JPH0760856A - 反射防止物品およびその製造方法 - Google Patents

反射防止物品およびその製造方法

Info

Publication number
JPH0760856A
JPH0760856A JP5213949A JP21394993A JPH0760856A JP H0760856 A JPH0760856 A JP H0760856A JP 5213949 A JP5213949 A JP 5213949A JP 21394993 A JP21394993 A JP 21394993A JP H0760856 A JPH0760856 A JP H0760856A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
antireflection
fluorine
reflection
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5213949A
Other languages
English (en)
Inventor
Shunji Kono
俊司 河野
Tadayoshi Matsunaga
忠與 松永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP5213949A priority Critical patent/JPH0760856A/ja
Publication of JPH0760856A publication Critical patent/JPH0760856A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 (1) フッ素含有無機化合物からなる層と、それに隣接す
る、チタン、タンタル、マグネシウム、プラセオジムお
よびそれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含有
する層とを含む反射防止層を有することを特徴とする反
射防止物品。 (2) 基板上に、フッ素含有無機化合物からなる層と、該
フッ素含有無機化合物からなる層上に直接設けられた、
チタン、タンタル、マグネシウム、プラセオジムおよび
それらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する
層との少なくとも2層を含む反射防止層を設けた反射防
止物品の製造方法であって、該2層が、蒸着面をイオン
ビームで処理することにより設けられることを特徴とす
る反射防止物品の製造方法。 【効果】本発明の反射防止物品は、以下の効果を有す
る。 (1)優れた反射防止性能を有する。 (2)高い表面硬度を有する。 (3)耐久性に優れた反射防止物品が得られる。 (4)優れた耐熱水性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に優れた反射防止特
性を有する物品に関するものであり、優れた表面硬度、
染色性、耐熱性、耐熱水性、耐湿熱性、耐衝撃性などを
有することから、光学レンズ、CRT、LCD、プラズ
マディスプレーなどの前面板やフィルターなどに好まし
く使用される。
【0002】
【従来の技術】現在、プラスッチクやガラス基体上への
反射防止膜の形成方法としては、有機シラン化合物、無
機微粒子などからなるコーティング剤を多層被覆せしめ
る化学的手法、あるいは無機酸化物やフッ素含有無機化
合物を真空蒸着やスパッタリングで多層被覆せしめる手
法が一般的である。しかしながら、化学的手法において
はまだ十分な反射防止特性が得られていないのが現状で
ある。化学的手法に比べ、物理的手法は反射防止性に優
れていることが知られており、特開平4−74681号
公報にはプラスチック基板を用い、二酸化ケイ素および
その上にフッ化マグネシウムを蒸着する技術が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】より高い反射防止特性
を得るためにはフッ素含有無機化合物の使用が必須とな
る。しかし、特開平4−74681号公報に開示の技術
では成膜に際して高温条件がとれず、そのために得られ
た反射防止層の表面硬度は低く、また、耐久性に乏し
く、例えば温水浸漬などで被膜が剥離するという大きな
問題を有していた。また、現在、プラスチック基板を用
い上市されている製品においては基板の耐熱性が低いた
め、高い蒸着温度がとれず、膜の耐久性に問題がありフ
ッ化マグネシウムは用いられていない。
【0004】本発明は、上記従来技術の問題点を解決し
ようとするものであり、フッ素含有無機化合物の隣接層
に接着性の高い層を配置することにより、低い蒸着温度
で優れた耐熱水性、耐熱性、表面硬度、反射防止特性を
有する反射防止物品およびその製造方法を提供するもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、 「(1) フッ素含有無機化合物からなる層と、それに隣接
する、チタン、タンタル、マグネシウム、プラセオジム
およびそれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含
有する層とを含む反射防止層を有することを特徴とする
反射防止物品。
【0006】(2) 基板上に、フッ素含有無機化合物から
なる層と、該フッ素含有無機化合物からなる層上に隣接
した、チタン、タンタル、マグネシウム、プラセオジム
およびそれらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含
有する層との少なくとも2層を含む反射防止層を設けた
反射防止物品の製造方法であって、該反射防止層が、蒸
着面をイオンビームで処理することにより設けられた層
を含むことを特徴とする反射防止物品の製造方法。」に
関するものである。
【0007】本発明における反射防止層は、フッ素含有
無機化合物からなる層と、それに隣接する、チタン、タ
ンタル、マグネシウム、プラセオジムおよびそれらの化
合物から選ばれる少なくとも1種を含む層との2層を少
なくとも含んだ層である。
【0008】フッ素含有無機化合物とはフッ素を含有し
てなる無機系化合物であれば特に限定されるものではな
い。その具体例としてはフッ化リチウム、フッ化アルミ
ニウム、フッ化マグネシウム、クリオライト、チオライ
ト、フッ化ネオジム、フッ化ナトリウム、フッ化鉛、フ
ッ化サマリウム、フッ化ストロンチウムなどが挙げられ
る。中でも、入手の容易さ、膜の耐久性、屈折率の低さ
などの点からフッ化マグネシウムが好ましく用いられ
る。
【0009】チタン、タンタル、マグネシウム、プラセ
オジムおよびそれらの化合物から選ばれる少なくとも1
種を含む層としては、酸化チタン層、酸化タンタル層、
酸化マグネシウム層、酸化プラセオジム層、酸化チタン
と酸化プラセオジムの混合層などの前記物質の酸化物あ
るいはそれらの混合物からなる層、また、酸化チタンと
金属タンタルからなる層、酸化タンタルと金属タンタル
からなる層などの前記物質を少なくとも1種含む層など
が挙げられる。
【0010】また、その他の反射防止層構成物質は特に
限定されるものではない。その他の反射防止層構成物質
としては、例えば、一酸化珪素、二酸化珪素、酸化ジル
コニウム、酸化アルミウム、酸化イットリウム、酸化イ
ッテルビウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ス
ズ、ITOなどの無機酸化物、窒化珪素などの無機窒化
物などが挙げられる。また、反射防止性能の向上の観点
から、フッ素含有化合物からなる被膜を反射防止層の最
表層に設けることが好適である。また、表面硬度の向
上、反射防止性能の向上、耐久性向上の観点から、フッ
素含有無機化合物の中でもとりわけフッ化マグネシウム
が好ましく用いられる。
【0011】本発明において反射防止層の被覆方法は、
特に限定されるものではないが被覆面との接着強度、膜
密度向上の観点から真空雰囲気下での形成手段が好まし
く、真空蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、イオン
プレーティング法、スパッタリング法が好ましく、特に
硬度向上、膜密度向上には、イオンビームアシスト蒸着
が有効である。ここで、イオンビームアシスト蒸着法と
は、蒸着法により薄膜を形成する際、何らかのイオンを
同時に照射する方法を意味する。
【0012】また、膜の密着性を向上させるため、蒸着
前に蒸着面を前処理することも可能である。前処理方法
とは特に限定されるものではないが、薬品処理、プラズ
マ処理、イオンビーム処理(以下、イオンビームを用い
た前処理をイオンビームクリーニングと称する。)など
が好ましく用いられ、特に効果の高いイオンビームクリ
ーニング処理がより好ましく用いられる。
【0013】また、無機被膜からなる反射防止層成膜中
の温度は、より高温であることが好ましく、具体的に
は、80℃以上、とくに耐久性向上の観点から130℃
以上であることが好ましい。80℃未満では、温水浸漬
処理などによって無機被膜からなる反射防止層が剥離す
る傾向がある。
【0014】また、反射防止層の成膜温度は基板の反
り、歪みなどの変形の観点から基板のガラス転移温度よ
り低いことが好ましく、ガラス転移温度より5℃以上低
ければさらに変形が起こりにくく、より好ましく用いら
れる。
【0015】本発明の反射防止膜多層膜における膜構成
の組合せあるいは、膜厚の設定などは、架橋樹脂の屈折
率、硬化被膜の屈折率などによって最適な組合せは異な
るが、反射防止性能に関しては、すでに多くの組合せが
提案されており(光学技術コンタクト Vol 9, No. 8.17
〜23. (1971), 'OPTICS OF THIN FILMS' 159〜283. A.V
ASICEK (NORTHHOLLAND PUBLISHING COMPANY) AMSTERDAM
(1960))、本発明においてもこれらの組合せを用いるこ
とは何ら問題もない。
【0016】また、反射防止層の構成物質として、静電
気防止の観点から酸化スズと酸化インジウムの混合物
(Indium Tin Oxide、以下、ITOと略す)層を入れる
ことは有用な手段の1つである。
【0017】本発明において基板は特に限定されるもの
ではない。反射防止層の成膜温度の点からガラス転移温
度が150℃以上のものが好ましく用いられ、170℃
以上のガラス転移温度を持つ物であれば、耐熱性がさら
に良好となりより好ましく用いられる。ここで、ガラス
転移温度とは、理化学辞典 第3版(岩波書店、197
1)に定義されているもの意味し、転移領域においては
弾性率、膨脹率、熱容量、屈折率、誘電率などの諸特性
が変化する。これらの特性の変化からガラス転移温度の
測定が可能であり、具体的には示差走査熱量分析(DS
C)などによる公知の手法により評価できる(例えばJ
IS K7121)。示差走査熱量分析によるガラス転
移温度の測定の場合、基板自体あるいはそれを加熱処理
したものを評価することによりガラス転移温度を求める
ことができる。
【0018】また、基板の機械的特性は、曲げ弾性率を
指標として表した場合、好ましくは200kg/mm2 であ
り、より好ましくは330 kg/mm2 以上である。
【0019】基板の成分としては、例えばポリメタクリ
ル酸、ポリカルボキシフェニルメタクリルアミドなどの
ポリメタクリル酸系樹脂やポリ(ビフェニル)スチレン
などのポリスチレン系樹脂などに代表されるポリオレフ
ィン系樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンオキシド)に代表されるポリエーテル系樹脂、ポリ
(オキシカルボニルオキシ−1,4−フェニレンイソプ
ロピリデン−1,4−フェニレン)に代表されるポリカ
ーボネート系樹脂、ポリ(オキシ−2,2,4,4−テ
トラメチル−1,3−シクロブチレンオキシテレフタロ
イル)に代表されるポリエステル系樹脂、ポリ(オキシ
−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレ
ン)、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンイソプロピリ
デン−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレン
スルホニル−1,4−フェニレン)などに代表されるポ
リスルホン系樹脂、ポリ(イミノイソフタロイルイミノ
−4,4´−ビフェニレン)に代表されるポリアミド系
樹脂、ポリ(チオ−1,4−フェニレンスルホニル−
1,4−フェニレン)に代表されるポリスルフィド系樹
脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラ
ミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系
樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフォスファゼン系樹脂な
どを挙げることができ、これらの高分子群において三次
元架橋構造を導入して上記熱的特性を示す三次元架橋樹
脂を得ることが可能である。特に、成型性の観点からポ
リオレフィン系樹脂が好ましく、不飽和基を2個以上有
する多官能単量体を含有してなる組成物を重合してなる
ポリオレフィン系共重合体がより好ましく用いられる。
また、無機系基板としてはガラスやシリコンなどが好ま
しく用いられる。
【0020】上記ポリオレフィン系共重合体としては、
一般式(A)で表される単量体を20〜98重量%、お
よび不飽和基を2個以上有する多官能単量体を2〜80
重量%含有し、かつ、該一般式(A)で表される単量体
と該不飽和基を2個以上有する多官能単量体との合計重
量割合が、30重量%以上である組成物を重合してなる
共重合体が好ましく用いられる。
【0021】
【化2】 (式中、R3 は水素、炭素数1〜20の炭化水素基から
選ばれる置換基を表わす。R1 、R2 は水素、メチル基
およびエチル基から選ばれる置換基を表わす。)一般式
(A)で表されるマレイミド誘導体化合物に含まれるR
1 とR2 については、それぞれが同種であっても、異種
であってもよい。
【0022】R3 が炭化水素基である場合、具体例とし
ては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、
オクタデシル基などの直鎖状アルキル基、イソプロピル
基、sec-ブチル基、tert- ブチル基、イソペンチル基な
どの分枝状アルキル基、シクロヘキシル基、メチルシク
ロヘキシル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、メ
チルフェニル基などのアリール基、ベンジル基、フェネ
チル基などのアラルキル基など各種の例を挙げることが
できる。
【0023】さらに、R1 、R2 およびR3 は、フッ
素、塩素、臭素などのハロゲノ基、シアノ基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アル
コキシ基などの各種置換基で置換されたものであっても
よい。
【0024】一般式(A)で示される化合物の具体例と
しては、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−o−メチルフェニル
マレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−
p−メチルフェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフ
ェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイ
ミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メ
トキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニル
マレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド、N
−o−クロロフェニルマレイミド、N−m−クロロフェ
ニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド、
N−o−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−カル
ボキシフェニルマレイミド、N−p−ニトロフェニルマ
レイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシル
マレイミド、N−イソプロピルマレイミドなどが挙げら
れる。
【0025】これらの単量体は、1種で、あるいは、2
種以上の混合物として用いてもよい。また、かかるマレ
イミド化合物の中でも耐熱性テスト後の黄変、耐候性の
点からは、とくにアルキルマレイミド、シクロアルキル
マレイミドが好ましく、とくにN−イソプロピルマレイ
ミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。さら
には、キャスト重合時のモノマ溶液の調製の容易さ、お
よび前記特性を満足させ得るという点から、N−イソプ
ロピルマレイミドとN−シクロヘキシルマレイミドなど
のN−アルキルマレイミドとN−脂環式アルキルマレイ
ミドの併用が最も好ましい。併用時のN−アルキルマレ
イミドとN−脂環式アルキルマレイミドの比率は、不飽
和基を2個以上有する多官能単量体の種類、量などによ
り、適宜、実験的に定められるべきものであるが、通常
は併用の効果を発現させるためには、N−アルキルマレ
イミド100重量部に対して、N−脂環式マレイミドを
10重量部から500重量部の範囲で使用することが好
ましい。
【0026】次いで、不飽和基を2個以上有する多官能
単量体について説明する。すなわち、不飽和基を2個以
上有する多官能単量体とは、前記マレイミドと共重合可
能な不飽和官能基を2個以上有するモノマであり、共重
合可能な官能基としては、ビニル基、メチルビニル基、
アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。また、一
分子中に異なる共重合可能な官能基が2個以上含まれる
モノマも本発明で言うところの多官能単量体に含まれ
る。
【0027】以上のような不飽和基を2個以上有する多
官能単量体の好ましい具体例としては、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、グリセロール(ジ/トリ)(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパン(ジ/トリ)
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ジ/ト
リ/テトラ)(メタ)アクリレートなどの多価アルコー
ルのジ−,トリ−,テトラ−(メタ)アクリレート類、
p−ジビニルベンゼン、o−ジビニルベンゼンなどの芳
香族多官能モノマ、(メタ)アクリル酸ビニルエステ
ル、(メタ)アクリル酸アリルエステルなどのエステル
類、ブタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエンなどのジ
エン類、ジクロロホスファゼンを原料として重合多官能
基を導入したホスファゼン骨格を有するモノマ、トリア
リルジイソシアヌレートなどの異原子環状骨格を有する
多官能モノマなどが挙げられる。
【0028】上記ポリオレフィン系共重合体中には、前
述の一般式(A)で表わされる単量体が20〜98重量
%含有されていることが好ましいが、20重量%未満の
場合には充分な耐熱性、機械的強度、光学等方性などの
特性を満足させることができない。また、98重量%を
越える場合には、架橋度が低下し、耐溶剤性、低吸水率
化などを満足することができない。さらに、30〜80
重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜
60重量%である。
【0029】一方、不飽和基を2個以上有する多官能単
量体は、三次元架橋重合体中に2〜80重量%の割合で
含有されていることが好ましい。2重量%未満の場合は
三次元架橋が充分に進行しない傾向があり、耐熱性、耐
溶剤性などの低下が認められる。また、80重量%を越
えると、耐衝撃性などが低下し、プラスチックとしての
特性が低下する傾向がある。
【0030】さらに、上記ポリオレフィン系共重合体中
には、機械的強度の向上、光学等方性向上、高屈折率
化、低吸水率化、染色性向上、耐熱性向上、耐衝撃性向
上などを目的として、各種の共重合可能なモノマが好ま
しく併用される。かかる併用可能なモノマとしては、芳
香族ビニル系単量体、オレフィン系ビニル単量体、(メ
タ)アクリル酸およびそのエステル系単量体、多価カル
ボン酸無水物などが挙げられる。かかる芳香族ビニル系
単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、ビニルトルエン、クロロスチレンおよびブロモスチ
レンなどが挙げられる。通常は、性能および工業的に入
手し易いなどの点からスチレン、α−メチルスチレンお
よびp−メチルスチレンなどが用いられる。また、その
他のビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、メタク
リル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベン
ジル、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリ
ル酸(エステル)系単量体、無水マレイン酸などが好ま
しい具体例として挙げられる。
【0031】上記ポリオレフィン系共重合体における一
般式(A)で表されるモノマと、不飽和基を2個以上有
する多官能単量体との合計含有量は、三次元架橋樹脂
中、30重量%以上であることが好ましく、さらに好ま
しくは40重量%以上である。すなわち、30重量%未
満では、透明性、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性などが不
充分となる傾向がある。
【0032】本発明における基板には、耐光性、耐酸化
劣化性、帯電防止性を向上させる目的から各種紫外線吸
収剤、酸化防止剤、帯電防止剤を添加することも有用で
ある。とくに耐薬品性や耐熱性を低下させずに、これら
の性能を向上させることが可能なことから紫外線吸収
性、あるいは、酸化防止性を有するモノマを共重合する
ことが好ましい。かかるモノマの好ましい例としては、
不飽和二重結合を有するベンゾフェノン系紫外線吸収
剤、不飽和二重結合を有するフェニルベンゾエート系紫
外線吸収剤、ヒンダードアミノ基を置換基として有する
(メタ)アクリルモノマなどが挙げられる。これらの共
重合モノマは0.5〜20重量%の範囲で使用されるこ
とが好ましい。0.5重量%未満の場合には添加効果が
認められず、また、20重量%を越える場合には、耐熱
性、機械的強度などが低下する傾向がある。
【0033】また、本発明における基板には光線透過率
の調整、特定波長光の吸収のため染料を添加することも
有用である。前記染料とは特に限定されるものではな
く、また、2種以上混合して用いても良い。
【0034】本発明の基板の重合方法に関しては、特に
制限はなく、通常公知の方法で重合することができる。
基板がポリオレフィン系共重合体の場合、ラジカル発生
性開始剤の存在下または非存在下に上記の単量体混合物
を所定の温度条件下に保つことによって重合することが
できる。塊状重合、溶液重合、懸濁重合および注型重合
等各種の方法を用いることができる。本発明の基板の重
合度に関しては、特に制限はないが、重合率は高い方が
好ましく、硬化被膜などの溶液コーティング、真空蒸着
などの後加工を考慮すると90%以上が好ましい。
【0035】また、本発明の基板の成形法に関しても特
に制限はないが、効果的な成形法としては、注型重合法
が挙げられる。
【0036】また、本発明においては、耐乾熱性、耐湿
熱性、耐熱水性、表面硬度向上などの観点から、基板に
硬化被膜を設けることが好ましい。硬化被膜と基板との
屈折率差が0.5以下のものが好ましく用いられ、干渉
縞の影響をより少なくするために、基板との屈折率差が
0.1以下のものがより好ましく用いられる。干渉縞が
極少ない高品質な反射防止性を得るためには基板との屈
折率差が0.05以下に設定することが好適である。ま
た、特に干渉縞発生を抑えることが必要な用途において
は屈折率差が0.02以下のものを用いることが好まし
い。また、作成した反射防止物品の分光反射特性にリッ
プルが発生しないようにするために硬化被膜と基板の屈
折率差が0.1以下のものが好ましく、リップルの極少
ない高品質な反射防止特性を得るためには基板との屈折
率差が0.05以下に設定することが好適である。ま
た、特に分光反射特性にリップルが発生しないようにす
る必要がある用途においては屈折率差が0.02以下の
ものを用いることが好ましい。 硬化被膜とは有機高分
子を主成分としてなるものが好ましく用いられる。ここ
で有機高分子とは特に限定されるものではない。有機高
分子の具体例としては、アクリル系樹脂、シリコーン系
樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系
樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース類、ポリビニ
ルアルコール系樹脂、尿素樹脂、ナイロン樹脂、ポリカ
ーボネート系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹
脂はそれぞれ単独での使用あるいは2種以上を併用する
ことが可能であり、さらに各種硬化剤、架橋剤などを用
いて三次元架橋することも可能である。特に表面硬度が
重要な用途には、硬化可能な樹脂であることが好まし
く、例えばアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキ
シ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂などの
単独系ないしは複合系が好ましく使用される。また、表
面硬度、耐熱性、耐薬品性、透明性などの諸特性を考慮
した場合では、シリコーン系樹脂を用いることが好まし
く、より好ましくは、下記一般式(B)で示される有機
ケイ素化合物ないしはその加水分解物から得られるポリ
マを挙げることができる。
【0037】 R4 a 5 b SiX4-a-b (B) (ここで、R4 は炭素数1〜10の有機基であり、R5
は炭素数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素
基、Xは加水分解性基であり、aおよびbは0または1
であり、(a+b)は0、1または2である。) 一般式(B)で示される有機ケイ素化合物の例として
は、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピ
ルシリケート、iso−プロピルシリケート、n−ブチ
ルシリケート、sec−ブチルシリケート、およびt−
ブチルシリケートなどのテトラアルコキシシラン類、お
よびその加水分解物さらにはメチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエ
トキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルト
リプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセ
トキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、
クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエ
トキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシ
エチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルト
リメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキ
シシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノ
キシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラ
ン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−
グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシド
キシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエ
トキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシ
ラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、
(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキ
シシラン、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル
トリエトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β
−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロ
ポキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリブトキシシラン、β−(3、4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシエトキシシラ
ン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リフェノキシシラン、γ−(3、4−エポキシシクロヘ
キシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3、4−
エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラ
ン、δ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)ブチルト
リメトキシシラン、δ−(3、4−エポキシシクロヘキ
シル)ブチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシ
シラン、トリアシルオキシシラン、またはトリフェノキ
シシラン類またはその加水分解物およびジメチルジメト
キシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジア
セトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエト
キシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチ
ルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシ
ラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グ
リシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシ
ドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキ
シエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエ
チルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチル
メチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポ
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルメトキシエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェ
ノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアセ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシ
ランなどのジアルコキシシラン、ジフェノキシシランま
たはジアシルオキシシラン類またはその加水分解物がそ
の例である。
【0038】これらの有機ケイ素化合物は1種または2
種以上添加することも可能である。とくに染色性を付与
する目的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有機ケ
イ素化合物の使用が好適であり、高付加価値なものとな
る。
【0039】これらの有機ケイ素化合物は、キュア温度
を下げ、硬化をより促進させるために加水分解して使用
することが好ましい。加水分解は純水または塩酸、酢
酸、あるいは硫酸などの酸性水溶液を添加、撹拌するこ
とによって製造される。さらに、純水あるいは酸性水溶
液の添加量を調節することによって加水分解の度合いを
コントロールすることも容易に可能である。
【0040】該硬化被膜は、耐擦傷性、耐熱性の向上を
目的として微粒子無機酸化物を添加することが好まし
い。微粒子無機酸化物は1種または2種以上混合して用
いることが可能であり、とくに限定されないものの、作
業性の観点からコロイド状に分散したゾルが好ましく用
いられる。その具体例としては、シリカゾル、チタニア
ゾル、酸化アンチモンゾル、アルミナゾルなどが挙げら
れる。微粒子無機酸化物の形状や粒子サイズは特に限定
されるものではない。
【0041】基板上に硬化被膜を設ける際の基板の前処
理方法は特に限定されるものではないが、溶液処理、プ
ラズマ処理、紫外線処理、イオンビームクリーニング処
理などが用いられる。特に処理効果、経済性、作業の容
易さなどの点からプラズマ処理、溶液処理などが好まし
くもちいられ、中でもアルカリ処理などが好ましく用い
られる。ここでアルカリ処理液には、アルカリ以外に界
面活性剤および/または有機溶媒および/または触媒な
どが加えられていても良い。ここで、触媒とは、処理効
果を高めるものであり、特に限定されるものではない。
【0042】硬化被膜を設ける方法としては特に限定さ
れるものではないが、浸漬法、スピン法、シャワー法な
どが好ましく用いられる。特に、作業の容易さ、経済性
などの点から浸漬法が好ましく用いられる。
【0043】以上のようにして形成された反射防止性を
有する加工物品は、高い表面硬度、優れた反射防止性お
よび耐久性を有していることから、光学用レンズ、表示
素子用フィルターなどに特に好ましく用いられる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例をもとにさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0045】基板の諸特性は以下のように測定した。
【0046】全光線透過率はASTM D−648に基
づいて測定し、耐溶剤性はアセトンを含浸させたガーゼ
で表面をラビングし、そのときの表面状態の変化を目視
により評価した。また、曲げ試験はJIS K−720
3に基づいて行った。ガラス転位温度は、Mettle
r TA3000を用いて測定した(2nd runに
て測定)。
【0047】また、被膜、反射防止層を設けた反射防止
物品については、以下のように測定した。
【0048】(a)透明性 蛍光灯下で目視で膜の透明性を調べた。
【0049】(b)耐擦傷性 #0000のスチールウールで表面を擦り、傷つき具合
から判定した。
【0050】(c)接着性 表面に1mmの基材に達するゴバン目を鋼ナイフで100
個いれて、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、商品名
“セロテープ”)を強く貼りつけ、90度方向に急速に
はがし、剥離の有無を調べた。
【0051】(d)極小表面反射率 U−3410形自記分光光度計((株)日立製作所製)
を用いて片面の極小表面反射率を測定した。
【0052】(e)耐熱水性 反射防止層を設けたものを60℃×2hrの熱水にて処
理を行い、接着性を調べた。
【0053】実施例1 (1)架橋樹脂の調製 イソプロピルマレイミド26.5g、スチレン18.5
g、ジビニルベンゼン5.0g、アゾビスイソブチロニ
トリル0.05gを混合、溶解させ、キャスト重合によ
り、注型成型した。キャスト重合は、次のように行っ
た。
【0054】大きさ150mm×150mm、厚さ5mmの2
枚のガラス板の外周辺部を、軟質塩化ビニル製造ガスケ
ットで貼り、2枚のガラス板の距離が2mmになるように
組立てた。この組立てたガラス板の中へ、前記の単量体
混合物を注入し、70℃で8時間、100℃で1時間、
さらに160℃で1時間重合させ、透明な注型板(以
下、注型板(I)という)を得た。
【0055】この注型板(I)のガラス転位温度は19
0℃であり、全光線透過率は90%であり、耐溶剤性も
良好なものであった。
【0056】(2)コーティング組成物の調製 (a)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加
水分解物の調製 回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン160.0gを仕込み、液温を10℃
に保ち、マグネチックスターラーで撹拌しながら0.0
1規定の塩酸水溶液36.6gを徐々に滴下した。滴下
終了後冷却を止めて、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランの加水分解物を得た。
【0057】(b)塗料の調製 前記シラン加水分解物にメタノール105.8g、ジメ
チルホルムアミド52.9g、シリコーン系界面活性剤
0.5gを添加混合し、さらにコロイド状五酸化アンチ
モンゾル(日産化学社製、商品名アンチモンゾルA−2
550、平均粒子径50mμ)83.3g、アルミニウ
ムアセチルアセトネート5.0gを添加し、充分撹拌し
た後、コーティング組成物とした。
【0058】(3)アルカリ処理液の調製 水300gに水酸化ナトリウム100gを溶解し、さら
にアルキルアンモニウム型カチオン界面活性剤(日本油
脂社製、商品名カチオンBB、ドデシルトリメチルアン
モニウムクロライド)2gを添加し、アルカリ処理液を
調製した。
【0059】(4)樹脂の表面処理 前記(3)で調製したアルカリ処理液を80℃に加熱し
た。この加熱したアルカリ処理液に(1)で得た注型板
(I)を10分間浸漬した後、50℃の熱水で10分間
洗浄を行ない、乾燥し、処理板(以下、処理板(I)と
いう)を作成した。
【0060】(5)コーティング組成物の塗布 前記(5)によって得られた架橋樹脂に前記(2)で調
製したコーティング組成物を引き上げ速度20cm/分の
条件で浸漬塗布し、ついで100℃/10分の予備硬化
を行い、さらに150℃で30分加熱して、処理板
(I)上に硬化被膜を設けた。
【0061】(6)無機被膜からなる反射防止膜の成膜 前記(5)によって得られた硬化被膜を有する架橋樹脂
を160℃に設定して、無機化合物であるZrO2 /T
iO2 /Ta2 5 /MgF2 を真空蒸着法で、この順
にそれぞれ光学膜厚をλ/4,λ/4,λ/4、λ/4
(λ=510nm)に設定して多層被覆させた。
【0062】尚、硬化被膜/ZrO2 の界面およびTa
2 5 /MgF2 の界面は、Arイオンビームクリーニ
ング処理を行い、また各層においてArイオンビームア
シスト蒸着法を適用した。
【0063】得られた反射防止物品の反射干渉色は、僅
かに赤みがかった灰色を呈していた。 以上のようにし
て得られた反射防止物品の評価結果を表1に示した。
【0064】
【表1】 実施例2 実施例1においてZrO2 /TiO2 /Ta2 5 /M
gF2 の代わりにY2 3 /TiO2 /MgF2 を真空
蒸着法で、この順にそれぞれ光学膜厚をλ/4,λ/
2,λ/4(λ=510nm)に設定して多層被覆させた
以外は、すべて実施例1と同様に行った。尚、硬化被膜
/Y2 3 の界面およびTiO2 /MgF2 の界面は、
Arイオンビームクリーニング処理を行い、また各層に
おいてArイオンビームアシスト蒸着法を適用した。
【0065】得られた反射防止物品の反射干渉色は、く
すんだ赤紫色を呈し、また、その評価結果を表1に示し
た。
【0066】実施例3 実施例1においてZrO2 /TiO2 /Ta2 5 /M
gF2 の代わりにMgO/MgF2 を真空蒸着法で、こ
の順にそれぞれ光学膜厚をλ/2,λ/4(λ=510
nm)に設定して多層被覆させた以外は、すべて実施例1
と同様に行った。なお、硬化被膜/ZrO2 の界面およ
びZrO2 /MgF2 の界面は、Arイオンビームクリ
ーニング処理を行い、また各層においてArイオンビー
ムアシスト蒸着法を適用した。
【0067】得られた反射防止物品の反射干渉色は、く
すんだ赤紫色を呈し、また、その評価結果を表1に示し
た。
【0068】実施例4 実施例2においてZrO2 /TiO2 /Ta2 5 /M
gF2 の代わりにY2 3 /TiO2 +Pr6 11/M
gF2 を真空蒸着法で、この順にそれぞれ光学膜厚をλ
/4,λ/2,λ/4(λ=521nm)に設定して多層
被覆させた以外は、すべて実施例1と同様に行った。な
お、硬化被膜/Y2 3 の界面およびTiO2 +Pr6
11/MgF2 の界面は、Arイオンビームクリーニン
グ処理を行い、また各層においてArイオンビームアシ
スト蒸着法を適用した。
【0069】得られた反射防止物品の反射干渉色は、く
すんだ赤紫色を呈し、また、その評価結果を表1に示し
た。
【0070】実施例5 実施例1において架橋樹脂をポリメチルメタクリレート
樹脂板(Tg100℃)にし、反射防止膜の成膜におい
て樹脂の温度を160℃にするのを85℃にする以外は
すべて実施例1と同様にして多層被覆を行った。なお、
硬化被膜/ZrO2 の界面およびTa2 5 /MgF2
の界面は、Arイオンビームクリーニング処理を行い、
また、各層においてArイオンビームアシスト蒸着法を
適用した。
【0071】得られた反射防止性物品の反射干渉色はく
すんだ赤紫色を呈し、また、その評価結果を表1に示し
た。
【0072】比較例1 実施例1においてZrO2 /TiO2 /Ta2 5 /M
gF2 の代わりにZrO2 /MgF2 を真空蒸着法で、
この順にそれぞれ光学膜厚をλ/2,λ/4(λ=52
1nm)に設定して多層被覆させた以外は、すべて実施例
1と同様に行った。硬化被膜/ZrO2 の界面およびZ
rO2 /MgF2 の界面は、Arイオンビームクリーニ
ング処理を行い、また、各層においてArイオンビーム
アシスト蒸着法を適用した。
【0073】得られた反射防止性物品の反射干渉色は、
くすんだ赤紫色を呈し、また、その評価結果を表1に示
した。
【0074】比較例2 比較例1においてZrO2 /MgF2 の界面のArイオ
ンビームクリーニング処理およびMgF2 蒸着時にAr
イオンビームアシスト蒸着法を用いない以外は全て、比
較例1と同様に行った。
【0075】得られた反射防止物品の反射干渉色はくす
んだ赤紫色を呈した。また、その評価結果を表1に示し
た。
【0076】
【発明の効果】本発明の反射防止物品は、以下の効果を
有する。
【0077】(1)優れた反射防止性能を有する。
【0078】(2)高い表面硬度を有する。
【0079】(3)耐久性に優れた反射防止物品が得ら
れる。
【0080】(4)優れた耐熱水性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 1/11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素含有無機化合物からなる層と、それ
    に隣接する、チタン、タンタル、マグネシウム、プラセ
    オジムおよびそれらの化合物から選ばれる少なくとも1
    種を含有する層とを含む反射防止層を有することを特徴
    とする反射防止物品。
  2. 【請求項2】該反射防止膜の最外層がフッ素含有無機化
    合物を主成分としてなる膜であることを特徴とする請求
    項1記載の反射防止物品。
  3. 【請求項3】ガラス転移温度が150℃以上の樹脂を基
    板とすることを特徴とする請求項1記載の反射防止物
    品。
  4. 【請求項4】基板が、一般式(A)で表される単量体を
    20〜98重量%、および不飽和基を2個以上有する多
    官能単量体を2〜80重量%含有し、かつ、該一般式
    (A)で表される単量体と該不飽和基を2個以上有する
    多官能単量体との合計重量割合が、30重量%以上であ
    る組成物を重合してなる共重合体であることを特徴とす
    る請求項1記載の反射防止物品。 【化1】 (式中、R3 は水素、炭素数1〜20の炭化水素基から
    選ばれる置換基を表わす。R1 、R2 は水素、メチル基
    およびエチル基から選ばれる置換基を表わす。)
  5. 【請求項5】基板上に、フッ素含有無機化合物からなる
    層と、該フッ素含有無機化合物からなる層に隣接した、
    チタン、タンタル、マグネシウム、プラセオジムおよび
    それらの化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する
    層との少なくとも2層を含む反射防止層を設けた反射防
    止物品の製造方法であって、該反射防止層が、蒸着面を
    イオンビームで処理することにより設けられた層を含む
    ことを特徴とする反射防止物品の製造方法。
JP5213949A 1993-08-30 1993-08-30 反射防止物品およびその製造方法 Pending JPH0760856A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5213949A JPH0760856A (ja) 1993-08-30 1993-08-30 反射防止物品およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5213949A JPH0760856A (ja) 1993-08-30 1993-08-30 反射防止物品およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0760856A true JPH0760856A (ja) 1995-03-07

Family

ID=16647722

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5213949A Pending JPH0760856A (ja) 1993-08-30 1993-08-30 反射防止物品およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0760856A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001512578A (ja) * 1996-12-05 2001-08-21 テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド ガラス上のマトリクス成形不透明低反射被膜
JP2005301004A (ja) * 2004-04-13 2005-10-27 Seiichi Suzuki 反射防止フィルム
US7229686B2 (en) 2002-09-25 2007-06-12 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Antireflection film and making method
JP2009280786A (ja) * 2008-04-21 2009-12-03 Dainippon Toryo Co Ltd 透明膜形成用組成物及び積層透明膜
JP2011056948A (ja) * 2009-09-11 2011-03-24 Chi Mei Electronics Corp 光透過性フィルム及びその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001512578A (ja) * 1996-12-05 2001-08-21 テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド ガラス上のマトリクス成形不透明低反射被膜
US7229686B2 (en) 2002-09-25 2007-06-12 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Antireflection film and making method
JP2005301004A (ja) * 2004-04-13 2005-10-27 Seiichi Suzuki 反射防止フィルム
JP2009280786A (ja) * 2008-04-21 2009-12-03 Dainippon Toryo Co Ltd 透明膜形成用組成物及び積層透明膜
JP2011056948A (ja) * 2009-09-11 2011-03-24 Chi Mei Electronics Corp 光透過性フィルム及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100195774B1 (ko) 플라스틱 광학제품
EP0278060B1 (en) Anti-reflection optical article and process of producing the same
JP3017912B2 (ja) 液晶表示装置用電極基板及び液晶表示装置
JP4081862B2 (ja) 薄膜及びそれを利用した反射防止膜
JP3360338B2 (ja) 透明被膜および導電膜付き樹脂板
JPH077123B2 (ja) 透明成形体
JP3726241B2 (ja) プラスチック光学物品とその製造方法
JPH0760855A (ja) 反射防止物品
JPH0776048A (ja) 成形体の製造方法
JPH0698703B2 (ja) 反射防止性物品およびその製造方法
JPH0760856A (ja) 反射防止物品およびその製造方法
JP2629813B2 (ja) 低反射透明成形体
JPH06105321B2 (ja) 透明被覆複合体
JP3334261B2 (ja) カラーフィルター
JP3077778B2 (ja) 液晶表示装置用電極基板およびそれを用いた液晶表示装置
JPH0769481B2 (ja) 高屈折率ハードコート膜
JP3389663B2 (ja) カラーフィルター
JP3216197B2 (ja) プラスチック光学物品
JPH06337303A (ja) 反射防止性プラスチック光学部品
JPH06238807A (ja) プラスチック光学物品
JP3158541B2 (ja) 光学物品およびその製造方法
JPH0675104A (ja) 反射防止性物品およびその製造方法
JP3186162B2 (ja) 樹脂材料の製造方法
JPH06148402A (ja) 紫外線吸収性反射防止膜を有するプラスチック光学物品
JPH0611704A (ja) プラスチック光学物品