JP3632742B2 - ソリッドゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反発性が高く、かつフィーリングに優れたマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、ソリッドゴルフボールの構造としてコアやカバーを多層化した多層構造ソリッドゴルフボールが提案されている(特開平8−336617号、同8−336618号、同9−56848号、同9−299510号、同11−417号、同11−4916号公報等)。
【0003】
ソリッドゴルフボールの多層化の目的は、一方では糸巻きゴルフボールと同等のフィーリングを得ると共に、他方では飛距離を向上させることにあるが、一般にフィーリングを重視すると飛距離が満足せず、飛距離を満足させるとフィーリングが低下することが多く、このため飛距離とフィーリングを共に満足したゴルフボールの開発が更に望まれる。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、反発性が高く、飛距離の向上を計ることができると共に、フィーリングに優れたソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、3層以上のマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、カバー以外の層として熱可塑性樹脂にゴム粉が混在する層を設けること、この場合、特に熱可塑性樹脂をガラス転移温度が低く、反発性の高い材料にて形成すると共に、ゴム粉としてアクリル酸亜鉛配合量が多いゴム組成物を用いて形成し、硬いゴム粉とし、ゴム粉を十分量熱可塑性樹脂に混在させることにより、従来よりも軟らかく、かつ反発性の高いゴルフボールが得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は、下記のソリッドゴルフボールを提供する。
請求項1:
ゴム組成物にて形成されるコアと、コアを被覆する中間層と、中間層を被覆するカバーとを具備するソリッドゴルフボールにおいて、
前記コアの直径が25mm以上39mm以下であり、前記コアに100kg荷重をかけたときの変形量が2.0mm以上5.0mm以下であり、前記中間層が熱可塑性樹脂にゴム粉が混在する層であって、前記熱可塑性樹脂のショアD硬度が20以上50以下、前記熱可塑性樹脂とゴム粉との比率が重量比として60:40〜25:75であると共に、
前記熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンエステル樹脂、ポリアミドエラストマー又はこれらの混合物であって前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が−10℃以下、レジリエンスが50以上であり、
前記ゴム粉がポリブタジエン100重量部に対しアクリル酸亜鉛を30〜45重量部含むゴム組成物の加硫物であることを特徴とするソリッドゴルフボール。
請求項2:
ゴム組成物にて形成されるコアと、コアを被覆する包囲層と、包囲層を被覆する中間層と、中間層を被覆するカバーとを具備するソリッドゴルフボールにおいて、
前記コアの直径が25mm以上39mm以下であり、前記コアに100kg荷重をかけたときの変形量が2.0mm以上5.0mm以下であり、前記包囲層及び/又は中間層が熱可塑性樹脂にゴム粉が混在する層であって、前記熱可塑性樹脂のショアD硬度が20以上50以下、前記熱可塑性樹脂とゴム粉との比率が重量比として55:45〜35:65であると共に、
前記熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンエステル樹脂、ポリアミドエラストマー又はこれらの混合物であって前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が−10℃以下、レジリエンスが50以上であり、
前記ゴム粉がポリブタジエン100重量部に対しアクリル酸亜鉛を30〜45重量部含むゴム組成物の加硫物であることを特徴とするソリッドゴルフボール。
請求項3:
前記ゴム粉の平均粒子径が0.7〜3mmである請求項1又は2記載のソリッドゴルフボール。
【0007】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のソリッドゴルフボールは、コアと、中間層と、カバーとを有するものであり、この場合、コアと中間層との間に包囲層を介在させたものがより好ましい。
【0008】
ここで、コアは、ゴム組成物、熱可塑性樹脂又はこれらの混合物にて形成することができる。ゴム組成物としては、公知の組成のものを使用することができるが、基材としてポリブタジエンを使用したものが好ましい。このポリブタジエンとしては、シス構造を40%以上有する1,4−シスポリブタジエンが好適に用いられる。また、この基材ゴム中には、所望によりポリブタジエンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴムなどを適宜配合することができる。ゴム成分を多くすることにより、ゴルフボールの反発性を向上させることができる。
【0009】
また、上記ゴム組成物には、架橋剤としてメタクリル酸亜鉛、アクリル酸亜鉛等の不飽和脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩やトリメチルプロパンメタクリレート等のエステル化合物を配合し得るが、特にアクリル酸亜鉛を好適に使用し得る。これら架橋剤の配合量は、上記基材ゴム100重量部に対し、10重量部以上40重量部以下とすることが好ましい。
【0010】
上記ゴム組成物中には、通常、加硫剤が配合されるが、パーオキサイド(有機過酸化物)が加硫剤として好適に用いられる。このようなパーオキサイドとしては、市販品を挙げることができ、例えばパークミルD、パーヘキサ3M(日本油脂社製)等が挙げられる。その配合量は、基材ゴム100重量部に対し、0.6重量部以上2重量部以下とすることができる。
【0011】
更に、必要に応じて、老化防止剤や比重調整の充填剤として酸化亜鉛や硫酸バリウム等を配合することができる。
【0012】
この場合、コアは2層以上の多層構造に形成でき、例えば最内芯をゴム組成物にて形成すると共に、これを覆ってアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂にて外側コアを形成することもできる。
【0013】
コアの直径は25mm以上、特に30mm以上であり、また39mm以下、特に37mm以下であることが好ましい。更に、コアに100kg荷重をかけたときの変形量が2.0mm以上、特に2.5mm以上であり、また5.0mm以下、特に4.5mm以下であることが好ましい。コアの直径、100kg荷重による変形量を上記範囲とすることにより、ゴルフボールの反発性、フィーリングを同時に高めるという本発明の目的をより有効に達成することができる。
【0014】
本発明においては、上記コアを覆って中間層を形成するが、この場合、コアを包囲層で被覆し、更にこの包囲層を中間層で被覆することが本発明の目的を達成する上で好ましい。
【0015】
上記包囲層及び中間層は、それぞれ熱可塑性樹脂にて形成するが、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)、ポリエステル樹脂(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)、ポリウレタンエステル樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、アイオノマー樹脂などを挙げることができ、市販品としては、パンデックス(大日本インキ化学社製ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)、ハイトレル(東レ・デュポン社製ポリエステル系熱可塑性エラストマー)、サーリン(デュポン社製アイオノマー樹脂)、ハイミラン(三井・デュポンポリケミカル社製アイオノマー樹脂)、リルサン(東レ・デュポン社製ポリアミド系樹脂)、ペバックス(東レ社製ポリアミド系熱可塑性エラストマー)などを好適に使用し得る。
【0016】
本発明のソリッドゴルフボールは、上記包囲層と中間層とのいずれか一方又は双方を熱可塑性樹脂にゴム粉を混在させた層にて形成する。この場合、この熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンエステル樹脂、ポリアミドエラストマー又はこれらの混合物が好ましく、また、これら熱可塑性樹脂は、そのガラス転移温度が−10℃以下、特に−30℃以下、更に好適には−40℃以下であり、かつレジリエンスが50以上、特に60以上のものが好ましい。ガラス転移温度が高く、かつレジリエンスが低いものは、高い反発性を得ることができない。
【0017】
一方、上記熱可塑性樹脂に混合するゴム粉は、上記コアの形成で述べたゴム組成物と同様のゴム組成物にて形成することができるが、特に、ゴム成分としてポリブタジエン、とりわけシス構造を40%以上有する1,4−シスポリブタジエンを主体とし、架橋剤としてアクリル酸亜鉛を用いたものが好ましい。この場合、ポリブタジエン100重量部に対してアクリル酸亜鉛を30〜45重量部、特に30〜40重量部使用し、150〜170℃で10〜30分加硫して得られた硬いゴム粉を用いることが本発明の目的を達成する上でより好ましい。
【0018】
上記ゴム粉の平均粒子径は0.7mm以上、特に1.0mm以上であり、また3.0mm以下、特に2.0mm以下であることが好ましく、粒子径が小さすぎるとゴム粉の界面の表面積が大きくなり、より高い反発性が得られなくなる場合がある。なお、平均粒子径は3.0mmを超えても性能的に支障はないが、射出成形等の成形上の面から3.0mm以下とすることが好ましい。
【0019】
熱可塑性樹脂とゴム粉との混合割合は、重量比として75:25〜25:75が好ましく、より好ましくは60:40〜25:75、更に好ましくは60:40〜30:70である。この混合割合の範囲外では、本発明の目的を十分に達成し得ない場合がある。
【0020】
上記熱可塑性樹脂とゴム粉との混在層には、更に必要に応じ、無機充填剤を配合したり、可塑剤などを配合することは任意である。
【0021】
また、この混在層に使用する樹脂のショアD硬度は、上記ゴム粉を除いた状態で20以上、特に25以上であり、また55以下、特に50以下とすることが好ましい。
【0022】
なお、本発明において、その包囲層又は中間層が上記ゴム粉を含まないものである場合、そのショアD硬度は55以上、特に60以上で、70以下、特に68以下の範囲であり、また上記混在層よりも高硬度であることが好ましい。
【0023】
上記包囲層の厚さは0.5mm以上、特に0.8mm以上で、3.0mm以下、特に2.5mm以下であることが好ましく、また中間層の厚さは、包囲層を形成した場合は1.0mm以上、特に1.5mm以上で、7.0mm以下、特に5.0mm以下であり、包囲層を形成しない場合は1.0mm以上、特に1.5mm以上で、8.0mm以下、特に6.0mm以下であることが好ましい。
【0024】
カバーは、アイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂にて形成することができるが、特にアイオノマー樹脂であることが好ましい。また、そのショアD硬度は40以上、特に45以上で、70以下、特に65以下であり、この場合も上記混在層より高硬度であることが好ましい。その厚さは0.5mm以上、特に0.8mm以上で、3.0mm以下、特に2.5mm以下であることが好ましい。なお、カバーには、無機充填剤などの添加剤を配合することは任意である。
【0025】
本発明のゴルフボールは、通常のゴルフボールと同様に、公知の配列態様に従って300〜600個のディンプルを形成することができる。
【0026】
なお、本発明のゴルフボールは、その直径、重さはゴルフ規則に従い、直径42.65mm以上、特に42.67mm以上で、42.75mm以下に形成でき、重量は45.93g以下、特に45.90g以下で、45.10g以上に形成することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明のソリッドゴルフボールは、反発性が高く、飛距離が向上したものであると共に、フィーリングに優れたものである。
【0028】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0029】
〔実施例,比較例〕
表1に示すゴム配合、表2に示す樹脂配合、表3に示す樹脂・ゴム粉配合、表4に示すゴム粉組成により、表5に示すマルチピースソリッドゴルフボールを製造し、その飛び性能、フィーリングを下記方法により評価した。結果を表5に示す。なお、表6に樹脂の物性を示す。
【0030】
飛び性能
スイングロボットを用い、ドライバーでヘッドスピード45m/secにてそれぞれ打撃し、初速度、キャリー及びトータル飛距離をそれぞれ測定した。
フィーリング
3人のプロゴルファーが実際に試打して評価した。
◎:非常に優れている
○:優れている
△:普通
×:劣る
【0031】
【表1】
Figure 0003632742
【0032】
【表2】
Figure 0003632742
【0033】
【表3】
Figure 0003632742
【0034】
【表4】
Figure 0003632742
【0035】
【表5】
Figure 0003632742
【0036】
【表6】
Figure 0003632742

Claims (3)

  1. ゴム組成物にて形成されるコアと、コアを被覆する中間層と、中間層を被覆するカバーとを具備するソリッドゴルフボールにおいて、
    前記コアの直径が25mm以上39mm以下であり、前記コアに100kg荷重をかけたときの変形量が2.0mm以上5.0mm以下であり、前記中間層が熱可塑性樹脂にゴム粉が混在する層であって、前記熱可塑性樹脂のショアD硬度が20以上50以下、前記熱可塑性樹脂とゴム粉との比率が重量比として60:40〜25:75であると共に、
    前記熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンエステル樹脂、ポリアミドエラストマー又はこれらの混合物であって前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が−10℃以下、レジリエンスが50以上であり、
    前記ゴム粉がポリブタジエン100重量部に対しアクリル酸亜鉛を30〜45重量部含むゴム組成物の加硫物であることを特徴とするソリッドゴルフボール。
  2. ゴム組成物にて形成されるコアと、コアを被覆する包囲層と、包囲層を被覆する中間層と、中間層を被覆するカバーとを具備するソリッドゴルフボールにおいて、
    前記コアの直径が25mm以上39mm以下であり、前記コアに100kg荷重をかけたときの変形量が2.0mm以上5.0mm以下であり、前記包囲層及び/又は中間層が熱可塑性樹脂にゴム粉が混在する層であって、前記熱可塑性樹脂のショアD硬度が20以上50以下、前記熱可塑性樹脂とゴム粉との比率が重量比として55:45〜35:65であると共に、
    前記熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンエステル樹脂、ポリアミドエラストマー又はこれらの混合物であって前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が−10℃以下、レジリエンスが50以上であり、
    前記ゴム粉がポリブタジエン100重量部に対しアクリル酸亜鉛を30〜45重量部含むゴム組成物の加硫物であることを特徴とするソリッドゴルフボール。
  3. 前記ゴム粉の平均粒子径が0.7〜3mmである請求項1又は2記載のソリッドゴルフボール。
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