JP2017155221A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体とを合計10〜20重量部、(D)無機充填材を100〜200重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(2)前記(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体/前記(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体重量比が、1/4〜4/1である(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(3)前記(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体が、エチレンと、α、β−不飽和酸のグリシジルエステルと、アクリル酸エステルとを含むオレフィン共重合体である(1)、または(2)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(4)(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体が、エチレンと、アクリル酸ブチルとを含むオレフィン共重合体である(1)〜(3)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(5)前記(D)無機充填材が、(D−1)ガラス繊維、(D−2)炭酸カルシウムおよび(D−3)金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(4)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(6)前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、架橋状のポリフェニレンスルフィド樹脂である(1)〜(5)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(7)前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(a)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下、(b)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶融してポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残渣量が4.0重量%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂である(1)〜(6)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(8)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する(E)アルコキシシラン化合物を、前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部配合してなる(1)〜(7)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(9)(1)〜(8)いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
(10)前記成形品が、2つ以上のウエルド部を含む(9)記載の成形品。
(11)前記成形品が、金属インサートを含む(9)、または(10)記載の成形品。
本発明で用いられる(A)PPS樹脂は、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
次に、製造に使用するポリハロゲン芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
本発明で用いられるポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3.5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくは、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3.5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼンなどのポリクロロベンゼンが好ましく用いられ、更にp−ジクロロベンゼンが特に好ましく用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジクロロベンゼンで代表されるp−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.90から1.50モル、好ましくは0.90から1.30モル、更に好ましくは0.95から1.20モルの範囲が例示できる。
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
本発明においては、生成するPPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。モノハロゲン化化合物としては、モノハロゲン化ベンゼン、モノハロゲン化ナフタレン、モノハロゲン化アントラセン、ベンゼン環を2個以上含むモノハロゲン化化合物、モノハロゲン化複素環式化合物、などを挙げることができる。なかでも、経済性の観点からするとモノハロゲン化ベンゼンが好ましい。また、異なる2種以上のモノハロゲン化化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本発明においては、重合度調節のために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩、水、およびアルカリ金属塩化物が好ましく、更にはナトリウム、リチウムのカルボン酸塩および/または水が特に好適に用いられる。
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
本発明に用いる(A)PPS樹脂の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。
本発明においては、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂を製造する。
(a)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モル)〕
(b)上記(a)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕
本発明で用いる(A)PPS樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。本発明で用いる(A)PPS樹脂は、公知の如何なる回収方法を採用してもよい。
本発明で用いられる(A)PPS樹脂は、上記重合、回収工程を経て生成した後、酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄を施されたものであってもよい。
その具体例としては、上記リン系、ホスファイト系酸化防止剤として例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンフォスフォナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、4,4−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニル・フェニル)フォスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレンなどあるいはこれらの混合物が例示できる。
(1)ガス発生量
腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルにPPS樹脂3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発ガスの付着したアンプルの首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差をガス発生量(重量%)とした。
空圧キャップと採集ロートを具備したセンシュー科学製のSUS試験管に、予め秤量しておいたポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターをセットし、約80μm厚にプレスフィルム化したPPS樹脂100mgおよび1−クロロナフタレン2gを計り入れてから密閉した。これをセンシュー科学製の高温濾過装置SSC−9300に挿入し、250℃で5分間加熱振とうしてPPS樹脂を1−クロロナフタレンに溶解した。空気を含んだ20mLの注射器を空圧キャップに接続した後、ピストンを押出して溶液をメンブランフィルターで濾過した。メンブランフィルターを取り出し、150℃で1時間真空乾燥してから秤量した。濾過前後のメンブランフィルター重量の差を残渣量(重量%)とした。
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238−70に準ずる方法で測定した。
撹拌機および底に弁のついたオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.4g(70.0モル)、96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13860.0g(140.0モル)、酢酸ナトリウム1894.2g(23.1モル)、およびイオン交換水10500.0gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14772.1gおよびNMP280.0gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.08モルであった。また、硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.023モルであった。
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、およびイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
これをMFR値が500g/10分となるまで酸素気流下200℃で熱処理し、架橋状PPS−2を得た。得られたポリマーのガス発生量は0.39重量%、残渣量4.3重量%であった。
本実施例および比較例に用いた配合物は以下の通りである。
(A)PPS樹脂
PPS−1:参考例1に記載の方法で重合したPPS樹脂
PPS−2:参考例2に記載の方法で重合したPPS樹脂
(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体
B−1:エチレン・グリシジルメタクリレート・アクリル酸メチル共重合体(住友化学株式会社製ボンドファースト7M)
B−2(比較例):エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学株式会社製ボンドファーストE)
(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体
C−1:エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体(アルケマ株式会社製ロトリル35BA40)
C−2(比較例):エチレン・アクリル酸メチル(アルケマ株式会社製 ロトリル29MA03)
C−3(比較例):エチレン・1−オクテン共重合対(ダウケミカル日本株式会社製エンゲージ8842)
(D)無機充填材
D−1:チョップドストランド(日本電気硝子株式会社製 T−760H 3mm長 平均繊維径10.5μm)
D−2:重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製 KSS−1000 50%平均粒子径4.2μm)
D−3:水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社社製 キスマ5P 50%平均粒子径0.8μm)
(E)アルコキシシラン化合物
E−1:エポキシ基含有アルコキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−303)
本実施例および比較例における測定評価方法は以下の通りである。
ISO 527−1、2法に準拠して測定を行った。具体的には次のように測定を行った。本発明のPPS樹脂組成物ペレットを、熱風乾燥機を用いて130℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度:310℃、金型温度:145℃に設定した住友重機械工業株式会社製射出成形機(SE−50D)に供給し、ISO20753に規定されるタイプA1試験片形状の金型を用いて、中央平行部の断面積を通過する溶融樹脂の平均速度が400±50mm/sとなる条件で射出成形を行い試験片を得た。この試験片を、23℃、相対湿度50%の条件で16時間状態調節を行った後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、および−40℃の雰囲気下、つかみ具間距離:114mm、試験速度:5mm/sの条件で引張強度、および引張伸び測定を行なった。
1mm厚みのスパイラルフロー金型を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度140℃、射出速度230mm/sec、射出圧力98MPa、射出時間5sec、冷却時間15secの条件で成形し、流動長測定を行なった(使用射出成形機:住友重機製”SE−30D”)。この値が大きいほど流動性に優れる。
両端にゲートを有し、試験片中央部付近にウエルドラインを有するASTM4号ダンベル片(1.6mmt)を、射出成形機を用いてシリンダー温度320℃、金型温度135℃の条件で成形した。成形片を100本成形し金型を強制的に汚染させた後、測定用のサンプルを10本取得し、試験速度:10mm/min、つかみ具間距離:64mmの条件で引張強度測定を行なった。
シリンダー温度320℃、金型温度140℃の条件で金属ブロックをインサート成形した、図1に示す金属インサート成形品を用いた。これを130℃×1時間で処理後、−40℃×1時間で処理することを1回として、冷熱衝撃処理し、5回毎に目視によりクラックの発生有無を確認した。クラック発生が認められた冷熱衝撃処理数を耐冷熱衝撃性とした。30回以上クラックが発生しなければ実用上問題のない製品レベルといえるが、クラック発生までの処理回数が多いほど耐冷熱衝撃性に優れ、好ましい。
シリンダー温度320℃、金型温度140℃の条件で、中央部に2つの孔を有するカセット形状の金属をインサート成形した、図2に示す金属インサート成形品を用いた。これを130℃×1時間で処理後、−40℃×1時間で処理することを1回として、冷熱衝撃処理し、5回毎に目視によりクラックの発生有無を確認した。本成形品は、中央部に孔を設けることで、ウエルド部を意図的に発生させた成形品であり、ウエルド部の耐冷熱衝撃性を想定したものである。クラック発生が認められた冷熱衝撃処理数を耐冷熱衝撃性とした。30回以上クラックが発生しなければ実用上問題のない製品レベルといえるが、クラック発生までの処理回数が多いほど耐冷熱衝撃性に優れ、好ましい。
住友重機製射出成形機(SE−100DU)を使用して、図3に示す成形品を成形した。成形条件は、シリンダー温度320℃、金型温度130℃、その他条件は一般的な成形条件で成形した。該成形品のMD方向の寸法を3点測定し、その平均値を算出した。金型の実寸法から測定した平均値を差し引き、金型の実寸法で除した値を寸法精度とした。測定は、ミツトヨ製三次元寸法測定機を使用し、JIS B0621に準拠して行なった。0.15%よりも小さければ実用上問題のない製品レベルといえるが、この値が小さいほど寸法精度に優れ、好ましい。0.15%よりも小さいものを○、0.11%よりも小さいものを◎、0.15%以上のもの×とした。
図4に示す成形品(成形品サイズ;長さ55mm、幅20mm、厚み2mm、ゲートサイズ;幅1.5mm、厚み1mm、ガスベント部最大長さ20mm、幅10mm、深さ5μm)のガス評価用金型で、シリンダー温度325℃、金型温度130℃、射出速度100mm/sとして、樹脂組成物ごとの充填時間が0.4秒となるよう射出圧力を50〜80MPa内で設定して連続成形を行い、10ショット毎に金型ガスベント部の金型汚染状況を目視にて観察した(使用成形機:住友重機製”SE−30D”)。付着までのショット数が100ショット以上あれば実用上、使用可能なレベルといえるが、このショット数が大きいほどモールドデポジット性に優れ、好ましい。図4(a)はモールドデポジット評価用成形品の上面図であり、図4(b)はその側面図である。100ショット以上のものを○、50ショット以上のものを△、30ショット以上のものを×とした。
不凍液は、トヨタ純正S−LLCを、蒸留水で50重量%水溶液に希釈して用いた。130℃の温度で、1,000時間、LLC 50重量%水溶液にISO 3167 A形ダンベル試験片(4mm厚み)の成形品を浸漬処理し、その成形品をISO 527−1,2法に準拠して引張強度の測定を行なった。そのときの強度保持率を耐不凍液性とした。80%以上であれば実用上問題のない製品レベルといえるが、この値が高いほど耐不凍液性に優れ、好ましい。
住友重機製射出成形機(SE−100DU)を使用して、図3に示す成形品を成形した。成形条件は、シリンダー温度320℃、金型温度130℃、その他条件は一般的な成形条件で成形した。この成形品を用い、IEC60112第4版に準拠し、トラッキング破壊が生じない最大電圧を求めた。電解液には0.1%塩化アンモニウム水溶液を用いた。
シリンダー温度を320℃、スクリュー回転数を250rpmに設定した、26mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(東芝機械(株)製TEM−26)を用いて、参考例1、2で得た(A)PPS樹脂100重量部、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体、および(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体を表1、表2に示す重量比で原料供給口から添加して溶融状態とし、(D)無機充填材を表1、表2に示す重量比で中間添加口から供給し、吐出量35kg/時間で溶融混練してペレットを得た。このペレットを用いて前記の各特性を評価した。その結果を表1、表2に示す。
2.ゲート
3.金属インサート成形品
4.インサート金属
5.ゲート
6.金属インサート成形品
7.寸法精度、および耐トラッキング性評価用成形品
8.ゲート
9.金型汚れ性評価用成形品
10.ゲート
Claims (11)
- (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体と、(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体とを合計10〜20重量部、(D)無機充填材を100〜200重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 前記(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体/前記(C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体重量比が、1/4〜4/1である請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 前記(B)アクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体が、エチレンと、α、β−不飽和酸のグリシジルエステルと、アクリル酸エステルとを含むオレフィン共重合体である請求項1、または2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- (C)アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体が、エチレンと、アクリル酸ブチルとを含むオレフィン共重合体である請求項1〜3いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 前記(D)無機充填材が、(D−1)ガラス繊維、(D−2)炭酸カルシウムおよび(D−3)金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、架橋状のポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項1〜5いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(a)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下、(b)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶融してポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残渣量が4.0重量%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項1〜6いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する(E)アルコキシシラン化合物を、前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部配合してなる請求項1〜7いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 請求項1〜8いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
- 前記成形品が、2つ以上のウエルド部を含む請求項9記載の成形品。
- 前記成形品が、金属インサートを含む請求項9、または10記載の成形品。
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