JP3772632B2 - 制振性樹脂組成物及びそれを用いたエンジン用制振カバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制振性樹脂組成物及びそれを用いた構造用樹脂成形品に係り、特に、エンジンのカバー類、車両の内・外装部品などに用いられる制振性樹脂組成物及びそれを用いた構造用樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関用エンジンのシリンダーヘッドには、シリンダヘッドカバーが設けられている。このシリンダヘッドカバーの機能としては、シリンダヘッド部へのごみ及び埃などの侵入防止、およびシリンダヘッド部へのオイル飛散防止だけにとどまらず、エンジン騒音をシリンダヘッド部から外部(車外)に漏らさないという機能も果たしている。
【0003】
近年、車内及び車外に漏れる騒音の規制および市場ニーズにより、エンジン騒音の更なる低減が求められている。このため、近年のエンジン、特にディーゼルエンジンにおいては、シリンダヘッドカバーの外側を遮音板(スチール製など)で覆い、その遮音板とシリンダヘッドカバーとの間に吸音材を充填した三重構造を採用しており、低騒音化を図っている。さらに、シリンダヘッドカバー自体についても、音及び振動を低減すべく、制振性、遮音性、および吸音性などが良好であることが求められている。
【0004】
シリンダヘッドカバーの常用温度域は約60〜130℃である。よって、シリンダヘッドカバー用材料としては、この温度域で高い制振性を発揮することが重要である。制振性を判断するための代用特性として力学分散の損失正接(以下、tanδ)が用いられていることから、シリンダヘッドカバー用材料としては、常用温度域で高いtanδを示すことが必要である。
【0005】
シリンダヘッドカバーには、Al合金のダイキャスト成形品、熱可塑性樹脂の一種であるガラス繊維強化ポリアミド樹脂(以下、PA66-GFと示す)のインジェクション成形品が使用されている。特殊な例として、制振性および耐熱性を必要とするエンジンのシリンダヘッドカバーには、不飽和ポリエステル樹脂(以下、UPと示す)等を主成分とする材料の、圧縮成形品、トランスファー成形品、又は特殊なインジェクション成形品が使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
Al合金からなるシリンダヘッドカバーは、耐熱性及び剛性((動的複素弾性率:E*(GPa))図2中の曲線A)は良好であるものの、常用温度域におけるtanδ(図2中の曲線a)が0.01〜0.03と小さく、制振性が良好でない。また、tanδが最高値を示す温度は250℃以上であって常用温度域から外れており、この点からもシリンダヘッドカバー用材料としてあまり良好であるとは言えない。
【0007】
PA66-GFからなるシリンダヘッドカバーは、比重が約1.3〜1.4と小さいことから軽量性に優れ、常用温度域におけるtanδ(図2中の曲線b)が約0.025〜0.045であって、前記Al合金からなるシリンダヘッドカバーよりも制振性に優れている。しかし、PA66-GFの比重が小さいことから質量則により遮音性が劣る。また、tanδが最高値を示す温度は、ガラス転移点温度(Tg)となるが、Tgが常用温度域内の低温側(約80℃)であるため、耐熱性及び高温時の剛性(図2中の曲線B)が不足している。さらに、近年のディーゼルエンジンは排ガス規制のためEGRを備えているものが多く、EGR用の配管がシリンダヘッドカバー周辺に配置されている場合がある。この配管からの熱によりシリンダヘッドカバーが高温に晒されると、熱可塑性樹脂であるPA66-GFは、約260℃以上の高温雰囲気で溶融してしまうため、元の形状を保つことができないおそれがある。
【0008】
Tgの低いイソ系UPを主成分とした樹脂組成物をシートモールディングコンパウンド(SMC)により成形したSMC成形品からなるシリンダヘッドカバーは、PA66-GFよりも遮音性に優れ、また、tanδ(図2中の曲線c)が最高値を示すTgが、常用温度域内の最高温度(約130℃)であるため、制振性及び剛性(図2中の曲線C)のバランスに優れたシリンダヘッド用材料となる(特開平8−301998号公報参照)。しかし、このSMC成形品の常用温度域内の最高温度におけるtanδは約0.06〜0.07と高いものの、常用温度域内の低温側(約60〜100℃)におけるtanδはPA66-GFとあまり差がなく、制振性がそれ程良好であるとは言えない。
【0009】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、ガラス転移点温度の調節が自在で、かつ、制振性及び剛性のバランスに優れた制振性樹脂組成物及びそれを用いた構造用樹脂成形品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る制振性樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂分を主成分とし、60〜130℃の温度域で制振性が要求されるエンジン用カバーに用いられる制振性樹脂組成物において、上記不飽和ポリエステル樹脂分としてオルソ系不飽和ポリエステル樹脂を配合し、100℃雰囲気のtanδを0.064以上、ガラス転移点温度Tgを120〜150℃としたものである。
【0011】
また、本発明に係る制振性樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂分を主成分とし、60〜130℃の温度域で制振性が要求されるエンジン用カバーに用いられる制振性樹脂組成物において、上記不飽和ポリエステル樹脂分としてイソ系不飽和ポリエステル樹脂オルソ系不飽和ポリエステル樹脂を重量比(オルソ系不飽和ポリエステル樹脂/イソ系不飽和ポリエステル樹脂)60/40〜100/0の範囲で混合したものを、上記不飽和ポリエステル樹脂分として配合し、100℃雰囲気のtanδを0.064以上、ガラス転移点温度Tgを120〜150℃としたものである。
【0012】
以上の構成によれば、イソ系不飽和ポリエステル樹脂とオルソ系不飽和ポリエステル樹脂との配合量を調節することで、ガラス転移点温度を120〜150℃の範囲で自在に調節可能な制振性樹脂組成物を得ることができる。
【0013】
一方、本発明に係るエンジン用制振カバーは、上述した制振性樹脂組成物で成形してなるものである。
【0014】
以上の構成によれば、制振性、剛性、耐熱性、および成形性が良好なエンジン用制振カバーを得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0016】
樹脂組成物の場合、tanδが最高値を示す温度はTgであるが、樹脂の特性上、Tg以上の温度域では、機械的特性(特に剛性)が急激に低下する。このため、Tgがシリンダヘッドカバーの常用温度域の範囲にある場合、剛性低下によりヘッドカバーの捩じれ、変形などが発生して、シリンダヘッド部との間でシール不良等が生じるおそれがあり、シリンダヘッドカバー用材料として好ましくない。また、Tgがシリンダヘッドカバーの常用温度域の範囲を外れている場合、tanδが高くても、制振性を最大限に発揮することはできない。よって、Tgがシリンダヘッドカバーの常用温度域の最高温度(例えば、130℃)に位置する材料が、制振性及び剛性のバランスから、シリンダヘッドカバー用材料として最適なものとなる。
【0017】
また、シリンダヘッドカバーの常用温度域の最高温度は、エンジンの種類によって異なることが多い。通常のPA66-GFでは、Tgを自在に調節することは不可能である(固定値となる)ため、あるエンジンには最適な材料であっても、その他のエンジンには好ましい材料とはならない。
【0018】
よって、本発明者らは、Tgを120〜150℃(シリンダヘッドカバーが晒される最高温度)の範囲に設定可能であり、かつ、この温度範囲においてTgの調節が自在な樹脂組成物及びそれを用いた構造用樹脂成形品を得るべく、鋭意研究した結果、以下に述べる制振性樹脂組成物及びそれを用いた構造用樹脂成形品を見出した。
【0019】
本発明の制振性樹脂組成物は、オルソ系UPを含むUP分を主成分とする樹脂組成物、イソ系UPにオルソ系UPを混合してなるUP分を主成分とする樹脂組成物である。
【0020】
また、本発明の制振性樹脂組成物は、制振性および成形性を損なわない範囲で、UP分以外に、低収縮剤(LPA)、硬化剤、充填剤、増粘性剤、(内部)離型剤、加工助剤、強化繊維などを適宜含有するものである。
【0021】
低収縮剤としては、ポリ酢酸ビニル系、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、変性ポリウレタン、飽和ポリエステル、およびポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0022】
硬化剤としては、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート(以下、TBPBと示す)等の他に、慣用の硬化剤が挙げられる。
【0023】
充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、およびマイカ等の慣用の充填剤及びガラスバルーン等が挙げられる。
【0024】
増粘性剤としては、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛等の慣用の増粘性剤が挙げられる。(内部)離型剤としては、ステアリン酸及びその金属塩、カルナバワックス、アルキルリン酸エステル系等の慣用の内部離型剤が挙げられる。
【0025】
強化繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、およびアラミド繊維などの繊維を、チョップ状、クロス状、又はマット状としたもの及びウィスカ等が挙げられる。
【0026】
さらに、本発明の制振性樹脂組成物は、この他に、有機又は無機顔料、および慣用の添加剤等を適宜含むものである。
【0027】
本発明の制振性樹脂組成物においては、イソ系UPに混合するオルソ系UPの量を調節することで、Tgを120〜150℃(シリンダヘッドカバーが晒される最高温度)に設定することが可能であり、この温度範囲おいてTgの調節が自在である。この時の具体的なオルソ系UP(A)とイソ系UP(B)との重量比(A/B)は、60/40〜100/0となる。
【0028】
ここで、一般に、オルソ系UPは、イソ系UPと比較して、耐熱性は劣るものの、tanδが高い。即ち、オルソ系UPは、イソ系UPよりも制振性に優れている。これは、オルソ系UPにおいては、ベンゼン環が主鎖の曲がりの起点になっており、オルソ系UPの主鎖はイソ系UPの主鎖と比較して曲がりくねった構造をとるからではないかと考えられる。即ち、この曲がりくねった構造が、オルソ系UPの高分子主鎖及び側鎖の絡み合いを増加させ、オルソ系UPのtanδをイソ系UPのtanδより高くすると考えられる。
【0029】
よって、本発明の制振性樹脂組成物によれば、イソ系UPにオルソ系UPを混合してなるUP分を主成分とする樹脂組成物であるため、従来のTgの低いイソ系UPのみを主成分とした樹脂組成物よりも、tanδが高く、即ち制振性が良好であり、かつ、120〜150℃の範囲でTgを自在に調節することができる。
【0030】
また、本発明の制振性樹脂組成物は、Tgを120〜150℃の範囲で自在に調節することができるため、エンジンの種類が異なる場合であっても、各エンジンの温度特性を考慮した材料設計が可能となり、各エンジンに最も適したシリンダヘッドカバー用材料となり得る。ここで、シリンダヘッドカバーの常用温度域の最高温度近傍からシリンダヘッドカバーが晒される最高温度、即ち120〜150℃の範囲にTgを調節することで、本発明の制振性樹脂組成物はシリンダヘッドカバー用材料として最適なものとなる。
【0031】
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0032】
本実施の形態の構造用樹脂成形品(以下、本成形品と示す)は、前記した制振性樹脂組成物を用い、その制振性樹脂組成物に対して、SMC、BMC(バルクモールディングコンパウンド)、ハンドレイアップ、スプレーアップ、RTM、およびRIM等の成形加工を施してなるものである。
【0033】
本成形品の剛性(弾性率)は、Tgの低いイソ系UPを主成分とした樹脂組成物からなる構造用樹脂成形品とPA66-GFからなる構造用樹脂成形品との中間の剛性を有しており、また、PA66-GFからなる構造用樹脂成形品のように、Tg付近で剛性が急激に低下することはない。
【0034】
また、本成形品の耐熱性は、Tgの低いイソ系UPを主成分とした樹脂組成物からなる構造用樹脂成形品と同等又は同等以上である。さらに、本成形品は、熱硬化性樹脂であるオルソ系UP又はオルソ系UPとイソ系UPとの混合物からなるため、例えば、本成形品でシリンダヘッダカバーを成形し、その周辺にEGR用の配管を配置しても、この配管からの熱によって溶融してしまうということはなく、元の形状を保つことができる。
【0035】
PA66-GFを用いて構造用樹脂成形品(例えば、シリンダヘッドカバー)を成形する場合、インジェクション成形を行うため、型締め力が約3.3GPa(約350kgf/cm2)も必要であった。これに対して、本発明の樹脂組成物を用いて構造用樹脂成形品(例えば、シリンダヘッドカバー)を成形する場合、SMCによる成形が可能であるため、成形圧力は約780MPa(約80kgf/cm2)で十分であり、成形性が良好である。このため、低圧成形が可能、即ち大物部品を小さなプレス機を用いて成形することが可能であり、製造コストが安価となる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
スチレンモノマーに希釈したオルソ系UP(エスターM2101(三井化学製))80重量部からなるUP分(オルソ系UP(A)とイソ系UP(B)の重量比:A/B=100/0)、スチレンモノマーに希釈した酢酸ビニル系低収縮剤(EM128(三井化学製))を20重量部、2種類の加工助剤(BYK-W972,BYK-W996(共にビックケミー・ジャパン製))をそれぞれ1重量部,5重量部、充填材として炭酸カルシウム(サンライトSL100(竹原化学製))を130重量部、硬化剤としてTBPB(パーブチルZ(日本油脂製))を1.2重量部、増粘材として酸化マグネシウム(協和マグ#30)を1重量部、および離型剤としてステアリン酸亜鉛(正同化学製)を3.6重量部、合計241.8重量部を撹拌混合し、樹脂組成物を作製する。
【0037】
次に、この樹脂組成物を2枚のシート上に均一な厚さで塗布した後、一方のシートの塗布面上に、36.3重量部(樹脂組成物重量の15%)のガラス繊維(繊維長が約2.54cm(1インチ)のチョップ状硬質ガラス(旭ファイバーガラス製))を均一に分散させる。その後、一方のシートの塗布面に、他方のシートの塗布面を重ね合わせてSMCシートを形成する。
【0038】
ガラス繊維に樹脂分をよく含浸させた後、スチレンモノマーの揮発を防ぐためにSMCシートをフィルムで包み、その後、室温にて4日間熟成させる。
【0039】
次に、SMCシートを、約780MPa(約80kgf/cm2)の成形圧力、150℃の成形温度で、90秒間、平板金型成形を行い、1辺が200mm、厚さ3mm、重さ約220gのSMC平板を作製する。
【0040】
次に、SMC平板を70mm×5mm×厚さ3mmの短冊状に切り出し、試料1を作製する。
【0041】
(実施例2)
スチレンモノマーに希釈したオルソ系UP(エスターM2101(三井化学製))64重量部およびスチレンモノマーに希釈したイソ系UP(ユピカ7578(日本ユピカ製))16重量部からなるUP分(オルソ系UP(A)とイソ系UP(B)の重量比:A/B=80/20)、スチレンモノマーに希釈した酢酸ビニル系低収縮剤(EM128(三井化学製))を20重量部、2種類の加工助剤(BYK-W972,BYK-W996(共にビックケミー・ジャパン製))をそれぞれ1重量部,5重量部、充填材として炭酸カルシウム(サンライトSL100(竹原化学製))を130重量部、硬化剤としてTBPB(パーブチルZ(日本油脂製))を1.2重量部、増粘材として酸化マグネシウム(協和マグ#30)を1重量部、および離型剤としてステアリン酸亜鉛(正同化学製)を3.6重量部、合計241.8重量部を撹拌混合し、樹脂組成物を作製する。
【0042】
その他は実施例1と同様にして、短冊状の試料2を作製する。
【0043】
(実施例3)
スチレンモノマーに希釈したオルソ系UP(エスターM2101(三井化学製))48重量部およびスチレンモノマーに希釈したイソ系UP(ユピカ7578(日本ユピカ製))32重量部からなるUP分(オルソ系UP(A)とイソ系UP(B)の重量比:A/B=60/40)、スチレンモノマーに希釈した酢酸ビニル系低収縮剤(EM128(三井化学製))を20重量部、2種類の加工助剤(BYK-W972,BYK-W996(共にビックケミー・ジャパン製))をそれぞれ1重量部,5重量部、充填材として炭酸カルシウム(サンライトSL100(竹原化学製))を130重量部、硬化剤としてTBPB(パーブチルZ(日本油脂製))を1.2重量部、増粘材として酸化マグネシウム(協和マグ#30)を1重量部、および離型剤としてステアリン酸亜鉛(正同化学製)を3.6重量部、合計241.8重量部を撹拌混合し、樹脂組成物を作製する。
【0044】
その他は実施例1と同様にして、短冊状の試料3を作製する。
【0045】
参考
スチレンモノマーに希釈したオルソ系UP(エスターM2101(三井化学製))32重量部およびスチレンモノマーに希釈したイソ系UP(ユピカ7578(日本ユピカ製))48重量部からなるUP分(オルソ系UP(A)とイソ系UP(B)の重量比:A/B=40/60)、スチレンモノマーに希釈した酢酸ビニル系低収縮剤(EM128(三井化学製))を20重量部、2種類の加工助剤(BYK-W972,BYK-W996(共にビックケミー・ジャパン製))をそれぞれ1重量部,5重量部、充填材として炭酸カルシウム(サンライトSL100(竹原化学製))を130重量部、硬化剤としてTBPB(パーブチルZ(日本油脂製))を1.2重量部、増粘材として酸化マグネシウム(協和マグ#30)を1重量部、および離型剤としてステアリン酸亜鉛(正同化学製)を3.6重量部、合計241.8重量部を撹拌混合し、樹脂組成物を作製する。
【0046】
その他は実施例1と同様にして、短冊状の試料4を作製する。
【0047】
参考
スチレンモノマーに希釈したオルソ系UP(エスターM2101(三井化学製))16重量部およびスチレンモノマーに希釈したイソ系UP(ユピカ7578(日本ユピカ製))64重量部からなるUP分(オルソ系UP(A)とイソ系UP(B)の重量比:A/B=20/80)、スチレンモノマーに希釈した酢酸ビニル系低収縮剤(EM128(三井化学製))を20重量部、2種類の加工助剤(BYK-W972,BYK-W996(共にビックケミー・ジャパン製))をそれぞれ1重量部,5重量部、充填材として炭酸カルシウム(サンライトSL100(竹原化学製))を130重量部、硬化剤としてTBPB(パーブチルZ(日本油脂製))を1.2重量部、増粘材として酸化マグネシウム(協和マグ#30)を1重量部、および離型剤としてステアリン酸亜鉛(正同化学製)を3.6重量部、合計241.8重量部を撹拌混合し、樹脂組成物を作製する。
【0048】
その他は実施例1と同様にして、短冊状の試料5を作製する。
尚、実施例1〜3及び参考例1,2の試料1〜5においては、ガラス繊維を樹脂組成物重量の15%としているが、特に15%に限定するものでないことは言うまでもないことである。
【0049】
(比較例1)
一般的なイソ系UPを主成分とした樹脂組成物を用いてなり、かつ、ガラス繊維量が30重量%の車両外板用SMC平板を、70mm×5mm×厚さ3mmの短冊状に切り出し、試料6を作製する。
【0050】
(比較例2)
ガラス転移点温度が低いイソ系UPを主成分とした樹脂組成物を用いてなり、かつ、ガラス繊維量が30重量%のSMC平板を、70mm×5mm×厚さ3mmの短冊状に切り出し、試料7を作製する。
【0051】
(比較例3)
ポリアミド樹脂を用いてなり、かつ、ガラス繊維量が33重量%のガラス繊維強化ポリアミド樹脂平板を、70mm×5mm×厚さ3mmの短冊状に切り出し、試料8を作製する。
【0052】
実施例1〜3、参考例1,2、及び比較例1〜3における試料1〜8の成分配合を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0003772632
【0054】
次に、試料1〜8の動的粘弾性を測定し、tanδおよびTgの評価を行った。この測定においては、tanδが最高値を示す温度を、Tgとした。動的粘弾性の測定は、測定器(DDV-25FP(オリエンテック製))を用い、また、測定条件は、測定温度を室温〜250℃、昇温速度を5℃/min、周波数を110Hz、振幅を±10μm、プリロードを245×10-3N(25gf)、チャック間距離を55mmとした。
【0055】
試料1〜8のtanδ(60℃雰囲気、100℃雰囲気、125℃雰囲気、及び最高値)およびTgを表2に示す。
【0056】
【表2】
Figure 0003772632
【0057】
表2に示すように、実施例1〜3及び参考例1,2における各試料1〜5においては、オルソ系UP(A)とイソ系UP(B)の重量比(A/B)が大きくなるにつれて、tanδが高くなると共に、Tgが低くなっている。即ち、A/Bの値を調節することで、Tgを約120〜200℃の範囲で自在に調節することができる。
【0058】
試料1は、各試料1〜5中で、60℃雰囲気、100℃雰囲気、および125℃雰囲気における各tanδが最も高く、また、Tgは最も低い125℃であった。ここで、試料1,6〜8の温度とtanδの関係を図1に示すように、シリンダヘッドカバーの常用温度域(60〜130℃)の全域において、試料1は、試料6〜8よりも制振性(特に常用温度域内の高温側の制振性)が優れており、シリンダヘッドカバー用材料として最適である。
【0059】
また、試料2〜5のTg(それぞれ134℃、149℃、158℃、176℃)は、シリンダヘッドカバーの常用温度域よりも高いが、125℃雰囲気のtanδは0.068〜0.097であり、比較例中で最も制振性が良好な比較例2の試料7と同等又は同等以上の制振性を有している。ここで、シリンダヘッドカバーが晒される最高温度は通常150℃以下であるため、試料2〜5の中でも、Tgが150℃以下である試料2,3がシリンダヘッドカバー用材料として適している。
【0060】
これに対して、比較例1の試料6は、tanδの最高値だけを比較すると、比較例2の試料7と殆ど変わらないが、Tgが200℃であり、シリンダヘッドカバーの常用温度域よりもかなり高い。このため、200℃前後温度域における制振性は良好であるものの、シリンダヘッドカバーの常用温度域における制振性は良好でない。
【0061】
また、比較例3の試料8は、tanδの最高値が0.046と全試料中で最も小さく、また、Tgが78℃と最も低い。ここで、シリンダヘッドカバーの常用温度域内の低温側の制振性は、比較例1の試料6よりも良好であるものの、常用温度域全域で評価すると制振性はあまり良好ではない。
【0062】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0063】
尚、本発明の制振性樹脂組成物は、上述したようにシリンダーヘッドカバーのみにその用途が限定されるものではなく、その他の音及び振動を防ぐための成形品に適用することができることは言うまでもなく、例えば、エンジンのカバー類(シリンダヘッドカバーのカバー、オイルパン及びそのカバー、タイミングギヤケースカバー、ポンプ類のカバー等)、車両の内・外装部品(エンジンフード、フロントリッド、ダッシュロアー等のパネル等)が想定される。また、車両以外の用途として、バスタブ(浴槽)等も挙げられる。
【0064】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、オルソ系不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物、又はイソ系不飽和ポリエステル樹脂にオルソ系不飽和ポリエステル樹脂を混合してなる不飽和ポリエステル樹脂分を主成分とする樹脂組成物とすることで、100℃雰囲気のtanδが0.064以上で、かつ、120〜150℃の範囲でガラス転移点温度を自在に調節することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の試料1,6〜8における温度と正接損失(tanδ)との関係を示す図である。
【図2】 従来のシリンダヘッドカバー用材料における温度と動的複素弾性率(E*)および温度と正接損失(tanδ)との関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 不飽和ポリエステル樹脂分を主成分とし、60〜130℃の温度域で制振性が要求されるエンジン用カバーに用いられる制振性樹脂組成物において、上記不飽和ポリエステル樹脂分としてオルソ系不飽和ポリエステル樹脂を含有し、その成形品が100℃雰囲気のtanδが0.064以上、ガラス転移点温度Tgが120〜150℃であることを特徴とする制振性樹脂組成物。
  2. 不飽和ポリエステル樹脂分を主成分とし、60〜130℃の温度域で制振性が要求されるエンジン用カバーに用いられる制振性樹脂組成物において、上記不飽和ポリエステル樹脂分としてイソ系不飽和ポリエステル樹脂オルソ系不飽和ポリエステル樹脂を重量比(オルソ系不飽和ポリエステル樹脂/イソ系不飽和ポリエステル樹脂)60/40〜100/0の範囲で混合してなり、その成形品が100℃雰囲気のtanδが0.064以上、ガラス転移点温度Tgが120〜150℃であることを特徴とする制振性樹脂組成物。
  3. 請求項1記載の制振性樹脂組成物で成形してなることを特徴とするエンジン用制振カバー
  4. 請求項2記載の制振性樹脂組成物で成形してなることを特徴とするエンジン用制振カバー
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