JPS638033B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はエレベーターに係り、特に交流エレベ
ーターの速度制御に好適なエレベーター制御装置
に関する。

〔従来の技術〕

従来、交流エレベーターの速度制御としては、
通常の運転の外に低速運転が行なえるように少な
くとも２つの異なる速度を有する誘導電動機が用
いられていた。第１図に従来の交流エレベーター
の速度制御の概略図を示すが、乗かご１とカウン
タウエイト２がロープ３を介して、シーブ４につ
るべ状に吊さがつており、シーブ４には、減速機
５を介し高速運転を実行させる誘導電動機６と、
低速運転を実行させる誘導電動機７が一体化し
た、２速度誘導電動機８が直結されている。

エレベーターを通常の運転、即ち高速運転を行
なうときには、制御装置９は断路器１２を導通状
態にし、サイリスタ制御装置１３にて一次電圧制
御を行ない、エレベーターの速度指令に従つて高
速運転用の誘導電動機６の速度を制御する。エレ
ベーターが目的階迄走行すると、制御装置９は断
路器１４を導通状態にして、サイリスタ制御装置
１５により直流を発生させ、低速側の誘導電動機
７の巻線に印加する。このようにすると、誘導電
動機７は制動力を発揮し減速を始める。ところ
が、制動力が強すぎる場合には、高速側の電動機
６を駆動して増速させる方向をとり、乗客に快適
な乗心地で減速するようにしている。

一方、エレベーターが保守等の低速運転を行な
う場合には制御装置９が断路器１０が導通状態に
する。そうすると、低速運転用の誘導電動機７が
交流電源１１に直接接続され、同期速度で回転を
行ない低速運転を行なう。

ところが、通常の運転の減速時に、低速側の誘
導電動機６に直流を加えると、エレベーターの運
転エネルギーは熱エネルギーとなつて、電動機を
加熱するため、エレベーターの電動機は大型とな
るばかりでなく、エネルギーを回生できなかつ
た。

また、高速側の誘導電動機６は、高効率の誘導
電動機では、起動トルクが小さく、同期速度近傍
で最大トルクが発生されるように設計されてい
る。

ところが、エレベーターは、起動時の衝撃を少
なくするため、ロータとステータのエアギヤツプ
を大きくし、効率は下げるが、駆動トルクはすべ
り周波数が変化してもほぼ一定になるように設計
した特殊な誘導電動機を使用するため、非常に高
価で効率も悪いという欠点があつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

また、最近では、サイリスタ制御装置１３，１
５に代えて、交流を一旦整流して直流に変換した
後、可変周波数の交流に変換して可変速制御を行
なう。いわゆるインバータ装置が一般産業用機械
に用いられるようになつてきた。

しかし、このようなインバータ装置は、単一の
誘導電動機を用いて可変速制御が実現できるが、
一旦インバータ装置が故障すると、誘導電動機を
駆動することが出来ず、エレベーターにインバー
タ装置を用いた場合には階間停止し、乗客をエレ
ベーターの乗かごに閉じ込めてしまうという問題
があつた。

本発明の目的は、交流電動機を同期速度に近い
回転数で運行することにより、良好な速度制御を
行ない得ると共に、インバータが故障しても簡単
に低速運転できるエレベータを提供することにあ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、交流電動機の性能は同期速度近傍で
最大になることに着目し、交流電動機に加わる周
波数を順次変化させて、エレベーターの駆動トル
クを最大にし、速度制御を円滑に行なうように構
成し、特に低速運転時、交流電源をインバータを
介さず交流電動機に接続するようにしたものであ
る。

〔作用〕

これにより、インバータが故障しても、直接交
流電源と接続すれば、商用の電源周波数にて交流
電動機を低速運転することができ、信頼性の高い
エレベーターシステムを提供できる。

〔実施例〕

第２図は本発明の実施例を示すもので、エレベ
ーターの通常の運転、即ち高速運転時には、断路
器１０を開放し、断路器１６を導通状態にする。
そうすると、交流電源１１は、インバータ１８を
通つて直流に変換され、前記直流に充電式電池１
９、および、直流を交流に変換するインバーター
装置１７を介して、電動機７へ電力を供給する。
電動機７に電力が供給されると、電動機７は回転
する。その結果、電動機７に直結されたパルス発
生器２０は、回転数に比例したパルスを発生し、
制御装置９に加えられる。

このような構成にすると制御装置９は、エレベ
ーターを加速する場合、インバーター１７の周波
数を零から、速度指令に従つて、増加させ、パル
ス発生器２０より発生したパルスを基に、電動機
７の回転数を用い、前記インバーター１７の周波
数との差のすべり周波数を求め、このすべり周波
数から所定のトルクが電動機７に発生するよう
に、インバータ１７を制御する。こうすると、エ
レベーターの乗かごの速度を制御できる。

また、減速時にはインバータ１８は交流電源１
１に同期した周波数で制御を行ない、インバータ
１７は、電動機７の速度に相当する周波数より低
い周波数に設定すると、電動機７には負のトルク
が発生し、制動力となると同時に直流として、エ
ネルギーが回生される。このエネルギーをインバ
ータ１８が交流電源１１へ電力を回生すると同時
に、一部は充電式電池１９に蓄えられる。

一方、インバータが故障したり、保守等の際に
は、第１図において低速運転用の誘導電動機７の
低速巻線に交流電源１１を印加したのと同様に、
エレベーター制御装置９が断路器１０を導通状態
にして、直接交流電源１１を電動機７へ印加す
る。そうすると、エレベーターの乗かご１は低速
で運転を行なうことができる。

他方、停電時には、電池１９によつて電力が供
給されるため、インバータ１７で、直流を交流に
変換し、電動機７に電力を供給し、エレベーター
が途中に止まつて、乗客が缶詰になるのを防ぐた
め、エレベーターの開扉ゾーンまでエレベーター
を運行し、乗客を救出する。

本実施例によれば、電動機は１巻線のものが使
用でき、電動機のコストが低下するとともに、従
来は駆動トルクが一定になるようにするために、
電動機のローターとステーターのコアギヤツプを
大きくし、損失は無視していたが、本発明によれ
ば、高効率の電動機を用い、所要駆動トルクは、
すべり周波数を変化させることで実現できるた
め、熱損失も減り、更に、減速時には回生できる
ため、省エネルギーの効果もある。

また、停電時にも、エレベーター開扉ゾーン以
外に停止したエレベータを、開扉ゾーン迄運転が
可能となり缶詰事故を減少できるとともに、イン
バータ１７が故障しても、エレベーターは低速運
転が可能となるため、保守性、安全性が向上する
効果がある。

なお、インバータ１８は、回生制動を実行しな
い場合には、整流回路で良いことも本発明より、
容易に推定できる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、通常の運転時にはインバータ
によりエレベーターの電動機に加わる周波数を任
意に変更することができるので、エレベーターの
速度制御を容易に実行でき、低速運転時には交流
電源からインバータを介さず電動機に給電できる
のでインバータの制御が困難な場合でも確実に救
出運転等が可能となるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の交流エレベーターの速度制御
の概略図、第２図は本発明の動作原理図である。 ７……電動機、１０，１６……断路器、１７，
１８……インバータ、１９……充電式電池、３０
……パルス発生器、９……制御装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 交流電源と、その交流電力を直流電力に変換
   し、この直流電力を交流電力に変換するインバー
   タと、このインバータを介して前記交流電源より
   給電される交流電動機と、この交流電動機により
   駆動されるエレベーターとを備え、前記インバー
   タの周波数を変更することにより前記エレベータ
   ーの速度を変化させるものにおいて、低速運転
   時、前記交流電源を前記インバータを介さず前記
   交流電動機に接続するように構成したことを特徴
   とするエレベーター制御装置。