JP2020033534A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

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【課題】 本発明は、給湯器部品用途又は自動車電装部品用途に有用な耐冷熱性に優れ、金型汚染性が少なく、薄肉流動性をあわせもつポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供するものである。【解決手段】 直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が100〜2000ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系共重合体(B)1〜30重量部、ガラス繊維(C)15〜100重量部、並びにイソシアヌレート(D)0.1〜3重量部を含んでなり、該変性エチレン系重合体(B)と該イソシアヌレート(D)の配合割合が、該イソシアヌレート(D)/変性エチレン系重合体(B)(重量部/重量部)=0.05〜0.3の範囲内であるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、耐冷熱性に優れ、金型汚染性が少なく、薄肉流動性をあわせもつポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは、特に給湯器部品用途、又は自動車電装部品用途に有用なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPSと略記することもある。)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記することもある。)は、優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、耐薬品性を有し、多くの電気・電子機器部材や自動車機器部材、その他OA機器部材等に幅広く使用されている。
PASは、ガラス繊維等の繊維状無機充填材、炭酸カルシウム、タルク等の粒状無機充填材を配合することにより、機械的強度、耐熱性、剛性等を大きく向上させることができる。しかしながら、他のエンジニアリングプラスチックに比較し耐冷熱性に劣り、給湯器部品用途又は自動車電装部品用途への搭載が制限されている。また、これらの用途においては、部品形状の複雑化や小型化の要求から、部品の薄肉化が進展しており、薄肉化した際の耐冷熱性に優れることが望まれている。
PASの耐冷熱性を改良するための技術として、PASに変性エチレン系共重合体をブレンドすることが提案されている。例えば、ポリアリーレンスルフィドおよびエチレン系共重合体、特定のシランカップリング剤からなる樹脂組成物(例えば特許文献1参照。)、特定のポリアリーレンスルフィドおよび特定の変性ポリオレフィンからなる樹脂組成物(例えば特許文献2参照。)、等が報告されている。また、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ガラス繊維、エポキシ基、酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体、特定の充填材からなる樹脂組成物(例えば特許文献3参照。)が報告されている。
また、目的は異なるものの、PPSに非ブロック型多官能性イソシアネートとを溶融混練した変性PPSにポリアミド樹脂と特定のエチレン系共重合体とを配合したPPS樹脂組成物(例えば特許文献4参照。)、PPSに非ブロック型多官能性イソシアネートとを溶融混練した変性PPSに、無水マレイン酸を含むエチレン系共重合体とを配合したPPS樹脂組成物(例えば特許文献5参照。)、特定のPPSにブロック型多官能性イソシアネート、特定の無水マレイン酸変性エチレン系共重合体とを配合したPPS樹脂組成物(例えば特許文献6、7参照。)が報告されている。
特開2008−144003号公報 特開2007−106834号公報 特開2005−306926号公報 特許2704763号公報 特許2789240号公報 特許3968839号公報 特許3968840号公報
しかし、特許文献1〜3に提案された樹脂組成物においては、耐冷熱性が充分とは言えず、用途に制限を来していた。また、特許文献4、5に提案された樹脂組成物においては、PPSと多官能性イソシアネートを予め溶融混練する必要があり生産性に劣り、かつ、耐冷熱性については何ら言及のされていないものである。また、特許文献6、7に提案された樹脂組成物においても、金型汚染性に劣り、かつ、耐冷熱性については何ら言及のなされていないものであった。即ちこれらの提案樹脂組成物はおしなべて、耐冷熱性、金型汚染性、成形流動性を同時に満足することは難しいものであった。
そこで、本発明は、耐冷熱性に優れ、金型汚染性が少なく、薄肉流動性をあわせもつ新規なPAS樹脂組成物を提供する事を目的とするものであり、さらに詳しくは、特に給湯器部品用途又は自動車電装部品用途に有用なPAS樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のPAS樹脂、無水マレイン酸系変性エチレン系共重合体、ガラス繊維、及びイソシアヌレートから構成され、特定の配合割合からなる樹脂組成物が、耐冷熱性、金型汚染性、成形流動性に優れるPAS樹脂組成物となり得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が100〜2000ポイズであるPAS樹脂(A)100重量部に対し、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系共重合体(B)1〜30重量部、ガラス繊維(C)15〜100重量部、並びにイソシアヌレート(D)0.1〜3重量部を含んでなり、該変性エチレン系重合体(B)と該イソシアヌレート(D)の配合割合が、該イソシアヌレート(D)/変性エチレン系重合体(B)(重量部/重量部)=0.05〜0.3の範囲内であることを特徴とするPAS樹脂組成物に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のPAS樹脂組成物を構成するPAS樹脂(A)としては、一般にPAS樹脂と称される範疇に属するものであればよく、該PAS樹脂としては、例えばp−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルフォン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ビフェニレンスルフィド単位からなる単独重合体又は共重合体を挙げることができ、該PAS樹脂の具体的例示としては、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドエーテル等が挙げられ、その中でも、特に耐熱性、強度特性に優れるPAS樹脂組成物となることから、PPSであることが好ましい。
そして、該PAS樹脂(A)は、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度において、100〜2000ポイズのものである。ここで、100ポイズ未満である場合、得られる組成物は機械的強度に劣るものとなる。一方、2000ポイズを越える場合、薄肉流動性に劣るものとなる。
該PAS樹脂(A)の製造方法としては、PAS樹脂の製造方法として知られている方法により製造することが可能であり、例えば極性溶媒中で硫化アルカリ金属塩、ポリハロゲン芳香族化合物を重合することにより得る事が可能である。その際の極性有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げる事ができ、硫化アルカリ金属塩としては、例えば硫化ナトリウム、硫化ルビジウム、硫化リチウムの無水物又は水和物を挙げる事ができる。また、硫化アルカリ金属塩としては、水硫化アルカリ金属塩とアルカリ金属水酸化物を反応させたものであってもよい。ポリハロゲン芳香族化合物としては、例えばp−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジビフェニル等を挙げる事ができる。
また、PAS樹脂(A)としては、直鎖状のものであっても、重合時にトリハロゲン以上のポリハロゲン化合物を少量添加して若干の架橋又は分岐構造を導入したものであっても、ポリアリーレンスルフィド樹脂の分子鎖の一部及び/又は末端を例えばカルボキシル基、カルボキシ金属塩、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等の官能基により変性されたものであっても、窒素などの非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。また、該PAS樹脂(A)は、加熱硬化前又は後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)、あるいはアセトン、メチルアルコールなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってイオン、オリゴマーなどの不純物を低減させたものであってもよい。さらに、重合反応終了後に不活性ガス又は酸化性ガス中で加熱処理を行い、硬化を行ったものであってもよい。
更に、該PAS樹脂(A)としては、特に耐冷熱性、金型汚染性、成形流動性、ウエルド強度に優れるPAS樹脂組成物を提供することが可能となることから、アミノ基0.05〜5モル%を含有するアミノ基置換PAS樹脂であることが好ましく、特にアミノ基0.1〜3モル%を含有するアミノ基置換PAS樹脂であることが好ましい。該アミノ基置換PAS樹脂としては、上記したPAS樹脂のアミノ基置換樹脂を挙げることが出来る。ここで、アミノ基含有量は、例えばアミノ基置換PAS樹脂を赤外線吸収スペクトルによりベンゼン環のC−H面外変角振動である1900cm−1の吸収とアミノ基のN−H伸縮振動である3387cm−1の吸収を測定し、フェニル基に対するアミノ基含有量として求めることが出来る。
該アミノ基置換PAS樹脂の製造方法としては、上記したPAS樹脂の製造方法にさらにアミノ基含有ハロゲン芳香族化合物を共重合する方法を挙げることができ、該アミノ基含有ハロゲン芳香族化合物としては、例えば2,5−ジクロロアニリン、2,6−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、3,5−ジアミノクロロベンゼン、2−アミノ−4−クロロトルエン、2−アミノ−6−クロロトルエン、4−アミノ−2−クロロトルエン、3−クロロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジブロモアニリン、2,6−ジブロモアニリン、3,5−ジブロモアニリン、及びそれらの混合物等が挙げられ、特に3,5−ジクロロアニリン、3,5−ジアミノクロロベンゼンが好ましい。
本発明のPAS樹脂組成物を構成する変性エチレン系共重合体(B)は、PAS樹脂組成物の耐冷熱性を改良するものであり、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系共重合体である。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるPAS樹脂組成物が耐冷熱性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50〜98:40〜1:10〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンダイン5500(アルケマ(株)製)、(商品名)ボンダインTX8030(アルケマ(株)製)、(商品名)ボンダインAX8390(アルケマ(株)製)等が挙げられる。
該無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるPAS樹脂組成物が耐冷熱性等に優れることから、エチレン残基単位:α−オレフィン残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50〜98:45〜1:5〜1の範囲からなるものであることが好ましく、具体的には無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。該無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体は、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、過酸化物、無水マレイン酸を共存し、グラフト化反応を進行することにより入手することが可能である。
そして、変性エチレン系共重合体(B)を構成するα−オレフィンとは、炭素数が3以上のα−オレフィンを言い、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。また、α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアルキルエステルが挙げられ、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステルが挙げられる。
該変性エチレン系共重合体(B)の配合量は、PAS樹脂(A)100重量部に対して、1〜30重量部である。ここで、変性エチレン系共重合体(B)の配合量が1重量部未満である場合、得られる組成物は耐冷熱性に劣るものとなる。一方、30重量部を越える場合、金型汚染性に劣るものとなる。
本発明のPAS樹脂組成物を構成するガラス繊維(C)は、PAS樹脂組成物の強度を改良するものであり、該ガラス繊維(C)としては、一般にガラス繊維と称すものであれば如何なるものを用いてもよい。該ガラス繊維の具体的例示としては、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランド、繊維断面のアスペクト比が2〜4の扁平ガラス繊維からなるチョップドストランド、ミルドファイバー、ロービング等のガラス繊維;シラン繊維;アルミノ珪酸塩ガラス繊維;中空ガラス繊維;ノンホーローガラス繊維等が挙げられ、その中でもとりわけ耐冷熱性と成形流動性に優れたPAS樹脂組成物となることから、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランド、ないしは、繊維断面のアスペクト比が2〜4である扁平ガラス繊維からなるチョップドストランドであることが好ましい。これらのガラス繊維(C)は2種以上を併用することも可能であり、必要によりエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで、予め表面処理したものを用いてもよい。該ガラス繊維(C)の配合量としては、PAS樹脂(A)100重量部に対して、15〜100重量部である。ここで、ガラス繊維(C)の配合量が15重量部未満である場合、得られる組成物は強度に劣るものとなる。一方、100重量部を越える場合、成形流動性に劣るものとなる。
本発明のPAS樹脂組成物は、特定のPAS、変性エチレン系共重合体、ガラス繊維にイソシアヌレートを配合することにより、特に耐冷熱性に優れるPAS樹脂組成物となることを見出したものである。本発明のPAS樹脂組成物を構成するイソシアヌレート(D)としては、イソシアヌレートと称されるものであればよく、その中でもとりわけ、耐冷熱性に優れたPAS樹脂組成物となることから脂肪族系イソシアヌレートであることが好ましい。該脂肪族系イソシアヌレートとしては、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(6−イソシアナトテトラ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(6−イソシアナトドデカ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどが挙げられ、特に耐冷熱性に優れ金型汚染性の低いバランスに優れるPAS樹脂組成物となる事から分子量500以上の脂肪族系イソシアヌレートが好ましい。該脂肪族系イソシアヌレートは2量体や3量体などの多量体、ないしは脂肪族系イソシアヌレート単量体に2量体や3量体などの多量体を含むイソシアヌレートであってもよく、PASや変性エチレン共重合体との反応性に優れ、耐冷熱性に優れたPAS樹脂組成物となることから、イソシアネート基20%以上含む脂肪族系イソシアヌレートである事が好ましい。
また、該脂肪族系イソシアヌレートは、脂肪族系イソシアネートの一部を1,3−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールなどのアルコールで変性したものであっても構わない。該脂肪族系イソシアヌレートの中でもとりわけ、耐冷熱性に優れその入手が容易であることから1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンである事が好ましい。1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンの具体的例示としては(商品名)コロネートHXR(東ソー(株)製)、(商品名)デュラネートTPA−100(旭化成(株)製)等が挙げられる。
該イソシアヌレート(D)の配合量としては、とりわけ耐冷熱性に優れ、金型汚染性に優れたPAS樹脂組成物となることから、PAS樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜3重量部であり、更に、該イソシアヌレート(D)と該変性エチレン系重合体(B)との配合割合が、該イソシアヌレート(D)/変性エチレン系重合体(B)(重量部/重量部)=0.05〜0.3の範囲内であるものである。ここで、イソシアヌレート(D)が0.1重量部未満、又は、該イソシアヌレート(D)/変性エチレン系重合体(B)(重量部/重量部)が0.05未満である場合、得られる組成物は耐冷熱性に劣るものとなる。また、イソシアヌレート(D)が3重量部を越える場合、又は、該イソシアヌレート(D)/変性エチレン系重合体(B)(重量部/重量部)が0.3を超える場合、得られる組成物は金型汚染性や耐冷熱性に劣るものとなる。
本発明のPAS樹脂組成物は、特に成形加工性が優れたものとなることから、さらに、離型剤(E)を配合してなるものが好ましい。該離型剤(E)は、脂肪酸アミド系滑剤、カルナバワックスから選択される1種以上のものであることが好ましく、該脂肪酸アミド系滑剤、カルナバワックスは市販のものが使用できる。該脂肪酸アミド系滑剤は、高級脂肪酸アミド、エチレンビスステアロアミド、高級脂肪酸及びジアミンからなる重縮合物などが挙げられ、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えばステアリン酸、セバシン酸、エチレンジアミンからなる重縮合物である、(商品名)ライトアマイドWH−255(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。また、該カルナバワックスしては、一般にカルナバワックスと称するものであれば如何なるものを用いる事が可能であり、例えば(商品名)精製カルナバ粉末1号(日興リカ(株)製)等を挙げることができる。該離型剤の配合量としては、PAS樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜3重量部であることが好ましい。
本発明のPAS樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、炭素繊維、窒化珪素ウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、炭化珪素ウイスカー、ボロンウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー;ロックウール、ジルコニア、チタン酸バリウム、炭化珪素、シリカ、高炉スラグ等の無機系繊維、全芳香族ポリアミド繊維、フェノール樹脂繊維、全芳香族ポリエステル繊維等の有機系繊維;ワラステナイト、マグネシウムオキシサルフェート等の鉱物系繊維が添加されたものであってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、マイカ、シリカ、タルク、クレイ、硫酸カルシウム、カオリン、ワラステナイト、ゼオライト、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カーボンブラック、ハイドロタルサイト、ガラスパウダー、ガラスバルーン、ガラスフレークが添加されたものであっても構わない。
また、本発明のPAS樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知のタルク、カオリン、シリカなどの結晶核剤;ポリアルキレンオキサイドオリゴマー系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤;酸化防止剤;熱安定剤;滑剤;紫外線防止剤;発泡剤、シランカップリング剤などの添加剤などの通常の添加剤を1種以上添加するものであってもよい。
さらに、本発明のPAS樹脂組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアルキレンオキサイド等の1種以上を混合して使用してなるものであってもよい。
本発明のPAS樹脂組成物を製造する際の製造方法としては特に制限はなく、一般的な混合・混練方法として知られている方法を用いる事が可能であり、例えば全ての原材料を配合し溶融混練する方法;原材料の一部を配合した後で溶融混練し、さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法;あるいは原材料の一部を配合後単軸又は二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法、など、いずれの方法を用いてもよい。また、小量の添加成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加することで使用してもよい。そして、溶融混練を行う方法としては、従来から使用されている加熱溶融混練方法を用いることができ、例えば単軸又は二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダーなどによる加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではなく、通常260〜350℃の中から任意に選ぶことができる。
本発明のPAS樹脂組成物は、射出成形機、押出成形機、圧縮成形機などを用いて任意の形状に成形することができ、特に射出成形には好適な樹脂組成物である。
本発明のPAS樹脂組成物は、耐冷熱性に優れ、成形加工に必要な金型汚染性、成形流動性に優れる特性をあわせもつことから、部品形状の複雑化や小型化のニーズから部品の薄肉化、外装部品としての使用が望まれている給湯器部品用途又は自動車電装部品用途に好適に用いられる。
本発明は、耐冷熱性、成形加工に必要な金型汚染性、成形流動性に優れるPAS樹脂組成物を提供するものであり、該PAS樹脂組成物は給湯器部品用途又は自動車電装部品用途に有用なものである。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例及び比較例において用いた、PAS樹脂(A)、変性エチレン系共重合体(B)、ガラス繊維(C)、イソシアヌレート(D)、離型剤(E)を以下に示す。
<PAS樹脂(A)>
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−1)と記す。):溶融粘度800ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−2)と記す。):溶融粘度430ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−3)と記す。):溶融粘度3000ポイズ。
アミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−4)と記す。):アミノ基含有量0.1モル%、溶融粘度1200ポイズ。
アミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−5)と記す。):アミノ基含有量0.6モル%、溶融粘度500ポイズ。
アミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−6)と記す。):アミノ基含有量0.6モル%、溶融粘度3000ポイズ。
<変性エチレン系共重合体(B)>
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−1)(以下、変性エチレン系共重合体(B−1)と記す。):アルケマ(株)製、(商品名)ボンダインAX8390。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−2)(以下、変性エチレン系共重合体(B−2)と記す。):アルケマ(株)製、(商品名)ボンダインTX8030。
<ガラス繊維(C)>
ガラス繊維(C−1);日本電気硝子(株)製チョップドストランド、(商品名)T−760H。
ガラス繊維(C−2);日東紡(株)製チョップドストランド、(商品名)CSG−3PA 830。
<イソシアヌレート(D)>
イソシアヌレート(D−1);東ソー(株)製、(商品名)コロネートHXR(イソシアネート含量21.8%、分子量504)。
イソシアヌレート(D−2);旭化成(株)製、(商品名)デュラネートTPA−100(イソシアネート含量23.2%、分子量504)。
芳香族系多官能イソシアネート(D−3);ポリメリックMDI、東ソー(株)製、(商品名)ミリオネートMR−100(イソシアネート含量31.0%、平均分子量450)。
脂肪族系イソシアネート(D−4);ヘキサメチレンジイソシアネート、東ソー(株)製(イソシアネート含量50.0%、分子量168)。
<離型剤(E)>
脂肪酸アミド系滑剤(E−1);共栄社化学(株)製、(商品名)ライトアマイドWH−255。
カルナバワックス(E−2);日興リカ(株)製、(商品名)精製カルナバ粉末1号。
<合成例1(PPS(A−1)の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、硫化ナトリウム2.9水和物6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7115gとN−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し固形分を遠心分離機により単離した。該固形分を温水で繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより溶融粘度が400ポイズのポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。次いで、乾燥したポリ(p−フェニレンスルフィド)を、バッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、窒素雰囲気下250℃で3時間硬化処理を行うことによって、溶融粘度800ポイズのPPS(A−1)を得た。
<合成例2(PPS(A−2)の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、47%硫化水素ナトリウム水溶液5607g、48%水酸化ナトリウム水溶液3807g及びN−メチル−2−ピロリドン10773gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、4533gの水を留去した。この系を170℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7060gとN−メチル−2−ピロリドン5943gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて1時間重合し、さらに250℃まで昇温し、250℃にて2時間重合した。更に、250℃で水1503gを圧入し、再度255℃まで昇温し、255℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を130℃のN−メチル−2−ピロリドンで洗浄し、続いてアセトンで順次2回繰り返し洗浄し、さらに、窒素気流下で0.2%塩酸及び温水で、次いで100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が430ポイズの直鎖状ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A−2)と記す。)を得た。
<合成例3(PPS(A−3)の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、硫化ナトリウム2.9水和物6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7115gとN−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し固形分を遠心分離機により単離した。該固形分を温水で繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより溶融粘度が400ポイズのポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。次いで、乾燥したポリ(p−フェニレンスルフィド)を、バッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、酸素雰囲気下250℃で3時間硬化処理を行うことによって、溶融粘度3000ポイズのPPS(A−3)を得た。
<合成例4(PPS(A−4)の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7278g、3,5−ジクロロアニリン11.7g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が400ポイズのアミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。次いで、乾燥したアミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)を、バッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、空気雰囲気下240℃で2時間硬化処理を行うことによって、溶融粘度1200ポイズ、フェニル基に対するアミノ基の含有量0.1モル%のPPS(A−4)を得た。
<合成例5(PPS(A−5)の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7150g、3,5−ジクロロアニリン47g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、ポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が250ポイズのアミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。次いで、乾燥したアミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)を、バッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、窒素雰囲気下250℃で5時間硬化を行うことによって、溶融粘度500ポイズ、フェニル基に対するアミノ基の含有量0.6モル%のPPS(A−5)を得た。
<合成例6(PPS(A−6)の合成)>
合成例5により得られたアミノ基の含有量0.6モル%のPPS(A−5)をさらにバッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、空気雰囲気下250℃で2時間硬化を行うことによって、溶融粘度3000ポイズ、フェニル基に対するアミノ基の含有量0.6モル%のPPS(A−6)を得た。
得られたPAS樹脂、PAS樹脂組成物の評価・測定方法を以下に示す。
〜PAS樹脂の溶融粘度測定〜
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、(商品名)CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
〜PASに含まれるアミノ基含有量の測定〜
赤外線吸収スペクトルによりベンゼン環のC−H面外変角振動である1900cm−1の吸収とアミノ基のN−H伸縮振動である3387cm−1の吸収を測定し、別途作成した検量線からフェニル基に対する含量としてアミノ基含有量を求めた。
〜耐冷熱性の測定〜
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によって、30mm×20mm×10mmの直方体の鋼材(炭素鋼)をインサートするインサート成形をシリンダー温度310℃、金型温度135℃で行い、肉厚1mmのPAS樹脂組成物で被覆する耐冷熱用テストピースを作製した。得られたテストピースを150℃で30分保持した後、−40℃で30分保持を行うことを1サイクルとする冷熱サイクルに供し、目視によりクラックが発生するまで該サイクルを継続し、クラックの発生が認められた冷熱サイクル処理数を耐冷熱性として評価した。該冷熱サイクル処理数が250回以上のものを耐冷熱性に優れると判断した。
〜成形流動性の測定〜
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE75S)に、深さ1mm、幅10mmの溝がスパイラル状に掘られた金型を装着し、次いで、シリンダー温度を310℃、射出圧力を190MPa、射出速度を最大、射出時間を1.5秒、及び金型温度を135℃に設定した該射出成形機のホッパーにPAS樹脂組成物を投入し、射出した。そして金型内のスパイラル状の溝を溶融流動した長さを成形流動性として測定した。成形流動性として200mmを超えるものを実用上十分な流動性を示すものと判断した。
〜金型汚染性の測定〜
得られたPAS樹脂組成物を試験片とした後の金型表面を目視にて観察した。評価基準を以下に示す。
○:金型表面に付着物は認められない。
×:金型表面にわずかでも付着物が認められる、又は成形不可である。
〜ウエルド強度の測定〜
射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE75S)によって試験片を作製し、引張試験機((株)島津製作所製、商品名オートグラフAG−5000B)を用いて、ASTM D638に準拠し測定を行った。該ウエルド強度が60MPa以上のものを特にウエルド強度に優れると判断した。
実施例1
合成例1で得られたPPS(A−1)100重量部に対し、変性エチレン系共重合体(B−1)14重量部、イソシアヌレート(D−1)2.4重量部、及び離型剤(E−1)0.2重量部を予め均一に混合し、シリンダー温度300℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−1)をPPS(A−1)100重量部に対して50重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化したポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂組成物(以下、PPS樹脂組成物と記す場合もある。)を作製した。得られたPPS樹脂組成物の、耐冷熱性、流動性、金型汚染性を評価した。評価結果を表1に示す。
得られたPPS樹脂組成物は、金型汚染性が少なく、実用上十分な耐冷熱性を有した。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。
実施例2〜8
PPS(A−1、A−2)、変性エチレン系共重合体(B−1、B−2)、イソシアヌレート(D−1、D−2)及び離型剤(E−1、E−2)を表1に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(C−1、C−2)を、表1に示す構成割合になるように二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法によりPPS樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
得られたPPS樹脂組成物は、金型汚染性が少なく、実用上十分な耐冷熱性を有した。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。
比較例1〜7
PPS(A−1、A−2、A−3)、変性エチレン系共重合体(B−1)、イソシアヌレート(D−1、D−2)、芳香族イソシアネート(D−3)、脂肪族イソシアネート(D−4)及び離型剤(E−1、E−2)を表2に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(C−1)を、表2に示す構成割合になるように、二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法により組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
比較例1、比較例2、比較例3、比較例5により得られた組成物は、耐冷熱性に劣った。また、比較例3、比較例4、比較例5により得られた組成物は、金型汚染性に劣った。
また、比較例6、比較例7により得られた組成物は、成形流動性に劣った。
実施例9
合成例4で得られたPPS(A−4)100重量部に対し、変性エチレン系共重合体(B−1)13重量部、イソシアヌレート(D−1)1.9重量部、及び離型剤(E−2)0.2重量部を予め均一に混合し、シリンダー温度300℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−1)をPPS(A−1)100重量部に対して50重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化したポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂組成物(以下、PPS樹脂組成物と記す場合もある。)を作製した。得られたPPS樹脂組成物の、耐冷熱性、流動性、金型汚染性、ウエルド強度を評価した。評価結果を表3に示す。
得られたPPS樹脂組成物は、金型汚染性が少なく、実用上十分な耐冷熱性、ウエルド強度を有した。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。
実施例10〜17
PPS(A−4、A−5)、変性エチレン系共重合体(B−1、B−2)、イソシアヌレート(D−1、D−2)及び離型剤(E−1、E−2)を表1に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(C−1、C−2)を、表3に示す構成割合になるように二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例9と同様の方法によりPPS樹脂組成物を作製し、実施例9と同様の方法により評価した。評価結果を表3に示す。
得られたPPS樹脂組成物は、金型汚染性が少なく、実用上十分な耐冷熱性を有した。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。さらにウエルド強度にも優れるものであった。
比較例8〜14
PPS(A−4、A−5、A−6)、変性エチレン系共重合体(B−1)、イソシアヌレート(D−1、D−2)、芳香族イソシアネート(D−3)、脂肪族イソシアネート(D−4)及び離型剤(E−1、E−2)を表4に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(C−1)を、表4に示す構成割合になるように、二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例9と同様の方法により組成物を作製し、実施例9と同様の方法により評価した。評価結果を表4に示す。
比較例8、比較例9、比較例10、比較例12により得られた組成物は、耐冷熱性に劣った。また、比較例10、比較例11、比較例12により得られた組成物は、金型汚染性に劣り、比較例11では試験片の作成を行わなかった。また、比較例13、比較例14により得られた組成物は、成形流動性に劣った。
本発明のPAS樹脂組成物は、耐冷熱性、成形加工に必要な金型汚染性、成形流動性に優れるものであり、特に給湯器部品用途又は自動車電装部品用途に用いられる樹脂組成物として期待されるものである。

Claims (4)

  1. 直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が100〜2000ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系共重合体(B)1〜30重量部、ガラス繊維(C)15〜100重量部、並びにイソシアヌレート(D)0.1〜3重量部を含んでなり、該変性エチレン系重合体(B)と該イソシアヌレート(D)の配合割合が、該イソシアヌレート(D)/変性エチレン系重合体(B)(重量部/重量部)=0.05〜0.3の範囲内であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、さらに、脂肪酸アミド系滑剤、カルナバワックスからなる群より選択される少なくとも1種以上の離型剤(E)0.1〜3重量部を含んでなることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. イソシアヌレートが、脂肪族系イソシアヌレートであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)がアミノ基0.05〜5モル%を含有するアミノ基置換ポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
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