JP6040706B2 - ポリアリーレンスルフィド系組成物 - Google Patents
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ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−1)(以下、単にPPS(A−1)と記す。)
:溶融粘度110ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−2)(以下、単にPPS(A−2)と記す。)
:溶融粘度300ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−3)(以下、単にPPS(A−3)と記す。)
:溶融粘度350ポイズ。
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(B−1)(以下、単にVA系共重合体(B−1)と記す。):東ソー(株)製、(商品名)メルセンH6820、x=0.817、y=0.021、z=0.162、Rがメチル基。
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(B−2)(以下、単にVA系共重合体(B−2)と記す。):東ソー(株)製、(商品名)メルセンH6410、x=0.851、y=0.065、z=0.084、Rがメチル基。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−3)(以下、単にVA系共重合体(B−3)と記す。):東ソー(株)製、(商品名)メルセンH6051、x=0.802、y=0、z=0.198。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−4)(以下、単にVA系共重合体(B−4)と記す。):(株)クラレ製、(登録商標)エバール G156B、x=0.48、y=0、z=0.52。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−5)(以下、単にVA系共重合体(B−5)と記す。):(株)クラレ製、(登録商標)エバール F171B、x=0.32、y=0、z=0.68。
無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体(C1−1)(以下、単にPE系共重合体(C1−1)と記す。):合成例4に従って得られた無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン;無水マレイン酸含有量1.4重量%、MFR=0.7g/10分。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(C2−1)(以下、単にPE系共重合体(C2−1)と記す。):アルケマ社製、(商品名)ボンダインTX8030;アクリル酸エチル残基単位12重量%、無水マレイン酸残基単位3重量%、MFR=3g/10分。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(C2−2)(以下、単にPE系共重合体(C2−2)と記す。):アルケマ社製、(商品名)ボンダインAX8390;アクリル酸エチル残基単位30.5重量%、無水マレイン酸残基単位1.5重量%、MFR=7g/10分。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(C3−1)(以下、単にPE系共重合体(C3−1)と記す。):住友化学(株)製、(商品名)ボンドファストE;メタクリル酸グリシジルエステル残基単位12重量%、MFR=3g/10分。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(C5−1)(以下、単にPE系共重合体(C5−1)と記す。):住友化学(株)製、(商品名)ボンドファスト7M;メタクリル酸グリシジルエステル残基単位6重量%、アクリル酸メチル残基単位27重量%、MFR=7g/10分。
表面未処理水酸化マグネシウム(D1−1);神島化学工業(株)製、(商品名)マグシーズX6;Mg(OH)2含有量99.8重量%、平均粒子径1.0μm、比表面積6.0m2/g。
表面処理水酸化マグネシウム(D2−1);神島化学工業(株)製、(商品名)マグシーズV6;Mg(OH)2含有量99.8重量%、平均粒子径1.0μm、比表面積5.1m2/g、表面処理:ビニルシラン。
ガラス繊維(E−1);エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91;繊維径9μm、繊維長3mm。
カルナバワックス(F1−1);日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末。
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、Na2S・2.8H2O1866g及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)5リットルを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、407gの水を溜出させた。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2280gとNMP1500gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、ポリマーを遠心分離器により単離した。温水でポリマーを繰り返し洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
攪拌機を装備する15リットルチタン製オートクレーブにNMP3232g、47%硫化水素ナトリウム水溶液1682g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1142gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、1360gの水を溜出させた。この系を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン2118gとNMP1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて1時間重合し、続けて250℃まで昇温し、250℃にて2時間重合した。更に、250℃で水451gを圧入し、再度255℃まで昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを固液分離した。ポリマーをNMP、アセトン及び水で順次洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
射出成形により直径50mm、厚さ3mmの円盤状試験片を作製し、該試験片を用いて、IEC60112に準じて比較トラッキング指数(以下、CTIと記す。)を測定した。CTIとして500(V)以上のものを耐トラッキング性に優れると判断した。
射出成形によりASTM D−638の1号試験片を作製し、該試験片を用いて、ASTM D−638に準じ、引張強度と破断時伸び率を測定した。測定装置(島津製作所製、(商品名)AG−5000B)を用い、チャック間距離110mm、測定速度5mm/分の試験条件で行った。引張強度として80MPa以上のものを機械的強度に優れると判断した。また引張伸び率として3.0%以上のものを靭性に優れると判断した。
ASTM D−638の1号試験片の両端から溶融樹脂が流れ込み、試験片の中央にウェルド部を形成する金型を用い、射出成形により試験片を作製した。該試験片を用いて、ASTM D−638に準じ、引張ウェルド強度と引張ウェルド伸び率を測定した。測定装置(島津製作所製、(商品名)AG−5000B)を用い、チャック間距離110mm、測定速度5mm/分の試験条件で行った。引張ウェルド強度として30MPa以上のものを機械的強度に優れると判断した。また引張ウェルド伸び率として1.0%以上のものを靭性に優れると判断した。
溶融流動性の指標としてバーフロー長さ(以下、BFLと記す。)を測定した。射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)に、深さ1mm、幅10mmの溝がスパイラル状に掘られた金型を装着し、次いで、シリンダー温度を310℃、射出圧力を190MPa、射出速度を最大、射出時間を1.5秒、及び金型温度を135℃に設定した該射出成形機のホッパーにポリアリーレンスルフィド系組成物を投入し、射出した。そして金型内のスパイラル状の溝を溶融流動した長さをBFLとして測定した。BFLとして120mm以上のものを溶融流動性に優れると判断した。
射出成形機に、図1に示すナット受け部を有する箱型ケースの金型を装着し、シリンダー温度310℃、冷却時間40秒、金型温度135℃の条件で、ポリアリーレンスルフィド系組成物を射出した。次いで、成形した箱型ケースのナット受け部に、M5ナットを装着し、10N・mのトルクに設定したトルクレンチを用い、M5ボルトを締め付けた。締め付け後、ナット受け部の亀裂或いはナット受け部の破壊がなかったものを○、亀裂を生じたもの、ナット受け部が破壊したもの、を×として判定した。ボルト締め付け割れ試験で○であるものを靭性に優れると判断した。
図1に示す箱型ケースの金型にポリアリーレンスルフィド系組成物を射出し、冷却後、金型コアからの該箱型ケースの離型性を評価した。金型コアからまったく抵抗無く離型できる状態を○、抵抗はあるものの離型に手間取らない状態、抵抗が大きく離型に手間取る状態、を×として判定した。離型性が○である状態を離型性に優れると判断した。
図1に示す箱型ケースを、射出成形により連続して100個成形し、その後の金型キャビティー内に付着する汚染物の有無を観察した。汚染物が認められないものを○、僅かでも汚染物が認められるものを×として判定した。金型汚染性は、○である状態を金型汚染が無く優れると判断した。
得られた箱型ケースの表面状態を目視にて観察した。表面全体に艶のあるものを○、表面の一部に艶のあるもの、表面にまったく艶のないもの、を×として判定した。成形品外観が○であるものを成形品外観に優れると判断した。
PPS(A−2)44.4重量%、VA系共重合体(B−3)4.5重量%、PE系共重合体(C2−2)6.7重量%及び表面処理水酸化マグネシウム(D2−1)44.4重量%の割合で配合して、シリンダー温度310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(E−1)を該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド系組成物を作製した。その際のポリアリーレンスルフィド系組成物の構成割合は,PPS(A−2)100重量部に対し、VA系共重合体(B−3)5重量部、PE系共重合体(C2−2)15重量部、表面処理水酸化マグネシウム(D2−1)100重量部、ガラス繊維(E−1)75重量部であった。
PPS(A−2)、VA系共重合体(B−3)、PE系共重合体(C1−1、C2−1、C2−2、C3−1、C5−1)、表面処理水酸化マグネシウム(D2−1)、及びガラス繊維(E−1)を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド系組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表1に示した。
PPS(A−1、2、3)、VA系共重合体(B−1、2、3、4、5)、PE系共重合体(C2−1、C2−2、C5−1)、表面未処理水酸化マグネシウム(D1−1)、表面処理水酸化マグネシウム(D2−1)、ガラス繊維(E−1)、及びカルナバワックス(F1−1)を表2に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド系組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示した。
PPS(A−2)、VA系共重合体(B−3)、PE系共重合体(C2−2)、表面処理水酸化マグネシウム(D2−1)、ガラス繊維(E−1)、及びカルナバワックス(F1−1)を表3に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表3に示した。
Claims (6)
- ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、少なくとも下記の一般式(1)で示されるエチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体及び/又はエチレン−ビニルアルコール共重合体であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(B)3〜35重量部、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体(C1),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(C2),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(C3),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体(C4),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(C5)からなる群より選択される少なくとも1種以上のポリエチレン系共重合体(C)3〜35重量部、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径(D 50 )が0.3〜10μmの範囲を有する水酸化マグネシウム(D)50〜200重量部並びに繊維状充填剤(E)50〜150重量部を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィド系組成物。
- エチレン−ビニルアルコール系共重合体(B)が、エチレン−酢酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体及び/又はエチレン−ビニルアルコール共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
- ポリエチレン系共重合体(C)が、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(C2),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(C3),エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(C5)からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
- 水酸化マグネシウム(D)が、表面処理が施されていない水酸化マグネシウム(D1)及び/又はシラン系カップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウム(D2)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
- ポリアリーレンスルフィド(A)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(B)、ポリエチレン系共重合体(C)、水酸化マグネシウム(D)及び繊維状充填剤(E)の合計量100重量部に対し、さらに離型剤(F)0.05〜5重量部を配合してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
- 離型剤(F)が、カルナバワックス(F1)、ポリエチレンワックス(F2)、ポリプロピレンワックス(F3)、ステアリン酸金属塩(F4)、酸アマイド系ワックス(F5)からなる群より選択される1種以上の離型剤であることを特徴とする請求項5に記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
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