JPH0831634A - 超伝導コイル - Google Patents
超伝導コイルInfo
- Publication number
- JPH0831634A JPH0831634A JP16715894A JP16715894A JPH0831634A JP H0831634 A JPH0831634 A JP H0831634A JP 16715894 A JP16715894 A JP 16715894A JP 16715894 A JP16715894 A JP 16715894A JP H0831634 A JPH0831634 A JP H0831634A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- superconducting
- thermal
- region
- resistance member
- conductor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 超伝導線または超伝導導体の内外で発生する
擾乱による入熱や発熱に対して熱的に安定で信頼性の高
い超伝導コイルを提供すること。 【構成】 超伝導線2の外周に安定化材3を被覆してな
る超伝導導体1を、各導体1間にターン間スペーサ5及
び層間スペーサ6を介して多数回、多層に巻回し、これ
をコイル容器内の液体ヘリウム7中に浸漬して冷却する
ようにした超伝導コイルにおいて、導体1の上面と層間
スペーサ6との間に肉厚部4aと肉薄部4bを有する熱
的高抵抗部材4を設け、スペーサ6との間で発生した摩
擦熱の導体1内への入熱は、断熱特性に優れた肉厚部4
aで阻止して溝10内の液体ヘリウム7で除熱するとと
もに、導体1内部での発熱は、安定化材3を介して、放
熱特性に優れた肉薄部4bを通り溝10内の液体ヘリウ
ム7中に放熱するようにした。
擾乱による入熱や発熱に対して熱的に安定で信頼性の高
い超伝導コイルを提供すること。 【構成】 超伝導線2の外周に安定化材3を被覆してな
る超伝導導体1を、各導体1間にターン間スペーサ5及
び層間スペーサ6を介して多数回、多層に巻回し、これ
をコイル容器内の液体ヘリウム7中に浸漬して冷却する
ようにした超伝導コイルにおいて、導体1の上面と層間
スペーサ6との間に肉厚部4aと肉薄部4bを有する熱
的高抵抗部材4を設け、スペーサ6との間で発生した摩
擦熱の導体1内への入熱は、断熱特性に優れた肉厚部4
aで阻止して溝10内の液体ヘリウム7で除熱するとと
もに、導体1内部での発熱は、安定化材3を介して、放
熱特性に優れた肉薄部4bを通り溝10内の液体ヘリウ
ム7中に放熱するようにした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超伝導応用機器に用いら
れる一般的な超伝導コイルに係り、特に熱的安定性に優
れた構成を有する超伝導コイルに関する。
れる一般的な超伝導コイルに係り、特に熱的安定性に優
れた構成を有する超伝導コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】超伝導コイルは、超伝導線または超伝導
導体(超伝導線の外周に例えば安定化材を被覆する等の
加工を施したもの)を超伝導状態に保持し得る温度、磁
場、電流条件に保ち、通常のコイルに比べて極めて高い
コイル電流密度での運転を可能にすることにより、高磁
場、高磁場精度、コンパクト化といった高機能化を可能
にすること共に、ジュール損発生を回避して消費電力を
低減することができる、といった多くの長所を有してお
り、種々の機器への応用が開発されつつある。
導体(超伝導線の外周に例えば安定化材を被覆する等の
加工を施したもの)を超伝導状態に保持し得る温度、磁
場、電流条件に保ち、通常のコイルに比べて極めて高い
コイル電流密度での運転を可能にすることにより、高磁
場、高磁場精度、コンパクト化といった高機能化を可能
にすること共に、ジュール損発生を回避して消費電力を
低減することができる、といった多くの長所を有してお
り、種々の機器への応用が開発されつつある。
【0003】一方、現状の技術においては、殆んどの超
伝導コイルは、超伝導状態に保持して運転するために、
液体ヘリウムによる極低温温度で動作させることが必要
であるが、このような温度領域では超伝導コイルを構成
する材料の比熱が極めて小さいため、各種の擾乱による
わずかな入熱によって超伝導破壊(クエチン)を発生さ
せる危険性があり、安定で信頼性の高い機器として産業
界に適用させていく上で大きな開発課題となっている。
伝導コイルは、超伝導状態に保持して運転するために、
液体ヘリウムによる極低温温度で動作させることが必要
であるが、このような温度領域では超伝導コイルを構成
する材料の比熱が極めて小さいため、各種の擾乱による
わずかな入熱によって超伝導破壊(クエチン)を発生さ
せる危険性があり、安定で信頼性の高い機器として産業
界に適用させていく上で大きな開発課題となっている。
【0004】前記した擾乱の形態としては、例えば、通
電時の強大な電磁力による超伝導線または超伝導導体の
動きによって、スペーサなどの他部材との境界部で発生
する摩擦熱や、通電時の磁場変化などにより超伝導線ま
たは超伝導導体内に発生する励磁損失による入熱があ
る。これらの擾乱による入熱の経路を考えてみると、前
者は超伝導線または超伝導導体の外部から内部へ侵入し
てくる形態であり、後者は超伝導線または超伝導導体の
内部に直接発生する形態である。
電時の強大な電磁力による超伝導線または超伝導導体の
動きによって、スペーサなどの他部材との境界部で発生
する摩擦熱や、通電時の磁場変化などにより超伝導線ま
たは超伝導導体内に発生する励磁損失による入熱があ
る。これらの擾乱による入熱の経路を考えてみると、前
者は超伝導線または超伝導導体の外部から内部へ侵入し
てくる形態であり、後者は超伝導線または超伝導導体の
内部に直接発生する形態である。
【0005】以上述べたような技術的背景の中で、超伝
導コイルの熱的安定性向上のために種々の対応策が試み
られてきたが、超伝導線または超伝導導体を液体ヘリウ
ムの冷媒中に浸漬する液体ヘリウム浸漬冷却方式、ある
いは前記冷媒の流れの中にさらして強制的に冷却する液
体ヘリウム強制冷却方式において、特にに超伝導線また
は超伝導導体の動きに伴う擾乱による入熱に対して超伝
導コイルの安定性を向上させる技術としては、例えば特
開平4−320304号公報、あるいは「エム.オー.
ホーイング,“インターナリー コールド ケーブルド
スーパーコンダクターズ” クライオジェニクス ジ
ュライ(M.O.Hoeng,“Internally
cooled cabled supercondu
ctors” Cryogenics JULY)(1
980)373」に開示されている。
導コイルの熱的安定性向上のために種々の対応策が試み
られてきたが、超伝導線または超伝導導体を液体ヘリウ
ムの冷媒中に浸漬する液体ヘリウム浸漬冷却方式、ある
いは前記冷媒の流れの中にさらして強制的に冷却する液
体ヘリウム強制冷却方式において、特にに超伝導線また
は超伝導導体の動きに伴う擾乱による入熱に対して超伝
導コイルの安定性を向上させる技術としては、例えば特
開平4−320304号公報、あるいは「エム.オー.
ホーイング,“インターナリー コールド ケーブルド
スーパーコンダクターズ” クライオジェニクス ジ
ュライ(M.O.Hoeng,“Internally
cooled cabled supercondu
ctors” Cryogenics JULY)(1
980)373」に開示されている。
【0006】前者の公報に開示された液体ヘリウム浸漬
冷却方式は、複合超伝導導体を備え、これらの導体間に
スペーサが介在している構成において、複合超伝導導体
とスペーサとの間を接着、摩擦力などの手段で固着して
導体がスペーサに対して相対的に動かないようにするこ
とにより、これらの境界面で摩擦熱が発生しないように
したものである。
冷却方式は、複合超伝導導体を備え、これらの導体間に
スペーサが介在している構成において、複合超伝導導体
とスペーサとの間を接着、摩擦力などの手段で固着して
導体がスペーサに対して相対的に動かないようにするこ
とにより、これらの境界面で摩擦熱が発生しないように
したものである。
【0007】また、後者の文献に開示された液体ヘリウ
ム強制冷却方式は、その代表的なバンドル導体では、図
11に示すように、超伝導素線12を数本、例えば3本
毎に撚って超伝導線とし、この数本撚られた超伝導素線
12からなる超伝導線をさらに数本集めてまた撚り、こ
れをコンジット13内に収納し、このコンジット13中
に冷媒としての液体ヘリウム14を流通して超伝導素線
12を強制的に冷却する構成で、通電による電磁力によ
りコンジット13内で超伝導素線12が動くと、その素
線同士や、素線とコンジットとの間で摩擦熱が発生した
り、また励磁損失などの超伝導素線12内部に発生する
擾乱によって発熱するが、これらの熱を周囲の液体ヘリ
ウム14と自身のエンタルピーで吸収するようにしたも
のである。
ム強制冷却方式は、その代表的なバンドル導体では、図
11に示すように、超伝導素線12を数本、例えば3本
毎に撚って超伝導線とし、この数本撚られた超伝導素線
12からなる超伝導線をさらに数本集めてまた撚り、こ
れをコンジット13内に収納し、このコンジット13中
に冷媒としての液体ヘリウム14を流通して超伝導素線
12を強制的に冷却する構成で、通電による電磁力によ
りコンジット13内で超伝導素線12が動くと、その素
線同士や、素線とコンジットとの間で摩擦熱が発生した
り、また励磁損失などの超伝導素線12内部に発生する
擾乱によって発熱するが、これらの熱を周囲の液体ヘリ
ウム14と自身のエンタルピーで吸収するようにしたも
のである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の液体ヘ
リウム浸漬冷却方式においては、複合超伝導導体の動き
に伴う摩擦熱を導体の表面で発生させないためには、い
かなる場合、いかなる場所においても導体とスペーサが
必ず一体化していることが前提条件となる。しかしなが
ら、超伝導コイルシステムの大型化等の要求とともに、
コイルに発生する電磁力はさらに強大になり、また室温
から極低温への冷却による導体とスペーサの熱収縮差に
よって発生する熱歪も強大になる傾向にある。さらに、
産業界への適用に対応して運転頻度の増加、すなわち繰
り返し運転に対する信頼性の向上が不可欠の状況となっ
ている。元来、超伝導線または超伝導導体とスペーサと
は前者が電磁力の発生源であるのに対して後者は力の発
生源ではないため、動きのモードが全く別々で、これら
の部材をいかなる状況においても必ず一体化しておくこ
とを保証することは、特に今後の超伝導コイルの大型
化、高機能化の要請に応えて行く上では至難の技と言え
る。
リウム浸漬冷却方式においては、複合超伝導導体の動き
に伴う摩擦熱を導体の表面で発生させないためには、い
かなる場合、いかなる場所においても導体とスペーサが
必ず一体化していることが前提条件となる。しかしなが
ら、超伝導コイルシステムの大型化等の要求とともに、
コイルに発生する電磁力はさらに強大になり、また室温
から極低温への冷却による導体とスペーサの熱収縮差に
よって発生する熱歪も強大になる傾向にある。さらに、
産業界への適用に対応して運転頻度の増加、すなわち繰
り返し運転に対する信頼性の向上が不可欠の状況となっ
ている。元来、超伝導線または超伝導導体とスペーサと
は前者が電磁力の発生源であるのに対して後者は力の発
生源ではないため、動きのモードが全く別々で、これら
の部材をいかなる状況においても必ず一体化しておくこ
とを保証することは、特に今後の超伝導コイルの大型
化、高機能化の要請に応えて行く上では至難の技と言え
る。
【0009】さらに、上記の従来技術では、上記したよ
うに、擾乱による入熱の経路については導体の外部から
の入熱についての対策であり、導体の内部で発生する入
熱に対しては特に配慮されていなかった。すなわち、ス
ペーサで完全に導体表面が覆われている領域での導体内
の発熱は、覆われている領域から覆われていない領域に
おける冷媒との境界面までの導体内の熱伝導と覆われて
いない領域における冷媒との境界面で導体表面と冷媒間
の熱伝達によって放熱することになるが、既に述べたよ
うに、導体とスペーサの一体化のためには導体とスペー
サを強固に接着など固着することが必要で、導体表面に
おけるスペーサとの接触面積が必然的に大きなものとな
り、このような導体内部での発熱の放熱についても、今
後、障害となる虞れがある。
うに、擾乱による入熱の経路については導体の外部から
の入熱についての対策であり、導体の内部で発生する入
熱に対しては特に配慮されていなかった。すなわち、ス
ペーサで完全に導体表面が覆われている領域での導体内
の発熱は、覆われている領域から覆われていない領域に
おける冷媒との境界面までの導体内の熱伝導と覆われて
いない領域における冷媒との境界面で導体表面と冷媒間
の熱伝達によって放熱することになるが、既に述べたよ
うに、導体とスペーサの一体化のためには導体とスペー
サを強固に接着など固着することが必要で、導体表面に
おけるスペーサとの接触面積が必然的に大きなものとな
り、このような導体内部での発熱の放熱についても、今
後、障害となる虞れがある。
【0010】また、上記した従来の液体ヘリウム強制冷
却方式においては、既に述べたように、超伝導素線同
士、素線とコンジット間で発生する摩擦熱や、励磁損失
などによる超伝導素線内での発熱を周囲の液体ヘリウム
と自身のエンタルピーで吸収するが、図11から明らか
なように、超伝導素線12と液体ヘリウム14の関係に
おいては、超伝導素線12に対する外部からの入熱と超
伝導素線12内部での発熱に対して、特に熱の吸収過程
について両者間に差がない。したがって、外部からの入
熱と内部での発熱の両者に対して同時に安定性の向上を
図ることは極めて困難であった。
却方式においては、既に述べたように、超伝導素線同
士、素線とコンジット間で発生する摩擦熱や、励磁損失
などによる超伝導素線内での発熱を周囲の液体ヘリウム
と自身のエンタルピーで吸収するが、図11から明らか
なように、超伝導素線12と液体ヘリウム14の関係に
おいては、超伝導素線12に対する外部からの入熱と超
伝導素線12内部での発熱に対して、特に熱の吸収過程
について両者間に差がない。したがって、外部からの入
熱と内部での発熱の両者に対して同時に安定性の向上を
図ることは極めて困難であった。
【0011】本発明の目的は、超伝導線または超伝導導
体の内外で発生する擾乱による入熱や発熱に対して熱的
に安定で信頼性の高い超伝導コイルを提供することにあ
る。
体の内外で発生する擾乱による入熱や発熱に対して熱的
に安定で信頼性の高い超伝導コイルを提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、超伝導線または超伝導導体(超伝導線の
外周に例えば安定化材を被覆する等の加工を施したも
の)を複数回巻回し、これを容器、例えばコイル容器、
コンジット等の内部に収納して構成され、かつ液体ヘリ
ウムにより冷却するようにした超伝導コイルにおいて、
超伝導線または超伝導導体の外周における他部材、例え
ばスペーサ、容器等と接する境界部の少なくとも一部
に、外部で発生する擾乱、例えば摩擦熱等による入熱に
対しては断熱特性に優れ、内部で発生する擾乱、例えば
励磁損失等による発熱に対しては放熱特性に優れた熱的
領域、例えば肉厚部と肉薄部を有する熱的高抵抗部材を
設けたことを特徴とし、さらに具体的には、超伝導線ま
たは超伝導導体をスペーサを介して巻回するとともに容
器内の液体ヘリウムに浸漬する、いわゆる液体ヘリウム
浸漬冷却方式において、熱的高抵抗部材等からなる前記
熱的領域を、超伝導線または超伝導導体のスペーサまた
は容器との境界部に設けたこと、あるいは、超伝導線を
複数の超伝導素線の撚線から構成し、これを容器、例え
ばコンジット等の内部を流れる液体ヘリウムにより強制
的に冷却するようにした、いわゆる液体ヘリウム強制冷
却方式において、超伝導線の外周の少なくとも一部を熱
的高抵抗部材で覆ったこと、をそれぞれ特徴とする。
め、本発明は、超伝導線または超伝導導体(超伝導線の
外周に例えば安定化材を被覆する等の加工を施したも
の)を複数回巻回し、これを容器、例えばコイル容器、
コンジット等の内部に収納して構成され、かつ液体ヘリ
ウムにより冷却するようにした超伝導コイルにおいて、
超伝導線または超伝導導体の外周における他部材、例え
ばスペーサ、容器等と接する境界部の少なくとも一部
に、外部で発生する擾乱、例えば摩擦熱等による入熱に
対しては断熱特性に優れ、内部で発生する擾乱、例えば
励磁損失等による発熱に対しては放熱特性に優れた熱的
領域、例えば肉厚部と肉薄部を有する熱的高抵抗部材を
設けたことを特徴とし、さらに具体的には、超伝導線ま
たは超伝導導体をスペーサを介して巻回するとともに容
器内の液体ヘリウムに浸漬する、いわゆる液体ヘリウム
浸漬冷却方式において、熱的高抵抗部材等からなる前記
熱的領域を、超伝導線または超伝導導体のスペーサまた
は容器との境界部に設けたこと、あるいは、超伝導線を
複数の超伝導素線の撚線から構成し、これを容器、例え
ばコンジット等の内部を流れる液体ヘリウムにより強制
的に冷却するようにした、いわゆる液体ヘリウム強制冷
却方式において、超伝導線の外周の少なくとも一部を熱
的高抵抗部材で覆ったこと、をそれぞれ特徴とする。
【0013】
【作用】本発明は、超伝導線または超伝導導体の外周に
おける他部材、例えばスペーサ、容器等と接する境界部
の少なくとも一部に前記した熱的特性を有する熱的領域
を設けたので、外部で発生する擾乱による入熱に対して
は、この熱的領域の断熱特性によって良好に断熱し、か
つ内部で発生する擾乱による発熱に対しては、この熱的
領域の放熱特性によって良好に放熱して、熱的な安定性
を確保することができる。
おける他部材、例えばスペーサ、容器等と接する境界部
の少なくとも一部に前記した熱的特性を有する熱的領域
を設けたので、外部で発生する擾乱による入熱に対して
は、この熱的領域の断熱特性によって良好に断熱し、か
つ内部で発生する擾乱による発熱に対しては、この熱的
領域の放熱特性によって良好に放熱して、熱的な安定性
を確保することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の各実施例を図面を用いて詳細
に説明する。
に説明する。
【0015】図2は本発明が適用される液体ヘリウム浸
漬冷却方式超伝導コイルの概略縦断面図、図1は本発明
の第1の実施例に係る液体ヘリウム浸漬冷却方式超伝導
コイルの要部詳細斜視図である。
漬冷却方式超伝導コイルの概略縦断面図、図1は本発明
の第1の実施例に係る液体ヘリウム浸漬冷却方式超伝導
コイルの要部詳細斜視図である。
【0016】これらの図において、1は超伝導導体で、
超伝導線2の外周に銅、アルミニウム等の熱的低抵抗材
料からなる安定化材3を被覆し、その上面に熱的高抵抗
部材4を接着等で固着することによって構成されてい
る。この超伝導導体1は、各導体1にターン間スペーサ
5および層間スペーサ6を介挿した状態で多数回、多層
に巻回されて、巻線部に構成されるとともに、対地絶縁
物8を有するコイル容器9に収納され、コイル容器9内
の液体ヘリウム7に浸漬されて、超伝導コイルが構成さ
れている。前記熱的高抵抗部材4には、その長手方向に
延びる溝10が形成され、これによって肉薄部4bが構
成されるとともに残余の部分で肉厚部4aが構成されて
いる。そして、この肉厚部4aによって前記熱的領域の
断熱特性に優れた領域が形成され、また肉薄部4bと溝
10内の液体ヘリウム7によって前記熱的領域の放熱特
性に優れた領域が形成されている。
超伝導線2の外周に銅、アルミニウム等の熱的低抵抗材
料からなる安定化材3を被覆し、その上面に熱的高抵抗
部材4を接着等で固着することによって構成されてい
る。この超伝導導体1は、各導体1にターン間スペーサ
5および層間スペーサ6を介挿した状態で多数回、多層
に巻回されて、巻線部に構成されるとともに、対地絶縁
物8を有するコイル容器9に収納され、コイル容器9内
の液体ヘリウム7に浸漬されて、超伝導コイルが構成さ
れている。前記熱的高抵抗部材4には、その長手方向に
延びる溝10が形成され、これによって肉薄部4bが構
成されるとともに残余の部分で肉厚部4aが構成されて
いる。そして、この肉厚部4aによって前記熱的領域の
断熱特性に優れた領域が形成され、また肉薄部4bと溝
10内の液体ヘリウム7によって前記熱的領域の放熱特
性に優れた領域が形成されている。
【0017】このように構成された超伝導コイルにおい
て、通電が行なわれ、コイルに発生する電磁力により、
超伝導導体1が矢印A方向の垂直力で層間スペーサ6に
押付けられた状態で矢印B方向に動いた場合、導体1と
層間スペーサ6の間に相対変位δが発生し、この相対変
位δと、導体1と層間スペーサ6の間の摩擦係数μおよ
び前記矢印A方向の垂直力に対する垂直抗力Nにより、
仕事μNδが超伝導導体1に行なわれ、これが摩擦熱と
して外部からの入熱源になる。しかしながら、層間スペ
ーサ6と超伝導導体1の境界部には熱的高抵抗部材4が
設けられており、前記摩擦熱の超伝導導体1内への入熱
は、図3の熱流の移動経路を示す矢印のように、断熱特
性に優れた肉厚部4aで阻止され、かつ溝10内に存在
する液体ヘリウム7によって除熱されるので、極めて少
なくなる。
て、通電が行なわれ、コイルに発生する電磁力により、
超伝導導体1が矢印A方向の垂直力で層間スペーサ6に
押付けられた状態で矢印B方向に動いた場合、導体1と
層間スペーサ6の間に相対変位δが発生し、この相対変
位δと、導体1と層間スペーサ6の間の摩擦係数μおよ
び前記矢印A方向の垂直力に対する垂直抗力Nにより、
仕事μNδが超伝導導体1に行なわれ、これが摩擦熱と
して外部からの入熱源になる。しかしながら、層間スペ
ーサ6と超伝導導体1の境界部には熱的高抵抗部材4が
設けられており、前記摩擦熱の超伝導導体1内への入熱
は、図3の熱流の移動経路を示す矢印のように、断熱特
性に優れた肉厚部4aで阻止され、かつ溝10内に存在
する液体ヘリウム7によって除熱されるので、極めて少
なくなる。
【0018】一方、通電時の磁場変化等により励磁損失
が超伝導導体1の内部に発生した場合、その熱は、図4
の熱流の移動経路を示す矢印のように、熱的低抵抗材料
からなる安定化材3を介して、熱的高抵抗部材4のうち
の熱抵抗が小さく放熱特性に優れた肉薄部4bを通り、
溝10内に存在する液体ヘリウム7に速やかに放熱され
る。
が超伝導導体1の内部に発生した場合、その熱は、図4
の熱流の移動経路を示す矢印のように、熱的低抵抗材料
からなる安定化材3を介して、熱的高抵抗部材4のうち
の熱抵抗が小さく放熱特性に優れた肉薄部4bを通り、
溝10内に存在する液体ヘリウム7に速やかに放熱され
る。
【0019】図5は本発明の第2の実施例に係る超伝導
コイルの要部詳細斜視図である。
コイルの要部詳細斜視図である。
【0020】この実施例では、熱的高抵抗部材4が超伝
導導体1の上面の一部に長手方向に延在して形成され、
この部分が断熱特性に優れた領域を構成し、上面のその
他の部分、すなわち熱的高抵抗部材4が設けられていな
い露出面が放熱特性に優れた領域を構成している。
導導体1の上面の一部に長手方向に延在して形成され、
この部分が断熱特性に優れた領域を構成し、上面のその
他の部分、すなわち熱的高抵抗部材4が設けられていな
い露出面が放熱特性に優れた領域を構成している。
【0021】したがって、前記摩擦熱等の外部からの入
熱に対しては、熱的高抵抗部材4が熱遮蔽として機能す
る。一方、励磁損失等の内部での発熱は、安定化材3を
介して、層間スペーサ6と超伝導導体1との間の間隙に
存在する液体ヘリウム7に直接放熱される。
熱に対しては、熱的高抵抗部材4が熱遮蔽として機能す
る。一方、励磁損失等の内部での発熱は、安定化材3を
介して、層間スペーサ6と超伝導導体1との間の間隙に
存在する液体ヘリウム7に直接放熱される。
【0022】図6は本発明の第3の実施例に係る超伝導
コイルの要部詳細斜視図である。
コイルの要部詳細斜視図である。
【0023】この実施例では、熱的高抵抗部材4が超伝
導導体1の上面に、導体1の長手方向において不連続
に、かつ各層間スペーサ6の位置に同期して設けられ、
これによって断熱特性に優れた領域を構成し、上面のそ
の他の部分、すなわち熱的高抵抗部材4が配置されてい
ない露出面で放熱特性に優れた領域を構成している。ま
た、層間スペーサ6には突出部6aが一体に形成され、
この突出部6aで熱的高抵抗部材4の限定された一部と
接するように構成されている。
導導体1の上面に、導体1の長手方向において不連続
に、かつ各層間スペーサ6の位置に同期して設けられ、
これによって断熱特性に優れた領域を構成し、上面のそ
の他の部分、すなわち熱的高抵抗部材4が配置されてい
ない露出面で放熱特性に優れた領域を構成している。ま
た、層間スペーサ6には突出部6aが一体に形成され、
この突出部6aで熱的高抵抗部材4の限定された一部と
接するように構成されている。
【0024】したがって、前記摩擦熱等の外部からの入
熱に対しては、熱的高抵抗部材4が熱遮蔽として機能
し、一方、励磁損失等の内部での発熱は、安定化材3を
介して、熱的高抵抗部材4が配置されていない露出面か
ら直接液体ヘリウム7に放熱される。
熱に対しては、熱的高抵抗部材4が熱遮蔽として機能
し、一方、励磁損失等の内部での発熱は、安定化材3を
介して、熱的高抵抗部材4が配置されていない露出面か
ら直接液体ヘリウム7に放熱される。
【0025】図7は本発明の第4の実施例に係る超伝導
コイルの要部詳細斜視図である。
コイルの要部詳細斜視図である。
【0026】通常、ターン間スペーサ5は超伝導導体1
の長手方向において不連続にして、液体ヘリウムに対す
る超伝導導体の露出面と非露出面の比率、すなわち露出
率の必要値を得ているが、この実施例では、超伝導導体
1の長手方向にターン間スペーサ5を連続またはそれに
近い構成とし、必要な露出率は超伝導導体1の側面の幅
方向において露出面と非露出面を形成することにより得
るようにしている。したがって、熱的高抵抗部材4も、
超伝導導体1の側面におけるターン間スペーサ5に対応
する幅方向の一部分に、長手方向に連続またはそれに近
い形で設けられている。
の長手方向において不連続にして、液体ヘリウムに対す
る超伝導導体の露出面と非露出面の比率、すなわち露出
率の必要値を得ているが、この実施例では、超伝導導体
1の長手方向にターン間スペーサ5を連続またはそれに
近い構成とし、必要な露出率は超伝導導体1の側面の幅
方向において露出面と非露出面を形成することにより得
るようにしている。したがって、熱的高抵抗部材4も、
超伝導導体1の側面におけるターン間スペーサ5に対応
する幅方向の一部分に、長手方向に連続またはそれに近
い形で設けられている。
【0027】この実施例においても、前記各実施例と同
様に、熱的高抵抗部材4が外部からの入熱に対して熱遮
蔽として機能し、内部での発熱は安定化材3を介して露
出面から直接液体ヘリウム7に放熱される。
様に、熱的高抵抗部材4が外部からの入熱に対して熱遮
蔽として機能し、内部での発熱は安定化材3を介して露
出面から直接液体ヘリウム7に放熱される。
【0028】図8は本発明の第5の実施例に係る超伝導
コイルの要部詳細斜視図である。
コイルの要部詳細斜視図である。
【0029】この実施例では、熱的高抵抗部材4が超伝
導導体1の長手方向に不連続に、ターン間スペーサ5お
よび層間スペーサ6の位置に同期して、超伝導導体1の
周方向全面に設けられている。
導導体1の長手方向に不連続に、ターン間スペーサ5お
よび層間スペーサ6の位置に同期して、超伝導導体1の
周方向全面に設けられている。
【0030】この実施例においても、熱的高抵抗部材4
が外部からの入熱に対して熱遮蔽として機能し、内部で
の発熱は安定化材3を介して露出面から放熱される。
が外部からの入熱に対して熱遮蔽として機能し、内部で
の発熱は安定化材3を介して露出面から放熱される。
【0031】図9は本発明の第6の実施例に係る超伝導
コイルの要部詳細斜視図である。
コイルの要部詳細斜視図である。
【0032】この実施例では、超伝導導体1の長手方向
および周方向の全面にわたって厚さの異なる絶縁被膜か
らなる熱的高抵抗部材4が設けられ、さらにその肉厚部
4aが超伝導導体1の長手方向に不連続に、ターン間ス
ペーサ5および層間スペーサ6の位置に同期して配置さ
れて断熱特性に優れた領域を構成するとともに、その肉
薄部4bが各肉厚部4a間に配置されて放熱特性に優れ
た領域を構成している。
および周方向の全面にわたって厚さの異なる絶縁被膜か
らなる熱的高抵抗部材4が設けられ、さらにその肉厚部
4aが超伝導導体1の長手方向に不連続に、ターン間ス
ペーサ5および層間スペーサ6の位置に同期して配置さ
れて断熱特性に優れた領域を構成するとともに、その肉
薄部4bが各肉厚部4a間に配置されて放熱特性に優れ
た領域を構成している。
【0033】この実施例においても、熱的高抵抗部材4
の肉厚部4aと肉薄部4bの厚さを適宜選定することに
より、前記各実施例と同様に、肉厚部4aが外部からの
入熱に対して熱遮蔽として機能し、内部での発熱は安定
化材3を介して肉薄部4bから液体ヘリウム7へ良好に
放熱される。
の肉厚部4aと肉薄部4bの厚さを適宜選定することに
より、前記各実施例と同様に、肉厚部4aが外部からの
入熱に対して熱遮蔽として機能し、内部での発熱は安定
化材3を介して肉薄部4bから液体ヘリウム7へ良好に
放熱される。
【0034】以上の各実施例においては、液体ヘリウム
浸漬冷却方式超伝導コイルにおいて、超伝導線の外周全
面に安定化材を被覆してなる超伝導導体を用いた場合に
ついて説明したが、本発明はこれに限らず、同様の冷却
方式の超伝導コイルにおいて、超伝導線の外周の一部、
例えば上面のみを開けて両側面および下面に安定化材を
施した超伝導導体を用いるものや、超伝導線に安定化材
を全く施さないで、超伝導線そのままで用いるもの、さ
らには液体ヘリウム強制冷却方式超伝導コイル等にも適
用することができる。
浸漬冷却方式超伝導コイルにおいて、超伝導線の外周全
面に安定化材を被覆してなる超伝導導体を用いた場合に
ついて説明したが、本発明はこれに限らず、同様の冷却
方式の超伝導コイルにおいて、超伝導線の外周の一部、
例えば上面のみを開けて両側面および下面に安定化材を
施した超伝導導体を用いるものや、超伝導線に安定化材
を全く施さないで、超伝導線そのままで用いるもの、さ
らには液体ヘリウム強制冷却方式超伝導コイル等にも適
用することができる。
【0035】図10は本発明を液体ヘリウム強制冷却方
式超伝導コイルに適用した第7の実施例を示す縦断面図
である。
式超伝導コイルに適用した第7の実施例を示す縦断面図
である。
【0036】超伝導コイルは、超伝導素線12を数本、
例えば3本毎に撚って超伝導線15とし、この超伝導線
15をさらに数本毎に撚ったものをコンジット13内に
収納することによって構成され、その超伝導素線12は
コンジット13中を流通する液体ヘリウム14によって
強制的に冷却されるようになっている。
例えば3本毎に撚って超伝導線15とし、この超伝導線
15をさらに数本毎に撚ったものをコンジット13内に
収納することによって構成され、その超伝導素線12は
コンジット13中を流通する液体ヘリウム14によって
強制的に冷却されるようになっている。
【0037】以上の構成は図11に示した従来の液体ヘ
リウム強制冷却方式超伝導コイルと同様であるが、この
実施例では、さらに数本(図10では3本)毎に撚って
構成された各超伝導線15の外周に、帯状の熱的高抵抗
部材16が各ターン間に間隔を開けた状態で螺旋状に巻
回された構成となっている。
リウム強制冷却方式超伝導コイルと同様であるが、この
実施例では、さらに数本(図10では3本)毎に撚って
構成された各超伝導線15の外周に、帯状の熱的高抵抗
部材16が各ターン間に間隔を開けた状態で螺旋状に巻
回された構成となっている。
【0038】このような超伝導コイルにおいては、通電
による電磁力によって各超伝導線15が動き、これらの
相互間や、コンジット13との間に摩擦熱が発熱する
が、この摩擦熱は超伝導線15の外周に巻回された熱的
高抵抗部材16により熱遮蔽されて超伝導素線12内へ
の侵入が阻止され、熱的高抵抗部材16間に存在する液
体ヘリウム14により吸収される。一方、各超伝導素線
12内で発生した熱は熱的高抵抗部材16と超伝導素線
12間に存在する液体ヘリウム14によって吸収され
る。したがって、内外の擾乱に対して熱的安定性を確保
することができる。
による電磁力によって各超伝導線15が動き、これらの
相互間や、コンジット13との間に摩擦熱が発熱する
が、この摩擦熱は超伝導線15の外周に巻回された熱的
高抵抗部材16により熱遮蔽されて超伝導素線12内へ
の侵入が阻止され、熱的高抵抗部材16間に存在する液
体ヘリウム14により吸収される。一方、各超伝導素線
12内で発生した熱は熱的高抵抗部材16と超伝導素線
12間に存在する液体ヘリウム14によって吸収され
る。したがって、内外の擾乱に対して熱的安定性を確保
することができる。
【0039】なお、超伝導線15単位において各超伝導
素線12相互間の動きは小さく、これによる摩擦熱は少
ないので、これを無視することができる。
素線12相互間の動きは小さく、これによる摩擦熱は少
ないので、これを無視することができる。
【0040】また、前記実施例では、超伝導線の外周に
設ける熱的高抵抗部材として、螺旋状に巻回された帯状
体を用いたが、これに限らず、超伝導線の外周の少なく
とも一部を覆う熱的高抵抗部材であればよい。
設ける熱的高抵抗部材として、螺旋状に巻回された帯状
体を用いたが、これに限らず、超伝導線の外周の少なく
とも一部を覆う熱的高抵抗部材であればよい。
【0041】前記各実施例において使用する熱的高抵抗
部材の材料としては、ステンレス鋼、銅ニッケル合金、
銅マンガン合金等の熱的高抵抗金属、または絶縁材等の
非金属でもよいが、安定化材で被覆された超伝導導体を
用いた超伝導コイルでは、安定化材と一体化させる必要
があるので、金属を用いる場合には、半田、溶接等の手
段で固着したり、安定化材の表面を酸化処理することに
よって金属酸化膜として一体に形成し、また非金属を用
いる場合には、絶縁材を接着剤で固着したり、電着等の
手段で安定化材の表面に絶縁被膜として一体に被着させ
ればよい。また、図9に示す第6の実施例のような場合
には、肉厚部4aと肉厚部4bをともに安定化材表面の
酸化処理による金属酸化膜として構成することができる
が、そのほか、まず安定化材表面の肉厚部4aを形成す
べき部分のみを酸化処理してこの部分に金属酸化膜を形
成し、その後、この金属酸化膜が形成された部分を含め
て全面に電着等の手段で絶縁被膜を形成することによ
り、肉厚部4aを金属酸化膜と絶縁被膜で、また肉薄部
4bを絶縁被膜のみで構成することもできる。
部材の材料としては、ステンレス鋼、銅ニッケル合金、
銅マンガン合金等の熱的高抵抗金属、または絶縁材等の
非金属でもよいが、安定化材で被覆された超伝導導体を
用いた超伝導コイルでは、安定化材と一体化させる必要
があるので、金属を用いる場合には、半田、溶接等の手
段で固着したり、安定化材の表面を酸化処理することに
よって金属酸化膜として一体に形成し、また非金属を用
いる場合には、絶縁材を接着剤で固着したり、電着等の
手段で安定化材の表面に絶縁被膜として一体に被着させ
ればよい。また、図9に示す第6の実施例のような場合
には、肉厚部4aと肉厚部4bをともに安定化材表面の
酸化処理による金属酸化膜として構成することができる
が、そのほか、まず安定化材表面の肉厚部4aを形成す
べき部分のみを酸化処理してこの部分に金属酸化膜を形
成し、その後、この金属酸化膜が形成された部分を含め
て全面に電着等の手段で絶縁被膜を形成することによ
り、肉厚部4aを金属酸化膜と絶縁被膜で、また肉薄部
4bを絶縁被膜のみで構成することもできる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、超伝導線または超伝導
導体の外周における他部材と接する境界部の少なくとも
一部に、外部で発熱する擾乱による入熱に対しては断熱
特性に優れ、内部で発生する擾乱による発熱に対しては
放熱特性に優れた熱的領域を設けたので、外部で発生す
る擾乱による入熱に対しては、この熱的領域の断熱特性
によって良好に断熱し、かつ内部で発生する擾乱による
発熱に対しては、この熱的領域の放熱特性によって外部
へ良好に放熱して、熱的に安定で信頼性の高い超伝導コ
イルを提供することができる。
導体の外周における他部材と接する境界部の少なくとも
一部に、外部で発熱する擾乱による入熱に対しては断熱
特性に優れ、内部で発生する擾乱による発熱に対しては
放熱特性に優れた熱的領域を設けたので、外部で発生す
る擾乱による入熱に対しては、この熱的領域の断熱特性
によって良好に断熱し、かつ内部で発生する擾乱による
発熱に対しては、この熱的領域の放熱特性によって外部
へ良好に放熱して、熱的に安定で信頼性の高い超伝導コ
イルを提供することができる。
【図1】本発明の第1の実施例に係る液体ヘリウム浸漬
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
【図2】本発明が適用される液体ヘリウム浸漬冷却方式
超伝導コイルの概略縦断面図である。
超伝導コイルの概略縦断面図である。
【図3】図1に示した超伝導コイルにおける外部擾乱の
入熱経路を示す説明図である。
入熱経路を示す説明図である。
【図4】図1に示した超伝導コイルにおける内部擾乱の
放熱経路を示す説明図である。
放熱経路を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る液体ヘリウム浸漬
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係る液体ヘリウム浸漬
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施例に係る液体ヘリウム浸漬
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施例に係る液体ヘリウム浸漬
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
【図9】本発明の第6の実施例に係る液体ヘリウム浸漬
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
冷却方式超伝導コイルの要部詳細斜視図である。
【図10】本発明の第7の実施例に係る液体ヘリウム強
制冷却方式超伝導コイルの縦断面図である。
制冷却方式超伝導コイルの縦断面図である。
【図11】従来の液体ヘリウム強制冷却方式超伝導コイ
ルの縦断面図である。
ルの縦断面図である。
1 超伝導導体 2 超伝導線 3 安定化材 4 熱的高抵抗部材 4a 肉厚部 4b 肉薄部 5 ターン間スペーサ 6 層間スペーサ 7 液体ヘリウム 9 コイル容器 10 溝 12 超伝導素線 13 コンジット 14 液体ヘリウム 15 超伝導線 16 熱的高抵抗部材
Claims (15)
- 【請求項1】 超伝導線または超伝導導体を複数回巻回
し、これを容器内に収納して構成され、かつ液体ヘリウ
ムにより冷却するようにした超伝導コイルにおいて、前
記超伝導線または超伝導導体の外周における他部材と接
する境界部の少なくとも一部に、外部で発生する擾乱に
よる入熱に対しては断熱特性に優れ、内部で発生する擾
乱による発熱に対しては放熱特性に優れた熱的領域を設
けたことを特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項2】 請求項1において、前記超伝導線または
超伝導導体は絶縁材からなるスペーサを介して巻回する
とともに液体ヘリウムに浸漬し、前記熱的領域は前記超
伝導線または超伝導導体の前記スペーサまたは前記容器
との境界部に設けたことを特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項3】 請求項2において、前記超伝導線または
超伝導導体は断面が四角形状であり、少なくともその1
つの面に前記熱的領域を設けたことを特徴とする超伝導
コイル。 - 【請求項4】 請求項3において、前記熱的領域は、断
熱特性に優れた領域と放熱特性に優れた領域が前記超伝
導線または超伝導導体の幅方向に並んで配置され、かつ
断熱特性に優れた領域が肉厚に、放熱特性に優れた領域
が肉薄に形成された熱的高抵抗部材で構成したことを特
徴とする超伝導コイル。 - 【請求項5】 請求項4において、前記熱的高抵抗部材
の肉薄に形成された部分は、液体ヘリウムの存在する切
り欠きにより構成したことを特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項6】 請求項3において、前記熱的領域は、断
熱特性に優れた領域と放熱特性に優れた領域が前記超伝
導線または超伝導導体の幅方向に並んで配置され、かつ
断熱特性に優れた領域が熱的高抵抗部材で構成され、放
熱特性に優れた領域が液体ヘリウムの存在する間隙とし
て構成されたことを特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項7】 請求項4ないし請求項6のいずれか1つ
の項において、前記熱的高抵抗部材は、前記超伝導線ま
たは超伝導導体の長手方向に連続して構成したことを特
徴とする超伝導コイル。 - 【請求項8】 請求項3において、前記熱的領域は、断
熱特性に優れた領域と放熱特性に優れた領域が前記超伝
導線または超伝導導体の長手方向において交互に、かつ
断熱特性に優れた領域が前記スペーサの位置に同期して
配置され、さらに断熱特性に優れた領域が肉厚に、放熱
特性に優れた領域が肉薄に形成された熱的高抵抗部材で
構成したことを特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項9】 請求項3において、前記熱的領域は、断
熱特性に優れた領域と放熱特性に優れた領域が前記超伝
導線または超伝導導体の長手方向において交互に、かつ
断熱特性に優れた領域が前記スペーサの位置に同期して
配置され、さらに断熱特性に優れた領域が熱的高抵抗部
材で構成され、放熱特性に優れた領域が液体ヘリウムの
存在する間隙として構成されたことを特徴とする超伝導
コイル。 - 【請求項10】 請求項1において、前記超伝導線は複
数の超伝導素線の撚られたものからなり、前記容器内を
流れる液体ヘリウムにより強制的に冷却されるように
し、かつ前記超伝導線の外周の少なくとも一部を熱的高
抵抗部材で覆ったことを特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項11】 請求項10において、前記熱的高抵抗
部材は、前記超伝導線の外周に、各ターン間に間隔を開
けた状態で、螺旋状に巻回された帯状体で構成したこと
を特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項12】 請求項4ないし請求項11のいずれか
1つの項において、前記熱的高抵抗部材は、熱的高抵抗
金属で構成したことを特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項13】 請求項4ないし請求項11のいずれか
1つの項において、前記熱的高抵抗部材は、絶縁材で構
成したことを特徴とする超伝導コイル。 - 【請求項14】 請求項8および請求項9のいずれか1
つの項において、前記超伝導導体はその外周部に安定化
材を備え、前記熱的高抵抗部材は前記安定化材の表面を
酸化処理して形成された金属酸化膜で構成したことを特
徴とする超伝導コイル。 - 【請求項15】 請求項8において、前記超伝導導体は
その外周部に安定化材を備え、前記断熱特性に優れた領
域を構成する熱的高抵抗部材の肉厚部は前記安定化材の
表面を酸化処理して形成された金属酸化膜とその上に被
着された絶縁被膜から構成し、前記放熱特性に優れた領
域を構成する熱的高抵抗部材の肉薄部は前記安定化材の
表面に被着された絶縁被膜で構成したことを特徴とする
超伝導コイル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16715894A JPH0831634A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | 超伝導コイル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16715894A JPH0831634A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | 超伝導コイル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0831634A true JPH0831634A (ja) | 1996-02-02 |
Family
ID=15844502
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16715894A Pending JPH0831634A (ja) | 1994-07-19 | 1994-07-19 | 超伝導コイル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0831634A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008244278A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導コイルおよび該超電導コイルを備えた超電導機器 |
CN107768770A (zh) * | 2017-10-12 | 2018-03-06 | 常州普莱德新能源电池科技有限公司 | 一种冷却装置 |
-
1994
- 1994-07-19 JP JP16715894A patent/JPH0831634A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008244278A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導コイルおよび該超電導コイルを備えた超電導機器 |
JP4687676B2 (ja) * | 2007-03-28 | 2011-05-25 | 住友電気工業株式会社 | 超電導コイルおよび該超電導コイルを備えた超電導機器 |
CN107768770A (zh) * | 2017-10-12 | 2018-03-06 | 常州普莱德新能源电池科技有限公司 | 一种冷却装置 |
CN107768770B (zh) * | 2017-10-12 | 2024-03-26 | 常州普莱德新能源电池科技有限公司 | 一种冷却装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2017061563A1 (ja) | 超電導コイル | |
WO2007083873A1 (en) | Superconducting cable | |
JP2001244109A (ja) | 高温超電導コイル装置 | |
US11041923B2 (en) | Directly coolable multifilament conductor | |
US6163241A (en) | Coil and method for magnetizing an article | |
US20230360830A1 (en) | Superconducting electromagnet device and cooling method of superconducting electromagnet device | |
JPH0722231A (ja) | Mri装置用超電導マグネット | |
JPH0831634A (ja) | 超伝導コイル | |
JP2015162495A (ja) | 高温超電導コイル | |
JPS61271804A (ja) | 超電導電磁石 | |
JP3120625B2 (ja) | 酸化物超電導導体 | |
CA2078608C (en) | Superconducting magnet | |
JPH0864041A (ja) | 超電導ケーブル | |
JP2000091651A (ja) | 超電導電流リード | |
JP3199782B2 (ja) | 超電導コイルの製造方法 | |
JP2019149344A (ja) | 高温超電導線材及び高温超電導コイル | |
JP2019120517A (ja) | 超伝導磁気シールド装置、及び脳磁計装置 | |
JPH01312299A (ja) | トランスファーチューブ | |
JPH07169617A (ja) | 超電導コイルの冷却構造 | |
JPH09115722A (ja) | 超電導コイル | |
JP3124987B2 (ja) | 誘導コイル | |
JPH0766048A (ja) | 静止誘導機器巻線の冷却構造 | |
JPH04291703A (ja) | 超電導装置 | |
JPS62194602A (ja) | 静止誘導器における巻線の冷却構造 | |
JP5115245B2 (ja) | 超電導電流リード |