JP2629813B2 - 低反射透明成形体 - Google Patents

低反射透明成形体

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JP2629813B2 JP63104258A JP10425888A JP2629813B2 JP 2629813 B2 JP2629813 B2 JP 2629813B2 JP 63104258 A JP63104258 A JP 63104258A JP 10425888 A JP10425888 A JP 10425888A JP 2629813 B2 JP2629813 B2 JP 2629813B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、その表面反射を防止し、防眩性が高められ
るとともに、可視光線透過率の低下がなく、その視認性
の向上された透明プラスチック基材よりなる低反射透明
成形体に関するものである。
[従来の技術] 一般に、プラスチック材料、特に透明プラスチック材
料は透明性に加えて、自身の有する軽量、耐衝撃性およ
び易加工性などの特性を利用して、建築物の窓・ドアー
・間仕切り、ショーウインド・ショーケース、車輌の窓
・照明灯レンズ・計器類の保護板・2輪車の風防・OA機
器のハウジング、光学レンズ・メガネレンズなどの広い
分野に応用されている。
しかしながら、それらプラスチック材料の表面は太陽
光、照明光の反射によるギラツキや眩しさ、あるいは周
囲の景観が映り透明性や透視性が阻害されたり、光の反
射により光線透過率が低下してプラスチックを通してみ
ると明るさが損なわれるという問題がある。かかる問題
は、例えば近年省エネルギー政策の面から進められてい
る太陽光の集光機において集光部に用いられる透明材料
の表面での反射損失の増大を招いたり、また、自動車に
装備される指示計器類の損傷を防止するための透明保護
板における反射像の映りによるメーター、文字板等の視
認性の低下を招くことになる。
また、プラスチック材料は耐擦傷性、耐熱性等に問題
のあることは従来より知られているところである。
したがって、プラスチック材料表面での低反射化、さ
らに耐擦傷性の向上に関し、その表面に反射防止膜やバ
ードコート膜、あるいはそれらの多層膜について多くの
提案がなされている。低反射化としてはプラスチック材
料と屈折率の異なる主として無機物、例えばSiO2、Al2O
3、ZrO2、TiO2などの金属酸化物の低屈折率の薄膜と高
屈折率の薄膜とを交互に真空蒸着法、スパッリング法、
イオンビーム法などで形成することなよく知られてい
る。また、高分子物質からなる低反射処理剤をプラスチ
ック材料の表面に塗布、吹き付け、あるいは処理剤中に
浸漬することによって低反射性の塗膜を形成する処理方
法や低反射処理剤も実用化されている。さらに、プラス
チック材料表面に緻密な凹凸状の加工を施こし、低反射
化を計るという試みもなされている。
而して、上記の種々なる低反射化の方法において、無
機物の薄膜を形成する方法は装置が高価であるため反射
防止されたプラスチックが高価となる、適用材料が制約
される、薄膜の密着性が低い、耐衝撃性の低下を招く、
薄膜形成工程における熱履歴により変形、光学歪を生ず
るなどの問題点がある。また、高分子物質からなる低反
射処理剤の塗膜は有機材料の屈折率の自由度が小さいた
めに反射防止能を充分に高めることが困難であり、しか
も耐久性に劣るという問題を有している。さらに、プラ
スチック材料の表面を緻密な凹凸状に加工する方法は低
反射化という点で効果を示すとしても光線透過率の低下
を招き両者の特性のバランスの維持が困難であった。特
にいずれの方法によっても、表面へのほこりの付着など
による反射防止能の低下を防ぐことはなし得なかった。
[発明の解決しようとする課題] 本発明は、プラスチック材料の低反射化における前記
の如き問題点を解消するためになされたものであり、し
たがって、その目的とするところでは比較的安価に、反
射防止能が付加され得て、しかも光線透過率とのバラン
スが適度に保たれる低反射透明成形体を新規に提供する
ことにある。さらに本発明の他の目的はプラスチック基
材の表面に形成される低反射塗膜が基材に密に、かつ強
固に接着されてなり、耐擦傷性、耐久性に優れた低反射
塗膜が形成された低反射透明成形体を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 即ち、本発明は散乱性凹凸表面を有する透明プラスチ
ック基材の該表面に、低反射塗膜組成物(イ)または低
反射塗膜組成物(ロ)、の塗膜を形成し硬化してなるこ
とを特徴とする低反射透明成形体を提供する。
低反射塗膜組成物(イ):下記式(A)で表される化
合物もしくはその部分加水分解物、および、下記式
(B)で表される化合物もしくはその部分加水分解物か
らなる低反射塗膜組成物。
反射塗膜組成物(ロ):下記式(A)で表される化合
物と下記式(B)で表される化合物の共部分加水分解物
からなる低反射塗膜組成物。
R3 cR4 dSiY4-(c+d) (B) (式中、R1,R2は同一または異なっていてもよく水素ま
たは炭素数1〜6の炭化水素基、R3,R4は同一または異
なっていてもよく炭素数1〜16の有機基、Rfはパーフル
オロアルキレン基含有の2価の有機基、X,Yは加水分解
性基を示し、a,bは1〜3の整数、c,dは0〜2の整数で
あってc+d≦3である。) 本発明における透明プラスチック基材としては、例え
ばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン
樹脂、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネー
ト)(以下、PPG社商品名“CR−39"という)重合体、CR
−39とスチレンとの共重合体、CR−39とジアリルフタレ
ートとの共重合体、(ハロゲン化)ビスフェノールAの
ジアリルカーボネート重合体およびその共重合体、(ハ
ロゲン化)ビスフノールAのジ(メタ)アクリレート重
合体およびその共重合体、(ハロゲン化)ビスフェノー
ルAのウレタン変性(メタ)アクリレート重合体および
その共重合体などが挙げられる。
本発明はかかる透明プラスチック基材が散乱性凹凸表
面を有することが重要である。その散乱性凹凸表面の粗
度は可視光線の1/50から5倍までの波長の粗度面である
のが好適である。而して、その凹凸表面の粗度は上記の
範囲内において、要求される反射防止性と凹凸部への塗
布による効果の低減、さらには下記に詳述する低反射塗
膜組成物の屈折率とを考慮して決定される。ここで、上
記の範囲を外れて細かい場合は、低反射塗膜組成物の塗
布により実用的に凹凸による効果が消失し低反射性が実
現しない。また、粗が大きく荒い場合は低反射塗膜組成
物の塗布の繰り返しを必要としてコスト的に不利となり
さらに基材の凹凸部のレンズ効果により、透視像に歪を
生ずるなどの好ましくない現象が発現し易くなる。
透明プラスチック基材の表面を散乱性凹凸面とする方
法としてはサンドプラスト、化学製品によるエッチング
処理あるいは凹凸状に加工されたガラスあるいは金型を
用いてプラスチックを成形して、そのプラスチックに凹
凸状表面を転写させる方法、さらには凹凸状を形成させ
るクリヤー塗料を塗布する方法等を採用し得て、それら
の方法は後の工程等を加味して目的に応じて適宜選択さ
れる。
かくして散乱性凹凸表面の形成された透明プラスチッ
ク基材の該表面に低反射塗膜組成物の塗膜が形成され
る。本発明の低反射塗膜組成物は低反射塗膜組成物
(イ)または低反射塗膜組成物(ロ)のいずれかであ
る。
低反射塗膜組成物(イ):式(A)で表される化合物
もしくはその部分加水分解物、および、式(B)で表さ
れる化合物もしくはその部分加水分解物からなる低反射
塗膜組成物。
反射塗膜組成物(ロ):式(A)で表される化合物と
式(B)で表される化合物の共部分加水分解物からなる
低反射塗膜組成物。
而して、式(A)で表される化合物としてはパーフル
オロキレン基含有化合物であって、フッ素原子の分極率
が小さくしたがって屈折率も低く低反射性、高透過性を
発現するための必須の成分である。また、この化合物は
得られる塗膜の耐擦傷性を高めるためにも欠くことので
きない成分でもある。かかる化合物の代表例を示すと X3SiC2H4(CF2nC2H4SiX3 (式中、Xは加水分解性基、nは4〜16の整数を示
す。) が挙げられる。而して上記例示においてXは具体的には
ハロゲン、アルコキシ、オキシム、ケトオキシム、オキ
シアルキレン基などであり、好ましくはハロゲン、アル
コキシ基である。
また、式(B)で表わされる化合物としての有機シラ
ン化合物は、基材への付着性、得られる塗膜の硬度およ
び低反射性、組成物の寿命等の目的に応じて適宜選択さ
れるが、基材への付着性の点からエポキシ基含有シラン
化合物を用いるのがより好ましい。エポキシ基含有シラ
ン化合物として例えば、 グリシドキシメチルトリメトキシシラン グリシドキシメチルトリエトキシシラン α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン α−グリシドキシブトリメトキシシラン α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン (3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシ
シラン β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエト
キシシラン β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロ
ポキシシラン β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブト
キシシラン β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシエトキシシラン β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェ
ノキシシラン γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメ
トキシシラン グリシドキシメチルジエトキシシラン α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン γ−グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシラン γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシ
ラン γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエ
トキシシラン δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメト
キシシラン γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエト
キシシラン 等が挙げられる。その他の式(B)で表わされる有機化
合物としては例えば、 Rf′C2H4SiX3 (Rf′C2H42SiX2 Rf′CONHC3H6SiX3 Rf′CONHC2H4NHC3H6SiX3 Rf′CO2N(CH3)C2H4CONH(CH3)SiX3 Rf′C2H4OCO(CH22S(CH23SiX3 Rf′C2H4OCONHC3H6SiX3 Rf′C2H4NHC2H4SiX3 (ここで、Rf′は炭素数4から16のポリフルオロアルキ
ル基、XはCl,OCH3,OC2H5、mは1以上の整数、nは4
から16の整数を示す。)などのポリフルオロアルキル基
含有のシラン化合物、さらに メチルトリメトキシシラン メチルトリエトキシシラン メチルトリメトキシエトキシシラン メチルトリアセトキシシラン メチルトリブトキシシラン メチルトリフェノキシシラン エチルトリメトキシシラン エチルトリエトキシシラン ビニルトリメトキシシラン ビニルトリエトキシシラン ビニルトリアセトキシシラン ビニルトリメトキシエトキシシラン フェニルトリメトキシシラン フェニルトリエトキシシラン フェニルトリアセトキシシラン α−クロロプロピルトリメトキシシラン α−クロロプロピルトリエトキシシラン 3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン α−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン α−アミノプロピルトリメトキシシラン α−アミノプロピルトリエトキシシラン α−メルカプトプロピルトリメトキシシラン α−メルカプトプロピルトリエトキシシラン N−β(アミノエチル)−α−アミノプロピルトリメト
キシシラン β−シアノエチルトリエトキシシラン メチルトリフェノキシシラン クロロメチルトリメトキシシラン クロロメチルトリエトキシシラン ジメチルジメトキシシラン フェニルメチルジメトキシシラン ジメチルジエトキシシラン フェニルメチルジエトキシシラン γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン ジメチルジアセトキシシラン γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン メチルビニルジメトキシシラン メチルビニルジエトキシシラン 等が挙げられる。
本発明の低反射塗膜組成物において式(A)で表わさ
れる化合物および式(B)で表わされる化合物は、それ
ぞれにおいて1種のみに限定されることなく、2種以上
を併用することもできる。式(A)で表わされる化合物
であるパーフルオロアルキレン基含有化合物および式
(B)で表わされる有機シラン化合物の配合割合は
(A)化合物1〜99重量%、(B)化合物99〜1重量%
であり、適宜選定され得る。
低反射塗膜組成物の調製は(A)化合物および(B)
化合物あるいは必要によって配合される他の成分とを単
に混合するのみでよいが、(A)化合物およい(B)化
合物を予め加水分解した部分加水分解物、各化合物の共
部分加水分解を混合することによっても行なわれる。部
分または共部分加水分解は塩酸、酢酸、硫酸などの酸性
水溶液または純水を添加することによって達成される。
かかる加水分解において水の添加は一度に加えても良い
が好ましくは加水分解速度を制御するために、液温、添
加速度を調節しながら行なうのが望ましい。加水分解に
際してはアルコール、アルコキシアルコールなどが生成
するがこれらと水などを加熱および減圧下にて適当量除
去して固形分濃度を比較的任意に調整することができ
る。また、除去後、適当な溶媒、例えばアルコール、エ
ステル、エーテル、ケトン、ハロゲン化炭化水素、芳香
族系溶媒などを単独または併用して適当な量を加えるこ
とによって、固形分濃度を調整しプラスチック基材への
塗布性を向上させることができる。
本発明における低反射塗膜組成物には前記の如く、
(A)化合物および(B)化合物の他に塗膜の形成性、
塗膜の特性の向上を目的として、他の成分が加えられ
る。
ここで塗膜の形成に際しての加熱温度を低くし、加熱
時間を短縮して硬化を促進させるためにはシラノール縮
合用硬化触媒の添加が重要である。添加された硬化触媒
は従来公知のものでよく、例えばエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、エチレンジアミンなどの有機アミ
ン、酸化鉛、炭酸鉛、ステアリン酸鉛のような各種鉛化
合物、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの
ような第4級アンモニウム化合物、アルミニウムアセチ
ルアセトン、コバルトアセチルアセトンのような金属キ
レート化合物などが挙げられる。
また、低反射塗膜組成物に添加される他の成分とし
て、界面活性剤は形成される塗膜の平滑性を向上させる
ために有用であり、種々の界面活性剤の使用が可能であ
る。界面活性剤は組成物に体して0.01〜0.5重量%の範
囲で添加する。さらに目的に応じて他のフッ素含有化合
物、例えば、 ポリフルオロアルキレン基含有ジエポキシ化合物であ
ポリフルオロアルキル基含有メタクリレートとメタクリ
ル酸誘導体との共重合体である との共重合体、 との共重合体、さらに、ポリフルオロアルキル基含有ア
ルコールとメラミン誘導体との反応物である (上記式中、Rf′はポリフルオロアルキル基を示す。) との反応物など、また、金属酸化物ゾル、エポキシ樹
脂、ブチラール樹脂等の各種の添加剤を添加することも
できる。形成される塗膜の黄変防止のためには、例えば
ベンゾフェノン系、トリアゾール系、サルチル酸系など
の紫外線吸収剤の添加が有用であり、紫外線吸収剤は組
成物との相溶性を考慮して選択され、組成物に対して0.
1〜5重量%添加される。
本発明において、散乱性凹凸表面を有する透明プラス
チック基材の該表面への低反射塗膜組成物の塗膜の形成
方法は特に限定されることなく、基材の表面への組成物
の塗布は浸せき塗布、回転塗布、スプレー塗布、流し塗
り、ローラー塗布などによって行なわれる。塗布後は、
70〜130℃の温度に30〜120分間加熱して硬化させること
によって硬化塗膜とする。かくして低反射塗膜の形成さ
れた低反射透明成形体を得ることができる。
[実施例] 以下に本発明を実施例により具体的に説明するが本発
明はこれらの実施例にのみ限定されるものでないことは
勿論である。尚、実施例において低反射透明成形体の評
価方法は次の通りである。
1 耐摩耗性試験 #0000スチールウール(商品名“ボンスター”日本ボン
スター(株)製品)で摩擦し傷のつきにくさを調査して
次のように判定した。
A:強く摩擦しても全く傷がつかない B:強く摩擦すると少し傷がつく C:強く摩擦すると傷が多くつく 2 反射率測定 自記分光光度計正反射光測定付属装置(日立製作所
製:323型)を使用し波長400nμ〜700nμの入射角5゜に
おける平均反射率を測定した。
3 付着性試験 クロスカットテープテストで塗布表面に1mm間隔で縦
横に11本の平行線を入れて100個のマス目をクロスカッ
トし、その上にセロファン粘着テープを付着させた後テ
ープを剥離して100個のマス目の中で剥離しないマス目
を調査した。
4 耐久性試験 煮沸水中に1hr浸漬後の塗膜の付着性及び耐擦傷性を
調査した。
5 視認性評価試験 第1図に示すような20cm立方の暗箱であって、面1は
開放され、面2の中心位置に100w白熱灯光源は取付けら
れ(図では省略)、面2より5cmの位置3に第2図に示
す2mm間隔で黒白の縞模様(ゼブラ)の描かれた厚さ2mm
のアクリル樹脂板5の挿入部3が設けられ、さらに面1
より10cmの位置に実施例にて得られる試料をセットし得
る挿入部4が設けられた視認性評価試験装置を用いた。
この装置にて挿入部3にアクリル樹脂板5および、挿入
部4に試料を挿入セットし、面1の開放部より試料を通
して確認されるアクリル樹脂板3の縞模様の視認性を調
査し、さらに1の面に5×5cmの白紙を置いてそれに映
る反射像の映りを観察した。
評価は以下の基準にて行った。
A 模様の視認性は極めて良好で白紙の反射像もまった
く見られない。
B 模様の視認性は極めて良好だが白紙の反射像はかな
り見える。
C 模様の視認性は著しく悪いが白紙の反射像はまった
く見られない。
D 模様の視察認識性は著しく悪く白紙の反射像もかな
り見える。
実施例1〜3 低反射塗膜組成物の(A)化合物として下記式(A−
I) で表わされるポリフルオロアルキレン基含有ビスシラン
化合物20gと(B)化合物としてγ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン6.2gとをジアセトンアルコール
520gに溶解し、液温を10℃以下に保ちながら1%酢酸水
溶液3.4gを徐々に滴下した。滴下終了後も液温を10℃以
下に1時間保ち、その後室温に戻し5日間放置した。あ
らにアルミニウムアセチルアセトネート1.1gをこの加水
分解溶液に混合しコート液(以下HC−01と略す)を調整
した。
このHC−01に第1表に示す凹凸表面を有する20cm×20
cmのジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)
重合体よりなる板(板厚2mm)を浸漬し、引上速度6cm/
分にて引上げてHC−01を塗布し、次いで100℃に20分間
加熱して硬化させて、低反射塗膜の形成された低反射透
明成形体を得た。得られた透明成形体の評価結果を第1
表に示す。
比較例1 実施例1〜3におけると同様にコート液HC−01を、実
施例1〜3と同様のジエチレングリコールビス(アリル
カーボネート)重合体よりなり、凹凸表面でなく平滑表
面を有する板に塗布し、硬化させて塗膜の形成された透
明成形体を得た。この成形体の評価結果を第1表に示
す。
比較例2 比較例1におけるジエチレングリコールビス(アリル
カーボネート)重合体よりなる平滑表面を有する板にコ
ート液を塗布、硬化しない場合の評価結果を第1表に示
す。
比較例3 実地例1におけるジエチレングリコールビス(アリル
カーボネート)重合体よりなる凹凸表面を有する板にコ
ート液を塗布、硬化させることなく、低反射塗膜が形成
されない場合の評価結果を第1表に示す。
実施例4〜12 低反射塗膜組成物の(A)化合物を前記式(A−I)
および下記式(A−II〜IV)で表わされポリフルオロア
ルキレン基含有ビスシラン化合物とし、(B)化合物を
下記式(B−I〜II)で表わされる有機シラン化合物と
し、それらの量および他の添加剤とその量を第2表に示
す通りとして実施例1〜3と同様にしてコート液を調製
した。このコート液を実施例1と同様の凹凸表面を有す
るジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)重
合体よりなる板に塗布し硬化させて、低反射塗膜の形成
された低反射透明成形体を得た。
(CH3O)3SiC2H4(CF28C2H4Si(OCH3 (A−II) C9F19C2H4Si(OCH3 (B−I) 得られた透明成形体の評価結果を第3表に示す。
比較例4〜5 低反射塗膜組成物の(A)化合物を前記式(A−I)
および(A−II)として、その量を第2表に示す通りと
し、(B)化合物を用いることなく、且つ他の添加剤を
第2表に示す通りとして実施例1〜3と同様にしてコー
ト液を調製した。このコート液を実施例1と同様の凹凸
表面を有するジエチレングリコールビス(アリルカーボ
ネート)重合体よりなる板に塗布し、硬化させて塗膜の
形成された透明成形体を得た。この成形体の評価結果を
第3表に示す。
実施例13〜21 低反射塗膜組成物の(A)化合物を前記式(A−I〜
IV)で表わされるポリフルオロアルキレン基含有ビスシ
ラン化合物とし、(B)化合物を前記式(B−I〜II)
および(B−III〜IV)で表わされる有機シラン化合物
として、それらを第4表に示す通り併用し、且つ他の添
加剤とその量を第4表に示す通りとして実施例1〜3と
同様にしてコート液を調製した。このコート液を実施例
1と同様の凹凸表面を有するジエチレングリコールビス
(アリルカーボネート)重合体より板に塗布し、硬化さ
せて反射防止塗膜の形成された低反射透明成形体を得
た。
CH3Si(OCH3 (B−IV) 得られた透明成形体の評価結果を第5表に示す。
比較例6〜8 低反射塗膜組成物の(B)化合物を前記式(B−I〜
IV)として、それらを第4表に示す通りの量で併用し、
(A)化合物を用いることなく、且つ、他の添加剤を第
4表に示す通りとして実施例1〜3と同様にしてコート
液を調製した。このコート液を実施例1と同様の凹凸表
面を有するジエチレングリコールビス(アリルカーボネ
ート)よりなる板に塗布し、硬化させて塗膜の形成され
た透明成形体を得た。この成形体の評価結果を第5表に
示す。
[発明の効果] 本発明の低反射透明成形体は光線反射防止性能および
透過率のバランスが保持されるという優れた効果を有
し、しかも簡便で比較的安価な方法によって得られると
いう特徴をも有している。特に形成される塗膜は耐擦傷
性、耐久性に優れているという効果も認められる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例によって得られた試料の視認性評価試験
装置の斜視図であり、第2図は同装置に用いる黒白の縞
模様の描かれたアクリル樹脂板の正面図である。 1:暗箱の1面であって開放面 2:暗箱の1面であって光源が取付けられる面 3:黒白の縞模様の描かれたアクリル板挿入部 4:試料挿入部 5:黒白の縞模様に描かれたアクリル板

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】散乱性凹凸表面を有する透明プラスチック
    基材の該表面に、低反射塗膜組成物(イ)または低反射
    塗膜組成物(ロ)、の塗膜を形成し硬化してなることを
    特徴とする低反射透明成形体。 低反射塗膜組成物(イ):下記式(A)で表される化合
    物もしくはその部分加水分解物、および、下記式(B)
    で表される化合物もしくはその部分加水分解物からなる
    低反射塗膜組成物。 反射塗膜組成物(ロ):下記式(A)で表される化合物
    と下記式(B)で表される化合物の共部分加水分解物か
    らなる低反射塗膜組成物。 R3 cR4 dSiY4−(c+d) (B) (式中、R1,R2は同一または異なっていてもよく水素ま
    たは炭素数1〜6の炭化水素基、R3,R4は同一または異
    なていてもよく炭素数1〜16の有機基、Rfはパーフルオ
    ロアルキレン基含有の2価の有機基、X,Yは加水分解性
    基を示し、a,bは1〜3の整数、c,dは0〜2の整数であ
    ってc+d≦3である。)
  2. 【請求項2】R3がエポキシ基含有有機基である請求項1
    の低反射透明成形体。
  3. 【請求項3】低反射塗膜組成物が、式(A)で表される
    化合物もしくはその部分加水分解物の1〜99重量%およ
    び式(B)で表される化合物もしくはその部分加水分解
    物の99〜1重量%からなる低反射塗膜組成物(イ)、ま
    たは、式(A)で表される化合物の1〜99重量%と式
    (B)で表される化合物の99〜1重量%の共部分加水分
    解物からなる低反射塗膜組成物(ロ)である請求項1の
    低反射透明成形体。
  4. 【請求項4】散乱性凹凸表面が可視光線の1/50から5倍
    までの波長の粗度面である請求項1の低反射透明成形
    体。
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