JP2521457Y2 - クライミングクレーンの下部支持台 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、高層建物の鉄骨工事
などに用いるクライミングクレーンに関し、特に、鉄骨
工事の進行に伴ってクレーンを逐次上方へ設置し替える
ための下部支持台に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば特公昭５０−３９３０９号（Ｂ６
６Ｃ ２３／３２）や実開平１−１５２９９０号公報な
どに見られるように、高層建物の鉄骨工事には一般に次
のようなクライミングクレーンが用いられている。この
種のクライミングクレーンは、垂直に配置されるマスト
と、このマストをガイドとしてこれに沿って移動自在に
組み合わされるクレーン本体ベースとを備える。クレー
ン本体ベースとマストとはジャッキ機構などによるクラ
イミング駆動手段で連結されている。また、マストの下
端には、鉄骨階層構造体にクレーン全体を支持させるた
めの下部支持台が一体的に設けられている。

【０００３】マスト下端の下部支持台は、鉄骨梁上に掛
け渡した受けフレーム上に載置・固定される。この状態
でクライミング駆動手段を動作させ、クレーン本体ベー
スをマストに沿って上昇させることができる。上昇させ
たクレーン本体ベースを適宜な受けフレームを介して鉄
骨梁上に載置した状態で、マスト下端の下部支持台を受
けフレームから外してクライミング駆動手段を動作させ
ることで、クレーン本体ベースに対してマストを上方へ
引き上げることができる。また何らかの手段で下部支持
台の前記受けフレームを上階層へ運び上げ、所定通りに
鉄筋梁上に受けフレームを掛け渡す。上方に引き上げた
マストの下部支持台を前記の受けフレーム上にのせて固
定する。このようにして鉄骨工事の進行とともにクレー
ン全体を順次上方へと設置し替えていく。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】前述のようにマストを
上層階へ設置し替える度に、下部支持台と受けフレーム
との固定を外し、上層階部分で再び下部支持台と受けフ
レームとを固定する、という作業を繰り返す。受けフレ
ームはＨ型鋼などで構成され、下部支持台の脚部分をそ
の上に載せ、両者を長いボルトを用いて固定している。
このボルトによる取付け・取外し作業は人手によって行
われているが、ボルト止めの箇所が複数有り、しかもボ
ルトが相当長いので、作業員にとってボルトの取付け・
取外しは非常に重労働であった。

【０００５】この考案は前述した従来の問題点に鑑みな
されたもので、その目的は、マスト下端の下部支持台を
長いボルトによって固定したり、その固定を外す作業を
簡単に行えるようにすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこでこの考案では、マ
スト下端の下部支持台を鉄骨梁上に直接あるいは別の受
けフレームを介して載置し、所定の穴に上下方向に挿入
した長いボルトによって当該支持台を鉄骨梁あるいは受
けフレームに固定する構造のものにおいて、前記ボルト
装着位置の上方部分に、前記ボルトをロープに吊り下げ
て前記穴に抜き差しするためのウインチ機構を付設し
た。

【０００７】

【作用】前記下部支持台を前記ボルトによって固定した
り取り外したりする作業の際に、下部支持台に付設した
前記ウインチ機構でもって前記ボルトをロープに吊り下
げた状態で穴に抜き差しすることができる。長くて重い
複数のボルトの取付け・取外しの際に各ボルトがウイン
チ機構のロープに吊り下げられているので、これを落下
させるおそれもなく、作業が非常に容易になる。

【０００８】

【実施例】図１と図２に本考案によるクライミングクレ
ーンの下部支持台を鉄骨階層構造体に固定した状態を示
している。両図において、１と２は鉄骨階層構造体の鉄
骨柱と鉄骨梁である。３はＨ型鋼で構成した受けフレー
ムであり、鉄骨梁２、２間に掛け渡して固定している。
受けフレーム３には吊り足場４を付設しており、この足
場４を使って前述のボルト止め・取外し作業などを行え
るようになっている。

【０００９】図２に示す５がクライミングクレーンのマ
ストであり、このマスト５の上方側に図示していないク
レーン本体ベースが組み合わされている。このマスト５
の下端に一体的に設けられた以下の構造物が下部支持台
である。

【００１０】下部支持台の基本構成は、マスト５の下端
に固定されたドラム状の固定台座６と、固定台座６の周
囲に放射状に取付けられた４本の支持脚８とからなる。
固定台座６の周囲に４つのボス部７があり、各支持脚８
はボス部７に垂直な軸を介して回動自在に取付けられて
おり、その軸を中心に水平方向に回動可能になってい
る。マスト５を上方に引き上げる際に、支持脚８が鉄骨
梁２などに当たらないように、支持脚８を適当な方向に
回動させることができる。

【００１１】各支持脚８の先端部分の両脇に固定部材９
が突設されている。固定部材９には上下に貫通する穴が
形成されており、そこに長いボルト１０を通して、図２
に示すように支持脚８の先端部分と受けフレーム８とを
締結して当該下部支持台を固定するようになっている。

【００１２】そしてこの実施例では、固定部材９の穴に
上方からボルト１０を抜き差しする作業を容易にするた
めに、各支持脚８の根元よりの上面部分に手動ウインチ
１１を付設している。手動ウインチ１１は、ほぼ垂直に
立設された支柱１１ａと、支柱１１ａの上端部分に取付
けられた滑車１１ｂと、支柱１１ａの中間部分の背面側
に取付けられた手巻きハンドル付きの巻胴１１ｃとから
なる。巻胴１１ｃに巻かれているロープを引き出して滑
車１１ｂでＵターンさせ、そのロープの先端にボルト１
０を吊り下げる。その状態で手動ウインチ１１でロープ
を巻き取れば、ボルト１０が引き上げられ、ロープを巻
戻せば、ボルト１０は下降する。ボルト１０の取付け・
取外し作業時にこの操作を行う。

【００１３】

【考案の効果】この考案では、マスト下端の下部支持台
にウインチ機構を設け、下部支持台を鉄骨梁上に直接あ
るいは別の受けフレームを介してボルトで固定したり、
そのボルトを取り外して下部支持台を解放する際に、前
記ウインチ機構のロープに前記ボルトを吊り下げた状態
で取付け穴にボルトを抜き差しできるように構成したの
で、ボルトの取付け・取外し作業時にボルトを手で持っ
ている必要がなく、したがってボルトを誤って落下させ
るおそれもなく、またボルトを穴から引き抜いたり、穴
に挿入したりすることもウインチ機構を操作することで
行える。したがってクライミングクレーンを上階層へ設
置し替える際の下部支持台の固定・解放作業が従来に比
べて非常に簡単になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例によるクライミングクレー
ン下部支持台を鉄骨階層構造体に取付けた状態を示す平
面図である。

【図２】図１の状態の平面図である。

【符号の説明】

２ 鉄骨梁 ３ 受けフレーム ５ マスト ６ 固定台座 ８ 支持脚 １０ ボルト １１ 手動ウインチ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 垂直に配置されるマストと、このマスト
   に沿って移動自在であって鉄骨階層構造体上に載置され
   るクレーン本体ベースと、この本体ベースと前記マスト
   とを連結して両者を相対的に上下に移動させるクライミ
   ング駆動手段と、前記マストの下端に一体的に設けら
   れ、鉄骨梁上に直接あるいは別の受けフレームを介して
   着脱自在に固定されてクレーン全体を支持する下部支持
   台とを備えたクライミングクレーンにおいて、前記下部
   支持台は、所定の穴に上下方向に挿入した長いボルトに
   よって当該支持台を前記鉄骨梁あるいは前記受けフレー
   ムに固定するようになっており、前記ボルト装着位置の
   上方部分には前記ボルトをロープに吊り下げて前記穴に
   抜き差しするためのウインチ機構を備えていることを特
   徴とするクライミングクレーンの下部支持台。