 50%平均粒子径4.2μm)
D−3:水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社社製 キスマ5P 50%平均粒子径0.8μm)
(E)アルコキシシラン化合物
E−1:エポキシ基含有アルコキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−303)
[樹脂組成物からなる成形品の測定評価方法]
本実施例および比較例における測定評価方法は以下の通りである。
(1)引張強度、引張伸び(23℃、−40℃)
ISO 527−1、2法に準拠して測定を行った。具体的には次のように測定を行った。本発明のPPS樹脂組成物ペレットを、熱風乾燥機を用いて130℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度:310℃、金型温度:145℃に設定した住友重機械工業株式会社製射出成形機(SE−50D)に供給し、ISO20753に規定されるタイプA1試験片形状の金型を用いて、中央平行部の断面積を通過する溶融樹脂の平均速度が400±50mm/sとなる条件で射出成形を行い試験片を得た。この試験片を、23℃、相対湿度50%の条件で16時間状態調節を行った後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、および−40℃の雰囲気下、つかみ具間距離:114mm、試験速度:5mm/sの条件で引張強度、および引張伸び測定を行なった。
(2)流動性
1mm厚みのスパイラルフロー金型を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度140℃、射出速度230mm/sec、射出圧力98MPa、射出時間5sec、冷却時間15secの条件で成形し、流動長測定を行なった(使用射出成形機:住友重機製”SE−30D”)。この値が大きいほど流動性に優れる。
(3)ウエルド強度
両端にゲートを有し、試験片中央部付近にウエルドラインを有するASTM4号ダンベル片(1.6mmt)を、射出成形機を用いてシリンダー温度320℃、金型温度135℃の条件で成形した。成形片を100本成形し金型を強制的に汚染させた後、測定用のサンプルを10本取得し、試験速度:10mm/min、つかみ具間距離:64mmの条件で引張強度測定を行なった。
(4−1)耐冷熱衝撃性−1
シリンダー温度320℃、金型温度140℃の条件で金属ブロックをインサート成形した、図1に示す金属インサート成形品を用いた。これを130℃×1時間で処理後、−40℃×1時間で処理することを1回として、冷熱衝撃処理し、5回毎に目視によりクラックの発生有無を確認した。クラック発生が認められた冷熱衝撃処理数を耐冷熱衝撃性とした。30回以上クラックが発生しなければ実用上問題のない製品レベルといえるが、クラック発生までの処理回数が多いほど耐冷熱衝撃性に優れ、好ましい。
(4−2)耐冷熱衝撃性−2
シリンダー温度320℃、金型温度140℃の条件で、中央部に2つの孔を有するカセット形状の金属をインサート成形した、図2に示す金属インサート成形品を用いた。これを130℃×1時間で処理後、−40℃×1時間で処理することを1回として、冷熱衝撃処理し、5回毎に目視によりクラックの発生有無を確認した。本成形品は、中央部に孔を設けることで、ウエルド部を意図的に発生させた成形品であり、ウエルド部の耐冷熱衝撃性を想定したものである。クラック発生が認められた冷熱衝撃処理数を耐冷熱衝撃性とした。30回以上クラックが発生しなければ実用上問題のない製品レベルといえるが、クラック発生までの処理回数が多いほど耐冷熱衝撃性に優れ、好ましい。
(5)寸法精度
住友重機製射出成形機(SE−100DU)を使用して、図3に示す成形品を成形した。成形条件は、シリンダー温度320℃、金型温度130℃、その他条件は一般的な成形条件で成形した。該成形品のMD方向の寸法を3点測定し、その平均値を算出した。金型の実寸法から測定した平均値を差し引き、金型の実寸法で除した値を寸法精度とした。測定は、ミツトヨ製三次元寸法測定機を使用し、JIS B0621に準拠して行なった。0.15%よりも小さければ実用上問題のない製品レベルといえるが、この値が小さいほど寸法精度に優れ、好ましい。0.15%よりも小さいものを○、0.11%よりも小さいものを◎、0.15%以上のもの×とした。
(6)金型汚れ性
図4に示す成形品(成形品サイズ;長さ55mm、幅20mm、厚み2mm、ゲートサイズ;幅1.5mm、厚み1mm、ガスベント部最大長さ20mm、幅10mm、深さ5μm)のガス評価用金型で、シリンダー温度325℃、金型温度130℃、射出速度100mm/sとして、樹脂組成物ごとの充填時間が0.4秒となるよう射出圧力を50〜80MPa内で設定して連続成形を行い、10ショット毎に金型ガスベント部の金型汚染状況を目視にて観察した(使用成形機:住友重機製”SE−30D”)。付着までのショット数が100ショット以上あれば実用上、使用可能なレベルといえるが、このショット数が大きいほどモールドデポジット性に優れ、好ましい。図4(a)はモールドデポジット評価用成形品の上面図であり、図4(b)はその側面図である。100ショット以上のものを○、50ショット以上のものを△、30ショット以上のものを×とした。
(7)耐不凍液性
不凍液は、トヨタ純正S−LLCを、蒸留水で50重量%水溶液に希釈して用いた。130℃の温度で、1,000時間、LLC 50重量%水溶液にISO 3167 A形ダンベル試験片(4mm厚み)の成形品を浸漬処理し、その成形品をISO 527−1,2法に準拠して引張強度の測定を行なった。そのときの強度保持率を耐不凍液性とした。80%以上であれば実用上問題のない製品レベルといえるが、この値が高いほど耐不凍液性に優れ、好ましい。
(8)耐トラッキング性
住友重機製射出成形機(SE−100DU)を使用して、図3に示す成形品を成形した。成形条件は、シリンダー温度320℃、金型温度130℃、その他条件は一般的な成形条件で成形した。この成形品を用い、IEC60112第4版に準拠し、トラッキング破壊が生じない最大電圧を求めた。電解液には0.1%塩化アンモニウム水溶液を用いた。
[実施例1〜6,比較例1〜7]
シリンダー温度を320℃、スクリュー回転数を250rpmに設定した、26mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(東芝機械(株)製TEM−26)を用いて、参考例1、2で得た(A)PPS樹脂100重量部、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体、および(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体を表1、表2に示す重量比で原料供給口から添加して溶融状態とし、(D)無機充填材を表1、表2に示す重量比で中間添加口から供給し、吐出量35kg/時間で溶融混練してペレットを得た。このペレットを用いて前記の各特性を評価した。その結果を表1、表2に示す。
実施例1と比較例1〜3との対比から判るように、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体を併用することで、流動性、−40℃での引張伸び、および耐冷熱衝撃性において、バランスよく優れることが判る。
実施例1と比較例4との対比から判るように、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体を配合し過ぎると、流動性が悪化し、また、金型汚れ性、寸法精度も悪化することが判る。また、実施例1と比較例5との対比から判るように、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体の配合量が少な過ぎると、−40℃での引張伸びが低下し、また、耐冷熱衝撃性−2が悪化することが判る。
実施例1と比較例6との対比から判るように、(D)無機充填材の配合量が多すぎると、−40℃での引張伸びが低下するのみならず、金型汚れ性も悪化する傾向にある。樹脂分が少ないにも関わらず金型汚れ性が悪化するのは、(D)無機充填材の過剰な配合により、射出成形時の樹脂のせん断発熱量が増加し、PPS樹脂や添加剤の熱分解が過度に進行するためと推定される。
実施例1と比較例7との対比から判るように、(B)無機充填材の配合量が少なすぎると寸法精度が不十分となるのみならず、樹脂割合が高いために金型汚れ性も悪化する傾向にある。
実施例1と実施例3との対比から判るように、PPS−1を使用することで、耐不凍液性に優れることが判る。
実施例1と実施例4、および5との対比から判るように、エラストマー比率を1/4〜4/1にすることで、流動性、および耐冷熱衝撃性により優れることが判る。
実施例1と実施例6との対比から判るように、水酸化マグネシウムを配合することで、耐トラッキング性により優れることが判る。
本発明のPPS樹脂組成物は、高い寸法精度を維持したまま、流動性、低温靭性、ウエルド部の耐冷熱衝撃性に優れるため、複雑形状の成形品に有用であり、特に2つ以上のウエルド部を含む成形品、および金属インサートを含む成形品に用いられる。
1.インサート金属
2.ゲート
3.金属インサート成形品
4.インサート金属
5.ゲート
6.金属インサート成形品
7.寸法精度、および耐トラッキング性評価用成形品
8.ゲート
9.金型汚れ性評価用成形品
10.ゲート

Claims (11)

  1. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体とを合計10〜20重量部、(D)無機充填材を100〜200重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体/前記(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体重量比が、1/4〜4/1である請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体が、エチレンと、α、β−不飽和酸のグリシジルエステルと、アクリル酸エステルとを含むオレフィン共重合体である請求項1、または2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. (C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体が、エチレンと、アクリル酸ブチルとを含むオレフィン共重合体である請求項1〜3いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 前記(D)無機充填材が、(D−1)ガラス繊維、(D−2)炭酸カルシウムおよび(D−3)金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、架橋状のポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項1〜5いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(a)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下、(b)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶融してポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残渣量が4.0重量%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項1〜6いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  8. エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する(E)アルコキシシラン化合物を、前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部配合してなる請求項1〜7いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
  10. 前記成形品が、2つ以上のウエルド部を含む請求項9記載の成形品。
  11. 前記成形品が、金属インサートを含む請求項9、または10記載の成形品。
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