JP2655355B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2655355B2 JP1229381A JP22938189A JP2655355B2 JP 2655355 B2 JP2655355 B2 JP 2655355B2 JP 1229381 A JP1229381 A JP 1229381A JP 22938189 A JP22938189 A JP 22938189A JP 2655355 B2 JP2655355 B2 JP 2655355B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電子写真感光体に関し、詳しくは静電特性、
耐湿性及び耐久性の優れた電子写真感光体に関する。
(従来の技術) 電子写真感光体には所定の特性を得るため、あるいは
適用される電子写真プロセスの種類に応じて種々の構成
をとる。
電子写真感光体の代表的なものとして、支持体上に光
導電層が形成されている感光体及び表面に絶縁層を備え
た感光体があり、広く用いられている。支持体と少なく
とも1層の光導電層から構成される感光体は、最も一般
的な電子写真プロセスによる、即ち、帯電、画像露光及
び現像、更に必要に応じて転写による画像形成に用いら
れる。
更には、ダイレクト製版用のオフセット原版として電
子写真感光体を用いる方法が広く実用されている。
電子写真感光体の光導電層を形成するために使用する
結合剤は、それ自体の成膜性および光導電性粉末の結合
剤中への分散能力が優れるとともに、形成された記録体
層の基材に対する接着性が良好であり、しかも記録体層
の光導電層は帯電能力に優れ、暗減衰が小さく、光減衰
が大きく、前露光疲労が少く、且つ、撮像時の湿度の変
化によってこれら特性を安定に保持していることが必要
である等の各種の静電特性および優れた撮像性を具備す
る必要がある。
古くから公知の樹脂として、例えばシリコーン樹脂
(特公昭34-6670号)、スチレン−ブタジエン樹脂(特
公昭35-1960号)、アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、
ポリアミド(特公昭35-11219号)酢酸ビニル樹脂(特公
昭41-2425号)、酢酸ビニル共重合体(特公昭41-2426
号)、アクリル樹脂(特公昭35-11216号)、アクリル酸
エステル共重合体(例えば特公昭35-11219号、特公昭36
-8510号、特公昭41-13946号等)等が知られている。
しかし、これらの樹脂を用いた電子写真感光材料にお
いては、1)光導電性粉体との親和性が不足し、塗工液
の分散性が不良となる。2)光導電層の帯電性が低い、
3)複写画像の画像部(特に網点再現性・解像力)の品
質が悪い、4)複写画像作成時の環境(例えば高温高
湿、低温低湿)にその画質が影響されやすい、5)感光
層の膜強度・接着性が充分でなく、特にオフセットマス
ターとして用いると、オフセット印刷時に、感光層の脱
離等が生じ印刷枚数が多くできない、等のいずれかの問
題があった。
光導電層の静電特性の改良方法として種々の方法が提
案されており、その1つの方法として例えば、芳香族環
又はフラン環にカルボキシル基又はニトロ基を含有する
化合物、あるいはジカルボン酸の無水物を更に組合せ
て、光導電層に共存させる方法が特公昭42-6878号、特
公昭45-3073号に開示されている。しかし、これらの方
法によって改良された感光材料でも、その静電特性は充
分でなく、特に光減衰特性の優れたものは得られていな
い。そこでこの感光材料の感度不足を改良するために、
光導電層中に増感色素を多量に加える方法が従来とられ
てきたが、このような方法によって作製された感光材料
は白色度が著しく劣化し、記録体としての品質低下を生
じ、場合によっては感光材料の暗減衰の劣化を起こし、
充分な複写画像が得られなくなってしまうという問題を
有していた。
一方、光導電層に用いる結着樹脂として樹脂の平均分
子量を調節して用いる方法が特開昭60-10254号に開示さ
れている。即ち、酸価4〜50のアクリル樹脂で平均分子
量が103〜104の分布の成分のものと104〜2×105の分布
の成分のものを併用することにより、静電特性(特にPP
C感光体としての繰り返し再現性が良好)、耐湿性等を
改良する技術が記載されている。
更に、電子感真感光体を用いた平版印刷用原版の研究
が鋭意行なわれており、電子写真感光体としての静電特
性と印刷原版としての印刷特性を両立させた光導電層用
の結着樹脂として、例えば、特公昭50-31011号では、フ
マル酸存在下で(メタ)アクリレート系モノマーと他の
モノマーと共重合させた、w1.8×104〜10×104でTg10
〜80℃の樹脂と、(メタ)アクリレート系モノマーとフ
マル酸以外の他のモノマーとから成る共重合体とを併用
したもの、又特開昭53-54027号では、カルボン酸基をエ
ステル結合から少なくとも原子数7個離れて有する置換
基をもつ(メタ)アクリル酸エステルを含む三元共重合
体を用いるもの、又特開昭54-20735号、特開昭57-20254
4号では、アクリル酸及びヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートを含む4元又は5元共重合体を用いるもの、
又特開昭58-68046号では、炭素数6〜12のアルキル基を
置換基とする(メタ)アクリル酸エステル及びカルボン
酸含有のビニルモノマーを含む3元共重合体を用いるも
の等が光導電層の不感脂化性の向上に効果があると記載
されている。しかし、上記した静電特性・耐湿特性及び
耐久性に効果があるとされる樹脂であっても、現実に評
価してみると特に帯電性、暗電荷保持性、光感度の静電
特性、光導電層の平滑性等に問題があり、実用上満足で
きるものではなかった。
又、電子写真式平版印刷用原版として開発されたとす
る結着樹脂においても、現実に評価してみると前記の静
電特性、印刷物の地汚れ等に問題があった。
更に、これらの問題点を解決するために、結着樹脂と
して酸性基を重合体の側鎖に含有する共重合成分を0.05
〜10重量%含有する低分子量の樹脂および酸性基を重合
体主鎖の末端に結合する低分子量の樹脂(それぞれw
103〜104)を用いることにより、光導電層の平滑性及び
静電特性を良好にし、しかも地汚れのない画質を得るこ
とがそれぞれ特開昭63-217354号および特開昭64-70761
号に、更にかかる低分子量樹脂を高分子量の樹脂(w
104以上)と組合せて用いたり、あるいは架橋反応を利
用したりすることにより、上記特性を阻害せずに光導電
層の膜強度を充分ならしめる耐刷性を向上させることが
特願昭63-49817号、特開昭63-220148号、同63-220149
号、特開平1-100554号、同1-102573号及び同1-116643号
等に記載されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、これらの樹脂を用いても、環境が高温
・高湿から低温・低湿まで著しく変動した場合における
安定した性能の維持においてはいまだ不充分であること
が判った。特に半導体レーザー光を用いたスキャニング
露光方式では、従来の可視光による全面同時露光方式に
比べ、露光時間が長くなり、また露光強度にも制約があ
ることから、静電特性、特に暗電荷保持特性、光感度に
対して、より高い性能が要求される。
更には、電子写真式平版印刷用原版において、半導体
レーザー光を用いたスキャニング露光方式を採用した場
合、従来の感光体で実際に試験してみると、上記の静電
特性が不満足であるとともに、特にE1/2とE1/10との差
が大きく露光後の残留電位を小さくするのが困難とな
り、複写画像のカブリが顕著となってしまい、又、オフ
セットマスターとして印刷しても、印刷物に印刷原稿の
貼り込み跡が出てしまう等の重大な問題となって現われ
た。
本発明は、以上の様な従来の電子写真感光体の有する
課題を改良するものである。
本発明の目的は、複写画像形成時の環境が低温低湿あ
るいは高温高湿の如く変動した場合でも、安定して良好
な静電特性を維持し、鮮明で良質な画像を有する電子写
真感光体を提供することである。
本発明の他の目的は、静電特性に優れ且つ環境依存性
の小さいCPC電子写真感光体を提供することである。
本発明の他の目的は、半導体レーザー光を用いたスキ
ャニング露光方式に有効な電子写真感光体を提供するこ
とである。
本発明の他の目的は、電子写真式平版印刷原版とし
て、印刷物に地汚れの発生が見られず、且つ貼り込み跡
が生じない平版印刷原版を提供することである。
(課題を解決するための手段) 上記目的は、無機光導電体及び結着樹脂を少なくとも
含有する光導電層を有する電子写真感光体において、該
結着樹脂が、下記の結着樹脂〔A〕の少なくとも1種及
び結着樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有する事を特徴
とする電子写真感光体により達成されることが見出され
た。
結着樹脂〔A〕: 1×103〜2×104の重量平均分子量を有し、下記一般
式(I)で示される重合成分を30重量%以上含有し、且
つ重合体主鎖の片末端に−PO3H2基、−SO3H基、−COOH
基、 {Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素基を示
す)を示す}及び環状酸無水物含有基から選択される少
なくとも1種の酸性基を結合して成る樹脂。
一般式(I) 式(I)中、a1及びa2は各々水素原子又は炭化水素基
を表わす。R1は炭化水素基を表わす。
結着樹脂〔B〕: 下記一般式(IVa)及び(IVb)で示される重合体成分
のうちの少なくとも1種と−COOH基、−PO3H2基、−SO3
H基、−OH基、 (R0は前記Rと同一の内容を表わす)基、及び酸無水物
含有基から選ばれる少なくとも1つの酸性基を含有する
成分を少なくとも1種含有する重合体成分の少なくとも
1種とを含有する重合体主鎖の一方の末端にのみ下記一
般式(III)で示される重合性二重結合基を結合して成
る重量平均分子量2×104以下の一官能性マクロモノマ
ー(M)と下記一般式(V)で示されるモノマーとから
少なくとも成る重量平均分子量5×104〜1×106の共重
合体。
一般式(III) 式(III)中、X0は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、
−CH2COO−、−O−、−SO2−、−CO−、−CONHCOO−、
−CONHCONH−、 を表わす(ここでR31は水素原子又は炭化水素基を表わ
す)。
c1、c2は、互いに同じでも異なってもよく、各々水素
原子又は炭化水素基を表わす。
一般式(IVa) 一般式(IVb) 式(IVa)又は(IVb)中、X1は式(III)中のX0と同
一の内容を表わす。Q1は、炭素数1〜18の脂肪族基又は
炭素数6〜12の芳香族基を表わす。d1、d2は、互いに同
じでも、異なってもよく、式(III)中のc1、c2と同一
の内容を表わす。
Q0は−CN、−CONH2又は を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基
又は−COOZ2(Z2はアルキル基、アラルキル基又はアリ
ール基を示す)を表わす。
一般式(V) 式(V)中、X2は、式(IVa)中のX1と同一の内容を
表わし、Q2は(IVa)中のQ1と同一の内容を表わす。
e1、e2は互いに同じでも異なってもよく、式(III)中
のc1、c2と同一のと内容を表わす。
即ち、本発明に供される結着樹脂は、特定の繰り返し
単位の重合体成分を含有し、かつ酸性基(以下本明細書
中では特にことわらない限り酸性基の語の中に環状酸無
水物含有基も含むものとする)を重合体主鎖の片末端に
結合する低分子量の樹脂〔A〕と、一官能性マクロモノ
マー(MB)と一般式(V)で示される単量体とを少なく
とも含むグラフト型共重合体から成る高分子量の樹脂
〔B〕とから少なくとも構成される。
更には、低分子量の樹脂〔A〕としては、下記一般式
(IIa)及び一般式(IIb)で示される、2位に、及び/
又は2位と6位に特定の置換基を有するベンゼン環又は
無置換のナフタレン環を含有する、特定の置換基をもつ
メタクリレート成分を含有する、末端に酸性基を結合し
た樹脂〔A〕(以降、この低分子量体を樹脂〔A′〕と
する)であることが好ましい。
一般式(IIa) 一般式(IIb) 式〔IIa〕および〔IIb〕中、A1及びA2は互いに独立に
各々水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原子、
臭素原子、−COD1及び−COOD2(D1及びD2は各々炭素数
1〜10の炭化水素基を示す)を表わす。但し、A1とA2
共に水素原子を表わすことはない。
B1及びB2は各々−COO−とベンゼン環を結合する、単
結合又は連結原子数1〜4個の連結基を表わす。
更に、高分子量の樹脂〔B〕は、更に、重合体主鎖の
末端に−PO3H2基、−SO3H基、−COOH基、−OH基、 および環状酸無水物含有基かから選ばれる少なくとも1
つの酸性基を結合して成るグラフト型共重合体(以降こ
の高分子量体をとくに樹脂〔B′〕とする)であること
が好ましい。
本発明では、特定の共重合成分を含有する酸性基含有
樹脂〔A〕は、樹脂中に含有される酸性基が無機光導電
体の化学量論的な欠陥に吸着し、且つ低分子量体である
ことから、光導電体の表面の被覆性を向上させることで
光導電体のトラップを補償すると共に湿度特性を飛躍的
に向上させる一方、光導電体の分散が充分に行なわれ、
凝集を抑制することが判った。そして樹脂〔B〕は、樹
脂〔A〕を用いたことによる電子写真特性の高性能を全
く阻害せずに、樹脂〔A〕のみでは不充分な光導電層の
機械的強度を充分ならしめるものである。
本発明によれば、無機光導電体の結着樹脂として、樹
脂〔A〕と樹脂〔B〕を各々樹脂の重量平均分子量並び
に樹脂中の酸性基の含有量及び結合位置を特定化するこ
とで、無機光導電体と樹脂との相互作用の強さを適度に
変えることができたことによると推定される。即ち、相
互作用のより強い樹脂〔A〕が選択的に無機光導電体に
適切に吸着し、一方で樹脂〔A〕に比べて相互作用の弱
い樹脂〔B〕においては、樹脂中の重合体主鎖に対して
特定の位置に結合した酸性基が電子写真特性を疎外しな
い程度に無機光導電体とゆるやかに相互作用し、且つ樹
脂〔B〕間においては長い分子鎖長及びグラフト部鎖長
の分子鎖同志が相互作用をすることで、上記した如く電
子写真特性及び膜の機械的強度をともに著しく向上させ
ることができたと推定される。
また、樹脂〔A′〕を用いると樹脂〔A〕の場合より
も、より一層電子写真特性(特にV10,D.R.R,E1/10の向
上が達成できる。
この事の理由は不明であるが、1つの理由として、メ
タクリレートのエステル成分である、オルト位に置換基
を有する平面性のベンゼン環、又はナフタレン環の効果
により、膜中の酸化亜鉛界面でのこれらポリマー分子鎖
の配列が適切に行なわれることによるものと考えられ
る。
樹脂〔B′〕を用いると、静電特性、特にD.R.R及びE
1/10がより良好となり、樹脂〔A〕を用いたことによる
優れた特性を全く妨げず、その効果は特に高温・高湿、
低温低湿等の如き環境変化においても変動が殆んどなく
好ましい。
また、本発明では、光導電体表面の平滑性が滑らかと
なる。電子写真式平版印刷原版として光導電層表面の平
滑性の粗い感光体を用いると、光導電体である無機粒子
と結着樹脂の分散状態が適切でなく、凝集物が存在する
状態で光導電層が形成されるため、不感脂化処理液によ
る不感脂化処理をしても非画像部の親水化が均一に充分
に行なわれず、印刷時に印刷インキの付着を引き起こ
し、結果として印刷物の非画像部の地汚れを生じてしま
う。
本発明の樹脂を用いた場合に無機光導電体と結着樹脂
の吸着・被覆の相互作用が適切に行なわれ、且つ光導電
層の膜強度が保持されるものである。
樹脂〔A〕において、重量平均分子量は1×103〜2
×104、好ましくは3×103〜1×104、式(I)の繰り
返し単位に相当する共重合成分の存在割合は30重量%以
上、好ましくは50〜97重量%、主鎖末端に結合する酸性
基の存在割合は0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量
%である。
樹脂〔A′〕における、式(IIa)及び/又は(IIb)
の繰り返し単位に相当するメタクリレートの共重合成分
の存在割合は、30重量%以上、好ましくは50〜97重量
%、重合体主鎖の末端に結合する酸性基の存在割合は0.
5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。
樹脂〔A〕のガラス転移点は好ましくは−20℃〜110
℃、より好ましくは−10℃〜90℃である。一方、樹脂
〔B〕の重量平均分子量は5×104〜1×106、好ましく
は8×104〜5×105である。一官能性マクロモノマーの
重合体中における存在割合は、1〜70重量%であること
が好ましく、また、一般式(V)で示される単量体の重
合体中における存在割合は30〜99重量%であることが好
ましい。
樹脂〔B〕のガラス転移点は、好ましくは0°〜110
℃、より好ましくは、20°〜90℃である。
結着樹脂〔A〕の分子量が1×103より小さくなる
と、皮膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、一方分
子量が2×104より大きくなると本発明の樹脂であって
も高温・高湿、低温・低湿の過酷な条件下での電子写真
特性(暗減衰保持率及び光感度E1/10)の変動が多少大
きくなり、安定した複写画像が得られるという本発明の
効果が薄れてしまう。
結着樹脂〔A〕における酸性基含有量が0.5重量%よ
り少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度を得るこ
とができない。一方該酸性基含有量が15重量%よりも多
いと、いかに低分子量体といえども分散性が低下し、膜
平滑度及び電子写真特性の高湿特性が低下し、更にオフ
セットマスターとして用いるときに地汚れが増大する。
又、結着樹脂〔B〕の分子量が5×104より小さくな
ると、膜強度が充分に保てず、一方分子量が1×106
り大きくなると、分散性が低下し膜平滑度が劣下し、複
写画像の画質(特に、細線・文字の再現性が悪くなる)
が悪化し、更にオフセットマスターとして用いる時に地
汚れが著しくなってしまう。
結着樹脂〔B〕における一官能性マクロモノマー含有
量が1.0重量%より少ないと電子写真特性(特に暗減衰
率、光感度)が低下し、又環境条件での電子写真特性の
変動が特に近赤外〜赤外光分光増感色素との組み合わせ
において、大きくなる。これはグラフト部となるマクロ
モノマーが微かとなることで結果として従来のホモポリ
マーあるいはランダム共重合体と殆んど同じ組成になっ
てしまうことによると考えられる。
一方一官能性マクロモノマーの含有量が70%を越える
と、他の共重合成分に相当する単量体と本発明に従うマ
クロモノマーとの共重合性が充分でなくなり、結着樹脂
として用いても充分な電子写真特性が得られなくなって
しまう。
次に本発明に供される結着樹脂〔A〕及び結着樹脂
〔B〕の詳細について説明する。
本発明の樹脂〔A〕は、式(I)で示される繰り返し
単位を少なくとも1種重合成分として含有する。
一般式(I)において、a1およびa2は、水素原子又は
炭素数1〜40のアルキル基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基等)を表わす。R1は、炭素数
1〜18の置換されていてもよいアルキル基(例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリ
デシル基、テトラデシル基、2−クロロエチル基、2−
ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシ
エチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル
基、3−ヒドロキシプロピル基等)、炭素数2〜18の置
換されていてもよいアルケニル基(例えばビニル基、ア
リル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル
基、ヘプテニル基、オクテニル基等)、炭素数7〜12の
置換されていてもよいアラルキル基(例えばベンジル
基、フェネチル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエ
チル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、メ
チルベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されていても
よいシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、置換されていて
もよいアリール基(例えばフェニル基、トリル基、キシ
ル基、メシチル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、
エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロ
フェニル基、ブロモフェニル基、クロロフェニル基、ジ
クロロフェニル基、ヨードフェニル基、メトキシカルボ
ニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、シア
ノフェニル基、ニトロフェニル基等)等が挙げられる。
更に、好ましくは一般式(I)の繰り返し単位に相当
する共重合体成分は、一般式(IIa)及び/又は(IIb)
で示される特定のアリール基を含有するメタクリレート
成分で表わされる(樹脂〔A′〕)。
一般式(IIa) 一般式(IIb) 式(IIa)において、好ましいA1及びA2として、それ
ぞれ、水素原子、塩素原子及び臭素原子のほかに、好ま
しい炭化水素基として、炭素数1〜4のアルキル基(例
えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、
炭素数7〜9のアラルキル基(例えばベンジル基、フェ
ネチル基、3−フェニルプロピル基、クロロベンジル
基、ジクロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベ
ンジル基、メトキシベンジル基、クロロ−メチル−ベン
ジル基等)及びアリール基(例えばフェニル基、トリル
基、キシリル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル
基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基等)、並び
に−COD1及び−COOD2(好ましいD1及びD2としては上記
好ましい炭化水素基として記載したものを挙げることが
できる)を挙げることができる。但し、A1、A2がともに
水素原子を表わすことはない。
式(IIa)において、B1は−COO−とベンゼン環を結合
する単結合又は CH2 n1(n1は1〜3の整数を表わす)、−CH2OCO
−、−CH2CH2OCO− CH2On2(n2は1または2の整数を表わす)、−CH2C
H2O−、 等の如き連結原子数1〜4個の連結基を表わす。
式(IIb)におけるB2はB1と同一の内容を表わす。
本発明の樹脂〔A′〕で用いられる式(IIa)又は(I
Ib)で示される繰り返し単位に相当する共重合成分の具
体例を以下に挙げる。しかし、本発明の範囲はこれらに
限定されるものではない。
また、以下の各例において、T1およびT2は各々Cl、Br
又はIを示し、R11はCaH2a+1又は を示し、aは1〜4の整数を示し、bは0又は1〜3の
整数を示し、cは1〜3の整数を示す。
また、本発明の樹脂〔A〕における重合体主鎖の片末
端に結合した酸性基において、好ましい酸性基として、
−PO3H2基、−SO3H基、−COOH基、 環状酸無水物含有基を挙げることができる。
において、Rは炭化水素基又はOR′基(R′は炭化水素
基を表わす)を表わし、R及びR′は好ましくは炭素数
1〜22の脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル
基、2−メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、
アリル基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル
基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、メチルベンジル基、クロロベンジル基、フルオロベ
ンジル基、メトキシベンジル基等)、又は置換されても
よいアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、エチ
ルフェニル基、プロピルフェニル基、クロロフェニル
基、フルオロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメ
チルフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニ
ル基、シアノフェニル基、アセトアミドフェニル基、ア
セチルフェニル基、ブトキシフェニル基等)等を表わ
す。
また、環状酸無水物含有基とは、少なくとも1つの環
状酸無水物を含有する基であり、含有される環状酸無水
物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳香族ジカル
ボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、コハク酸無
水物環、グルタコン酸無水物環、マレイン酸無水物環、
シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロ
ヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセ
ン−1,2−ジカルボン酸無水物環、2,3−ビシクロ〔2.2.
2〕オクタンジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これ
らの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原
子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のア
ルキル基等が置換されていてもよい。
又、芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、フタル
酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無水物環、ピリ
ジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン−ジカルボン
酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば、塩素
原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシ
ル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基
(アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキ
シ基等)等が置換されていてもよい。
これらの酸性基は、重合体主鎖の末端に直接結合して
もよいし、連結基を介して結合してもよい。連結基とし
ては、いずれの結合する基でもよいが、例えば具体的に
挙げるとすれば、 (b1、b2は同じでも異なってもよく、各々水素原子、ハ
ロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、−OH基、−シア
ノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、2−クロロエ
チル基、2−ヒドロキシエチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェ
ネチル基等)、アリール基(フェニル基等を表わす)、 (b3、b4はb1、b2と同一の内容を表わす)、 −O−、−S−、 {b5は、水素原子、又は炭化水素基を表わす(炭化水素
基として具体的には炭素数1〜12の炭化水素基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−メトキシ
エチル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、
ベンジル基、メチルベンジル基、クロロベンジル基、メ
トキシベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル
基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ブチルフ
ェニル基等)が挙げられる)} −CO−、−COO−、−OCO−、 −SO2−、−NHCONH−、−NHCOO−、−NHSO2−、−CONHC
OO−、−CONHCONH−、複素環(ヘテロ原子として、O、
S、N等を少なくとも1種含有する5〜6員環又はこれ
らの縮合環であればいずれでもよい:例えば、チオフェ
ン環、ピリジン環、フラン環、イミダゾール環、ピペリ
ジン環、モルホリン環等が挙げられる)又は (b6、b7は同じでも異なってもよく、炭化水素基又は−
Ob8(b8は炭化水素基)を表わす。これらの炭化水素基
としては、b5で挙げたものと同一のものを挙げることが
できる)等の結合基の単独又は、これらの組合せにより
構成された連結基等が挙げられる。
更に、結着樹脂〔A〕では、上記一般式(I)で示さ
れる共重合成分(一般式(IIa)又は(IIb)で示される
ものも含む)に加えて、更に、熱及び/又は光硬化性官
能基を含有する共重合成分を1〜20重量%含有すること
が、より大きな機械的強度を得る上で好ましい。
「熱及び/又は光硬化性官能基」とは、熱及び光のうち
の少なくともいずれかにより樹脂の硬化反応を行なう官
能基をいう。
光硬化性官能基として具体的には、乾英夫、永松元太
郎、「感光性高分子」(講談社、1977年刊)、角田隆
弘、「新感光性樹脂」(印刷学会出版部、1981年刊)、
G.E.Green and B.P,Strak,J.Macro.Sci.Reas.Macro Che
m.,C21(2),187〜273(1981〜82)、C.G.Rattey,「Ph
otopolymirization of Surface Cootings」(A.Wiley I
nterScience Pub.1982年刊)、等の総説に引例された光
硬化性樹脂として従来公知の感光性樹脂等に用いられる
官能基が用いられる。
また本発明における「熱硬化性官能基」は、前記の酸
性基以外の官能基であって、例えば、遠藤剛、「熱硬化
性高分子の精密化」(C.M.C(株)、1986年刊)、原崎
勇次「最新バインダー技術便覧」第II-1章(総合技術セ
ンター、1985年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・
設計と新用途開発」(中部経営開発センター出版部、19
85年刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノ
システム,1985年刊)等の総説に引例の官能基を用いる
ことができる。
例えば−OH基、−SH基、−NH2基、−NHR2基〔R2は炭
化水素基を表わし、例えば炭素数1〜10の置換されても
よいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基等)、炭素数4〜8の置換されてもよいシクロ
アルキル基(例えばシクロヘプチル基、シクロヘキシル
基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキ
シベンジル基等)、置換されてもよいアリール基(例え
ばフェニル基、トリル基、キシリル基、クロロフェニル
基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル
基等)等が挙げられる〕、 −CONHCH2OR3〔R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ヘキシル基、オクチル基等)を表わす〕、−N=
C=O基及び {b11,b12は、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば塩
素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜4のアルキル基
(例えばメチル基、エチル基等)を表わす}等を挙げる
ことができる。又該重合性二重結合基として、具体的に
は、CH2=CH−、CH2=CH-CH2−、 CH2=CH-NHCO−、CH2=CH-CH2−、NHCO−、 CH2=CH-SO2−、CH2=CH-CO−、CH2=CH-O−、 CH2=CH-S−等を挙げることができる。
本発明において、結着樹脂に該硬化性官能基の群から
選択される官能基を少なくとも1種含有させる方法とし
て、重合体に高分子反応で導入する方法、又は該官能基
を1種又はそれ以上含有する1種又はそれ以上の単量体
と前記した一般式(I)(一般式(IIa)又は(IIb)も
含む)の繰り返し単位に相当する単量体と共重合反応す
る方法等により得られる。
高分子反応は、従来公知の低分子合成反応の方法をそ
のまま用いることができ、例えば、日本化学会編、「新
実験化学講座14巻、有機化合物の合成と反応〔I〕〜
〔V〕」、(丸善株式会社刊)、岩倉義男、栗田恵輔著
「反応性高分子」等の総説引例の公知文献等に詳細に記
載されている。
一方、該「光及び/又は熱硬化反応を行なう官能基」
を含有する単量体の例としては、例えば一般式(I)の
繰り返し単位に相当する単量体と共重合し得る、該官能
基を含有するビニル系化合物を挙げることができる。具
体的には、後記するマクロモノマー(M)に関して述べ
る酸性基含有成分の置換基中に該官能基を含有するもの
等が挙げられる。
「熱/光硬化性官能基」含有の繰返し単位について例
示する。ここで、R11、a、d、eは前記と同様の内容
を示し、P1およびP3は各々H又はCH3を示し、R14は−CH
=CH2又は−CH2CH=CH2を示し、R15は−CH=CH2又は−CH=CHCH3を示し、R16は−CH=CH2、−CH2CH=CH
2 を示し、ZはS又はOを示し、T3はOH又はNH2を示し、
hは1〜11の整数を示し、iは1〜10の整数を示す。
更に、本発明の樹脂〔A〕は、前記した一般式(I)
(一般式(IIa)および(IIb)も含む)の共重合体成分
に相当する単量体とともに、これら以外の他の単量体を
共重合成分として含有してもよい。
例えば、一般式(I)で説明した以外の置換基を含有
するメタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、
クロトン酸エステル類に加え、α−オレフィン類、アル
カン酸ビニル又はアリルエステル類(例えばアルカン酸
として、酢酸プロピオン酸、酪酸、吉草酸等)、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルエーテル類、
イタコン酸エステル類(例えばジメチルエステル、ジエ
チルエステル等)、アクリルアミド類、メタクリルアミ
ド類、スチレン類(例えばスチレン、ビニルトルエン、
クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、N,N−ジメチル
アミノメチルスチレン、メトキシカルボニルスチレン、
メタンスルホニルオキシスチレン、ビニルナフタレン
等)、複素環ビニル類(例えばビニルピロリドン、ビニ
ルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルチオフェン、
ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾール、ビニルジオキ
サン、ビニルキノリン、ビニルテトラゾール、ビニルオ
キサジン等)等が挙げられる。
樹脂〔A〕において、重合体主鎖の片末端に該酸性基
を結合するには、従来公知のアニオン重合あるいはカチ
オン重合によって得られるリビングポリマーの末端に種
々の試薬を反応させる方法(イオン重合法による方
法)、分子中に特定の酸性基を含有した重合開始剤及び
/又は連鎖移動剤を用いてラジカル重合させる方法(ラ
ジカル重合体による方法)、あるいは以上の如きイオン
重合法もしくはラジカル重合法によって得られた末端に
反応性基(例えばアミノ基、ハロゲン原子、エポキシ
基、酸ハライド基等)含有の重合体を高分子反応によっ
て本発明の特定の酸性基に変換する方法等のによって容
易に行なうことができる。
具体的には、P.Dreyfuss,R.P.Quirk,Encycl.Polym.Sc
i.Eng,7、551(1987)、中條善樹、山下雄也「染料と薬
品」、30、232(1985)、上田明、永井進「科学と工
業」60、57(1986)等の総説及びそれに引用の文献等に
記載の方法によって製造することができる。
具体的には、用いる連鎖移動剤としては、例えば、該
酸性基あるいは、上記反応性基(即ち該酸性基に誘導し
うる基)を含有するメルカプト化合物(例えばチオグリ
コール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカ
プトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−
メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)
グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3-〔N(2−メ
ルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−
〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン
酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2
−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパ
ンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、2−
メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパ
ンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−
メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール2
−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾー
ル、2−メルカプト−3ビリジノール、4−(2−メル
カプトエチルオキシカルボニル)フタル酸無水物、2−
メルカプトエチルホスホノ酸、2−メルカプトエチルホ
スホノ酸モノメチルエステル等)、あるいは上記極性基
又は置換基を含有するヨード化アルキル化合物(例えば
ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノー
ル、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパン
スルホン酸等)が挙げられる。好ましくはメルカプト化
合物が挙げられる。
該酸性基あるいは、特定の反応性基を含有する重合開
始剤としては、具体的には、4,4′−アゾビス(4−シ
アノ吉草酸)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸ク
ロライド)、2,2′−アゾビス(2−シアノプロパノー
ル)、2,2′−アゾビス(2−シアノペンタノール)、
2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシ
エチル)−プロピオアミド〕、2,2′−アゾビス{2−
メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−
ヒドロキシエチル〕プロピオアミド}、2,2′−アゾビ
ス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダ
ゾリン−2−イル〕プロパン}、2,2′−アゾビス〔2
−(2イミダゾリン−2−イル)プロパン〕2,2′−ア
ゾビス〔2-(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H-1,3−ジアゾ
ピン−2−イル)プロパン〕等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤あるいは重合開始剤は、各々全単
量体100重量部に対して、0.5〜15重量部であり、好まし
くは2〜10重量部である。
次に樹脂〔B〕の好ましい態様について以下に説明す
る。
まず、本発明の樹脂〔B〕において、グラフト型共重
合樹脂の共重合成分として供せられる、一官能基マクロ
モノマー(M)について更に具体的に説明する。一官能
性マクロモノマー(M)は、一般式(III)で示される
重合性二重結合基を、一般式(IVa)及び(IVb)で示さ
れる重合体成分のうちの少なくとも1種と特定の極性基
(−COOH基、−PO3H2基、−SO3H基、−OH基、 −CHO基及び/又は酸無水物含有基)を含有する重合体
成分のうちの少なくとも1種を含有する重合体主鎖の一
方の末端にのみ結合して成る、重量平均分子量2×104
以下のものである。
一般式(III)、(IVa)及び(IVb)において、c1、c
2、X0、d1、d2、X1、Q1及びQ0に含まれる炭化水素基は
各々示された炭素数(未置換の炭化水素基としての)を
有するが、これら炭化水素基は置換基を有していてもよ
い。
一般式(III)において、X0は、−COO−、−OCO−、
−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−SO2−、−CO−、
−CONHCOO−、−CONHCONH−、 を表わす。ここで、R31は水素原子のほか、好ましい炭
化水素基としては、炭素数1〜18の置換されてもよいア
ルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシ
ル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、
2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノ
エチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メト
キシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜
18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチ
ル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニ
ル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されても
よいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−
ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル
基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基
等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例え
ば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、
2−シクロペンチルエチル基等)又は炭素数6〜12の置
換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチ
ル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブ
チルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニ
ル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブト
キシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェ
ニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シア
ノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニ
ルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキ
シカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プ
ロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル
基等)があげられる。
X0を表わす場合、ベンゼン環は置換基を有してもよい。置
換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原
子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基
等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、
プロピオキシ基、ブトキシ基等)等が挙げられる。
c1及びc2は、互いに同じでも異なっていてもよく、好
ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基(例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、
を表わす。
上記炭化水素を介した−COO-Z1基における炭化水素と
しては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙
げられる。
更に好ましくは、一般式(III)について、X0は−COO
−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CON
HCOO−、−CONHCONH−、−CONH−、−SO2NH−又は を表わし、c1,c2は互いいに同じでも異なってもよく、
各々水素原子又はメチル基を表わす。更により好ましく
は、c1、c2においていずれか一方が水素原子を表わす。
即ち、一般式(III)で表わされる重合性二重結合基
として、具体的には、 等が挙げられる。
一般式(IVa)又は(IVb)において、X1は式(III)中
のX0と同一の内容を表わす。d1、d2は互いに同じでも異
なってもよく、式(III)中のc1、c2と同一の内容を表
わす。
Q1は、炭素数1〜18の脂肪族基又は炭素数6〜12の芳
香族基を表わす。
具体的には、炭素数1〜18の置換されてもよいアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデ
シル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2
−ヒドロキシルエチル基、2−メトキシエチル基、2−
エトキシエチル基、2−シアノエチル基、3−クロロプ
ロピル基、2−(トリメトキシシリル)エチル基、2−
テトラヒドロフリル基、2−チエニルエチル基、2-N,N
−ジメチルアミノエチル基、2-N,N−ジエチルアミノエ
チル基等)、炭素数5〜8のシクロアルキル基(例えば
シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル
基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプ
ロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、
クロロベンジル基、ブロモベンジル基、ジクロロベンジ
ル基、メチルベンジル基、クロロメチルベンジル基、ジ
メチルベンジル基、トリメチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基等)等の脂肪族基、更に炭素数6〜12の置換さ
れてもよいアリール基(例えば、フェニル基、トリル
基、キシリル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル
基、ジクロロフェニル基、クロロ−メチル−フェニル
基、メトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル
基、ナフチル基、クロロナフチル基等)等の芳香族基が
挙げられる。
式(IVa)において、好ましくはX1は−COO−、−OCO
−、−CH2COO−、−CH2OCO−、−O−、−CO−、−CONH
COO−、−CONHCONH−、−CONH−、−SO2NH−又は を表わす。
d1、d2の好ましい例は、前記したc1、c2と同様の内容
を表わす。
一般式(IVb)において、Q0は−CN、−CONH2又は を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原
子、臭素原子等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、
エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基等)又は−CO
OZ2(Z2は好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素
数7〜12のアラルキル基又はアリール基を表わす)を表
わす。
マクロモノマー(M)は、式(IVa)及び/又は(IV
b)で示される重合体成分を2種以上含有していてもよ
い。又、Q1が脂肪族基の場合、炭素数6〜18の脂肪族基
は、マクロモノマー(M)中の全重合体成分中の20重量
%を越えない範囲で用いる事が好ましい。
更には、一般式(IVa)におけるX1が−COO−である場
合には、マクロモノマー(M)中の全重合体成分中、式
(IVa)で示される重合体成分が少なくとも30重量%以
上含有されることが好ましい。
さらに、マクロモノマー(M)において、式(IVa)
及び/又は(IVb)で示される共重合体成分とともに第
3の成分として共重合する、酸性基(−COOH基、−PO3H
2基、−SO3H基、OH基、 −CHO基、酸無水物含有基)を含有する成分としては、
前記のマクロモノマー(M)と共重合し得る上記酸性基
を含有するビニル系化合物であればいずれでも用いるこ
とができる、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハ
ンドブック〔基礎編〕培風館(1986刊)等に記載されて
いる。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換ア
クリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシメ
チル体、α(2−アミノ)エチル体、α−クロロ体、α
−ブロモ体、α−フルオロ体、α−トリブチルシリル
体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−
クロロ体、β−メシキシ体、α,β−ジクロロ体等)、
メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半ばエステル
類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニ
ルカルボキシ酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル
−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−
ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイ
ン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド
類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン
酸類、アルコール類のビニル基又はアリル基の半エステ
ル誘導体、及びこれらのカルボン酸又はスルホン酸のエ
ステル誘導体、アミド誘導体の置換基中に該酸性基を含
有する化合物等が挙げられる。
においてR0は前記Rと同一の内容を表わし、酸無水物含
有基及びOH基についても前記の通りである。
例えば以下に挙げられる単量体が例として示される
が、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
ここで、以下の各例において、Q1は−H、−CH3、−C
l、−Br、−CN、−CH2COOCH3又は−CH2COOHを示し、Q2
は−H又は−CH3を示し、jは2〜18の整数を示し、k
は2〜5の整数を示し、lは1〜4の整数を示し、mは
1〜12の整数を示す。
(A-15) CH2=CH-CH2OCO(CH2)mCOOH (A-16) CH2=CHCH2 COOH (A-49) CH2=CHCH2 OH (A-52) CH2=CHCH2 COO(CH2)OH マクロモノマー(M)中の全重合体成分中、該酸性基を
含有する共重合体成分として含有される量は、全重合体
成分100重量部当り好ましくは0.5〜50重量部、より好ま
しくは1〜40重量部である。
これら酸性基含有のランダム共重合体から構成される
一官能マクロモノマーが共重合成分として樹脂〔B〕中
に含有された時に、樹脂〔B〕中の全グラフト部に含有
される該酸性基の含有成分の総量は、樹脂〔B〕中の全
重合体成分100重量部当り0.1〜10重量部含有される事が
好ましい。更に好ましくは、−COOH基、−SO3H基及び−
PO3H2基から選ばれる酸性基を含有する場合には、樹脂
〔B〕中、グラフト部に存在する総量は0.1〜5重量%
である。
マクロモノマー(M)中の重合体成分として、これら
以外の他の重合体成分を含有してもよく、例えば重合し
うる他の繰り返し単位に相当する単量体として、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド類、
メタクリルアミド類、スチレン及びその誘導体(例えば
ビニルトルエン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、
ブロモスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、N,N−ジ
メチルアミノメチルスチレン等)、複素環ビニル類(例
えばビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロ
リドン、ビニルチオフェン、ビニルピラゾール、ビニル
ジオキサン、ビニルオキサジン等)等が挙げられる。
これら他の単量体が含有される場合には、マクロモノ
マー(M)の全重合体成分100重量部当り1〜20重量部
であることが好ましい。
本発明において供されるマクロモノマーは、上述の如
き、一般式(IVa)及び/又は(IVb)で示される繰返し
単位及び特定の酸性基を含有する繰り返し単位から少な
くとも成るランダムな重合体主鎖の一方の末端にのみ、
一般式(III)で示される重合性二重結合基が、直接結
合するか、あるいは、任意の連結基で結合された化学構
造を有するものである。式(III)成分と式(IVa)もし
くは(IVb)成分又は酸性基含有成分とを連結する連結
基としては、炭素−炭素結合(一重結合あるいは二重結
合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例え
ば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子
等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の組
合せで構成されるものである。
さらに具体的な連結基としては、 〔R32,R33は水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシ
ル基、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基等)等を示す〕、 CH=CH、 −O−、−S−、 −COO−、−SO2−、 −NHCOO−、−NHCONH−、 〔R34、R35は、水素原子、前記式(IVa)におけるQ1
同様の内容を表わす炭化水素基を示す〕等の原子団から
選ばれた単独の連結基もしくは任意の組合せで構成され
た2以上の連結基を表わす。
マクロモノマー(M)の重量平均分子量が2×104
超えると、式(V)で示されるモノマー(A)との共重
合性が低下するため好ましくない。他方、重量平均分子
量が小さすぎると、感光層の電子写真特性の向上効果が
小さくなるため、1×103以上であることが好ましい。
本発明に供されるマクロモノマー(M)は、従来公知
の合成法によって製造することができる。具体的には、
分子中に、カルボキシル基、カルボキシハライド基、ヒ
ドロキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、エポキシ基等
の反応性基を含有した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤
を用いて、ラジカル重合して得られる末端反応性基結合
のオリゴマーと種々の試薬を反応させて、マクロマーに
するラジカル重合法による方法等により合成される。
具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk、Encycl.Poly
m.Sci.Eng.、7、551(1987)、P.F.Rempp、E.Franta、A
du.Polym.Sci.58、1(1984)、川上雄資、化学工業、3
8、56(1987)、山下雄也、高分子、31、988(1982)、
小林四郎、高分子、30、625(1981)、伊藤浩一、高分
子加工、35、262(1986)、東貴四郎、津田隆、機能材
料、1987 No.10、5等の総説及びそれに引例の文献・特
許等に記載の方法に従って合成することができる。
但し、本発明のマクロモノマー(M)は、その繰り返
し単位の成立として酸性基を含有している事から、合成
上、例えば次の配慮をして合成される。
その1つの方法としては、例えば下記反応式(I)で
示される様に、該酸性基を保護した官能基の形で含有す
る単量体を用いて上記の方法でラジカル重合及び末端反
応性基を導入するものである。
本発明に供せられるマクロモノマー(M)中にランダ
ムに含有される該酸性基(−SO3H基、−PO3H2基、−COO
H基、 −OH基、、酸無水物含有基)の保護基反応及び脱保護反
応(例えば加水分解反応、加水素分解反応、酸化分解反
応等)については、従来公知の方法により行なうことが
できる。具体的には、J.F.W.McOmie、“Protect-ive Gv
oups in Organic Chemistry"、Plenum Press(1973
年)、T.W.Greene、“Protective Gvoups in Organic S
ynthesis"、John Wiley & Sous(1981年)、小田良平
「高分子ファインケミカル」講談社(1976年)、岩倉義
男、栗田恵輔「反応性高分子」講談社(1977年)、G.Be
rneretal、J.Radiation Curing、1986、No.10、P10、特
開昭62-212669号、特開昭62-286064号、特開昭62-21047
5号、特開昭62-195684号、特開昭62-258476号、特開昭6
3-260439号、特願昭62-220510号、特願昭62-226692号等
に記載の方法を用いて合成する事ができる。
他の1つの方法としては、例えば下記反応式(II)で
示される様に、前記の様にしてオリゴマーを合成した
後、オリゴマーの片末端に結合した「特定の反応性基」
とオリゴマー中に含有される該酸性基との反応性の差を
利用して、「特定の反応性」とのみ反応する重合二重結
合性基含有の試薬と反応させることで合成する方法であ
る。
反応式(II)に示した様に、各特定の官能基の組合せ
についての具体例を表−Aに示すと次の如くなる。しか
し、本発明はこれらに限定されるものでなく、重要なこ
とは通常の有機化学反応における反応の選択性を利用す
ることで、オリゴマー中の該酸性基を保護することなく
マクロモノマー化が達成されればよいものである。
用いることのできる連鎖移動剤としては、例えば該酸
性基あるいは、後に該酸性基に誘導しうる置換基含有の
メルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオリン
ゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、
3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N
−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メル
カプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチ
ル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メ
ルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メ
ルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタ
ンスルホン酸、3−メカルプトプロパンスルホン酸、4
−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノ
ール、3−メルカプト−1,2-プロパンジオール、1−メ
ルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブ
タノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチ
ルアミン、2−メカルプルイミダゾール、2−メルカプ
ト−3−ピリジノール等)又はこれらメルカプト化合物
の酸化体であるジスルフィド化合物、あるいは上記酸性
基又は置換基含有のヨード化アルキル化合物(例えばヨ
ード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノー
ル、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパン
スルホン酸等)等が挙げられる。好ましくはメルカプト
化合物が挙げられる。
用いることのできる特定の反応性基含有の重合開始剤
としては、例えば、2,2′−アゾビス(2−シアノプロ
パノール)、2,2′−アゾビス(2−シアノペンタノー
ル)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4′−
アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2′−ア
ゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾ
リン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2-
(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロ
パン〕、2,2′−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキ
シエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパ
ン}、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒド
ロキシエチル)−プロピオンアミド〕等又はこれらの誘
導体等が挙げられる。
これら連鎖移動剤あるいは重合開始剤は、各々全単量
体100重量部に対して0.1〜15重量%であり、好ましくは
0.5〜10重量%である。
本発明のマクロモノマー(M)は、具体的には、下記
の化合物を例として挙げることができる。但し、本発明
の範囲は、これらに限定されるものではない。また、以
下の各例において、Q2は−H又はCH3を示し、Q3は−
H、−CH3又は−CH2COOCH3を示し、R41は−CnH2n+1(n
は1〜18の整数を示す)、−CH2C6H5(Y1、Y2は各々−H、−Cl、−Br、−CH3、−COCH3又は
−COOCH3を示す)、 を示し、W1は−CN、−OCOCH3、−CONH2又は−C6H5を示
し、W2は−Cl、−Br、−CN又は−OCH3を示し、rは2〜
18の整数を示し、sは2〜12の整数を示し、tは2〜4
の整数を示す。
他方、前記したマクロモノマー(M)と共重合する単
量体は一般式(V)で示される。式(V)において、
e1、e2は互いに同じでも異なってもよく、式(III)のc
1、c2と同一の内容を表わす。X2は式(IVa)中のX1と、
Q2は式(IVa)中のQ1と各々同一の内容を表わす。
本発明の樹脂において、マクロモノマー(M)を繰り
返し単位とする共重合成分と、一般式(V)で示される
単量体を繰り返し単位とする共重合成分の組成比は、好
ましくは1〜70/99〜30(重量組成比)、より好ましく
は5〜60/95〜40重量組成比である。
更に、機械的強度を向上させる目的で、樹脂〔A〕で
前記したと同様の熱及び/又は光硬化性官能基含有成分
を共重合成分として含有することもできる。
又、重合主鎖中には、−PO3H2基、−SO3H基、−COOH
基、−OH基、及び−PO3R0H基の酸性基を含有する共重合
成分を含有しないものが好ましい。
また、本発明の樹脂〔B〕は、前記したマクロモノマ
ー(M)及び一般式(V)の単量体とともにこれら以外
の単量体を更なる共重合成分として含有してもよい。
例えば、α−オレフィン類、アルカン酸ビニル又はア
リルエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ビニルエーテル類、アクリルアミド類、メタクリル
アミド類、スチレン類、複素環ビニル類(例えば、ビニ
ルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、
ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾ
ール、ビニルジオキサン、ビニルキノリン、ビニルチア
ゾール、ビニルチオキサジン等)等が挙げられる。
ただし、マクロモノマー(M)及び式(V)の単量体
以外のこれら他の単量体は、共重合体中20重量%を越え
ることはない。
更に、樹脂〔B〕は、一般式(V)で示される繰り返
し単位を少なくとも1種及びマクロモノマーで示される
繰返し単位を少なくとも1種含有する重合体主鎖の片末
端にのみ、前記酸性基のうちの少なくとも1種を結合し
て成る共重合体(樹脂〔B′〕)であってもよい。また
共重合体〔B〕と〔B′〕を併用してもよい。ここで、
該酸性基は重合体主鎖の一方の末端に直接結合するか、
あるいは任意の連結基を介して結合した化学構造を有す
る。
結合基としては炭素−炭素結合(一重結合あるいは二
重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては
例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子
等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の組
合わせで構成されるものである。例えば、 −(CH=CH、 −O−、−S−、 −COO−、−SO2−、 −NHCOO−、−NHCONH−、 (R32〜R34は各々前記R32〜R34と同一の内容を示す)等
から選ばれる原子団の単独あるいは2以上の組合せで構
成される連結基である。
本発明に供される樹脂〔B〕において、重合体主鎖の
末端に該酸性基を結合して成る樹脂〔B′〕を合成する
には、少なくとも前記したマクロモノマー(M)と一般
式(V)で示される単量体との重合反応時に、該酸性基
又はこれに誘導できる特定の反応基を分子中に含有した
重合開始剤又は連鎖移動剤を併用することで達成され
る。
具体的には、マクロモノマーの合成において前記した
様に片末端反応基結合のオリゴマーの方法と同様にして
得ることができる。
本発明では、本発明に従う樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕
(〔B′〕も含む)の他に他の樹脂を併用させることも
できる。それらの樹脂としては、例えば、アルキド樹
脂、ポリブチラール樹脂、ポリオレフィン類、エチレン
−酢ビ共重合体、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン
樹脂、アクリレートブタジエン樹脂、アルカン酸ビニル
樹脂等が挙げられる。
上記他の樹脂は、本発明の樹脂を用いた全結着樹脂量
の30%(重量比)を越えると本発明の効果(特に静電特
性の向上)が失われる。
また、本発明の樹脂〔A〕及び/又は〔B〕が該熱硬
化性官能基を含有する場合には、感光層膜中での架橋反
応を促進させるために、必要に応じて反応促進剤を添加
してもよい。官能基間の化学結合を形成する反応様式の
場合には、例えば有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、架
橋剤等が挙げられる。
架橋剤としては、具体的には、山下晋三、金子東助編
「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)等に記載さ
れている化合物等を用いることができる。例えば、通常
用いられる有機シラン、ポリウレタン、ポリイソシアナ
ートの如き架橋剤、エポキシ樹脂、メラミン樹脂の如き
硬化剤等を用いることができる。
重合性反応様式の場合には、重合開始剤(過酸化物、
アゾビス系化合物等が挙げられ、好ましくは、アゾビス
系重合開始剤である)、多官能重合性基含有の単量体
(例えばビニルメタクリレート、アリルメタクリレー
ト、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレン
グリコールジアクリレート、ジビニルコハク酸エステ
ル、ジビニルアジピン酸エステル、ジアリルコハク酸エ
ステル、2−メチルビニルメタクリレート、ジビニルベ
ンゼン等)等が挙げられる。
また、本発明において、かかる熱硬化性官能基を含有
する結着樹脂を用いる場合には熱硬化処理が行われる。
この熱硬化処理は従来の感光体作製時の乾燥条件を厳し
くすることにより行うことができる。例えば、60℃〜12
0℃で5分〜120分間処理すればよい。上述の反応促進剤
を併用すると、より穏やかな条件で処理することが可能
となる。
本発明に用いる樹脂〔A〕(〔A′〕も含む)と樹脂
〔B〕(〔B′〕も含む)の使用量の割合は、使用する
無機光導電材料の種類、粒径、表面状態によって異なる
が一般に樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の用いる割合は5〜60
対95〜40(重量比)であり、好ましくは10〜40対90〜60
(重量比)である。
本発明に使用する無機光導電材料としては、酸化亜
鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、炭酸カド
ミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、セレン化
テルル、硫化鉛、等が挙げられる。
無機光導電材料に対して用いる結着樹脂の総量は、光
導電体100重量部に対して、結着樹脂を10〜100重量部な
る割合、好ましくは15〜50重量部なる割合で使用する。
本発明では、必要に応じて各種の色素を分光増感剤と
して併用することができる。例えば、宮本晴視、武井秀
彦、イメージング1973(No.8)第12頁、C.J.Young等,RC
A Review15,469(1954),清田航平等、電気通信学会論
文誌J 63-C(No.2),97(1980)、原崎勇次等、工業化
学雑誌66 78及び188(1963)、谷忠昭,日本写真学会誌
35,208(1972)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジ
フェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサン
テン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例え
ば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタロシア
ニン色素(金属含有してもよい)等が挙げられる。
更に具体的には、カーボニウム系色素、トリフェニル
メタン色素、キサンテン系色素、フタレイン系色素を中
心に用いたものとしては、特公昭51-452号、特開昭50-9
0334号、特開昭50-114227号、特開昭53-39130号、特開
昭53-82353号、米国特許第3,052,540号、米国特許第4,0
54,450号、特開昭57-16456号等に記載のものが挙げられ
る。
オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素としては、F.
M.Harmar「The Cyanine Dyes and Related Compounds」
等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的には、
米国特許第3,047,384号、米国特許第3,110,591号、米国
特許第3,121,008号、米国特許第3,125,447号、米国特許
第3,128,179号、米国特許第3,132,942号、米国特許第3,
622,317号、英国特許第1,226,892号、英国特許第1,309,
274号、英国特許第1,405,898号、特公昭48-7814号、特
公昭55-18892号等に記載の色素が挙げられる。
更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤外光域を分光
増感するポリメチン色素として、特開昭47-840号、特開
昭47-44180号、特公昭51-41061号、特開昭49-5034号、
特開昭49-45122号、特開昭57-46245号、特開昭56-35141
号、特開昭57-157254号、特開昭61-26044号、特開昭61-
27551号、米国特許第3,619,154号、米国特許第4,175,95
6号、「Research Disclosure」1982年、216、第117〜11
8頁等に記載のものが挙げられる。本発明の感光体は種
々の増感色素を併用させても、その性能が増感色素によ
り変動しにくい点において優れている。更には、必要に
応じて、化学増感剤等の従来知られている電子写真感光
層用各種添加剤を併用することもできる。例えば、前記
した総説:イメージング1973(No.8)第12頁等の総説引
例の電子受容性化合物(例えば、ハロゲン、ベンゾキノ
ン、クロラニル、酸無水物、有機カルボン酸等)、小門
宏等、「最近の光導電材料と感光体の開発・実用化」第
4章〜第6章:日本科学情報(株)出版部(1986年)の
総説引例のポリアリールアルカン化合物、ヒンダートフ
ェノール化合物、p−フェニレンジアミン化合物等が挙
げられる。
これら各種添加剤の添加量は、特に限定的ではない
が、通常光導電体100重量部に対して0.0001〜2.0重量部
である。
光導電層の厚さは1〜100μ、特には10〜50μが好適
である。
また、電荷発生層と電荷輸送層の積層型感光体の電荷
発生層として光導電層を使用する場合は電荷発生層の厚
さは0.01〜1μ、特には0.05〜0.5μが好適である。
感光体の保護および耐久性、暗減衰特性の改善等を主
目的として絶縁層を付設させる場合もある。この時は絶
縁層は比較的薄く設定され、感光体を特定の電子写真プ
ロセスに用いる場合に設けられる絶縁層は比較的厚く設
定される。
後者の場合、絶縁層の厚さは、5〜70μ、特には、10
〜50μに設定される。
積層型感光体の電荷輸送材料としてはポリビニルカル
バゾール、オキサゾール系色素、ピラゾリン系色素、ト
リフェニルメタン系色素などがある。電荷輸送層の厚さ
としては5〜40μ、特には10〜30μが好適である。
絶縁層あるいは電荷輸送層の形成に用いる樹脂として
は、代表的なものは、ポリスチレン樹脂、ポリエステル
樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル
樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体樹脂、ポリ
アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、エ
ポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂の熱可塑性
樹脂及び硬化性樹脂が適宜用いられる。
本発明による光導電層は、従来公知の支持体上に設け
ることができる。一般に云って電子写真感光層の支持体
は、導電性であることが好ましく、導電性支持体として
は、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プラスチック
シート等の基体に低抵抗性物質を含浸させるなどして導
電処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける面と反対
面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図る等の目
的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前記支持体
の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持体の表面
層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコート層が
設けられたもの、Al等を蒸着した基体導電化プラスチッ
クを紙にラミネートしたもの等が使用できる。
具体的に、導電性基体あるいは導電化材料の例とし
て、坂本幸男,電子写真,14,(No.1),p2〜11(197
5)、森賀弘之,「入門特殊紙の化学」高分子刊行会(1
975),M.F.Hoover,J.Macromol.Sci.Chem.A-4(6),第
1327〜1417頁(1970)等に記載されているもの等を用い
る。
(実施例) 以下本発明を実施例により例証する。
本発明の樹脂〔A〕の合成例1:〔A−1〕 ベンジルメタクリレート96g、チオサリチル酸4g及び
トルエン200gの混合溶液を窒素気流下に温度75℃に加温
した。
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(略称A.I.B.
N.)1.0gを加え4時間反応した。更にA.I.B.N.0.4gを加
え2時間;その後、更にA.I.B.N.0.2gを加え3時間攪拌
した。得られた共重合体の重量平均分子量(略称w)
は6.8×103であった。
本発明の樹脂〔A〕の合成例2〜13:[A−2]〜[A-1
3] 樹脂〔A〕の合成例1において、ベンジルメタクリレ
ート96gの代わりに下記表−1の単量体を用いて、合成
例1と同様にして各樹脂〔A〕を合成した。各樹脂の重
量平均分子量は6.0×103〜8×103であった。
本発明の樹脂[A]の合成例14〜24:[A-14]〜[A-2
4] 樹脂〔A〕の合成例1において、ベンジルメタクリレ
ート96g、チオサリチル酸4gの代わりに下記表−2のメ
タクリレートおよびメルカプト化合物を各々用い、又ト
ルエン200gの代わりにトルエン150g及びイソプロパノー
ル50gとした他は、合成例1と同様にして反応して、各
樹脂〔A〕を合成した。
本発明の樹脂[A]の合成例25:[A-25] 1−ナフチルメタクリレート100g、トルエン150g及び
イソプロパノール50gの混合溶液を、窒素気流下に温度8
0℃に加温した。
4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(略称A.C.
V.)5.0gを加え5時間攪拌した。更にA.C.V.1gを加え2
時間、その後更にA.C.V.1gを加え3時間攪拌した。得ら
れた共重合体の重量平均分子量は7.5×103であった。
本発明の樹脂[A]の合成例26:[A-26] メチルメタクリレート50g及び塩化メチレン150gの混
合溶液を窒素気流下に−20℃に冷却した。直前に調製し
た、10%1,1−ジフェニルヘキシルリチウムヘキサン溶
液を5g加え、5時間攪拌した。これに二酸化炭素を流量
10ml/ccで10分間攪拌下に流した後、冷却をやめて反応
混合物が室温になるまで、攪拌放置した。
次に、この反応混合物を、1N塩酸50ccをメタノール1
中に溶解した溶液中に再沈し、白色粉末を濾集した。
この粉末を中性になるまで水洗した後、減圧乾燥した。
収量18gで重量平均分子量6.5×103であった。
本発明の樹脂[A]の合成例27:[A-27] n−ブチルメタクリレート95g、チオグリコール酸4g
及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流下に温度75℃
に加温した。
A.C.V.1.0gを加え、6時間反応した後、A.I.B.N.0.4g
を加え3時間反応した。得られた共重合体のwは7.8
×103であった。
マクロモノマーの製造例1:MM-1 エチルメタクリレート90g、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート10g、チオグリコール酸5g及びトルエン200
gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら、温度75℃に
加温した。2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(略称
A.I.B.N.)1.0gを加え、8時間反応した。次にこの反応
溶液にグリシジルメタクリレート8g、N,N−ジメチルド
デシルアミン1.0g及びt−ブチルハイドロキノン0.5gを
加え、温度100℃にて12時間攪拌した。冷却後この反応
溶液をn−ヘキサン2l中に再沈し、白色粉末を82g得
た。重合体の重量平均分子量は3.8×103であった。
マクロモノマーの製造例2:MM-2 ブチルメタクリレート90g、メタアクリル酸10g、2−
メルカプトエタノール4g及びテトラヒドロフラン200gの
混合溶液を窒素気流下温度70℃に加温した。A.I.B.N.1.
2gを加え、8時間反応した。
次にこの反応溶液を水浴中で冷却して温度20℃とし、
トリエチルアミン10.2gを加え、メタクリル酸クロライ
ド14.5gを温度25℃以下で攪拌下滴下した。滴下後その
まま1時間更に攪拌した。その後、t−ブチルハイドロ
キノン0.5gを加え温度60℃に加温し、4時間攪拌した。
冷却後、水1中に攪拌しながら滴下し(約10分間)、
そのまま1時間攪拌して静置後、水をデカンテーション
で除去した。水での洗浄を更に2回行なった後、テトラ
ヒドロフラン100mlに溶解し、石油エーテル2l中に再沈
した。沈澱物をデカンテーションで補集し、減圧下に乾
燥した。得られた粘稠物の収量は65gで重量平均分子量
5.6×103であった。
マクロモノマーの製造例3:MM-3 ベンジルメタクリレート95g、2−ホスホノエチルメ
タクリレート5g、2−アミノエチルメルカプタン4g及び
テトラヒドロフラン200gの混合物を、窒素気流下攪拌下
に温度70℃に加温した。
A.I.B.N.1.5gを加え4時間反応させ、更にA.I.B.N.0.
5gを加えて4時間反応させた。次に、この反応溶液を温
度20℃に冷却し、アクリル酸無水物10gを加えて温度20
〜25℃で1時間攪拌した。次にt−ブチルハイドロキノ
ン1.0gを加え温度50〜60℃で4時間攪拌した。冷却後、
水1中に攪拌しながら、この反応混合物を約10分間で
滴下し、そのまま1時間攪拌した後静置して、水をデカ
ンテーションで除去した。水での洗浄を更に2回繰り返
した後、テトラヒドロフラン100mlに溶解し、石油エー
テル2l中に再沈した。沈澱物をデカンテーションで補集
し、減圧下に乾燥した。得られた粘稠物の収量は70gで
重量平均分子量は7.4×103であった。
マクロモノマーの製造例4:MM-4 2−クロロフェニルメタクリレート95g、下記構造
(I)の単量体5g、チオグリコール酸4g及びトルエン20
0gの混合溶液を、窒素気流下温度70℃に加温した。A.I.
B.N.1.5gを加え5時間反応し、更にA.I.B.N.0.5gを加え
4時間反応した。次にグリシジルメタクリレート12.4
g、N,N−ジメチルドデシルアミン1.0g及びt−ブチルハ
イドロキノン1.5gを加え温度110℃で8時間反応した。
冷却後この反応混合物をp−トルエンスルホン酸3g、90
vol%テトラヒドロフラン水溶液100mlに溶液に加え、温
度30〜35℃で1時間攪拌した。水/エタノール〔(1/
3)容積地〕の混合溶液2l中に、上記混合物を再沈し、
デカンテーションで沈澱物を補集した。この沈澱物をテ
トラヒドロフラン200mlに溶解しn−ヘキサン2l中に再
沈し、粉末58gを得た。重量平均分子量は7.6×103であ
った。
マクロモノマーの製造例5:MM-5 2,6−ジクロロフェニルメタクリレート95g、3−
(2′−ニトロベンジルオキシスルホニル)プロピルメ
タクリレート5g、トルエン150g及びイソプロピルアルコ
ール50gの混合溶液を窒素気流下に温度80℃に加温し
た。2,2′−アゾビス(2−シアノ吉草酸)(略称:A.C.
V.)5.0gを加え5時間反応し、更にA.C.V.1.0gを加えて
4時間反応した。冷却後、メタノール2l中にこの反応物
を再沈し、粉末を濾集し、減圧乾燥した。
上記粉末50gグリシジルメタクリレート14g、N,N−ジ
メチルドデシルアミン0.6g、t−ブチルハイドロキノン
1.0g及びトルエン100gの混合物を温度110℃で10時間攪
拌した。室温に冷却後80Wの高圧水銀灯にて、この混合
物を攪拌下に1時間光照射した。その後反応混合物をメ
タノール1中に再沈し、粉末を濾集・減圧乾燥した。
収量34gで重量平均分子量7.3×103であった。
本発明の樹脂〔B〕の製造例1:〔B−1〕 ベンジルメタクリレート80g、マクロモノマーの合成
例2の化合物(MM-2)20g及びトルエン100gの混合溶液
を、窒素気流下に温度75℃に加温した。1,1′−アゾビ
ス(シクロヘキサン−1−カルボシアニド)(略称A.B.
C.C.)0.8gを加え4時間反応し、更にA.I.B.N.0.5gを加
え3時間反応した。得られた共重合体のwは1.0×105
であった。
本発明の樹脂〔B〕の製造例2:〔B−2〕 2−クロロフェニルメタクリレート70g、マクロモノ
マーの合成例1の化合物(MM-1)30g、チオグリコール
酸0.7g及びトルエン150gの混合溶液を窒素気流下に温度
80℃に加温した。A.B.C.C.0.5gを加え5時間反応し、後
にA.B.C.C.0.3gを加え3時間、更にA.B.C.C.0.2gを加え
3時間反応した。
得られた共重合体のwは9.2×104であった。
本発明の樹脂〔B〕の製造例3:〔B−3〕 エチルメタクリレート60g、マクロモノマーの合成例
4の化合物:MM-4 25g、メチルアクリレート15g及びトル
エン150gの混合溶液を窒素気流下温度75℃に加温した。
A.C.V.0.5gを加え5時間反応し更にA.C.V.0.3gを加え4
時間反応した。得られた共重合体のwは1.1×105であ
った。
本発明の樹脂[B]の製造例4〜11:[B−4]〜[B-1
1] 樹脂〔B−1〕の製造例と同様にして、下記表−3に
相当するメタクリレートとマクロモノマーを用いて、各
樹脂〔B〕を合成した。
本発明の樹脂[B]の製造例12〜19:[B-12]〜[B-1
9] 樹脂〔B−2〕の製造例と同様にして、メタクリレー
ト、マクロモノマーメルカプト化合物を各々代えて下記
表−4の樹脂〔B〕を各々合成した。
樹脂〔B〕 各樹脂のwは9×104〜1.1×105であった。
本発明の樹脂[B]の製造例20〜27:[B-20]〜[B-2
7] 樹脂〔B〕の製造例3と同様にして、メタクリレー
ト、マクロモノマー及びアゾビス系化合物を各々代え
て、下記表−5の樹脂〔B〕を各々合成した。
各樹脂〔B〕のwは、9.5×104〜1.5〜105であっ
た。
実施例1及び比較例A〜B 樹脂〔A−1〕;6g(固形分量として)、樹脂〔B−
1〕;34g(固形分量として)、下記構造のシアニン色素
〔I〕0.018g、酸化亜鉛200g無水フタル酸0.l0g及びト
ルエン300gの混合物をボールミル中で2時間分散して、
感光層形成物を調製し、これを導電処理した紙に、乾燥
付着量が20g/m2となる様に、ワイヤーバーで塗布し、11
0℃で30秒間乾燥し、ついで暗所で20℃65%RHの条件下
で24時間放置することにより、電子写真感光材料を作製
した。
実施例2 実施例1において、樹脂〔A−1〕;6gの代わりに樹
脂〔A−4〕;6gを用いる以外は、実施例1と同様の操
作で、写真感光材料を作製した。
比較例A. 実施例1において結着樹脂として用いた樹脂〔A−
1〕及び〔B−1〕の代わりに下記構造の樹脂〔P−
1〕のみを40g用いる以外は、実施例1と同様の操作で
電子写真感光材料を作製した。
比較例B: 実施例1において〔B−1〕;34gの代わりにポリ(エ
チルメタクリレート)(w2.4×105;樹脂〔P−
3〕)34gを用いる他は、実施例1と同様に操作して、
電子写真感光材料を作製した。
これらの感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、静電特
性及び撮像性を調べた。更に、これらの感光材料をオフ
セットマスター用原版として用いた時の光導電性の不感
脂化性(不感脂化処理後の光導電層の水との接触角で表
わす)及び印刷性(地汚れ、耐印刷等)を調べた。
以上の結果をまとめて、表−6に示す。
表−6に示した評価項目の実施の態様は以下の通りで
ある。
注1)光導電層の平滑性: 得られた感光材料は、ベック平滑度試験機(熊谷理工
(株)製)を用い、空気容量1ccの条件にて、その平滑
度(sec/cc)を測定した。
注2)光導電層の機械的強度: 得られた感光材料面をヘイドン−14型表面性試験材
(新東化学(株)製)を用いて荷重55g/cm2のものでエ
メリー紙(#1000)で1000回繰り返し擦り摩耗粉を取り
除き感光層の重量減少から残膜率(%)を求め機械的強
度とした。
注3)静電特性: 温度20℃、65%RHの暗室中で、各感光材料にペーパー
アナライザー(川口電機(株)製ペーパーアナライザー
SP-428型)を用いて−6kVで20秒間コロナ放電をさせた
後、10秒間放置し、この時の表面電位V10を測定した。
次いでそのまま暗中で180秒間静置した後の電位V190
測定し、180秒間暗減衰させた後の電位の保持性即ち、
暗減衰保持率〔DRR(%)をV190/V10)×100(%)で
求めた。
又コロナ放電により光導電層表面を−500Vに帯電させ
た後、波長785nmの単色光で照射し、表面電位(V10)が
1/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E
1/10(erg/cm2)を算出する。
更に、E1/10の測定と同様にコロナ放電により−500V
に帯電させた後、波長785nmの単色光で照射し、表面電
位(V10)が1/100に減衰するまでの時間を求め、これか
ら露光量E1/100(erg/cm2)を算出する。
注4)撮像性: 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した。次に
−5kVで帯電し、光源として2.8mW出力のガリウム−アル
ミニウム−ヒ素半導体レーザー(発振波長780nm)を用
いて、感光材料表面上で50erg/cm2の照射量下、ピッチ2
5μm及びスキャニング速度300m/secのスピード露光後
液体現像剤として、ELP-T(富士写真フィルム(株)
製)を用いて現像し、定着することで得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。
撮像時の環境条件は20℃65%RHと30℃80%RHで実施し
た。複写原稿として、ワープロの文字及びワラ版紙の文
字を切り抜いて貼り込んだものを用いた。
注5)水との接触角: 各感光材料を不感脂化処理液ELP-EX(富士写真フィル
ム(株)製)を用いて、エッチングプロセッサーに1回
通して光導電層面を不感脂化処理した後、これに蒸留水
2μlの水滴を乗せ、形成された水との接触角をゴニオ
メーターで測定する。
注6)耐刷性 各感光材料を、上記注4)と同条件で、製版して、ト
ナー画像を形成し、上記注5)と同条件で不感脂化処理
し、これをオフセットマスターとして、オフセット印刷
機(桜井製作所(株)製オリバー52型)にかけ、印刷物
の非画像部の地汚れ及び画像部の画質に問題が生じない
で印刷できる枚数を示す(印刷枚数が多い程、耐刷性が
良好なことを表わす)。
表−6に示す様に、本発明の各感光材料は、光導電層
の平滑性膜の強度及び静電特性が良好で、実際の複写画
像も地カブリがなく複写画質も鮮明であった。このこと
は光導電体と結着樹脂が充分に吸着し、且つ、粒子表面
を被覆していることによるものと推定される。同様の理
由で、オフセットマスター原版として用いた場合でも不
感脂化処理液による不感脂化処理が充分に進行し、非画
像部の水との接触角が10度以下と小さく、充分に親水化
されていることが判る。実際に印刷して印刷物の地汚れ
を観察しても地汚れは全く認められなかった。本発明の
感光材料で実施例2に示す様な、特定の置換基を有する
メタクリレート成分含有の樹脂〔A〕を共存すると、更
に電子写真特性(特に、感度:E1/10、E1/100)が著し
く良化した。
又比較例Aは、D.R.R.が低く、且つE1/10も大きくな
ってしまい、更に高温・高湿の条件下では、満足な光導
電性を得られなくなってしまった。比較例Bは、常温・
常湿の条件の静電特性でV10、D.R.R.はほぼ満足する値
が得られた。しかし、E1/10、E1/100を見ると、本発明
の感光材料に比べ倍以上の大きな値となってしまった。
更に高温・高湿の条件では、D.R.R.E1/10の低下傾向が
見られた。又、E1/100は更に低下が大きくなった。E
1/100値は、実際の撮像性において、露光後、非画像部
(既に露光された部位)にどれだけの電位が残っている
かを示すものであり、この値が小さい程現像後の非画像
部の地汚れが生じなくなる事を示す。
具体的には−10V以下の残留電位(VR)にすることが
必要となり、即ち実際にはVRを−10V以下とするため
に、どれだけ露光量が必要となるかということで、半導
体レーザー光によるスキャニング露光方式では、小さい
露光量VRを−10V以下にすることは、複写機の光学系の
設計上(装置のコスト、光学系光路の精度等)非常に重
要なことである。
この事より、露光照射量を少し少なくした装置で実際
に撮像すると、比較例Bの感光材料は、非画像部に地カ
ブリが発生してしまった。
又、オフセットマスター原版として用いた場合でも、
本発明の感光材料が1万枚以上印刷できる印刷条件で、
7000枚止まりであった。
以上のことより、本発明の樹脂を用いた場合にのみ静
電特性及び印刷適性を満足する電子写真感光体が得られ
る。
実施例3〜19 実施例1において、樹脂〔A−4〕及び樹脂〔B−
1〕に代えて、下記表−7の各樹脂〔A〕各樹脂〔B〕
に代えた他は、実施例1と同様に操作して、各電子写真
感光材料を作製した。
又、オフセットマスター原版として用いて、実施例1
と同様にして印刷した所、いずれも1万枚以上印刷でき
た。
以上から、本発明の各感光材料は光導電層の平滑性、
膜強度、静電特性及び印刷性の全ての点において良好な
ものであった。
実施例20〜27 実施例1において結着樹脂として下記表−8の樹脂
〔A〕6.5g及び樹脂〔B〕33.5gに代え、又シアニン色
素〔I〕0.02gの代わりに下記構造の色素〔II〕0.018g
に代えた他は、実施例1と同様の条件で電子写真感光材
料を作製した。
本発明の感光材料は、いずれも帯電性、暗電荷保持
率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高湿の(30
℃−80%RH)の過酷な条件においても、地カブリの発生
のない、鮮明な画像を与えた。
更に、これをオフセットマスターの原版として用いて
印刷した所、地カブリのない鮮明な画質の印刷物を1万
枚以上印刷できた。
実施例28及び比較例C〜D 樹脂〔A−1〕6.5g(固形分量として)、樹脂〔B−
9〕33.5g(固形分量として)酸化亜鉛200g、ウラニン
0.03g、ローズベンガル0.075g、ブロムフェノールブル
ー0.045g、無水フタノール酸0.1g及びトルエン240gの混
合物をボールミル中で2時間分散した。これを導電処理
した紙に、乾燥付着量20g/m2となる様にワイヤーバーで
塗布し110℃で30秒間加熱した。次いで20℃、65%RHの
条件下で24時間放置することにより電子写真感光材料を
作製した。
比較例C 実施例28において、樹脂〔A−1〕及び樹脂〔B−
9〕の代わりに前記比較例Aで用いた樹脂〔P−1〕40
gを用いた他は、実施例28と同様にして電子写真感光材
料を作製した。
比較例D 実施例28において、樹脂〔A−1〕及び樹脂〔B−
9〕の代わりに下記樹脂〔P−2〕6.5g及び前記比較例
Bで用いた樹脂〔P−3〕33.5gを用いた他は、実施例2
6と同様に操作して、電子写真感光材料を作製した。
これらの感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、膜強
度、静電特性、撮像性及び環境条件を30℃80%RHとした
時の撮像性を調べた。更に、これらの感光材料をオフセ
ットマスター用原版として用いた時の光導電性の不感脂
化性(不感脂化処理後の光導電層の水との接触角で表わ
す)及び印刷性(地汚れ、耐刷性等)を調べた。
以上の結果をまとめて、表−9に示す。
但し、静電特性及び撮像性は以下の通りにして行っ
た。
注7)静電特性: 温度20℃、65%RHの暗室中で、各感光材料にペーパー
アナライザー(川口電機(株)製ペーパーアナライザー
SP-428型)を用いて−6kVで20秒間コロナ放電をさせた
後、10秒間放置し、この時の表面電位V10を測定した。
次いでそのまま暗中で60秒間静置した後の電位V70を測
定し、60秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔DRR(%)〕(V70/V10)×100(%)で求
めた。又コロナ放電により光導電層表面を−500Vに帯電
させた後、該光導電層表面を照度2.0ルックスの可視光
で照射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するまでの時
間を求め、これから露光量E1/10(ルックス・秒)を算
出する。E1/100(lux.sec)は、E1/10と同様に、コロナ
放帯で−500Vに帯電後、光照射し、表面電位(V10が1/1
00に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/100
(lux.sec))を算出する。
注8)撮像性: 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、全
自動製版機ELP-404V(富士写真フィルム(株)製)でEL
P-Tをトナーとして用いて製版して得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。撮像時の環境
条件は、20℃65%RH(I)と30℃80%RH(II)で実施し
た。複写原稿として、ワープロの文字、ワラ版紙の文字
を切り抜いて貼り込んだものを使用した。
本発明の感光材料は、光導電層の平滑性・膜強度とも
充分であり静電特性も、環境条件の変動に対しても、値
の変化が殆どなく、実際の複写画像も、安定して良好
な、地カブリのない鮮明な画像が得られた。従来公知の
ランダム共重合体を用いた比較例Cは特に高温高湿条件
下での静電特性の劣化が大きく、実際の複写画像も、実
用に耐えるレベルのものが得られなくなった。一方、比
較例Dは、本発明の感光材料に比べ静電特性が低下し、
特にE1/100の環境条件での変動に差が生じた。実際の複
写画像でも、高温高湿条件下で細線のカスレや地汚れの
発生が見られる様になった。
一方、各感光材料をオフセット印刷用原版として用い
て印刷した所、比較例Cは、刷り出しから地汚れが発生
してしまった。又、比較例Bは、7000枚まで印刷できた
が、本発明の材料は、1万枚以上印刷しても、印刷物の
画像は、地汚れのない鮮明な画像のものであった。
以上から、本発明の感光材料のみが光導電層の平滑
性、膜強度、静電特性及び印刷性の全ての点において良
好なものであった。
実施例29〜34 実施例28において、樹脂〔A−1〕及び樹脂〔B−
9〕の代わりに下記表−10の各樹脂〔A〕;6.0g(固形
分量として)及び樹脂〔B〕;34.0g(固形分量として)
を各々用いた他は、実施例26と同様にして、各電子写真
感光材料を作製した。
本発明の各感光材料は帯電性、暗電荷保持率、光感度
に優れ、実際の複写画像も高温高湿(30℃、80%RH)の
過酷な条件においても地カブリの発生や細線飛びの発生
等のない鮮明な画像を与えた。更に、オフセットマスタ
ー原版として印刷した所、非画像部に地カブリのない鮮
明な画像の印刷物を1万枚以上印刷することができた。
(発明の効果) 本発明によれば、過酷な条件下においても優れた静電
特性と機械的強度を有する電子写真感光体を得ることが
できる。また、本発明の感光体は、半導体レーザー光を
用いたスキャニング露光方式に有効である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機光導電体及び結着樹脂を少なくとも含
    有する光導電層を有する電子写真感光体において、該結
    着樹脂が、下記で表わされる結着樹脂〔A〕の少なくと
    も1種及び結着樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有する
    事を特徴とする電子写真感光体。 結着樹脂〔A〕: 1×103〜2×104の重量平均分子量を有し、下記一般式
    (I)で示される重合成分を30重量%以上含有し、且つ
    重合体主鎖の片末端に−PO3H2基、−SO3H基、−COOH
    基、 {Rは炭化水素基又は−OR′基(R′は炭化水素基を示
    す)を示す}及び環状酸無水物含有基から選択される少
    なくとも1種の酸性基を結合して成る樹脂。 一般式(I) 式(I)中、a1、a2は各々、水素原子又は炭化水素基を
    表わす。R1は炭化水素基を表わす。 結着樹脂〔B〕: 下記一般式(IVa)及び(IVb)で示される重合体成分の
    うちの少なくとも1種と−COOH基、−PO3H2基、−SO3H
    基、−OH基、 (R0は前記Rと同一の内容を表わす)基及び酸無水物含
    有基から選ばれる少なくとも1つの酸性基を含有する成
    分を少なくとも1種含有する重合体成分の少なくとも1
    種とを含有する重合体主鎖の一方の末端にのみ下記一般
    式(III)で示される重合性二重結合基を結合して成る
    重量平均分子量2×104以下の一官能性マクロモノマー
    (M)と下記一般式(V)で示されるモノマーとから少
    なくとも成る重量平均分子量5×104〜1×106の共重合
    体。 一般式(III) 式(III)中、X0は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−C
    H2COO−、−O−、−SO2−、−CO−、−CONHCOO−、−C
    ONHCONH−、 を表わす(ここでR31は水素原子又は炭化水素基を表わ
    す)。 c1、c2は、互いに同じでも異なってもよく、各々水素原
    子又は炭化水素基を表わす。 一般式(IVa) 一般式(IVb) 式(IVa)又は(IVb)中、X1は式(III)中のX0と同一
    の内容を表わす。Q1は、炭素数1〜18の脂肪族基又は炭
    素数6〜12の芳香族基を表わす。d1、d2は、互いに同じ
    でも、異なってもよく、式(III)中のc1、c2と同一の
    内容を表わす。 Q0は−CN、−CONH2又は を表わし、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基
    又は−COOZ2(Z2はアルキル基、アラルキル基又はアリ
    ール基を示す)を表わす。 一般式(V) 式(V)中、X2は、式(IVa)中のX1と同一の内容を表
    わし、Q2は(IVa)中のQ1と同一の内容を表わす。e1、e
    2は互いに同じでも異なってもよく、式(III)中のc1
    c2と同一のと内容を表わす。
  2. 【請求項2】該樹脂〔A〕において、一般式(I)で示
    される共重合成分として、下記一般式(IIa)及び(II
    b)で示される、アリール基含有のメタクリレート成分
    のうちの少なくとも1つを含有することを特徴とする請
    求項(1)記載の電子写真感光体。 一般式(IIa) 一般式(IIb) 式〔IIa〕および〔IIb〕中、A1及びA2は互いに独立に各
    々水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素原子、臭
    素原子、−COD1及び−COOD2(D1及びD2は各々炭素数1
    〜10の炭化水素基を示す)を表わす。但し、A1とA2が共
    に水素原子を表わすことはない。 B1及びB2は各々−COO−とベンゼン環を結合する、単結
    合又は連結原子数1〜4個の連結基を表わす。
  3. 【請求項3】該樹脂〔B〕が、−PO3H2基、−SO3H基、
    −COOH基、−OH基、 (R0はRと同一の内容を表わす)および環状酸無水物含
    有基から選択される少なくとも1種の酸性基を該共重合
    体の重合体主鎖部の末端に結合して成る樹脂である請求
    項(1)又は(2)記載の電子写真感光体。
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