JP6516621B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボールに関する。
従来、コアと、このコアを被覆するカバーとを有するゴルフボールが提案されている。このようなゴルフボールにおいて、コアを構成するゴム組成物に加硫ゴム粉末を配合したものが提案されている。
例えば、特許文献1には、一層構造または外皮と一層以上の内核を有する二層構造以上のゴルフボールにおいて、一層構造のゴルフボール中または二層構造以上のゴルフボールの内核中に加硫ゴム粉末を含有させたゴルフボール(特許文献1([請求項1])参照)が記載されている。特許文献2には、1層構造のゴルフボールまたは1層以上のコアと1層以上のカバーとを有する2層構造以上のゴルフボールにおいて、上記1層構造のゴルフボールまたは2層構造以上のゴルフボールのコアが、ムーニー粘度が40〜65のポリブタジエン(A)とムーニー粘度が20〜35のポリブタジエン(B)との混合比がポリブタジエン(A)/ポリブタジエン(B)の重量比で40/60〜90/10の混合物からなるベースゴム100重量部に対して、加硫ゴム粉末を5〜60重量部含有するゴム組成物の加硫成形体からなるゴルフボール(特許文献2([請求項1])参照)が記載されている。
加硫ゴム粉末の材質に特徴を有するものとして特許文献3、4が挙げられる。特許文献3には、コアとカバーとを含む2層構造以上のゴルフボールにおいて、該コアが基材ゴム100質量部に対して不飽和カルボン酸マグネシウム塩によって架橋された加硫ゴム粉末を1〜15質量部含んでおり、該コアに98N負荷から1274N負荷をかけたときの圧縮変形量が2.0〜7.0mmであるゴルフボール(特許文献3([請求項1])参照)が記載されている。特許文献4には、基材ゴムと不飽和カルボン酸又はその塩とを必須成分として配合したゴム組成物を加硫してなる加熱成形物を構成要素として具備するゴルフボールにおいて、液体洗浄により可溶成分を除去した加硫ゴム粉末を上記ゴム組成物に添加するゴルフボール(特許文献4([請求項1])参照)が記載されている。
特許文献5には、コアが加硫ゴム粉末を含有するゴム組成物から形成されており、コア硬度とカバー硬度とが特定の関係を満足するゴルフボールが記載されている(特許文献5([請求項4]、[0032])参照)。特許文献6、7には、コアがゴム粉末またはポリウレタン粉末を含有するゴム組成物から形成されており、カバーの樹脂材料が特定の物性を有するゴルフボールが記載されている(特許文献6([請求項1])、特許文献7([請求項1])参照))。
特開平6−7481号公報 特開平11−128400号公報 特開2003−79765号公報 特開2008−253757号公報 特開2001−104518号公報 特開2013−138839号公報 特開2013−138840号公報
ゴルフボールの飛行性能を向上させる方法としては、コアを高反発化して、打撃時のボール初速を高める方法がある。コアを高反発化する方法には、コア用ゴム組成物に有機硫黄化合物を配合する方法などが挙げられる。ここで、ゴルフボールは、打撃時のヘッドスピードによって、最適な反発性が異なる。そのため、ゴルフボールの反発性能は、打撃時のヘッドスピードに応じて、調整する必要がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ヘッドスピード50m/s、および、ヘッドスピード40m/sのいずれの打撃においてもボール初速が速いゴルフボールを提供することを目的とする。特に、ヘッドスピード40m/sの打撃において、ボール初速が速いゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤および(x)架橋ゴム粉末を含有するコア用ゴム組成物から形成されており、前記(x)架橋ゴム粉末が、(a1)基材ゴム、(b1)共架橋剤、(c1)架橋開始剤および(r)樹脂成分を含有するゴム組成物から形成されたものであることを特徴とする。
本発明のゴルフボールは、ヘッドスピード50m/s、および、ヘッドスピード40m/sのいずれの打撃においてもボール初速が速く、特に、ヘッドスピード40m/sの打撃においてボール初速が速い。
本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤および(x)架橋ゴム粉末を含有するコア用ゴム組成物から形成されており、前記(x)架橋ゴム粉末が、(a1)基材ゴム、(b1)共架橋剤、(c1)架橋開始剤および(r)樹脂成分を含有するゴム組成物から形成されたものである。
前記(x)架橋ゴム粉末は、変形時のヒステリシスロスが大きい。また、打撃時のヘッドスピードが遅い程、コア中の(x)架橋ゴム粉末の変形量が小さくなる。したがって、打撃時のヘッドスピードが遅い程、(x)架橋ゴム粉末の変形に消費されるエネルギーロスが小さくなり、打撃時のボール初速が速くなる。そのため、(x)架橋ゴム粉末を含有することで、ヘッドスピード50m/sでの打撃時のボール初速とヘッドスピード40m/sでの打撃時のボール初速との差を小さくすることができる。よって、ヘッドスピード50m/s、および、ヘッドスピード40m/sのいずれの打撃においてもボール初速が速いゴルフボールが得られる。
[球状コア]
前記球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤および(x)架橋ゴム粉末を含有するコア用ゴム組成物から形成されている。
((a)基材ゴム)
前記(a)基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2−ビニル結合の含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2−ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300−1(2013)に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC−8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
((b)共架橋剤)
前記(b)共架橋剤は、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有する。前記(b)共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩が好ましい。前記(b)共架橋剤として使用されるα,β−不飽和カルボン酸の炭素数は、3〜8が好ましく、より好ましくは3〜6、さらに好ましくは3または4である。炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの一価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属イオン;アルミニウムなどの三価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属成分としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属が好ましい。炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の二価の金属塩を用いることにより、ゴム分子間に金属架橋が生じやすくなるからである。特に、二価の金属塩としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の亜鉛塩が好ましく、より好ましくはアクリル酸亜鉛である。なお、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
前記(b)共架橋剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。(b)共架橋剤の含有量が15質量部未満では、コア用ゴム組成物から形成される部材を適当な硬さとするために、後述する(c)架橋開始剤の量を増加しなければならず、ゴルフボールの反発性が低下する傾向がある。一方、(b)共架橋剤の含有量が50質量部を超えると、コア用ゴム組成物から形成される部材が硬くなりすぎて、ゴルフボールの打球感が低下するおそれがある。
((c)架橋開始剤)
前記(c)架橋開始剤は、(a)基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。(c)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
前記(c)架橋開始剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.5質量部以下である。0.2質量部未満では、コア用ゴム組成物から形成される部材が柔らかくなりすぎて、ゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、5.0質量部を超えると、コア用ゴム組成物から形成される部材を適切な硬さにするために、前述した(b)共架橋剤の使用量を減少する必要があり、ゴルフボールの反発性が不足したり、耐久性が悪くなるおそれがある。
((d)カルボン酸および/またはその塩)
前記コア用ゴム組成物は(d)カルボン酸および/またはその塩を含有してもよい。前記(d)カルボン酸および/またはその塩を含有することで、得られる球状コアの外剛内柔度合を大きくできる。前記(d)カルボン酸および/またはその塩としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸および芳香族カルボン酸塩が挙げられる。前記(d)カルボン酸および/または塩は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸(以下、「飽和脂肪酸」と称する場合がある。)、不飽和脂肪族カルボン酸(以下、「不飽和脂肪酸」と称する場合がある。)のいずれであっても良い。また、脂肪族カルボン酸は、分岐構造や環状構造を有していてもよい。前記飽和脂肪酸の炭素数は、1以上が好ましく、30以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは13以下である。前記不飽和脂肪酸の炭素数は、5以上が好ましく、より好ましくは7以上、さらに好ましくは9以上であり、30以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは13以下である。なお、(d)脂肪族カルボン酸および/またはその塩には、(b)共架橋剤として使用する炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は含まれないものとする。
前記芳香族カルボン酸としては、分子中にベンゼン環を有するもの、分子中に複素芳香環を有するものが挙げられる。前記芳香族カルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ベンゼン環を有するカルボン酸としては、例えば、ベンゼン環にカルボキシル基が直接結合した芳香族カルボン酸、ベンゼン環に脂肪族カルボン酸が結合した芳香族−脂肪族カルボン酸、縮合ベンゼン環にカルボキシル基が直接結合した多核芳香族カルボン酸、縮合ベンゼン環に脂肪族カルボン酸が結合した多核芳香族−脂肪族カルボン酸などが挙げられる。前記複素芳香環を有するカルボン酸としては、例えば、複素芳香環に直接カルボキシル基が結合したものが挙げられる。
(d)脂肪族カルボン酸塩または芳香族カルボン酸塩としては、上述した脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の塩を用いることできる。これらの塩のカチオン成分としては、例えば、金属イオン、アンモニウムイオン、および、有機陽イオンを挙げることができる。金属イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀などの一価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、マンガンなどの二価の金属イオン;アルミニウム、鉄などの3価の金属イオン;錫、ジルコニウム、チタンなどのその他のイオンが挙げられる。前記カチオン成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記有機陽イオンとは、炭素鎖を有する陽イオンである。前記有機陽イオンとしては、特に限定されず、例えば、有機アンモニウムイオンが挙げられる。前記有機アンモニウムイオンとしては、例えば、ステアリルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオンなどの1級アンモニウムイオン、ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン、オクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオンなどの2級アンモニウムイオン;トリオクチルアンモニウムイオンなどの3級アンモニウムイオン;ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオンなどが挙げられる。これらの有機陽イオンは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(d)脂肪族カルボン酸および/またはその塩としては、飽和脂肪酸および/またはその塩、不飽和脂肪酸および/またはその塩が挙げられる。前記飽和脂肪酸および/またはその塩が好ましく、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸もしくはオレイン酸、または、これらのカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。前記不飽和脂肪酸および/またはその塩としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸もしくはアラキドン酸、または、これらのカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。
前記(d)芳香族カルボン酸および/またはその塩としては、特に、安息香酸、ブチル安息香酸、アニス酸(メトキシ安息香酸)、ジメトキシ安息香酸、トリメトキシ安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、アセトキシ安息香酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、フランカルボン酸もしくはテノイル酸、または、これらのカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。
前記(d)カルボン酸および/またはその塩の含有量は、例えば、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であって、40質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下である。(d)カルボン酸および/またはその塩の含有量が0.5質量部以上であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり、40質量部以下であれば、コア硬度の低下が抑制され、反発性が良好となる。
なお、共架橋剤として使用される化合物の表面は、ゴムへの分散性を向上するためにステアリン酸亜鉛等で処理されている場合がある。このようなステアリン酸亜鉛等で表面処理された共架橋剤を使用する場合、本発明では、表面処理剤であるステアリン酸亜鉛等の量が(d)カルボン酸および/またはその塩の含有量に含まれるものとする。例えば、ステアリン酸亜鉛の表面処理量が10質量%であるアクリル酸亜鉛を25質量部用いた場合には、ステアリン酸亜鉛の量が2.5質量部であり、アクリル酸亜鉛の量が22.5質量部とし、(d)カルボン酸および/またはその塩の含有量として、2.5質量部を計上する。
前記(d)カルボン酸および/またはその塩を用いる場合、前記共架橋剤としては炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を用いることが好ましい。前記(d)カルボン酸および/またはその塩を用いる場合に、共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を使用する際は、(e)金属化合物をさらに含有することが好ましい。
((e)金属化合物)
前記(e)金属化合物としては、ゴム組成物中において(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を中和することができるものであれば、特に限定されない。前記(e)金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。(e)前記金属化合物として好ましいのは、二価金属化合物であり、より好ましくは亜鉛化合物である。二価金属化合物は、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸と反応して、金属架橋を形成するからである。また、亜鉛化合物を用いることにより、反発性の高いゴルフボールが得られる。これらの(e)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
((f)有機硫黄化合物)
前記コア用ゴム組成物は、さらに(f)有機硫黄化合物を含有することが好ましい。前記(f)有機硫黄化合物を含有することで、得られる球状コアの反発性をより高めることができる。前記(f)有機硫黄化合物としては、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チウラム類、チオカルボン類、ジチオカルボン類、スルフェンアミド類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類などを挙げることができる。球状コアの硬度分布が大きくなるという観点から、(f)有機硫黄化合物としては、チオール基(−SH)を有する有機硫黄化合物、または、その金属塩が好ましく、チオフェノール類、チオナフトール類、または、これらの金属塩が好ましい。前記(f)有機硫黄化合物は、単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。
前記(f)有機硫黄化合物としては、チオフェノール類および/またはその金属塩、チオナフトール類および/またはその金属塩、ジフェニルジスルフィド類、チウラムジスルフィド類が好ましく、より好ましくは2,4−ジクロロチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、2,6−ジクロロチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール、2,6−ジヨードチオフェノール、2,4,5−トリクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、1−チオナフトール、2−チオナフトール、ジフェニルジスルフィド、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドである。
前記(f)有機硫黄化合物の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.0質量部以下である。前記(f)有機硫黄化合物の含有量が、0.05質量部以上であれば、得られるゴルフボールの反発性がより向上し、5.0質量部以下であれば、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなりすぎず、反発性の低下が抑制される。
((x)架橋ゴム粉末)
前記コア用ゴム組成物は、(x)架橋ゴム粉末を含有する。架橋ゴムとは、鎖状ゴム分子どうしを架橋し、塑性変形が起こらないように三次元網目構造を形成したゴムをいう。
前記(x)架橋ゴム粉末のリュプケ式反発弾性は、30%以上が好ましく、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上であり、99%以下が好ましく、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。リュプケ式反発弾性が30%以上であれば打撃時のボール初速の低下を抑えることができ、99%以下であればボールの耐久性が良好となる。
前記(x)架橋ゴム粉末の硬度(Hp)は、ショアC硬度で、15以上が好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは23以上であり、95以下が好ましく、より好ましくは92以下、さらに好ましくは90以下である。粒子硬度(Hp)が15以上であれば基材ゴムの架橋密度が高く、コア成型時に(x)架橋ゴム粉末同士が架橋してしまうことが抑制され、(x)架橋ゴム粉末による効果がより大きくなる。粒子硬度(Hp)が95以下であればゴルフボールの打球感が良好となる。
前記(x)架橋ゴム粉末の体積平均粒子径は、50μm以上が好ましく、より好ましくは300μm以上、さらに好ましくは400μm以上であり、900μm以下が好ましく、より好ましくは750μm以下、さらに好ましくは700μm以下である。体積平均粒子径が、上記範囲内であれば(x)架橋ゴム粉末がマトリクス材料に分散しやすくなり、(x)架橋ゴム粉末による効果がより大きくなる。
前記(x)架橋ゴム粉末の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、2.1質量部以上が好ましく、より好ましくは3.0質量部以上、さらに好ましくは4.0質量部以上であり、30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。前記(x)架橋ゴム粉末の含有量が、2.1質量部以上であれば、(x)架橋ゴム粉末による効果がより向上し、30質量部以下であれば、球状コアの反発性の低下を抑制できる。
前記(x)架橋ゴム粉末は、(a1)基材ゴム、(b1)共架橋剤、(c1)架橋開始剤および(r)樹脂成分を含有するゴム組成物から形成されたものである。
前記(r)樹脂成分の軟化点は、90℃以下が好ましく、より好ましくは87℃以下、さらに好ましくは85℃以下である。軟化点が90℃以下であればゴム組成物を混練する際に、基材ゴムに対する樹脂成分の分散性が良好となる。前記軟化点は、熱機械的分析(Thermomechanical Analysis)装置を用いて、針入モード(プローブ先端;円柱状、直径1mm、長さ0.5mm)により測定する。なお、試験片の形状はフィルム状であり、寸法は長さ10mm、厚さ0.5mm、幅3mmとする。
前記(r)樹脂成分は、熱可塑性樹脂が好ましい。前記(r)樹脂成分が熱可塑性樹脂であれば、(r)樹脂成分の(a1)基材ゴムに対する分散性が良好となる。よって、架橋ゴム粉末用のゴム組成物の混練時に、(r)樹脂成分をより均一に分散させることができる。
また、前記(r)樹脂成分は、ベンゼン環構造を有する単量体成分を含有する共重合体が好ましい。分子中にベンゼン環構造を有することで、架橋ゴム粉末の伸縮性が向上し、球状コアの反発性が一層向上する。
前記(r)樹脂成分の具体例としては、ノボラック型フェノール樹脂またはクマロン・インデン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましい。
前記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、酸性触媒の存在下で反応させて得られる熱可塑性樹脂である。
前記フェノール類としては特に限定されず、1価フェノール、多価フェノールのいずれも使用できる。前記1価フェノールとしては、例えば、フェノール;クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ペンチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノールなどのハロゲン化フェノール;クミルフェノール、フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール、ナフトール、ナフトールなどが挙げられる。前記多価フェノールとしては、例えば、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリンなどが挙げられる。これらのフェノール類は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルデヒド類としては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒドなどが挙げられる。これらのアルデヒド類は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ノボラック型フェノール樹脂は、カシューオイル類で変性されたものが好ましい。前記カシューオイル類は、長鎖のアルケニル基を有するフェノール化合物であるカルダノールやカルドールを含む。そのため、ノボラック型フェノール樹脂をカシューオイル類で変性することで、長鎖のアルキル基またはアルケニル基を有するノボラック型フェノール樹脂が得られる。このようなカシューオイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、ゴムとの相溶性に優れる。また、アルケニル基を有する場合、基材ゴムの二重結合と反応し、ゴム粉末の弾性率が向上する。
前記クマロン・インデン樹脂は、単量体成分としてクマロン類およびインデン類を含有し、全単量体成分中のクマロン類およびインデン類の合計含有率が50質量%以上の共重合体である。前記クマロン類としては、クマロン、メチルクマロンなどが挙げられる。全単量体成分中のクマロン類の含有率は1質量%〜20質量%が好ましい。前記インデン類としては、インデン、メチルインデンなどが挙げられる。全単量体成分中のインデン類の含有率は40質量%〜95質量%が好ましい。前記クマロン・インデン樹脂は、クマロン類、インデン類以外の他の単量体成分を含有してもよい。前記他の単量体成分としては、スチレン、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
前記(r)樹脂成分の含有量は、(a1)基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは3質量部以上であって、50質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下である。前記(x)架橋ゴム粉末の含有量が、1質量部以上であれば、(x)架橋ゴム粉末による効果がより向上し、50質量部以下であれば、球状コアの反発性の低下を抑制できる。
前記(a1)基材ゴムとしては、上述したコア用ゴム組成物に使用し得る(a)基材ゴムが挙げられ、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が好ましい。
前記(b1)共架橋剤としては、上述したコア用ゴム組成物に使用し得る(b)共架橋剤が挙げられる。前記(b1)共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の亜鉛塩が好ましく、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛がより好ましい。
前記(c1)架橋開始剤としては、上述したコア用ゴム組成物に使用し得る(c)架橋開始剤が挙げられ、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドが好ましい。
前記(x)架橋ゴム粉末の作製に使用されるゴム組成物は、さらに、(f1)有機硫黄化合物を含有してもよい。前記(f1)有機硫黄化合物としては、上述したコア用ゴム組成物に使用し得る(f)有機硫黄化合物が挙げられ、2−チオナフトール、ジフェニルジスルフィド、2,6−ジクロロチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール、ペンタクロロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノールが好ましい。
前記(x)架橋ゴム粉末の作製に使用されるゴム組成物は、さらに、(e1)金属化合物を含有してもよい。前記(e)金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。
前記(x)架橋ゴム粉末の作製に使用されるゴム組成物は、さらに、顔料、重量調整などのための充填剤、老化防止剤(例えば、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン)、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
前記(x)架橋ゴム粉末は、上記ゴム組成物からゴムシートを作製し、これを粉砕または研磨することで作製できる。
(添加剤)
本発明に用いられるコア用ゴム組成物は、必要に応じて、顔料、重量調整などのための充填剤、老化防止剤(例えば、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン)、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。また、コア用ゴム組成物は、ゴルフボールのコアや、コア作製時に発生した端材を粉砕したゴム粉末を含有してもよい。
コア用ゴム組成物に配合される顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上であって、8質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。
コア用ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレットなどを挙げることができる。
前記青色顔料の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.2質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以下である。0.001質量部未満では、青みが不十分で、黄色味がかった色に見え、0.2質量部を超えると、青くなりすぎて、鮮やかな白色外観ではなくなる。
ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。充填剤の含有量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記老化防止剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物は、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、(x)架橋ゴム粉末および、必要に応じてその他の添加剤などを混合して、混練することにより得られる。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
前記球状コアは、混練後のゴム組成物を金型内で成形することにより得ることができる。球状コアに成形する温度は、120℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上がさらに好ましく、170℃以下が好ましい。成形温度が170℃を超えると、コア表面硬度が低下する傾向がある。また、成形時の圧力は、2.9MPa〜11.8MPaが好ましい。成形時間は、10分間〜60分間が好ましい。
前記球状コアの中心硬度Hoは、ショアC硬度で、35以上が好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは46以上である。球状コアの中心硬度HoがショアC硬度で35以上であれば、軟らかくなりすぎず、反発性が良好となる。また、球状コアの中心硬度Hoは、ショアC硬度で90以下が好ましく、より好ましくは80以下であり、さらに好ましくは75以下である。前記中心硬度HoがショアC硬度で90以下であれば、硬くなり過ぎず、打球感が良好となる。
前記球状コアの表面硬度Hsは、ショアC硬度で、65以上が好ましく、より好ましくは70以上、さらに好ましくは72以上であり、95以下が好ましく、より好ましくは90以下、さらに好ましくは85以下である。前記球状コアの表面硬度を、ショアC硬度で75以上とすることにより、球状コアが軟らかくなり過ぎることがなく、良好な反発性が得られる。また、前記球状コアの表面硬度をショアC硬度で95以下とすることにより、球状コアが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
前記球状コアの表面硬度Hsと中心硬度Hoとの硬度差(Hs−Ho)は、ショアC硬度で、15以上が好ましく、18以上がより好ましく、20以上がさらに好ましく、30以下が好ましく、28以下がより好ましく、27以下がさらに好ましい。前記硬度差が大きいと、高打出角および低スピンの飛距離が大きいゴルフボールが得られる。
前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。前記球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
前記球状コアは、直径34.8mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にセンターが縮む量)が、2.0mm以上が好ましく、2.8mm以上がより好ましく、6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。前記圧縮変形量が、2.0mm以上であれば打球感がより良好となり、6.0mm以下であれば、反発性がより良好となる。
[カバー]
前記ゴルフボールのカバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンが好ましい。前記炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。これらの中でも、前記アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM3711(Mg)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)など)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。
なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。前記アイオノマー樹脂は、単独で若しくは2種以上を混合して使用しても良い。
本発明のゴルフボールのカバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたはアイオノマー樹脂を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂を使用する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。カバー用組成物の樹脂成分中のポリウレタンまたはアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記カバー用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、所望のゴルフボールの性能に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、飛距離を重視するディスタンス系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、55以上がより好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度を50以上にすることにより、ドライバーショットおよびアイアンショットにおいて、高打出角で低スピンのゴルフボールが得られ、飛距離が大きくなる。また、カバー用組成物のスラブ硬度を80以下とすることにより、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。また、コントロール性を重視するスピン系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50未満が好ましく、20以上が好ましく、25以上がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で50未満であれば、ドライバーショットでは、本発明のコアにより、高飛距離化がはかれるとともに、アプローチショットのスピン量が高くなり、グリーン上で止まりやすいゴルフボールが得られる。また、スラブ硬度を20以上とすることにより、耐擦過傷性が向上する。複数のカバー層の場合は、各層を構成するカバー用組成物のスラブ硬度は、上記範囲内であれば、同一あるいは異なっても良い。
本発明のゴルフボールのカバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
圧縮成形法によりカバーを成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
カバー用組成物を射出成形してカバーを成形する場合、押出して得られたペレット状のカバー用組成物を用いて射出成形しても良いし、あるいは、基材樹脂成分や顔料などのカバー用材料をドライブレンドして直接射出成形してもよい。カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、200℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
カバーには、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。ディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
前記カバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。カバーの厚みが0.3mm未満では、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合がある。複数のカバー層の場合は、複数のカバー層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、ゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.4mm以上であり、さらに好ましくは2.5mm以上であり、最も好ましくは2.8mm以上であり、5.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは4.5mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を5.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
本発明のゴルフボールの構造は、球状コアと、前記球状コアを被覆する一層以上のカバーとを有するものであれば、特に限定されない。前記球状コアは、単層構造であることが好ましい。単層構造の球状コアは、多層構造の界面における打撃時のエネルギーロスがなく、反発性が向上するからである。また、カバーは、一層以上の構造であればよく、単層構造、あるいは、少なくとも二層以上の多層構造を有していてもよい。本発明のゴルフボールとしては、例えば、球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された単層のカバーとからなるツーピースゴルフボール;球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された二層以上のカバーを有するマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む);球状コアと前記球状コアの周囲に設けられた糸ゴム層と、前記糸ゴム層を被覆するように配設されたカバーとを有する糸巻きゴルフボールなどを挙げることができる。上記いずれの構造のゴルフボールにも本発明を好適に利用できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状コア2と、球状コア2を被覆するカバー3とを有する。このカバーの表面には、多数のディンプル31が形成されている。このゴルフボール3の表面のうち、ディンプル31以外の部分は、ランド32である。このゴルフボール2は、カバー12の外側にペイント層およびマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)架橋ゴム粉末の硬度(ショアC)
ゴム粉末の作製に使用したゴムシート(厚さ2mm)を、3枚以上重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore C」を用いた。
(2)反発弾性
反発弾性試験は、JIS K6255(2013)に準じて行った。ゴム粉末の作製に使用したゴムシート(厚さ2mm)から直径28mmの円形状に打抜いたものを6枚重ねることにより、厚さ約12mm、直径28mmの円柱状試験片を作製した。この試験片を、温度23±2℃、相対湿度50±5%で、12時間保存した。作製した試験片について、リュプケ式反発弾性試験測定装置(上島製作所製)を用いて、反発弾性率を測定した。上記重ね合わせた試験片の平面部分を機械的固定法で支持し、測定条件は、温度23℃、相対湿度50%、打撃端直径12.50±0.05mm、打撃質量0.35±0.01kg、打撃速度1.4±0.01m/sとした。
(3)架橋ゴム粉末の平均粒子径
レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(セイシン企業社製、LMS−2000e)を用いて、体積基準の平均粒子径を測定した。
(4)コア硬度(ショアC)
コアの表面部において測定した硬度をコア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から所定の距離において硬度を測定した。なお、コア硬度は、コア断面の中心から所定の距離の4点で硬度を測定して、これらを平均することにより算出した。硬度は、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて測定した。検出器は、「Shore C」を用いた。
(5)圧縮変形量(mm)
コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
(6)スラブ硬度(ショアD)
カバー用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore D」を用いた。
(7)ドライバーショットのボール初速
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットM/Cに、ドライバー(ダンロップスポーツ社製、商品名「XXIO」、シャフト硬度:S、ロフト角:11°)を取り付け、ヘッドスピード40m/sまたは50m/sでゴルフボールを打撃し、打撃直後のゴルフボールのボール初速(m/s)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。
[架橋ゴム粉末の調製]
表1に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、170℃、20分間熱処理することにより、ゴムシート(厚さ2mm)を得た。得られたゴムシートを、凍結粉砕機を用いて粉砕して架橋ゴム粉末を得た。なお、得られたゴムシートは均一な硬度を有していた。
Figure 0006516621
BR730:JSR社製、「BR−730(ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3))」
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZN−DA90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D(ジクミルパーオキサイド)」
2−チオナフトール:東京化成工業社製、2−チオナフトール
スミライトレジン(登録商標) PR12686:住友ベークライト社製、カシューオイル変性ノボラック型フェノール樹脂(軟化点;85℃以下)
ニットレジン(登録商標) クマロンL−5:日塗化学社製、クマロン・インデン樹脂(軟化点;20℃以下)
ハリタック SE10:ハリマ化成グループ社製、ロジンエステル(軟化点78℃〜87℃)
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表2に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより直径40.0mmの球状コアを得た。なお、ゴム組成物の配合は、ヘッドスピード50m/sでゴルフボールを打撃した直後のゴルフボールのボール初速(m/s)が71.00m/sとなるように調整した。
Figure 0006516621
BR730:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3))」
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZN−DA90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D(ジクミルパーオキサイド)」
2−チオナフトール:東京化成工業社製、2−チオナフトール
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
(2)カバーの作製
次に、表3に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。得られたカバー用組成物を上述のようにして得られた球状コア上に射出成形して、カバー(厚さ1.5mm)を形成した。
Figure 0006516621
ゴルフボールNo.1〜3は、球状コアを形成するゴム組成物が、(r)樹脂成分を含有するゴム組成物から形成された(x)架橋ゴム粉末を含有する場合である。これらのゴルフボールNo.1〜3は、ボール初速(ヘッドスピード40m/s)が56.7m/s以上である。
ゴルフボールNo.4は、球状コアを形成するゴム組成物が、架橋ゴム粉末を含有しない場合である。ゴルフボールNo.5,6は、球状コアを形成するゴム組成物が、樹脂成分を含有しないゴム組成物から形成された架橋ゴム粉末を含有する場合である。ゴルフボールNo.7は、架橋ゴム粉末が、分子中にベンゼン環を有さない樹脂を配合する場合である。これらのゴルフボールNo.4〜7は、ボール初速(ヘッドスピード40m/s)が56.7m/s未満である。
1:ゴルフボール、2:球状コア、3:カバー、31:ディンプル、32:ランド

Claims (7)

  1. 球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有し、
    前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤および(x)架橋ゴム粉末を含有するコア用ゴム組成物から形成されており、
    前記(x)架橋ゴム粉末が、(a1)基材ゴム、(b1)共架橋剤、(c1)架橋開始剤および(r)樹脂成分を含有するゴム組成物から形成されたものであり、
    前記(x)架橋ゴム粉末の含有量が、(a)基材ゴム100質量部に対して、2.1質量部以上、30質量部以下であり、
    前記(r)樹脂成分が、ベンゼン環構造を有する単量体成分を含有する共重合体であることを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記(x)架橋ゴム粉末のリュプケ式反発弾性が、30%〜99%以下である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記(x)架橋ゴム粉末の硬度が、ショアC硬度で、15〜95である請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記(x)架橋ゴム粉末の体積平均粒子径が、200μm〜900μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  5. 前記(r)樹脂成分の軟化点が90℃以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. 前記(r)樹脂成分が、ノボラック型フェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、または、ポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  7. 前記(r)樹脂成分が、ノボラック型フェノール樹脂またはクマロン・インデン樹脂である請求項1〜のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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