JP2582322B2 - スクータの収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はスクータの収納装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】スクータは、椅子に腰かけるような姿勢
で乗れ、婦人や年少者でも容易に乗車できることなどか
ら、近年、通勤や買物など大衆の足として広く利用され
ている。

【０００３】この種のスクータは、きわめて限られた空
間にエンジン、補機類、電装品等多くの部品が収容され
ており、車体内に収納装置を設けることが困難となって
いるため、品物を前かごやリヤキャリアに積載したり、
あるいはレッグシールド部に設けたトランクに収納する
ように構成されたものが一般的である。

【０００４】しかし、このようなスクータでは、前かご
やリヤキャリアに積載すると品物が雨風にさらされるこ
とになる。また、トランクは、足載せ台上に突出するた
め、収納物の大きさに制約がある。このため、使用上の
便利さから、比較的大きな物が収納できる収納装置が要
請されており、これに応えるものとして実開昭５９−２
６０８９号公報に開示された自動二輪車がある。これ
は、シートの着座位置下方に収納空間を設けたものであ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような構
造では、エンジンならびにその補機類の上方であって、
しかも着座位置の直下に収納空間が設けられているた
め、収納容量をより大きくとろうとすると着座面が高く
なり過ぎ実際的ではない。すなわち、これを低くするた
めにはエンジン、補機類の収容が困難となり、高すぎる
と人間工学的に不都合な姿勢での運転が要求されること
になるからである。このため、比較的大きな物を不都合
なく収納できる収納装置の出現が要請されている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係るスクータの
収納装置は、ハンドルとシートとの間に低床な略板状の
足載せ台を備え、前記シートの下方に、後端に後輪を支
持したユニットスイング式エンジンと、このシートの下
方周囲を覆って上面が開口しかつ前面下縁が前記足載せ
台に連なり後面が後下がりにシート後方へ延在するサイ
ドカバーとを配設し、前記シートを前端を支点にして上
下方向に回動自在に構成することによって、前記サイド
カバーの上面開口を開閉するように構成したスクータに
おいて、前記シートに、略水平方向に延びる着座部と、
この着座部の後側に一体に設けられるとともに後輪前縁
付近の上方となる位置から斜め上後方に立上げられて上
縁がハンドル高さ付近に達する起立部とを設け、前記サ
イドカバーの開口縁後部を前記起立部に沿わせて斜め上
後方に立上げ、このサイドカバー内に、前記斜め上後方
に傾斜した開口からシート後方へ後下がりに延びるサイ
ドカバー後面の内側 に延在する荷物収納空間を設けると
ともに、前記シート起立部の緩衝材の厚みを着座部より
薄くしたものである。

【０００７】

【作用】荷物収納空間は、シート着座部に対して後上方
へ延在するように形成される。また、サイドカバー開口
縁を後上がりに傾斜させて荷物収納空間の開口を形成し
たので、開口面積が大きくなる。さらに、シート起立部
の緩衝材が薄くされ、また、シート後方へ後下がりに延
びるサイドカバー後面の内側に荷物収納空間が延在す
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１ないし図４に
よって詳細に説明する。図１は本発明に係るスクータの
収納装置が設けられたスクータの要部を示す縦断面図、
図２は同じく横断面図、図３は収納装置が設けられたス
クータを示す平面図、図４は同じく側面図で、これらの
図において符号１で示すものはスクータを示し、このス
クータ１は操向ハンドル２とシート３との間に低床な略
板状の足載せ台４を備えている。

【０００９】５はスクータ１の前後方向に延在するフレ
ームであり、前部は前記足載せ台４の下側を前方向に延
在し図示しない操向軸管が設けられている。この操向軸
管には、前輪６を懸架するフロントフォーク７が転向自
在に支持されている。一方、フレーム５の後部は足載せ
台４の下側から上方へ向かい、かつシート３前部の下方
において再び後方に向かうように屈曲されており、ユニ
ットスイング式エンジン８で懸架された後輪９の上方に
延在されている。

【００１０】前記フレーム５の後輪９上方に延在する部
分は、平行に配された一対の管体５ａ，５ａから形成さ
れている。この管体５ａ，５ａ上には、下側に前記後輪
９の上方を被覆する円弧状の泥よけ１０が取付けられ、
上側に管体５ａ，５ａの両側方に突出する底部材１１が
取付けられている。

【００１１】この底部材１１は繊維強化樹脂材から上方
に開放された箱形状に形成され、深さｈの周壁１１ａを
有している。また、底部には前記管体５ａ，５ａ間に係
入する段差部１１ｂが形成され、周壁１１ａの縁部１１
ｃは側方に突出されている。１２は管体５ａ，５ａの後
端に取付けられたテールライトである。

【００１２】１３はシート３の下方に配され、前記フレ
ーム５やユニットスイング式エンジン８などを被覆する
サイドカバーである。このサイドカバー１３は、樹脂材
等から左右に分割して成形され、前記シート３の下方周
囲を覆って上面が開口する構造になっており、フレーム
５に図示しないブラケット等を介して固定されている。
前記上面開口を符号１４で示す。なお、このサイドカバ
ー１３の前面下縁は、図４に示すように前記足載せ台４
に連なっている。 このような構成を採ることにより、こ
のサイドカバー１３の内方、すなわちシート３の下方
に、前記底部材１１によって後輪９側とは画成された荷
物収納空間Ｓが形成されることになる。

【００１３】サイドカバー１３は、前記底部材１１の周
囲に延在する後部周壁１３ａが底部材１１の上方にまで
延設されており、上部開口１４における底部材１１に対
向する部位が斜め上後方に立上がるように傾斜されてい
る。この傾斜部分を図１において符号１４ａで示す。す
なわち、サイドカバー１３は、着座位置より後方におい
てその上縁が後上がりに傾斜するように形成されてお
り、底部材１１に対向する部分の周縁が上方に延設され
ている。また、このサイドカバー１３の前記後部周壁１
３ａは、図１に示すように、後面が後下がりにシート後
方へ延在している。すなわち、このサイドカバー１３の
後部と前記底部材１１とによって形成された荷物収納空
間Ｓは、前記開口１４の傾斜部分１４ａからシート後方
へ延在することになる。

【００１４】前記シート３は、底板１５とこの底板１５
上に設けられたスポンジ等の緩衝材１６などからなり、
前記サイドカバー１３の上部の開口１４を閉塞し、サイ
ドカバー１３内に底部材１１、サイドカバー１３および
シート３の後部で囲繞された荷物収納空間Ｓを形成する
ように前後方向に長く形成されている。また、このシー
ト３は、後部がサイドカバー１３の上面開口１４におけ
る前記傾斜部分１４ａに対向できるように後方にまで延
設され、下側の前端部３ａを中心として上下方向に回動
できる構造になっている。すなわち、前記サイドカバー
１３の上面開口１４がシート３によって開閉されるよう
な構成を採っている。

【００１５】また、シート３は、略水平方向に延びる着
座部３Ａと、この着座部３Ａの後側に一体に形成されて
上方に立上げられた起立部３Ｂとが設けられている。こ
の起立部３Ｂは、着座部３Ａの着座位置よりも一段高く
形成され、しかも、緩衝材１６が減らされている。ま
た、底板１５における前記起立部３Ｂと対応する部分に
は、上方に凹陥する凹陥部１５ａが形成されている。こ
の凹陥部１５ａにより、前記荷物収納空間Ｓの容量の増
大がはかられている。ここで、シート３とサイドカバー
１３の後部の構成をさらに詳細に説明する。シート３の
前記起立部３Ｂは、後輪前縁付近の上方となる位置から
斜め上後方に立上げられて上縁がハンドル高さ付近に達
するように形成されている。また、前記サイドカバー１
３における上面開口１４の前記傾斜部分１４ａは、前記
起立部３Ｂに沿わせて斜め上後方に立上げられている。
さらに、シート３の起立部３Ｂに設けた緩衝材１６は、
図１に示すように、着座部３Ａより薄くなるように形成
されている。

【００１６】１７はサイドカバー１３の内側に貼着され
たスポンジ等の緩衝材で、収納物の保護をはかってお
り、前記底部材１１は側方に突出された縁部１１ｃをこ
の緩衝材１７に圧接させるように取付けられている。こ
のため、底部材１１は、泥水の上方への飛散を防止する
泥よけとしても機能している。

【００１７】１８および１９は、シート３の着座位置下
方に配設された燃料タンクおよびバッテリで、サイドカ
バー１３と底板１５との間に形成された空間に収容され
ている。バッテリ１９はシート３の前端部３ａに近接し
て取付けられている。燃料タンク１８は、バッテリ１９
と底部材１１との間に、図示しないオイルタンクと並列
に取付けられている。

【００１８】なお、サイドカバー１３の後部周壁１３ａ
は肉厚を厚くしたりすることなどにより、所要な強度が
得られている。

【００１９】このように構成されたスクータの収納装置
においては、サイドカバー１３の後部と底部材１１とに
よってシート下方に荷物収納空間Ｓが形成される。そし
て、シート３の着座部３Ａより後側に起立部３Ｂを設
け、この起立部３Ｂと後輪９との間に前記荷物収納空間
Ｓを配設したため、シート３の着座面が高くなることな
く収納空間の容量を大きくとることができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係るスクー
タの収納装置は、ハンドルとシートとの間に低床な略板
状の足載せ台を備え、前記シートの下方に、後端に後輪
を支持したユニットスイング式エンジンと、このシート
の下方周囲を覆って上面が開口しかつ前面下縁が前記足
載せ台に連なり後面が後下がりにシート後方へ延在する
サイドカバーとを配設し、前記シートを前端を支点にし
て上下方向に回動自在に構成することによって、前記サ
イドカバーの上面開口を開閉するように構成したスクー
タにおいて、前記シートに、略水平方向に延びる着座部
と、この着座部の後側に一体に設けられるとともに後輪
前縁付近の上方となる位置から斜め上後方に立上げられ
て上縁がハンドル高さ付近に達する起立部とを設け、前
記サイドカバーの開口縁後部を前記起立部に沿わせて斜
め上後方に立上げ、このサイドカバー内に、前記斜め上
後方に傾斜した開口からシート後方へ後下がりに延びる
サイドカバー後面の内側に延在する荷物収納空間を設け
たため、荷物収納空間は、シート着座部に対して後上方
へ延在するように形成される。

【００２１】したがって、大きな荷物を収納できる大容
量の荷物収納空間を、シートの着座 部をむやみに高く形
成したり、クッション性を左右するシート着座部の緩衝
材を減らすことなくシート下方に設けることができる。
また、サイドカバー開口縁を後上がりに傾斜させて荷物
収納空間の開口を形成したので、開口面積を大きくとる
ことができ、荷物を出し入れし易いという効果もある。
さらに、着座部の後側に起立部が設けられたシートを、
前端を支点として回動自在に構成したので、支点が低く
なって開閉操作を行うときの負担が少なくてよいという
効果もある。

【００２２】加えて、シートの起立部の緩衝材が薄くさ
れ、また、シート後方へ後下がりに延びるサイドカバー
後面の内側に荷物収納空間を延在させたので、車体が大
型化したり着座部の前後長が短くなることなく荷物収納
空間を広くとることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るスクータの収納装置が設けられ
たスクータの要部を示す縦断面図である。

【図２】 本発明に係るスクータの収納装置が設けられ
たスクータの要部を示す横断面図である。

【図３】 収納装置が設けられたスクータを示す平面図
である。

【図４】 収納装置が設けられたスクータを示す側面図
である。

【符号の説明】

３…シート、５…フレーム、５ａ…管体、８…ユニット
スイング式エンジン、９…後輪、１１…底部材、１３…
サイドカバー、１３ａ…後部周壁、１４…上面開口、１
４ａ…傾斜部分、Ｓ…荷物収納空間。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドルとシートとの間に低床な略板状
   の足載せ台を備え、前記シートの下方に、後端に後輪を
   支持したユニットスイング式エンジンと、このシートの
   下方周囲を覆って上面が開口しかつ前面下縁が前記足載
   せ台に連なり後面が後下がりにシート後方へ延在するサ
   イドカバーとを配設し、前記シートを前端を支点にして
   上下方向に回動自在に構成することによって、前記サイ
   ドカバーの上面開口を開閉するように構成したスクータ
   において、前記シートに、略水平方向に延びる着座部
   と、この着座部の後側に一体に設けられるとともに後輪
   前縁付近の上方となる位置から斜め上後方に立上げられ
   て上縁がハンドル高さ付近に達する起立部とを設け、前
   記サイドカバーの開口縁後部を前記起立部に沿わせて斜
   め上後方に立上げ、このサイドカバー内に、前記斜め上
   後方に傾斜した開口からシート後方へ後下がりに延びる
   サイドカバー後面の内側に延在する荷物収納空間を設け
   るとともに、前記シート起立部の緩衝材の厚みを着座部
   より薄くしたことを特徴とするスクータの収納装置。