JP2632230B2 - 慣性ダンパ - Google Patents

慣性ダンパ

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JP2632230B2
JP2632230B2 JP2106294A JP10629490A JP2632230B2 JP 2632230 B2 JP2632230 B2 JP 2632230B2 JP 2106294 A JP2106294 A JP 2106294A JP 10629490 A JP10629490 A JP 10629490A JP 2632230 B2 JP2632230 B2 JP 2632230B2
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【発明の詳細な説明】 《発明の目的》 〈産業上の利用分野〉 本発明はOA機器や各種の自動生産機器等の駆動源とし
て多用されるようになったステッピングモータに組み付
けられ、このものにおけるステップ応答時の振動防止や
回転シャフトの過渡的振動防止のための慣性ダンパに関
するものであって、特にその耐久性の向上を図った新規
な構造に係るものである。
〈発明の背景〉 正確な駆動や迅速な停止、発進等に優れた機能を発揮
するステッピングモータはその原理上、回転開始の立ち
上がり時における過渡応答が振動的になり易く、更に駆
動電源の一定周波数域における共振等の不安定現象から
回転が円滑になし得なくなるなどの障害があるため、こ
れらステッピングモータによる駆動を行う場合にはこれ
に対処する機構を不可欠とする。このようなことからす
でに本出願人は吸振性の優れたゲル状物質の性状に着眼
し、これらを利用した慣性ダンパを開発し前記技術課題
の解決を見ている。ところでこれらは通常シャフト取付
体と慣性体とゲル状物質とを有し、前記シャフト取付体
と慣性体とがゲル状物質を介して相互に吸振的に結合し
ている構成をとり、シャフト取付体をモータの回転軸に
取り付けるようにして用いるが、種々の運転状況下で充
分な耐久性を発揮することが求められている。ところで
目下試行されているタイプは第11図に示すようにシャフ
ト取付体10′と慣性体20′とゲル状物質30′とを具え、
このシャフト取付体10′と慣性体20′とがこのゲル状物
質30′を介して相互に吸振的に結合しているものであっ
て、慣性体20′とシャフト取付体10′とは円環状を成す
慣性体20′の内周面側とシャフト取付体10′におけるボ
ス12′との間にゲル状物質30′が介在して両者を吸振的
に結合している。このようなタイプにあってはゲル状物
質30′が形成される面積は比較的小さいから、微妙な振
動を吸振したりする場合には極めて高い性能を発揮する
ものであるが、運転状況によっては更に吸収、収束を要
求される振動エネルギーがより過大な場合もあり、この
ような場合には吸振性能はともかくとして、耐久性の点
で必ずしも満足し得ない場合も生じていた。
〈開発を試みた技術的事項〉 本発明はこのような背景に鑑みなされたものであっ
て、過大な負荷を受けるような運転状況下にあっても、
充分な耐久性を発揮する慣性ダンパの開発を試みたもの
である。
《発明の構成》 〈目的達成の手段〉 即ち本出願に係る第一の発明たる慣性タンパは、慣性
体と内スリーブとの間にゲル状物質を介在させて成るユ
ニットと、このユニットを内側に組み込んだ保持体とボ
スとを一体的に係合して成るシャフト取付体と、このシ
ャフト取付体における開放端面側を閉塞する蓋板とを具
えて成り、更に前記保持体における外覆板と、内スリー
ブと、蓋板との相互は超音波溶着されており、尚且つ前
記ゲル状物質は針入度が100〜160の範囲内のシリコーン
ゲルにより構成されていることを特徴として成るもので
ある。
また本出願に係る第二の発明たる慣性ダンパは、前記
要件に加え、前記慣性体が前記シャフト取付体及び前記
蓋板に臨む部分には、摩擦係数の少ないフッ素樹脂系の
樹脂薄板を設けたことを特徴として成るものである。
これら発明により前記目的を達成しようとするもので
ある。
〈発明の作用〉 本発明は慣性ダンパにおけるシャフト取付体に対して
ユニットを組み込み、且つ慣性体の外周面とユニットに
おける内スリーブの内周面との間にゲル状物質を介在さ
せるようにしたから、ゲル状物質の作用面積が大きくな
り、その耐久性が著しく向上した。
またシャフト取付体に対してユニットを組み込む構成
としたから、シャフト取付体における保持体側に定寸規
格としておき、これに組み込むユニットにおける慣性体
を適宜選択することにより種々のダンピング特性を有す
る仕様の異なる慣性ダンパをより合理的に製造し得るほ
か、ユニットをシャフト取付体とは別個に製造すること
が可能となり、製造工程がより簡単なものとなる。
更に保持体の外周部及び蓋板の外周端と内周端近くを
超音波溶着により集中的に加熱することで、保持体にお
ける外覆板と、内スリーブと、蓋板との相互の溶着が可
能となる。そして受入部は密封状態となって、受入部の
埃等の浸入は防止され、ゲル状物質が疲労により分解し
てグリース状になったとしても、このものが外に漏れる
こともない。
〈実施例〉 以下本発明の概要を参考図に基づいて説明し、その後
本発明の構成について具体的に説明する。符号1は本発
明たる慣性ダンパであって、このものは第7図に示すよ
うに一例としてステッピングモータ2に対して取り付け
られる。具体的にはステッピングモータ2の一方に延長
される駆動軸3と実質的に同軸であって、例えばその反
対方向にこれを更に延長するようにして形成した部分を
慣性ダンパ取付軸4とし、この部位に取り付けるように
する。勿論ステッピングモータ2の外筐内に慣性ダンパ
1を内蔵することもできる。因みにこのような起動時に
おける慣性等が問題となる駆動源、例えば他のタイプの
電動機、内燃機関、油圧モータ、エアモータ等において
も必要であれば適用することができる。以下この慣性ダ
ンパ1について説明すると、このものは大別するとシャ
フト取付体10と慣性体20とゲル状物質30とを有して成
る。まず第7、8図に示す参考例に基づき、その基本的
構造について述べると、シャフト取付体10はアルミ合金
等の金属、あるいはエンジニアリングプラスチック等の
合成樹脂、セラミック等の材料から成り、一例として慣
性体20とゲル状物質30とを直接収納状態に取り付ける保
持体11とボス12との二部品が結合されて構成される。こ
の保持体11とボス12とを一体化するには両者をプレス圧
入してもよいし、圧入した後、溶接により固着するか、
あるいは他のボルト等を螺合させる部分を形成しておい
てそれらによる固着手段をとるなど適宜の手法がとり得
る。まず、保持体11はボス12が組み込まれる部分を円孔
状に開放させた環状容器様のものであって、その周縁に
周覆部11Aに形成することにより、実質的にその内側に
受入部13を形成する。そしてボス12はその中央にステッ
ピングモータ2の慣性ダンパ取付軸4を受け入れるシャ
フト受入孔14を穿孔させるとともに、これに直角に向か
うようにメネジを刻設したロックボルト孔15を設け、更
にこのものにロックボルト16を螺合させてステッピング
モータ2に取り付けられるように構成する。尚シャフト
取付体10における保持体11の開放側の端部には蓋板17が
設けられる。このような蓋板17を設けるときには、慣性
ダンパ1の内部構成部品を密閉することができ、これに
よって内部への粉塵の浸入を防ぎ、また内部のゲル状物
質30から分離するガス成分、オイル成分の外部への飛散
がなく、これによる電気接点への悪影響を避けることが
できる。第1、2、3、4、5図及び第6図に示す本発
明の慣性ダンパ1は、このような取付体10に対しその受
入部13にユニットUとして構成した慣性体20が設けられ
る。因みに慣性タンパ1の概要を参考的に示した第7、
8、9図及び第10図においては、両者の間、即ちシャフ
ト取付体10の受入部13と慣性体20との間がゲル状物質30
により結合されている。勿論、慣性体20は実施例、参考
例では受入部13が円環状の凹陥したスペースであること
に因み、同様に円環状の形状をとるが、ボス12が受入部
13側に突出していないタイプのものにあっては慣性体20
は円板状のものでもよい。
そして本発明の特徴構成として前記ゲル状物質30は受
入部13を形成する周覆部11Aの内周面と、慣性体20の外
周面との間に介在して、慣性体20とシャフト取付体10と
を吸振的に結合させる構成をとる。具体的には前記参考
例とは異なり、周覆部11Aの内側にゲル状物質30を介し
て慣性体20を組み込むにあたって、あたかも周覆部11A
を二層構造とする構成とする。即ち第1図に示すように
外覆板11Bと、これと別体のユニットUの一部をなし外
覆板11Bの内側に密に内嵌めされる内スリーブ18とによ
って構成されるようにしたものである。このようにする
ときには、製造する場合において内スリーブ18と慣性体
20とを予め組み合わせ、その間にゲル状物質30を充填す
るようにして別途組み立てておき、そのユニットUを保
持体11における外覆板11Bの内側に挿入するとともに、
例えば奥部の位置決め段部11Cに当接させて内嵌め状態
に構成する。また本発明では、この保持体11における外
覆板11Bと、内スリーブ18と、蓋板17とを相互に溶着す
ることを特徴としている。尚、このようにユニットUと
して別体部品を用意した場合には保持体11側を定寸規格
としておき、慣性体20を適宜選択することにより種々の
ダンピング特性を有する仕様の異なる慣性ダンパ1をよ
り合理的な製造し得る。また、ユニットUとして別途製
造するにあたっては、例えば慣性体20を浮き上がり状態
に支持せずに、内スリーブ18と共に定盤等の上に横置き
状態にして未硬化のゲル状物質30を注入すればよいか
ら、製造工程がより簡略なものとなる。更に第1図にお
いては図示を省略しているが、第2図に示すように蓋板
17を設ける。即ちこの蓋板17内部に格納される部材であ
る慣性体20と緩衝機能を担うゲル状物質30とをシールド
するための部材である。
ここでゲル状物質30としては、ウレタンゲル、アクリ
ルゲル、その他適宜のゲル状物質が使用できるが、次に
詳述するシリコーンゲルは、特性が広範な温度域におい
て安定しており、硬化時に副生物を生ぜず、また吸振性
能も優れるものとして最適である。即ちこのシリコーン
ゲルは、ジメチルシロキサン成分単位から成るもので、
次式〔I〕で使用されるジオルガノポリシロキサン(A
成分): RR1 2SiO−(R2 2SiO)nSiR1 2R ・・〔I〕 {ただし、Rはアルケニル基であり、R1は脂肪族不飽
和結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2は一価の
脂肪族炭化水素基(R2のうち少なくとも50モル%はメチ
ル基であり、アルケニル基を有する場合にはその含有率
は10モル%以下である)であり、nはこの成分の25℃に
おける粘度が100〜100,000cStになるような数である}
と、25℃における粘度が5,000cSt以下であり、一分子中
に少なくとも三個、Si原子に直接結合した水素原子を有
するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B成分)
とから成り、且つオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン(B成分)中のSi原子に直性結合している水素原子の
合計量に対するジオルガノポリシロキサン(A成分)中
に含まれるアルケニル基の合計量の比(モル比)が0.1
〜2.0になるように調整された混合物を硬化させること
により得られる付加反応型シリコーンポリマーである。
このシリコーンゲルについて更に詳しく説明すると、上
記A成分であるジオルガノポリシロキサンは、直鎖状の
分子構造を有し、分子の末端にあるアルケニル基Rが、
B成分中のSi原子に直接結合した水素原子と付加して架
橋構造を形成することができる化合物である。この分子
末端に存在するアルケニル基は、低級アルケニル基であ
ることが好ましく、反応性を考慮するとビニル基が特に
好ましい。また分子末端に存在するR1は、脂肪不飽和結
合を有しない一価の炭化水素基であり、このような基の
具体的な例としては、メチル基、プロピル基及びヘキシ
ル基等のようなアルキル基、フェニル基並びにフロロア
ルキル基を挙げることができる。上記式〔I〕において
は、R2は、一価と脂肪族炭化水素基であり、このような
基の具体的な例としては、メチル基、プロピル基及びヘ
キシル基のようなアルキル基並びにビニル基のような低
級アルケニル基を挙げることができる。ただし、R2のう
ちの少なくとも50モル%はメチル基であり、R2がアルケ
ニル基である場合には、アルケニル基は10モル%以下の
量であることが好ましい。アルケニル基の量が10モル%
を超えると架橋密度が高くなり過ぎて高粘度になり易
い。またnはこのA成分の25℃における年度が通常は10
0〜100,000cSt、好ましくは200〜20,000cStの範囲内に
なるように設定される。上記B成分であるオルガノハイ
ドロジェンポリシロキサンは、A成分の架橋材であり、
Si原子に直接結合した水素原子がA成分中のアルケニル
基と付加してA成分を硬化させる。B成分は上記のよう
な作用を有していればよくB成分としては、直鎖状、分
岐した鎖状、環状、あるいは網目状などの種々の分子構
造のものが使用できる。またB成分中のSi原子には水素
原子のほか、有機基が結合しており、この有機基は通常
メチル基のような低級アルキル基である。更にB成分の
25℃における粘度は、通常5,000cSt以下、好ましくは50
0cSt以下である。このようなB成分の例としては、分子
両末端がトリオルガノシロキサン基で封鎖されたオルガ
ノハイドロジェンシロキサン、ジオルガノシロキサンと
オルガノハイドロジェンシロキサンと共重合体、テトラ
オルガノテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサ
ン、HR1 2SiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合シロ
キサン、及びHR1 2SiO1/2単位とR1 3SiO1/2単位とSiO4/2
単位とから成る共重合シロキサンを挙げることができ
る。ただし上記式においてR1は前記と同じ意味である。
そして上記のB成分中のSiに直接結合している水素原子
の合計モル量に対するA成分中のアルケニル基の合計モ
ル量との比率が通常は0.1〜2.0、好ましくは0.1〜1.0の
範囲内になるようにA成分とB成分とを混合して硬化さ
せることにより製造される。この場合の硬化反応は、通
常は白金系触媒を用いて行われる。このような白金系触
媒の例としては、微粉砕元素状白金、塩化白金酸、酸化
白金、白金とオレフィンとの錯塩、白金アルコラート及
び塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩を挙げること
ができる。このような触媒は、A成分とB成分との合計
重量に対して通常は0.1ppm(白金換算量、以下同様)以
上、好ましくは0.5ppm以上の量で使用される。このよう
な触媒の量の上限については特に制限はないが、例えば
触媒が液状である場合、あるいは溶液として使用するこ
とができる場合には、200ppm以下の量で充分である。上
記のようなA成分、B成分及び触媒を混合し、室温に放
置するか、あるいは加熱することにより硬化し、本発明
で使用されるシリコーンゲルが生成する。このようにし
て得られたシリコーンゲルは、JIS K(K−2207−298
0 50g荷重)で測定した針入度が通常5〜250を有し、
好ましくは50〜200を用いる。このようなシリコーンゲ
ルの硬度は、上記A成分の量をB成分中のSiに直接結合
している水素原子と架橋構造を形成することができる量
より過剰に用いることにより調整することができる。ま
た他の方法として、両末端がメチル基であるシリコーン
オイルを得られるシリコーンゲルに対して5〜75重量%
の範囲内の量で予め添加することにより調整することも
できる。このようなシリコーンゲルは、上記のようにし
て調整することもできるし、また市販されているものを
使用することもできる。本発明で使用できる市販品の例
としては、CF5027、TOUGH−2、TOUGH−3、TOUGH−
4、TOUGH−5、TOUGH−6、TOUGH−7(株式会社トー
レシリコーン製)やX32−902/cat1300(信越化学工業株
式会社製)、F250−121(日本ユニカ株式会社製)等を
挙げることができる。尚、上記のA成分、B成分及び触
媒のほかに、顔料、硬化遅延剤、難燃剤、充填剤等を得
られるシリコーンゲルの特性を損なわない範囲内で配合
することもでき、また微小中空球状のフィラーを混入し
て成る複合シリコーンゲルを用いてもよく、このような
材料に日本フィライト株式会社製造のフィライト(登録
商標)や同社販売のエクスパンセル(登録商標)、マツ
モトマイクロスフェアー(松本油脂製薬株式会社製造販
売)等が例示できる。この場合、例えば上記CF5027を針
入度150程度に調整したものをベースとし、これに上記
エクスパンセルを3重量%添加して成る複合シリコーン
ゲルを用いれば好結果が得られる。尚、実施例では上記
TOUGH−7を針入度100に調整して用いた。因みにこのシ
リコーンゲルの針入度が高い。即ち、例えば針入度160
程度であるときには共振現象の解消に適し、針入度がこ
れより低い。即ち、例えば100程度であるとセトリング
タイムの改善に特に効果的であった。このような実施例
にあってはシャフト取付体10が保持体11とボス12との二
部材で構成されているから、これらを適宜選択的に組み
合わせることにより、種々の仕様のものが製造し得る。
尚このゲル状物質30を慣性体20の外周面と周覆部11Aの
内周面との間に介在させる手法としては慣性体20を受入
部13内にやや浮き上がり状態に支持した状態で仮組み
し、この状態で充填すべき空間に未硬化のゲル状物質を
流し込むようにし、しかる後これを加熱硬化させてもよ
いし、あるいは予めシート状に成形されたゲル状物質30
を帯状に切断して慣性体20の外周に巻き付けるような形
で組み付けるようにしてもよい。尚ゲル状物質30と慣性
体20の外周面及び周覆部11Aの内周面とのそれぞれの接
着を強化するためには予めこれら表面にシリコーン系プ
ライマー及び/または付加反応型シリコーン系接着剤を
塗装しておくのが望ましい。この点については、本出願
人は別途特許出願に及んでいる特願平1−242774号にお
いて詳述しているが、このようなシリコーン系プライマ
ーとしては具体的にはプライマーA(トーレシリコーン
株式会社)、プライマーZ−3042(バイエル合成シリコ
ーン株式会社)などが挙げられる。また更に上記のシリ
コーン系プライマーにトリエトキシシランなどのカップ
リング剤を添加してもよい。またこのようなシリコーン
系プライマーを塗布した後、付加反応型シリコーン系接
着剤を更に塗布することで、より効果的とすることもで
きる。このような付加反応型シリコーン系接着剤として
は、加熱時にシリコーンゲルと付加反応が起こり、シリ
コーンゲルを硬化し得るようなシリコーン系接着剤が用
いられ、具体的には、例えばKE−1800T(信越化学工業
株式会社)あるいはSE−1700(トーレシリコーン株式会
社)などが挙げられる。また付加反応型シリコーン系接
着剤として、上記のようなジオルガノポリシロキサンと
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合物であ
って、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンのビ
ニル基と、このオルガノハイドロジェンポリシロキサン
のSi−H結合における水素とのモル比が、水素過剰とな
っているような組成物を用いることもできる。例えばビ
ニル基とSi−Hにおける水素との比が1:1.05〜1:2.02で
あるような組成物を用いることができる。このようなシ
リコーン系プライマー及びシリコーン系接着剤が必要に
応じて塗布された表面に、未硬化状態のシリコーンゲル
を接触させて加熱することによって、未硬化状態のシリ
コーンゲルが硬化するとともに、シリコーンゲルの支持
体たる周覆部11A内面の接合予定表面に塗布されたシリ
コーン系プライマー及び/または接着剤と、シリコーン
ゲルとが反応して、シリコーンゲルとそれらとの接合が
強化される。尚、フィラー入り複合シリコーンゲルを用
いるときは、まずフィラー未充填の未硬化状態のシリコ
ーンゲルを塗った上に、フィラー入りシリコーンゲルを
塗り重ねるように注入、加熱して硬化させるのが望まし
い。
以下各部材の更に詳細な構成とそれらの相互の組立手
法を中心に順次説明する。まずボス12と保持体11との関
係は第3図(b)に示されるようにインサート成形で一
体化するものであって、具体的にはプラスチック金型に
ボス12を所定の位置に保持し、そこに保持体11を構成す
るプラスチック素材、例えばポリエステル、ナイロン、
ポリアセタール等の溶融樹脂を射出する。尚この材料は
他の部材である内スリーブ18、蓋板17にも用いる。この
とき保持体11とボス12との接続を確実にするためにボス
12の外周面にローレット、セレーション等の凹凸を形成
しておくことが好ましい。これによって保持体11のボス
嵌部11Dとボス12とは凹凸の食い込み固着がなされる。
またこの成形後、更に必要があるときには保持体11の受
入部13の側壁面側に慣性体20が摺擦した場合を考慮し
て、第2図に示すように薄い摺面板11Eを貼設する。即
ち慣性体20に対して通常は殆ど生ずることは予想されな
いが、スラスト方向へのブレが生じた場合、このものが
保持体11の受入部13側の側壁面に摺擦することも予想さ
れるため、その部分に摩擦係数の少ない例えばフッ素樹
脂系の樹脂薄板を貼り付けるようにする。勿論この手法
は慣性体20の他の一方の側面が接する蓋板17の内側側壁
面にも摺面板17Eとして同様にとり入れる。
次に慣性体20と内スリーブ18とを一体に組み付ける。
これは製造効率を向上させる観点、及び性能に著しい影
響を及ぼすゲル状物質30の保全をするために好ましい手
法であって、慣性体20と内スリーブ18との間にゲル状物
質30を予め充填したユニットとして構成する。具体的に
は例えば第3図(a)に示すように治具Gによって慣性
体20と内スリーブ18とを横置き状態に置き、両者の間に
ゲル状物質30を注入して組み付けを行う。このように慣
性体20とゲル状物質30と内スリーブ18とが一体化された
部品と前記ボス12と保持体11とが一体化された部品とを
それぞれ組み立てた後、これら組み付けられた部品の相
互の組み立てを行う。これはまず保持体11に対し、慣性
体20とゲル状物質30及び内スリーブ18とから成る部品を
圧入するものであって、両者が相互に接触する部分は保
持体11の外覆板11Bにおける内面と内スリーブ18とであ
る。このような状態とした後、蓋板17を開放端面側にあ
てがう。蓋板17はその内周面側に外周より幾分か内側に
嵌込リブ17Aを有するものであり、その嵌込リブ17Aは蓋
板17と保持体11との正確な位置決めを行うことと、内ス
リーブ18を正確に受入部13側に収納状態に取り付けるた
めのものである。そしてこのように一体的に組み付けた
後、超音波溶着による内部加熱の手法により第3図
(d)に示すように保持体11の周覆部11Aにおける外覆
板11Bの外周部及び蓋板17の外周端と内周端近くを集中
的に加熱し、保持的11における外覆板11Bと、内スリー
ブ18と、蓋板17との相互の溶着を行う。また蓋板17はそ
の内周端において保持体11のボス嵌部11Dの先端との間
で溶着を行う。ところでこのような溶着手法により保持
体11等の固着がほぼなし得るものであるが、更に入念に
固着を行うには凹凸係合による保持体11と内スリーブ18
と蓋板17との固定を図ることが望ましい。具体的には第
4図に示すように周覆部11Aの自由端縁、つまり外覆板1
1B及び内スリーブ18にそれぞれ凹み状の掛合凹部110、
係合凹部180を設ける。そして蓋板17側には前記嵌込リ
ブ17A側に内スリーブ18における係合凹部180に対応した
係合突起170Aを設けるとともに、更に外周端側に外覆板
11Bにおける係合凹部110に嵌まり合う係合突起170Bを形
成するものである。このようにするときには保持体11と
スリーブ18及び蓋板17とが相互に噛み合い係合により位
置決めが維持された状態で組み付けられる。尚、勿論、
内スリーブ18はシャフト取付体10側に形成した凹凸と係
合するようにしてもよいし、保持体11と内スリーブ18と
をそれぞれ凹凸係合させるようにしてもよい。即ち要は
蓋板17と保持体11と内スリーブ18とがそれぞれ互いの位
置が固定されるようにすればよいのである。
更に第6図に示す実施例は、内スリーブ18と慣性体20
との組み合わせから成るユニットUを適宜の枚数組み込
み得るようしておき、要求される仕様に応じたダンピン
グ特性を有する慣性ダンパが得られるようにしたもので
ある。
更にまた第9図に示す参考例は保持体11と慣性体20と
の対向する面、即ち周覆部11Aの内周面と慣性体20の外
周面との間に適宜の突起19a、19bを設けてあたかもゲル
状物質30がジグザグ状に配設されるような状態として異
なるダンピング特性を得るようにしたものである。因み
に本発明では、周覆部11Aは、外覆部11Bと、この外覆部
11Bに内嵌めされる内スリーブ18とを具えて成るため、
第9図中の符号11Aは内スリーブ18と均等のものと理解
できる。
更にまた第10図に示す参考例はゲル状物質30の配設面
積をシャフト取付体10の有効径を増大せずにより大きく
確保することができるようにしたものであって、保持体
11の周覆部11Aと慣性体20の外周面を共にテーパ状に構
成し、いわゆるコーンタイプとしたものである。
本発明たる慣性ダンパ1は以上述べたような種々の具
体的な構造を有するものであり、これを用いるには常法
に従い、第7図に示す参考例のように例えばステッピン
グモータ2の慣性ダンパ取付軸4にこれを固定して用い
る。このように取り付けた後ステッピングモータ2を起
動させると、例えば起動時に過渡的に生ずる振動等を慣
性体20とゲル状物質30との作用により有効にそのエネル
ギーを吸収し、起動に伴う振動を迅速に収斂させ、また
中間周波数における共振による回転停止を起こさせずに
安定した回転上昇を図るのである。
《発明の効果》 本発明は以上述べたように慣性ダンパ1のダンピング
作用を直接担う部材である慣性体20と、ゲル状物質30と
の組み合わせを行うにあたり、ゲル状物質30を慣性体20
の外周面と、ユニットUにおける内スリーブ18の内周面
との間に介在させるようにしてゲル状物質30の配設面積
を増大させたから、ゲル状物質30の単位面積当たりの耐
荷重が小さくなり、製品の耐用時間が第11図に示すよう
な従来例と比べ格段に向上した。これを具体的に表とし
てまとめると表1のとおりである。
即ちシャフト取付体10及び慣性体20の質量等は同一の
条件で、一定のサイクルで往復させたり、同方向に一定
あるいは異なるタイミングで回転させたりする同一条件
の負荷試験を行ったものである。この表からわかるよう
に収斂性能を決定するいわゆる振動の収斂時間たるセト
リングタイムについては、本発明も従来型もほぼ同一の
性能が発揮されている。またパルスモータにおける中間
周波数の共振も発生しない。また本発明が特に目的とし
た耐久性の向上は同一の負荷試験で行った場合におい
て、従来型より100倍以上の耐久性は発揮した。
またシャフト取付体10に対してユニットUを組み込む
構成としたから、シャフト取付体10における保持体11側
に定寸規格としておき、これに組み込むユニットUにお
ける慣性体20を適宜選択することにより種々のダンピン
グ特性を有する仕様の異なる慣性ダンパ1をより合理的
に製造し得るほか、ユニットUをシャフト取付体10とは
別個に製造することが可能となり、製造工程がより簡略
なものとなる。
更に保持体11における外覆部11Bと、内スリーブ18
と、蓋板17との相互は超音波溶着するようにしたから、
受入部13は密閉状態となって、受入部13への埃等の浸入
は防止され、ゲル状物質30が疲労により分解してグリー
ス状になったとしても、このものが外に漏れることもな
い。
更にまた蓋板17に係合突起170A、170Bを形成し、この
係合突起170A、170Bが保持体11及び/または内スリーブ
18に形成した係合凹部110、118と掛合する構造をとれ
ば、蓋板17を介して保持体11及び/または内スリーブ80
が一体的に固定される。
更にまた慣性体20がシャフト取付体10及び蓋体17と臨
む部分に摩擦係数の少ない樹脂薄板たる摺面板11E、17E
を設ければ、慣性体20がブレた場合でも慣性体20やシャ
フト取付体10、蓋板17が摩擦により損傷することがない
し、衝撃音、摺擦音も低減できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の慣性タンパの実施例を示す斜視図、第
2図は本発明の慣性ダンパの横断面図、第3図は本発明
の慣性ダンパの製造の過程を示す説明図、第4図は蓋板
と保持体、蓋板と内スリーブとの係合構造を示す分解斜
視図、第5図は本発明の慣性ダンパの分解斜視図、第6
図はユニットを複数枚組み込んだ実施例を示す縦断面
図、第7図は慣性ダンパを適用したステッピングモータ
の参考例を示す斜視図、第8図は同上慣性ダンパの参考
例を示す分解斜視図、第9図はゲル状物質をジグザグ状
に配設した参考例を示す横断面図、第10図は外周面をテ
ーパ状に構成した参考例を示す縦断面図、第11図は従来
の慣性ダンパを示す斜視図である。 1;慣性ダンパ 2;ステッピングモータ 3;駆動軸 4;慣性ダンパ取付軸 10;シャフト取付体 11;保持体 11A;周覆部 11B;外覆板 11C;位置決め段部 11D;ボス嵌部 11E;摺面板 110;係合凹部 12;ボス 13;受入部 14;シャフト受入孔 15;ロックボルト孔 16;ロックボルト 17;蓋板 17A;嵌込リブ 17E;摺面板 170A、170B;係合突起 18;内スリーブ 180;係合凹部 19a、19b;突起 20;慣性体 30;ゲル状物質 G;治具 U;ユニット

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】慣性体と内スリーブとの間にゲル状物質を
    介在させて成るユニットと、このユニットを内側に組み
    込んだ保持体とボスとを一体的に結合して成るシャフト
    取付体と、このシャフト取付体における開放端面側を閉
    塞する蓋板とを具えて成り、更に前記保持体における外
    覆板と、内スリーブと、蓋板との相互は超音波溶着され
    ており、尚且つ前記ゲル状物質は針入度が100〜160の範
    囲内のシリコーンゲルにより構成されていることを特徴
    とする慣性ダンパ。
  2. 【請求項2】前記慣性体が前記シャフト取付体及び前記
    蓋板に臨む部分には、摩擦係数の少ないフッ素樹脂系の
    樹脂薄板を設けたことを特徴とする請求項1記載の慣性
    ダンパ。
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