JPH0825491B2 - スク−タの収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスクータの収納装置に関するものである。

〔従来の技術〕

スクータは、椅子に腰かけるような姿勢で乗れ、婦人
や年少者でも容易に乗車できることなどから、近年、通
勤や買物など大衆の足として広く利用されている。

この種のスクータは、きわめて限られた空間にエンジ
ン、補機類、電装品等多くの部品が収容されており、車
体内に収納装置を設けることが困難となっているため、
品物を前かごやリヤキャリアに積載したり、あるいはレ
ッグシールド部に設けたトランクに収納するように構成
されたものが一般的である。しかし、このようなスクー
タでは、前かごやリヤキャリアに積載すると品物が雨風
にさらされることになる。また、トランクは、足載せ台
上に突出するため、収納物の大きさに制約がある。

このため、使用上の便利さから、比較的大きな物が収
納できる収納装置が要請されており、これに応えるもの
として実開昭59-26089号公報に開示された自動二輪車が
ある。これは、シートの着座位置下方に収納空間を設け
たものである。そして、その収納空間内に燃料タンクが
配置されていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、この公報に開示された自動二輪車は、収納空
間の内部に燃料タンクが配置されていたため、収納空間
および燃料タンク設置空間のそれぞれにまとまった空間
が得られなかった。

また、収納物が燃料タンクの注油口等に触れて汚れた
り、燃料の臭いが収納物に付着したりしやすいという問
題もあった。

〔課題を解決するための手段〕

本発明に係るスクータの収納装置は、シート下方のサ
イドカバー内に、上面が開口されてこの開口がシートに
よって開閉される荷物収納箱と、液体タンクとを前後に
配置し、前記シートの底板に、このシートの車体幅方向
に延在しかつ前記荷物収納箱における液体タンク側の縦
壁の上縁付近に向かって下方へ延びる仕切壁を一体成形
し、この仕切壁と前記荷物収納箱の縦壁とによって荷物
収納空間と液体タンク収容空間とを画成したものであ
る。

〔作用〕

荷物収納空間は仕切壁によって液体タンクと画成され
る。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図により詳細に説明する。
第１図は本発明に係るスクータの収納装置が設けられた
スクータの要部を示す縦断面図、第２図は同じく横断面
図、第３図は収納装置が設けられたスクータを示す平面
図、第４図は同じく側面図である。これらの図において
符号１で示すものはスクータを示し、このスクータ１は
操向ハンドル２とシート３との間に低床な略板状の足載
せ台４を備えている。５はスクータ１の前後方向に延在
するフレームであり、前記は前記足載せ台４の下側を前
方向に延在し図示しない操向軸管が設けられている。こ
の操向軸管には、前輪６を懸架するフロントフォーク７
が転向自在に支持されている。一方、フレーム５の後部
は足載せ台４の下側から上方へ向かい、かつシート３前
部の下方において再び後方に向かうように屈曲されてお
り、ユニットスイング式エンジン８で懸架された後輪９
の上方に延在されている。

前記フレーム５の後輪９上方に延在する部分は、平行
に配された一対の管体5a,5aから形成されている。この
管体5a,5a上には、下側に前記後輪９の上方を被覆する
円弧状の泥よけ10が取付けられ、上側に管体5a,5aの両
側方に突出するように荷物収納箱11が取付けられてい
る。この荷物収納箱11は繊維強化樹脂材から上方に開放
された箱形状に形成され、深さｈの周壁11aを有してい
る。また、底部には前記管体5a,5a間に係入する段差部1
1bが形成され、周壁11aの縁部11cは側方に突出されてい
る。また、11dはこの荷物収納箱11の開口である。12は
管体5a,5aの後端に取付けられたテールライトである。

13はシート３の下方に配され、前記フレーム５やユニ
ットスイング式エンジン８などを被覆するサイドカバー
である。このサイドカバー13は、樹脂材等から左右に分
割して成形され、フレーム５に図示しないブラケット等
を介して固定されている。サイドカバー13は、前記荷物
収納箱11の周囲に延在する後部周壁13aが荷物収納箱11
の上方にまで、かつ着座位置より後方においてその上縁
が後上がりに傾斜するように延設されており、荷物収納
箱11に対向した上部は上方に向けて開放されてそこに荷
物出し入れ口14が形成されている。換言すれば、サイド
カバー13は後部の荷物収納箱11に対向する部分に荷物出
し入れ口14が形成され、この荷物出し入れ口14を形成し
ている周縁が上方にかつ後上がりに傾斜するように延設
されている。

すなわち、このサイドカバー13の後部と前記荷物収納
箱11とで荷物収納空間Ｓが形成されている。そして、こ
の荷物収納空間Ｓはシート３の下方に配設されることに
なる。

前記シート３は、底板15とこの底板15上に設けられた
スポンジ等の緩衝材16などからなり、前記サイドカバー
13の上部の荷物出し入れ口14を閉塞し、サイドカバー13
内に荷物収納箱11、サイドカバー13およびシート３の後
部で囲繞された荷物収納空間Ｓを形成するように前後方
向に長く形成されている。すなわち、シート３は後部が
荷物出し入れ口14に対向できるように後方にまで延設さ
れ、下側の前端部3aが枢着されることによって開閉自在
に取付けられている。

シート３の後部は乗員が着座する前部よりも一段高く
形成され、しかも、緩衝材16が減らされており、底板15
の前記荷物出し入れ口14に対向した部分に、上方に凹陥
し緩衝材16が設けられない凹陥部15aが形成されてい
る。この凹陥部15aにより、前記荷物収納空間Ｓの容量
の増大がはかられている。17はサイドカバー13の内側に
貼着されたスポンジ等の緩衝材で、収納物の保護をはか
っており、前記荷物収納箱11は側方に突出された縁部11
cをこの緩衝材17に圧接させるように取付けられてい
る。このため、荷物収納箱11は、泥水の上方への飛散を
防止する泥よけとしても機能している。

18および19は、シート３の着座位置下方に配設された
燃料タンクおよびバッテリで、サイドカバー13と底板15
との間に形成された空間に収容されている。バッテリ19
はシート３の前端部3aに近接して取付けられている。燃
料タンク18は、バッテリ19と荷物収納箱11との間に、図
示しないオイルタンクと並列に取付けられている。

なお、前記燃料タンク18とオイルタンクは、前記荷物
収納空間Ｓの前方に形成された液体タンク収容空間に収
容されている。

23は荷物収納空間Ｓの前方を閉塞し荷物収納空間Ｓの
壁面を構成する仕切壁としての仕切板である。この仕切
板23は、シート３の底板15に一体成形され、荷物収納空
間Ｓと燃料タンク18との間で車体幅方向に延在されかつ
荷物収納箱11の燃料タンク18側となる前側縦壁に向かっ
て下方へ延びている。そして、この仕切板23は、前記荷
物収納空間Ｓと、シート３着座位置下方の燃料タンク18
等が収容された液体タンク収容空間とを、荷物収納箱11
の前記前側縦壁と協働して画成している。

20はこの仕切板23の途中に設けられ、シート３を支承
する一対の支承部材で、先端にはダンパ21が取付けられ
ており、このダンパ21を介して荷物収納箱11の前端縁に
一体に設けられた支承部22に当接されている。

なお、サイドカバー13の後部周壁13aは肉厚を厚くし
たりすることなどにより、所要な強度が得られている。

このように構成されたスクータの収納装置において
は、シート下方の荷物収納空間Ｓと液体タンク収容空間
とを荷物収納箱11の縦壁と仕切板23とで画成したので、
荷物収納空間Ｓに収納された収納物は、燃料タンク18や
オイルタンクに触れたり、燃料の臭いが付着したりする
ことがない。

したがって、シート３の下方に収納物が汚れることの
ない荷物収納空間Ｓが得られる。

また、荷物収納空間Ｓと燃料タンク18,オイルタンク
等の液体タンクとを前後に配置したので、荷物収納空間
Ｓおよび液体タンク収容空間としてそれぞれまとまった
空間が得られる。しかも、重量が変わる液体タンクと収
納空間を上下に配置する場合に較べて、重心の上下移動
が少なく抑えられる。

さらに、サイドカバー13の後部周壁13aを着座位置よ
り後方において後上がりに傾斜するようにしているか
ら、荷物収納空間Ｓの容量を大きくすることができる。

さらにまた、荷物収納空間Ｓは、シート３の着座位置
の後方に形成されているので、運転位置を高くする必要
がなく、安定した姿勢を維持することができ、安定した
位置に物が収納できる。その結果、スクータ１の走行性
が損なわれるようなことがない。

加えて、荷物収納空間Ｓの前方を閉塞する仕切板23を
シート３に立設しているから、荷物を出入れするために
第１図中鎖線で示すようにシート３を開くと同時に仕切
板23を取払うことができる。したがって、荷物収納箱11
の上部空間が広く開放される。実施例では、図中ｌで示
すように、荷物を出入れする開口部の前後方向の長さが
長くなってその形状を大きくすることができる。また、
この仕切板23はシート３の底板15に一体成形されたもの
であるから、それが実質的にシート３の補強用リブとな
る。このため、下方に荷物収納箱11や燃料タンク18等を
収容する関係から前後に長くなりがちなシート３の剛性
を高めることができ、その分底板15を薄肉に形成するこ
とができて荷物収納空間Ｓの収納容量を大きくとること
ができる。その上、底板15は乗員がシート３に着座する
ことによる撓みが少なくなるので、荷物収納空間Ｓとそ
の周囲の空間とを確実に画成することができる。

しかも、仕切壁23を底板15に一体成形すると、荷物収
納空間Ｓと液体タンク収容空間を画成するに当たって部
品点数が増えることもない。

なお、上記実施例においては、支承部材20でシート３
を支承しているが、仕切板23を厚くするなどして所要な
強度を得れば、この仕切板23で支承することもできる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係るスクータの収納装置
は、シート下方のサイドカバー内に、上面が開口されて
この開口がシートによって開閉される荷物収納箱と、液
体タンクとを前後に配置し、前記シートの底板に、この
シートの車体幅方向に延在しかつ前記荷物収納箱におけ
る液体タンク側の縦壁の上縁付近に向かって下方へ延び
る仕切壁を一体成形し、この仕切壁と前記荷物収納箱の
縦壁とによって荷物収納空間と液体タンク収容空間とを
画成したため、荷物収納空間に収納された収納物は、液
体タンクに触れたり、燃料等の臭いが付着したりするこ
とがない。

したがって、シートの下方に収納物が汚れることのな
い荷物収納空間が得られる。

また、荷物収納空間と液体タンクとを前後に配置した
ため、荷物収納空間と液体タンク収容空間としてそれぞ
れまとまった空間が得られる。しかも、重心の上下移動
が少なく抑えられる。

さらに、仕切壁をシートの底板に一体成形したので、
荷物を出入れするためにシートを開くと同時に仕切壁を
取払うことができ、荷物収納箱の上部空間が広く開放さ
れる。このため、荷物の出し入れが容易である。その
上、仕切壁が実質的にシートの補強用リブとなってシー
トの剛性を高めることができるから、シートの底板を薄
肉に形成することができ、その分荷物収納空間の収納容
量を大きくとることができる。その上、シートの底板は
乗員がシートに着座することによる撓みが少なくなるの
で、荷物収納空間とその周囲の空間とを確実に画成する
ことができる。しかも、仕切壁をシートの底板に一体成
形すると、荷物収納空間と液体タンク収容空間を画成す
るに当たって部品点数が増えることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るスクータの収納装置が設けられた
スクータの要部を示す縦断面図、第２図は同じく横断面
図、第３図は収納装置が設けられたスクータを示す平面
図、第４図は同じく側面図である。 ３……シート、５……フレーム、5a……管体、８……ユ
ニットスイング式エンジン、９……後輪、11……荷物収
納箱、11d……開口、13……サイドカバー、13a……後部
周壁、14……荷物出し入れ口、23……仕切板、Ｓ……荷
物収納空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シート下方のサイドカバー内に、上面が開
   口されてこの開口がシートによって開閉される荷物収納
   箱と、液体タンクとを前後に配置し、前記シートの底板
   に、このシートの車体幅方向に延在しかつ前記荷物収納
   箱における液体タンク側の縦壁の上縁付近に向かって下
   方へ延びる仕切壁を一体成形し、この仕切壁と前記荷物
   収納箱の縦壁とによって荷物収納空間と液体タンク収容
   空間とを画成したことを特徴とするスクータの収納装
   置。