JP3828683B2 - シール方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオイルパンなどの自動車部品等のフランジ同士をシールするシール方法に関し、特に、シール面を形成するフランジ間の空隙にシール材の厚膜を形成するようにしたシール方法に関する。さらに詳しくは、シール材を特定組成の二液混合型の縮合型ポリシロキサンとして、2液を簡便な方法で混合することにより速やかに、かつ、深部まで良好に硬化し得るシール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品において内部の液体、気体などを外部に漏洩させないため、または外部の液体や湿気、汚れなどを内部に進入させないためなどの内部と外部の密封、すなわちシールをすることが必要なことがある。このようなシールは例えば液体、気体などを内部に保持するための容器部と蓋部などの複数の部品間の合わせ面に形成される。合わせ面は一般的にフランジとよばれ、フランジ同士を密着させることによりシール性を得ている。フランジは金属やプラスチックなどからなることが多いがフランジの接合面はこまかな凹凸が生じており、確実なシール性を要求するためにはフランジ面を研磨して鏡面仕上げ程度の平滑性が必要となる。このような表面処理は経済的でないため、例えば固形のパッキンやガスケットを挟み込むことによりシール性能を向上させることが一般的である。パッキンやガスケットはゴムシートやコルク、厚紙などを略フランジ形状に打ち抜き、パッキンやガスケットをフランジの面圧で押しつぶすことにより密着度を高めシール性を向上させるというものである。
【0003】
しかし、固形であるパッキンやガスケットを面圧で押しつぶしてもシール性能は不十分である。それに置き換わる方法として硬化性の液状物をフランジに塗布してフランジ同士を貼り合わせた後、液状物を硬化させる方法によりフランジ表面の微細な凹凸をふさぎシール性を得ることができる。この方法はいわゆる現場成型ガスケット(FIPG)とよばれる周知の方法である。現場成型ガスケットの材料は液状ガスケットともよばれ、例えばシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂など様々なものが使用されている。その中でも特にシリコーン樹脂は、耐熱性、ゴム弾性、耐薬品性に優れ、現場成型ガスケット材料として優れたシール性能を得ることができるので最も好ましく使用されている。
【0004】
上記の方法は硬化性の液状ガスケットによりフランジ間の隙間を埋め密着することができるので、フランジを貼り合わせる締結力を低減することができる。フランジを貼り合わせる方法としてはボルトやネジなどにより締結する方法が一般的であるが、上記方法を採用することによりボルトやネジの間隔を大きくして部品点数を削減したり、締め込みトルクを低減させることができるというメリットがある。
【0005】
また、上記の方法では密着せしめられたフランジの二面間はフランジの表面凹凸程度の極めて小さいクリアランスとなり、その間に存在するシリコーンなどの現場成型ガスケット材料は超薄膜となる。前述したとおり最近のフランジはボルトやネジなどの締結部材の数を減らしているのでフランジに大きな振動や衝撃を受けた場合などにフランジの合わせ面にずれが生じることがある。それ以外にも開口しようとする力も働き、これにより薄膜である現場成型ガスケットはフランジとの剥離をおこし漏洩の原因となることがある。また、フランジが金属とプラスチックなどのように異材質の場合に熱膨張率の違いなどでもフランジ間にずれやひずみが発生することがある。
【0006】
上記の理由から図5のようにフランジ44に溝を形成しその溝に液状ガスケットを充填し、さらにフランジの接合部にも液状ガスケットを塗布して貼り合わせる方法が考え出された。図中、42はオイルパン、43はオイルパン42のフランジ部分に設けられた溝部、47はオイルパン42をエンジンブロックを締結するためのボルト穴である。この方法では溝部に形成された現場成型ガスケットすなわちシール材が応力を緩和してフランジのひずみによるシール材の剥離を防止することができる。
【0007】
また、上記問題点を解決する別の方法として、フランジ間にクリアランスを設ける方法も考えられる。クリアランスを設ける方法としてはフランジ間にスペーサとなるものを挟み込み、そのスペーサの厚さ分のクリアランスをフランジ間にとる方法が挙げられる。すなわちクリアランスを充填するシール材の厚さが必要であり、このシール材の厚さがフランジのひずみを緩和することができるものである。
【0008】
一方、オルガノポリシロキサンを主成分とする一液性の縮合硬化型シリコーン組成物は耐熱性、耐候性、電気特性などに非常に優れていることから自動車部品、電気・電子部品等の現場成型ガスケットの材料として適している。その硬化方法も数多く提案されており、反応形態の違いから脱酢酸タイプ、脱オキシムタイプ、脱アルコールタイプ、脱アセトンタイプ等がある。
【0009】
しかし、これらはいずれも空気中の湿気と反応して表面から徐々に内部まで硬化するタイプであるため、硬化時間が長く、例えば、10mmを硬化させるのに約7〜10日間、20mm硬化させるのには約1ヶ月間を必要とする。また、密閉状態においてはさらに長い硬化時間を要している。特に、例えば自動車のエンジンのオイルパン用FIPGシール材を形成する場合、塗布組み付けシール後約1時間以内でエンジンの試運転(ファイヤリングテスト)を行うため、ほとんど表面しか硬化しておらず、ややもすればオイル漏出などのトラブルを発生する恐れがあった。また、電気・電子部品の接着固定に用いられる場合、ほとんどオンラインで使用されるため、シール後数時間で出荷する必要があるが、硬化養成のため一昼夜放置しなければならないなどの不都合があった。
【0010】
特に、フランジに溝を形成したものなどの樹脂が厚膜になるものに適用した場合、溝の内部に湿気が到達するのが非常に遅く、溝の位置や深さなどにより硬化までにかなりの時間を要したり、硬化しないなどの問題点がある。また、クリアランスを設けたフランジに適用した場合にもシール材の膜厚が厚くなるため内部まで硬化しないという問題が生じる。
【0011】
このような問題を解決するため、従来の組成物を主剤と硬化剤に分けて二液型とする手法が挙げられる。二液型は混合すると反応が開始され組成物全体が硬化するため溝の内部の厚膜内部も硬化させることができる。しかし、二液硬化型のシリコーン樹脂はビニル基などの不飽和二重結合を持つシロキサンと水素原子を持つシロキサンとの付加反応による、いわゆる付加反応型シリコーンであり、これはフランジとの接着性がないものであった。接着性がないとフランジのひずみによりシール材がフランジから剥離してしまい漏洩の原因になってしまい、根本的にシール性向上を達成することができないという欠点があった。
【0012】
また、従来の二液混合型シリコーンは主剤に対する硬化剤の量が非常に少なく、このため混合しづらい上、均一硬化させるには主剤と硬化剤のバランスのとり方が難しく、少しでも量比が変化すると可使時間が極端に短くなり、混合中にゲル化したり、また、二液硬化せず、表面から硬化するいわゆる一液型になってしまったり等の欠点があり、実用性はほとんどなかった。
【0013】
そこで、本願出願人は2液縮合硬化型のシリコーン樹脂を使用したシール材の形成方法を発明した(特許第2534135号)。これは2液性の縮合型ポリシロキサンを使用したシール材の形成方法であり、接着性を有したシリコーンである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術は硬化剤の使用量を極力減少させることにより水分が到達しにくい深部まで硬化させるというものである。そのため、水分が到達しない深部まで硬化させるためには硬化剤である加水分解性シランの添加量を厳密に管理しなければならない。硬化剤の量が多いと深部硬化性が悪くなり、硬化剤の量が少ないとA液の保存安定性が悪くなり保存中に硬化または増粘してしまうおそれがあるばかりでなく、A液B液を混合すると急速に硬化が進行してしまうためポットライフが極めて短くなるという欠点があった。そのため、混合室内や吐出ノズルで硬化してしまうというおそれがあり、洗浄装置などを取り付けなければならず装置を大がかりにするばかりでなく材料も無駄になるという欠点があった。このため、2液の混合比は正確にする必要があったが、現実は組成物の製造工程と混合行程などのいくつもの行程で硬化剤の量は一定にすることが困難であり、その結果、十分な深部硬化性を発揮することは容易ではなかった。
【0015】
また、上記技術はA液に分散された硬化剤の濃度をB液のシラノールで希釈するというものであるため2液の混合に充分な攪拌が必要であり、自動塗布機によりライン塗布する場合は特殊なダイナミックミキサーが必要であった。上記技術で使用されるダイナミックミキサーは表面に螺旋状溝と複数本の縦溝が互いに交叉するように刻設された回転子を内部に備え、底部にノズルが形成され混合室に別々に、かつほぼ同量ずつ送液して両液を混合して被塗物のシール面上に吐出するものである。そのため、上記特許第2534135号に記載のシリコーン樹脂を使用した場合は装置が大がかりとなり、塗布ロボットも溶接用ロボット等が必要になりシステム全体が非常に大がかりなものなるという欠点があった。また、上記特許のダイナミックミキサーは回転子と混合室に混合熱が発生し、樹脂のゲル化を招き、ややもすると混合室内で硬化させてしまったり、第1剤,第2剤の送液速度と回転子の回転速度のバランスによっては均質混合できないといった問題があった。
本発明の目的は、振動や熱膨張によるフランジのずれやひずみに対して耐性のあるシール材の形成方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するため、本発明では、自動車部品等の相対峙するフランジ同士の接合面をシール材により接合させてシールするシール方法において、
前記フランジ間に空隙を設け、該空隙内に下記の第1剤,第2剤を混合することにより得られる2液混合型シール材を充填し、これを硬化させて、前記フランジ間の空隙にシール材の厚膜を形成するようにしたものである。
第1剤は、少なくとも(A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖され、25℃における粘度が25〜1,000,000センチストークスであるジオルガノポリシロキサンもしくはポリオキシアルキレンポリマー、(C)一分子中に少なくとも1個のNH2基を有する有機化合物を配合してなる混合物、
第2剤は、少なくとも(A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖され、25℃における粘度が25〜1,000,000センチストークスであるジオルガノポリシロキサンもしくはポリオキシアルキレンポリマー、(D)一分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有する有機化合物を配合してなる混合物であり、
第1剤、第2剤のどちらか一方または両方は、(B)一般式:CH2=CHSi(O−N=CR1R2)3で示されるシラン化合物またはその加水分解物(式中、R1R2は同一または異なっても良い炭素数1〜6の一価の炭化水素基)を含有し、
且つ、第1剤は成分(D)を含有せず、第2剤は成分(C)を含有せず、成分(C)と成分(D)はそれらが有するNH2とカルボニル基が互いに反応性を有するように選択したものである。
かかる構成により、上記第1剤,第2剤を混合することにより、空気中の水分の存在により硬化するとともに、該硬化と同時にその深部で水が生成することから、表面からの硬化のみならず、その内部からも硬化を生じるので、速硬化性及び深部硬化性が大幅に向上する。また、前記フランジ間に空隙を設け、該空隙内に2液混合型シール材を充填して硬化させて、前記フランジ間の空隙にシール材の厚膜を形成するようにしたので、振動や衝撃によりシール材が破壊されたりガスケットと剥離することなく、また、異材質のフランジを使用した場合にも熱膨張係数の差から生じるフランジのひずみにもシール材が破壊されたりガスケットと剥離することがない。
【0017】
ここで、前記空隙は、少なくとも一方のフランジ接合面に設けられた溝、フランジ間のクリアランス、少なくとも一方のフランジ接合面に設けられた凸部により形成することができる。
また、前記成分(D)はカルボニル基が成分(A)100g当たり0.001〜1モルとなる量で配合され、前記成分(C)はNH2基が成分(A)100g当たり0.001〜1モルとなる量で配合されているのが好ましい。
さらに、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシール方法において、前記第1剤及び第2剤は1:1の割合で混合されるのが好ましい。
かかる構成により、前記第1剤及び第2剤を1:1の同量ずつ混合することにより、速やかに、かつ深部まで良好に硬化することができる。さらに、第1剤、第2剤は同量であるので、計量も容易に行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のシール方法で使用される第1剤、第2剤に配合される(A)成分はベースポリマーとして用いられ、ジオルガノポリシロキサン及びポリオキシアルキレンの少なくとも一種が使用される。これらベースポリマーは分子鎖両端が水酸基で封鎖されていることが必要である。即ち、この水酸基の存在により、(A)成分のジオルガノポリシロキサンは後述する(B)成分と縮合してゴム弾性体の硬化物を形成することができる。
【0019】
また(A)成分のベースポリマーの25℃における粘度は、25〜1,000,000センチストークス(cSt)、好ましくは1,000〜500,000センチストークス、さらに好ましくは10,000〜100,000センチストークスである。粘度がこの範囲外であるときは、満足する特性を有するゴム硬化物を形成することが困難となったり、作業性が低下する等の不都合を生じる。
上述したベースポリマーの内、ジオルガノポリシロキサンとしては、主鎖がシロキサン結合の繰り返し単位で構成されているものが挙げられる。シロキサン結合を有する珪素原子は非置換または置換の一価の炭化水素基またはフェニル基を有することができる。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基、あるいはこれらの基の水素原子が部分的にハロゲン原子、シアノ基で置換された基、例えばクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等を例示することができる。
【0020】
また、前述したベースポリマーのうち、ポリオキシアルキレンポリマーとしては、主鎖を構成するオキシアルキレン単位が、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(CH2CH3)O−、−CH2CH2CH2CH2O−等であるものを挙げることができるが、入手の容易さ、価格の点からいって、特に−CH2CH(CH3)O−単位で主鎖が構成されているものが好ましい。主鎖を構成するオキシアルキレン単位は、1種類のみでなく2種類以上の単位が混合されていても良い。
かかるポリマーは、水分の存在により加水分解及び重縮合して、ゴム弾性体の硬化物を形成する。この加水分解性シリル基は、ケイ素原子に少なくとも一個の加水分解性基が結合したものであり、加水分解性基としては、カルボキシル基、ケトオキシム基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基等を例示することができる。ケイ素原子に結合しているこれらの加水分解性基は、1個に限定されず、2個あるいは3個の加水分解性基が同一のケイ素原子に結合してもよい。また、これらの加水分解性基が結合しているケイ素原子には、当然、他の有機基が結合していてよいが、かかる有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基あるいはこれらの基の水素原子が部分的にハロゲン原子などで置換された基、例えばクロロメチル基、3,3,3,−トリフルオロプロピル基等を例示することができる。
【0021】
(B)成分は一般式:CH2=CHSi(O−N=CR1R2)3で示されるビニルトリジアルキルケトオキシムシランまたはその加水分解物であり、架橋剤として作用するものである。式中、R1R2は同一または異なっても良い炭素数1〜6の一価の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、R1とR2が結合して管を形成したシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示される。
(B)成分の具体例としてはビニルトリ(ブタノキシム)シラン、ビニルトリ(プロパノキシム)シラン、ビニルトリ(ペンタノキシム)シラン、ビニルトリ(イソペンタノキシム)シラン、ビニルトリ(シクロペンタノキシム)シラン、ビニルトリ(シクロヘキサノキシム)シランが例示され、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。
【0022】
(B)成分の配合量は(A)成分100重量部に対し2〜10重量部、好ましくは3〜10重量部である。2重量部未満では硬化物が弾性および機械的強度に優れた硬化物が得られず、10重量部を超えると硬化物が硬く、脆いものになる。
【0023】
第1剤に配合される(C)成分の少なくとも1個のアミノ基を有する有機化合物(以下、単に「アミノ基含有有機化合物」と称する)は、後述する(D)成分と反応して硬化剤として作用する水を組成物中の深部に発生させる。
かかる有機化合物としては、下記式(I)
【0024】
【化1】
【0025】
(式中Rは有機基である)で示されるような反応を示す反応性の1級アミノ基を有するものであれば任意のものを使用することができるが、一般的には、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、アニリン等のアミン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのNH2基を官能基として有するシランカップリング剤NH2基を有するポリマー、オリゴマーなどが例示される。本発明においては、(D)成分とのの反応時における立体障害性の見地から、特にアミノ基のα位の炭素原子が1級、2級または芳香族環の一部であるものが好適に使用される。このα位の炭素原子が通常の3級の炭素原子である場合にはカルボニル基との反応性に劣り、所望の効果が得られない場合がある。また、これらの化合物は1種類に限定される必要はなく、2種類以上の使用も可能である。
【0026】
なお、この(C)成分の配合量は、その第1級アミノ基量が(A)成分100g当たり、0.001〜1モルの範囲、特に0.01〜1モルの範囲とすることが好ましい。0.001モル未満では充分な深部硬化性が発現せず、1モルを超えると得られる弾性体硬化物が目的とする物性を示さなくなる。
【0027】
第2剤に配合される(D)成分は、一分子中に少なくとも一個のカルボニル基を有する有機化合物である。
かかるカルボニル化合物は、上記の条件を満足し、かつそのカルボニル基が前述した式(I)で表される脱水縮合反応性を示すものであれば任意のものを使用することができるが、一般的には、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ブチルラクトンなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、ブチロラクタムなどのアミド類、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などのカルボン酸類及びカルボニル基を官能基として有するシランカップリング剤や各種ポリマー、オリゴマー等を例示することができる。前記式(I)の脱水縮合反応を有効に完結させるという見地からカルボニル基に対してα位の炭素原子が1級、2級のものあるいは芳香族環の一部であることが好適である。これらのカルボニル化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0028】
この(D)成分の配合量は、カルボニル基量が(A)成分100g当たり、0.001〜1モルの範囲、特に0.01〜1モルの範囲とすることが好ましい。0.001モル未満では充分な深部硬化性が発現せず、1モルを超えると得られる弾性体硬化物が目的とする物性を示さなくなる。
【0029】
本発明で使用されるシリコーン組成物はダイナミックミキサーほどの強力な攪拌は必要でなくスタティックミキサーでの攪拌で充分である。ここでスタティックミキサーとは乱流を生じさせるエレメントを直列に幾段か重ね、この中に混合しようとする液体を通過させることにより混合が起こるものである。スタティックミキサーはミキサー内にポンプなどで圧送することにより混合させて排出されるため混合のための動力がいらず装置も簡易的なものとすることができる。
スタティックミキサーは混合の技術分野で通常用いられるものが使用されるが、例えば特公昭44−8290号、特開昭56−118726号、特開昭58−11028号、特開昭62−27029号、特開昭63−267425号、特開平1−164424号、特開平2−86834号、特開平4−193337号、特開平5−212259号、特開平9−299776号などに記載されたものが使用できる。
【0030】
また、ダイナミックミキサーとは撹拌羽や撹拌子などを動力源により回転または振動させ機械的に混合するものをいう。本発明はダイナミックミキサーによる強力な混合は必要ではないが、反応熱により硬化するものではないためダイナミックミキサーも適用することもできる。ダイナミックミキサーを適用した場合は撹拌の回転数などを従来の撹拌が必要であった樹脂よりも少なくすることが可能であるため、撹拌熱などを低くすることができる。
【0031】
本発明の組成物は、第1剤、第2剤が略1:1配合にてスタティックミキサーなどの簡便な混合装置にて混合されることにより、一液型の室温速硬化型組成物として得られる。ただし、本発明は厳密に1:1でなくても良いので、圧送ポンプやミキサーなどの精度はそれほど高いものでなくても良い。
また、室温での速硬化性および深部硬化性が阻害されない限り、第1剤あるいは第2剤には種々の配合剤を添加することも可能であり、例えば、有機錫エステル、有機錫キレート錯体、有機チタン酸エステル、有機チタンキレート錯体、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等の縮合触媒;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリプロペノキシシラン、ビニルトリプロペノキシシラン、フェニルトリプロペノキシシラン、メチルトリブタノキシムシラン、テトラブタノキシムシラン、メチルトリアセトキシシランなどの保存安定剤;噴霧質シリカ、沈降性シリカ、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、炭素粉末、タルクおよびベントナイトなどの補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸マグネシウムなどの塩基性充填剤;アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維および有機繊維などの繊維質充填剤;顔料、染料等の着色剤;ベンガラおよび酸化セリウムなどの耐熱性向上剤;耐寒性向上剤;防錆剤;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどの接着性向上剤;トリオルガノシロキサン単位およびSiO2単位よりなる網状ポリシロキサンなどの液状補強剤;等を必要に応じて、その所定量を添加することが可能である。
【0032】
なお、本発明においては、成分(C)と成分(D)とが前述した式(I)のように反応して深部硬化剤である水を生成することが重要であることから、成分(C)と成分(D)とは、このような反応が速やかに生じるものが選択使用されることは勿論であり、また任意的に使用される各種配合剤も、かかる水分の生成を阻害しないように選択使用される。
【0033】
かかる本発明の組成物は、空気中の水分の存在により硬化するとともに、該硬化と同時にその深部で水が生成することから、表面からの硬化のみならず、その内部からも硬化を生ずる。したがって、速硬化性及び深部硬化性を大幅に向上させることができる。
【0034】
また、本発明において、シール材材料として用いられる二液性の縮合型オルガノポリシロキサンは二液を1:1の同量ずつ混合することにより速やかに、かつ深部まで良好に硬化できることから、第1剤、第2剤の同量計量は、例えば、サーボモーターを作動させ、バッファータンクを一定作動させることにより容易に達成することができる。送液された第1剤、第2剤はスタティックミキサーなどの混合装置を通過することにより、均質にかつ速やかに混合され、このため、シール材材料の硬化時間が短くても混合中に硬化するようなことはない。したがって、本発明は作業性が良好でオンラインに適用され、ノズル先端から吐出された混合液は短時間で均質に、深部まで良好に硬化する。本発明はスタティックミキサー程度の混合でも十分使用可能であるがダイナミックミキサーなどの混合が使用できないのではなく所望であればダイナミックミキサーも使用できる。この場合、撹拌子の形状が単純なものでもよく、また、撹拌回転数も低回転で良いため装置を単純化することができる。
【0035】
本発明は、自動車部品等の相対峙するフランジ同士の接合面をシール材により接合させてシールするシール方法において、前記フランジ間に空隙を設け、該空隙内に下記の第1剤,第2剤を混合することにより得られる2液混合型シール材を充填し、これを硬化させて、前記フランジ間の空隙にシール材の厚膜を形成するようにしたものである。フランジ間のシール材を厚膜に形成することにより、フランジ間のひずみに対して耐性を持たせるようにする。厚膜にするために、フランジ間にシール材組成物を充填するための空隙を設ける。この空隙は、フランジの同士が接合される部分に形成され、液状ガスケットが充填されるものであれば、形状は限定されない。また、空隙は、フランジに沿って、連通された環状に形成されることが好ましいが、限定されるものではなく、例えばボルトなどの締結部材付近はフランジのひずみが生じにくいので、空隙は形成されなくてもよい。
【0036】
本発明の実施の形態のシール方法を図により説明する。図1(A)〜(G)は、自動車部品等のフランジ間に形成された空隙の例を示す断面図である。
【0037】
空隙は、図1(A)に示すように、下側フランジ52の接合面に設けられた断面ほぼ半円形の溝53により形成され得る。また、図1(B)に示すように、フランジ55の接合面に設けられた断面四角形の溝56により形成され得る。いずれの場合も、かかる溝を形成することにより、各々上側フランジ51,54を被せた時に溝内に空隙が形成される。この場合、溝の深さ、幅は使用されるフランジの形状や締結部材の締結力、被シール物の種類、圧力、使用温度、使用環境などにより適宜変化させることができる。深さは1.5mm以上あることが好ましいが、5mmより深くしてもそれほどフランジひずみに対する耐性は向上せず、徒にシール材を消費することになるため、5mm以下とするのが好ましい。
【0038】
また、図1(C)及び(D)に示すようにフランジの接合面に凸部59,62を形成することによりフランジ間に空隙を形成しても良く、図1(E)に示すように、フランジ64に切り欠き部65を設けることにより、空隙を形成しても良い。この場合、各々上側フランジ57,60,63を下側フランジ58,61,64に当接させることにより、両フランジ間に空隙が生じる。
また、図1(F)に示すように、フラット形状のフランジ66,67の接合面に直接金属スペーサ68を挟み込み、フランジ間にクリアランスを形成させて空隙を形成してもよい。
【0039】
また、図1(G)に示すように、フラット形状のフランジ69,70の近傍に金属スペーサ71を挟み込み、間接的に両フランジ間にクリアランスを形成させて空隙を形成してもよい。空隙をそのようなクリアランスにより形成する場合、厚さは少なくとも0.5mm以上が必要であるが、1.0mm以上であるとフランジひずみに対する耐性がさらに向上する。しかし3.0mmを超えると、逆にフランジひずみに対して不安定になるばかりでなく、シール材の断面積が増加するので耐薬品性や耐候性が劣化するという問題も生じるため、好ましくは0.5mm〜3.0mm、より好ましくは1.0mm〜3.0mmである。なお、使用されるスペーサは、柱状のものを複数個、フランジに沿って配置しても良く、また、環状のものをフランジ上またはフランジの内周側または外周側に設けても良く、さらに、ボルト等の締結具が挿通し得る筒状のものを設けても良い。
【0040】
【実施例】
[試料1の調製]
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された、粘度が30,000cSt/25℃のジメチルポリシロキサン50g、ジブチルスズオクトエート0.05g、ビニルトリス(ブタノキシム)シラン3.5g、n−ブチルアミン4g、炭酸亜鉛25g、煙霧質シリカ2.5gを無水の状態で混合して第1剤を得た。
次いで、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された、粘度が30,000cStのジメチルポリシロキサン50g、ビニルトリス(ブタノキシム)シラン3.5g、アセトン2g、ジブチルスズジオクトエート0.05g、炭酸亜鉛25g、煙霧質シリカ2.5gを無水の状態で混合して第2剤を得た。これらを試料1とした。
【0041】
[試料2の調製]
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された粘度が100,000cSt/25℃のジメチルポリシロキサン50g、ビニルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン3.5g、ジブチルスズジラウレート0.05g、シクロヘキシルアミン3g、炭酸カルシウム50g、煙霧質シリカ2.5gを無水の状態で混合して第1剤を得た。
次いで、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された粘度が100,000cStのジメチルポリシロキサン50g、ビニルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン3.5g、ジブチルスズジラウレート0.05g、シクロヘキサノン3g、炭酸カルシウム50g、煙霧質シリカ2.5gを無水の状態で混合して第2剤を得た。これらを試料2とした。
【0042】
[実施例1]
試験装置として、JIS K6820に規定されている耐圧試験用フランジ圧力容器に類似する、図2(a)(b)に示される圧力容器10を用い、耐圧試験を行った。該圧力容器は、内径58mm、外径80mm、高さ10mmの上側フランジ11を有する上側容器10aと、上側フランジと同寸法の下側フランジ12を有する下側容器10bからなり、下側フランジ12のフランジ面(上側フランジ11と密着させる面)の幅方向中央には、幅3mm、深さ3mmの環状の溝13が円周に沿って設けられている。この下側フランジ12のフランジ面をトルエンにより洗浄した。その後、上記で調製した試料1の第1剤と第2剤をスタティックミキサーで押出撹拌したものを、スタティックミキサー先端の吐出ノズルから吐出させ、上記溝13内に試料1を充填した。試料1は溝13が完全に満たされるまで吐出させた。さらに、下側フランジのフランジ面の溝13以外の部分にも、上記試料1を塗布した。塗布後直ちに、上側容器10aを、上側フランジ11と下側フランジ12のフランジ面とが当接するように、下側容器10bに載せ、4本の締め付けボルト16を28N・mのトルクで組み付けた。なお、図中、14は、溝部13中のガスケット、15は、フランジ11と12の接合面に塗布されたガスケットである。
【0043】
組み付け後、試料1を硬化させるため30分間室温にて静置した。30分経過後4本の締め付けボルト16を取り外した。その後、下側フランジ12を固定し、これを振動試験器により30Hzで60分間振動させた。
その後、耐圧試験容器を前記4本の締め付けボルト16で28N・mで締め付けた。耐圧試験容器の加圧口に圧縮空気注入用チューブを接続して、15秒毎に0.1kg/cm2づつ上昇させて、空気が漏れたときの圧力を測定した。
【0044】
[実施例2]
試料1の代わりに試料2を使用する以外は、実施例1と同じ方法により耐圧試験を行った。
【0045】
[実施例3]
試験装置として、JIS K6820に規定されている耐圧試験用フランジ圧力容器に類似する、図3(a)、(b)に示される圧力容器20を用い、耐圧試験を行った。該圧力容器は、内径58mm、外径80mm、高さ10mmの上側フランジ21を有する上側容器20aと、上側フランジと同寸法の下側フランジ22を有する下側容器20bからなる。この下側フランジの外側に高さ21mmの金属製スペーサ27を取り付けた後、下側フランジ12のフランジ面をトルエンにより洗浄した。その後、上側容器20aを、上側フランジ21と下側フランジ22のフランジ面とが対向するように、下側容器20b上のスペーサ27上に載せ、4本の締め付けボルト26を28N・mのトルクで組み付けた。上側容器20aと下側容器20bの間には、上記のようにスペーサ27が取り付けられているため、上側フランジ21と下側フランジ22のフランジ面の間には、約1mmのクリアランスが存在する。上記で調製した試料1の第1剤と第2剤をスタティックミキサーで押出撹拌したものを、スタティックミキサー先端の吐出ノズルから、上側フランジ21のフランジ面と下側フランジ22のフランジ面との間に、吐出させることによりに、上記クリアランスに試料1を充填した。その後、実施例1と同様の条件下で硬化させることにより、フランジ間に約1mm厚のガスケット24を形成した。
その後、実施例1と同じ条件により、下側フランジ22に振動を与え、耐圧試験を行った。
【0046】
[実施例4]
試料1の代わりに試料2を使用すること以外は、実施例3と同じ方法により、耐圧試験を行った。
【0047】
[比較例1]
試験装置として、JIS K6820に規定されている耐圧試験用フランジ圧力容器に類似する、図4(a)、(b)に示される圧力容器30を用い、耐圧試験を行った。該圧力容器は、内径58mm、外径80mm、高さ10mmの上側フランジ31を有する上側容器30aと、上側フランジと同寸法の下側フランジ32を有する下側容器30bからなる。この下側フランジ32のフランジ面をトルエンにより洗浄した。その後、上記で調製した試料1の第1剤と第2剤をスタティックミキサーで押出撹拌したものを、スタティックミキサー先端の吐出ノズルから吐出させ、下側フランジ32のフランジ面に試料1を塗布した。塗布後直ちに、上側容器30aを、上側フランジ31と下側フランジ32のフランジ面とが当接するように、下側容器30bに載せ、4本の締め付けボルト36を28N・mのトルクで組み付けた。
その後、実施例1と同じ条件により、下側フランジ32に振動を与え、耐圧試験を行った。
【0048】
[比較例2]
試料1の代わりに試料2を使用すること以外は比較例1と同じ方法により、耐圧試験を行った。
【0049】
[比較例3]
実施例1の装置を用いて、試料1の代わりに2液混合型付加型シリコーン(スリーボンド社製)を使用すること以外は、実施例1と同じ方法により、耐圧試験を行った。2液混合型付加型シリコーンはビニル基含有シロキサンと水素基含有シロキサンの付加反応により重合するものである。
【0050】
[比較例4]
液状ガスケットとして以下の試料3を調製した。分子鎖末端が水酸基で封鎖されている粘度20,000cSt/25℃のジメチルポリシロキサン100重量部にメチルトリブタノオキシムシラン5部を添加し80℃で約3時間加熱撹拌して、末端がメチルジブタノオキシムシランで封鎖されたポリシロキサンを合成した。このメチルジブタノオキシムシラン90重量部にフュームドシリカ(R−972、日本アエロジル社製)を10重量部、ジブチルスズジラウレートを0.3重量部加え窒素気流下均一に混合して第1剤を得た。次いで、分子鎖末端がシラノールで封鎖されている粘度20,000cSt/25℃のジメチルポリシロキサン90重量部にR−972を10重量部混合したものを第2剤とした。実施例1の装置を用いて、試料1の代わりに試料3を使用すること以外は実施例1と同じ方法により、耐圧試験を行った。
【0051】
[比較例5]
実施例1の装置を使用し、試料1の代わりに1液RTVシリコーン(スリーボンド1215、スリーボンド社製)を使用すること以外は実施例1と同じ方法により、耐圧試験を行った。
【0052】
以上の耐圧試験をまとめると表1のようになる。
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示すように、比較例1及び2においては、フランジに液状ガスケットを塗布しボルトを締め付けることによりフランジ面は圧接され液状ガスケットはフランジ間で薄膜のシール材となる。この状態で硬化させボルトを取り外すとフランジ同士は液状ガスケットの硬化物であるシール材により接着されている状態となるが、振動を与えることによりフランジはシール材と剥離しやすい状態となる。また、比較例1,2においては、接着性が高い組成物を使用しているが薄膜のみでフランジ同士のズレに対する応力緩和が満足されず、剥離またはシール材が破壊したものと思われる。
【0055】
また、比較例3で使用した組成物は接着性が極めて低いために、溝が設けられたフランジを使用しても剥離部分が生じたと思われる。比較例4では充分な撹拌がないため、溝部内の硬化性が充分ではなく、比較例5においては湿気が内部まで到達しないので24時間の養生では溝部内が硬化しておらず、よって、溝が設けられたフランジを使用しても、振動を与えることによりフランジとシール材が剥離してしまうと思われる。
【0056】
一方、実施例1〜4では溝またはクリアランスに充填されたシール剤が内部まで硬化されており、接着性も有しているのでボルトを取り除いた状態での苛酷な振動試験においても液状ガスケットの硬化物であるシール材が剥離することがなく、また、加圧試験時には通常6カ所締め付けるボルトを4カ所のみで行ったにもかかわらず高いシール性が達成されている。以上の結果から本発明の組成物を溝付きフランジに適用する場合において、ボルトなど締結部品の少ないフランジ、または締結力の弱いフランジを使用したときにおいても振動や熱膨張などによるフランジのひずみ、変動に対して対応することができ、シール性能の信頼性が高いことがわかる。
【0057】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明は、前記フランジ間に空隙を設け、該空隙内に下記の第1剤,第2剤を混合することにより得られる上記2液混合型シール材を充填し、これを硬化させて、前記フランジ間の空隙にシール材の厚膜を形成するようにしたので、振動や衝撃によりシール材が破壊されたりガスケットと剥離することなく、また、異材質のフランジを使用した場合にも熱膨張係数の差から生じるフランジのひずみにもシール材が破壊されたりガスケットと剥離することなく信頼性の高いシール方法を提供することができる。
【0058】
また、フランジの応力を緩和できるため、ボルトやネジなどフランジの締結部材の部品数を削減することができる。さらに、締め付けトルクも低減することができるためフランジの変形やボルトの破損なども防ぐことができる。
【0059】
本発明のシール方法で使用される2液混合型シール材は上述してきたとおり特定の組成物からなるものであり、そのため速硬化性と深部硬化性に優れるものでありフランジ面に溝が形成されたものやクリアランスを持つフランジ構造に適するものである。
【0060】
さらに、本発明のシール材は2液を1:1の同量で適度な混合することにより速やかに、かつ深部まで良好に硬化し得る材料であり、これら2液は強力な撹拌は必要でないため、例えばスタティックミキサーなどのような簡易な混合手段で均質にかつ速やかに混合し、被塗物のシール面に吐出することにより、作業性が良好となり、自動塗布ラインへの適用が容易となり、生産効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(G)は、本発明の実施の形態を示す自動車部品等のフランジ間に形成された空隙の各種態様を示す断面図である。
【図2】(a)は、本発明の実施例において使用される試験装置の断面図、(b)は、(a)図の試験装置の下側フランジの平面視である。
【図3】(a)は、本発明の実施例において使用される試験装置の断面図、(b)は、(a)図の試験装置の下側フランジの平面視である。
【図4】(a)は、比較例において使用される試験装置の断面図、(b)は、(a)図の試験装置の下側フランジの平面視である。
【図5】フランジに溝を形成したオイルパンを示す斜視図である。
【符号の説明】
11、21、31 上側フランジ
12、22、32 下側フランジ
13 溝
14、15 液状ガスケット
16、26、36 締結部材
24 フランジ21と22の接合面に塗布された液状ガスケット
27 スペーサ
34 ガスケット
42 オイルパン
43 溝部
47 ボルト穴
Claims (6)
- フランジを有する自動車部品等の相対峙するフランジ同士の接合面をシール材により接合させてシールするシール方法であって:
相対峙するフランジ同士の接合面に空隙が形成されるように前記自動車部品等を製造し、該接合面の空隙内に第1剤、及び第2剤を混合して得られる2液混合型シール材を充填し、かつ該シール材を硬化させて、該フランジ接合面の空隙にシール材の厚膜を形成する工程を有し;
前記第1剤は、少なくとも(A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖され、25℃における粘度が25〜1,000,000センチストークスである、ジオルガノポリシロキサン又はポリオキシアルキレンポリマー、及び(C)一分子中に少なくとも1個のNH2基を有する有機化合物を含み;
前記第2剤は、少なくとも(A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖され、25℃における粘度が25〜1,000,000センチストークスである、ジオルガノポリシロキサン又はポリオキシアルキレンポリマー、及び(D)一分子中に少なくとも1個のカルボニル基を有する有機化合物を含み;
該第1剤、又は該第2剤のどちらか一方、又は両方が、(B)一般式:CH2=CHSi(O−N=CR1R2)3(式中、R1、及びR2は同一、又は異なる炭素原子数1〜6の一価の炭化水素基)で示されるシラン化合物、又はその加水分解物を含み;
該第1剤は成分(D)を含有せず、かつ該第2剤は成分(C)を含まず;かつ
成分(C)と成分(D)はそれらが有するNH2基とカルボニル基とが互いに反応性を有するように選択されている;前記シール方法。 - 前記空隙が、少なくとも一方のフランジ接合面に設けられた溝により形成されるものである請求項1に記載のシール方法。
- 前記空隙が、フランジ間のクリアランスにより形成されるものである請求項1に記載のシール方法。
- 前記空隙が、少なくとも一方のフランジ接合面に設けられた凸部により形成されるものである請求項1に記載のシール方法。
- 前記第1剤において、成分(A)100g当たり、そのNH2基が0.001〜1モルとなる量で成分(C)が配合されており、かつ前記第2剤において、成分(A)100g当たり、そのカルボニル基が0.001〜1モルとなる量で成分(D)が配合されている、請求項1に記載のシール方法。
- 前記第1剤、及び第2剤が、1:1の割合で混合されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のシール方法。
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