JP2888197B2 - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents
マルチピースソリッドゴルフボールInfo
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Description
有するマルチピースソリッドゴルフボールに関し、更に
詳述すると、飛び性能、打感及びコントロール性能が向
上すると共に、ヘッドスピード依存性が少なく、特に低
ヘッドスピードでも大きな飛び性能を有するマルチピー
スソリッドゴルフボールに関する。
種々の構造のゴルフボールが市場に提供されており、中
でも競技用ゴルフボールとして一般に用いられているの
は、ゴムを基材とするコアをアイオノマー樹脂等からな
るカバーで被覆したツーピースソリッドゴルフボール
と、ソリッド又はリキッドセンターに糸ゴムを巻きつ
け、これをカバーで被覆した糸巻ゴルフボールとが大半
を占めている。
優れた飛び性能及び耐久性を有することから、多くの一
般ゴルファーに使用されているが、打感が非常に硬く感
じられ、また打撃時の球離れの速さからコントロール性
に劣るという欠点を有し、このためプロゴルファーやア
マチュア上級者は、ツーピースソリッドゴルフボールよ
りも糸巻ゴルフボールを好んで使用する場合が多い。一
方、糸巻ゴルフボールは、フィーリング、コントロール
性に優れる反面、飛距離、耐久性の点でツーピースソリ
ッドゴルフボールに劣り、特に、初級者、レディース、
シニアプレーヤー等の低ヘッドスピードのプレーヤーが
使用するとゴルフボールを十分に変形させることができ
ないため、ヘッドスピードの依存性が大きくなり、飛距
離の増大や、良好なフィーリングが得られるものではな
い。このように、ツーピースゴルフボールと糸巻ゴルフ
ボールとは、互いに相反する性能を有しており、プレー
ヤーは自分の技倆や好みにより使用するゴルフボールを
選択しているのが現状である。
において糸巻ゴルフボールに近いフィーリングを実現す
べく新しいタイプのスリーピースソリッドゴルフボール
に関する提案が種々試みられており、例えば、大きな飛
距離と糸巻ゴルフボールに近い打感とコントロール性と
を得るために、軟らかく、比較的小さな内層(外径:2
4〜29mm,硬度:ショアD15〜30度)を硬い外
層(外径:36〜41mm、硬度:ショアD55〜65
度)で被覆したコアを形成したもの(特公平4−550
77号公報、特開昭64−80377号公報)、またソ
リッドゴルフボールの特徴である良好な飛び性能及び耐
久性を劣化させることなく、フィーリングの向上を図る
ためにセンターコアとボール最外層のカバーとの間に軟
らかい中間層を設けたもの(特開平7−24084号公
報)等がある。
さな内層を硬い外層で被覆したコアを形成したスリーピ
ースソリッドゴルフボールは、飛び性能においてツーピ
ースソリッドゴルフボールを凌ぐに至らず、内層以外に
硬い部材を用いているために低ヘッドスピードのプレー
ヤーにおいて、飛び、フィーリングを満足させるには至
っていない。更に内層と外層の硬度差が大きいため、耐
久性においても現行ツーピースソリッドゴルフボールよ
りも非常に劣るものであった。また、上記のセンターコ
アとボール最外層のカバーとの間に軟らかい中間層を設
けたスリーピースソリッドゴルフボールにおいても、未
だ良好なフィーリングを得るには至っておらず、更なる
良好なフィーリング、飛び性能を有し、特に低ヘッドス
ピードのプレーヤーでも十分な飛び性能を有するゴルフ
ボールの開発が望まれている。
で、ソリッドゴルフボールの特徴である良好な飛び性能
及び耐久性を損なうことなく、軟らかなフィーリングを
持ち、かつ、スピンがかかりすぎずに良好な飛び性能を
有すると共に、ヘッドスピード依存性を少なくし、低ヘ
ッドスピードのプレーヤーがショットした場合でも大き
な飛び性能を有するマルチピースソリッドゴルフボール
を提供することを目的とする。
発明は、上記目的を達成するため、4層以上からなるマ
ルチピースソリッドゴルフボールにおいて、内芯球の硬
度とコアの硬度との関係、内芯球の硬度とボール硬度と
の関係、カバー硬度等について鋭意検討を行った結果、
内芯球の硬度を100kg荷重時のたわみ量で3.5〜
10.0mmと最も軟らかくし、外側カバーの硬度をシ
ョアD58度以上と最も硬くし、その内側に軟らかい内
側カバーを設け、更に内芯球の硬度Aとゴルフボールの
硬度Bとの比が100kg荷重時のたわみ量でA/B=
1.1〜4.0の範囲となるように形成することによ
り、これらの相乗効果からソリッドゴルフボールの特徴
である良好な飛び性能及び耐久性を維持しつつ、ショッ
トした時の感覚が軟らかく良好なフィーリングを有し、
ヘッドスピード依存性を少なくし、あらゆるヘッドスピ
ードにおいて大きな飛び性能を発揮することが可能とな
り、特に、初級者、レディース、シニアプレーヤー等の
低ヘッドスピードのプレーヤーが使用した場合にも飛距
離の増大や、良好なフィーリングが得られることを見い
出し、本発明をなすに至ったものである。
芯球を被覆する少なくとも1層以上の包囲層とからなる
コアと、このコアを被覆する内側カバーとこの内側カバ
ーを被覆する外側カバーとからなるカバーとを具備する
マルチピースソリッドゴルフボールにおいて、上記内芯
球の硬度を100kg荷重時のたわみ量で3.5〜1
0.0mmと最も軟らかくし、かつ上記外側カバーの硬
度をショアD58度以上と最も硬く形成し、上記内芯球
の硬度Aと上記ゴルフボールの硬度Bとの比が100k
g荷重時のたわみ量でA/B=1.1〜4.0であるこ
とを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール、
(2)内芯球の直径が35mm以下で、コアの直径が3
0〜39mmであり、内芯球のショアD硬度が包囲層の
ショアD硬度よりも小さく、かつコアの100kg荷重
時のたわみ量が2.8〜6.5mmである(1)記載の
ゴルフボール、及び、(3)外側カバーの厚さが0.5
〜3.0mm、内側カバーの厚さが0.5〜5.0mm
であり、かつ内側カバーの硬度がショアD57度以下で
ある(1)又は(2)記載のゴルフボールを提供する。
と、本発明のマルチピースソリッドゴルフボール1は、
図1に示したように、内芯球3とそれを被覆する包囲層
4とからなるソリッドコア2と、内側カバー6と外側カ
バー7とからなるカバー5とからなり、このうち外側カ
バー7が最も硬く、内芯球3が最も軟らかいことを特徴
とするものである。なお、上記包囲層4は単層に形成し
ても(この場合、ゴルフボールは4層構造となる)、複
数層に形成してもよい。
度58度以上、好ましくは60〜80度、より好ましく
は60〜70度に形成する。硬度が58度より低いと、
ボールの反発性が低下し、良好な飛び性能が得られな
い。一方、内側カバー6は、ショアD硬度57度以下、
好ましくは35〜56度に形成する。硬度が57度より
高いと低ヘッドスピードにおいて飛距離が得られず、フ
ィーリングが硬くなる。一方、硬度が35度より低いと
ボールの反発性が低下する場合が生じる。
りも軟らかく形成するもので、内側カバー6が外側カバ
ー7よりも硬いと上述した本発明の目的を達成し得な
い。なお、内側カバー6は、外側カバー7よりも、ショ
アD硬度で5度以上、より好ましくは5〜30度、更に
好ましくは5〜20度低いことが本発明の目的の上から
推奨される。
mm、より好ましくは1.0〜2.5mmとし、内側カ
バー6の厚さは0.5〜5.0mm、より好ましくは
1.0〜4.0mmとする。またこの場合カバー5の全
厚さは1.0〜8.0mm、特に2.0〜6.5mmと
することが好ましい。外側カバー7が薄すぎるとボール
の耐久性が劣化し、厚すぎると反発力が低下する。ま
た、内側カバー6が薄すぎるとフィーリングが悪くな
り、一方、厚すぎると反発力が低下する。更に、カバー
5の全厚さが薄すぎるとボールの耐久性が劣化し、フィ
ーリングが悪くなり、厚すぎるとボールの反発性が低下
し、良好な飛び性能が得られない。
する材料は、特に制限されず、アイオノマー樹脂や非ア
イオノマー樹脂の熱可塑性樹脂を用い、上述した硬度に
形成することができる。この場合、内側カバーとしては
ハイトレル4047、同4767、同5557(東レ・
デュポン社製)等の市販熱可塑性エラストマーなどが好
適に用いられる。また、外側カバーとしてはハイミラン
1605、同1706、同AM7317、同AM731
8、同1601、同1557(三井・デュポンポリケミ
カル(株)製)、サーリン8120(デュポン社製)等
の市販アイオノマー樹脂などが例示され、これらを単独
で或いは2種以上を混合して用いることができる。
記樹脂成分以外に種々の添加剤、例えば、顔料、分散
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤等を常用量添加
することができる。
球3は、その硬度が100kgの荷重を加えた時のたわ
み量で3.5〜10.0mmであり、特に4.0〜9.
5mmであることが好ましい。また、30kgの荷重を
加えた時のたわみ量が1.74〜5.40mm、特に
2.02〜5.11mmが好ましい。内芯球3の硬さが
小さすぎると反発力が低下し、飛距離が低下する傾向が
あり、硬さが大きすぎるとフィーリングが低下する傾向
にある。なお、そのショアD硬度は10〜55度、より
好ましくは15〜50度であることが好ましい。
ソリッドゴルフボールのコアと同様にポリブタジエンを
主材としたゴム基材を(メタ)アクリル酸亜鉛等の架橋
剤を用いて有機過酸化物で加硫したものを用いることが
できる。
アD硬度45〜70度、より好ましくは48〜69度で
あることが好ましい。また、この包囲層4の硬度は、非
常に軟らかい内芯球3の反発性を補う点からショアD硬
度で内芯球3よりも硬いことが好ましく、また内芯球3
と包囲層4とを併せたコア2の硬度が、100kgの荷
重を加えた時のたわみ量で2.8〜6.5mm、特に
3.0〜5.5mmであることが好適である。更に、コ
ア2に30kgの荷重を加えた時のたわみ量が1.35
〜3.43mm、特に1.46〜2.87mmであるこ
とが本発明の十分な効果を発揮する上で好ましい。
15〜34mmであることが好ましい。内芯球3が小さ
すぎると十分な反発性を得られない場合があり、逆に大
きすぎると打感に悪影響を与える。また、内芯球と包囲
層をあわせたコア2の直径は30〜39mm、特に、3
2〜38mmであることが好ましい。
0kgの荷重を加えた時のたわみ量が2.3〜4.5m
m、特に2.5〜4.0mmであることが好ましい。
ールの硬度Bとの比は、100kg荷重時のたわみ量で
A/B=1.1〜4.0、特に1.2〜3.5であるこ
とが必要である。A/Bが1.1より小さいと打感(フ
ィーリング)と反発性との両方を同時に満足することが
できない。A/Bが4.0より大きいと良好な反発性が
得られず、飛距離が不足する。
質、製法等に制限はなく、上述したゴルフボール特性を
達成できる限り、公知のいずれの材料、製法によっても
形成することができる。
用いられるコアの内芯球は通常の方法により、加硫条
件、配合比等を調節することにより得られる。通常、内
芯球の配合には基材ゴム、架橋剤、共架橋剤、不活性充
填剤等が含まれる。基材ゴムとしては従来からソリッド
ゴルフボールに用いられている天然ゴム及び/又は合成
ゴムを使用することができるが、本発明においては、シ
ス構造を少くとも40%以上有する1,4−ポリブタジ
エンが特に好ましい。この場合、所望により該ポリブタ
ジエンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタ
ジエンゴム等を適宜配合してもよい。
ジ−t−ブチルパーオキサイドのような有機過酸化物等
が例示されるが、特に好ましくはジクミルパーオキサイ
ドである。架橋剤の配合量は基材ゴム100重量部に対
して通常0.5〜1.0重量部が好ましい。
脂肪酸の金属塩、特に、炭素原子数3〜8の不飽和脂肪
酸(例えばアクリル酸、メタアクリル酸等)の亜鉛塩や
マグネシウム塩が例示されるが、アクリル酸亜鉛が特に
好適である。この共架橋剤の配合量は基材ゴム100重
量部に対して5〜50重量部内で適宜調整する。
ウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等が例示され
るが、酸化亜鉛、硫酸バリウムが一般的で、その配合量
はコアとカバーの比重、ボールの重量規格等に左右さ
れ、特に限定されないが、通常は基材ゴム100重量部
に対して5〜100重量部である。なお、本発明におい
ては酸化亜鉛、硫酸バリウムの配合割合を適宜調整する
ことで最適な内芯球の硬度を得ることができる。
物は通常の混練機、例えばバンバリーミキサーやロール
等を用いて混練し、内芯球用金型に圧縮又は射出成形
し、成形体を架橋剤及び共架橋剤が作用するのに十分な
温度(例えば架橋剤としてジクミルパーオキサイドを用
い、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛を用いた場合には約
130〜170℃)で加熱硬化して内芯球を調製する。
材を主成分として形成することができる。また、公知の
アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂から形成することも
でき、具体的にはハイミラン1605、同1706、同
1601、同1557(三井・デュポンポリケミカル
(株)製)等の市販アイオノマー樹脂が例示され、これ
らを単独で或いは2種以上を混合して用いることができ
る。
成形又は射出成形により内芯球3上に被覆してコア2を
形成することができる。更に、包囲層が2層以上の場合
にも同様の方法でコアを形成することができる。
限されず、通常は予めハーフシェル状に成形した2枚の
カバーでコアを包み、加熱加圧成形するか、カバー用組
成物を射出成形してコアを包みこんでもよい。
上記カバーにディンプルを形成するが、その幾何学的配
列としては、8面体、20面体などで、ディンプルの模
様としては、スクウェアー型、ヘキサゴン型、ペンタゴ
ン型、トライアングル型などのいかなるものを採用して
も差し支えない。
ルは、中、高ヘッドスピードのプレーヤーは勿論、低ヘ
ッドスピード、特にヘッドスピードが35m/sec程
度のプレーヤーでも良好な飛距離及びフィーリングが得
られるヘッドスピード依存性の極めて少ないものであ
る。
成を有するが、その直径、重さはゴルフ規則に従い直径
42.67mm以上、重量はいずれも45.93g以下
で適宜設定することができる。
ールは、ソリッドゴルフボールの本来有する適切なスピ
ン性能、良好な飛び性能、及び耐久性を損なうことな
く、フィーリングに優れると共に、ヘッドスピード依存
性が少ないために低ヘッドスピードのプレーヤーがショ
ットした場合でも大きな飛距離を発揮し得るものであ
る。
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。
内芯球用ゴム組成物を混練ロールを用いて混練し、15
5℃で15分間加圧成形して、内芯球を調製した。この
内芯球上に表1に示す組成の包囲層組成物を用い、以下
の方法によりコアを得た。ゴム基材の場合は混練ロール
で混練し、ハーフシェル状に半加硫状態に成形し、その
後、上記内芯球を被包し、再度155℃で15分間加圧
成形してコアを得た(実施例2〜5)。一方、熱可塑材
の場合には上記内芯球上に射出成形し、コアを得た(実
施例1、比較例4)。
により調製した内側・外側カバー材を順次射出成形にて
被覆し、実施例1〜5、比較例1〜4のゴルフボールを
製造した。なお、表1の配合量はすべて重量部であり、
その量比は内芯球、包囲層、カバーでそれぞれ独立した
ものである。
樹脂 *2:東レ・デュポン(株)のポリエステル系熱可塑性
エラストマー *3:デュポン社製のアイオノマー樹脂
(#W1)を用いてヘッドスピード45m/sec(H
S45)及び35m/sec(HS35)でショットし
た時のスピン、キャリー、トータル飛距離、アングル、
打感について評価した。結果を表2に示す。
cのプロ3名、及び35m/secの女子トップアマ3
名により実打した時の感触を下記基準により評価した。 ◎:非常に軟らかい ○:軟らかい △:やや硬い ×:硬い
は、高ヘッドスピード(HS45)、低ヘッドスピード
(HS35)にかかわらず飛距離が増大し、良好な打感
を有することが認められた。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 内芯球とこの内芯球を被覆する少なくと
も1層以上の包囲層とからなるコアと、このコアを被覆
する内側カバーとこの内側カバーを被覆する外側カバー
とからなるカバーとを具備するマルチピースソリッドゴ
ルフボールにおいて、上記内芯球の硬度を100kg荷
重時のたわみ量で3.5〜10.0mmと最も軟らかく
し、かつ上記外側カバーの硬度をショアD58度以上と
最も硬く形成し、上記内芯球の硬度Aと上記ゴルフボー
ルの硬度Bとの比が100kg荷重時のたわみ量でA/
B=1.1〜4.0であることを特徴とするマルチピー
スソリッドゴルフボール。 - 【請求項2】 内芯球の直径が35mm以下で、コアの
直径が30〜39mmであり、内芯球のショアD硬度が
包囲層のショアD硬度よりも小さく、かつコアの100
kg荷重時のたわみ量が2.8〜6.5mmである請求
項1記載のゴルフボール。 - 【請求項3】 外側カバーの厚さが0.5〜3.0m
m、内側カバーの厚さが0.5〜5.0mmであり、か
つ内側カバーの硬度がショアD57度以下である請求項
1又は2記載のゴルフボール。
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