JP2553937B2 - 耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材 - Google Patents
耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材Info
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- JP2553937B2 JP2553937B2 JP1231293A JP23129389A JP2553937B2 JP 2553937 B2 JP2553937 B2 JP 2553937B2 JP 1231293 A JP1231293 A JP 1231293A JP 23129389 A JP23129389 A JP 23129389A JP 2553937 B2 JP2553937 B2 JP 2553937B2
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Description
【発明の詳細な説明】 （発明が属する技術分野） 本発明は、例えば溶融亜鉛等の溶融金属メッキ浴中に
浸漬状態で使用される、シンク・ロール、サポート・ロ
ール、軸受部品、スナウト等の耐食・耐摩耗性に優れた
溶融金属用浸漬部材に関するものである。
浸漬状態で使用される、シンク・ロール、サポート・ロ
ール、軸受部品、スナウト等の耐食・耐摩耗性に優れた
溶融金属用浸漬部材に関するものである。
（従来の技術） 最近の自動車防錆鋼板生産ラインにおいては、製品の
品質向上および安定化の手段として行われている溶融亜
鉛浴関連ロールの表面改質について、厳しい要求が課せ
られている。
品質向上および安定化の手段として行われている溶融亜
鉛浴関連ロールの表面改質について、厳しい要求が課せ
られている。
（発明が解決しようとする課題） 本発明はこのような要請に応えることのできる耐食・
耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材を提供することを
課題とする。
耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材を提供することを
課題とする。
（課題を解決するための手段） 本発明の前記課題は下記の構成の耐食・耐摩耗性に優
れた溶融金属用浸漬部材を提供することによって解決さ
れ得る。
れた溶融金属用浸漬部材を提供することによって解決さ
れ得る。
（１） 浸漬部材本体の５〜500μｍ未満の厚さの表層
が、重量で５〜15％のCoを含み、残部がタングステン炭
化物，チタン炭化物，ニオブ炭化物，モリブデン炭化物
の１種または２種以上、ならびにタングステン硼化物，
モリブデン硼化物，チタン硼化物の１種または２種以上
および不可避不純物からなる溶射層であることを特徴と
する耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材。
が、重量で５〜15％のCoを含み、残部がタングステン炭
化物，チタン炭化物，ニオブ炭化物，モリブデン炭化物
の１種または２種以上、ならびにタングステン硼化物，
モリブデン硼化物，チタン硼化物の１種または２種以上
および不可避不純物からなる溶射層であることを特徴と
する耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材。
（２） 前記表層はさらに10％以下のCrを含むことを特
徴とする前項１記載の耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属
用浸漬部材。
徴とする前項１記載の耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属
用浸漬部材。
以下、本発明を詳細に説明する。
溶融金属用浸漬部材としては、金属による溶食が起る
ため、セラミックス系の材料が耐溶食性の観点から好適
であるとされている。しかしながら、100％のセラミッ
クス材料を浸漬部材表面に厚く、剥離しないように溶着
させることは難しい。
ため、セラミックス系の材料が耐溶食性の観点から好適
であるとされている。しかしながら、100％のセラミッ
クス材料を浸漬部材表面に厚く、剥離しないように溶着
させることは難しい。
本発明者らは、WC,WB,MoB等のサーメット系皮膜を、
部材表面に均質に500μｍの厚さまで、溶射法等により
生成させることにより、溶融亜鉛や溶融Zn−Al浴等の金
属浴に対する耐食性を著しく改善する方法を創案した。
部材表面に均質に500μｍの厚さまで、溶射法等により
生成させることにより、溶融亜鉛や溶融Zn−Al浴等の金
属浴に対する耐食性を著しく改善する方法を創案した。
すなわち、Co5〜15％および必要に応じてCr10％以下
よりなるマトリックス中に、上記セラミックスを分散さ
せることにより、金属浴中での浸漬部材の寿命を格段に
改良することができることを確かめた。
よりなるマトリックス中に、上記セラミックスを分散さ
せることにより、金属浴中での浸漬部材の寿命を格段に
改良することができることを確かめた。
次に本発明の開発経過と浸漬部材表層の構成成分範囲
の限定理由と、溶射法による浸漬部材表層形成の実施例
について説明する。
の限定理由と、溶射法による浸漬部材表層形成の実施例
について説明する。
溶融亜鉛およびアルミニウムに対する耐食性の点で、
ZnあるいはAlと反応しない溶射材料として、WC,TiC,Nb
C,MoCの炭化物,WB,MoB,TiBの硼化物が良好な材料として
選定される。なお、溶射材料としては溶射あるいは熱処
理時Co相とある程度反応し、拡散結合することが望し
い。かかる点でも上記炭化物はCo相にある程度固溶する
ので、皮膜層の強度を保持するために好ましい溶射材料
である。一方、WB,MoB,TiBの硼化物は単独ではCo相との
固溶効果について大きくは期待できず、また溶射時に酸
化されやすく、一般的には溶射をうまく実施できにくい
が、溶融金属との反応がなく、溶融金属に対して耐食性
があり、濡れにくい特徴がある。この対策として前記金
属炭化物と共存させることにより、溶射時の問題を軽減
し、皮膜の強度を落さずに、均質でかつ厚膜の高耐食性
皮膜が得られることが分かった。よって前記金属炭化物
の１種または２種以上と前記金属硼化物の１種または２
種以上を複合して用いることにより、前記金属硼化物が
具備している溶融金属に対して耐食性があり、しかも濡
れない特徴を持つ均質な溶射皮膜を得ることができた。
ZnあるいはAlと反応しない溶射材料として、WC,TiC,Nb
C,MoCの炭化物,WB,MoB,TiBの硼化物が良好な材料として
選定される。なお、溶射材料としては溶射あるいは熱処
理時Co相とある程度反応し、拡散結合することが望し
い。かかる点でも上記炭化物はCo相にある程度固溶する
ので、皮膜層の強度を保持するために好ましい溶射材料
である。一方、WB,MoB,TiBの硼化物は単独ではCo相との
固溶効果について大きくは期待できず、また溶射時に酸
化されやすく、一般的には溶射をうまく実施できにくい
が、溶融金属との反応がなく、溶融金属に対して耐食性
があり、濡れにくい特徴がある。この対策として前記金
属炭化物と共存させることにより、溶射時の問題を軽減
し、皮膜の強度を落さずに、均質でかつ厚膜の高耐食性
皮膜が得られることが分かった。よって前記金属炭化物
の１種または２種以上と前記金属硼化物の１種または２
種以上を複合して用いることにより、前記金属硼化物が
具備している溶融金属に対して耐食性があり、しかも濡
れない特徴を持つ均質な溶射皮膜を得ることができた。
溶射表層厚さが100μｍ未満の場合には、一般のセラ
ミックス溶射に広く使用されているプラズマ溶射でもよ
いが、皮膜厚さが100μｍ以上で、特にWC,TiC等が含ま
れると、皮膜の緻密さが低下し、ポーラスになりやすく
靭性が低下する。しかし高速フレーム溶射法の適用によ
り、緻密で高硬度の厚手の皮膜が得られることを確かめ
た。従って本発明の特徴とする、炭化物と硼化物とを複
合させた溶射材料を用い、高速フレーム溶射法により緻
密で高硬度の厚手皮膜を得ることが可能となった。
ミックス溶射に広く使用されているプラズマ溶射でもよ
いが、皮膜厚さが100μｍ以上で、特にWC,TiC等が含ま
れると、皮膜の緻密さが低下し、ポーラスになりやすく
靭性が低下する。しかし高速フレーム溶射法の適用によ
り、緻密で高硬度の厚手の皮膜が得られることを確かめ
た。従って本発明の特徴とする、炭化物と硼化物とを複
合させた溶射材料を用い、高速フレーム溶射法により緻
密で高硬度の厚手皮膜を得ることが可能となった。
但し、この場合の溶射表層の厚さは100μｍ以上に限
られることなく、下限の厚さは所期の耐食性・耐摩耗性
の効果を発揮しうる少なくとも５μｍとし、上限は微小
割れおよび剥離発生の観点から500μｍとするものであ
る。
られることなく、下限の厚さは所期の耐食性・耐摩耗性
の効果を発揮しうる少なくとも５μｍとし、上限は微小
割れおよび剥離発生の観点から500μｍとするものであ
る。
Co量については、15％を超えるときは、皮膜の結合力
が増し、密着性も良好となるが、溶融金属に対する耐食
性が劣化するのでその上限を15％とした。またCoの下限
値は表層強度および密着性の点から選定されており、５
％未満では強度不十分のため５％以上とした。
が増し、密着性も良好となるが、溶融金属に対する耐食
性が劣化するのでその上限を15％とした。またCoの下限
値は表層強度および密着性の点から選定されており、５
％未満では強度不十分のため５％以上とした。
CrはCo地に固溶し、溶融金属浴に対し酸化皮膜を形成
する効果を奏するので、必要に応じて添加される。しか
し多量に添加するとマトリックスの靭性が低下するので
その上限を10％とした。
する効果を奏するので、必要に応じて添加される。しか
し多量に添加するとマトリックスの靭性が低下するので
その上限を10％とした。
可能な表層厚さは前記のように溶射法に左右される。
全般的には、表層厚さが厚くなると残留応力が増し、剥
離しやすくなる傾向が認められる。表層厚さが100μｍ
未満では溶射法に関係なく良質の溶射表層が得られる
が、100μｍ以上の場合、良質の溶射表層を得るには、
高速フレーム溶射法が好ましい。
全般的には、表層厚さが厚くなると残留応力が増し、剥
離しやすくなる傾向が認められる。表層厚さが100μｍ
未満では溶射法に関係なく良質の溶射表層が得られる
が、100μｍ以上の場合、良質の溶射表層を得るには、
高速フレーム溶射法が好ましい。
次に本発明の実施例について説明する。
第１表の実施例によると、プラズマ溶射法によるNo.1
〜No.3の実施例では密着強度7.2kg f/mm2以上あり、溶
融亜鉛腐食量も少ない。またNo.4〜No.7の実施例では、
膜厚が何れも厚いが、WC,TiCを含むにもかかわらず高速
フレーム溶射により良好な皮膜特性が得られている。N
o.7と同成分のパウダーを用いて厚盛したNo.11の場合、
微少割れが認められ、密着強度の低下と溶融亜鉛耐食性
が低下している。これより本発明に従った溶射表層皮膜
を有する溶融金属用浸漬部材は優れた特性を示すことが
分る。
〜No.3の実施例では密着強度7.2kg f/mm2以上あり、溶
融亜鉛腐食量も少ない。またNo.4〜No.7の実施例では、
膜厚が何れも厚いが、WC,TiCを含むにもかかわらず高速
フレーム溶射により良好な皮膜特性が得られている。N
o.7と同成分のパウダーを用いて厚盛したNo.11の場合、
微少割れが認められ、密着強度の低下と溶融亜鉛耐食性
が低下している。これより本発明に従った溶射表層皮膜
を有する溶融金属用浸漬部材は優れた特性を示すことが
分る。
なお、ここでテストした高速フレーム溶射システムと
はフレーム速度がマッハ３以上のものである。
はフレーム速度がマッハ３以上のものである。
（発明の効果） 本発明によれば、耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用
浸漬部材を提供することができる。
浸漬部材を提供することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−11237（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−37037（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−69529（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−43352（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−225761（ＪＰ，Ａ)
Claims (2)
- 【請求項１】浸漬部材本体の５〜500μｍ未満の厚さの
表層が、重量で５〜15％のCoを含み、残部がタングステ
ン炭化物，チタン炭化物，ニオブ炭化物，モリブデン炭
化物の１種または２種以上、ならびにタングステン硼化
物，モリブデン硼化物，チタン硼化物の１種または２種
以上および不可避不純物からなる溶射層であることを特
徴とする耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材。 - 【請求項２】前記表層はさらに10％以下のCrを含むこと
を特徴とする請求項１記載の耐食・耐摩耗性に優れた溶
融金属用浸漬部材。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1231293A JP2553937B2 (ja) | 1989-09-06 | 1989-09-06 | 耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材 |
| CA002101772A CA2101772A1 (en) | 1989-09-06 | 1991-11-29 | Manufacturing method for immersion members for use in molten metal baths |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1231293A JP2553937B2 (ja) | 1989-09-06 | 1989-09-06 | 耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0394048A JPH0394048A (ja) | 1991-04-18 |
| JP2553937B2 true JP2553937B2 (ja) | 1996-11-13 |
Family
ID=16921340
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1231293A Expired - Fee Related JP2553937B2 (ja) | 1989-09-06 | 1989-09-06 | 耐食・耐摩耗性に優れた溶融金属用浸漬部材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2553937B2 (ja) |
Families Citing this family (14)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1993011277A1 (fr) * | 1991-11-29 | 1993-06-10 | Nippon Steel Hardfacing Co., Ltd. | Procede de production d'un element d'immersion pour bain de metal fondu |
| JPH04346640A (ja) * | 1991-05-22 | 1992-12-02 | Nittetsu Hard Kk | 耐食・耐摩耗性に優れた溶融亜鉛浴等浸漬部材 |
| JPH0544002A (ja) * | 1991-08-12 | 1993-02-23 | Nippon Steel Corp | 溶融金属メツキ用ロール軸受およびその使用方法 |
| JP2593426B2 (ja) * | 1992-08-26 | 1997-03-26 | プラクスエア工学株式会社 | 耐溶融亜鉛侵食性合金およびその製法と用途 |
| JPH0791625B2 (ja) * | 1992-05-14 | 1995-10-04 | プラクスエア工学株式会社 | 溶融亜鉛浴浸漬部材およびその製造方法 |
| US5360675A (en) * | 1992-05-14 | 1994-11-01 | Praxair S.T. Technology, Inc. | Molten zinc resistant alloy and its manufacturing method |
| AT400726B (de) | 1994-06-13 | 1996-03-25 | Voest Alpine Stahl | Metallischer bauteil zur verwendung in einem metallbad |
| DE19681296C2 (de) * | 1995-03-08 | 2003-01-23 | Tocalo Co Ltd | Element mit Verbundbeschichtung und Verfahren zu dessen Herstellung |
| JP3023500B2 (ja) * | 1996-02-23 | 2000-03-21 | 中部助川興業株式会社 | ホウ化モリブデン系複合溶射材料及び溶射皮膜 |
| US6238807B1 (en) | 1997-07-25 | 2001-05-29 | Chubu Sukegawa Enterprise Co., Ltd. | Thermal spraying composite material containing molybdenum boride and a coat formed by thermal spraying |
| KR100312134B1 (ko) * | 1997-12-22 | 2001-12-12 | 신현준 | 용융아연에 대한 내식성이 우수한 용사코팅재 |
| TWI426138B (zh) * | 2008-09-15 | 2014-02-11 | Han Tai Technology Co Ltd | Roller body parts for molten metal baths |
| JP6113973B2 (ja) * | 2012-08-03 | 2017-04-12 | トーカロ株式会社 | γ線放射性物質収容部材の製造方法 |
| JP6255386B2 (ja) | 2013-03-29 | 2017-12-27 | 日鉄住金ハード株式会社 | サーメット溶射粉末 |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5437037A (en) * | 1977-08-29 | 1979-03-19 | Nippon Steel Corp | Treatment of plated metal plate |
| JPS5811507B2 (ja) * | 1977-11-16 | 1983-03-03 | 新日本製鐵株式会社 | 溶融金属浴浸漬部材 |
| JPH01225761A (ja) * | 1988-03-04 | 1989-09-08 | Tocalo Co Ltd | 溶融金属めっき浴用部材 |
| JP2583580B2 (ja) * | 1988-08-03 | 1997-02-19 | トーカロ株式会社 | 溶融金属浴用部材の製造方法 |
-
1989
- 1989-09-06 JP JP1231293A patent/JP2553937B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0394048A (ja) | 1991-04-18 |
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