JPH0533113A - 耐溶融金属性に優れる溶射用粉末材料とそれの溶射皮膜 - Google Patents
耐溶融金属性に優れる溶射用粉末材料とそれの溶射皮膜Info
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Abstract
れる溶射皮膜の形成に有利に適合する溶射用粉末材料お
よびその溶射皮膜を提供する。 【構成】 非酸化物系セラミックス溶射用粉末材料、ま
たはこれを主成分として他に金属を混合してなるサーメ
ット溶射用粉末材料に、アルミニウム−鉄合金またはア
ルミニウム−鉄−亜鉛合金を添加する。このアルミニウ
ム−鉄合金またはアルミニウム−鉄−亜鉛合金を添加し
た上記溶射用材料を用いて形成した溶射皮膜は、膜表層
および粒界のアルミニウム合金により、例えば溶融亜鉛
中における亜鉛の拡散速度を極端に低下することがで
き、溶融亜鉛中での使用寿命を延長できる。
Description
融亜鉛、溶融亜鉛−アルミニウムに対する耐久性、すな
わち耐溶融金属性が要求される溶融めっき装置やそれら
の部品の表面に被覆して用いる溶射用粉末材料およびこ
の材料を溶射して得られる溶射皮膜に関するものであ
る。
材、あるいは家電装置などの耐熱, 耐食材として用いら
れている溶融亜鉛めっき鋼板などは、大部分、図1に示
すような連続溶融亜鉛めっき処理によって製造されてい
る。この溶融亜鉛めっき処理装置には、めっき浴1中に
浸漬されるシンクロール2、めっき浴中の表面近傍に配
設されるサポートロール3およびこれらのロールを通過
した後のめっき鋼板4を案内するガイドロール5、鋼板
に付着した過剰の亜鉛を窒素ガスで吹き飛ばすための噴
射ノズル6などが配設されている。前記浴用部材という
のは、めっき浴中に浸漬されるか、溶融亜鉛が飛散付着
しやすい箇所に設置してあり、また溶融亜鉛が付着した
高温の鋼板と接触するように使われるので、(1) 溶融亜
鉛による侵食が起こり難いこと、(2) 通板材(鋼板)と
接触しても摩耗しにくいこと、(3) 付着した溶融亜鉛の
剥離ならびに保守点検が容易なこと、(4) ロールとして
の寿命が長く低コストであること、そして、(5) 高温の
溶融亜鉛浴中に浸漬した際の熱衝撃によく耐えること、
などの性能が要求される。
ロールや軸受構成部品、例えばブッシュ, ベアリング,
カラー, エンドボールなどの部品としては、(1) 表面に
JIS H8303 (1976)制定のCo基自溶合金を溶射したもの、
(2) 特開昭61−117260号公報に開示のような、ZrO2とAl
2O3 からなるセラミックス皮膜を溶射形成したもの、
(3) 特公昭58−37386 号公報に開示のように、WC, Cr3C
2 , TiC の一種または二種以上に対し、Ni, Siの如き熱
間耐食性金属またはこれらの酸化物を共存させてなる
0.1〜2.4 mm厚さの皮膜を主として溶射法によって形成
したもの、(4) さらに、発明者らが、特願昭63−49846
号( 特開平1−225761号公報) にて提案した、皮膜の気
孔率を 1.8%以下に制御したWC−Co系耐溶融亜鉛用溶射
皮膜、などがある。
うに、従来の溶融亜鉛めっき浴用部品の溶射皮膜につい
ての研究課題というのは、主として、耐溶融亜鉛性皮
膜材料の開発、皮膜の密着性向上、皮膜の緻密性向
上、皮膜表面粗さの制御、などの皮膜自身の特性に限
られていた。しかしながら、昨今の溶融亜鉛めっき鋼板
の需要拡大に伴って、めっきプラントの稼働率の向上お
よびめっき鋼板の品質向上への要求は一層強くなり、耐
溶融亜鉛性に対して優れた特性を示す材料の開発が望ま
れている。そこでこの発明の目的は、耐溶融金属性に優
れた特性を示す溶射用粉末材料およびこの材料を用いた
溶射皮膜を提供するところにある。
く鋭意研究した結果、発明者らは、溶融亜鉛めっき浴中
に浸漬した溶射皮膜の寿命は、皮膜中へ拡散浸透してく
る溶融亜鉛の拡散速度に支配されること、および溶融亜
鉛中に微量のアルミニウム, アルミニウム合金を添加す
ると亜鉛の拡散速度を甚だしく低下させること、を知見
した。さらに、このようなアルミニウムあるいはその合
金を添加した亜鉛浴中に浸漬した溶射皮膜の表面性状を
調査したところ、浴中のアルミニウムが選択的に吸着
(含有量が浴中の数倍から数百倍に達する)され、しか
もこのことを通じて皮膜表層のアルミニウムあるいはそ
の合金が、亜鉛の皮膜中拡散速度を甚だしく遅らせるこ
とも判った。
発されたもので、溶射用材料、例えば非酸化物セラミッ
クスや非酸化物系サーメットをマトリックスとする材料
中に、アルミニウム−鉄合金またはアルミニウム−鉄−
亜鉛合金のいずれか一方を含有させると、この材料を溶
射して得られる溶射皮膜は、優れた耐溶融亜鉛性を発揮
することに着目したものである。すなわちこの発明は、
非酸化物系セラミックスまたは同系のサーメットのいず
れかで構成されるマトリックス中に、アルミニウム−鉄
合金またはアルミニウム−鉄−亜鉛合金のいずれか1つ
を添加し、分散させてなる耐溶融金属性に優れる溶射用
粉末材料、およびこの材料を溶射して形成される皮膜で
ある。
ラミックスまたはこれを主成分とするサーメットに対し
て、所定量のAlを添加するために、アルミニウム鉄合金
またはアルミニウム−鉄−亜鉛合金の形態のものを添加
したものである。まず、本発明にかかるこの溶射用材料
において、非酸化物系セラミックスとそれを主成分とす
るサーメットを限定して用いる理由は、少なくとも酸化
物系セラミックスについては、金属とのマッチングが悪
いためである。すなわち、酸化物系セラミックスは、ア
ルミニウム合金添加の効果に乏しいからである。また、
金属系溶射用材料については、アルミニウム添加の効果
は認められるものの、溶射して溶融亜鉛浴中で使用する
と、亜鉛浴中へのアルミニウムの溶出現象によって、溶
融亜鉛中のアルミニウムの量の制御が困難となるほか、
亜鉛浴中に浮遊する亜鉛−鉄合金(通称ドロス)が皮膜
に付着し、これがめっき鋼板の品質を低下させる原因と
なる。
3C2 ,TiC, ZrC, WC, WTiC2, B4C およびNbC の如き炭化
物またはCrB2, TiB2およびZrB2の如き硼化物などが有利
に適合し、また、それのサーメットとしては、上記炭化
物, 硼化物にCo, Ni, FeおよびNi−Crなどを添加したも
のが用いられる。実際には、この非酸化物系サーメット
に、所定量のアルミニウム−鉄合金またはアルミニウム
−鉄−亜鉛合金を添加し、それらの混合粉末を溶射用材
料として調整し、溶射して皮膜を形成する。
れを主成分とするサーメットに、アルミニウム−鉄合金
またはアルミニウム−鉄−亜鉛合金を添加する方法は、
次の種々の手法による。 (1) ハロゲン化アルミニウムやハロゲン化鉄またはハロ
ゲン化アルミニウム, ハロゲン化鉄, ハロゲン化亜鉛が
混合した高温蒸気中に非酸化物系セラミックス粉末を曝
露することによって、アルミニウム−鉄合金またはアル
ミニウム−鉄−亜鉛合金を粉末表面に析出させる(CV
D法)。 (2) アルミニウム−鉄合金粉末またはアルミニウム−鉄
−亜鉛合金粉末と酸化アルミニウムおよびハロゲン化合
物などから構成される粉末中にセラミックス粉末を混合
し、高温状態に保持した後、冷却し溶射用粉末を分別す
る(パックセメンテーション法)。 (3) アルミニウム−鉄合金またはアルミニウム−鉄−亜
鉛合金を電子ビームで蒸気化し、非酸化物系セラミック
ス粉末をこの環境に曝すことによって、粒子の表面にア
ルミニウム−鉄合金またはアルミニウム−鉄−亜鉛合金
を蒸着させる(PVD法)。 (4) 非酸化物系セラミックスまたはサーメット粉末にア
ルミニウム−鉄合金またはアルミニウム−鉄−亜鉛合金
粉末を加え、必要に応じ高分子バインダーを加えた後、
これを攪拌して両者を機械的に結合させる(混合撹拌
法)。 (5) 上記(4) の工程後、高温で加熱し、必要に応じ粉砕
し溶射に適した粒度に調整する(混合加熱法、混合加熱
粉砕法)。
粉末材料を用いて、溶射法によって鋼部品の表面に皮膜
を形成すると、その皮膜はアルミニウムを含む非酸化物
系セラミックス皮膜または非酸化物系サーメット皮膜と
なる。このようなアルミニウムを含む溶射皮膜を溶融亜
鉛中に浸漬させると、皮膜最上層部のアルミニウムは直
ちに溶融亜鉛と反応し、一部は亜鉛浴中へ拡散して消耗
するが、皮膜中の大部分のアルミニウムは侵入してきた
亜鉛と合金化し、そのまま残留する。この合金の組成
は、アルミニウム含有量が非常に多い亜鉛合金またはア
ルミニウム−鉄−亜鉛合金であるため、めっき浴の稼動
温度(通常 470〜480 ℃) よりはるかに高い融点を有す
ることから、固体として存在し得る。そして、この高ア
ルミニウム亜鉛合金またはアルミニウム−鉄−亜鉛合金
が形成された皮膜中では、亜鉛の拡散速度が極端に低下
するため、溶融亜鉛中における使用寿命は著しく延長さ
れることとなる。
いるアルミニウム−鉄合金またはアルミニウム−鉄−亜
鉛合金の量は、添加するAl量によって決まるものであ
る。すなわち、上記マトリックス 100重量部に対し、ア
ルミニウム量が 0.1〜20重量部となるように前記合金を
添加する。この合金添加にあたって、マトリックス 100
重量部に対し、1%以上に相当する量のAlを添加すると
その効果が極めて顕著となり、マトリックスに対する相
対量で20重量部まで含有させた場合には、その効果が持
続的となるが、これ以上のアルミニウム相当量は亜鉛浴
中への溶出量が多くなり、亜鉛浴の濃度管理が困難とな
る。従って、前記Al−Fe合金またはAl−Fe−Zn合金の添
加量はマトリックス 100重量部に対しアルミニウムの添
加量が 0.1〜20重量部に相当する範囲とする。
侵入速度を抑制し得る理由は、皮膜を構成する粒子の粒
界にのみアルミニウムおよびその合金が存在すれば効果
が得られるほか、非酸化物系セラミックスそのものも耐
溶融亜鉛性に優れているため、この種皮膜の致命的欠陥
となる貫通孔の発生を溶射用材料中のアルミニウムおよ
びその合金が防止する機能を発揮するからである。
した溶射材料を溶射して形成された皮膜では、すでにア
ルミニウム−鉄−亜鉛合金が皮膜内に存在する状態とな
っている。したがって、この皮膜を溶融亜鉛浴中へ浸漬
すると、アルミニウム−鉄合金のみを添加した皮膜と同
様の効果を発揮する。なお、アルミニウム−鉄−亜鉛合
金の添加についても、アルミニウム含有量が高いほど良
好な耐溶融亜鉛侵食性を発揮するが、少量でも例えば A
l (3%)−Fe( 20%) −Zn (77%) の合金を、WC (88
%) −Co (12%) 組成のサーメット 100重量部に10重量
部添加した皮膜を0.1%のアルミニウムを含む亜鉛浴中
に浸漬すると、合金を添加しない皮膜と比べ亜鉛の侵入
速度を20%前後に抑制できる。
金を添加する場合でも、合金中に占めるアルミニウム含
有量が、非酸化物セラミックスまたは非酸化物系サーメ
ット100 重量部に対し 0.1〜20重量部の範囲であれば、
十分な効果を発揮する。
は、JIS H2102 (1968)に規定のアルミニウム地金の品位
であれば特に問題はなく、また非酸化物系セラミックス
に含まれている不純物の種類や量、また2種類以上の炭
化物の共存についても、現状の市販品に含まれている程
度、例えばWCについては遊離炭素3〜8%、Cr3C2 1〜
30%の範囲であれば使用することができ、これらの条件
はこの発明で所期した目的に影響を与えるものでない。
従前の溶射用材料同様、5〜10μm程度のものが使用で
きるが、好ましくは5〜40μmのものが最適である。さ
らに本発明の溶射用粉末材料は、大気プラズマ溶射、実
質的に酸素を含まない環境で施工可能な減圧プラズマ溶
射をはじめ、可燃ガスを熱源とする各種フレーム溶射、
爆発溶射などすべての溶射法に適用することができる。
80℃で2時間加熱して得た溶射用材料を用いて、構造用
鋼棒(直径12×長さ 200mm) に高速ガス炎溶射法によっ
て厚さ 100μmの皮膜を形成した後、 480℃に保持した
亜鉛浴中に10日間浸漬し、その後、鋼棒を浴から引き上
げて外観変化を観察した後、溶射皮膜を切断し、X線マ
イクロアナライザーによって、皮膜への亜鉛の侵入状況
を観察した。なお、比較材として、炭化物サーメット材
料、自溶合金(JIS 8303 MSFCo1)およびAl2O3 の溶射用
材料をそれぞれ用いて、 100μm厚の溶射皮膜を同様に
形成し、上記の試験を行った。この試験結果を、各溶射
用材料の成分組成と併せて表1に示す。
数字は、重量部を示し、例えばNo.1の材料は、WC94%
とCo6%の炭化物サーメット材料 100重量部に対し、Al
およびFeをそれぞれ3重量部添加してなる溶射用材料を
示している。これは、以下の表においても同様の表示で
ある。
−Fe合金を含まない溶射材料を用いて形成した皮膜(N
o.8〜14) では、溶融亜鉛の侵食によって皮膜が局部的
に破壊されたり( No.12 〜14) 、局部破壊には至らない
ものの、100 μm厚さの皮膜は完全に貫通し、亜鉛が母
材表面にまで達しているのが認められた。また、自溶合
金(No.15) は局部的ながら溶融亜鉛による侵食を受けて
母材が露出し、母材成分と亜鉛の反応生成物(Fe−Zn合
金)が成長し、これに浴中の亜鉛がさらに付着し、コブ
状を呈していた。さらにAl2O3 皮膜(No.16)では、貫通
気孔部から亜鉛が侵入するとともに、Al2O3 の局部剥離
が認められた。これに対し、本発明のAl−Fe合金を含む
溶射皮膜は、いずれも亜鉛の侵入を表面層から10μm以
下に抑制され、外観的にも異常は認められず、健全な状
態を維持していた。
Al(60 %) −Fe(30%) −Zn(10 %) 合金粉末を20重量
部となるように混合した後、NH4Cl とAlCl2 混合物を添
加し、これをアルゴンガス雰囲気中で 800℃, 3時間加
熱して焼結した。このような処理を施した溶射材料は、
WC−Co−Al−Feから構成され、この材料を用いて高速ガ
ス炎溶射法によってSS41の丸棒 (直径12×長さ200 mm)
を母材として 150μm厚さの皮膜を形成させた。その後
この皮膜を、Al添加量を 0.1〜10%の範囲に制御したZn
浴中に20日間浸漬して引き上げ、溶射皮膜の外観変化を
観察するとともに、皮膜を切断し、X線マイクロアナラ
イザーによって皮膜中への亜鉛の拡散浸透深さを調査し
た。また、比較材として、無処理の WC(88%)−Co(12%)
皮膜、自溶合金皮膜(MFSCo1)およびAl2O3 皮膜について
も同条件でAl添加Zn浴中へ浸漬した。この試験結果を表
2に示す。
〜9) およびAl2O3 溶射皮膜(No.10) は、いずれも溶融
金属による皮膜の破壊が激しく、耐溶融亜鉛性に乏しい
ことが判明した。また、WC88%−Co12%(No.4〜6)皮
膜は、耐溶融亜鉛性には良好な抵抗性を示したが、高温
の亜鉛浴から空気中へ引き上げた際の急激な冷却作用に
伴う熱衝撃によって、皮膜が局部的に剥離する現象が発
生するとともに、皮膜内部への亜鉛の侵入深さも、適合
例に比べ大きいことが確認された。これに対し、本発明
の皮膜は健全な状態を示し、また、亜鉛の侵入も軽微で
あった。
らびにCr3C2(78%)−Cr(15%) −Fe(7%)合金からなるサー
メットに、それぞれAl(60%) −Fe(40%) 合金粉末を、サ
ーメット 100重量部に対して4重量部となるように添加
して良く攪拌した後、NH4Cl, AlCl2混合物を 0.1%添加
し、アルゴンガスを通しつつ 750℃, 2時間加熱して焼
結させた。この粉末を溶射材料として、減圧プラズマ溶
射法によって実施例1と同じ鋼棒に 100μm厚の皮膜を
形成した後、 480℃の溶融亜鉛中に12時間浸漬した後引
き上げ、圧縮空気を吹きつけて冷却した。この浸漬と冷
却の操作を5回繰返し、その都度、溶射皮膜の外観変
化、特に皮膜に発生する局部剥離現象を観察した。
発明の皮膜(No.1〜6)は、いずれも3回の浸漬−冷却
操作では全く剥離は認められず、皮膜表面への亜鉛の付
着も僅少であった。5回の浸漬−冷却を繰返しても微小
な剥離が1〜2点確認されるのみであった。これに対
し、比較例の皮膜(No.7〜12) では、初回の浸漬−冷却
時から剥離が認められ、浸漬回数が増加するに従って、
一段と剥離部が増え、かつ大きくなった。No.9, 10, 11
の皮膜は完全に剥離し、母材が露出する箇所が散見され
た。
(材質 JIS G3445(1983)STKM13A)に、この発明にか
かる溶射材料を用いて高速ガス炎溶射法およびプラズマ
溶射法によって 150μm厚の皮膜を形成した。その後、
これらの溶射皮膜を形成したロール類を用いて、 470〜
480 ℃に維持した溶融亜鉛(JIS H2107 (1957))に 0.1%
Alを添加した浴で稼動させ、幅 900mm, 厚さ0.22mmの鋼
板を連続的に処理した。
造法は次のとおりである。 (1) WC(88%)- Co(12%)からなるサーメットの粉末に、Al
(70%)-Fe(30%) の合金粉末を、サーメット 100重量部に
対してAlが2重量部となるように添加してよく攪拌し、
アルゴンガス中で 700℃, 2 時間加熱した。 (2) WC(88%)- Co(12%)からなるサーメットの粉末に、Al
(45%)-Fe(50%)-Zn(5%)の合金粉末を、サーメット 100重
量部に対してAlが8重量部となるように添加してよく攪
拌し、アルゴンガス中で 580℃, 2 時間加熱した。 (3) Cr3C2(80%)-Cr(15%)- Fe(5%)サーメット粉末に、Al
(70%)-Fe(30%) の合金粉末を、サーメット 100重量部に
対してAlが10重量部となるように添加し、アルゴンガス
中で 750℃, 2 時間撹拌しつつ混合した。 (4) ZrB2セラミックスにAl(70%)-Fe(30%) の合金粉末
を、セラミックス100 重量部に対しAlが8重量部となる
ように添加し、アルゴンガス中で 750℃, 2 時間撹拌混
合しながら加熱した。 上記の加熱後の粉末は、大きな粒子は再粉砕し、粒径が
10〜50μmとなるように調整し、溶射用材料とした。
金を添加しない、上記(1) 〜(4) の粉末材料を用いて同
様に 150μm厚の溶射皮膜を形成したロールを用いてめ
っき処理を行った。
後、浸漬ロールを引き上げて皮膜の外観変化を観察する
操作を3回繰返した結果を、表4に示す。
膜(No.5〜7)は、亜鉛による顕著な侵食は認められなか
ったが、高温の溶融亜鉛中から引き上げられた際に発生
する熱衝撃およびその逆に浴中へ浸漬される際の熱衝撃
によって、皮膜に局部的な剥離現象が認められた。これ
に対し、本発明の溶射皮膜は、いずれも亜鉛による侵食
に耐えるとともに、局部剥離現象も殆ど認められず、健
全状態を維持していた。これは、硬質, 脆弱な炭化物、
硼化物粒子と共存するAl, Znなどの軟質成分が皮膜に靭
性を付与し、熱衝撃に対しても優れた性能を発揮したた
めと考えられる。( 本実施例で用いたAl−FeおよびAl−
Fe−Zn合金には、それぞれ未反応のAlおよびZnが含まれ
ている。)
FeまたはAl−Fe−Zn合金を添加した溶射用粉末材料を用
いて形成した皮膜は、溶融亜鉛および溶融亜鉛−アルミ
ニウム合金浴中において優れた耐溶融金属性と熱衝撃性
を発揮する。従って、この材料を溶融めっき設備に利用
したような場合、長期連続運転が可能となり、設備の保
守点検費の節減および生産コストの低減が期待できる。
また、この溶射材料によって得られる溶射皮膜のロール
材質の保護作用によって、溶融金属中へのロール材質成
分の溶出と、それによる汚染が抑制されるため、溶融金
属成分の組成が安定し、品質のよいめっき鋼板を安定し
た状態で生産できる。
する各種ロール類、部材の配設状態の模式図である。
ル 3 サポートロール 4 めっき用鋼
板 5 ガイドロール 6 噴射ノズル
Claims (5)
- 【請求項1】 非酸化物系セラミックスまたは非酸化物
系サーメットからなるマトリックス中に、アルミニウム
−鉄合金またはアルミニウム−鉄−亜鉛合金のいずれか
1つを添加分散させてなる耐溶融金属性に優れる溶射用
粉末材料。 - 【請求項2】 アルミニウム−鉄合金またはアルミニウ
ム−鉄−亜鉛合金の添加量は、マトリックス 100重量部
に対してアルミニウム量が 0.1〜20重量部となる量を添
加する請求項1に記載の溶射用粉末材料。 - 【請求項3】 マトリックスを構成する非酸化物系セラ
ミックスは、WC, Cr3C2, TiC , WTiC2 , B4C ,NbCおよ
びZrC のうちから選ばれるいずれか1種以上のものから
なる炭化物、TiB2, CrB2およびZrB2のうちから選ばれる
いずれか1種以上のものからなる硼化物である請求項1
または2に記載の溶射用粉末材料。 - 【請求項4】 マトリックスを構成する非酸化物系サー
メットは、炭化物または硼化物中に、Co, Ni, Feおよび
Crのうちから選ばれる1種または2種以上を含有したも
のである請求項3に記載の溶射用粉末材料。 - 【請求項5】 溶融金属の接触下で使用される基材表面
に、請求項1〜4のいずれか1つに記載の溶射用粉末材
料を溶射被覆して形成される耐溶融金属性に優れる溶射
皮膜。
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JP3213143A JPH086166B2 (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 耐溶融亜鉛性に優れる溶射用粉末材料および溶融亜鉛浴部材用溶射皮膜 |
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JP3213143A JPH086166B2 (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 耐溶融亜鉛性に優れる溶射用粉末材料および溶融亜鉛浴部材用溶射皮膜 |
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JPH086166B2 JPH086166B2 (ja) | 1996-01-24 |
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