JP2826220B2 - 溶融亜鉛浴用部材 - Google Patents

溶融亜鉛浴用部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、連続溶融亜鉛めっき(亜鉛−ア
ルミニウム合金めっきを含む。以下同じ。)装置のシン
クロールなど、亜鉛浴や亜鉛−アルミニウム合金浴と直
接接触する用途に用いて好適な溶融亜鉛浴用部材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】さて自動車用鋼板や土木、建築用鋼材さ
らには家電装置などの耐熱,耐食材として用いられる溶
融亜鉛めっき鋼板は、大部分、図2に示すような連続溶
融亜鉛めっき装置によって製造されている。この溶融亜
鉛めっき装置には、めっき浴1中に浸漬されるシンクロ
ール2、めっき浴中の表面近傍に配設されるサポートロ
ール3、これらのロールを通過した後のめっき鋼板4を
案内するガイドロール5および鋼板に付着した過剰の亜
鉛を払拭するための噴射ノズル6などが配設されてい
る。
【0003】ここに浴用部材は、めっき浴中もしくは溶
融亜鉛が飛散付着し易い箇所に設置され、また溶融亜鉛
が付着した高温の鋼板と接触する状況下で使用されるの
で、(1) 溶融亜鉛による浸食が起こり難い、(2) 通板材
(鋼板)と接触しても摩耗しにくい、(3) 付着した溶融
亜鉛の剥離ならびに保守点検が容易、(4) 寿命が長く低
コスト、(5) 高温の溶融亜鉛浴中に浸漬した際の耐熱衝
撃性に優れる、ことなどが要求される。
【0004】ところで、従来使用されているめっき浴用
ロールや軸受構成部品、例えばブッシュ、ベアリング、
カラーおよびエンドボールなどの部品としては、 (1) 表面にJIS H 8303(1976)に制定のCo基自溶合金を
溶射したもの、 (2) 特開昭61−117260号公報に開示のような、ZrO2とAl
2O3 とからなるセラミックス被膜を溶射形成したもの、 (3) 特公昭58-37386号公報に開示のように、 WC, Cr3C2
およびTiC のうちから選んだ一種または二種以上に対
し、Ni, Siのような熱間耐食性金属またはこれらの酸化
物を共存させた 0.1〜2.4mm 厚さの被膜を、主として溶
射法によって形成したもの、 (4) 先に発明者らが特公2-55502号公報にて開示し
た、被膜の気孔率を1.8 %以下に制御したWC−Co系サー
メット材料を溶射したもの、などが知られている。
【0005】
【発明が課題しようとする課題】しかしながら上記した
従来技術はいずれも、昨今の溶融亜鉛めっき鋼板の需要
拡大に伴うめっきプラントの稼働率の向上およびめっき
鋼板自身の品質向上の要求に対して、十分に応えられる
までには至っていないのが実情である。しかもこれまで
提案されている耐溶融亜鉛用被膜材料は、WCサーメット
に代表されるように、高価であるところにも問題を残し
ていた。
【0006】本発明の目的は、安価でしかも優れた耐溶
融亜鉛性を呈するだけでなく、溶融亜鉛浴中に浮遊し、
めっき鋼板の表面やロール表面に付着して、製品のすり
疵発生や異物付着による不良品の発生原因となるドロス
(Fe−Al−Zn合金)が付着しにくい表面層をそなえる溶
融亜鉛浴用部材を提供するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】まず本発明の解明経緯に
ついて説明する。さて本発明者の実験的知見によると、
従来から溶融亜鉛浴中に浮遊したり浴の底部に堆積し、
操業中に屡々亜鉛めっき鋼板の表面に付着して、その品
質を低下させる、通称ドロスと呼ばれるFe-AL, Fe-Zn合
金またはこれらの混合物などの金属間化合物が、優れた
耐溶融亜鉛性を有することが判明した。ここにかかるFe
-Al, Fe-Zn合金の発生源は次のとおりである。 めっき用鋼板を少量のAlを含む溶融亜鉛浴中に浸漬さ
せたとき、鋼板と溶融亜鉛との間に合金化反応が起こ
り、その際少量のFeが亜鉛浴中に溶出し、FeZn13, FeZn
7 などの金属間化合物を生成する。また溶中に添加され
ている Al とも反応してFe-Al2, Fe-Al5などを形成す
る。 その他、溶融亜鉛中に浸漬されているロール類例えば
シンクロール、サポートロールおよびこれらのロールを
保持している鋼鉄製金具類も Fe の供給源となってい
る。
【0008】そしてかようなFe-Al, Fe-Zn合金はいずれ
も、融点が高く、溶融亜鉛めっき環境では固形状態で存
在し、しかもこれらの合金自体は溶融亜鉛と反応しにく
く極めて安定性が高いという利点がある。
【0009】そこで発明者らは、溶融亜鉛浴中で使用す
る鋼鉄製基材の表面に予めFe−Al合金層を形成させてみ
たところ、所期した目的の達成に関し、望外の成果が得
られたのである。本発明は、上記の知見に立脚するもの
である。
【0010】すなわち本発明は、鋼鉄製基材の表面に、
鉄−アルミニウム系合金層をそなえてなる溶融亜鉛浴用
部材である。ここにおいて、鉄−アルミニウム系合金と
は、Fe−Al合金およびFe−Al−Zn合金を意味する。
【0011】本発明において、鉄−アルミニウム系合金
層中のアルミニウム含有量は22wt%(以下単に%で示
す)以上とすることが好ましい。というのは、後述する
実施例にも示すとおり、Al含有量が22%に満たないと充
分に満足のいく耐溶融亜鉛性が得られないからである。
【0012】また本発明において、鉄−アルミニウム系
合金層の形成方法としては、熱拡散浸透法、溶射法およ
び溶融アルミニウムめっき法のうちから選んだいずれか
の方法、さらにはこれらの複合法がとりわけ有利に適合
する。
【0013】なお、この鉄−アルミニウム系合金層の厚
さは、30〜1000μm程度とするのが好ましい。30μmよ
り薄いと、その機能が十分に発揮されず、また1000μm
以上では、熱拡散浸透法などの処理において、温度を高
くしたり、また時間を長くしたりする必要があるため、
このような熱履歴によってロール母材の機械的性質が劣
化するおそれがあるからである。
【0014】
【作用】本発明における鉄−アルミニウム系合金層は、
亜鉛浴中に浮遊しているドロス成分(Fe−Al−Znを主成
物)と本質的には同じ部類に属するので、両者は化学的
または冶金的親和力で結合しないため、Fe−Al系合金層
は常に清浄な状態を維持することができる。このためド
ロス成分のロール表面での生成や付着に起因しためっき
鋼板表面におけるすり疵の発生やドロスの転写などによ
る品質不良が効果的に防止されるのである。
【0015】本発明は、鋼鉄製基材の表面にFe−Al系合
金層を形成することによって耐溶融亜鉛性の優れた浴用
部材を提供するものであり、形成方法として次のような
処理法がある。 鋼鉄製基材を下記の粉末中に埋没させ、 900〜1000℃
程度の温度で5〜10時間程度加熱する。例えば Al粉
末:20%、 Al2O3粉末:78%、 NH4Cl:2%。または
Fe−Al合金粉末:98%、 NH4Cl:2%。 鋼鉄製基材の表面に軟鋼またはステンレス鋼を溶射し
た後、の方法によってAlを拡散浸透させる。 鋼鉄製部材の表面に、Fe−Al合金(Al含有量10〜60
%)を溶射する。 の溶射後、のAl拡散浸透処理を行う。 Alを溶射後、 800〜1000℃程度の温度で5〜10時間程
度加熱して、Alを母材中へ拡散浸透させる。 真空容器中でAlまたはFe−Al合金をレーザーや電子ビ
ームによって蒸気化して鋼鉄製部材へ付着させる(PV
D法)。 溶融Al浴中へ浸漬して、Fe−Al合金層を形成させる。
【0016】本発明のポイントは、表面層を、FeとAl、
ときにはFe, Al, Znの化合物として存在させることが重
要であり、これらの金属成分がそれぞれ遊離状態で混合
しているだけでは効果はない。なお現実問題として、本
発明の部材はAlを添加した溶融亜鉛浴中で使用されるこ
とが多いので、Znは亜鉛浴中から必然的に供給されるこ
ととなり、従って鋼鉄製基材の表面にはFe−Al合金層を
形成させておけばよいこととなる。
【0017】ところでFe−Al合金中のAl含有量は、 FeA
l2で約49%, Fe-Al5で約70%であるが、溶融亜鉛浴中で
はこのような理想的な合金層だけの形成に止まらず、ま
た浴中のZnも共存状態となるので、本発明に必要なFe−
Al合金中のAl含有量は正確には決定し難い。しかしなが
ら実験結果によると、 0.1%のAlを添加した亜鉛浴中
(480 ℃ )において優れた耐溶融亜鉛性を示したFe−Al
合金層中のAl濃度は3〜45%の範囲にあることが判明し
た。このように理論値と実験値との間にAl濃度に差が生
じた理由は、実際の亜鉛浴中では多量の亜鉛がFe−Al合
金と共存し、純粋のFe−Al合金のみを分別して分析する
ことが困難なためと考えられる。
【0018】さて、このようなFe−Al合金層が形成され
た鋼鉄製基材を溶融亜鉛浴中に浸漬すると、Fe−Al合金
層中の余分なAl成分は亜鉛浴中へ溶出し、亜鉛浴中に添
加されているAl量および浸漬温度の関係からFe−Al合金
中のAl濃度は平衡状態となる。この濃度が見掛け上3〜
45%となったもので、その他の成分としてFe−Zn, Znが
共存していることとなる。本発明のFe−Al合金層を形成
した鋼鉄製基材を、 0.1%Alを含む 480℃の溶融亜鉛浴
中に浸漬したところ、亜鉛の内部拡散速度は、無処理の
鋼鉄製基材の5%以下まで抑制されることが判明した。
この理由はFe−Al合金層が亜鉛の拡散浸透の障壁として
作用しているためで、またこのようなFe−Al合金層を形
成した鋼鉄製基材には、亜鉛浴から引き上げた際、亜鉛
そのものの付着も少ない現象が認められた。
【0019】なお本発明のFe−Al合金層の形成に溶射法
を用いる場合の熱源としては、プラズマ、可燃ガスの燃
焼炎、可燃ガスの爆発エネルギー、アークおよびレーザ
ーなどが用いられ、また溶射雰囲気については大気中ま
たはアルゴン雰囲気中(正確には減圧下のアルゴン雰囲
気中)のいずれでも処理可能であり、特に限定されるも
のはない。
【0020】
【実施例】
実施例1 直径:15mm、長さ:200 mmの軟鋼(SS 400) を基材と
し、その表面にそれぞれ下記に示す〜の方法で鉄−
アルミニウム合金層を形成した。ついで 480℃の溶融亜
鉛浴中に10日間浸浸した後、これを引き上げ、その外観
変化および亜鉛浴浸浸部の断面を検鏡することにより耐
溶融亜鉛性を評価した。なお比較のため、無処理の軟
鋼、ステンレス鋼(SUS 405, SUS 304),純鉄の溶射被
覆材(純度99.9%)、純Alの溶射被覆材(純度99.7
%), Al2O3 の溶射被覆材(純度98.0%)および自溶合
金の溶射被覆材(JIS H 8303 MSFCol)についても併せて
試験した。得られた試験結果を表1に示す。
【0021】 Al拡散浸透法 軟鋼基材を、Al粉末:20%、 Al2O3粉末:78%、 NH4C
l:2%の混合粉末中に埋没させ、アルゴンガス雰囲気
中にて 900℃で6時間加熱した。この処理によって形成
されたAl拡散浸浸層の厚さは約150 μm, 最表層部のAl
濃度は25〜35%であった。
【0022】 Fe溶射/Al拡散浸透法 大気プラズマ溶射法によって、軟鋼基材の表面に厚み:
150 μm の純Feを被覆した後、上述のの方法と同じ条
件下にAl拡散浸透処理を施した。の処理によって溶射
被膜中の気孔が消滅すると共に、Fe−Al合金層が形成さ
れた。
【0023】 Fe−Al溶射法 Fe−65%Al合金粉末を用い、大気プラズマ溶射法によっ
て軟鋼基材の表面に厚み:150 μm のFe−Al合金層を形
成させた。
【0024】 Fe−Al減圧溶射法 Fe−65%Al合金粉末を用い、雰囲気から空気を除いた後
アルゴンガンを導入し100 〜200 mbr の減圧下でプラズ
マ溶射を行って、厚み:150 μm のFe−Al合金層を形成
させた。
【0025】 Fe−Al溶射/Al拡散浸透法 の溶射後、の方法によってAl拡散処理を施し、厚
み:200 μm のFe−Al合金層を形成させた。
【0026】 Fe−Al−Zn減圧溶射法 35%Fe−40%Al−25%Zn合金粉末を用い、の方法で厚
み: 150μm のFe−Al合金層を形成させた。
【0027】 Al溶射/熱拡散法 Alを電気アーク溶射法によって 150μm 厚さに被覆した
後、アルゴン雰囲気中で1000℃、5 時間加熱し、Fe-Al
拡散浸透層を形成させた。拡散層厚は約90μm,Al濃度は
最高70%であった。
【0028】 Al浸漬法 軟鋼基材を、 720℃の溶融Al中に1.5 分間浸漬した。め
っき層の膜厚は約110μm, Al 濃度は最高92%であっ
た。
【0029】
【表1】
【0030】同表より明らかなように、No.9, 10, 11の
比較例はいずれも、亜鉛によって著しく浸食され、亜鉛
浴から引き上げた際、溶出したFe成分と溶融Znとの冶金
反応によって生成したFe−Zn合金を多量に含む亜鉛が塊
状となって基材表面に付着し、耐溶融亜鉛性に乏しかっ
た。またFe, Alを溶射した比較例(No.12, 13)は、溶射
被膜の効果は全く認められ、無処理の試験片(No.9)と
同様な外観を呈していた。さらにAl2O3 を溶射した比較
例No.14 は、亜鉛には浸食されなかったものの、被膜中
に存在する気孔や溶融亜鉛浴中へ浸漬した際の急速な加
熱によって発生した亀裂部を通して亜鉛が母材内部へ侵
入し、母材のSS 400が侵食されることによって被膜が破
壊された。またさらに自溶合金を溶射した比較例No.15
は、比較例中では最も良好な耐溶融亜鉛性を示したが、
それでも溶射被膜の欠陥部を通って侵入した亜鉛によ
り、被膜が局部的に大きな侵食を受けた。
【0031】これに対し、本発明の適合例であるNo.1〜
8はいずれも、若干の程度の差は認められたものの良好
な耐溶融亜鉛性を示した。特にFe−Al合金を減圧プラズ
マ溶射したNo.4は、その表面に付着する亜鉛が極めて少
なく、またその断面を調査した結果でも亜鉛の内部侵入
深さは8μmに止まっていた。同材料を大気プラズマ溶
射したNo.3では亜鉛の侵入深さが18μmに達しているこ
とから考えると、減圧プラズマ溶射被膜の緻密性が有効
に作用しているものと考えられる(大気中では溶射粒子
が酸化されるため、その被膜は酸化物を含むと共に気孔
率が高くなる)。ただし、大気プラズマ溶射被膜でも、
成膜後、Al拡散浸透処理を施す(No.5)と亜鉛の侵入経
路となる気孔がAlによって閉塞され、亜鉛の侵入深さを
より小さくすることができる。
【0032】実施例2 実施例1の結果から、Fe−Al合金層が耐溶融亜鉛性に優
れていることが明らかとなり、この合金属は母材そのも
のにAlを拡散浸透させても、また母材の表面に溶射被膜
として形成させても、同等の効果があることが判明し
た。しかしながら表1に示したように、本発明のFe−Al
合金層でも、その処理法の違いに応じて溶融亜鉛の内部
侵入深さが相違することも明らかとなった。そこで本実
施例では、SS 400鋼を母材として溶融Alめっき処理を行
った後、アルゴン雰囲気中において 800〜1000℃,1〜
10時間の種々の条件下で熱処理を施してFe−Al合金層中
のAl濃度が異なる数多くの試験片を製作し、Fe−Al合金
層中のAl濃度と亜鉛の侵入深さとの関係について調査し
た。調査結果を図1に示す。
【0033】なお図1において、亜鉛の侵入深さ比と
は、Fe−Al合金層中のAl濃度が5%のものの亜鉛の侵入
深さを10とした場合における相対比を意味する。また試
験片のAl濃度は、Al拡散浸透層の最表層部近傍のAl濃度
をX線マイクロアナライザーによって測定することによ
り、また亜鉛の侵入深さは、 0.1%Alを含む 480℃の溶
融亜鉛浴中に7日間浸漬した試験片を亜鉛浴から引き上
げた後、同じくX線マイクロアナライザーによって測定
することにより行った。
【0034】同図から明らかなように、試験片表面のAl
濃度が高いほど亜鉛の侵入深さは浅く、耐溶融亜鉛性に
優れていることがわかる。40%以上の高濃度例では、表
面のAlが亜鉛浴中に溶出し、一方では亜鉛が侵入してく
るので、試験後のAl濃度は26〜36%の範囲に低下してい
たが、いずれも亜鉛の内部侵入が少なく、優れた対溶融
亜鉛性を示した。しかしAl濃度が22%に満たない場合に
は、表1に示したSS400(無処理)に比べると効果は認め
られたものの、供試材中では比較的亜鉛の侵入深さは大
きかった。従って、耐溶融亜鉛性を充分に発揮させるた
めには、Fe−Al合金層中のAl濃度は22%以上とすること
が有利である。
【0035】実施例3 前掲図2に示した連続溶融亜鉛めっき装置のシンクロー
ル(材質 JIS G3445(1983) STKM13A)およびサポートロ
ール(材質 JIS G 3445 (1983) STKM 13A )として、
大気プラズマ溶射法によってFe−Al(55.8%)合金を溶
射したもの、Fe−Al(55.8%)溶射被膜をアルゴンガ
ス中で 800℃, 2時間加熱したもの、減圧プラズマ溶
射法によってFe−Al(55.8%)合金を溶射したロールを
それぞれ1本ずつ準備した。なお溶射被膜の厚さはいず
れも 150μm とした。その後、各ロールを、0.08%Alを
含む 475℃の溶融亜鉛浴を用いた連続溶融亜鉛めっき鋼
板の製造に供し、その際、各ロールを1時間毎に亜鉛浴
から引き上げてその表面を点検すると共に、製造される
亜鉛めっき鋼板の外観とくに異物の付着、すり傷の発生
など品質に悪影響を与える因子の有無について調査し
た。
【0036】その結果、本発明に従うFe−Al合金層形成
ロールはいずれも、6週間の連続使用に対して健全な状
態を呈し、浴中から引き上げた際にも亜鉛の付着が少な
く、しかも製造されためっき鋼板には品質上問題となる
ような現象は全く認められなかった。
【0037】なお、従来の無処理ロールの実績では、8
週間の使用でロール表面が亜鉛によって著しく侵食さ
れ、平滑性を失うため、それ以上の連続操業は不可能で
あった。また高価なWC(88)−Co(12)の溶射材料被膜を形
成したロールの実績でも、1ヵ月程度の連続運転には充
分健全な状態を維持するが、それ以上の使用では被膜の
局部剥離や剥離部における母材質の溶融亜鉛による侵食
現象が認められていた。特に操業上の都合から溶射被膜
形成ロールを頻繁に亜鉛浴から引き上げざるを得ない条
件下では、被膜の局部剥離が発生することが度々認めら
れた。これに対し、本発明のFe−Al合金層形成ロール
は、亜鉛浴からの引き上げまたは浴中への浸漬に伴う熱
衝撃に対して強い抵抗性を発揮し、被膜の剥離は全く認
められなかった。
【0038】
【発明の効果】かくして本発明に従う浴用部材は、溶融
亜鉛浴中で優れた耐侵食性を示すだけでなく、めっき鋼
板にすり疵を与えたり付着して品質を低下させるドロス
成分の付着を効果的に抑制することができ、さらに本発
明の表面層は安価なFe−Al合金を主成分としているの
で、設備費が安くつき、経済的に優利な生産体制を確立
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−Al合金層中のAl濃度と亜鉛の内部侵入深さ
比との関係を示したグラフである。
【図2】連続溶融亜鉛めっき装置の模式図である。
【符号の説明】
1 溶融亜鉛めっき浴 2 シンクロール 3 サポートロール 4 めっき用鋼板 5 ガイドロール 6 噴射ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−79746(JP,A) 特開 平1−268851(JP,A) 特開 平1−108354(JP,A) 特開 昭62−77449(JP,A) 実開 昭62−37077(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼鉄製基材の表面に、鉄−アルミニウム
    系合金層をそなえることを特徴とする溶融亜鉛浴用部
    材。
  2. 【請求項2】 請求項1において、鉄−アルミニウム系
    合金層中のアルミニウム含有量が22wt%以上である溶融
    亜鉛浴用部材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、鉄−アルミ
    ニウム系合金層が、熱拡散浸透法、溶射法および溶融ア
    ルミニウムめっき法のうちから選んだいずれかの方法ま
    たはこれらの複合法により形成されたものである溶融亜
    鉛浴用部材。
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