JP2536735B2 - スク−タの収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスクータの収納装置に関するものである。

〔従来の技術〕

スクータは、椅子に腰かけるような姿勢で乗れ、婦人
や年少者でも容易に乗車できることなどから、近年、通
勤や買物など大衆の足として広く利用されている。

この種のスクータは、きわめて限られた空間にエンジ
ン、燃料タンクや電装品等の補機類といった数多くの部
品が収容されており、車体内に収納装置を設けることが
困難となっているため、品物を前かごやリヤキャリアに
積載したり、あるいはレッグシールド部に設けたトラン
クに収納するように構成されたものが一般的である。し
かし、このようなスクータでは、前かごやリヤキャリア
に積載すると品物が雨風にさらされることになる。ま
た、トランクは、足載せ台上に突出するため、荷物の大
きさに制約がある。このため、使用上の便利さから、比
較的大きな物が収納できる収納装置が要請されており、
これに応えるものとして実開昭59−26089号公報に開示
された自動二輪車がある。これは、シートの着座位置下
方に収納ボックスを設けたものである。そして、その収
納空間の略中央位置に燃料タンクが配置されていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、この公報に開示された自動二輪車では、エン
ジンならびに緩衝器を含めた補機類の上方であって、し
かも着座位置の直下に収納空間が設けられているため、
収納容量をより大きくとろうとすると着座面が高くなり
過ぎ実際的ではない。すなわち、これを低くするために
はエンジン、補機類の収容が困難となるばかりか緩衝器
のクッションストロークを確保できなくなり、高すぎる
と人間工学的に不都合な姿勢での運転が要求されること
になるからである。

また、この公報の自動二輪車のように、シート下方に
収納ボックスを設ける構造としても、収納空間の略中央
に燃料タンクがあるため、荷物収納空間と燃料タンクを
それぞれまとまった大容量とすることができないという
問題もあった。

このため、比較的大きな物を不都合なく収納でき、か
つ緩衝器やタンクなどの補機類を収容する空間を広くと
れるとともに緩衝器のクッションストロークを長くとる
ことができる収納装置の出現が要請されている。

〔課題を解決するための手段〕

本発明に係るスクータの収納装置は、シートの下方
に、シリンダを有する前部が車体フレームに連結され後
輪が一体に設けられた後端部と車体フレームとの間に緩
衝器が介装されて車体フレームに対して上下揺動自在に
支持されたユニットスイング式エンジンを配置し、前記
シートを、その前端部が中心となるように車幅方向の横
線回りに回動自在に構成し、このシートと前記ユニット
スイング式エンジンとの間に、上方に開放されかつシー
トによって開閉される収納ボックスが配設されたスクー
タにおいて、前記シリンダを水平近くまで前傾させ、前
記収納ボックスを、上方に開放されシート前部下方の車
体外形を形成する外観部材の内側に底部材を設けること
によって形成し、この収納ボックスの後方に補機類を配
置するとともに、この補機類の周囲を、上方に開放され
側部前縁が前記外観部材の後部に連なりかつ上縁が外観
部材の上縁に側面視で滑らかに連なって後上がりに傾斜
するカバーで覆い、これら外観部材およびカバーによっ
て形成される上面開口を前記シートによって開閉させ、
前記収納ボックスの後面壁を前記上面開口より低くし、
前記シートに、下方へ延びて前記後面壁の上縁に当接す
る荷重受けを設け、前記カバーで覆われた補機収容空間
に緩衝器の上端を臨ませ前記収納ボックスの底面より高
い位置に位置づけたものである。

〔作用〕

収納ボックスの周壁を車体外形を形成する外観部材に
よって形成することができるとともに、水平近くにまで
前傾されたシリンダを有するエンジン前部の上方の空間
に収納ボックスの底を配設することができる。

また、収納ボックスの後方に、収納ボックスに対して
上方へ延在されて比較的大容量の補機収容空間が設けら
れることになる。

さらに、収納ボックスと補機収容空間とが前後に並ぶ
ことから、これらはそれぞれにまとまった大容量の空間
となる。

さらにまた、シート中途部を支持する荷重受けは、シ
ート開時に収納ボックスの後面壁から上方へ取り除かれ
る。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図により詳細に説明する。
図面は本発明に係るスクータの収納装置が設けられたス
クータの側面図で、同図において符号１で示すものはス
クータを示し、このスクータ１は操向ハンドル２とシー
ト３との間に低床な略板状の足載せ台４を備えている。

５はスクータ１の前後方向に延在するフレームであ
り、前部は前記足載せ台４の下側を前方向に延在し操向
軸管に連結されている。この操向軸管には、前輪６を懸
架するフロントフォーク７が転向自在に支持されてい
る。一方、フレーム５は、前記足載せ台４の下側におい
て左右一対の管体5aに分岐され、足載せ台４の下側から
上方へ向かい、かつシート３の下方において再び後方に
向かうように屈曲されており、ユニットスイング式エン
ジン８で懸架された後輪９の上方に延在されている。

このユニットスイング式エンジン８は、水平近くにま
で前傾されたシリンダ8aを有する前部がフレーム５に回
動自在に連結され、後端に後輪９が設けられている。ま
た、このユニットスイング式エンジン８の後端部は緩衝
器8bを介してフレーム５に連結されている。なお、10は
このユニットスイング式エンジン８のキャブレター、10
aはキャブレター10の上流側に接続されたエアクリーナ
である。

そして、前記足載せ台４の下側において分岐された左
右一対の管体5aは低い位置で後方に屈曲され、この管体
5aの上方であってシート３の前部下方に本発明に係る収
納ボックスの一部を構成する底部材11が収容されてい
る。この底部材11は繊維強化樹脂材から上方に開放され
た箱形状に形成されている。また、12は管体5a間に逆Ｕ
字状に掛け渡されたシート支持フレームである。

13はシート３の下方に配され、前記フレーム５やユニ
ットスイング式エンジン８などを被覆するサイドカバー
であり、フレーム５に図示しないブラケット等を介して
固定されている。このサイドカバー13によって、シート
３の下方の車体外形が形成されている。

サイドカバー13は、分割部14において前部カバー13a
と、後部カバー13bとに分割されている。これら両カバ
ー13a,13bは互いに平面視円弧状に形成され、互いに向
き合うように係合されている。そして、前部カバー13a
は前記底部材11の周囲を前方から覆っており、底部材11
に対向した上部が開放されている。また、前記後部カバ
ー13bは、上方に開放され側部前縁が前記前部カバー13a
の後部側縁に連なりかつ上縁が前部カバー13aの上縁に
側面視で滑らかに連なって後上がりに傾斜している。な
お、前部カバー13aは、その上縁が途中から後上がりに
傾斜されている。

すなわち、このサイドカバー13の前部と前記底部材11
とで収納ボックスが形成され、その収納ボックスはシー
ト３の前部下方に配設されることになる。そして、サイ
ドカバー13内前部には、前部カバー13aによって底部材1
1の上方にその周囲に斜線を施して示す収納空間Ｓが形
成されている。この前部カバー13aが本発明に係る外観
部材を構成している。

なお、前部カバー13aは、底部材11よりも後方にまで
延設されており、平面視円弧状に形成された後部カバー
13bに分割部14で係合されている。換言すれば、サイド
カバー13は収納空間Ｓよりも後方において前後に分割さ
れている。さらに、前部カバー13aの内側にはスポンジ
等の緩衝材（図示せず）が貼着されて荷物の保護を図っ
ており、前記底部材11は側方に突出された縁部をこの緩
衝材に圧接させるように取付けられている。このため、
底部材11は、後輪９が巻き上げた泥水の上方への飛散を
防止する泥よけとしても機能している。

16は前部カバー13aに形成されたメンテナンス用開口
を開閉自在に閉塞するメンテナンス用の蓋体である。

前記シート３は底板17と、この底板17上に設けられた
スポンジ等の緩衝材18などからなり、前記サイドカバー
13の上部の開口15、すなわち前記前部カバー13aの上縁
と、この上縁に滑らかに連なる後部カバー13bの上縁か
らなる上面開口を閉塞している。そして、サイドカバー
13内前部に底部材11、サイドカバー13およびシート３で
囲繞された収納空間Ｓを形成するように下側の前端部3a
が枢着されている。すなわち、シート３は下側の前端部
3aが枢着されてこの前端部3aが中心となるように車幅方
向の軸線回りに回動自在に取付けられている。

また、このシート３の底板17には、車幅方向に延在し
前記収納空間Ｓの後方を閉塞する隔壁19が、シート３を
支持する荷重受け19aとともに一体に立設されている。
前記荷重受け19aは、図面に示すように、前記底板17か
ら下方へ延び、収納ボックスにおける車体後側の後面壁
11aの上縁に支承されている。また、前記後面壁11aは、
上縁が前記サイドカバー13の開口15より低くなるように
形成されている。

20はオイルタンクで、このオイルタンク20は前記収納
ボックスの後方であって前記後部カバー13bで覆われた
補機収容空間Ｈ内に配置されている。この補機収容空間
Ｈには前記緩衝器8bを臨ませている。なお、前記緩衝器
8bの上端は、前記収納ボックスの底面より高い位置に位
置づけられている。

このように構成されたスクータの収納装置において
は、シート３の下方で最も外側に位置するサイドカバー
13を周壁として収納ボックスを形成したので、収納ボッ
クスの開口をシート幅いっぱいまで拡げることができ
る。その上、シリンダ8aが水平近くにまで前傾されたユ
ニットスイング式エンジン８を採用しているので、収納
ボックスの底をエンジン前部の上方の広い空間に配設し
て低くすることができる。

したがって、シート３の下方の空間を水平方向および
上下方向に最大限に利用して収納ボックスを構成できる
から、容量が大きくかつ開口が広く荷物を出し入れし易
い収納ボックスが得られる。

また、収納ボックスの後方に緩衝器8bやオイルタンク
20等の補機類を並べて配置し、補機類の周囲を、収納ボ
ックスの周壁を形成する前部カバー13aに連なり上部が
後上がりに傾斜するカバー（後部カバー13b）で覆った
から、収納ボックスの後方に、収納ボックスに対して上
方へ延在されて比較的大容量の補機収容空間Ｈが設けら
れることになる。このため、互いに大容量の収納ボック
スと補機収容空間とをそれぞれ一つにまとまった状態で
前後に配設することができる。

しかも、補機収容空間Ｈを広く確保するに当たりこれ
を収納ボックスよりも上方へ延在させているので、収納
ボックスの後方に大容量の補機収容空間Ｈを確保するに
当たって、開口15における収納ボックスに対応する部分
が相対的に低く位置づけられることになる。この点から
も荷物の出し入れ性を高めることができる。これととも
に、車体が前後方向に大型化することもない。

そして、この上下に広い補機収容空間Ｈに緩衝器8bを
臨ませてこの緩衝器8bの上端を前記収納ボックスの底面
より高い位置に位置づけたため、緩衝器8bのクッション
ストロークも大きく確保することができる。

加えて、サイドカバー13の分割部14を収納空間Ｓから
離間させ、雨水や塵埃が分割部14からサイドカバー13内
に浸入するようなことがあっても、収納空間Ｓに浸入し
にくくすることができる。そのため、前記分割部14を複
雑な防水，防塵構造とすることなく、雨水や塵埃が収納
空間Ｓに浸入するのを防止することができる。

その上、収納ボックスの周壁を形成する前部カバー13
aの上縁を、収納ボックスの前後方向途中となる部分か
ら後上がりに傾斜させたので、収納ボックスの上部開放
部分は前後の長さが同じであればこれを略水平に形成し
た場合に較べて開口面積が大きくなる。すなわち、荷物
を出し入れし易くなる。

また、収納ボックスの後面壁11aをサイドカバー13の
開口15より低く形成してこの後面壁11aの上縁にシート
３側の荷重受け19aを支承させたので、収納ボックスを
開けると、荷重受け19aが収納ボックスの後面壁11aの上
方へ取り除かれ、収納ボックスの上部はこれより車体後
方へも開放されるようになる。

すなわち、収納ボックス上部の開放部分は、収納ボッ
クスの周壁を外観部材で形成することに起因して車幅方
向へ広いばかりか、車体の後方へも広いので、荷物を出
し入れし易い。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係るスクータの収納装置
は、シートの下方に、シリンダを有する前部が車体フレ
ームに連結され後輪が一体に設けられた後端部と車体フ
レームとの間に緩衝器が介装されて車体フレームに対し
て上下揺動自在に支持されたユニットスイング式エンジ
ンを配置し、前記シートを、その前端部が中心となるよ
うに車幅方向の軸線回りに回動自在に構成し、このシー
トと前記ユニットスイング式エンジンとの間に、上方に
開放されかつシートによって開閉される収納ボックスが
配設されたスクータにおいて、前記シリンダを水平近く
まで前傾させ、前記収納ボックスを、上方に開放されシ
ート前部下方の車体外形を形成する外観部材の内側に底
部材を設けることによって形成したため、収納ボックス
の周壁を車体外形を形成する外観部材によって形成する
ことができるとともに、水平近くにまで前傾されたシリ
ンダを有するエンジン前部の上方の空間に収納ボックス
の底を配設して低くすることができる。

したがって、シート下方の空間を水平方向および上下
方向に最大限に利用して収納ボックスを構成できるか
ら、シート前部の着座面の高さを低くしながらシートの
下方に大容量の収納ボックスを配置することができる。
しかも、この収納ボックスは周壁が外観部材であるの
で、その開口が可及的に広くなり荷物を出し入れし易
い。

また、収納ボックスの後方に補機類を並べて配置する
とともに、この補機類の周囲を、前記収納ボックスの周
壁を形成する外観部材に連なりかつ上部が後上がりに傾
斜するカバーで覆ったため、収納ボックスの後方に上方
へ延在されて比較的大容量の補機収容空間が設けられる
ことになる。このため、互いに大容量の収納ボックスと
補機収容空間とがそれぞれ一つにまとまった状態で前後
に配設されることになる。すなわち、収納ボックスと補
機収容空間とが前後に並ぶことから、これらのそれぞれ
を一つにまとめて大容量とすることができる。

しかも、補機収容空間を形成するカバーを、上方に開
放された側部前縁が前記外観部材の後部に連なりかつ上
縁が前記外観部材の上縁に側面視で滑らかに連なって後
上がりに傾斜するように形成したので、収納ボックスの
開口が相対的に低く位置づけられることになる。この点
からも荷物の出し入れ性を高めることができる。

そして、この上下に広い補機収容空間に緩衝器を臨ま
せてこの緩衝器の上端を前記収納ボックスの底面より高
い位置に位置づけたため、緩衝器のクッションストロー
クも大きく確保することができる。

加えて、前記外観部材およびカバーによって形成され
る上面開口をシートによって開閉する構成を採り、収納
ボックスの後面壁を前記上面開口より低くし、前記シー
トに、下方へ延びて前記後面壁の上縁に当接する荷重受
けを設けたため、収納ボックスを開けると、シートの荷
重受けが収納ボックスの後面壁の上方へ取り除かれ、収
納ボックス上部の開放部分はこれより車体後方へも開放
されるようになる。

したがって、収納ボックス上部の開放部分は、収納ボ
ックスの周壁を外観部材で形成することに起因して車幅
方向へ広いばかりか、車体の後方へも広いことから、荷
物をより一層出し入れし易くなる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係るスクータの収納装置が設けられたス
クータの側面図である。 ３……シート、５……フレーム、８……ユニットスイン
グ式エンジン、8a……シリンダ、8b……緩衝器、11……
底部材、11a……後面壁、13……サイドカバー、13a……
前部カバー、13b……後部カバー、14……分割部、19a…
…荷重受け、20……オイルタンク。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シートの下方に、シリンダを有する前部が
   車体フレームに連結され後輪が一体に設けられた後端部
   と車体フレームとの間に緩衝器が介装されて車体フレー
   ムに対して上下揺動自在に支持されたユニットスイング
   式エンジンを配置し、前記シートを、その前端部が中心
   となるように車幅方向の軸線回りに回動自在に構成し、
   このシートと前記ユニットスイング式エンジンとの間
   に、上方に開放されかつシートによって開閉される収納
   ボックスが配設されたスクータにおいて、前記シリンダ
   を水平近くまで前傾させ、前記収納ボックスを、上方に
   開放されシート前部下方の車体外形を形成する外観部材
   の内側に底部材を設けることによって形成し、この収納
   ボックスの後方に補機類を配置するとともに、この補機
   類の周囲を、上方に開放され側部前縁が前記外観部材の
   後部に連なりかつ上縁が外観部材の上縁に側面視で滑ら
   かに連なって後上がりに傾斜するカバーで覆い、これら
   外観部材およびカバーによって形成される上面開口を前
   記シートによって開閉させ、前記収納ボックスの後面壁
   を前記上面開口より低くし、前記シートに、下方へ延び
   て前記後面壁の上縁に当接する荷重受けを設け、前記カ
   バーで覆われた補機収容空間に緩衝器の上端を臨ませ前
   記収納ボックスの底面より高い位置に位置づけたことを
   特徴とするスクータの収納装置。