JP2539121B2 - 超伝導磁石 - Google Patents
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Description
たコイル収納容器を支持する梁部材を径方向に渡した収
納容器を用いる超伝導磁石に係り、特に、動的環境に設
置された場合でも前記梁部材に起因して発生する熱を抑
制しクエンチを回避するのに好適な超伝導磁石に関す
る。
磁石装置の断面図を図2に示す。図2において、1は超
伝導コイル、2は液体ヘリウム等の冷却剤を保持し同時
に超伝導コイル1を納めるリング状の超伝導コイル収納
容器、3は超伝導コイル収納容器2の直径部分に渡され
た梁部材、4は収納容器2の外周囲を覆い輻射熱の収納
容器2への侵入を遮る輻射熱シールド、5は真空断熱容
器、6は超伝導コイル収納容器2を真空断熱容器5に取
り付ける支持材である。一般に、超伝導コイル収納容器
2の材質としては、超伝導コイル1のフ−プ力を支える
為に、剛性や強度の高いステンレス鋼等(以下、SUS
と略して呼ぶ。)の材料が用いられる。同様に、電磁力
や重量を支える梁部材3や支持材6もSUSが用いられ
る。一方、輻射熱シールド4には、輻射率が高く、軽量
で、熱伝導率の良いアルミ等が多く用いられている。真
空断熱容器5は、外部からの熱侵入を防ぐためその内部
を真空に保っており、超伝導コイル等を支える役目もす
ることから、SUSや厚肉の材料が多く用いられる。
超伝導線材がその臨界温度を越えるとクエンチを生じ、
超伝導状態を維持できなくなる。この為、超伝導コイル
1の温度を臨界温度以下に保ち続け、超伝導状態を維持
することが重要な課題となる。従来においても、外部か
らの熱侵入に対しては、上記の輻射熱シールド4や真空
断熱容器5等を用いて、輻射や熱伝達を妨げる対策がな
されている。また、伝導による熱侵入を防ぐ対策として
も、特開昭57−208111号公報に記載のように、
熱侵入経路の距離を稼ぐ等、様々な対策が講じられてい
る。
に対する対策は、超伝導磁石を静的環境に設置して用い
ることを前提としている。このため、例えば、超伝導磁
石に何等かの外力が加わる場合や、動的環境に設置して
使用される場合に、超伝導磁石内部で生じる発熱に対し
ての対策は考慮していない。動的環境に設置された場合
等における発熱の要因の一つに、超伝導コイル収納容器
に生じる渦電流が挙げられる。従来の超伝導磁石の構造
では、図2に示したように、超伝導コイル収納容器2が
真空断熱容器5に支持材6で直接支持され、輻射熱シー
ルド4は超伝導コイル収納容器2を支持する支持材6に
取り付けられている。しかも、従来の輻射熱シールドに
はアルミ材が多く使われており、薄くて軽量な為、超伝
導コイル1に対して相対振動が生じやすい構造となって
いる。従って、外部から振動等が加わると、超伝導コイ
ルと輻射熱シールドの間で相対振動が生じ、輻射熱シー
ルド4が超伝導コイル1のつくる強磁界を横切ることに
なる。このため、輻射熱シールド4の板材に渦電流が誘
起され、この渦電流のつくる磁場が超伝導コイル収納容
器2を横切ることによって、超伝導コイル収納容器2に
も渦電流が誘起され、これが発熱の原因となり、超伝導
コイルをクエンチに至らしめるという問題がある。
610号公報記載の様に、超伝導コイル収納容器2にア
ルミ材等の低抵抗材を貼り、渦電流が流れてもこれを低
抵抗材に流すことで発熱を抑制する対策が考えられる。
しかし、超伝導コイル収納容器2に設けられている梁部
材3の発熱に及ぼす影響の有無及びその程度が従来は解
明できておらず、これに対し何の対策も考慮されていな
い。
イル収納容器に生じる発熱を軽減し、動的要因に対して
もクエンチを生じにくくする超伝導磁石を提供すること
にある。
容器内に超電導コイルを収納すると共に該コイル収納容
器の内径部分に支持用の梁部材を渡した超伝導磁石にお
いて、前記梁部材を電気絶縁材で構成前記梁部材と前記
コイル収納容器とで構成される閉ループに流れる渦電流
を阻止する電気絶縁材を該梁部材の一部として構成する
ことで、達成される。
成し梁部材とコイル収納容器とで構成される閉ループに
流れる渦電流を減衰させる高抵抗部材を梁部材の一部と
して構成することでも、達成される。
の所要箇所に、周方向の電流の循環を遮断し或いは減衰
させる電気絶縁材或いは高抵抗部材を介在させて構成す
ることでも、達成される。
の大部分に不連続な電気的導体或いは低抵抗体を被着さ
せることでも、達成される。
を覆う輻射熱シールドのうち梁部材を覆う部分の全部を
電気絶縁材あるいは高抵抗部材で構成することでも、達
成される。
を覆う輻射熱シールドのうち梁部材とコイル収納容器と
で構成される閉ループを覆う輻射熱シールドに流れる渦
電流を遮断し或いは減衰させる高抵抗領域を梁部材部分
を覆う輻射熱シールドの一部とすることでも、達成され
る。
とで構成される閉ループに渦電流が流れない位置に梁部
材を配置することでも、達成される。
不連続な電気導体或いは低抵抗体を被着させることで
も、達成される。
材とすることで、この梁部材を通してコイル収納容器と
の間で形成される半月状の閉ループに流れる渦電流が遮
断あるいは減衰されるので、この渦電流による発熱が抑
制され、クエンチの危険が防止される。また、コイル収
納容器に流れる渦電流の原因となる輻射熱シールドに流
れる渦電流も梁部材を覆う輻射熱シールドの全部或いは
一部を絶縁体或いは高抵抗材とすることで、輻射熱シー
ルドの閉ループに流れる渦電流が遮断或いは減衰され、
これによりコイル収納容器に流れる渦電流が抑制され、
コイル収納容器での発熱が抑制される。
して説明する。先ず、本発明の原理について説明する。
輻射熱シールドのX軸周りの回転,Y軸周りの回転,Z
軸周りの回転等の純粋な相対振動につき、梁部材も含め
た構造に対して発明者等が3次元渦電流解析を行った結
果、梁部材の設ける位置等によっては超伝導コイル収納
容器と梁部材とで形成される閉ループにループ電流が流
れ、その時の梁部材での発熱が超伝導コイル収納容器の
発熱において支配的になり、超伝導磁石のクエンチの主
因となり得ることが判明した。但し、この場合、円弧部
にはアルミ(低抵抗材)、梁部にはステンレス(高抵抗
材)が用いられる。つまり、抵抗の異なる材料が用いら
れる。例えば、図2の輻射熱シールドのY軸周りの回転
に対しては、超伝導コイル収納容器2の表側に図3に示
す様な渦電流流路が生じる場合があり、また、図4に示
す様な別の渦電流流路が生じることもある。これらの各
渦電流流路に流れる夫々の渦電流は、図5に示す様に、
超伝導装置が受ける振動の位相によって交互に入れ替わ
り、図3のように梁部材の渦電流が流れないときは全渦
電流が最大値を示す一方、図4の様に梁部材に渦電流が
流れるときは全渦電流は少ないものの、梁部材における
発熱が大となる複雑な挙動を示すことが判明した。
電流J(r,t)に対する支配方程式
ョンするものである。図2と類似の体系でのシミュレー
ション結果と実験値との一致は良好であることを確認し
ている。ここでηは導体の抵抗率、μ は真空透磁率、
rは空間座標である。数1式は、導体抵抗による電位差
(第1項)と、渦電流時間変化による電磁誘導起電力
(第2項)とがバランスすることを意味している。求ま
った渦電流Jから、発熱量Wは、
れる渦電流によって梁部材に生じる発熱を抑制する最も
簡単で且つ確実な手段は、コイル収納容器の梁部材を電
気絶縁材で形成することである。これにより、コイル収
納容器と梁部材とで形成される閉ループに流れようとす
る渦電流が遮断され、発熱しなくなる。これにより、ク
エンチの生じ難い超伝導磁石が得られる。
構成できない超伝導磁石もある。その場合には、代替案
が必要である。3次元渦電流解析によれば、超伝導コイ
ル収納容器の梁部材を覆う輻射熱シールドの一部に絶縁
部を設けることによって、梁部材に流れる渦電流を抑制
することができることも判明している。コイル収納容器
の梁部材とそれを覆う輻射熱シールドとの間に生じる電
気的カップリングが原因となって、輻射熱シールドに流
れる渦電流からコイル収納容器に渦電流が誘導される。
そこで、梁部材を覆う部分の輻射熱シールドに流れる渦
電流を遮断することにより、間接的にコイル収納容器の
梁部材に流れる渦電流を抑制することができる。これに
より、梁部材を通る渦電流が抑制され、それによる発熱
が軽減されるので、超伝導コイル収納容器全体での発熱
も軽減され、クエンチの生じにくい超伝導磁石が得られ
る。この方法は、電磁力を支える関係上、またはその他
の理由で、コイル収納容器の梁部材に直接絶縁部を設け
ることが不可能な場合に有効である。
上困難な場合には、絶縁部に代えて高抵抗部を設ける。
これにより梁部材をを通ってループ電流をつくろうとす
る渦電流を抑制することができる。この場合、外乱の振
動周波数つまり渦電流の周波数領域により、レジスティ
ブ(低周波)な領域であれば、高抵抗部によって電流を
遮断し、梁部材での発熱をなくすることも可能である
し、完全に遮断しない場合でも、高抵抗部を挿入するこ
とによって、一周の抵抗を大きくして渦電流を小さく抑
え、全体として発熱を軽減することも可能である。ここ
でいうレジスティブな領域について、図13を用いて説
明する。図13は磁石に加わる振動の周波数を横軸にと
り、流れる渦電流の大きさを鎖交磁束ψで割りそれを対
数目盛で表した値を縦軸にとっている。レジスティブ領
域とは、折線15の1/τ以下の周波数領域(τ=L/
R、L:渦電流流路に対する等価インダクタンス、R:
同じく等価抵抗)であり、渦電流は周波数に比例して増
える傾向にある。この領域では発熱は1/Rに比例し、
抵抗Rが大きいほど発熱は小さくなる。すなわち、抵抗
を大きくすると折線15→折線16とその変化のカ−ブ
が移行し、同じ外乱の振動周波数ωに対して生じる渦電
流は、図13中のDだけ減少し、更にレジスティブな領
域も1/τから1/τ’へと広がる(但し、τ’=L/
(R+R’))。しかし、インダクティブ(高周波)な
領域、つまり1/τ以上の周波数領域にはいると、図1
3の折線15,16で示されるように、流れる渦電流は
抵抗値によらず一定になり、従って発熱は抵抗Rに比例
して増加するので、高抵抗部を挿入する場合は、外乱の
振動周波数をレジスティブな領域に設定する必要があ
る。これによって、梁部材での発熱は抑制され、コイル
収納容器全体での発熱も軽減され、クエンチが防止され
る。
ドに高抵抗部を設けることで、この輻射熱シールド部分
に渦電流が流れにくくし、超伝導コイル収納容器と輻射
熱シールドとの電気的カップリングによる誘起される梁
部材部分の渦電流を抑制することができる。この場合、
輻射熱シールドに流れる渦電流も上記と同様に振る舞
い、外乱の振動周波数をレジスティブな領域に設定すれ
ば、渦電流は流れなくなるか、流れる電流は小さくな
る。いずれにしても電気カップリングによってコイル収
納容器の梁部材に流れる渦電流を抑制することができ、
梁の発熱は低減される。これによって、コイル収納容器
全体での発熱も低減され、クエンチの生じにくい超伝導
磁石が得られる。
器が、この梁部材を通して循環電流が流れやすいような
位置に梁部材が配置されていることが3次元渦電流解析
で判明したので、梁部材のコイル収納容器への取付位置
を循環電流が流れない位置に変更し、梁部材に渦電流が
流れないようにしてこの梁部材での発熱を抑制する。つ
まり、渦電流の流路に梁部材を配置しないようにすれば
よい。例えば、輻射熱シールドのY軸周りの回転振動に
よって生じる、図6に示されるような渦電流のループ
は、仮にその位置に梁がなく、超伝導コイル収納容器が
単なる円形状だとすると図7で示すようなターン電流と
なる。つまり、渦電流の流れ易い位置に梁が配置される
と、渦電流はその梁を流れて流路を形成するのであっ
て、梁を渦電流の流路にあたらない部分に配置するか、
あるいは図7で示すように互いに対抗する渦電流の流路
にあたる部分を結ぶ位置に梁を配置することによって、
梁に流れる渦電流を抑制することができる。従って、渦
電流によって梁部材に生じる発熱が低減でき、コイル収
納容器全体の発熱も低減され、クエンチの生じにくい超
伝導磁石が得られる。
ヘリウム温度で抵抗率が大きく下がるような低抵抗材料
を貼り付けるか、蒸着あるいはメッキすることによっ
て、渦電流が流れたときこの低抵抗材料に電流を流すこ
とで、発熱を低減することができる。3次元渦電流解析
によれば、詳細は後述するように、これらの対策を施す
ことで、従来に比較して梁部材での発熱を1/5〜1/
10に下げることができる。高抵抗部を梁部材に設ける
ところの説明で、インダクティブな領域について説明し
た。このインダクティブな領域で用いられる超伝導磁石
に対し、言い替えると、1/τを外乱の振動周波数の最
大値ωより大きくできない超伝導磁石に対しては、この
低抵抗材料を貼り付ける等することが有効である。この
インダクティブな領域では、電流値が一定のため、発熱
は抵抗値に比例することが判っているので、抵抗を下げ
ればそのぶん明らかに発熱も抑制される。従って、この
方法によってもクエンチの生じにくい超伝導磁石が得ら
れる。特に、これらの低抵抗材料は高純度(99.9%
以上)のものを使用すれば、ヘリウム温度(4°K)に
ては常温の抵抗値よりもさらに1/10〜1/100低
下するので、それだけ発熱をさらに低減できるので有利
である。
ータとそれに基づき製造した超伝導磁石の実施例につい
て具体的に説明する。
石の平面図及び断面図である。超伝導コイル1は、液体
ヘリウムの冷却剤とともに、リング状の超伝導コイル収
納容器2に納められる。この超伝導コイル収納容器2
は、超伝導コイル1を保持すると同時に、超伝導コイル
1に生じるフープ力等の電磁力を支える為、SUSでつ
くられている。または、特開昭60−217610号公
報記載の様に、収納容器2そのものに生じる発熱低減の
ために、SUS製の収納容器2の外表面の大部分に不連
続にアルミ被覆が施されている。3が超伝導コイル収納
容器2の直径方向に渡された梁であり、SUS製で溶接
によって超伝導コイル収納容器2に固着されており、超
伝導コイル収納容器2と同様に液体ヘリウム温度に冷却
されている。この梁3を支持部として、超伝導コイル収
納容器2は真空断熱容器5に、支持材6によって取り付
けられている。輻射熱シールド4は、真空断熱容器5と
超伝導コイル収納容器2の間に置かれ、輻射熱が内部の
コイル収納容器2側に侵入しないように遮るものであ
り、アルミ製で液体窒素によって80Kに冷却されてい
る。本実施例におけるSUS製の梁3の一部には、電気
絶縁部7が設けられている。この絶縁部7の詳細につい
ては、後述の図11でその詳細を説明する。8は梁3と
支持材6、または支持材6と真空断熱容器5を止めてい
るボルトである。
ルド4が超伝導コイル1に対して相対的に振動すると、
輻射熱シールド4が超伝導コイル1の作る強磁界を横切
り、これにより輻射熱シールド4に渦電流が生じる。こ
の輻射熱シールド上の渦電流は磁界を作り、この磁界を
超伝導コイル収納容器2が横切ることで、超伝導コイル
収納容器2に渦電流が生じることになる。しかしこの渦
電流は、梁3の一部に設けられた絶縁部7によって遮断
され、梁3には渦電流は流れない。このため、発熱も起
こらない。梁3に渦電流が流れる図2に示す従来例より
も、本実施例では超伝導コイル収納容器2で生じる発熱
が抑制されるので、クエンチの発生が防止される。
よりその発熱低減効果を定量的に確認した。図3,図4
は、前述した様に、3次元渦電流解析により得た渦電流
の流れのパターンをコンピュータに描かせた図である。
計算に用いたコイルモデルは図1の真円より少し長円形
としてある。長円方向のコイル直径は約1000mmで
ある。超伝導コイルが500KAタ−ンに励磁され、そ
れが輻射シ−ルドとの間でZ軸の回りで4×10~8[r
ad],300[Hz]で相対振動したとして計算す
る。コンピュータによる渦電流分布の計算結果が図3,
図4である。図中の矢印線は渦電流の流線に相当してい
る。この計算結果は、梁部3に絶縁が施されてないとき
のものであり、この時の渦電流発熱は1[W]である。
超伝導コイル収納容器2そのものはアルミ被覆が施され
ているので、その部分の発熱は0.1[W]と少なく、
大部分が梁部3からの発熱であった。この発熱1[W]
は小さいように見えるが、超伝導コイル1の温度を4°
Kに保持するために使用する液体Heの供給量にとって
1[W]の発熱量は膨大な量であり、またクエンチに対
するマ−ジンも大きく損なわれる。この梁部3に対しこ
れを完全な絶縁体として同様の3次元渦電流解析を行な
ったところ、梁部3の発熱は電流が完全に遮断されるこ
とから当然に0[W]となり、コイル収納容器部2の発
熱は前と同じ0.1[W]であったところから、絶縁の
有り無しによってコイル発熱を1/10に低減できるこ
とが確認された。
磁石の要部破断斜視図である。本実施例に係る超伝導磁
石の構成は、基本的には第1実施例のもの同じである。
しかし、第1実施例における輻射熱シールド4は単純な
円柱形状であったが、この実施例では、輻射熱シールド
4の形状を完全に超伝導コイル収納容器2及びその梁の
形状に添った形状としており、梁3はそれのみを覆う様
に輻射熱シールド4が構成されている。そして、本実施
例では、この梁3を覆う輻射熱シールド部分の一部に絶
縁部7を設けている。この構成により、外部からの動的
要因によって、輻射熱シールド4が超伝導コイル1に対
して相対振動を生じ、超伝導コイル1のつくる磁界を輻
射熱シールド4が横切ると、輻射熱シールド4に渦電流
が生じようとするが、梁3を覆う部分の輻射熱シールド
には、絶縁部7によって渦電流が遮断され、渦電流は流
れない。このため、超伝導コイル収納容器2と輻射熱シ
ールド4の間にある電気的カップリングによって梁3に
流れるはずの渦電流も抑制されてしまう。従って、梁3
で生じる発熱も抑制され、超伝導コイル収納容器全体で
生じる発熱も軽減され、クエンチの生じにくい超伝導磁
石が得られる。この絶縁部7の詳細は図12の符号12
で示す部分が該当し、これについては後述する。
コイル全体の寸法等は第1実施例と同じとして3次元渦
電流解析を行った。この場合には、全発熱は0.15
[W]である。本実施例では、梁部3には絶縁部は何も
設けていないので、この梁部3にはわずかに渦電流が流
れる。この梁部3で0.05[W]発熱し、コイル収納
容器部2での発熱0.1[W]と合わせて0.15
[W]となる。このように、輻射熱シ−ルド部の絶縁の
みによっても、発熱は従来例の約15[%]と大幅に低
減されることが分かる。この実施例は、コイル収納容器
2の幾何学的形状や、コイル収納容器がコイルから受け
るフ−プ力を支持する構造にする関係で、その梁部3に
絶縁を施しにくい場合の代替案として有力な方法であ
る。
施例においても、その構成は基本的に第1実施例と同じ
であるが、本実施例で符号9で示す部分は絶縁部ではな
く、高抵抗部となっている。外部からの動的要因によっ
て、輻射熱シールド4が超伝導コイル1に対して相対振
動し、輻射熱シールド4が超伝導コイル1のつくる磁界
を横切って渦電流を生じ、さらに輻射熱シールド上の渦
電流によって作られる磁界を超伝導コイル収納容器2が
横切って、超伝導コイル収納容器2上に渦電流が生じて
も、梁3の高抵抗部9によって、外乱の振動周波数をレ
ジスティブな領域に設定することにより、渦電流は遮断
される。これにより、梁3を流れる渦電流は生じず、従
って発熱も起こらない。高抵抗部9を通して渦電流が流
れた場合でも、高抵抗部9により収納容器2の半分と梁
3とで構成される閉ループの一周の抵抗値が増加する
分、この閉ループに誘起される渦電流は小さくなる。こ
のため、高抵抗部9の抵抗値が充分大きければ、全体と
して発熱が抑制される。従って、超伝導コイル収納容器
2で生じる発熱は抑制され、クエンチは発生しにくくな
る。
りも高抵抗部材である例えばインコネル鋼で構成すると
か、梁3全体をステンレス鋼を用い製造すると共に高抵
抗部9の部分をベロ−ズ構造にして長手方向の抵抗率を
上げるとかの方法によって実現される。
実施例の構成も基本的には第1実施例の場合と同様であ
るが、第4実施例での輻射熱シールド4は、図9に示す
形状の超伝導コイル収納容器2を収納しており、超伝導
コイル収納容器2が有する4本の梁3全体を覆う部分の
一部に高抵抗部9を設けている。外部からの動的要因に
よって、輻射熱シールド4が超伝導コイル1に対して相
対振動して超伝導コイル1のつくる磁界を横切ると、輻
射熱シールド4に渦電流が生じる。しかし、梁3を覆う
部分の輻射熱シールドの一部に設けられた高抵抗部9に
よって、外乱による振動周波数がレジスティブな領域に
設定されるので、渦電流は遮断され、梁3を覆う輻射熱
シールドの部分を流れる渦電流は生じない。あるいは、
高抵抗部9を通して渦電流が流れるが、この場合、高抵
抗部9が加わって一周抵抗が増加する分、誘起される渦
電流は小さくなる。いずれにしても、超伝導コイル収納
容器2と輻射熱シールド4の間には電気的カップリング
があり、輻射熱シ−ルド4の梁3を覆う部分に流れる渦
電流が抑制されると、梁3を流れるはずの渦電流も抑制
される。従って、梁3で生じる発熱も抑制されるので超
伝導コイル収納容器全体で生じる発熱も軽減され、クエ
ンチの生じにくい超伝導磁石が得られる。
コイル1は、冷却剤である液体ヘリウムとともに、超伝
導コイル収納容器2に納められる。超伝導コイル収納容
器2は超伝導コイル1を保持すると同時に、超伝導コイ
ル1に生じるフ−プ力等の電磁力を支える為、SUSで
作られている。3は超伝導コイル収納容器の有する梁で
あり、SUS製で溶接によって超伝導コイル収納容器2
に取り付けられており、超伝導コイル収納容器2と同様
に液体ヘリウム温度に冷却されている。今、図6に示す
ような超伝導コイル1を覆う輻射シ−ルド4に、外部か
らY軸周りの回転振動が加わっていると仮定すると、こ
の場合の渦電流の流路13は図6に示されるように、左
右の渦電流の向きは逆回転となり、表側,裏側の渦電流
も逆となる。そこで、図7に示すように、AB間の梁を
AH間に、CD間の梁をCF間に、EF間の梁をED間
に、GH間の梁をGB間に置き換えることによって、コ
イル収納容器2の左右,表裏でそれぞれ半周ずつの4つ
のループ電流を作って流れようとしていた渦電流の流路
を変更し、コイル収納容器2の本体リング部分にのみ流
れるターン電流14だけが生じるような渦電流の流路を
とらせる。つまり、超伝導コイル収納容器2と梁3の間
で、循環電流が生じなくなるようにする。これにより、
梁3に流れる渦電流を抑制することができ、梁3での発
熱が抑制される。従って、超伝導コイル収納容器全体で
の発熱も抑制され、クエンチの生じにくい超伝導コイル
が得られる。
「絶縁」部分の構造について具体的に説明する。図11
は、第1実施例で述べた絶縁部の詳細構造図である。1
は超伝導コイル、2は超伝導コイル収納容器、3はSU
S製の梁である。梁3は2本に分割されており、端部3
a,3bはフランジ状に大径に形成されている。この端
部3a,3bは対向して設けられ、両端部3a,3bを
一緒に覆蓋するSUS製の締め金具10を絶縁材7を介
して(締め金具10と端部3a,3bが電気的に絶縁さ
れる様に)取り付け、絶縁ボルト11で締め金具10と
端部3a,3bとが固着される。この構造にすることに
よって、強い電磁力による引っ張り応力が梁3に働く場
合でも、この引っ張り応力は締め金具10にて支えら
れ、充分に超伝導コイル収納容器2を支持することがで
きると同時に、絶縁を果たすことができる。絶縁部7の
部材としては、FRP,アルミナ等のセラミックス,カ
プトンやテフロン(商標名)などの耐低温性の樹脂を用
いる。
細構造図である。1は超伝導コイル、2は超伝導コイル
収納容器、3はSUS製の梁で、4は輻射熱シールドで
ある。輻射熱シールド4は梁3を覆う部分に不連続部1
2を有し、この部分で絶縁されている。輻射熱シールド
4は熱侵入を防ぐために多数の支持点を持たず、簡単に
取り付けられているのみで、クエンチの場合を除いて
は、過大な電磁力も加わらない。従って、不連続部にF
RP等を噛ませるような込み入った絶縁構造を用いなく
ても、輻射熱シールド4の一部に不連続部を設ければ充
分である。輻射による熱侵入が極端に嫌われる場合に
は、不連続部の一端を他端に被せオーバーラップする構
造にする。
は超伝導コイル収納容器、3は超伝導コイル収納容器の
有する梁で、斜線部17が低抵抗部であり、他の部分は
超伝導コイル収納容器のSUS部が剥き出しになってい
る。低抵抗部材としてはアルミ,銅,銀,金等を用い、
貼り付けたり、蒸着したり、溶接したり、メッキ等の手
段で付ける。ここでは、外乱による振動周波数をインダ
クティブな領域に設定し、超伝導コイル収納容器2の一
周抵抗を下げることによって、発熱を減少させる。超伝
導コイル収納容器2に低抵抗部材が装着されているのに
加えて、本発明では梁部3にも低抵抗化が施されている
ので、全体の発熱が低減する。アルミ等で収納容器全面
を覆わないのは、超伝導コイルの励磁の際に超伝導コイ
ル収納容器2に渦電流が非常に流れ易くなり、超伝導コ
イルの立ち上げに要する時間や電力を増大させるのを防
ぐためである。この体系で実施例1のところで述べたの
と同じ条件で3次元渦電流解析を行ったところ、全発熱
は0.1[W]と梁部3の低抵抗化がはかられていない
場合と比べて1/10の発熱低減となっている。この構
造によって、超伝導コイル収納容器で生じる発熱は低減
され、クエンチの生じにくい超伝導磁石が得られる。
構造に加え、コイル収納容器2の本体リング状部分の一
部に高抵抗部を介装して収納容器本体に流れる渦電流の
低減も一緒に図ることは極めて有効であることはいうま
でもない。
の有する梁またはそれに類する部材に生じる渦電流を抑
制し、超伝導コイル収納容器全体で発生する発熱を低減
することができるので、外部からの動的要因に対しても
クエンチの生じにくい超伝導磁石を構成することができ
る。
び断面図はである。
導磁石の断面図である。
Aのときに該当する。)を3次元渦電流解析で求めコン
ピュータで作成した図である。
Bのときに該当する。)を3次元渦電流解析で求めコン
ピュータで作成した図である。
変化を示すグラフである。
図である。
の外観図である。
部破断斜視図である。
容器の斜視図である。
ドの要部破断斜視図である。
示す図である。
構造を示す図である。
図である。
納容器の斜視図である。
部材、4…輻射熱シ−ルド、5…真空断熱容器、6…支
持、7…絶縁部、8…ボルト、9…高抵抗部、10…締
め金具、11…絶縁ボルト、12…絶縁部(不連続
部)、13…渦電流流路、14…タ−ン電流、17…ア
ルミ貼付部。
Claims (16)
- 【請求項1】 コイル収納容器内に超電導コイルを収納
すると共に該コイル収納容器の内径部分に支持用の梁部
材を渡した超伝導磁石において、前記梁部材を電気絶縁
材で構成したことを特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項2】 請求項1において、電気絶縁材はFRP
(Fiberglass Reinforced Plastics),アルミナ,CF
RP(Carbon Fiberglass Reinforced Plastics)のい
ずれかであることを特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項3】 コイル収納容器内に超電導コイルを収納
すると共に該コイル収納容器の内径部分に支持用の梁部
材を渡した超伝導磁石において、前記梁部材と前記コイ
ル収納容器とで構成される閉ループに流れる渦電流を阻
止する電気絶縁材を該梁部材の一部として構成すること
を特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項4】 請求項3において、電気絶縁材は低温性
絶縁部材であるフッ素樹脂であることを特徴とする超伝
導磁石。 - 【請求項5】 コイル収納容器内に超電導コイルを収納
すると共に該コイル収納容器の内径部分に支持用の梁部
材を渡した超伝導磁石において、前記梁部材を高抵抗部
材で構成したことを特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項6】 請求項5において、梁部材をインコネル
材で構成することを特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項7】 コイル収納容器内に超電導コイルを収納
すると共に該コイル収納容器の内径部分に支持用の梁部
材を渡した超伝導磁石において、前記梁部材と前記コイ
ル収納容器とで構成される閉ループに流れる渦電流を減
衰させる高抵抗部材を該梁部材の一部として構成したこ
とを特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項8】 請求項7において、梁部材の一部をべロ
ーズ構造とすることで高抵抗とすることを特徴とする超
伝導磁石。 - 【請求項9】 請求項1乃至請求項8のいずれかにおい
て、前記コイル収納容器の周方向の所要箇所に、周方向
の電流の循環を遮断し或いは減衰させる電気絶縁材或い
は高抵抗部材を介在させて構成したことを特徴とする超
伝導磁石。 - 【請求項10】 請求項1乃至請求項9のいずれかにお
いて、前記コイル収納容器の外壁面の大部分に不連続な
電気的導体或いは低抵抗体を被着して構成したことを特
徴とする超伝導磁石。 - 【請求項11】 コイル収納容器内に超電導コイルを収
納すると共に該コイル収納容器の内径部分に支持用の梁
部材を渡した超伝導磁石において、前記コイル収納容器
の外周囲を覆う輻射熱シールドのうち前記梁部材を覆う
部分の全部を電気絶縁材あるいは高抵抗部材で構成した
ことを特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項12】 コイル収納容器内に超電導コイルを収
納すると共に該コイル収納容器の内径部分に支持用の梁
部材を渡した超伝導磁石において、前記コイル収納容器
の外周囲を覆う輻射熱シールドのうち前記梁部材と前記
コイル収納容器とで構成される閉ループを覆う輻射熱シ
ールドに流れる渦電流を遮断し或いは減衰させる高抵抗
領域を該梁部材部分を覆う輻射熱シールドの一部として
構成したことを特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項13】 請求項11または請求項12におい
て、輻射熱シールドをアルミ材で形成し、梁部分を覆う
部分にステンレスあるいはインコネル材を用いたことを
特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項14】 コイル収納容器内に超電導コイルを収
納すると共に該コイル収納容器の内径部分に支持用の梁
部材を渡した超伝導磁石において、前記梁部材と前記コ
イル収納容器とで構成される閉ループに渦電流が流れな
い位置に前記梁部材を配置したことを特徴とする超伝導
磁石。 - 【請求項15】 コイル収納容器内に超電導コイルを収
納すると共に該コイル収納容器の内径部分に支持用の梁
部材を渡した超伝導磁石において、前記梁部材の外周囲
の大部分に不連続な電気導体或いは低抵抗体を被着させ
ることを特徴とする超伝導磁石。 - 【請求項16】 請求項10または請求項15におい
て、低抵抗体はアルミ,銅,金,銀のいずれかであるこ
とを特徴とする超伝導磁石。
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