JP3760972B2 - ソリッドゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアに少なくとも4層のカバーが形成された多層構造のソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、ソリッドゴルフボールの構造としてコアやカバーを多層化した多層構造ソリッドゴルフボールが提案されている(特開平8−336617号、同8−336618号、同9−56848号、同9−299510号、同11−417号、同11−4916号公報等)。
【0003】
ソリッドゴルフボールの多層化の目的は、一方では糸巻きゴルフボールと同等のフィーリングを得ると共に、他方では、飛距離を向上させることにあるが、一般にフィーリングを重視すると飛距離が満足せず、飛距離を満足させるとフィーリングが低下することが多い上、従来の提案の多くは主として高ヘッドスピードのプレーヤーを対象としたものであり、このため低ヘッドスピードでショットした場合でも十分な飛距離を与え、かつ良好なフィーリングを有するゴルフボールの開発が更に望まれる。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高ヘッドスピードの場合は勿論、低ヘッドスピードでショットした場合でも十分な飛距離を与え、かつフィーリングが良好な多層ソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明は上記目的を達成するため、下記ゴルフボールを提供する。
請求項1:
コアと、4層のカバーとからなる多層ゴルフボールにおいて、コアの直径が26mm以上35mm以下であり、コアの100kg荷重負荷による変形量が2.5〜5.5mmであると共に、コアを被覆する第1層カバーとこの第1層カバーを被覆する第2層カバーとの硬度差がショアD硬度で7以上であり、この第2層カバーのショアD硬度が52以下であり、上記第2層カバーを被覆する第3層カバーが上記第2層カバー及び第3層カバーを被覆する第4層カバーよりも硬いことを特徴とするソリッドゴルフボール。
請求項2:
コア表面のショアD硬度が40以上であり、第4層カバーの厚さが0.5〜3.0mmである請求項1記載のソリッドゴルフボール。
請求項3:
第2層カバーがポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上にて形成された請求項1又は2記載のソリッドゴルフボール。
請求項4:
第3層カバーがポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上にて形成された請求項1〜3のいずれか1項記載のソリッドゴルフボール。
【0006】
即ち、本発明者は、上述した目的に鑑み鋭意検討を行った結果、上述した4層のカバーを形成することにより、中間カバー層に硬度差を設けることが可能となり、コアを上記変形量(硬さ)としたことと併せ、コアと第1層〜第3層カバーとで優れた反撥性とフィーリングを向上させることができると共に、第4層カバーによりスピン性能を向上させることができることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボールは、少なくとも一層以上のコアと、4層のカバーとを有するもので、図1に示したように、コア1を覆って第1層カバー2が形成され、更に順次第2層カバー3、第3層カバー4、第4層カバー5が被覆、形成されたものとすることができる。
【0008】
ここで、上記コアは、直径が26mm以上、特に29mm以上で、35mm以下、特に33.5mm以下に形成することができる。
【0009】
コアは、ゴム組成物、熱可塑性樹脂又はこれらの混合物にて形成することができる。ゴム組成物としては、公知の組成のものを使用することができるが、基材としてポリブタジエンを使用したものが好ましい。このポリブタジエンとしては、シス構造を少なくとも40%以上有する1,4−シスポリブタジエンが好適である。また、この基材ゴム中には、所望により該ポリブタジエンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴムなどを適宜配合することができる。ゴム成分を多くすることにより、ゴルフボールの反撥性を向上させることができる。
【0010】
また、上記ゴム組成物には、架橋剤としてメタクリル酸亜鉛、アクリル酸亜鉛等の不飽和脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩やトリメチルプロパンメタクリレート等のエステル化合物を配合し得るが、特にアクリル酸亜鉛を好適に使用し得る。これら架橋剤の配合量は、上記基材ゴム100重量部に対し、10重量部以上40重量部以下とすることが好ましい。
【0011】
上記ゴム組成物中には、通常、加硫剤が配合されるが、パーオキサイド(有機過酸化物)が加硫剤として好適に用いられる。このようなパーオキサイドとしては、市販品を挙げることができ、例えばパークミルD、パーヘキサ3M(日本油脂社製)等が挙げられる。その配合量は、基材ゴム100重量部に対し、0.6重量部以上2重量部以下とすることができる。
【0012】
更に、必要に応じて、老化防止剤や比重調整の充填剤として酸化亜鉛や硫酸バリウム等を配合することができる。
【0013】
上記コアは、その表面のショアD硬度が40以上、より好ましくは45以上、更に好ましくは49以上であり、また65以下、より好ましくは63以下であることが好ましい。
【0014】
この場合、コアは2層以上の多層構造に形成でき、例えば最内芯をゴム組成物にて形成すると共に、これを覆ってアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂にて外側コアを形成し、この外側コアのショアD硬度を上記値とする形態などに形成し得る。
【0015】
上記コアは、これに100kgの荷重を負荷したときの変形量が、2.5mm以上、特に2.8mm以上で、5.5mm以下、特に5.2mm以下であることが必要であり、上記変形量が小さすぎるとフィーリングが低下し、また大きすぎると反撥性が低下する。
【0016】
第1層〜第4層カバーは、それぞれ熱可塑性樹脂にて形成することが好ましいが、ゴムを基材とする材料でも形成できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)、ポリエステル樹脂(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、アイオノマー樹脂などを挙げることができ、市販品としては、パンデックス(大日本インキ(株)製ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)、ハイトレル(東レ・デュポン社製ポリエステル系熱可塑性エラストマー)、サーリン(デュポン社製アイオノマー樹脂)、ハイミラン(三井・デュポン社製アイオノマー樹脂)、リルサン(東レ社製ポリアミド系樹脂)、ペパックス(東レ社製ポリアミド系熱可塑性エラストマー)などを好適に使用し得る。
【0017】
ここで、本発明においては、第1層カバーと第2層カバーとの硬度差をショアD硬度で7以上、好ましくは10以上とするものであり、このような硬度差を設けることにより、反撥性と打球感が改良される。なお、上記硬度差の上限は45以下、特に30以下とすることが好ましい。
【0018】
この場合、第1層カバーと第2層カバーとは、どちらが硬くても差し支えない。第1層カバーの方を硬くすると、軟らかい第2層カバーを硬い第1層及び第3層カバーで挟み込むことによって、高い反撥性を得られるという利点が得られ、第2層カバーの方を硬くすると、第1層〜第3層カバーの硬度変化が滑らかになり、良好なフィーリングを得られるという利点が得られる。
【0019】
上記第2層カバーは、ショアD硬度で20以上、特に25以上とし、また52以下、好ましくは50以下、特に47以下とすることが好ましく、この第2層カバーは、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、或いはこれらの混合物にて形成することが好ましい。また必要に応じ、アイオノマー樹脂を混合してもよい。なお、第1層カバーの硬度は、上記第2層カバーの硬度及びこれとの硬度差を考慮して適宜選定される。
【0020】
第1層カバーの厚さは、0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1.0mm以上であり、また4.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.5mm以下であることが好ましい。
【0021】
また、第2層カバーの厚さは、0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1.0mm以上であり、また4.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.5mm以下であることが好ましい。
【0022】
第3層カバーは、ショアD硬度55以上、特に58以上で、70以下、特に68以下に形成することが好ましい。この場合、第3層カバーは、上記第2層カバー及び後述する第4層カバーより硬く形成することが、本発明の目的を達成する上で必要である。なお、この第3層カバーはアイオノマー樹脂にて形成することが好ましい。
【0023】
第3層カバーの厚さは、0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1.0mm以上であり、また4.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.5mm以下であることが好ましい。
【0024】
第4層カバーは、第3層カバーより軟らかく形成することが必要で、第4層カバーが第3層カバーより硬いと、本発明の目的を達成し得ない。この場合、第4層カバーのショアD硬度は40以上、より好ましくは45以上であり、また55以下、より好ましくは53以下であることが好ましい。なお、第3層カバーとの硬度差は5以上、特に8以上とすることが好ましい。
【0025】
第4層カバーの材料は特に制限されないが、アイオノマー樹脂にて形成することができるほか、ポリウレタン樹脂にて形成することができる。
【0026】
第4層カバーの厚さは、0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1.0mm以上であり、また3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下であることが好ましい。
【0027】
なお、第1層〜第4層カバーは、上述したように熱可塑性樹脂にて形成することが好ましいが、これには比重調整などの目的で無機充填剤を配合したり、その他適宜の添加剤を加えることは任意である。
【0028】
本発明のゴルフボールは、通常のゴルフボールと同様に、公知の配列態様に従って300〜600個のディンプルを形成することができる。
【0029】
なお、本発明のゴルフボールは、その直径、重さはゴルフ規則に従い、直径42.65mm以上、特に42.67mm以上で、42.75mm以下に形成でき、重量は45.93g以下、特に45.90g以下で、45.10g以上に形成することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明のゴルフボールは、高・低ヘッドスピードに拘わらず、飛距離性能が良好で、特にヘッドスピードが低い場合であっても飛距離の向上を図ることができると共に、フィーリングが良好なものである。
【0031】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0032】
[実施例、比較例]
表1に示すゴム配合、表2に示す樹脂配合により、表3に示すファイブピースソリッドゴルフボールを製造し、その飛び性能、フィーリングを下記方法により評価した。結果を表3に示す。
飛び性能
スイングロボットを用い、ドライバーでヘッドスピード50m/sec及び40m/secにてそれぞれ打撃し、初速度、キャリー及びトータル飛距離をそれぞれ測定した。
フィーリング
3人のプロゴルファーが実際に試打して評価した。
◎:非常に優れている
○:優れている
△:普通
×:劣る
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
* コアにカバー被覆した状態での直径
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 コア
2 第1層カバー
3 第2層カバー
4 第3層カバー
5 第4層カバー
Claims (4)
- コアと、4層のカバーとからなる多層ゴルフボールにおいて、コアの直径が26mm以上35mm以下であり、コアの100kg荷重負荷による変形量が2.5〜5.5mmであると共に、コアを被覆する第1層カバーとこの第1層カバーを被覆する第2層カバーとの硬度差がショアD硬度で7以上であり、この第2層カバーのショアD硬度が52以下であり、上記第2層カバーを被覆する第3層カバーが上記第2層カバー及び第3層カバーを被覆する第4層カバーよりも硬いことを特徴とするソリッドゴルフボール。
- コア表面のショアD硬度が40以上であり、第4層カバーの厚さが0.5〜3.0mmである請求項1記載のソリッドゴルフボール。
- 第2層カバーがポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上にて形成された請求項1又は2記載のソリッドゴルフボール。
- 第3層カバーがポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上にて形成された請求項1〜3のいずれか1項記載のソリッドゴルフボール。
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