JP3243007U - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドスピードが速いゴルファーに対して、ロングアイアンショットとミドルアイアンショットにおいて、番手間の飛距離差が小さいゴルフボールを提供する。【解決手段】本考案のゴルフボールは、球状コアと中間層と最外層カバーとを有するゴルフボールであって、球状コアの中心硬度(ショアC硬度)をHo、球状コアの表面硬度(ショアC)硬度をHs、硬度差S=Hs-Hoとし、中間層の材料硬度(ショアD硬度)をHmとし、複数のディンプルの下部総容積をVi(mm3)とするとき、S×Hm/Vi<2.4を満足する。【選択図】図4

Description

本考案は、ゴルフボールに関し、特に、球状コア、中間層、最外層カバー及びディンプルを有するゴルフボールに関する。
ゴルフクラブのフェースは、ロフト角を有している。このゴルフクラブでゴルフボールが打撃されると、ゴルフボールは、ロフト角に応じた打ち出し角度を伴って打ち出される。ゴルフボールにはさらに、ロフト角に起因するバックスピンが生じる。ゴルフボールは、バックスピンを伴って飛行する。
そして、ゴルフプレーヤーは、ゴルフボールのスピン性能を重視する。バックスピンの速度が大きいと、ランが小さい。バックスピンの速度が大きなゴルフボールを使用することにより、プレーヤーは、このゴルフボールを目標地点に静止させることができる。よって、スピン性能に優れたゴルフボールは、コントロール性能に優れる。
従来、コントロール性能を高めたゴルフボールが提案されている。例えば、特許文献1には、コア、インナーカバー、アウターカバー及びディンプルを有し、かつ下記数式を満たすゴルフボールが開示されている。Sa=4500+10(A-0.5B-2Cs)≧4000(III)0.04Sa+160-20≦D≦0.04Sa+160+20(V)[A:ゴルフボールのコンプレッション(Atti)、B:コアにおける表面と中心との硬度差(ShoreC)、Cs:(Hi×Ti+2Ho×To)/(Ti+2To)、D:ディンプルの総容積(mm)、Hi:インナーカバーの硬度(ShoreD)、Ho:アウターカバーの硬度(ShoreD)、Ti:インナーカバーの厚さ(mm)、To:アウターカバーの厚さ(mm)]
特開2021-74198号公報
アイアンショットはグリーンや狙った場所にボールを運ぶためのショットであり、重要視されるのは飛距離性能そのものではなく、狙った飛距離通りに打つことができる性能である。そのためには、アイアンの各番手の飛距離の差が小さいことが好ましい。
ここで、スピン性能を高めたゴルフボールは、グリーン上での転がりの抑制ができコントロール性に優れる。しかし、スピン性能が高いゴルフボールはアイアンショットでの吹け上がりが大きくなって、飛距離性能が低下する傾向がある。この吹け上がりによる飛距離の低下は、スピン速度がより高くなるほど大きくなる。つまり、番手が低くなるほど飛距離の低下量が大きくなる。すなわち、スピン性能を高めたゴルフボールは、ロングアイアンでは飛距離の低下が小さく、ミドルアイアンでは飛距離の低下が大きくなるために、ロングアイアンとミドルアイアンでの番手間の距離が大きくなるという問題がある。特に、ゴルフボールの打撃速度が速いとスピン量が大きくなるため、ヘッドスピードの速いゴルファーにとって、ロングアイアンショットとミドルアイアンショットとの番手間の距離が一層大きくなるという問題があった。
本考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、ヘッドスピードが速いゴルファーに対して、ロングアイアンショットとミドルアイアンショットにおいて、番手間の距離が小さいゴルフボールを提供することを目的とする。なお、ヘッドスピードが速いとは、例えば、5番アイアンで40m/s以上、7番アイアンで38m/s以上である。
上記課題を解決することができた本考案のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアの外側に配置された中間層と前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、球状コアの中心硬度(ショアC硬度)をHo、球状コアの表面硬度(ショアC)硬度をHs、硬度差S=Hs-Hoとし、
中間層の材料硬度(ショアD硬度)をHmとし、複数のディンプルの下部総容積をVi(mm)とするとき、S×Hm/Vi<2.4を満足することを特徴とする。
本考案は、上記のように構成されることにより、スピン性能が高いゴルフボールをミドルアイアンで打撃したときに、スピンによって生じる揚力が抑制される。その結果、ミドルアイアンショットでの吹け上がりが抑制され飛距離の低下が抑制される。この揚力が抑制される効果は、ゴルフボールを打撃する速度が速いほど大きくなる。
一方、ロングアイアンで打撃したゴルフボールの弾道は、ミドルアイアンショットで打撃したゴルフボールの弾道よりも低く、ランが出やすい。スピン性能が高い本考案のゴルフボールでは、スピンによりランが抑制される。スピンによりランが抑制される効果は、弾道が低いロングアイアンショットほど大きくなる。
本考案によれば、ヘッドスピードが速いゴルファーに対して、ミドルアイアンショットの吹け上がりを抑制するとともに、ロングアイアンショットのランを抑制することができ、ロングアイアンショットとミドルアイアンショットの番手間の飛距離差が低減されたゴルフボールが得られる。
本考案の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。 最外層カバーに形成されたディンプルパターンの正面図である。 最外層カバーに形成されたディンプルパターンの平面図である。 最外層カバーに形成されたディンプルの拡大断面図である。
本考案のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアの外側に配置された中間層と
前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、
球状コアの中心硬度(ショアC硬度)をHo、球状コアの表面硬度(ショアC)硬度をHs、硬度差S=Hs-Hoとし、
中間層の材料硬度(ショアD硬度)をHmとし、
複数のディンプルの下部総容積をVi(mm)とするとき、
S×Hm/Vi<2.4を満足することを特徴とする
(ゴルフボールの構造)
本考案のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアの外側に配置された中間層と前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有する。
前記ゴルフボールの構造としては、前記球状コアを被覆する中間層と、前記中間層を被覆する最外層カバーとからなるスリーピースゴルフボール;単層の球状コアと、前記球状コアを被覆する二以上の中間層と、前記中間層を被覆する最外層カバーとからなるマルチピースゴルフボール(フォーピースゴルフボール、ファイブピースゴルフボールなど)が挙げられる。
前記球状コアの構造は、単層構造と多層構造のいずれもよいが、単層構造であることが好ましい。前記中間層は、単層または二以上の多層構造であってもよい。
前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。前記球状コアの直径が上記範囲内であれば、ゴルフボールの飛距離性能や打球感が良好となる。
前記球状コアは、直径34.8mm~42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向に球状コアが縮む量)が、2.0mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは3.0mm以上であり、5.0mm以下が好ましく、より好ましくは4.5mm以下、さらに好ましくは4.0mm以下である。前記圧縮変形量が上記範囲内であれば打球感がより良好となる。
前記球状コアの表面硬度(Hs)は、特に限定されないが、ショアC硬度で60以上が好ましく、より好ましくは65以上、さらに好ましくは70以上であり、95以下が好ましく、より好ましくは90以下、さらに好ましくは85以下である。前記表面硬度(Hs)が上記範囲内であれば、打撃時に良好な打球感が得られる。
前記球状コアの中心硬度(Ho)は、特に限定されないが、ショアC硬度で45以上が好ましく、より好ましくは47以上、さらに好ましくは49以上であり、74以下が好ましく、より好ましくは72以下、さらに好ましくは70以下である。前記中心硬度(Ho)が上記範囲内であれば、打撃時に良好な打球感が得られる。
前記球状コアの表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差S(=Hs-Ho)は、ショアC硬度で3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましく、20未満であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、16以下であることがさらに好ましい。前記硬度差Sが20未満であれば、スピン量が大きくなり、各アイアンショットのコントロール性が良好になる。前記硬度差が3以上であれば、ドライバーショットの飛距離が大きくなる。
前記球状コアの中心から、半径方向に10mm地点の硬度(H10)は、特に限定されないが、ショアC硬度で60以上であることが好ましく、62以上であることがより好ましく、64以上であることがさらに好ましく、84以下が好ましく、82以下であることがより好ましく、80以下であることがさらに好ましい。前記硬度(H10)が上記範囲内であれば、打撃時に良好な打球感が得られる。
本考案の球状コアは、(H10-Ho)/Sの値が0.35超であることが好ましく、0.38以上であることが好ましく、0.40以上であることがより好ましく、0.6未満であることが好ましく、0.58以下であることがより好ましく、0.56以下であることがさらに好ましい。(H10-Ho)/Sの値が前記範囲内であれば、コアの硬度が直線状に変化をしていることを示している。コアの硬度が直線状に高くなる場合、打撃時にコアがスムーズに変形するので、ドライバーショットの打球感が良好になる。
前記中間層を構成する中間層用組成物の材料硬度Hmは、ショアD硬度で、50以上が好ましく、より好ましくは52以上、さらに好ましくは54以上であり、73以下が好ましく、より好ましくは72以下、さらに好ましくは70以下である。前記材料硬度Hmが50以上であれば、ドライバーショットでの低スピン化により飛距離が良好となり、73以下であれば、打撃時に良好な打球感が得られるからである。なお、中間層を複数有する場合、材料硬度Hmは、最外層中間層を構成する中間層用組成物の材料硬度とする。
前記中間層の厚さTmは、0.8mm以上が好ましく、より好ましくは0.9mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上であり、3.0mm以下が好ましく、より好ましくは2.7mm以下、さらに好ましくは2.5mm以下である。前記厚さTmが0.8mm以上であれば耐久性が良好になり、3.0mm以下であれば打撃時に良好な打球感が得られるからである。なお、中間層を複数有する場合、全ての中間層の合計厚さを中間層の厚さTmとする。
前記最外層カバーを構成するカバー用組成物の材料硬度Hcは、ショアD硬度で、20以上が好ましく、より好ましくは22以上、さらに好ましくは24以上であり、40以下が好ましく、より好ましくは39以下、さらに好ましくは38以下である。前記材料硬度Hcが20以上であれば、ドライバーショット時のスピン量が多くなりすぎず、飛距離性能が良好となり、40以下であればアプローチショットでのスピン性能が良好となるからである。
前記最外層カバーの厚さTcは、0.4mm以上が好ましく、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.6mm以上であり、1.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下である。前記厚さTcが0.4mm以上であれば、アプローチショットでのスピン性能が良好となり、1.0mm以下であれば、ドライバーショット時のスピン量が多くなりすぎず、飛距離性能が良好となるからである。
前記最外層カバーの厚さTc(mm)に対する前記スラブ硬度Hc(ショアD)の比(Hc/Tc)は、30以上が好ましく、より好ましくは33以上、さらに好ましくは35以上であり、75以下が好ましく、より好ましくは72以下、さらに好ましくは70以下である。前記比(Hc/Tc)が30以上であれば、反発性能が良好となり、75以下であれば打撃時に良好な打球感が得られるためである。
(ディンプル)
本考案のゴルフボールは、複数のディンプルが設けられた最外層カバーを有する。ディンプルは、最外層カバーに設けられた凹部である。以下、本考案のゴルフボールの最外層カバーに設けられたディンプルについて、図面を参照しながら説明する。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4を被覆する中間層6と、前記中間層6の外側に位置する最外層カバー8とを有している。このゴルフボール2は、その表面に複数のディンプル10を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル10以外の部分は、ランド12である。このゴルフボール2は、最外層カバー8の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
図2及び3に示されるように、ゴルフボール2の最外層カバーには、その表面に多数のディンプル10が設けられている。それぞれのディンプル10の輪郭は円である。
図4には、ディンプル10の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った、ゴルフボール2の断面が示されている。図4における上下方向は、ディンプル10の深さ方向である。図4において二点鎖線14で示されているのは、仮想球である。仮想球14の表面は、ディンプル10が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。仮想球14の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。ディンプル10は、仮想球14の表面から凹陥している。ランド12は、仮想球14の表面と一致している。本実施形態では、ディンプル10の断面形状は、実質的に円弧である。この円弧の曲率半径が、図4において符号CRで示されている。
図4において矢印Dmで示されているのは、ディンプル10の直径である。この直径Dmは、ディンプル10の両側に共通する接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル10のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル10の輪郭を画定する。
本考案において「ディンプルの容積」とは、ディンプル10の輪郭を含む仮想球面とディンプル10の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。前記「ディンプルの容積」は、仮想球面14とディンプル表面の交点Ed-Ed間を結ぶ平面によって分離される。「ディンプルの上部容積」とは、仮想球面14とディンプル表面の交点Ed-Ed間を結ぶ平面とに囲まれたディンプル上部の容積である。「ディンプルの下部容積」とは、ディンプル表面の交点Ed-Ed間を結ぶ平面とディンプル10の表面とに囲まれたディンプル下部の容積である。ディンプルの容積は、上部容積と下部容積の合計である。本考案の「ディンプルの総容積V」は、すべてのディンプルの容積の合計である。「ディンプルの上部総容積Vo」は、すべてのディンプルの上部容積の合計である。「ディンプルの下部総容積Vi」は、すべてのディンプルの下部容積の合計である。ディンプルの上部総容積をVoとし、ディンプル下部の総容積をViとすると、V=Vo+Viとなる。
前記ゴルフボールは、前記複数のディンプルの下部総容積Viが365mm3超であることが好ましく、より好ましくは380mm3以上、さらに好ましくは400mm3以上である。前記下部総容積Viが365mm3超であれば、バックスピンに起因してゴルフボールに作用する揚力が抑制され、ミドルアイアンショットにおける吹け上がりが抑制される。前記下部総容積Viは、500mm3以下が好ましく、より好ましくは495mm3以下、さらに好ましくは490mm3以下である。前記下部総容積Viが500mm3以下であればドライバーショット時に作用する揚力が十分に得られ、飛距離性能が良好になるからである。
前記ディンプル10の直径Dmは、2.0mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは2.8mm以上であり、6.0mm以下が好ましく、より好ましくは5.5mm以下、さらに好ましくは5.0mm以下である。前記直径Dmが2.0mm以上であればディンプルによる乱流化に寄与しやすくなり、6.0mm以下であれば実質的に球体であるゴルフボールの本質を維持できるからである。
前記複数のディンプルは、単一の直径を有するディンプルを複数形成してもよいし、複数種類の直径のディンプルを組み合わせてもよい。図2及び3に示されたゴルフボール2は、直径が4.400mmであるディンプルAと、直径が4.285mmであるディンプルBと、直径が4.150mmであるディンプルCと、直径が3.875mmであるディンプルDと、直径が3.000mmであるディンプルEとの5種類のディンプルを備えている。
図4において両矢印Dp1で示されているのは、ディンプル10の第一深さである。この第一深さDp1は、ディンプル10の最深部と仮想球14の表面との距離である。
前記第一深さDp1は0.15mm以上が好ましく、より好ましくは0.17mm以上、さらに好ましくは0.20mm以上であり、0.45mm以下が好ましく、より好ましくは0.43mm以下、さらに好ましくは0.40mm以下である。前記第一深さDp1が0.15mm以上であればディンプルによって得られる揚力を十分に発生させ、0.45mm以下であれば実質的に球体であるゴルフボールの本質を維持できるからである。
図4において両矢印Dp2で示されているのは、ディンプル10の第二深さである。この第二深さDp2は、ディンプル10の最深部と接線Tgとの距離である。
前記第二深さDp2は0.08mm以上が好ましく、より好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.12mm以上であり、0.30mm以下が好ましく、より好ましくは0.28mm以下、さらに好ましくは0.26mm以下である。前記第二深さDp2が0.08mm以上であればディンプルによる乱流化に寄与しやすく、0.30mm以下であればディンプルによって得られる揚力が大きすぎず、ドライバーショット時に飛距離性能が良好になるからである。
ディンプル10の面積Aは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、ディンプル10の輪郭に囲まれた領域の面積である。円形であるディンプル10の場合、面積Aは下記数式によって算出される。
A=π×(Dm/2)2
図2及び3に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は15.21mmであり、ディンプルBの面積は14.42mmであり、ディンプルCの面積は13.53mmであり、ディンプルDの面積は11.79mmであり、ディンプルEの面積は7.07mmである。
前記仮想球14の表面積に対する全てのディンプル10の面積Aの合計の比率(ディンプルの総面積/仮想求の表面積)は、占有率Soと称される。前記占有率Soは、70%以上が好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上であり、95%以下が好ましく、92%以下がより好ましく、90%以下がさらに好ましい。前記占有率Soが上記範囲内であれば、ディンプルによる乱流化の効果がより大きくなる。
前記ディンプルの個数は、ディンプルの直径や占有率に応じて適宜調節すればよい。なお、占有率や個々のディンプルによる作用を考慮すると、ディンプル10の総数は250個以上が好ましく、より好ましくは280個以上、さらに好ましくは300個以上であり、450個以下が好ましく、より好ましくは410個以下、さらに好ましくは390個以下である。
本考案のゴルフボールは、S×Hm/Vi<2.4を満足する。ここで、Sは、球状コアの表面硬度Hsと中心硬度との硬度差であり、Hmは、中間層の材料硬度であり、Viは、ディンプルの下部総容積である。S×Hm/Viの値は、1.0以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましく、2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましい。S×Hm/Viの値が、前記範囲内であれば、アイアンショットの番手間の距離が小さくなり、飛距離コントロール性が良好となるからである。
前記(Hm/Vi)は、0.08以上であることが好ましく、0.09以上であることがより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましく、0.22以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましく、0.18以下であることがさらに好ましい。前記(Hm/Vi)の値が、前記範囲内であれば、ドライバーショット時の低スピン化およびディンプルによる乱流化が十分に起き飛距離性能が良好になるからである。
本考案のゴルフボールは、球状コア表面硬度Hs(ショアC硬度)<中間層表面硬度Hms(ショアC硬度)>ゴルフボール表面硬度Hcs(ショアC硬度)を満足することが好ましい。
前記ゴルフボールは、ゴルフボールの表面硬度Hcsと、前記中間層の表面硬度Hmsとの差(Hms-Hcs)が、ショアC硬度で、0超であることが好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは4以上である。前記差(Hms-Hcs)が0超であれば、打撃時のカバーの変形がより大きくなることによりアプローチショットでのスピン性能が良好になるからである。なお、前記差(Hms-Hcs)の上限は特に限定されないが、20程度である。
前記ゴルフボールは、前記球状コアの表面硬度Hsと、前記中間層の表面硬度Hmsとの差(Hms-Hs)が、ショアC硬度で、0超であることが好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは4以上である。前記差(Hms-Hs)が0超であれば、球状コアの表面に中間層を形成した中間層被覆球体全体の外剛内柔度が大きくなり、ドライバーショット時のスピン量を抑制できるからである。
本考案のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、本考案のゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
前記ゴルフボールは、直径40mm~45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.1mm以上、さらに好ましくは2.2mm以上であり、3.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは2.9mm以下、さらに好ましくは2.8mm以下である。前記圧縮変形量が上記範囲内であればゴルフボールの打球感が良好となる。
次に、本考案のゴルフボールの構成部材を形成する材料について説明する。
(コア用組成物)
本考案のゴルフボールの球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、および(c)架橋開始剤を含有するゴム組成物(以下、「コア用ゴム組成物」という場合がある。)から形成されたものが好ましい。
(a)基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
(b)炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、共架橋剤として、ゴム組成物に配合されるものであり、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有する。
炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属成分としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属が好ましい。炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸の二価の金属塩を用いることにより、ゴム分子間に金属架橋が生じやすくなるからである。特に、二価の金属塩としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、アクリル酸亜鉛が好適である。なお、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
(b)炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩の含有量は、所望とする球状コアの硬度に応じて適宜調節すればよい。(b)成分の含有量は、例えば、(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、より好ましくは20質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは40質量部以下である。
(c)架橋開始剤は、(a)基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。(c)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
(c)架橋開始剤の含有量は、所望とする球状コアの硬度に応じて適宜調節すればよい。(c)架橋開始剤の含有量は、例えば、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.5質量部以下であり、さらに好ましくは1.0質量部以下である。
前記ゴム組成物は、共架橋剤として炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸のみを含有する場合、さらに(d)金属化合物を含有することが好ましい。ゴム組成物中で炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸を金属化合物で中和することにより、共架橋剤として炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸の金属塩を使用する場合と実質的に同様の効果が得られる。また、共架橋剤として、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸とその金属塩とを併用する場合は、(d)金属化合物を用いてもよい。
前記(d)金属化合物としては、ゴム組成物中において(b)炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸を中和することができるものであれば、特に限定されない。前記(d)金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。前記(d)金属化合物として好ましいのは、二価金属化合物であり、より好ましくは亜鉛化合物である。二価金属化合物は、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸と反応して、金属架橋を形成するからである。これらの(d)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物は、さらに(e)有機硫黄化合物を含有してもよい。(e)有機硫黄化合物は球状コアの反発性を向上させる。(e)有機硫黄化合物としては、分子内に硫黄原子を有する有機化合物であれば、特に限定されず、例えば、チオール基(-SH)、または、硫黄数が2~4のポリスルフィド結合(-S-S-、-S-S-S-、または、-S-S-S-S-)を有する有機化合物、あるいはこれらの金属塩(-SM、-S-M-S-など、Mは金属原子)を挙げることができる。前記(e)有機硫黄化合物は、単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。
前記(e)有機硫黄化合物としては、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チウラム類、チオカルボン酸類、ジチオカルボン酸類、スルフェンアミド類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類などを挙げることができる。前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類(例えば、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド)、チオフェノール類、チオナフトール類(例えば、2-チオナフトール)を好適に使用することができる。
前記(e)有機硫黄化合物の含有量は、所望とする球状コアの反発性能に応じて適宜調節すればよい。前記(e)有機硫黄化合物の含有量は、例えば、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
前記ゴム組成物は、さらに(f)カルボン酸および/またはその金属塩を含有してもよい。(f)カルボン酸および/またはその金属塩としては、炭素数が1~30のカルボン酸および/またはその塩が好ましい。前記カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸)、芳香族カルボン酸(安息香酸など)のいずれも使用できる。前記(f)カルボン酸および/またはその金属塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上、40質量部以下であることが好ましい。
前記ゴム組成物は、必要に応じて、重量調整などのための充填剤、老化防止剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
前記ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。
前記ゴム組成物は、(a)基材ゴム、(b)炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、および、必要に応じて配合するその他の成分を混練することにより得られる。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
前記球状コアは、例えば、コア用ゴム組成物を加熱プレスすることにより成形することができる。前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃~200℃で10分間~60分間加熱するか、あるいは130℃~150℃で20分間~40分間加熱した後、160℃~180℃で5分間~15分間と2段階加熱することが好ましい。
(カバー用組成物、中間層用組成物)
本考案のゴルフボールは、前記球状コアを被覆する中間層を有する。前記中間層は、樹脂成分を含有する中間層用組成物から形成されることが好ましい。
本考案のゴルフボールは、前記中間層の外側に位置する最外層カバーを有する。前記最外層カバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成されることが好ましい。
最外層カバーおよび中間層を形成する樹脂組成物に用いる樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、ウレタン樹脂(熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱硬化性ポリウレタンエラストマー)、熱可塑性スチレンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和した二元系アイオノマー樹脂、オレフィンと炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸とα,β-不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和した三元系アイオノマー樹脂、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。
前記二元系アイオノマー樹脂としては、ハイミラン(登録商標)1555(Na)、1557(Zn)、1605(Na)、1706(Zn)、1707(Na)、AM7311(Mg)、AM7329(Zn)、AM7337(三井・ダウ・ポリケミカル社製);サーリン(登録商標)8945(Na)、9945(Zn)、8140(Na)、8150(Na)、9120(Zn)、9150(Zn)、6910(Mg)、6120(Mg)、7930(Li)、7940(Li)、AD8546(Li)(デュポン社製);アイオテック(登録商標)8000(Na)、8030(Na)、7010(Zn)、7030(Zn)(エクソンモービル化学社製)などが挙げられる。
前記三元系アイオノマー樹脂としては、ハイミランAM7327(Zn)、1855(Zn)、1856(Na)、AM7331(Na)(三井・ダウ・ポリケミカル社製);サーリン6320(Mg)、8120(Na)、8320(Na)、9320(Zn)、9320W(Zn)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)(デュポン社製);アイオテック7510(Zn)、7520(Zn)(エクソンモービル化学社製)などが挙げられる。なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、分子内にウレタン結合を有する。このウレタン結合は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって形成され得る。ウレタン結合の原料である前記ポリオールは、複数のヒドロキシル基を有し、低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールが用いられうる。
前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの具体例としては、エラストラン(登録商標)NY80A、NY84A、NY88A、NY95A、ET885、ET890(BASFジャパン社製)などが挙げられる。
前記熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、スチレンブロックを含有する熱可塑性エラストマーを好適に使用できる。前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。
前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
前記熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、テファブロックT3221C、T3339C、SJ4400N、SJ5400N、SJ6400N、SJ7400N、SJ8400N、SJ9400N、SR04(三菱ケミカル社製)が挙げられる。
前記最外層カバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分としてポリウレタンおよび/またはアイオノマー樹脂を含有することが好ましく、特にポリウレタンを含有することが好ましい。最外層カバーが樹脂成分としてポリウレタンを含有すると、ドライバーショット時に最外層カバーのクラブフェースへの食いつきが大きくなり、スピン量が大きくなりやすい。
前記カバー用組成物が、樹脂成分としてポリウレタンを含有する場合、樹脂成分中のポリウレタンの含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。前記カバー用組成物が、樹脂成分として、ポリウレタン(好ましくは熱可塑性ポリウレタンエラストマー)のみを含有してもよい。
前記カバー用組成物が、樹脂成分としてアイオノマー樹脂を含有する場合、樹脂成分中のアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。アイオノマー樹脂を含有する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。
前記中間層用組成物は、樹脂成分として、アイオノマー樹脂を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂を含有する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。中間層用組成物の基材樹脂中のアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記最外層カバー用組成物および中間層用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、最外層カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部以下であれば、得られるカバーの耐久性が良好となる。
前記中間層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球状コアを包み、加圧成形する方法、または、中間層用組成物を直接球状コア上に射出成形して球体を包み込む方法などを挙げることができる。
前記カバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、球体(球状コアまたは中間層が形成された球体)を複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、球体を2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物を球体上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
前記カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。
また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましく、7μm以上がさらに好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm以上であれば継続的に使用しても塗膜が摩耗消失しにくくなり、膜厚が50μm以下であればディンプルの効果が十分に得られる。なお、塗膜は厚さが非常に薄いため、本考案の効果を損なわない。
以下、本考案を実施例によって詳細に説明するが、本考案は、下記実施例によって限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本考案の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)材料(スラブ)硬度(ショアD硬度)
中間層用組成物またはカバー用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore D」を用いた。
(2)圧縮変形量(mm)
圧縮変形量の測定には、YAMADA式コンプレッションテスター「SCH」を用いた。このテスターでは、ゴルフボールまたは球状コアが金属製の剛板の上に置かれる。このゴルフボールまたは球状コアに向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれたゴルフボールまたは球状コアは変形する。ゴルフボールまたは球状コアに98Nの初荷重がかかった状態から1275Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離を測定した。圧縮変形量(mm)は、この移動距離である。初荷重がかかるまでの円柱の移動速度は、0.83mm/sである。初荷重がかかってから終荷重がかかるまでの円柱の移動速度は、1.67mm/sである。
(3)コア硬度分布(ショアC硬度)
コアの表面部において測定した硬度をコア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から半径方向に所定の距離において硬度を測定した。また、コア硬度は、コア断面の中心から所定の距離の4点で硬度を測定して、これらを平均することにより算出した。硬度は、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて測定した。検出器は、「ShoreC」を用いた。
(4)ゴルフボール表面硬度、中間層表面硬度
ゴルフボールの表面部においてランド部を測定した硬度をボール表面硬度とした。また、球状コアの表面に中間層を形成した中間層被覆球体の表面部において測定した硬度を中間層表面硬度とした。各硬度は4点で測定し、これらを平均することにより算出した。硬度は、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて測定した。検出器は、「ShoreC」を用いた。
(5)ロングアイアン試験
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、5番アイアン(I#5)(住友ゴム工業社、「SRIXON ZX7」、シャフト硬度:X、ロフト角:25°)を装着した。打点はフェースセンターに設定した。ヘッド速度41m/secでゴルフボールを打撃して、打撃直後のスピン速度、および、飛距離(発射始点から停止地点までの距離)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。
(6)ミドルアイアン試験
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、7番アイアン(I#7)(住友ゴム工業社、「SRIXON ZX7」、シャフト硬度:X、ロフト角:32°)を装着した。打点はフェースセンターに設定した。ヘッド速度39m/secでゴルフボールを打撃して、打撃直後のスピン速度、および、飛距離(発射始点から停止地点までの距離)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。
[ゴルフボールの作製]
(1)コア用組成物の調製
表1に示す配合となるように各原料を混練ロールにより混練し、コア用組成物を得た。
Figure 0003243007000002
表1で用いた材料は下記の通りである。
ポリブタジエン:JSR社製「BR―730」
アクリル酸亜鉛:日触テクノファインケミカル社製、「ZN-DA90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
安息香酸:東京化成工業社製(純度98%以上)
ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド:川口化学工業社製
ジフェニルジスルフィド:住友精化製
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D」
(2)中間層用組成物の調製
表2に示した配合となるように原料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状の中間層用組成物を調製した。
Figure 0003243007000003
サーリン(登録商標)8150:デュポン社製、ナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン(登録商標)1605::三井・ダウ・ポリケミカル社製、ナリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン(登録商標)AM7329:三井・ダウ・ポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン(登録商標)1555:三井・ダウ・ポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン(登録商標)1557:三井・ダウ・ポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
テファブロックT3221C:三菱ケミカル社製、熱可塑性スチレン系エラストマー
二酸化チタン:石原産業社製、A-220
(3)カバー用組成物の調製
表3に示した配合となるように原料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。
Figure 0003243007000004
エラストラン(登録商標)NY80A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
チヌビン(登録商標)770:BASFジャパン社製、ヒンダードアミン系光安定剤
二酸化チタン:石原産業社製、A-220
(4)コアの作製
表1に示したコア用組成物を、半球状キャビティを有する上下金型内で、加熱プレスすることにより球状コアを得た。なお、硫酸バリウムは、得られるゴルフボールの質量が、45.3gとなるように適量加えた。
(5)中間層、カバーの形成
前記中間層用組成物を球状コア上に射出成形して、中間層被覆球体を得た。得られた中間層被覆球体を、キャビティ面に多数のディンプルを備えたファイナル金型に投入した。前記カバー用組成物から圧縮成形法にてハーフシェルを得た。ハーフシェル2枚をファイナル金型に投入した中間層被覆球体上に被覆し、最外層カバーにキャビティ面のディンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成されたゴルフボールを得た。最外層カバーに形成したディンプルの仕様について表4~6に示した。得られたゴルフボールについて評価した結果を表7~表8に示した。
Figure 0003243007000005
Figure 0003243007000006
Figure 0003243007000007
Figure 0003243007000008
Figure 0003243007000009
球状コアと前記球状コアの外側に配置された中間層と前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、球状コアの中心硬度(ショアC硬度)をHo、球状コアの表面硬度(ショアC)硬度をHs、硬度差S=Hs-Hoとし、中間層の材料硬度(ショアD硬度)をHmとし、複数のディンプルの下部総容積をVi(mm)とするとき、S×Hm/Vi<2.4を満足する本考案のゴルフボールは、ロングアイアンショットとミドルアイアンショットとの番手間の飛距離の差が低減されていることが分かる。
(本考案の態様)
本考案(1)は、球状コアと前記球状コアの外側に配置された中間層と、前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアの中心硬度(ショアC硬度)をHo、前記球状コアの表面硬度(ショアC)硬度をHs、硬度差S=Hs-Hoとし、前記中間層の材料硬度(ショアD硬度)をHmとし、前記複数のディンプルの下部総容積をVi(mm)とするとき、S×Hm/Vi<2.4を満足することを特徴とするゴルフボールである。
本考案(2)は、前記球状コアの中心から10mm地点の硬度をH10としたときに、0.35<(H10-Ho)/S<0.6を満足する本考案(1)に記載のゴルフボールである。
本考案(3)は、前記硬度差S<20である本考案(1)または(2)に記載のゴルフボールである。
本考案(4)は、Vi>365である本考案(1)~(3)のいずれか1項に記載のゴルフボールである。
本考案(5)は、Vi≧380である本考案(1)~(4)のいずれか1項に記載のゴルフボールである。
本考案(6)は、Vi≧400である本考案(1)~(5)のいずれか1項に記載のゴルフボールである。
本考案(7)は、前記球状コア表面硬度(ショアC硬度)<前記中間層表面硬度(ショアC硬度)>前記ゴルフボール表面硬度(ショアC硬度)を満足する本考案(1)~(6)のいずれか1項に記載のゴルフボールである。
本考案(8)は、前記最外層カバーが、樹脂成分としてポリウレタンを含有する本考案(1)~(7)のいずれか1項に記載のゴルフボールである。
2:ゴルフボール、4:球状コア、6:中間層、8:最外層カバー、10:ディンプル、12:ランド、14:仮想球

Claims (8)

  1. 球状コアと前記球状コアの外側に配置された中間層と
    前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、
    前記球状コアの中心硬度(ショアC硬度)をHo、前記球状コアの表面硬度(ショアC)硬度をHs、硬度差S=Hs-Hoとし、
    前記中間層の材料硬度(ショアD硬度)をHmとし、
    前記複数のディンプルの下部総容積をVi(mm)とするとき、
    S×Hm/Vi<2.4を満足することを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記球状コアの中心から10mm地点の硬度をH10としたときに、
    0.35<(H10-Ho)/S<0.6を満足する請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記硬度差S<20である請求項1に記載のゴルフボール。
  4. Vi>365である請求項1に記載のゴルフボール。
  5. Vi≧380である請求項1に記載のゴルフボール。
  6. Vi≧400である請求項1に記載のゴルフボール。
  7. 前記球状コア表面硬度(ショアC硬度)<前記中間層表面硬度(ショアC硬度)>前記ゴルフボール表面硬度(ショアC硬度)を満足する請求項1に記載のゴルフボール。
  8. 前記最外層カバーが、樹脂成分としてポリウレタンを含有する請求項1に記載のゴルフボール。
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