JP2559706B2 - 交流エレベ−タの制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は誘導電動機により駆動されるエレベータを
制御する交流エレベータの制御装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ 第４図及び第５図は、例えば特開昭59−7679号公報に
示された従来の交流エレベータの制御装置を示すブロッ
ク図である。第４図において、（１）は三相交流電源、
（２）はダイオードまたはサイリスタからなるコンバー
タ、（３）はコンバータ（２）の直流側に接続され、そ
の直流電力を平滑する平滑コンデンサ、（４）は平滑コ
ンデンサ（３）の直流出力を交流電力に変換するインバ
ータ、（５）はインバータ（４）の交流電力により駆動
される三相誘導電動機、（６）は三相誘導電動機（５）
に機械的に結合されたブレーキ車、（７）はブレーキ・
シューであり、ブレーキ車（６）の側周面に対向して設
けられ、ブレーキ車（６）に対してばね（８）の力によ
り制御力を与える。（９）は付勢されたブレーキ・シュ
ー（７）をばね（８）の力に対抗してブレーキ車（６）
から引き離すブレーキ・コイル、（10）はブレーキ・コ
イル（９）に直流電力を供給する直流電源である。上述
のブレーキ車（６）〜直流電源（10）を以下、単にブレ
ーキと呼ぶ。

（11）はブレーキ車（６）を介して三相誘導電動機
（５）に結合され、その駆動により巻き上げられる駆動
綱車、（12）は主索であり、駆動綱車（11）に巻き掛け
られ、両端にかご（13）及び釣り合い重り（14）を結合
している。（15）は三相誘導電動機（５）に直結され、
その回転速度を表わした速度信号Vaを発生する速度計用
発電機、（17）は速度指令信号Vc及び速度信号Vaとに基
づいてインバータ（４）の出力を可変電圧可変周波数制
御、すなわちその電圧及び周波数を制御するための点弧
信号（17a）〜（17f）を発生する制御装置、（18）は速
度信号Va及び速度指令信号Vcに基づいて制御装置（17）
の異常を検出する異常検出装置、（19）は常開接点（19
a）を有し、平常時は付勢状態にあり、異常検出装置（1
8）の異常検出信号により消勢状態にされる異常検出リ
レーである。

第５図において、（21）は、図示しないエレベータか
ら出力される起動指令により開成する起動指令リレー接
点（22）及び常開接点（19a）を介して電源「＋」端子
に接続され、他端が電源の負端子「−」に接続されたブ
レーキ電磁接触器であり、第４図に示すブレーキ・コイ
ル（９）と直流電源（10）との間に接続された接点（21
a）を有する。（23）はブレーキ電磁接触器（21）と同
じく一端が起動指令リレー接点（22）及び常開接点（19
a）を介して電源の正端子「＋」に接続され、他端が電
源の負端子「−」に接続された運転用電磁接触器であ
り、三相交流電源（１）とコンバータ（２）との間に接
続されている常開接点（23a）を有する。

第６図は制御装置（17）のブロック図である。第６図
において、（17g）は加算器であり、速度指令信号Vcと
速度信号Vaとの間の偏差（信号）を求める。（17h）は
速度制御装置であり、加算器（17g）からの偏差を補正
してトルク指令に等価な、すべり周波数指令（17i）を
出力する。（17j）は電圧指令発生器であり、すべり周
波数指令（17i）及び速度信号Vaを入力して交流電圧指
令を発生する。（17k）はパルス幅変調器であり、電圧
指令発生器（17j）から入力する交流電圧指令により、
制御した点弧信号（17a）〜（17f）を発生し、これらの
点弧信号（17a）〜（17f）をインバータ（４）に入力し
てインバータ（４）を可変電圧可変周波数制御させる。

次に動作について説明する。かご（13）の停止中にお
いて、ブレーキ・シュー（７）は、ばね（８）の力によ
りブレーキ車（６）に押圧されている。一方、異常検出
装置（18）は、速度指令信号Vcと速度信号Vaとの間の偏
差が予め定めた設定値を超えないとき、すなわち異常で
ないときは異常検出リレー（19）を付勢状態に保持し、
常開接点（19a）を閉成させている。また、かご（13）
の起動指令が出されたときは、起動指令リレー接点（2
2）が閉成されるので、運転用電磁接触器（23）が付勢
され、その常開接点（23a）を閉成させる。従って常開
接点（23a）を介して三相交流電力がコンバータ（２）
に供給されるので、コンバータ（２）は直流電力の送出
を開始する。これに応答して、インバータ（４）は三相
誘導電動機（５）の運転方向に対応する可変電圧、かつ
可変周波数の三相交流電力を三相誘導電動機（５）に供
給する。

かご（13）の起動指令により、起動指令リレー接点
（22）が閉成されるので、ブレーキ電磁接触器（21）が
付勢され、その接点（21a）が閉成される。従ってブレ
ーキ・コイル（９）は直流電源（10）により付勢され、
ブレーキ・シュー（７）はブレーキ車（６）から引き離
され、ブレーキが開放されるので、三相誘導電動機
（５）はインバータ（４）から供給される三相交流電力
に従って回転を開始し、かご（13）を走行させる。

三相誘導電動機（５）の回転速度は速度計用発電機
（15）により検出されて速度信号Vaとなるので、制御装
置（17）はこの速度信号Va及び速度指令信号Vcに従って
点弧信号（17a）〜（17f）を制御することによりインバ
ータ（４）から三相誘導電動機（５）に対する三相交流
電力の電圧及び周波数を制御する。すなわち、制御装置
（17）は、三相誘導電動機（５）の回転速度、従ってか
ご（13）の走行速度を速度指令信号Vcの対応したものに
制御する。この制御装置（17）は、かご（13）の走行に
より停止すべり階に接近したときは、減速制御を開始し
てその階の位置で停止させる。この状態では起動指令リ
レー接点（22）が開放され、運転用電磁接触器（23）が
消勢されるので、常開接点（23a）は開放される。ま
た、ブレーキ電磁接触器（21）も消勢され、その接点
（21a）が開放され、ブレーキ・コイル（９）が消勢さ
れ、最終的にブレーキ・シュー（７）がブレーキ車
（６）に押圧されてかご（13）が停止する。

もし、何らかの異常により、かご（13）の起動指令が
出された後に速度指令信号Vcと速度信号Vaとの間の偏差
が予め定めた設定値よりも大きくなった場合は、異常検
出装置（18）は異常検出信号を出力して異常検出リレー
（19）を消勢し、その常開接点（19a）を開放させる。
従って、インバータ（４）は三相誘導電動機（５）に対
して三相交流電力の供給を停止し、また上述の説明と逆
のシーケンスによりブレーキ・コイル（９）が消勢され
るので、ブレーキ・シュー（７）がブレーキ車（６）に
対して摩擦による制動を実行し、かご（13）を停止させ
る。

［発明が解決しようとする問題点］ 従来の交流エレベータの制御装置は以上のように構成
されていたので、かごの起動時または走行時において、
ブレーキ・コイルの接点の接触不良、またはブレーキ・
コイルの断線等を原因としてブレーキ・シューがブレー
キ車に押圧されている状態で、定格積載近くの負荷で下
降方向に運転した場合、または無負荷で上昇方向に運転
した場合速度指令信号と速度信号の偏差が、予め定めた
異常検出の設定値よりも小さくなり、異常検出装置が応
答しない場合が生じ、エレベータの異常停止機能に支障
が生じるという問題点があった。すなわち、このような
場合は、ブレーキシューを作動させた状態で走行するの
で、ブレーキシューに取り付けられているブレーキ・ラ
イニングを加熱摩耗させ、最終的にブレーキシューのブ
レーキ機能を低下させてしまう。

なお、上記走行モードで異常検出装置が応答しない原
因は次の通りである。すなわち、ブレーキが開放された
状態で上記運転モードで運転する場合の誘導電動機の加
速時必要トルクは少ないため、たとえブレーキがかかっ
た状態でも、上記運転を行なうに必要なトルクを誘導電
動機は発生でき、速度指令信号と速度信号の偏差は、異
常検出を動作させる程大きくはならない。

この発明は上記のような問題点を解消するためになさ
れたもので、エレベータの安全性を高めることができる
交流エレベータの制御装置を得ることを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この発明に係る交流エレベータの制御装置は、インバ
ータから供給される可変電圧、かつ可変周波数の交流電
力により駆動される誘導電動機の速度信号と予め定めら
れた値を有する速度指令信号との間の偏差に従って、上
記インバータを制御する制御装置を備えた交流エレベー
タの制御装置であって、上記偏差に対応するすべり周波
数指令が、かごが過負荷を積載して上昇方向に一定速で
運転したときのすべり周波数指令値と、ブレーキが作用
したままかごが無負荷で上昇方向に一定速で運転したと
きのすべり周波数指令値との中間に設定された値より大
きい状態にあり、かつ予め定めた時間を超えて連続する
ことを検出したときに、異常検出装置が上記誘導電動機
への交流電力の供給を遮断させるようにしたものであ
る。

［作 用］ この発明における異常検出装置は、その速度信号と予
め定められた速度指令信号との間の偏差に対応するすべ
り周波数指令が、かごが過負荷を積載して上昇方向に一
定速で運転したときのすべり周波数指令値と、ブレーキ
が作用したままかごが無負荷で上昇方向に一定速で運転
したときのすべり周波数指令値との中間に設定された値
より大きい状態を予め定めた時間を超えて連続するのを
検出したときは、上記誘導電動機への交流電力の供給を
遮断させるようにしたので、かごの異常停止機能を向上
させる。

［実施例］ 以下、この発明の一実施例を図について説明する。第
１図において、（18a）は異常検出装置であり、第２図
に示すごとき構成を有する。第２図において、（24）は
電動機（11）のトルク指令に等価的な速度制御装置（17
h）のすべり周波数指令（17i）が所定値を超えたときに
閉成するようにすべり周波数指令（17i）により制御さ
れた接点（制御線は図示せず）である。（25）は接点
（24）に直列接続された時限リレーであり、接点（24）
が時間Ｔ秒以上閉成されているときに付勢され、異常検
出リレー（19）を消勢させる。ただし時間Ｔはかご（1
3）が起動してから一定速度に達するまでの公称時間に
対応して設定される。

ここで、ブレーキ・シュー（７）が付勢されていない
場合、かご（13）の一定速度時の要求トルクは、ブレー
キ車（６）〜直流電源（10）が、すなわちブレーキが正
常に機能するときにエレベータが許可し得る過負荷積載
時、かつ一定速度時のトルクよりも通常大きい。従っ
て、ブレーキの引きずりを検出するために必要とするト
ルク、すなわち、接点（24）が閉成するときのすベり周
波数指令（17i）の所定値は、過負荷積載で、上昇方向
に一定速で運転中のすべり周波数指令（17i）の値より
大きく設定される。この他、既に説明した第１図及び第
５図において、第４図と同一符号のものは同一、または
相当部分を示し、その説明は上述の説明を参照するもの
とする。

以上のような構成からなる本発明の交流エレベータの
制御装置について以下、その動作を説明する。

接点（24）はたとえ、かご（13）が加速中に制御装置
から付勢されても、加速終了後の一定速時においては、
すべり周波数指令（17i）から所定値よりも小さくなる
ため消勢される。従って、時限リレー（25）は付勢され
ない。しかし、何らかの原因によりブレーキシュー
（７）が付勢されずに、かご（13）が起動した場合、す
べり周波数指令（17i）は予め定めた設定値より大きく
なり、またこの状態が、かご（13）の加速から一定速に
到るまでの時間Ｔ以上継続するため、時限リレー（25）
が付勢される。これによって時限リレー（25）は異常検
出リレー（19）を消勢させる。以降は前述のように、常
開接点（19a）、起動指令リレー接点（22）及び運転用
電磁接触器（23）の機能により、常開接点（23a）を開
放して三相交流電源（１）からの三相交流電力を遮断す
る。

第３図は異常検出装置（18a）の動作を示す波形図で
ある。図において、ａは加速指令信号Vcを示し、ｂは過
負荷積載かつ上昇時においてブレーキが正常に機能する
ときの速度信号Vaを示し、ｃはｂのときのすべり周波数
指令（17i）を示し、ｄは無負荷の上昇時においてブレ
ーキが起動時点から付勢しないときの加速信号Vaを示
し、ｅはｄのときのすべり周波数指令（17i）を示し、
ｆは接点（24）が付勢される設定値であり、図示のよう
にかご（13）が一定速度にあるときのｃ及びｅの中間値
に選択される。

なお、上記実施例では、すべり周波数指令（17i）と
所定値との比較を起動から停止までの全般について行な
う場合を説明したが、速度指令信号Vcが一定していると
きにのみ比較判定をするようにしてもよい。このような
場合には、時限リレー（25）の時間Ｔを雑音環境に対応
して上記実施例よりも短くし、最大零までにしてもよ
く、いずれも上記実施例と同様の効果を奏する。

また、上記実施例ではすべり周波数指令（17i）が所
定値を超えた時に接点（24）を消勢する場合を示した
後、速度制御装置（17h）が速度指令信号Vcと速度信号V
aの偏差を積分する積分要素を含まない時は、上記偏差
信号を増幅した信号が所定値を超えた時に接点（24）を
消勢する様にしてもよく、上記実施例と同様の効果を奏
する。

［発明の効果］ 以上のように、この発明によれば、かごを駆動する誘
導電動機の速度信号と、予め定められた速度指令信号と
の間の偏差に対応するすべり周波数指令が、かごが過負
荷を積載して上昇方向に一定速で運転したときのすべり
周波数指令値と、ブレーキが作用したままかごが無負荷
で上昇方向に一定速で運転したときのすべり周波数指令
値との中間に設定された値より大きい状態を、予め定め
た時間を超えて連続するのを検出したときに、上記誘導
電動機への交流電力の供給を遮断させるように構成した
ので、かごをブレーキの異常時に対してかごの異常停止
機能を向上させることができ、かつブレーキの機能低下
を防ぐ効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はこの発明の一実施例による交流エレ
ベータの制御装置を示すブロック図、第３図は第１図に
示す交流エレベータの制御装置の動作の波形図、第４
図、第５図及び第６図は従来の交流エレベータの制御装
置を示すブロック図である。 図において、（４）はインバータ、（５）は誘導電動
機、（13）はかご、（17）は制御装置、（18a）は異常
検出装置である。 なお、図中同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エレベータのかごに結合され摩擦式ブレー
   キを有する誘導電動機を可変電圧かつ可変周波数の交流
   電力により駆動するインバータと、上記誘導電動機から
   検出された速度信号と予め定められた値を有する速度指
   令信号との間の偏差に従い上記インバータを制御する制
   御装置とを備えた交流エレベータの制御装置において、
   上記偏差から演算される誘導電動機へのトルク指令に等
   価なすべり周波数指令が上記かごが過負荷を積載して上
   昇方向に一定速で運転したときのすべり周波数指令と、
   上記ブレーキが作用したまま上記かごが無負荷で上昇方
   向に一定速で運転したときのすべり周波数指令との中間
   に設定された値より大きい状態にあり、かつ予め定めた
   時間を超えて連続するのを検出したときは上記誘導電動
   機への交流電力の供給を遮断させる異常検出装置を備え
   たことを特徴とする交流エレベータの制御装置。
2. 【請求項２】上記異常検出装置は予め定めた時間をエレ
   ベータのかごが起動してから一定速度に達するまでの公
   称時間に対応して設定されていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の交流エレベータの制御装置。