JP2573415B2 - 分解輸送変圧器の輸送方法 - Google Patents

分解輸送変圧器の輸送方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、変圧器の輸送制限(重量・高さ)を大幅に
緩和する分解輸送変圧器の輸送方法に関するものであ
る。
(従来の技術) 近年電力需要の増大に伴ない送電系統も500kv送電な
どと高電圧化すると共に、送変電用に使用される変圧器
も大容量化している。また、送電距離も長大化してお
り、前記変圧器も輸送条件が一段と厳しい山間地に据付
けることが多く、その輸送寸法と重量の大幅な低減が必
要となっている。
従来このような場所に設置する変圧器に対しては、例
えば3相変圧器の場合、3個の単相変圧器として構成し
て分割輸送し、現地で3相一括タンクあるいは共通ダク
トにより各々の単相変圧器を接続結合して3相結線を行
うことにより3相変圧器として構成する分割輸送変圧器
がある。
しかしながら、300MVA級の変圧器を分割輸送変圧器方
式で構成した場合、現地据付スペースや変圧器の経済性
等から3分割までが一般であり輸送重量も60トン程度に
低減するので限度である。したがって鉄道または船輸送
した後の現地トレーラー輸送に対し大掛りな橋梁の補強
を含めた道路補強工事が必要となり莫大な輸送費が必要
となる等の問題が有る。
そこで、輸送上の制約が特にきびしい場合には、工場
で組立てた変圧器を鉄心脚、上下ヨーク、巻線および分
割タンク等を各部分に分割細化し、現地でこれらを再度
組立てる組分分解輸送変圧器方式がある。この方式の場
合には、最重量構成物となる鉄心は、例えば三相五脚鉄
心の場合には、分解して輸送されるため、総重量120ト
ンの鉄心でも、最大送単位は20トン程度にでき、輸送上
の制約をなくすことができ、工場より一般トレーラーで
導路補強なしで輸送することが可能となる。
しかしながら、この場合には、工場組立と同様に現地
においても鉄心脚を寝かせ下部ヨーク積みを行った後で
重量が100トンを超える鉄心を起立する等大掛りな起立
設備とこれを支持据付ける基礎工事が必要となる。
さらに分解された部分の再組立に長時間を要するため
巻線絶縁物が吸湿し長時間にわたる乾燥工程が必要とな
り変圧器据付工期が増大すると共に異物混入による中身
品質の低下発生等の欠点が有る。
そこで、現地での組立作業を容易とするため、従来は
鉄心をたとえば三相五脚鉄心の場合には、第1図のよう
に分解して輸送していた。すなわち、主脚抜板を脚の幅
中央で左右に分解し、下部ヨークと一体としたU字形鉄
心単位3と上部ヨーク4に分割している。この構成の場
合、総重量120トンの鉄心でも最大輸送単位は、25トン
程度とでき、重量的には、一般トレーラーで道路補強な
しで輸送することが可能となる。また、下部ヨークを組
み合せた状態で起立させたまま輸送するため、細分分解
輸送方式の場合に比べ、現地における再組立範囲が少な
く、現地における起立作業も不要となるといった利点が
あった。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、輸送時制限としては、一般には重量制
限ばかりではなく、寸法制限、特に山岳地のトンネルや
街中のガードで決まる高さ制限がきびしいことが多い。
第6図には、第1図の構成の場合のU字形鉄心単位の
高さ寸法の内訳を示す。U字形鉄心単位の高さは、ヨー
ク2の高さ“A",巻線21の高さ“B",巻線21の絶縁及び締
付けに要する高さ“C1",“C2"により決まる。寸法“A"
及び“B"は巻線21および鉄心の重量バランスを変えるこ
とにより若干の調節は可能であるが、その範囲にはおの
ずと制限があり、大容量変圧器の場合には、低床トレー
ラーを使用しても輸送高さ制限をクリアできず、細分分
解輸送変圧器方式とせざるを得ないという問題点があっ
た。
本発明の目的は、大容量変圧器の輸送重量制限がきび
しいため分解輸送方式を適用しなければならない場合
で、かつ輸送寸法制限、特に高さ方向の輸送寸法制限が
きびしい場合に、これらの輸送制限を満足し、同時に現
地における再組立範囲を少なくし、現地作業を容易とす
ることのできる、分割輸送変圧器の輸送方法を提供する
ことである。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明は巻線を巻装する主脚抜板を脚の幅中央で左右
に分離する構成とすると共に、現地輸送時は、巻線,上
部ヨークを抜き少なくとも、2個以上のU字形鉄心単位
に分割し、上部脚間を固定金具で固定し、輸送タンクに
納め密封輸送を行なう分解輸送変圧器において、鉄心両
脚および下部ヨークは、鉄心の補強材と共に正規にバイ
ンド組立され、上部の脚間に間隔片を取りつけたU字形
鉄心を上下に分割可能な輸送用タンクに納め、上下部タ
ンク内に設けた、振れ止め構造と鉄心補強材とを連結す
ることにより、U字形鉄心を固定する。
輸送用タンクに納められた鉄心は、タンクごと横だお
しまたは、水平面から45゜以下に傾斜させた状態でトレ
ーラーに乗せ現地まで輸送する。輸送用タンク側面に
は、高さ調節可能な主脚支工構造を取り付け、鉄心主脚
の重量をうける。
現地据付時、輸送用タンクに納めたままの状態で、鉄
心を起立させ、起立した状態で鉄心を輸送用タンクから
取り出す。
(作 用) 上記構成とすることにより、輸送時の鉄心輸送単位の
重量・高さ寸法を低減することができるため、輸送制限
(特に高さ制限)のきびしい場合でも鉄心をU字形鉄心
構成として、脚と下部ヨークを組合せた状態での輸送が
可能となる。このため、鉄心主脚、上下部ヨークを全て
分解して輸送する必要がなくなるため、現地における再
組立・品質向上が容易となる。
(実施例) 以下、本発明における分解輸送変圧器の輸送方法を第
1図乃至第4図を用いて説明する。
第1図において、鉄心の輸送単位は、巻線を巻装する
主脚1の抜板を脚の幅中央で左右に分離する構成とする
と共に、下部ヨーク2と正規の組立により組み合わせら
れて構成されるU字形鉄心単位3とそれに対応する部分
の上部ヨーク4に分割され、1つの完成した鉄心は、少
なくとも2つ以上のU字形鉄心単位3とそれに対応した
上部ヨーク4に分解されて輸送される。
それぞれのU字形鉄心単位3は、第2図に示すように
輸送時のショックに耐えられるように補強され、輸送用
タンクにおさめられる。すなわち、U字形鉄心単位3の
2つの脚5および下部ヨーク2は、補強材6a,6bと共に
正規にバインド7組立され、強度上必要であれば、脚部
の補強材6a、とヨーク部の補強材6bを連結する。両脚5
の上部間は、固定金具8により固定し、輸送時のショッ
クに耐えられる構造とする。輸送重量面での制約が少な
い場合には、固定金具8の代わりに、正規の上部ヨーク
4を挿入し、下部側と同じように補強材と共にバインド
組立した構成とすることにより、鉄心輸送単位の数を減
らしても良い。
上述のように組立てられたU字形鉄心単位3は、上下
に分割可能な輸送用タンク9,10に納められ、上,下部タ
ンク9,10内に設けられた振れ止め構造11a,11dと、鉄心
の補強材6a,6b、固定金具8を連結することにより、タ
ンク内に固定する。
輸送用タンク9,10に納められたU字形鉄心単位3は、
第3図に示すように、輸送用タンク9,10と、横倒しにし
た状態で、トレーラー12に乗せて輸送する。輸送用タン
ク9,10内部の側面には、高さ調節の可能な主脚支工13を
設けておき、横倒しにした際の鉄心主脚の重量を受けら
れる構造とする。
現地においては、第4図に示すように横にしたままの
状態で輸送用タンク9,10ごと、起立装置14の上におろ
し、輸送用タンク9,10に入れた状態のまま起立し、起立
が完了した状態でU字形鉄心単位3を輸送用タンク9,10
より取り出す。輸送用タンク9,10には、上記の作業に対
応して、起立した状態、横倒しにした状態で共に吊りお
ろしが可能となるように、吊り耳15a,bを配置する。
前述した本発明の実施例によれば、輸送時の鉄心輸送
単位の重量と、特に高さ寸法を低減することができるた
め、輸送制限(特に高さ制限)のきびしい場合でも大容
量変圧器の鉄心をU字形鉄心単位3として、脚1、下部
ヨーク2を組合せた状態での輸送が可能となる。このた
め、鉄心主脚1、上下部ヨーク2,4を全て分解して輸送
する必要がなくなるためその場合に比べ、現地における
再組立、品質向上が容易となる。
また、本実施例の構成の場合には、現地における起立
作業が必要となるが、本構成の場合には、起立の対象と
なる重量は輸送時の重量、すなわち、主脚1脚分と下部
ヨーク1ケ所分および輸送タンク9,10の重量となり、例
えば、300MVA級の変圧器の場合には、輸送用タンク9,10
を含めても30トン以下となる。このため、鉄心主脚1、
上下部ヨーク2,4を全て分解して輸送し、現地で組立て
ていた従来の方法(鉄心起立重量100トン以上)に比べ
て、起立装置を大幅に小型化することが可能となる。
高さ制限の制約の程度によっては、第3図において破
線で示したように、鉄心輸送単位を水平面から45゜以下
の角度に倒した状態でトレーラー12上に固定して輸送す
ることが可能となる。
この場合には、輸送用タンク9,10に入れた状態で、ト
レーラー12の上で起立が可能になるため、現地での起立
装置は不要となる。
また、第5図に示すように、輸送用タンク10のタンク
底のコーナー部分を丸め、補強ビーム16を溶接した構造
とすることにより、輸送タンク自体での鉄心起立が可能
となるため、現地における鉄心起立装置14を省略するこ
とができる。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、輸送重量制限がきびし
いため分解輸送方式を適用しなければならない場合で、
かつ、輸送寸法制限、特に高さ方向の輸送寸法制限がき
びしい場合においても、これらの輸送制限を満足し、同
時に現地における再組立範囲を少なくし、現地作業・品
質向上を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明によるU字形鉄心輸送単位の説明図、
第2図乃至第5図は本発明の実施例を示す図、第6図
は、本発明のU字形鉄心輸送単位を用いた場合の高さ寸
法の内わけを示す説明図である。 1……主脚、2……下部ヨーク 3……U字形鉄心輸送単位、4……上部ヨーク 5……U字形鉄心の脚、6……補強材 7……バインド組立、8……固定金具 9……輸送用上部タンク、10a,b……輸送用下部タンク 11a〜d……振れ止め構造、12……トレーラー 13……主脚支工構造、14……起立装置 15a,b……吊り耳、16……補強ビーム 17……主脚輸送単位、18……側脚輸送単位 19a〜d……ヨーク輸送単位、20……側脚 21……巻線

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄心の巻線を巻装する主脚抜板を脚の幅中
    央で左右に分離する構成とすると共に、現地輸送時は、
    巻線、上部ヨークを抜き少なくとも、2個以上のU字形
    鉄心単位に分割し、上部脚間を固定金具で固定し、輸送
    タンクに納め密封輸送を行なう分解輸送変圧器の輸送方
    法において、鉄心両脚および下部ヨークは、鉄心の補強
    材と共に正規にバインド組立され、上部の脚間に間隔片
    を取りつけたU字形鉄心を上下に分割可能な輸送用タン
    クに納め、上下部タンク内に設けた、振れ止メ構造と鉄
    心補強材とを連結することにより、U字形鉄心を固定
    し、輸送用タンクに納められた鉄心は、タンクごと横だ
    おしまたは、水平面から45゜以下に傾斜させた状態でト
    レーラーに乗せ現地まで輸送し、輸送用タンク側面に
    は、高さ調節可能な主脚支工構造を取り付けて鉄心主脚
    の重量を受け現地据付時、輸送用タンクに納めたままの
    状態で、鉄心を起立させ、起立した状態で鉄心を輸送用
    タンクから取り出すようにしたことを特徴とする分解輸
    送変圧器の輸送方法。
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