JP4391613B2 - 巻上機制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、巻上モータを可逆可変速駆動可能なインバータを備えた巻上機制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のインバータを使用してエレベータやクレーンに適用される巻上機制御装置において、そのインバータの損失低減等を目的に、その巻上モータに供給する電源を、インバータ電源と商用交流電源とに適宜切り換える方式が提案されている。
例えば、特開平4−85272号公報に開示された油圧エレベータの運転方法は、エレベータの上昇開始後に加速上昇から定速上昇へ移行する際に、および下降開始後に加速下降から定速下降へ移行する際に電動モータの電源をインバータ電源から商用交流電源(周波数50Hzまたは60Hz)に切り換えるというものである。また、エレベータの定速上昇から減速上昇へ移行する際に、および定速下降から減速下降へ移行する際に電動モータの電源を商用交流電源からインバータ電源に切り換えるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の巻上機制御装置は以上のように構成されているので、上昇および下降の両運転時に商用交流電源により巻上モータを駆動するケースが存在するが、上記商用交流電源ではその電圧の相回転順が決まっているので、同一電源で上昇時と下降時とで巻上モータの回転方向を逆転させるためには、商用交流電源と巻上モータとの接続部分に、相回転方向を切り換える接触器が、インバータ電源との切り換え手段とは別に必要となり、この接続部分の構造が複雑でコスト高になるとともに、信頼性も低下せざるを得ないという問題点があった。
【0004】
また、定速運転から減速運転に移行する際、即ち、高速運転から低速運転または運転停止に移行する際は、インバータ電源に切り換える必要があるが、特に下降運転時は回生動作となり、条件によっては速やかな減速動作が得られない、また、インバータの負担が大きくなりその分インバータ設備容量の増大、コストアップになるという問題点があった。
【0005】
この発明は以上のような問題点を解消するためになされたもので、簡便安価な構成でしかも商用交流電源によるモータ駆動を有効に活用することができる巻上機制御装置を得ることを目的とする。
また、インバータを特別に大きくすることなく、速やかな減速動作特性を実現することができる巻上機制御装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る巻上機制御装置は、巻上モータ、平滑コンデンサの電圧を直流入力電圧として動作し可逆可変周波数の交流電圧を出力して上記巻上モータを可逆可変速駆動可能なインバータ、商用交流電源、および上記巻上モータへ供給する電源を上記インバータと商用交流電源とのいずれかに切り換える切換器を備え、上記巻上モータを回転駆動することにより負荷荷重の上昇運転および下降運転を制御する巻上機制御装置において、
上記上昇運転時は、常に上記インバータにより上記巻上モータを回転駆動する力行運転をし、上記下降運転時は、上記インバータにより上記巻上モータを回転駆動する回生運転をし、上記インバータの回生負担が上記インバータの力行運転能力を越えないよう上記インバータの直流入力電圧が所定の値になったとき上記切換器を操作して上記商用交流電源により上記巻上モータを回転駆動するようにしたものである。
【0007】
また、この発明に係る巻上機制御装置は、その商用交流電源による下降運転中に運転指令がなくなると、切換器を操作してインバータを巻上モータに接続しかつ上記インバータを直流出力モードにしてダイナミックブレーキをかけるとともに機械式ブレーキで制動するようにしたものである。
【0008】
また、この発明に係る巻上機制御装置は、その商用交流電源による下降運転中に運転指令がなくなると、機械式ブレーキによる制動を指令し、その一定時間後に切換器を操作して上記商用交流電源と巻上モータとを切り離すようにしたものである。
【0009】
また、この発明に係る巻上機制御装置は、その一定時間として、機械式ブレーキへの制動指令出力時点から制動動作開始時点までに相当する時間を設定するようにしたものである。
【0010】
また、この発明に係る巻上機制御装置は、その昇降運転を高速運転と低速運転とで指令する場合であって、上記高速運転指令がなくなり機械式ブレーキで制動停止後、上記低速運転指令が存在したとき、インバータを交流出力モードで立ち上げ低周波数の交流電圧を出力して低速運転を開始するようにしたものである。
【0011】
また、この発明に係る巻上機制御装置のインバータは、商用交流電源の電圧を直流に変換した電圧をその直流入力電圧とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるホイストの巻上機制御装置の全体構成を示す回路図である。図において、端子R0、S0、T0には50Hzまたは60Hzの三相200Vの商用交流電源が供給されている。1は後述する各機器を収容する制御装置、2はホイストの上昇/下降および高速/低速/停止の運転を指令するための押ボタン、3は誘導電動機でなる巻上モータ、4は機械式ブレーキである巻上ブレーキで、後述するダイオードスタックからの直流電流の供給が途絶えるとブレーキが作動する。5は巻上モータ3の回転速度を検出する回転センサである。
【0013】
次に、制御装置1内の構成について説明する。6はインバータで、商用交流電源からの三相交流電圧を直流に変換するコンバータ部7、平滑コンデンサ8、この平滑コンデンサ8の電圧を直流入力電圧として動作し可逆可変周波数の三相交流電圧を出力するインバータ部、およびインバータ部9の制御部、更には、後述する各端子からの信号に基づき各種の処理動作を行う制御回路を備えている。
【0014】
10は上限リミットスイッチ(1段目)で、常時閉に保たれ、この状態は、インバータ6がその端子LSにR相電圧が印加されることで認識する。そして、上昇運転を続けホイストのフックが上昇すると、その上昇端において上記上限リミットスイッチ10のレバーに衝突し、上限リミットスイッチ10が動作してその接点が開放され、インバータ6はその端子LS入力の喪失からこれを判断して上昇運転停止の制御を行う。
11は上限リミットスイッチ(2段目)で、先の上限リミットスイッチ(1段目)の動作にもかかわらず上昇運転が停止せず更に上昇を続けた場合、この上限リミットスイッチ(2段目)の接点が開放し、インバータ6への商用交流電源の供給を断つ。
【0015】
押ボタン2の「上」を1段目まで押し込むと、インバータ6の端子UPにR相電圧が印加され、インバータ6は上昇低速運転指令が入力されたと認識する。押ボタン2の「上」を更に2段目まで押し込むと、インバータ6の端子UPにR相電圧が印加されていたのに加えて、同端子HIにR相電圧が印加され、インバータ6は上昇高速運転指令が入力されたと認識する。
また、押ボタン2の「下」を1段目まで押し込むと、インバータ6の端子DNにR相電圧が印加され、インバータ6は下降低速運転指令が入力されたと認識する。押ボタン2の「下」を更に2段目まで押し込むと、インバータ6の端子DNにR相電圧が印加されていたのに加えて、同端子HIにR相電圧が印加され、インバータ6は下降高速運転指令が入力されたと認識する。
【0016】
接触器「INV」12、「下」13および「BRS」14はそれぞれインバータ6の端子OUT2、OUT4およびOUT5からR相電圧が出力されると付勢される構成となっている。そして、接触器「INV」12が付勢されると接点「INV」15を閉じインバータ6の端子U、V、Wから出力された電圧が巻上モータ3に供給される。V相にはダイオードスタック17が直列に挿入されており、V相に流れる電流を整流した直流電流が巻上ブレーキ4に流れそのブレーキ動作を拘束する。
接触器「下」13が付勢されると接点「下」16を閉じ、下降方向に回転する相順で商用交流電源が巻上モータ3に供給される。接触器「BRS」14が付勢されると接点「BRS」18を閉じ、これにより巻上ブレーキ4はダイオードスタック17からの直流電流が絶たれてそのブレーキ力が作動する。
【0017】
次に、以上の巻上機制御装置における各種の具体的な運転動作形態を各実施の形態例として順次説明する。
【0018】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。ここでは、ホイストの下降運転動作を扱っている。接触器「INV」12は電源投入時より付勢されており、接点「INV」15が閉じている(図1)。
時間t1において、押ボタン2の「下」を1段目まで押すと(低速運転指令)、インバータ6は巻上モータ3が下降方向に回転する相順で低周波電圧を出力するので、巻上ブレーキ4は開放され下降低速運転が開始される。
【0019】
時間t2において押ボタン2の「下」を2段目まで押すと(高速運転指令)、インバータ6はその出力周波数を徐々に増やしはじめ、下降運転が加速される。
時間t3において、回転センサ5で検出される、巻上モータ3の回転速度が商用交流電源の周波数、ここでは50Hzに相当する定格速度になると、接触器「下」13が付勢され、接触器「INV」12が消勢されて接点「INV」15が開となるとともに、接点「下」16が閉じて商用交流電源の電圧が巻上モータ3に供給される。
これにより、下降高速運転に伴う回生エネルギーがインバータ6を介することなく直接商用交流電源に回収される。
【0020】
次に、時間t4において、押ボタン2の「下」を1段目まで戻すと(低速運転指令)、接触器「INV」12が付勢され、接触器「下」13が消勢されて接点「下」16が開となるとともに、接点「INV」15が閉じてインバータ6の出力端子が巻上モータ3に接続される。そして、同時に、インバータ6は直流出力モードでその端子U、W間から直流電圧を出力するよう制御され、誘導電動機である巻上モータ3はこの直流電圧の入力によりダイナミックブレーキ(発電制動)が機能して減速を開始する。
この時、インバータ6の端子Vはオフ状態であるので、商用交流電源運転時にダイオードスタック17を介して巻上ブレーキ4に流れていたブレーキ電流は次第に減衰する。
【0021】
時間t5においてダイナミックブレーキを停止するが、この付近で巻上ブレーキ4の機械式ブレーキが動作し巻上モータ3は一旦停止する。
時間t6において、押ボタン2の「下」は1段目まで押されたまま、即ち、低速運転指令が存続しているので、インバータ6は低周波電圧を出力し、下降低速運転を再開する。
【0022】
時間t7において、押ボタン2の「下」から手を放すと、停止指令となり、接触器「BRS」14が付勢されて接点「BRS」18が閉じ、巻上ブレーキ4へのブレーキ電流が途絶えて機械式ブレーキが動作する。そして、時間t8において、巻上ブレーキ4が確実に動作して巻上モータ3が停止するとインバータ6は出力を停止し、一連の下降運転動作を終了する。
【0023】
以上のように、インバータから商用交流電源への切り換えは下降運転時にのみ採用し、後述するように、上昇運転時には採用しない構成としたので、商用交流電源を巻上モータ3に供給する場合に相順を切り換える手段が不要となり、装置としての価格が低減し信頼性も向上する。
【0024】
一般に一定の力行運転能力を有するインバータの回生運転能力は、その平滑コンデンサ8の過電圧特性によっている。即ち、主として力行運転用に設定されたインバータに高容量の回生負担をかけると平滑コンデンサ8が過電圧となってインバータがトリップすることになる。ところで、巻上機制御装置にあっては、下降高速運転時に回生すべき容量が最大となる。従って、この下降高速運転時のみに商用交流電源に直接回生する方式を採用することで、インバータはほぼ力行運転能力のみを考慮した小形、低価格のもので済み、インバータ/商用交流電源併用方式の利点がそのまま有効に活かされる訳である。
【0025】
また、図2において、高速から低速になった場合、インバータ6を回生動作とすることなく、直流出力モードとしてダイナミックブレーキを働かせる方式としたので、インバータ6に大きな回生能力をもたせることなく確実な減速動作特性が得られ、安全性が担保される。即ち、インバータ6はその平滑コンデンサ8の電圧を一定の限度内に抑えて回生動作を行う場合には、その回生容量を制限せざるを得ず、結果として、減速停止までの距離が増大し、安全性が確保されないことになる。
【0026】
また、巻上ブレーキ4は、ダイナミックブレーキで巻上モータ3が十分減速した後に働かせるので、そのブレーキ板の摩耗も抑制される。
なお、以上の説明では、巻上モータ3の回転速度を回転センサ5で検出するようにしたが、この回転速度とともに変化するインバータ6の出力周波数を基に回転速度を判断するようにしてもよい。
【0027】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。ここでは、比較的高負荷における下降動作を扱っている。図2の場合と同様に、時間t1で押ボタン2の「下」が1段目まで押されてインバータ6からの低周波電圧で低速運転を開始した後、時間t2において、押ボタン2の「下」が2段目まで押されると、インバータ6はその出力周波数を徐々に増やしはじめ、下降運転が加速される。
【0028】
次に、この加速途中の時間t3において、インバータ6の平滑コンデンサ8の電圧が所定の設定値に達すると、これを検出して接触器「下」13が付勢され、接触器「INV」12が消勢されて接点「INV」15が開になるとともに、接点「下」16が閉じて商用交流電源の電圧が巻上モータ3に供給される。
これにより、下降運転に伴う回生エネルギーがインバータ6を介することなく直接商用交流電源に回収される。
高負荷下降運転時にあっても、インバータ6の回生能力の限界まで、できるだけ加速することで商用交流電源への切り換えをスムーズにして切り換えに伴う衝撃を抑制することができる。
低速運転指令が出された時間t4以降の動作は図2の場合と全く同様であるので説明を省略する。
【0029】
図4は無負荷または軽負荷下降運転の場合の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、回生負担が小さいので、時間t2からインバータ6により加速が開始され、時間t3で商用交流電源の周波数50Hzに相当する定格速度に達した後、更に時間t4に至った時点でインバータ6の平滑コンデンサ8の電圧が所定の設定値に達して商用交流電源運転に入り、極めてスムーズに切り換わる。
【0030】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。ここでは、ホイストの上昇運転動作を扱っている。接触器「INV」12は電源投入時より付勢されており、接点「INV」15が閉じている(図1)。
時間t1において、押ボタン2「上」を1段目まで押すと(低速運転指令)、インバータ6は巻上モータ3が上昇方向に回転する相順で低周波電源を出力するので、巻上ブレーキ4は開放され上昇低速運転が開始される。
【0031】
時間t2において、押ボタン2の「上」を2段目まで押すと(高速運転指令)、インバータ6はその出力周波数を徐々に増やしはじめ、上昇運転が加速される。
時間t3において、巻上モータ3の回転速度が所定の定格速度になると、以降、上昇定格速度運転に入る。
【0032】
次に、時間t4において、押ボタン2の「上」を1段目まで戻すと(低速運転指令)、インバータ6は交流出力モードから直流出力モードに変換し、その端子U、W間から直流電圧を出力するよう制御され、巻上モータ3はこの直流電圧の入力によりダイナミックブレーキが機能して減速を開始する。
この時、インバータ6の端子Vはオフ状態であるので、インバータ6の交流出力モード時にダイオードスタック17を介して巻上ブレーキ4に流れていたブレーキ電流は次第に減衰する。
【0033】
時間t5においてダイナミックブレーキを停止するが、この付近で巻上ブレーキ4の機械式ブレーキが動作し巻上モータ3は一旦停止する。
時間t6において、押ボタン2の「上」は1段目まで押されたまま、即ち、低速運転指令が存続しているので、インバータ6は低周波電圧を出力し、上昇低速運転を再開する。
【0034】
時間t7において、押ボタン2の「上」から手を放すと、停止指令となり、接触器「BRS」14が付勢されて接点「BRS」18が閉じ、巻上ブレーキ4へのブレーキ電流が途絶えて機械式ブレーキが動作する。そして、時間t8において、巻上ブレーキ4が確実に動作して巻上モータ3が停止するとインバータ6は出力を停止し、一連の上昇運転を終了する。
【0035】
以上のように、インバータ6によるダイナミックブレーキ操作と巻上ブレーキ4による機械式ブレーキ操作との併用で、確実で急速な減速動作が実現するとともに、巻上ブレーキ4は、ダイナミックブレーキで巻上モータ3が十分減速した後に働かせるので、そのブレーキ板の摩耗も抑制される。
【0036】
下降運転時にも全く同様に適用することができる。この場合、インバータ6の回生制動に頼ることなく、確実な急減速特性が得られ安全性が担保される。
【0037】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。実施の形態4(図5)と異なるのは、減速指令に対して、先ずインバータ6によりその許容される範囲内で回生制動を実行する点である。即ち、時間t2で押ボタン2の「上」が2段目まで押され、インバータ6がその出力周波数を徐々に増やして上昇運転の加速を開始した後、その加速途中の時間t3において、押ボタン2の「上」が1段目まで戻されると、インバータ6はその出力周波数を徐々に減じる回生運転を開始する。
そして、時間t4において、インバータ6の平滑コンデンサ8の電圧が所定の設定値に達すると、これを検出してインバータ6は交流出力モードから直流出力モードに変換し、その端子U、W間から直流電圧を出力するよう制御され、巻上モータ3はこの直流電圧の入力によりダイナミックブレーキが機能して急速に減速する。
更に、巻上ブレーキ4に流れていたブレーキ電流も減衰して巻上ブレーキ4の機械式ブレーキが動作して巻上モータ3は一旦停止する。
【0038】
その後の動作は、実施の形態4(図5)と同様であるので説明は省略する。
【0039】
この実施の形態では、高速から低速への減速指令時、インバータ6の回生能力の範囲内、即ち、平滑コンデンサ8の電圧が許容限度値内の範囲ではインバータ6によりエネルギーの回収を行い、その後はインバータ6によるダイナミックブレーキ操作と巻上ブレーキ4による機械式ブレーキ操作との併用で、急速な減速動作を確保することができる。勿論、巻上ブレーキ4のブレーキ板の摩耗も抑制される。
【0040】
また、下降運転時にも全く同様に適用することができる。この場合、減速指令の当初、インバータ6の回生制動が行われるが、これにより、たとえその平滑コンデンサ8の電圧が急上昇しても、トリップ動作等の不具合を発生することなく、自動的にダイナミックブレーキ動作に移行するので、機器の信頼性は勿論、安全性も確保される。
【0041】
図7はこの発明の実施の形態6における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。図3(実施の形態3)の場合と同様に、時間t1で押ボタン2の「下」が1段目まで押されてインバータ6からの低周波電圧で低速運転を開始した後、時間t2において、押ボタン2の「下」が2段目まで押されると、インバータ6はその出力周波数を徐々に増やしはじめ、下降運転が加速される。
【0042】
次に、この加速途中の時間t3において、インバータ6の出力周波数が所定の設定値、ここでは30Hzに達すると、これを検出して接触器「下」13が付勢され、接触器「INV」12が消勢されて接点「INV」15が開になるとともに、接点「下」16が閉じて商用交流電源の電圧が巻上モータ3に供給される。
即ち、この実施の形態6においては、インバータから商用交流電源への切換時を、インバータ6の出力周波数により判断しており、この設定周波数としては、インバータ6の回生能力の限界、従って、その平滑コンデンサ8の電圧の制限値に相当する周波数値に設定される。
【0043】
このように、切換時の判断を、インバータでは、本来その把握手段が備わっている出力周波数の値によっているので、平滑コンデンサ8の電圧を検出する手段を特別に設ける必要がなくなり、その分、装置が簡便安価となる利点がある。
インバータ6の出力周波数に替わって巻上モータ3の回転速度により判断してもよいことは、実施の形態2で説明したと同様である。
【0044】
そして、以上の構成によっても、実施の形態3の場合と同様、高負荷下降運転時にあっても、インバータ6の回生能力の限界まで、できるだけ加速することで商用交流電源への切り換えをスムーズにして切り換えに伴う衝撃を抑制することができるとの効果を奏することは勿論である。
【0045】
次に、時間t4において、押ボタン2の「下」を1段目まで戻すと(低速運転指令)、ここでは、先ず、接触器「BRS」14が付勢されて接点「BRS」18が閉じ、巻上ブレーキ4へのブレーキ電流が途絶えて機械式ブレーキが動作する。この機械式ブレーキによる制動動作が開始される直前の、時間t4から一定時間経過した時間t5において、接触器「INV」12が付勢され、接触器「下」13が消勢されて接点「下」16が開となるとともに、接点「INV」16が閉じてインバータ6の出力端子が巻上モータ3に接続される。但し、インバータ6の出力は零としている。
【0046】
時間t5経過後、機械式ブレーキにより巻上モータ3が一旦停止した後、時間t6で、接触器「BRS」14が消勢されて接点「BRS」18が開く。また、時間t6において、押ボタン2の「下」は1段目まで押されたまま、即ち、低速運転指令が存続しているので、インバータ6は低周波電圧を出力し、これに伴って、機械式ブレーキが解除され、下降低速運転を再開する。時間t7で押ボタン2の「下」から手を放し停止指令となって巻上モータ3が停止するに至る動作は先の実施の形態と同様である。
【0047】
下降運転中に、高速運転指令がなくなって、制動動作を開始する場合、機械式ブレーキが指令を受けてから実際に制動動作を開始するまでに時間遅れがあり、この制動遅れの間に下降速度が加速される恐れがあるが、以上説明したように、この実施の形態6においては、高速運転指令がなくなっても、商用交流電源の接続は維持したまま、先ず、機械式ブレーキに制動指令を送り、実際に制動動作が開始される直前になって商用交流電源からインバータへ切り換えるようにしたので、上述した、下降速度が加速するという不具合が解消される。
【0048】
なお、以上の実施の形態6は、商用交流電源とインバータとを切り換えて巻上モータを駆動する方式のものについて説明したが、上述した、機械式ブレーキにおける制動動作遅れに伴う不具合を解消するため、運転指令がなくなっても、商用交流電源の接続は維持したまま、先ず、機械式ブレーキに制動指令を送り、その後、一定時間経過後商用交流電源を切り離すようにすれば、インバータを使用せず、もっぱら商用交流電源の入切で巻上モータを回転駆動する方式の巻上機制御装置にも同様に適用でき同等の効果を奏する。
【0049】
なお、以上の動作説明では、いずれも、押ボタン2をその2段目から1段目まで戻した後、その状態(低速運転指令)を一定期間維持する場合を扱ったが、押ボタン2を2段目から直ちに停止指令にした場合は、インバータ6によるダイナミックブレーキが動作するとともに、接触器「BRS」14が付勢されて接点「BRS」18が閉じ、巻上ブレーキ4による機械式ブレーキが動作して巻上モータ3は急減速停止する。そして、インバータ6はその出力を停止する。
以上のように、確実な停止動作特性が得られ、この場合も、巻上ブレーキ4は、インバータ6によるダイナミックブレーキで巻上モータ3が減速した後に働かせるので、そのブレーキ板の摩耗も抑制される。
【0050】
また、運転指令を、高速/低速の2段で指令する場合に限らず、1段のみ、即ち、運転指令の有無のみで操作する場合にもこの発明は同様に適用することができる。
【0051】
また、以上の説明におけるインバータ6は、下降運転中の所定時に巻上モータ3に直接接続される商用交流電源と同一の交流電源をコンバータ部7で直流に変換して得られる平滑コンデンサ8の電圧をその直流入力電圧として動作する構成のものとしたが、上記商用交流電源とは異なる系統または他の直流電源を入力として動作する構成のものとしてもこの発明は同様に適用することができ同等の効果を奏する。
【0052】
また、以上ではホイストに適用した場合について説明したが、この発明はクレーンやエレベータなど、他の種類の昇降機構に適用することもできる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る巻上機制御装置は、上記上昇運転時は、常に上記インバータにより上記巻上モータを回転駆動する力行運転をし、上記下降運転時は、上記インバータにより上記巻上モータを回転駆動する回生運転をし、上記インバータの回生負担が上記インバータの力行運転能力を越えないよう上記インバータの直流入力電圧が所定の値になったとき上記切換器を操作して上記商用交流電源により上記巻上モータを回転駆動するようにしたので、商用交流電源運転のために必要となる接続切換機構が極めて簡便安価になるとともに、下降運転時のインバータの発生損失を低減することができる。かつ、インバータをその回生能力が、力行性能のみを考慮した仕様のものにすることができ、その小形、低価格化が実現する。
【0054】
また、この発明に係る巻上機制御装置は、商用交流電源による下降運転中に運転指令がなくなると、切換器を操作してインバータを巻上モータに接続しかつ上記インバータを直流出力モードにしてダイナミックブレーキをかけるとともに機械式ブレーキで制動するようにしたので、インバータの回生能力に左右されることなく、急減速停止動作が確実に得られ、機械式ブレーキのブレーキ板の摩耗も抑制される。
【0055】
また、この発明に係る巻上機制御装置は、商用交流電源による下降運転中に運転指令がなくなると、機械式ブレーキによる制動を指令し、その一定時間後に切換器を操作して上記商用交流電源と巻上モータとを切り離すようにしたので、機械式ブレーキの制動動作開始の遅れにより下降速度が加速するという不具合が解消される。
【0056】
また、この発明に係る巻上機制御装置は、一定時間として、機械式ブレーキへの制動指令出力時点から制動動作開始時点までに相当する時間を設定するようにしたので、機械式ブレーキの制動動作と電源の切り換えのタイミング調整が確実になされる。
【0057】
また、この発明に係る巻上機制御装置は、昇降運転を高速運転と低速運転とで指令する場合であって、上記高速運転指令がなくなり機械式ブレーキで制動停止後、上記低速運転指令が存在したとき、インバータを交流出力モードで立ち上げ低周波数の交流電圧を出力して低速運転を開始するようにしたので、減速動作が確実になされ、かつ低速に至るまでの減速距離が短縮される。
【0058】
また、この発明に係る巻上機制御装置のインバータは、商用交流電源の電圧を直流に変換した電圧をその直流入力電圧とするので、特に電源部分の構成が簡便となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における巻上機制御装置の全体構成を示す回路図である。
【図2】 この発明の実施の形態2における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】 この発明の実施の形態3における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態3における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】 この発明の実施の形態4における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】 この発明の実施の形態5における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】 この発明の実施の形態6における巻上機制御装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
2 押ボタン、3 巻上モータ、4 巻上ブレーキ、5 回転センサ、
6 インバータ、7 コンバータ部、8 平滑コンデンサ、9 インバータ部、
12〜14 接触器、15,16,18 接点、17 ダイオードスタック。
Claims (6)
- 巻上モータ、平滑コンデンサの電圧を直流入力電圧として動作し可逆可変周波数の交流電圧を出力して上記巻上モータを可逆可変速駆動可能なインバータ、商用交流電源、および上記巻上モータへ供給する電源を上記インバータと商用交流電源とのいずれかに切り換える切換器を備え、上記巻上モータを回転駆動することにより負荷荷重の上昇運転および下降運転を制御する巻上機制御装置において、
上記上昇運転時は、常に上記インバータにより上記巻上モータを回転駆動する力行運転をし、
上記下降運転時は、上記インバータにより上記巻上モータを回転駆動する回生運転をし、上記インバータの回生負担が上記インバータの力行運転能力を越えないよう上記インバータの直流入力電圧が所定の値になったとき上記切換器を操作して上記商用交流電源により上記巻上モータを回転駆動するようにしたことを特徴とする巻上機制御装置。 - 商用交流電源による下降運転中に運転指令がなくなると、切換器を操作してインバータを巻上モータに接続しかつ上記インバータを直流出力モードにしてダイナミックブレーキをかけるとともに機械式ブレーキで制動するようにしたことを特徴とする請求項1記載の巻上機制御装置。
- 商用交流電源による下降運転中に運転指令がなくなると、機械式ブレーキによる制動を指令し、その一定時間後に切換器を操作して上記商用交流電源と巻上モータとを切り離すようにしたことを特徴とする請求項1記載の巻上機制御装置。
- 一定時間として、機械式ブレーキへの制動指令出力時点から制動動作開始時点までに相当する時間を設定するようにしたことを特徴とする請求項3記載の巻上機制御装置。
- 昇降運転を高速運転と低速運転とで指令する場合であって、上記高速運転指令がなくなり機械式ブレーキで制動停止後、上記低速運転指令が存在したとき、インバータを交流出力モードで立ち上げ低周波数の交流電圧を出力して低速運転を開始するようにしたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の巻上機制御装置。
- インバータは、商用交流電源の電圧を直流に変換した電圧をその直流入力電圧とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の巻上機制御装置。
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