JP2606311B2 - 染色された高屈折率プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

染色された高屈折率プラスチックレンズの製造方法

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JP2606311B2
JP2606311B2 JP63199290A JP19929088A JP2606311B2 JP 2606311 B2 JP2606311 B2 JP 2606311B2 JP 63199290 A JP63199290 A JP 63199290A JP 19929088 A JP19929088 A JP 19929088A JP 2606311 B2 JP2606311 B2 JP 2606311B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は眼鏡用レンズ、カメラ用レンズなどに好適に
使用される反射防止膜を有する染色された高屈折率プラ
スチックレンズの製造方法に関するものである。
[従来の技術] 従来から、樹脂の屈折率を上げるために樹脂中の主鎖
および/または側鎖への芳香環の導入がなされてきてい
る。そのような樹脂は、染色しようとした場合、従来の
染色方法では染色が困難であるといった問題を有してい
た。また、かかる樹脂は、高い屈折率を有する反面、表
面硬度が低く傷つきやすい欠点があるため、表面をハー
ドコートで被覆することが試みられている。
また、特開昭63−44620号公報には、三次元架橋され
た高屈折率プラスチックレンズをキャリヤー染色する方
法が提案されている。
しかしながら、この方法においても、染色は可能であ
るが、ハードコート加工や反射防止加工などの加工時に
色が落ちる欠点がある。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、かかる従来技術の欠点を解消しようとする
ものであり、染色性が良好で、かつ、色落ちすることな
く、ハードコート加工、反射防止加工がなされた高屈折
率プラスチックレンズの製造方法を提供することを目的
とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は上記目的を達成するために下記の構成を有す
る。
「シリコーン系ハードコート被膜を有するい芳香族含
有熱硬化性樹脂を、下記の染色液に浸漬して染色した
後、該被膜上に無機物からなる反射防止膜を設けること
を特徴とする染色された高屈折率プラスチックレンズの
製造方法。
染色液:液組成物中の水100重量部に対し、芳香環を
有する有機溶剤を0.01〜50重量部と、染料0.01〜10重量
部とを少なくとも含有してなる染色液。」 本発明におけるシリコーン系ハードコート被膜とは、
少なくとも−Si−O−Si−結合を有し、かつ3次元架橋
した化合物からなる、高硬度な被膜であり、本発明にお
ける染色方法で十分に実用性あるレベルに染色可能なも
のであればとくに限定されない。特に下記一般式(I)
で表わされる有機ケイ素化合物および/またはその加水
分解物から得られる被膜であることが好ましい。
R1aR2bSiX4-a-b (I) (式中、R1、R2は各々アルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、ハロゲン、エポキシ基、グリシドキシ基、アミ
ノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基およびシアノ
基から選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭化水
素基、Xは加水分解性基であり、aおよびbは0または
1である。) 一般式(I)で示される化合物の具体的な代表例とし
ては、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロ
ピルシリケート、i−プロピルシリケート、n−ブチル
シリケート、sec−ブチルシリケートおよびt−ブチル
シリケートなどのテトラアルコキシシラン類、およびそ
の加水分解物さらにはメチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシ
ラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキ
シシラン、メチルトリクロルシラン、エチルトリメトキ
シシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリア
セトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシ
ラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエト
キシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラ
ン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシ
シラン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメチルト
リメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、
グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシ
メチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルト
リメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラ
ン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシ
ドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、
α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリ
シドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシ
ブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラ
ン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,
4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシ
シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル
トリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシランなどのト
リアルコキシシラン、トリアシルオキシシラントリハロ
ゲノシランまたはトリフェノキシシラン類またはその加
水分解物およびジメチルジメトキシシラン、フェニルメ
チルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フ
ェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエ
トキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタ
クリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メ
タクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラ
ン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチ
ルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチル
ジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメ
トキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシ
ラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラ
ン、などジアルコキシシランまたはジアルシルオキシシ
ラン類またはその加水分解物がその例である。
これらの有機ケイ素化合物は1種または2種以上添加
することも可能である。とくに染色速度の向上、耐衝撃
性向上の目的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有
機ケイ素化合物の使用が好適である。
これらの有機ケイ素化合物はキュア温度を下げ、硬化
をより進行させるためには加水分解して使用することが
好ましい。
加水分解は純水または塩酸、酢酸あるいは硫酸などの
酸性水溶液を添加、撹拌することによって製造される。
さらに純水、あるいは酸性水溶液の添加量を調節するこ
とによって加水分解の度合をコントロールすることも容
易に可能である。加水分解に際しては、一般式(I)の
X基と等モル以上、3倍モル以下の純水または酸性水溶
液の添加が硬化促進の点で特に好ましい。
加水分解に際しては、アルコール等が生成してくるの
で、無溶媒で加水分解することが可能であるが、加水分
解をさらに均一に行なう目的で有機ケイ素化合物と溶媒
を混合した後、加水分解を行なうことも可能である。ま
た目的に応じて加水分解後のアルコール等を加熱および
/または減圧下に適当量除去して使用することも可能で
あるし、その後に適当な溶媒を添加することも可能であ
る。これらの溶媒としてはアルコール、エステル、エー
テル、ケトン、ハロゲン化炭化水素あるいはトルエン、
キシレンなどの芳香族炭化水素などの溶媒が挙げられ
る。またこれらの溶媒は必要に応じて2種以上の混合溶
媒として使用することも可能である。また、目的に応じ
て加水分解反応を促進し、さらに予備縮合等の反応を進
めるために室温以上に加熱することも可能であるし、予
備縮合を抑えるために加水分解温度を室温以下に下げて
行なうことも可能であることは言うまでもない。
本発明のハードコート被膜に使用されるコーティング
組成物には、硬化促進、低温硬化などを可能とする目的
で各種の硬化剤が併用可能である。硬化剤としては各種
エポキキ樹脂硬化剤、あるいは各種有機ケイ素樹脂硬化
剤、各種の有機酸およびそれらの酸無水物、窒素含有有
機化合物、各種金属錯化合物あるいは金属アルコキシド
さらにはアルカリ金属の有機カルボン酸塩、炭酸塩など
の各種塩などが挙げられる。これらの硬化剤は2種以上
混合して使用することも可能である。これら硬化剤の中
でも本発明の目的には、塗料の安定性、コーティング後
の塗膜の着色が無いなどの点から、とくに下記に示すア
ルミニウムキレート化合物が有用である。
ここでいうアルミニウムキレート化合物とは、例えば
一般式AlZnY3-nで示されるアルミニウムキレート化合物
である。ただし式中ZはOL(Lは低級アルキル基)、Y
は一般式M1COCH2COM2(M1、M2はいずれも低級アルキル
基)で示される化合物に由来する配位子および一般式M3
COCH2COOM4(M3、M4はいずれも低級アルキル基)で示さ
れる化合物に由来する配位子から選ばれる少なくとも1
つであり、nは0、1または2である。
かかる一般式AlZnY3-nで示されるアルミニウムキレー
ト化合物の具体例としては、各種の化合物をあげ得る
が、組成物への溶解性、安定性、硬化触媒としての効果
などの観点からとくに好ましいのは、アルミニウムアセ
チルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセ
テートモノアセチルアセトネート、アルミニウム−ジ−
n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミ
ニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノメチルアセトア
セテートなどである。これらは2種以上を混合して使用
することも可能である。
本発明のシリコーン系ハードコート被膜組成物には、
塗膜表面の摩擦係数を低下させる目的で各種の界面活性
剤を使用することも可能であり、特にジメチルポリシロ
キサンとアルキレンオキシドとのブロックまたはグラフ
ト共重合体、さらにはフッ素系界面活性剤などが有効で
ある。また染顔料や充填材を分散させたり、有機ポリマ
ーを溶解させて、塗膜を着色させたり、塗布性、被塗布
材との密着性、その他各種物性向上などコーティング剤
としての実用性を改善させることも容易に可能である。
さらに耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤または耐
熱劣化向上法として酸化防止剤を添加することも容易に
可能である。
本発明のシリコーン系ハードコート被膜は、前記コー
ティング組成物を硬化させることによって得られるが硬
化は通常加熱処理することによって行われる。他に紫外
線、電子線などを用いてもよい。なお、加熱処理の場合
の温度は、50〜250℃で充分に良好な結果が得られる。
一方、シリコーン系ハードコート被膜の塗布手段とし
ては、刷毛塗り、浸漬塗り、ロール塗り、スプレー塗
装、スピン塗装、流し塗りなどの通常行なわれる塗布方
法が容易に使用可能である。
本発明のシリコーン系ハードコードを被膜中には耐候
性、とくに屋外暴露による密着性低下の防止、ハードコ
ート被膜の高屈折率化、これは反射干渉縞減少にも有効
であるが、さらには透明性保持などを目的に平均粒子径
が1〜200mμの酸化アンチモン微粒子が好ましく併用使
用される。また、被膜中の好ましい微粒子の含有量は、
10〜75重量%であり、10重量%より少ないと添加効果が
ほとんどなく、また75重量%を超えると被膜のヘーズの
増加、衝撃性の低下などの問題が発生しやすくなる。
また本発明ハードコート被膜中には、耐候性、硬度向
上などを目的に各種化合物の添加が可能である。かかる
添加可能なものの具体例としては各種エポキシ樹脂、ア
クリル系樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系ポ
リマーなどの有機高分子あるいは反応性有機化合物であ
る。さらには酸化ジルコン、酸化チタンなどの酸化アン
チモン以外の無機酸化物微粒子、中でも相溶性、透明性
の点から各種分散媒に分散されたこれらのゾルが好まし
く使用される。
本発明における芳香族含有熱硬化性樹脂上へのシリコ
ーン系ハードコート被膜の形成にあたっては、清浄化、
密着性、耐水性等の向上を目的として各種の前処理を施
すことも有効な手段であり、とくに好ましく用いられる
方法としては活性化ガス処理、薬品処理などが挙げられ
る。
かかる活性化ガス処理とは、常圧もしくは減圧下にお
いて生成するイオン、電子あるいは励起された気体であ
る。これらの活性化ガスを生成させる方法としては、例
えばコロナ放電、減圧下での直流、低周波、高周波ある
いはマイクロ波による高電圧放電などによるものであ
る。
特に減圧下での高周波放電によって得られる低温プラ
ズマによる処理が再現性、生産性などの点から好ましく
使用される。
ここで使用されるガスは特に限定されるものではない
が、具体例としては酸素、窒素、水素、炭酸ガス、二酸
化硫黄、ヘリウム、ネオン、アルゴン、フレオン、水蒸
気、アンモニア、一酸化炭素、塩素、一酸化窒素、二酸
化窒素などが挙げられる。
これらは一種のみならず、二種以上混合しても使用可
能である。前記の中で好ましいガスとしては、酸素を含
んだものが挙げられ、空気などの自然界に存在するもの
であってもよい。さらに好ましくは、純粋な酸素ガスが
密着性向上に有効である。さらには同様の目的で前記処
理に際しては被処理基材の温度を上げることも可能であ
る。
一方、薬品処理の具体例としては苛性ソーダなどのア
ルカリ処理、塩酸、硫酸、過マンガン酸カリウム、重ク
ロム酸カリウムなどの酸処理、芳香環を有する有機溶剤
処理などが挙げられる。
以上の前処理は連続的、または段階的に併用して実施
することも充分可能である。薬品処理の中で、とくに密
着性向上には、重クロム酸カリウム/硫酸の混液が有効
である。
本発明におけるシリコーン系ハードコート被膜の膜厚
は、耐摩耗性の付与の関係から0.5μm〜15μmが好ま
しく適用される。さらに好ましくは1.0μm〜5μmで
ある。
本発明における芳香族含有熱硬化性樹脂とは、最終的
に生成された樹脂が三次元架橋されたもので、かつ樹脂
中の主鎖および/または側鎖に芳香環を有したものであ
ればいかなるものであってもよい。すなわち、2官能以
上の芳香族含有モノマーを通常は注型加熱重合して得ら
れるものであり、芳香族含有モノマー単独で重合して得
られるものであっても、芳香族含有モノマーと他の2官
能以上の芳香族を含まないモノマーとの共重合体であっ
ても何ら問題はない。
上述のごとく、芳香環は高分子鎖中の主鎖に含まれて
いても、側鎖に含まれていても何ら問題はないが、高耐
熱性、高剛性を与える目的には主鎖中に含まれているこ
とが好ましい。一方、樹脂中に含まれる芳香環の量は主
鎖および/または側鎖の両方の総計として定義されるも
のであるが、その含有量としては、樹脂中全体の素原子
100に対して、芳香環の炭素原子数が8〜85であること
が好ましい。すなわち、8未満では芳香環を含ませる意
味、例えば高屈折率化などの効果が発現しない。また、
85を超える場合には耐衝撃性の低下、耐候性の低下など
の問題が出てくる。また、かかる芳香環は塩素、臭素や
ヨウ素などで置換されたハロゲン化物であっても何ら問
題はなく、樹脂の高屈折率化にはかえって好ましく使用
されるものである。中でも塩素および臭素はとくに好ま
しく使用されるものである。
本発明における芳香族含有熱硬化性樹脂を与え得る化
合物の具体例としては、1官能性の単量体として下記一
般式(II)で表されるスチレン誘導体が挙げられる。
(ここで、R′はハロゲン基、メチル基、エチル基、メ
トキシ基、アミノ基、ニトロ基、トリアルキルシリル
基、トリアルコキシシリル基、フェニル基、フェノキシ
基を表し、nは0〜5の整数であり、n≧2の時、R′
は同種であっても、異種であってもよい)。
さらには、1官能性あるいは2官能性の単量体として
使用されるものとしてフェノールまたは各種置換フェノ
ール、あるいはそれらのエチレンオキシドまたはプロピ
レンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸エステル類、
ビスフェノールまたは置換ビスフェノールあるいはそれ
らのエチルンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物
の(メタ)アクリル酸エステル類やジ(メタ)アクリル
酸エステル類、さらには水酸基を有するモノ(メタ)ア
クリル酸エステル類と各種イソシアネート化合物との付
加反応物、ビフェニル骨格を有する(メタ)アクリル酸
エステル類またはジ(メタ)アクリル酸エステル類、ベ
ンジルアルコールまたは各種置換ベンジルアルコール類
の(メタ)アクリル酸エステル類、ジビニルベンゼンま
たは各種置換ジビニルベンゼン類、ナフタレンのビニル
化物、(メタ)アクリルレート化物などのナフタレン誘
導体、さらにはジアリルまたはジメタクリルフタレート
などのフタレート誘導体、さらにはビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが
その具体例として挙げられる。かかる化合物は芳香環を
有するモノマーが1官能性の場合には芳香環を有さない
多官能モノマーと共重合させることによって熱硬化性樹
脂としても何ら問題はない。また、前記芳香環を有する
モノマーは1種のみならず、2種以上を併用して、樹脂
としての特性を向上させることも可能である。
本発明において、染色液中に用いられる芳香環を有す
る有機溶剤は特に限定されないが、沸点が100℃以上の
ものが好ましく使用される。さらに好ましくは、芳香環
にアルコール性水酸基を置換基として有する有機溶剤が
用いられる。これらの有機溶剤の具体的な例としてはベ
ンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フェネチルア
ルコールなどを挙げることができる。これらの有機溶剤
の添加量は水100重量部に対し、0.01〜50重量部の範囲
で使用される。添加量が0.01重量部未満だと添加の効果
がなく、50重量部を超えると染料の分散性や、被染色物
の表面を浸し良好な染色物品が得られない。
また、本発明に使用される染色液中の染料は、水100
重量部に対して0.01〜10重量部の範囲で使用される。染
料が0.01重量部未満の場合には染色に時間がかかるばか
りでなく、十分な染色濃度が得られないという問題があ
る。また、10重量部を超えると染料が染浴の底部に沈降
したり、均一な染浴が得られないなどの問題が起こる。
本発明で使用される染料は樹脂の種類によって適宜選
択されるべきものであり、分散染料、塩基性染料、酸性
染料などが使用される。とくに染料選択の自由度が高
く、染浴安定性が高い、耐光堅牢性が良好などの観点か
ら分散染料が好ましく使用される。分散染料として、好
ましく使用されるものの具体例として、アントラキノン
系染料、キノフタロン系染料、ニトロジフェニルアミン
系染料、アゾ染料からなる微分化タイプの分散染料が挙
げられる。
また本発明において、より染色を均一に行なう目的
で、染色液中に界面活性剤を添加しても何ら問題はな
い。使用可能な界面活性材としては陰イオン界面活性剤
または非イオン系界面活性剤を挙げることができる。
本発明で使用する染料は単独でも使用可能であるが、
2種以上を混合した配合染料でも使用可能である。
本発明の染色方法において、染色時間の短縮、濃染化
を可能ならしめるためには染色浴温度を上げることが好
ましく、とくに80〜90℃が染色浴の安定性の点から好ま
しい。さらにはポリリン酸、有機カルボン酸などの酸性
物質を添加することも好ましい。
本発明は、シリコーン系ハードコート被膜を有する芳
香族含有熱硬化性樹脂を染色し、さらに該シリコーン系
ハードコート被膜上に、無機物からなる反射防止膜を設
けたものであるが、反射防止被膜の形成に際しては、前
もってハードコート被膜に前述の活性化ガス処理、薬品
処理などを施してもよい。中でも、活性化ガスによる表
面処理は真空蒸着、イオンプレーティングなどと分けて
行なうことも可能であるが、同一チャンバー内で行なわ
れることが生産性向上ばかりでなく密着性をより一段と
向上させるのに有効である。かかる活性化ガス処理を適
用する場合には、処理条件としてはシリコーン系ハード
コート被膜の硬化条件、膜厚などによってそれぞれ最適
化されるべきであり、実験的に定められるべきものであ
る。
本発明の無機物からなる反射防止膜は、単層であって
も多層であってもよいが、反射防止効果の点から2層以
上の多層膜が好ましく適用される。
かかる反射防止膜を形成する物質としては、本質的に
硬度の高い無機物が好ましく使用され金属、金属または
半金属の酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化
物、窒化物、硫化物などが挙げられる。
金属または半金属の酸化物としては、SiO、SiO2、Zro
2、Al2O3、TiO2、Ti2O3、Y2O3、Yb2O3、MgO、Ta2O5、Ce
O2、HfO2などが挙げられる。金属または半金属のフッ化
物としては、MgF2、AlF3、BaF2、Na3AlF6、CaF2、Na5Al
F14などが挙げられる。金属または半金属の窒素化物と
しては、Si3N4などが挙げられる。金属としてはCr、
W、Taなどが挙げられる。これらの物質は一種のみなら
ず2種以上を混合して使用することも可能である。
前記物質を単層または多層の反射防止膜として形成さ
せる方法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオン
プレーティング法、イオンビームアシスト法などが挙げ
られる。
[実施例] 以下に実施例をあげて詳細に説明するが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
実施例1 (1) 芳香族含有熱硬化樹脂の作成 テトラブロムビスフェノールAのエチレンオキサイド
2モル付加体に1モルのアクリル酸エステル化により結
合させた水酸基含有化合物1モルに対し、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートを0.9モル付加させた多官能アクリ
レートモノマーを含むモノマー70部とスチレン30部をイ
ソプロピルパーオキサイドを重合開始剤としてキャスト
重合した。
(2) シリコーン系ハードコート被膜を有する芳香族
含有熱硬化性樹脂の作成 (a)ハードコート剤の調製 回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン79部とr−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン34.2部を仕込み、マグネチックス
ターラーで撹拌しながら0.05規定塩酸水溶液23部を液温
を10℃に保ちながら徐々に滴下し、滴下終了後さらにメ
タノール255.8部、五酸化アンチモンゾル(日産化学社
製商品名アンチモンゾルA−2550)160部、シリコーン
系界面活性剤0.8部、アルミニウムアセチルアセトネー
ト8部を添加し、充分撹拌した後、ハードコート剤を得
た。
(b)コーティング 前記(1)によって得られた被コーティング樹脂を酸
素ガスプラズマで3分間処理したのち、前記(a)で調
製したハードコート剤を引き上げ速度10cm/分の条件で
被コーティング樹脂に浸漬塗布し、次いで82℃/12分の
予備硬化を行ないさらに110℃/4時間加熱してシリコー
ン系ハードコート被膜を有する樹脂を作成した。
(3) 染色 Dianix Yellow 5R−E(三菱化成社製)1.1g、Kayalo
n polyester Light Red BL−SE(日本化薬社製)1.6g、
Kayalon polyester Blue GR−E(日本化薬社製)2.5g
および界面活性剤15g、ベンジルアルコール30gを水1
に分散させ、染色浴としよくかきまぜながら93℃に加熱
した。(2)で得た樹脂を染色浴に20分間浸漬し染色を
行なった。
着色した樹脂を染色浴から取り出しカラーコンピュー
ター(スガ試験機製)で全光線透過率を測定した。染色
前と染色後の全光線透過率の差は60%で濃色に染色され
ている。
(4) 反射防止被膜の形成 さらにこの着色した樹脂上に無機物質のZrO2、Ta
2O5、SiO2を真空蒸着法でこの順序に多層被覆させた。
真空蒸着前後の色変化をカラーコンピューターで測定し
たがほとんど色変化もなく良好である。
比較例1 染色浴にベンジルアルコールを添加しない以外は、実
施例1と同様にして染色を行なったところ、ほとんど染
色されず染色前後の全光線透過率の差は5%であった。
比較例2 実施例1において、芳香族含有熱硬化性樹脂を染色
し、その後シリコーン系のハードコートをコーティング
したところ、コーティング液に含まれる溶剤により、染
料が溶出し、樹脂の色相が染色時と異なるものになっ
た。
[発明の効果] 本発明の方法によれば、芳香族含有熱効果性樹脂を容
易に染色することができ、また、色相を変化させること
なしにハードコート被覆された、高屈折率プラスチック
レンズを提供することができた。
さらに、染色が落ちることなく、反射防止被膜を設け
ることもでき、反射防止性についても優れた性能を有す
る高屈折率プラスチックレンズを提供することができ
た。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーン系ハードコート被膜を有する芳
    香族含有熱硬化性樹脂を、下記の染色液に浸漬して染色
    した後、該被膜上に無機物からなる反射防止膜を設ける
    ことを特徴とする染色された高屈折率プラスチックレン
    ズの製造方法。 染色液:液組成物中の水100重量部に対し、芳香環を有
    する有機溶剤を0.01〜50重量部と、染料0.01〜10重量部
    とを少なくとも含有してなる染色液。
  2. 【請求項2】シリコーン系ハードコート被膜が、平均粒
    子径1〜200mμの酸化アンチモン微粒子を10〜75重量%
    含有する被膜であることを特徴とする請求項(1)記載
    の染色された高屈折率プラスチックレンズの製造方法。
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