JPH0111670Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として高層建築物の建設工事現場に
設置して、資材等の揚降作業とコンクリートの打
設作業とが兼用して行い得るコンクリート配給手
段を備えたクレーンにおける吊索の自動調節装置
に関するものである。

高層建築物や構造物の建設に際して、その作業
を能率よく行うために躯体の骨格を組立る作業が
進行するにつれて、コンクリートの打設作業も行
う関係上、これらの各作業を遂行するクレーンと
コンクリート打設機材を個々に配設する必要が生
じ、作業現場において作業機器の設置場所が少な
い場合、不都合なことが多く、従つて公知のコン
クリート打設用機械ではこれを専用機械として現
場に設置使用するについて未だ汎用化できる状態
に到つていない。

そこで本出願人らは先願発明にてジブクレーン
として資材の揚降を行うものに、コンクリート打
設のための配給手段を付帯させて、クレーンとし
ての運転を行うときにはブームが固定されて通常
のものと同様に使用でき、コンクリートの打設用
として使用するときにはクレーンの機能を停止し
て、ブームがコンクリートの打設に即応できるよ
うにした構成の一台の装置で二通りの作業が切換
え使用できるようにした装置を得たのである。こ
のようにした装置にあつては、当然のことながら
クレーンブーム先端の滑車を介して垂下する吊索
にて吊り滑車ブロツクを吊り下げ、巻揚機により
揚降する操作を行うことは従来のクレーンと同様
であるので、これをコンクリートの打設作業時に
は吊り下げられた吊り滑車ブロツクが邪摩になる
ので、これを始末する必要があり、そのためコン
クリート打設作業時には吊り滑車ブロツクをブー
ムの先端部に仮固定して使用するようになされて
いる。ところがコンクリート打設作業時にはブー
ムを複数個所に設けた関節部での固定を解いて屈
曲できるようにして打設作業の範囲を自在に変え
ることができるようにしてあるため、このブーム
に沿つて張架した吊索の緊張状態を該ブームの屈
曲変位に応じて自動的に調節できるようにしなけ
れば、コンクリート給送管を併設するブームを自
在に屈曲変位させるのに支障を来たすことになる
ため、ブームの屈曲に対応して巻揚機を作動させ
ることなく吊索の緊張状態を自動的に調節できる
装置が必要である。

本考案はコンクリート打設用の配給手段を備え
たジブクレーンにおいて、そのブームを屈曲させ
て使用できるように吊り滑車ブロツクをブーム先
端に係止した状態で、吊索が緊張した状態にて該
ブームを関節部で任意屈曲変位させても、該吊索
は自動的にブームの変位に追随して常に緊張状態
を保ち、吊り滑車ブロツクのブーム先端係止維持
ができ、コンクリートの打設作業に支障を来たす
ことなく運転できるようにした吊索の自動調節装
置を提供することにある。

本考案は斯かる目的を達成するために、ブーム
が複数のセグメントをその下側で連結されて遠隔
操作式駆動機器にて屈曲可能にした関節部を備
え、かつ該ブームの側部に沿つてコンクリート供
給管を付設し、ブームの先端にて吊り滑車ブロツ
クを仮係止できるようにしてなるコンクリート配
給手段を具備したジブクレーンにおいて、コンク
リート打設時吊索にて操作される吊り滑車ブロツ
クがブーム先端に係止されるようになし、施回盤
上搭載の巻揚機から繰出す吊索は、ブームの基端
支持フレーム及びブーム両側部に沿つてブーム各
関節部並びにブーム先端に付設の各滑車を巡ぐ
り、他端を繰出し側と反対側の支持フレーム上側
部に付設のブラケツトに繋ぐに際し、該ブラケツ
トと施回盤上との間に立設したガイドレールに案
内される平衡重錘付き滑車を巡ぐらせて結着し、
コンクリート打設のためにブームを関節部で屈曲
するに伴なう吊索の変位が各関節部付設の滑車に
て保持できるようにして、かつ該吊索の変位量を
平衡重錘付き滑車の昇降によつて自動的に調節し
て緊張維持できるようにし、さらにクレーン作業
時には平衡重錘支持体を固定して使用できるよう
にしたのである。

以下本考案を一実施例について図面により詳述
すれば、第１図及び第２図に示すのは本考案吊索
自動調節装置を付帯するコンクリート配給手段を
備えたジブクレーンの一具体例であり、１はマス
ト、２はマスト１の頂部に施回機構を介して載設
された施回盤。３はブームであつて複数（具体例
では３個）のセグメント３ａ，３ｂ，３ｃを関節
部４にて下向きに屈曲可能なようにして一直線に
接続構成されている。５はブームの支持フレーム
であつて、施回盤２上に１対立設してあり、ブー
ム３の基端をその上部にて枢支している。６はコ
ンクリート供給管であつて、マスト１内から施回
盤２の施回中心を経てブーム支持フレーム５とブ
ーム３との枢着部から、ブーム３の各関節部４に
おける中空連結軸中心を通る接続管とその両端又
は一端での回転接手部を介してブームの各セグメ
ント側部に沿い付設されており、ブーム先端でホ
ースと接続できるようになつていて、コンクリー
トの打設時に別設のコンクリートポンプから生コ
ンクリート若しくはセメントモルタルが圧送さ
れ、ブーム３は起伏用パワーシリンダ７並びに各
関節部４での屈伸操作パワーシリンダ８，８′に
より起伏とブームの屈曲とを行なわせて、施回駆
動との併用で所要範囲にブーム３先端が変位でき
るようになされている。１０はブーム３の各関節
部４を屈曲させることなくブームセグメント３
ａ，３ｂ，３ｃが一直線に固定されてクレーンと
しての作業を行うためのロツク機構であり、油圧
シリンダ若しくは油圧モータ、或いは電動機等を
使用して各ブームセグメントの接続部分の上側に
設けたブラケツトを組合せてロツクピンを嵌脱す
ることで固定又は解放するようになされている。
図示のものはこのロツク機構１０の駆動機として
油圧モータ１１を用い、ジヤツキ構造になされた
リンク機構により前後両ブームセグメント３ａ，
３ｂ又は３ｂ，３ｃの両端面が合致した状態で上
部に設けられたロツク用ブラケツト１２と１２′
との上部に付されているロツクピン孔に対してロ
ツクピン１３，１３を嵌脱するようにして両ブー
ムセグメントが連結固定又は連結解放が行われる
ようになつている。

また、ブームの各関節部４における後側の連結
ブラケツト１５，１５′と前側の連結ブラケツト
１６，１６′との両外側面には、それぞれ案内滑
車１７，１７′を回転自在に軸１８支持されてい
る。なおブーム基部寄りの関節部連結ブラケツト
には吊索２０の浮上りを阻止する滑車１７″が付
設してある。そして両連結ブラケツト１５，１
６，１５′，１６′はコンクリート供給管を接続す
る管を中央に挿通した中空軸１４にて連結され、
屈伸操作パワーシリンダ８，８′により屈曲操作
するためのアーム１９，１９′が関節部４の連結
中空軸１４下方において前記パワーシリンダ８
（又は８′）のピストンロツド８″先端付設フオー
ク片８ａとピン連結されている（第３図参照）。

而して前記したブーム３の基部から先端にかけ
て該ブーム３に沿い張架された吊索２０は、施回
盤２上の後部で一方の支持フレーム５の後方位置
に搭載された巻揚機２１ドラムから第４図に示す
如く施回盤２上の案内滑車２２と支持フレーム５
上部にブラケツトを介し付された滑車２３を経
て、ブーム３の一方の側部に沿い各関節部４位置
に配された補助的な案内滑車１７，１７′にブー
ム３が直線状態にあるとき接触せず先端の滑車２
４を巡り、下方に垂下してフツク付き吊り滑車ブ
ロツク２５を吊り下げて再びブーム３先端の他側
面（図上背面側）の滑車２４′からブーム３の他
方の側面に沿い、各関節部付設の案内滑車を経て
施回盤２上他方の支持フレーム５上端付設ブラケ
ツト３１に軸支持される滑車３２を巡り、吊索調
節維持機構３０の動滑車３３を経て、終端を支持
フレーム５上部に取付くブラケツト３１に過荷重
制限スイツチ２７を介して結着してある。

吊索調節維持機構３０は第４図乃至第６図にて
例示するように、支持フレーム５の後部上端から
外側に突き出したブラケツト３１と施回盤２上面
との間に適宜間隔で平行して二本のガイドレール
３４，３４が立設されており、この両ガイドレー
ル３４，３４間には、上部に滑車３３を支持する
フオーク状の金具３５′における座板３５″中央か
ら所要長さのロツド３６を垂下させてなるウエイ
ト吊り金具３５に、ガイドレール３４と係合して
案内自在にした複数枚のウエイト３７を、該各ウ
エイト３７の中心に設けた孔にロツド３６を貫通
して積層し、下部で受板３６′を介し該ロツド３
６下端ねじ部でナツトにより締結し、吊り金具３
５上部に付された滑車３３を介しこれに巻掛けら
れる吊索２０に作用する張力がウエイト３７によ
り自動的にバランスするよう上下動可能になつて
おり、クレーンとしての使用時には固定ピンにて
ガイドレールに固定する（二点鎖線で示す）よう
になつている。

なお、吊り滑車ブロツク２５の不使用時（コン
クリート打設作業時）のブーム先端に対する係止
手段としては、ブーム３先端下面に鉤形の滑車ブ
ロツク受入れ片を設けて、ブームを最大限起立さ
せてこの受入れ片とブーム下面との間に係合させ
て係止するか、或いはブーム先端下面に吊り滑車
ブロツクの上端が当接した状態で吊索の巻取りを
停止して該吊索に作用する張力が一定の状態に維
持できるように吊り滑車ブロツクの滑車支持部の
上部に当板を付したものを採用するなどの方式を
取る。

斯くの如く構成した本考案によれば、クレーン
として作業するときには、ブーム３の各関節部４
上部位置のロツク機構１０はすべてロツクした状
態にして該ブーム３を一直線状に保ち、この状態
では巻揚機２１を運転することで吊索２０を巻取
り、或いは繰り出して従来のクレーンと同様に運
転できるのであり、この揚降作業からコンクリー
ト打設作業に切換えて運転する場合、吊り滑車ブ
ロツク２５を係止するため、ブーム先端部下面に
受入れ片を付した方式によるときは、ブーム３を
その起伏用パワーシリンダ７によつて許容最大限
の角度まで起立させ、吊り滑車ブロツク２５がブ
ーム３の下面に当接する状態のもとで吊索２０を
巻取れば、該吊り滑車ブロツク２５が受入れ片内
に進入してブーム先端部下面に沿つて係止される
ことになり、吊索２０は全体に緊張状態に保たれ
る。

そこでブーム３を所要傾斜角度まで倒した後、
ロツク機構１０を作動させて各関節部４上部での
ロツクピン１３をロツク用ブラケツト１２，１
２′のロツクピン孔から外脱させて固定を解き、
また吊索調節維持機構３０の固定ピンを外し、ブ
ーム３先端でコンクリート供給管に所要長さのホ
ース４０を接続し、屈伸操作パワーシリンダ８，
８′を作動して各ブームセグメントを所要の状態
に屈曲させ得る状態にし、別途設置のコンクリー
トポンプによつて生コンクリート（又はセメント
モルタル）を圧送すれば、コンクリート供給管６
を経てホース４０を通じ所要の箇所にコンクリー
トの打設が行えるようになるのである。

このコンクリート打設作業中にあつては、ブー
ムの施回中心（即ちマスト中心）位置から打設位
置までの距離が順次、或いは適宜変位することに
なるので、当然施回移動のみならばブーム３の各
セグメントを関節部４，４で屈伸させることで打
設箇所が変更するが、このコンクリート打設作業
に移る前一定の長さに保たれて緊張状態にある吊
索２０は、ブーム３の関節部４における屈曲によ
り、各関節部４外側に付設された案内滑車１７，
１７′にて第７図に例示したように受与されて該
ブームセグメントに沿い屈曲することになり、こ
の屈曲に伴なう変位量の合計（１関節部宛両側で
の変位量の総和分）された長さ直線状態のときよ
り長くなるも、支持フレーム５の一方の後部にて
吊索調節維持機構３０のカウンターウエイト３７
を備えた動滑車３３が、前記変位による吊索２０
の緊張力の増大に即応してガイドレール３４，３
４に沿い引き上げられ、巻揚機２１側から繰出す
ことなしに吊索２０の長さの変動分は該動滑車３
３とブラケツト３１に支持されている頂部滑車３
２との間で自動的に調節されることになり、緊張
力を所要に保つて長さの変動に対応することがで
きるのである。従つてコンクリート打設作業中は
吊り滑車ブロツク２５をブーム３先端下面に係止
して支障なく作業が行なえる。

このコンクリート打設作業終了後、再びクレー
ンとして使用するには各ブームセグメントを一直
線に揃えてロツク機構１０によりロツクし、以後
吊り滑車ブロツク２５の係止時と逆の操作により
その係止を解き、ブーム３を所要の起伏角度に戻
せば吊り滑車ブロツク２５が自重で垂下して運転
可能な状態となる。

なお、吊り滑車ブロツクを係止するためにブー
ム３先端下面に当接した状態でコンクリート打設
作業が行なえる方式による場合は、該吊り滑車ブ
ロツクの係止及び解除のためのブーム起伏を省く
ことができる。

叙上の如く本考案はクレーンブームにコンクリ
ート打設用配管を付設して、コンクリートの打設
作業が併せ行える装置であるために生ずる揚降作
業以外の作業時邪摩になる吊り滑車ブロツクを、
ブーム先端部に係止するため、吊索に所要の緊張
力を維持して、かつブームの屈伸が自在にできる
よう、ブームの各関節部外側において前後両連結
ブラケツト付設の滑車にてブームに沿つた吊索の
中間部を支持し、ブームの屈伸に対応して該吊索
に生ずる長さの変化については、支持フレーム後
部位置に設けた吊索調節維持機構の動滑車付設カ
ウンターウエイトによる釣り合いで、自動的に調
節され、吊索には過度の張力が作用せず、またブ
ーム屈伸操作用のパワーシリンダにも無理な負荷
が働かず円滑に運転でき、再びクレーンとしての
運転に切換えて使用できるようにしたものであ
り、コンクリート打設作業時案内滑車による吊索
の関節部での案内支持により、ブームの屈曲に際
して該吊索がコンクリート供給管と接触すること
もなく合目的な運転ができるようになし得たので
ある。

なお、吊り滑車ブロツクをブーム先端に当接し
たままの状態で吊索を緊張した場合でも、該吊索
が緩まない限り前記具体例と同様にしてコンクリ
ート打設時の吊索制御が行える。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の一実施例を示すものであつ
て、第１図は本考案装置を具備したクレーンの正
面図、第２図は第１図の平面図、第３図はブーム
関節部を示す一部省略正面図、第４図はクレーン
要部正面図、第５図は第４図の左側面図、第６図
はカウンターウエイト部の拡大縦断面図、第７図
はコンクリート打設時における吊索の張架態様を
示す図である。 １……マスト、２……施回盤、３……ブーム、
３ａ，３ｂ，３ｃ……ブームセグメント、４……
関節部、５……支持フレーム、６……コンクリー
ト供給管、７，８，８′……パワーシリンダ、１
５，１５′，１６，１６′……関節部の連結ブラケ
ツト、１７，１７′，２２……案内滑車、２０…
…吊索、２１……巻揚機、２３，２４，２４′，
３２……滑車、２５……吊り滑車ブロツク、３０
……吊索調節維持機構、３１……ブラケツト、３
３……動滑車、３４……ガイドレール、３５……
ウエイト吊り金具、３７……ウエイト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブームが複数のセグメントをその下側で連結さ
   れて遠隔操作駆動機器にて屈曲可能にした関節部
   を備え、かつ該ブームの側部にコンクリート供給
   管を沿設し、ブームの先端にて吊り滑車ブロツク
   を仮係止できるようにしてなるコンクリート配給
   手段を備えたジブクレーンにおいて、コンクリー
   ト打設時、吊索にて操作される吊り滑車ブロツク
   がブーム先端に係止されるようになし、施回盤上
   搭載の巻揚機から繰出す吊索は、ブームの基端支
   持フレーム及びブーム両側部に沿つて、該ブーム
   の各関節部並びにブーム先端に付設の各滑車を巡
   り、他端を繰出し側と反対側の支持フレーム上側
   部に付設のブラケツトに繋ぐに際し、コンクリー
   ト打設のためにブームを関節部で屈曲するに伴う
   吊索の変位が各関節部付設の滑車にて保持される
   ようにして、前記ブラケツトと施回盤との間に立
   設したガイドレールに案内される平衡重錘付き滑
   車を巡らせて結着し、かつクレーン作業時には平
   衡重錘支持体を固定して使用できる構成としたこ
   とを特徴とするコンクリート配給手段を備えたク
   レーンにおける吊索の自動調節装置。