JPH0776048A - 成形体の製造方法 - Google Patents

成形体の製造方法

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JPH0776048A
JPH0776048A JP5223475A JP22347593A JPH0776048A JP H0776048 A JPH0776048 A JP H0776048A JP 5223475 A JP5223475 A JP 5223475A JP 22347593 A JP22347593 A JP 22347593A JP H0776048 A JPH0776048 A JP H0776048A
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JP
Japan
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ion beam
substrate
treatment
group
vapor deposition
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JP5223475A
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English (en)
Inventor
Shunji Kono
俊司 河野
Tadayoshi Matsunaga
忠與 松永
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】基板上に、イオンビームアシスト蒸着法により
無機物質からなる蒸着膜を少なくとも設けた成形体の製
造方法において、該イオンビームアシスト蒸着を施す蒸
着面をイオンビームクリーニング処理および/またはプ
ラズマ処理することを特徴とする成形体の製造方法。 【効果】本発明により得られた成形体は、蒸着膜の密着
性が優れるため、高い表面硬度、優れた耐熱水性、優れ
た耐久性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に優れた耐熱性、表
面硬度、染色性、対衝撃性などを有する光学物品に関す
る発明であり、光学レンズ、CRT、LCD、プラズマ
ディスプレーなどの前面板やフィルターなどに好ましく
使用される。
【0002】
【従来の技術】現在、プラスチックやガラス基材上への
反射防止膜や反射増加膜の形成方法としては、有機シラ
ン化合物、無機微粒子などからなるコーティング剤を多
層被覆せしめる化学的手法、あるいは無機酸化物やフッ
素含有無機化合物を真空蒸着やスパッタリングで多層被
覆せしめる手法などがある。これらのうち化学的手法に
おいてはまだ十分な反射防止特性、反射増加特性が得ら
れていないのが現状である。それに対し、物理的手法は
反射特性の制御性に優れていることが知られている。特
開昭61−117503号公報にはフッ素化合物のガス
中でジエチレングリコールビスアリルカーボネート重合
体からなる基体にArイオンビームを射照しながら無機
フッ化物を真空蒸着する技術が開示されている。また、
特開平3−242602号公報には耐熱性を有する基体
上へ反射防止膜を設ける技術が開示されている。また、
真空 1992 第35巻 第9号 p.773〜78
0「誘電体薄膜の構造および特性に与えるイオンビーム
照射の効果」には、イオンビームアシストがフッ化マグ
ネシウム蒸着膜に与える効果について報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭61−
117503号公報に開示の技術ではプラスチック基体
が十分な耐熱性を有していない為に成膜に際して高温条
件がとれず、そのために得られた反射防止膜の表面硬度
は低く、また、耐久性に乏しく、例えば温水浸漬などで
被膜が剥離するという大きな問題を有していた。一方、
特開平3−242602号公報に開示の技術は、高温条
件下で成膜が可能であり、優れた反射防止性能、高い表
面硬度を有する反射防止膜が得られているが、サーマル
ショックなどの繰り返しにおいて、反射防止にマイクロ
クラックが発生しやすいという問題点を有していた。ま
た、「真空 1992 第35巻 第9号 p.773
〜780」に記載の技術でも十分な耐熱水性が得られな
かった。
【0004】本発明は、上記従来技術の問題点を解消し
ようとするものであり、低い蒸着温度で、表面硬度、耐
熱水性、耐久性、反射防止特性に優れた成形体を得るこ
とができる成形体の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、基
板上に、イオンビームアシスト蒸着法により無機物質か
らなる蒸着膜を少なくとも設けた成形体の製造方法にお
いて、該イオンビームアシスト蒸着を施す蒸着面をイオ
ンビームクリーニング処理および/またはプラズマ処理
することを特徴とする成形体の製造方法に関するもので
ある。
【0006】本発明におけるイオンビームクリーニング
処理とは、前処理として何らかのイオンを処理面に照射
し、表面改質を行うことを意味するものである。ここで
イオンの種類は特に限定されるものではないが、例え
ば、アルゴンイオン、酸素イオン、窒素イオン、ヘリウ
ムイオンなどが上げられる。処理効果の観点から、アル
ゴンイオンや酸素イオンなどが好ましく用いられる。ま
た、イオンビームの強度は、特に限定されるものではな
い。ただし、イオンビームの強度が弱すぎても強すぎて
も処理効果が低下する傾向があるため、印加電圧が10
〜1500Vが好ましく用いられ、より好ましくは50
〜1000Vが用いられる。
【0007】本発明におけるプラズマ処理とは、基材を
プラズマ状態にさらし、表面改質を行うことを意味す
る。プラズマ状態を作成する際に導入するガスは特に限
定されるものではないが、例えば、酸素ガス、窒素ガ
ス、アルゴンガス、四フッ化炭素ガス、ヘウリムガスな
どが上げられる。処理効果の観点から酸素ガス、窒素ガ
ス、アルゴンガス、四フッ化炭素ガスなどが好ましく用
いられる。プラズマを発生させる際の高周波出力は、特
に限定されるものではないが、処理効果の点で、1〜1
000wが好ましく、より好ましくは50〜500wで
あることが好ましい。
【0008】本発明において、イオンビームクリーニン
グ処理および/またはプラズマ処理による処理時間は特
に限定されるものではない。しかし、処理時間が短すぎ
ると、処理効果が不充分であり、また、処理時間が長す
ぎると処理面にダメージを与えてしまうことがある。よ
って、処理時間は1秒〜10時間が好ましく用いられ、
より好ましくは、5秒〜1時間で行われる。
【0009】また、多層被覆を行う際は、被覆面の前処
理方法としてイオンビームクリーニング処理および/ま
たはプラズマ処理だけでなく、その他の前処理方法と組
み合わせて使用することも可能である。その他の前処理
方法としては、溶液処理、サンドブラスト処理、紫外線
処理などが挙げられる。その組み合わせ方は特に限定さ
れるものではない。例えば、アルカリ処理を行った後、
層を形成し、次にイオンビームクリーニング処理を行っ
た後、層を形成する方法などが挙げられる。
【0010】本発明におけるイオンビームアシスト蒸着
法とは、蒸着時に何らかのイオンを同時に蒸着面に照射
する方法を意味するものである。ここで、イオンの種類
は特に限定されるものではないが例えば、アルゴンイオ
ン、酸素イオン、窒素イオン、ヘリウムイオンなどが上
げられる。処理効果の観点から、アルゴンイオンや酸素
イオンなどが好ましく用いられる。また、イオンビーム
の強度は、特に限定されるものではない。ただし、イオ
ンビームの強度が弱すぎても強すぎても処理効果が低下
する傾向があるため、印加電圧が10〜1500Vが好
ましく用いられ、より好ましくは50〜1000Vが用
いられる。
【0011】本発明において、基板上に設ける層の構成
成分としては、特に限定されるものではないが、一酸化
珪素、二酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化アルミウ
ム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化チタ
ン、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化セリウム、
酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化スズと酸化インジウム
の混合物(Indium Tin Oxide,以下、ITOと略す)な
どの無機酸化物、窒化珪素などの無機窒化物、フッ化リ
チウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、ク
リオライト、チオライト、フッ化ネオジム、フッ化ナト
リウム、フッ化鉛、フッ化サマリウム、フッ化ストロン
チウムなどのフッ素含有無機化合物、フッ素樹脂、シリ
コーン樹脂などが挙げられる。 また、本発明の技術を
用いて反射防止層を形成する際は、単層膜であっても多
層膜であっても良い。反射防止性能向上の観点から、フ
ッ素含有無機化合物からなる被膜を反射防止層の最表層
に設けることが好適である。また、入手の容易さ、表面
硬度の向上、反射防止性能の向上、耐久性向上の観点か
ら、フッ素含有無機化合物の中でもとりわけフッ化マグ
ネシウムが好ましく用いられる。また、反射防止性能向
上には、2層以上の多層膜が好ましく適用される。多層
膜とする場合、多層膜における膜構成の組合せ、あるい
は、膜厚の設定などは基材の屈折率、硬化被膜の屈折率
などによって最適な組合せは異なるが、反射防止性能に
関しては、すでに多くの組合せが提案されており(光学
技術コンタクト Vol 9, No. 8.17〜23. (1971), 'OPTIC
S OF THIN FILMS' 159〜283. A.VASICEK (NORTHHOLLAND
PUBLISHING COMPANY) AMSTERDAM(1960))、本発明にお
いてもこれらの組合せを用いることに何ら問題はない。
【0012】本発明の技術を用い多層被覆を行う際、層
の被覆方法としては、イオンビームアシスト蒸着法のみ
でも、あるいは複数の被覆方法を組み合わせても良い。
その他の被覆方法としては、ディッピング法、真空蒸着
法(イオンビームアシストを行わないもの)、イオンプ
レーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。
その組み合わせ方は特に限定されるものではないが、例
えば、ディップ法により層を形成した後にさらにその上
にイオンビームアシスト蒸着法等により層を設ける方
法、または、イオンビームアシスト真空蒸着により層を
設けた後にさらにその上にディップ法により層を設ける
方法、真空蒸着法とイオンビームアシスト蒸着法を組み
合わせる方法などが挙げられる。
【0013】また、成形体の層の形成温度は特に限定さ
れるものではない。特性の向上の観点から形成温度は高
温であることが好ましく、具体的には、80℃以上、と
くに耐久性向上の観点から130℃以上であることが好
ましい。80℃未満では、温水浸漬処理などによって層
が剥離する傾向がある。また、層の形成温度は基板の反
り、歪みなどの変形の観点から基板のガラス転移温度よ
り低いことが好ましく、ガラス転移温度より5℃以上低
ければさらに変形が起こりにくく、より好ましく用いら
れる。
【0014】また、光学物品の構成物質として、静電気
防止の観点からITOを用いることも有用な手段の1つ
である。ここでITOの膜厚は特に限定されるものでは
ない。
【0015】本発明において基板は特に限定されるもの
ではない。層の形成温度の点からガラス転移温度が15
0℃以上のものが好ましく用いられ、170℃以上のガ
ラス転移温度を持つ物であれば、耐熱性がさらに良好と
なりより好ましく用いられる。ここで、ガラス転移温度
とは、理化学辞典 第3版(岩波書店、1971)に定
義されているもの意味し、転移領域においては弾性率、
膨脹率、熱容量、屈折率、誘電率などの諸特性が変化す
る。また、これらの特性の変化からガラス転移温度の測
定が可能であり、具体的には示差走査熱量分析(DS
C)などによる公知の手法により評価できる(例えばJ
IS K7121)。示差走査熱量分析によるガラス転
移温度の測定の場合、三次元樹脂自体あるいはそれを加
熱処理したものを評価することによりガラス転移温度を
求めることができる。
【0016】また、基板の機械的特性は、曲げ弾性率を
指標として表した場合、好ましくは200kg/mm2 であ
り、より好ましくは330kg/mm2 以上である。
【0017】基板の成分としては、例えばポリメタクリ
ル酸、ポリカルボキシフェニルメタクリルアミドなどの
ポリメタクリル酸系樹脂やポリ(ビフェニル)スチレン
などのポリスチレン系樹脂などに代表されるポリオレフ
ィン系樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンオキシド)に代表されるポリエーテル系樹脂、ポリ
(オキシカルボニルオキシ−1,4−フェニレンイソプ
ロピリデン−1,4−フェニレン)に代表されるポリカ
ーボネート系樹脂、ポリ(オキシ−2,2,4,4−テ
トラメチル−1,3−シクロブチレンオキシテレフタロ
イル)に代表されるポリエステル系樹脂、ポリ(オキシ
−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレ
ン)、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンイソプロピリ
デン−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレン
スルホニル−1,4−フェニレン)などに代表されるポ
リスルホン系樹脂、ポリ(イミノイソフタロイルイミノ
−4,4´−ビフェニレン)に代表されるポリアミド系
樹脂、ポリ(チオ−1,4−フェニレンスルホニル−
1,4−フェニレン)に代表されるポリスルフィド系樹
脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラ
ミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系
樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフォスファゼン系樹脂な
どを挙げることができ、これらの高分子群において三次
元架橋構造を導入して上記熱的特性を示す三次元架橋樹
脂を得ることが可能である。特に、成型性の観点からポ
リオレフィン系樹脂が好ましく、不飽和基を2個以上有
する多官能単量体を含有してなる組成物を重合してなる
ポリオレフィン系共重合体がより好ましく用いられる。
また、無機系基板としてはガラスやシリコンなどが好ま
しく用いられる。
【0018】上記ポリオレフィン系共重合体としては、
一般式(A)で表される単量体を20〜98重量%、お
よび不飽和基を2個以上有する多官能単量体を2〜80
重量%含有し、かつ、該一般式(A)で表される単量体
と該不飽和基を2個以上有する多官能単量体との合計重
量割合が、30重量%以上である組成物を重合してなる
共重合体が好ましく用いられる。
【0019】
【化2】 (式中、R3 は水素、炭素数1〜20の炭化水素基から
選ばれる置換基を表わす。R1 、R2 は水素、メチル基
およびエチル基から選ばれる置換基を表わす。)一般式
(A)で表されるマレイミド誘導体化合物に含まれるR
1 とR2 については、それぞれが同種であっても、異種
であってもよい。
【0020】R3 が炭化水素基である場合、具体例とし
ては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、
オクタデシル基などの直鎖状アルキル基、イソプロピル
基、sec-ブチル基、tert- ブチル基、イソペンチル基な
どの分枝状アルキル基、シクロヘキシル基、メチルシク
ロヘキシル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、メ
チルフェニル基などのアリール基、ベンジル基、フェネ
チル基などのアラルキル基など各種の例を挙げることが
できる。
【0021】さらに、R1 、R2 およびR3 は、フッ
素、塩素、臭素などのハロゲノ基、シアノ基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アル
コキシ基などの各種置換基で置換されたものであっても
よい。
【0022】一般式(A)で示される化合物の具体例と
しては、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−o−メチルフェニル
マレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−
p−メチルフェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフ
ェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイ
ミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メ
トキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニル
マレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド、N
−o−クロロフェニルマレイミド、N−m−クロロフェ
ニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド、
N−o−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−カル
ボキシフェニルマレイミド、N−p−ニトロフェニルマ
レイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシル
マレイミド、N−イソプロピルマレイミドなどが挙げら
れる。
【0023】これらの単量体は、1種で、あるいは、2
種以上の混合物として用いてもよい。また、かかるマレ
イミド化合物の中でも耐熱性テスト後の黄変、耐候性の
点からは、とくにアルキルマレイミド、シクロアルキル
マレイミドが好ましく、とくにN−イソプロピルマレイ
ミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。さら
には、キャスト重合時のモノマ溶液の調製の容易さ、お
よび前記特性を満足させ得るという点から、N−イソプ
ロピルマレイミドとN−シクロヘキシルマレイミドなど
のN−アルキルマレイミドとN−脂環式アルキルマレイ
ミドの併用が最も好ましい。併用時のN−アルキルマレ
イミドとN−脂環式アルキルマレイミドの比率は、不飽
和基を2個以上有する多官能単量体の種類、量などによ
り、適宜、実験的に定められるべきものであるが、通常
は併用の効果を発現させるためには、N−アルキルマレ
イミド100重量部に対して、N−脂環式マレイミドを
10重量部から500重量部の範囲で使用することが好
ましい。
【0024】次いで、不飽和基を2個以上有する多官能
単量体について説明する。すなわち、不飽和基を2個以
上有する多官能単量体とは、前記マレイミドと共重合可
能な不飽和官能基を2個以上有するモノマであり、共重
合可能な官能基としては、ビニル基、メチルビニル基、
アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。また、一
分子中に異なる共重合可能な官能基が2個以上含まれる
モノマも本発明で言うところの多官能単量体に含まれ
る。
【0025】以上のような不飽和基を2個以上有する多
官能単量体の好ましい具体例としては、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、グリセロール(ジ/トリ)(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパン(ジ/トリ)
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ジ/ト
リ/テトラ)(メタ)アクリレートなどの多価アルコー
ルのジ−,トリ−,テトラ−(メタ)アクリレート類、
p−ジビニルベンゼン、o−ジビニルベンゼンなどの芳
香族多官能モノマ、(メタ)アクリル酸ビニルエステ
ル、(メタ)アクリル酸アリルエステルなどのエステル
類、ブタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエンなどのジ
エン類、ジクロロホスファゼンを原料として重合多官能
基を導入したホスファゼン骨格を有するモノマ、トリア
リルジイソシアヌレートなどの異原子環状骨格を有する
多官能モノマなどが挙げられる。
【0026】上記ポリオレフィン系共重合体中には、前
述の一般式(A)で表わされる単量体が20〜98重量
%含有されていることが好ましい。20重量%未満の場
合には充分な耐熱性、機械的強度、光学等方性などの特
性を満足させることができない傾向がある。また、98
重量%を越える場合には、架橋度が低下し、耐溶剤性、
低吸水率化などが不十分な場合がある。さらに、30〜
80重量%であることが好ましく、さらに好ましくは4
0〜60重量%である。
【0027】一方、不飽和基を2個以上有する多官能単
量体は、三次元架橋重合体中に2〜80重量%の割合で
含有されていることが好ましく、2重量%未満の場合に
は三次元架橋が充分に進行せず、耐熱性、耐溶剤性など
が低下する傾向がある。また、80重量%を越えると、
耐衝撃性などが低下し、プラスチックとしての特性が低
下する傾向がある。
【0028】さらに、上記ポリオレフィン系共重合体中
には、機械的強度の向上、光学等方性向上、高屈折率
化、低吸水率化、染色性向上、耐熱性向上、耐衝撃性向
上などを目的として、各種の共重合可能なモノマが好ま
しく併用される。かかる併用可能なモノマとしては、芳
香族ビニル系単量体、オレフィン系ビニル単量体、(メ
タ)アクリル酸およびそのエステル系単量体、多価カル
ボン酸無水物などが挙げられる。かかる芳香族ビニル系
単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、ビニルトルエン、クロロスチレンおよびブロモスチ
レンなどが挙げられる。通常は、性能および工業的に入
手し易いなどの点からスチレン、α−メチルスチレンお
よびp−メチルスチレンなどが用いられる。また、その
他のビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、メタク
リル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベン
ジル、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリ
ル酸(エステル)系単量体、無水マレイン酸などが好ま
しい具体例として挙げられる。
【0029】上記ポリオレフィン系共重合体成分である
一般式(A)で表されるモノマと、不飽和基を2個以上
有する多官能単量体との合計含有量は、三次元架橋樹脂
中、30重量%以上であることが好ましく、さらに、好
ましくは40重量%以上である。すなわち、30重量%
未満では、透明性、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性などが
不十分となる場合がある。
【0030】本発明における基板には、耐光性、耐酸化
劣化性、帯電防止性を向上させる目的から各種紫外線吸
収剤、酸化防止剤、帯電防止剤を添加することも有用で
ある。とくに耐薬品性や耐熱性を低下させずに、これら
の性能を向上させることが可能なことから紫外線吸収
性、あるいは、酸化防止性を有するモノマを共重合する
ことが好ましい。かかるモノマの好ましい例としては、
不飽和二重結合を有するベンゾフェノン系紫外線吸収
剤、不飽和二重結合を有するフェニルベンゾエート系紫
外線吸収剤、ヒンダードアミノ基を置換基として有する
(メタ)アクリルモノマなどが挙げられる。これらの共
重合モノマは0.5〜20重量%の範囲で使用されるこ
とが好ましい。0.5重量%未満の場合には添加効果が
認められず、また、20重量%を越える場合には、耐熱
性、機械的強度などが低下する傾向がある。
【0031】また、本発明における基板には光線透過率
の調整、特定波長光の吸収のため染料を添加することも
有用である。前記染料とは特に限定されるものではな
く、また、2種以上混合して用いても良い。
【0032】本発明の基板の重合方法に関しては、特に
制限はなく、通常公知の方法で重合することができる。
基板がポリオレフィン系共重合体の場合、ラジカル発生
性開始剤の存在下または非存在下に上記の単量体混合物
を所定の温度条件下に保つことによって重合することが
できる。塊状重合、溶液重合、懸濁重合および注型重合
等各種の方法を用いることができる。本発明の基板の重
合度に関しては、特に制限はないが、重合率は高い方が
好ましく、硬化被膜などの溶液コーティング、真空蒸着
などの後加工を考慮すると90%以上が好ましい。
【0033】また、本発明の基板の成形法に関しても特
に制限はないが、効果的な成形法としては、注型重合法
が挙げられる。
【0034】また、本発明においては基板に硬化被膜を
設けても良い。硬化被膜と基板との屈折率差が0.5以
下のものが好ましく用いられ、干渉縞の影響をより少な
くするために、基板との屈折率差が0.1以下のものが
より好ましく用いられる。干渉縞が極少ない高品質な反
射防止性を得るためには基板との屈折率差が0.05以
下に設定することが好適である。また、特に干渉縞発生
を抑えることが必要な用途においては屈折率差が0.0
2以下のものを用いることが好ましい。また、作成した
反射防止防止物品の分光反射特性にリップルが発生しな
いようにするために硬化被膜と基板の屈折率差が0.1
以下のものが好ましく、リップルの極少ない高品質な反
射防止特性を得るためには基板との屈折率差が0.05
以下に設定することが好適である。また、特に分光反射
特性にリップルが発生しないようにする必要がある用途
においては屈折率差が0.02以下のものを用いること
が好ましい。
【0035】硬化被膜とは有機高分子を主成分としてな
るものが好ましく用いられる。ここで有機高分子とは特
に限定されるものではない。有機高分子の具体例として
は、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン
樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィ
ン系樹脂、セルロース類、ポリビニルアルコール系樹
脂、尿素樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート系樹脂
などが挙げられる。また、これらの樹脂はそれぞれ単独
での使用あるいは2種以上を併用することが可能であ
り、さらに各種硬化剤、架橋剤などを用いて三次元架橋
することも可能である。特に表面硬度が重要な用途に
は、硬化可能な樹脂であることが好ましく、例えばアク
リル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ
ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂などの単独系ないしは
複合系が好ましく使用される。また、表面硬度、耐熱
性、耐薬品性、透明性などの諸特性を考慮した場合で
は、シリコーン系樹脂を用いることが好ましく、より好
ましくは、下記一般式(B)で示される有機ケイ素化合
物ないしはその加水分解物から得られるポリマを挙げる
ことができる。
【0036】R4 a 5 b SiX4-a-b (B) (ここで、R4 は炭素数1〜10の有機基であり、R5
は炭素数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素
基、Xは加水分解性基であり、aおよびbは0または1
であり、(a+b)は0、1または2である。)一般式
(B)で示される有機ケイ素化合物の例としては、メチ
ルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケ
ート、iso−プロピルシリケート、n−ブチルシリケ
ート、sec−ブチルシリケート、およびt−ブチルシ
リケートなどのテトラアルコキシシラン類、およびその
加水分解物さらにはメチルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラ
ン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキ
シシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
アセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロ
プロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリ
エトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエ
トキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエ
トキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメ
チルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシ
ラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシ
ドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエ
チルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリ
エトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシ
シラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、
α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラ
ン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシド
キシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチ
ルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシ
ラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ
−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3、4−
エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、
(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキ
シシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3、4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラ
ン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リブトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシエトキシシラン、β−(3、
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシ
ラン、γ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)プロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(3、4−エポキシシクロ
ヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3、4
−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラ
ン、δ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)ブチルト
リエトキシシランなどのトリアルコキシシラン、トリア
シルオキシシラン、またはトリフェノキシシラン類また
はその加水分解物およびジメチルジメトキシシラン、フ
ェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメ
チルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、
γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメ
トキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシ
ドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメ
チルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチル
メチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチ
ルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジ
メトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエト
キシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルメトキシエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアセトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラ
ンなどのジアルコキシシラン、ジフェノキシシランまた
はジアシルオキシシラン類またはその加水分解物がその
例である。
【0037】これらの有機ケイ素化合物は1種または2
種以上添加することも可能である。とくに染色性を付与
する目的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有機ケ
イ素化合物の使用が好適であり、高付加価値なものとな
る。
【0038】これらの有機ケイ素化合物は、キュア温度
を下げ、硬化をより促進させるために加水分解して使用
することが好ましい。加水分解は純水または塩酸、酢
酸、あるいは硫酸などの酸性水溶液を添加、撹拌するこ
とによって製造される。さらに、純水あるいは酸性水溶
液の添加量を調節することによって加水分解の度合いを
コントロールすることも容易に可能である。
【0039】該硬化被膜は、耐擦傷性、耐熱性、耐湿熱
性、耐乾熱性の向上を目的として微粒子無機酸化物を添
加することが好ましい。微粒子無機酸化物は1種または
2種以上混合して用いることが可能であり、とくに限定
されないものの、作業性の観点からコロイド状に分散し
たゾルが好ましく用いられる。その具体例としては、シ
リカゾル、チタニアゾル、酸化アンチモンゾル、アルミ
ナゾルなどが挙げられる。微粒子無機酸化物の形状や粒
子サイズは特に限定されるものではない。
【0040】基板上に硬化被膜を設ける際の基板の前処
理方法は特に限定されるものではないが、溶液処理、プ
ラズマ処理、紫外線処理、イオンビームクリーニング処
理などが用いられる。特に処理効果、経済性、作業の容
易さなどの点からプラズマ処理、溶液処理などが好まし
く用いられ、中でもアルカリ処理などが好ましく用いら
れる。ここでアルカリ処理液には、アルカリ以外に界面
活性剤および/または有機溶媒および/または触媒など
が加えられていても良い。ここで、触媒とは処理効果を
高めるものてあれば、特に限定されるものではない。
【0041】硬化被膜を設ける方法としては特に限定さ
れるものではないが、浸漬法、スピン法、シャワー法な
どが好ましく用いられる。特に、作業の容易さ、経済性
などの点から浸漬法が好ましく用いられる。
【0042】以上のようにして形成された本発明の成形
体は、光学物品として好ましく用いられ、反射防止性加
工物品とした場合には、高い表面硬度、優れた反射防止
性および耐久性を有していることから、光学用レンズ、
表示素子用フィルターなどに特に好ましく用いられる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例をもとにさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0044】基板の諸特性は以下のように測定した。
【0045】全光線透過率はASTM D−648に基
づいて測定し、耐溶剤性はアセトンを含浸させたガーゼ
で表面をラビングし、そのときの表面状態の変化を目視
により評価した。また、曲げ試験はJIS K−720
3に基づいて行った。ガラス転位温度は、Mettle
r TA3000を用いて測定した(2nd runに
て測定)。
【0046】また、光学物品については、以下のように
測定した。
【0047】(a)透明性 蛍光灯下で目視で膜の透明性を調べた。
【0048】(b)耐擦傷性 #0000のスチールウールで表面を擦り、傷つき具合
から判定した。
【0049】(c)接着性 表面に1mmの基材に達するゴバン目を鋼ナイフで100
個いれて、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、商品名
“セロテープ”)を強く貼りつけ、90度方向に急速に
はがし、剥離の有無を調べた。
【0050】(d)極小表面反射率 U−3410形自記分光光度計((株)日立製作所製)
を用いて片面の極小表面反射率を測定した。
【0051】(e)耐熱水性 光学物品を60℃×2hrの熱水にて処理を行い、接着
性を調べた。
【0052】実施例1 (1)架橋樹脂の調製 イソプロピルマレイミド26.5g、スチレン18.5
g、ジビニルベンゼン5.0g、アゾビスイソブチロニ
トリル0.05gを混合、溶解させ、キャスト重合によ
り、注型成型した。キャスト重合は、次のように行っ
た。
【0053】大きさ150mm×150mm、厚さ5mmの2
枚のガラス板の外周辺部を、軟質塩化ビニル製造ガスケ
ットで貼り、2枚のガラス板の距離が2mmになるように
組立てた。この組立てたガラス板の中へ、前記の単量体
混合物を注入し、70℃で8時間、100℃で1時間、
さらに160℃で1時間重合させ、透明な注型板(以
下、注型板(I)という)を得た。
【0054】この注型板(I)のガラス転位温度は19
0℃であり、全光線透過率は90%であり、耐溶剤性も
良好なものであった。
【0055】(2)コーティング組成物の調製 (a)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加
水分解物の調製 回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン160.0gを仕込み、液温を10℃
に保ち、マグネチックスターラーで撹拌しながら0.0
1規定の塩酸水溶液36.6gを徐々に滴下した。滴下
終了後冷却を止めて、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランの加水分解物を得た。
【0056】(b)塗料の調製 前記シラン加水分解物にメタノール105.8g、ジメ
チルホルムアミド52.9g、シリコーン系界面活性剤
0.5gを添加混合し、さらにコロイド状五酸化アンチ
モンゾル(日産化学社製、商品名アンチモンゾルA−2
550、平均粒子径50mμ)83.3g、アルミニウ
ムアセチルアセトネート5.0gを添加し、充分撹拌し
た後、コーティング組成物とした。
【0057】(3)アルカリ処理液の調製 水300gに水酸化ナトリウム100gを溶解し、さら
にアルキルアンモニウム型カチオン界面活性剤(日本油
脂社製、商品名カチオンBB、ドデシルトリメチルアン
モニウムクロライド)2gを添加し、アルカリ処理液を
調製した。
【0058】(4)樹脂の表面処理 前記(3)で調製したアルカリ処理液を80℃に加熱し
た。この加熱したアルカリ処理液に(1)で得た注型板
(I)を10分間浸漬した後、50℃の熱水で10分間
洗浄を行ない、乾燥し、処理板(以下、処理板(I)と
いう)を作成した。
【0059】(5)コーティング組成物の塗布 前記(4)によって得られた処理板(I)に前記(2)
で調製したコーティング組成物を引き上げ速度20cm/
分の条件で浸漬塗布し、ついで100℃/10分の予備
硬化を行い、さらに150℃で30分加熱して、処理板
(I))上に硬化被膜を設けた。
【0060】(6)無機被膜からなる反射防止層の成膜 前記(5)によって得られた硬化被膜を有する架橋樹脂
を160℃に設定して、無機化合物であるZrO2 /T
iO2 /Ta2 5 /MgF2 を真空蒸着法で、この順
にそれぞれ光学膜厚をλ/4,λ/4,λ/4、λ/4
(λ=510nm)に設定して多層被覆させた。
【0061】尚、硬化被膜/ZrO2 の界面およびTa
2 5 /MgF2 の界面は300Vの印加電圧で、1分
間のArイオンビームクリーニング処理を行った。Zr
2、TiO2 、Ta2 5 は、300Vの印加電圧で
Arイオンビームアシスト蒸着を行い、MgF2 は60
0Vの印加電圧でArイオンビームアシスト蒸着を行っ
た。
【0062】得られた光学物品の反射干渉色は、僅かに
赤みがかった灰色を呈していた。
【0063】以上のようにして得られた成形体の評価結
果を表1に示し、また、反射特性を図1に示した。
【0064】
【表1】 実施例2 実施例1において注型板(I)の代わりにガラスを用
い、その上に直接、反射防止層を形成し、また、ZrO
2 の代わりにY2 3 を用いる以外は、すべて実施例1
と同様に行った。なお、ガラス/Y2 3 の界面も30
0Vの印加電圧でArイオンビームクリーニング処理を
行った。また、Y2 3 は、300Vの印加電圧でAr
イオンビームアシスト蒸着を行った。得られた成形体の
反射干渉色は、僅かに赤みがかった灰色を呈した。ま
た、その評価結果を表1に示し、反射特性を図2に示し
た。
【0065】実施例3 実施例1においてZrO2 /TiO2 /Ta2 5 /M
gF2 の代わりにY2 3 /TiO2 /MgF2 をを真
空蒸着法で、この順にそれぞれ光学膜厚をλ/4、λ/
2,λ/4(λ=510nm)に設定して多層被覆させた
以外は、すべて実施例1と同様に行った。なお、硬化被
膜/Y2 3 の界面およびTiO2/MgF2 の界面
は、300Vの印加電圧でArイオンビームクリーニン
グ処理を行った。Y2 3 、TiO2 は300Vの印加
電圧で、また、MgF2 は600Vの印加電圧でArイ
オンビームアシスト蒸着を行った。得られた成形体の反
射干渉色は、くすんだ赤紫色を呈した。また、その評価
結果を表1に示し、反射特性を図3に示した。
【0066】実施例4 実施例1において架橋樹脂をポリメチルメタクリレート
樹脂板(Tg100℃にし、反射防止膜の成膜において
樹脂の温度を160℃にするのを85℃にする以外はす
べて実施例1と同様にして多層被覆を行った。得られた
成形体の反射干渉色はくすんだ赤紫色を呈した。また、
その評価結果を表1に示し、反射特性を図4に示した。
【0067】比較例1 実施例1において、Ta2 5 /MgF2 の界面をAr
イオンビームクリーニング処理しない以外はすべて実施
例1と同様にして多層被覆を行った。得られた成形体の
反射干渉色はくすんだ赤紫色を呈した。また、その評価
結果を表1に示した。
【0068】比較例2 実施例1において、MgF2 の蒸着時にArイオンビー
ムアシストを行わない以外はすべて実施例1と同様にし
て多層被覆を行った。得られた成形体の反射干渉色はく
すんだ赤紫色を呈した。また、その評価結果を表1に示
した。
【0069】
【発明の効果】本発明により得られた成形体は、蒸着膜
の密着性が優れるため、高い表面硬度、優れた耐熱水
性、優れた耐久性を有する。また、従来よりも低い蒸着
温度で優れた成形体を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られた成形体の反射特性を示
す。
【図2】実施例2により得られた成形体の反射特性を示
す。
【図3】実施例3により得られた成形体の反射特性を示
す。
【図4】実施例4により得られた成形体の反射特性を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 1/10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、イオンビームアシスト蒸着法に
    より無機物質からなる蒸着膜を少なくとも設けた成形体
    の製造方法において、該イオンビームアシスト蒸着を施
    す蒸着面をイオンビームクリーニング処理および/また
    はプラズマ処理することを特徴とする成形体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】フッ素含有無機化合物を主成分とする層を
    最外層とする反射防止層を有することを特徴とする請求
    項1記載の成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】基板が、ガラス転移温度150℃以上の樹
    脂からなることを特徴とする請求項1記載の成形体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】基板が、一般式(A)で表される単量体を
    20〜98重量%、および不飽和基を2個以上有する多
    官能単量体を2〜80重量%含有し、かつ、該一般式
    (A)で表される単量体と該不飽和基を2個以上有する
    多官能単量体との合計重量割合が、30重量%以上であ
    る組成物を重合してなる共重合体であることを特徴とす
    る請求項1記載の成形体の製造方法。 【化1】 (式中、R3 は水素、炭素数1〜20の炭化水素基から
    選ばれる置換基を表わす。R1 、R2 は水素、メチル基
    およびエチル基から選ばれる置換基を表わす。)
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