JP3889521B2 - 杭打機及びその作業床取付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建設現場での杭打作業等に好適に用いられる杭打機及びその作業床取付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ビル等の建設工事現場においては、工事の初期段階で地盤の基礎を固める杭打作業を行う。そして、このような杭打作業に好適に用いられる杭打機は、車体と、この車体に起伏可能に設けられたリーダとを備え、このリーダには、杭打作業の種類に応じて、例えばアースオーガ、ドロップハンマ等の各種のフロントアタッチメントが昇降可能に取付けられる。
【0003】
また、この種の従来技術による杭打機では、通常、リーダに設けられ該リーダの長手方向に伸長したガイドレールと、このガイドレールに係合する係合部材を有しガイドレールに沿って昇降可能となった作業床と、この作業床にロープを介して接続され該作業床を昇降させるウインチ装置とを備えている(例えば、特開平8−269960号公報等)。
【0004】
そして、作業床は、ウインチ装置によってロープを巻出し、巻取ることによりリーダに沿って昇降し、フロントアタッチメントの組立作業、分解作業、メンテナンス作業等を行うときに、作業床に乗込んだ作業者を所望の高さ位置まで搬送するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による杭打機では、通常、リーダを直立させた状態で作業床をクレーン等によって吊上げ、作業床に設けられた係合部材を、リーダに設けたガイドレールの下端側から長手方向に沿って係合させることにより、リーダに作業床を取付けている。
【0006】
しかし、直立させたリーダに作業床を取付ける作業は、リーダの下端側に取付作業用の足場を組んで行うため、この取付作業が不安定な足場上での高所作業となって作業者に大きな負担を与えるばかりでなく、直立状態にあるリーダの下端側近傍では、作業床の周囲に広い作業スペースを確保することが難しく、取付作業を効率良く行うことができないという問題がある。
【0007】
また、クレーンで吊上げた作業床を直立状態のリーダに取付ける場合には、クレーンとリーダとが衝突しないように注意深くクレーンを操作しなければならず、クレーンの操作に手間がかかり、取付作業を効率良く行うことができないという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、リーダに作業床を取付ける作業を地上で行うことができ、作業床の取付作業を安全に、かつ効率良く行うことができるようにした杭打機及びその作業床取付方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、請求項1の発明は、車体と、前記車体に起伏可能に設けられたリーダと、前記リーダに設けられ該リーダの長手方向に伸長した一対のガイドレールと、前記一対のガイドレールに係合する係合部材を有し該ガイドレールに沿って昇降可能となった作業床と、前記作業床にロープを介して接続され該作業床を昇降させるウインチ装置とからなる杭打機に適用される。
【0010】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記作業床は、前記ウインチ装置からのロープが接続されるフレームと、前記フレームに設けられ前記ガイドレールに対して係脱可能に取付けられる前記係合部材としての一対の開閉式ガイドローラと、前記開閉式ガイドローラとは異なる位置で前記フレームに対して取付けられた搭乗台とから構成してなり、前記開閉式ガイドローラは、前記フレームに対して回動可能に設けられた一対のアームと、前記各アームにそれぞれ回転可能に設けられたローラと、前記アームの回動支点とは異なる位置で前記各アームをフレームに固定する固定具とから構成し、前記各アームは、前記ローラが前記ガイドレールに外側から挟むように係合する係合位置と、前記ローラが前記ガイドレールから外側へと離脱した離脱位置との間で開閉するように設けられ、前記ローラは、前記ガイドレールに係合したときに、前記ガイドレールの外周面に抜止め状態で係合する凹湾曲面を有する構成としたことにある。
【0011】
このように構成したことにより、フレームに対して一対のアームを回動させると、各アームに設けられたローラをそれぞれのガイドレールから離間させることができ、この状態でローラとガイドレールとを位置合わせした後、アームを回動させてローラの凹湾曲面をガイドレールに係合させた状態で、固定具によってアームを固定することにより、ローラをガイドレールに係合させた状態に保持することができる。このように、一対のアーム、ローラおよび固定具とからなる作業床の開閉式ガイドローラを、リーダの長手方向と直交する方向からガイドレールに係合させることができるため、リーダに作業床を取付ける作業を、リーダを直立させることなく、当該リーダを地面に倒した状態で安全に、かつ広い作業スペースをもって効率良く行うことができる。
【0016】
請求項2の発明は、車体と、前記車体に起伏可能に設けられたリーダと、前記リーダに設けられ該リーダの長手方向に伸長したガイドレールと、前記ガイドレールに係合する係合部材を有し前記ガイドレールに沿って昇降可能となった作業床と、前記作業床にロープを介して接続され前記作業床を昇降させるウインチ装置とからなる杭打機の作業床取付方法において、前記リーダを地面に倒すリーダ倒し工程と、地面に倒した前記リーダのガイドレールに前記作業床の係合部材を係合させる作業床取付け工程と、作業床とウインチ装置との間をロープによって連結するロープ連結工程と、前記作業床が取付けられたリーダを直立状態に立上げるリーダ立上げ工程とからなる取付方法を採用したことにある。
【0017】
このような取付方法を採用することにより、地面に倒したリーダのガイドレールに作業床の係合部材を取付け、この作業床とウインチ装置との間をロープで連結した後、リーダを直立させるだけで、リーダに対する作業床の取付けを地上作業によって行うことができる。このため、リーダに作業床を取付ける作業を、リーダを直立させることなく地上で広い作業スペースをもって行うことができる。この場合、作業床を予めリーダの先端側に取付けることにより、ロープ連結工程においてウインチ装置と作業床との間を連結するためにウインチ装置から巻出すロープの巻出し量を少なくすることができ、作業者がロープを作業床に接続するときの取回しを円滑に行うことができる。
【0018】
請求項3の発明は、前記作業床取付け工程は、地面に倒したリーダの先端側に設けたシーブにウインチ装置からのロープを巻回するロープ巻回工程と、地面に倒したリーダに向けて作業床を移送する作業床移送工程と、移送されてきた作業床の係合部材をリーダのガイドレールに係合させる作業床係合工程とに分けたことにある。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による杭打機の実施の形態について、図1ないし図15を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
図において、1は車体で、この車体1は、クローラ式の走行体2と、この走行体2上に旋回可能に搭載された旋回体3とからなっている。そして、旋回体3の後部側にはA型フレーム4が設けられ、このA型フレーム4の先端側にはガイドシーブ4Aが回転可能に設けられている。また、旋回体3には主巻ドラム5、補巻ドラム6、起伏ドラム7等が設けられている。さらに、旋回体3の後部側には、後述するバックステー10の下端側が取付けられるリアブラケット8,8が左,右方向に突出するように設けられている。
【0021】
9は旋回体3の前側に設けられたフロントブラケットで、このフロントブラケット9には、後述するリーダ11の基端側(下端側)が回動可能に取付けられている。10,10は旋回体3とリーダ11との間に設けられた左,右のバックステーで、これらバックステー10は、上端側がリーダ11の長さ方向中間部に取付けられ、下端側が旋回体3のリアブラケット8に取付けられることにより、リーダ11を直立状態に支持するものである。
【0022】
11は旋回体3の前側に直立状態に支持されたリーダで、このリーダ11は、大径のパイプ材からなる長尺の円筒体として構成されている。そして、リーダ11は、その基端側がフロントブラケット9に支軸(図示せず)を介して前,後方向に回動可能に取付られ、図2に示す直立姿勢と図7に示す倒れ姿勢との間で起伏可能となっている。
【0023】
12は一端側がリーダ11の長さ方向中間部に取付けられたペンダントロープで、このペンダントロープ12の他端側にはブライドル13が取付けられている。14はブライドル13と対向するようにA型フレーム4の先端側に取付けられたハンガで、ブライドル13とハンガ14との間にはリーダ起伏ロープ15が巻回され、このリーダ起伏ロープ15の基端側はA型フレーム4のガイドシーブ4Aを介して起伏ドラム7に巻回されている。
【0024】
そして、起伏ドラム7によりリーダ起伏ロープ15を巻取ったときには、ブライドル13とハンガ14とが互いに接近することにより、リーダ11が直立姿勢に立上がり、起伏ドラム7からリーダ起伏ロープ15を巻出したときには、ブライドル13とハンガ14とが互いに離間することにより、リーダ11が地面G側に倒れる構成となっている。
【0025】
16,16はリーダ11の前面部に一定の間隔をもって設けられたフロントアタッチメント用のガイドパイプで、各ガイドパイプ16は、図4に示すように、リーダ11よりも小径のパイプ材からなり、リーダ11の長さ方向の略全長に亘って設けられている。そして、各ガイドパイプ16には、アースオーガ、ドロップハンマ等の杭打作業用のフロントアタッチメント(図示せず)が昇降可能に取付けられる構成となっている。
【0026】
17,17はリーダ11の右側面部に一定の間隔をもって設けられた一対のガイドレールで、各ガイドレール17は、図2、図4に示すようにガイドパイプ16よりも小径のパイプ材からなり、リーダ11の長さ方向の略全長に亘って設けられている。そして、各ガイドレール17には、後述の作業床21が昇降可能に取付けられる構成となっている。
【0027】
18はリーダ11の先端側(上端側)に設けられたシーブブラケットで、このシーブブラケット18には、前,後方向に並設されフロントアタッチメント用の巻上ロープ(図示せず)が巻回される第1のトップシーブ19,19と、左,右方向に並設され後述する作業床昇降ロープ38が巻回される第2のトップシーブ20,20とが、それぞれ回転可能に取付けられている。
【0028】
21はリーダ11の右側面部に設けられた作業床で、この作業床21は、図3及び図4に示すように、後述する昇降フレーム22、ガイドローラ25、搭乗台31等により大略構成されている。
【0029】
22は作業床21を構成する昇降フレームで、この昇降フレーム22は、互いに対向して上,下方向に伸長する2枚の縦板22A,22Aを有した細長い箱状に形成されている。そして、昇降フレーム22の長さ方向の中間部には、搭乗台31を取付けるための取付ブラケット23,23が上,下方向に適度な間隔をもって突設されている。また、昇降フレーム22の上端側には、作業床昇降ロープ38を接続するための吊具24が取付けられている。
【0030】
25,25,…は昇降フレーム22の各縦板22Aに上,下に離間して2個ずつ設けられた係合部材としての合計4個の開閉式ガイドローラで、各ガイドローラ25は、図5及び図6に示すように、後述の回動アーム26、ローラ29、固定ボルト30等によって構成されている。
【0031】
26はガイドローラ25を構成する回動アームで、この回動アーム26は、昇降フレーム22の縦板22Aに固着された2枚の支持ブラケット27,27にピン28を用いて取付けられ、昇降フレーム22に対して回動可能となっている。ここで、回動アーム26は、各支持ブラケット27にピン28によって回動可能に支持された2枚の縦板26A,26Aと、各縦板26Aに溶接等によって固着され昇降フレーム22の縦板22Aと対面する1枚の底板26Bと、縦板26Aの長さ方向中間部に位置して各縦板26Aと底板26Bとに溶接等によって固着され、内部に軸受(図示せず)が設けられたローラ支持筒26Cとからなっている。
【0032】
29は回動アーム26のローラ支持筒26Cに回転可能に設けられたローラで、このローラ29は、ローラ支持筒26C内に設けられた軸受に片持ち状態で回転可能に支持されている。そして、ローラ29の軸方向の中間部は、上述したガイドレール17の外周面が抜止め状態に係合する凹湾曲面29Aとなり、この凹湾曲面29Aは、ガイドレール17の半径よりも僅かに大きい半径を有する半円弧状に形成されている。
【0033】
30,30,…は回動アーム26を昇降フレーム22に固定する固定具としての固定ボルトで、各固定ボルト30は、回動アーム26の底板26Bに設けられた4個の固定ボルト穴(図示せず)に挿通された状態で、昇降フレーム22の縦板22Aに螺着されることにより、回動アーム26を昇降フレーム22に固定するものである。
【0034】
従って、ガイドローラ25は、図6に示すように、回動アーム26の底板26Bから各固定ボルト30を取外し、回動アーム26をピン28を回動支点として回動させることにより、ローラ29がガイドレール17から外側へと離脱した離脱位置(図6中の左側の位置)とガイドレール17に外側から挟むように係合した係合位置(図6中の右側の位置)との間で開閉する。
【0035】
そして、ガイドローラ25は、回動アーム26の底板26Bを固定ボルト30によって昇降フレーム22に固定することにより、ローラ29がガイドレール17に係合した状態を保持し、この状態で、昇降フレーム22をガイドレール17に昇降可能に取付けるものである。
【0036】
かくして、本実施の形態では、作業床21に設けられたガイドローラ25のローラ29が、ガイドレール17から離脱する離脱位置とガイドレール17に係合する係合位置との間で開閉することにより、ガイドローラ25のローラ29を、リーダ11の長手方向と直交する方向(径方向)からガイドレール17に係合させることができ、作業床21をリーダ11の長手方向と直交する方向からリーダ11に取付けることができる構成となっている。
【0037】
31は昇降フレーム22に取付けられた搭乗台で、この搭乗台31は、作業者の足場となる矩形の踏台32と、この踏台32に固着されて上,下方向に延びた支柱33と、この支柱33の上端側と下端側とに設けられ、昇降フレーム22に向けて突出した2個のブラケット34,34とからなっている。そして、昇降フレーム22に設けた取付ブラケット23に、ピン35を用いて各ブラケット34を回動可能に連結することにより、搭乗台31が昇降フレーム22に対して回動可能に取付けられる構成となっている。
【0038】
36は搭乗台31の踏台32の周囲に立設された柵で、この柵36は複数の細長いパイプ材によって骨組み構造をもって形成され、搭乗台31上に乗込んだ作業者の安全を確保するものである。
【0039】
37はリーダ11の左側面部に設けられた作業床21用のウインチ装置で、図1に示すように、このウインチ装置37のドラム37Aには、作業床昇降ロープ38の基端側が巻回されている。そして、作業床昇降ロープ38の先端側は、リーダ11の上端部に設けられた第2のトップシーブ20,20を介してリーダ11の右側面部に垂下し、作業床21を構成する昇降フレーム22の上端側に設けられた吊具24に接続されている。
【0040】
従って、ウインチ装置37によって作業床昇降ロープ38を巻取り、巻出すことにより、作業床21がガイドレール17に沿って上,下方向に昇降する構成となっている。
【0041】
本実施の形態による杭打機は上述の如き構成を有するもので、リーダ11のガイドパイプ16に取付けたアースオーガ、ドロップハンマ等のフロントアタッチメントによって杭打作業を行い、かつ、作業床21に乗込んだ作業者が、フロントアタッチメントに対する組立作業、分解作業、メンテナンス作業等を行う点については、従来技術によるものと格別差異はない。
【0042】
然るに、本実施の形態による杭打機は、リーダ11に作業床21を取付けるときの作業性が従来技術に比較して改善されており、以下、作業床21をリーダ11に取付ける作業について説明する。
【0043】
まず、図7はリーダ倒し工程を示し、このリーダ倒し工程では、左,右のバックステー10の下端側を旋回体3のリアブラケット8から取外すと共に、起伏ドラム7からリーダ起伏ロープ15を巻出すことにより、リーダ11をフロントブラケット9との取付部を中心として地面G側に倒す。このとき、リーダ11と地面Gとの間に支持台41,41等を設けることにより、リーダ11を安定した倒れ姿勢に保持するのが望ましい。
【0044】
そして、リーダ11を倒れ姿勢に保持することにより、リーダ11に設けたガイドレール17の地面Gからの高さ位置を、地面Gに立った作業者の手が届く位置に設定する。
【0045】
次に、図8ないし図13は上述のリーダ倒し工程に続いて行われる作業床取付け工程を示し、この作業床取付け工程は、後述するロープ巻回工程と、作業床移送工程と、作業床係合工程とからなっている。
【0046】
まず、図8はロープ巻回工程を示し、このロープ巻回工程では、ウインチ装置37から作業床昇降ロープ38を巻出し、地面G上の作業者が、作業床昇降ロープ38の先端側を把持した状態で、この作業床昇降ロープ38をリーダ11のシーブブラケット18に設けた第2のトップシーブ20,20に巻回する。
【0047】
次に、図9ないし図11は作業床移送工程を示し、この作業床移送工程では、まず、図9に示すように、作業床21を横倒し状態で地面G上に置き、この作業床21の昇降フレーム22に設けた4個のガイドローラ25のうち、上側に位置する2個のガイドローラ25から固定ボルト30を取外すことにより、これら各ガイドローラ25のローラ29を、二点鎖線で示す離脱位置へと変位可能な状態にしておく。この状態で、作業床21の複数箇所に吊環42,42,…を取付けると共に、これら各吊環42に引掛けた吊上げロープ43をクレーン(図示せず)の吊荷フック44に引掛け、このクレーンによって作業床21を吊上げる。
【0048】
そして、図10及び図11に示すように、クレーンによって吊上げた作業床21を、地面Gに倒したリーダ11に向けて移送し、作業床21の各ガイドローラ25とリーダ11のガイドレール17との高さ位置を略一致させる。
【0049】
この場合、リーダ11を地面G側に倒した状態で、作業床21をクレーンによって移送できるので、従来技術による作業に比較して、作業床21を吊上げたクレーンがリーダ11に衝突するのを確実に防止できる。このため、クレーン操作を容易に行うことができ、作業床21の移送作業を安全に、かつ効率良く行うことができる。
【0050】
次に、図12及び図13は作業床係合工程を示し、この作業床係合工程では、まず、図12に示すように、クレーンによって移送されてきた作業床21の各ガイドローラ25のうち、上側に位置する2個のガイドローラ25(1個のみ図示)のローラ29を離脱位置へと変位させた状態で、下側に位置する2個のガイドローラ25のローラ29を下側に位置するガイドレール17に係合させる。
【0051】
そして、図13に示すように、作業床21の昇降フレーム22に設けた各ガイドローラ25のうち、上側に位置するガイドローラ25のローラ29を、離脱位置から係合位置へと変位させる。そして、上側に位置する各ガイドローラ25を固定ボルト30によって作業床21に固定することにより、作業床21に設けた4個のガイドローラ25を、リーダ11のガイドレール17に係合させる。
【0052】
かくして、作業床21を、リーダ11のシーブブラケット18近傍となる位置で、リーダ11の長手方向と直交する方向から容易にガイドレール17に取付けることができる。このため、リーダ11を地面G側に倒した状態で、リーダ11のガイドレール17に作業床21を取付ける作業を地上から安全に、かつ広い作業スペースをもって効率良く行うことができる。なお、作業床21をリーダ11のガイドレール17に取付けた後には、作業床21に取付けた各吊環42から吊上げロープ43を取外しておく。
【0053】
次に、図14は作業床取付け工程に続いて行われるロープ連結工程を示し、このロープ連結工程では、上述したロープ巻回工程において第2のトップシーブ20,20に巻回した作業床昇降ロープ38の先端側を、作業床21の昇降フレーム22に設けた吊具24に接続することにより、作業床21とウインチ装置37との間を作業床昇降ロープ38によって連結する。
【0054】
この場合、作業床21は、予め第2のトップシーブ20が設けられたシーブブラケット18の近傍に取付けられているので、作業床21とウインチ装置37との間を作業床昇降ロープ38によって連結するときに、ウインチ装置37から巻出す作業床昇降ロープ38の巻出し量を少なく抑えることができる。このため、作業床昇降ロープ38を作業床21の吊具24に接続するときに、作業者が作業床昇降ロープ38を容易に取回すことができ、作業床昇降ロープ38の接続作業を効率良く行うことができる。
【0055】
次に、図15はロープ連結工程に続いて行われるリーダ立上げ工程を示し、このリーダ立上げ工程では、まず、左,右のバックステー10の下端側に吊上げロープ43を引掛け、この吊上げロープ43をクレーン(図示せず)の吊荷フック44に引掛けた後、このクレーンによって各バックステー10の下端側を地面Gから持上げておく。そして、各バックステー10の下端側を地面Gから持上げた状態で、旋回体3に設けた起伏ドラム7によってリーダ起伏ロープ15を巻取ることにより、リーダ11を直立姿勢へと立上げる。
【0056】
そして、リーダ11を直立姿勢に立上げた後には、左,右のバックステー10の下端側を、旋回体3のリアブラケット8に固定することにより、リーダ11を図1に示す直立姿勢に保持する。その後、ウインチ装置37のドラム37Aから作業床昇降ロープ38を巻出し、作業床21をガイドレール17に沿ってリーダ11の下端側まで降下させることにより、作業床21をリーダ11に取付ける作業が終了する。
【0057】
かくして、本実施の形態によれば、作業床21を構成する昇降フレーム22に設けられた各ガイドローラ25のローラ29を、リーダ11に設けられたガイドレール17に対して係脱可能に取付ける構成としたので、作業床21を、リーダ11の長手方向と直交する方向から容易にガイドレール17に取付けることができる。従って、リーダ11のガイドレール17に作業床21を取付ける作業を、リーダ11を地面G側に倒した状態で、地上作業によって行うことができる。
【0058】
このため、従来技術のように直立姿勢のリーダに作業床を高所作業によって取付ける場合に比較して、この作業床21の取付作業を安全に行うことができ、かつ、取付作業時の足場を地面G上に広く確保することができ、効率良く取付作業を行うことができる。
【0059】
また、リーダ11を地面G側に倒すことにより、作業床21をリーダ11の先端側に容易に取付けることができるので、作業床21とウインチ装置37との間を作業床昇降ロープ38によって連結するときに、ウインチ装置37から巻出す作業床昇降ロープ38の巻出し量を少なく抑えることができる。このため、作業床昇降ロープ38を作業床21の吊具24に接続するときに、作業者が作業床昇降ロープ38を容易に取回すことができ、作業床昇降ロープ38の接続作業を短時間で効率良く行うことができる。
【0060】
なお、上述した実施の形態では、地面に倒したリーダ11の各トップシーブ20,20に、ウインチ装置37からの作業床昇降ロープ38を巻回する作業(ロープ巻回工程)を、リーダ11のガイドレール17に作業床21を係合する作業(作業床係合工程)の前に行うものとして述べたが、本発明はこれに限るものではなく、作業床係合工程に続くロープ連結工程において、ウインチ装置37から作業床昇降ロープ38を巻出し、この作業床昇降ロープ38を各トップシーブ20,20に巻回した後に、作業床21の吊具24に接続するようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態では、地面G側に倒したリーダ11に向けて作業床21を移送する作業を、作業床21をクレーンで吊上げて行うものとして述べたが、本発明はこれに限らず、例えばフォークリフト等によって作業床21を持上げて移送するようにしてもよい。この場合には、クレーン等の大掛かりな移送手段を不要にでき、作業床の取付作業を簡単に行うことができる。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、一対のガイドレールに沿って昇降可能となった作業床を、フレーム、開閉式ガイドローラおよび搭乗台から構成し、前記開閉式ガイドローラは、前記フレームに対して回動可能に設けられた一対のアームと、前記各アームにそれぞれ回転可能に設けられたローラと、前記各アームをフレームに固定する固定具とから構成し、前記各アームは、前記ローラが前記ガイドレールに外側から挟むように係合する係合位置と、前記ローラが前記ガイドレールから外側へと離脱した離脱位置との間で開閉するように設けられ、前記ローラは、前記ガイドレールに係合したときに、前記ガイドレールの外周面に抜止め状態で係合する凹湾曲面を有する構成としたので、リーダを直立させることなく、地面に倒した状態でリーダのガイドレールに作業床の開閉式ガイドローラを取付けることができ、リーダに作業床を取付ける作業を地上から安全に、かつ広い作業スペースをもって効率良く行うことができる。
【0063】
即ち、リーダに作業床を取付けるときには、フレームに対してアームを回動させることにより凹湾曲面を有したローラをガイドレールから離間させることができ、この状態でローラとガイドレールとを位置合わせした後、アームを逆方向に回動させることによりローラをガイドレールに簡単に抜止め状態で係合させることができる。そして、この状態で固定具によってアームを固定し、凹湾曲面を有するローラをガイドレールに係合させた状態に保持することにより、リーダの長手方向と直交する方向から作業床を取付けることができる。このように、一対のアーム、ローラおよび固定具とからなる作業床の開閉式ガイドローラを、リーダの長手方向と直交する方向からガイドレールに係合させることができるため、リーダに作業床を取付ける作業を、リーダを地面に倒した状態で地上から安全に行うことができる。
【0065】
また、請求項2の発明によれば、リーダを地面に倒すリーダ倒し工程と、地面に倒したリーダのガイドレールに作業床の係合部材を係合させる作業床取付け工程と、作業床とウインチ装置との間をロープによって連結するロープ連結工程と、作業床が取付けられたリーダを直立状態に立上げるリーダ立上げ工程とからなる作業床の取付方法を採用したので、リーダを直立させることなく、地面に倒した状態でリーダのガイドレールに作業床の係合部材を係合させることができ、リーダに作業床を取付ける作業を地上で安全に、かつ広い作業スペースをもって効率良く行うことができる。
【0066】
また、リーダを地面側に倒した状態で作業床を取付けることにより、作業床を予めリーダの先端側に取付けることができるので、ロープ連結工程においてウインチ装置と作業床との間を連結するためにウインチ装置から巻出すロープの巻出し量を少なくすることができる。このため、ウインチ装置からのロープを作業床に接続するときの取回し作業を短時間で効率的に行うことができる。
【0067】
さらに、請求項3の発明によれば、作業床取付け工程を、地面に倒したリーダの先端側に設けたシーブにウインチ装置からのロープを巻回するロープ巻回工程と、地面に倒したリーダに向けて作業床を移送する作業床移送工程と、移送されてきた作業床の係合部材をリーダのガイドレールに係合させる作業床係合工程とに分けることにより、リーダのガイドレールに作業床を取付ける前に、予めリーダのシーブにウインチ装置からのロープを巻回しておくことができる。このため、リーダのガイドレールに作業床を取付けた後、この作業床にウインチ装置からのロープを接続する作業を迅速に行うことができ、作業床の取付作業をさらに効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による杭打機をフロントアタッチメントを取外した状態で示す正面図である。
【図2】図1に示す杭打機の左側面図である。
【図3】図1中の作業床を拡大して示す要部拡大図である。
【図4】リーダのガイドレールと作業床のガイドローラとが係合した状態を示す図3中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】作業床のガイドローラ等を拡大して示す要部拡大図である。
【図6】作業床のガイドローラをガイドレールに係脱する状態を示す図5中の矢示VI−VI方向からみた要部拡大図である。
【図7】本実施の形態による作業床取付方法におけるリーダ倒し工程を示す工程図である。
【図8】リーダ倒し工程に続くロープ巻回工程を示す工程図である。
【図9】ロープ巻回工程に続く作業床移送工程において、地面に置いた作業床をクレーンによって吊上げる状態を示す工程図である。
【図10】クレーンによって吊上げた作業床を地面に倒したリーダに向けて移送する状態を示す工程図である。
【図11】図10中の作業床等を拡大して示す要部拡大の工程図である。
【図12】作業床移送工程に続く作業床係合工程において、下側のガイドローラをリーダのガイドレールに係合させた状態を示す工程図である。
【図13】作業床係合工程において、上側のガイドローラをリーダのガイドレールに係合させた状態を示す工程図である。
【図14】作業床係合工程に続くロープ連結工程を示す工程図である。
【図15】ロープ連結工程に続くリーダ立上げ工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1 車体
11 リーダ
17 ガイドレール
21 作業床
22 昇降フレーム(フレーム)
25 ガイドローラ(ガイド部材)
26 回動アーム
29 ローラ
30 固定ボルト(固定具)
31 搭乗台
37 ウインチ装置
38 作業床昇降ロープ(ロープ)
Claims (3)
- 車体と、前記車体に起伏可能に設けられたリーダと、前記リーダに設けられ該リーダの長手方向に伸長した一対のガイドレールと、前記一対のガイドレールに係合する係合部材を有し該ガイドレールに沿って昇降可能となった作業床と、前記作業床にロープを介して接続され該作業床を昇降させるウインチ装置とからなる杭打機において、
前記作業床は、前記ウインチ装置からのロープが接続されるフレームと、前記フレームに設けられ前記ガイドレールに対して係脱可能に取付けられる前記係合部材としての一対の開閉式ガイドローラと、前記開閉式ガイドローラとは異なる位置で前記フレームに対して取付けられた搭乗台とから構成してなり、
前記開閉式ガイドローラは、前記フレームに対して回動可能に設けられた一対のアームと、前記各アームにそれぞれ回転可能に設けられたローラと、前記アームの回動支点とは異なる位置で前記各アームをフレームに固定する固定具とから構成し、
前記各アームは、前記ローラが前記ガイドレールに外側から挟むように係合する係合位置と、前記ローラが前記ガイドレールから外側へと離脱した離脱位置との間で開閉するように設けられ、
前記ローラは、前記ガイドレールに係合したときに、前記ガイドレールの外周面に抜止め状態で係合する凹湾曲面を有する構成としたことを特徴とする杭打機。 - 車体と、前記車体に起伏可能に設けられたリーダと、前記リーダに設けられ該リーダの長手方向に伸長したガイドレールと、前記ガイドレールに係合する係合部材を有し前記ガイドレールに沿って昇降可能となった作業床と、前記作業床にロープを介して接続され前記作業床を昇降させるウインチ装置とからなる杭打機の作業床取付方法において、
前記リーダを地面に倒すリーダ倒し工程と、地面に倒した前記リーダのガイドレールに前記作業床の係合部材を係合させる作業床取付け工程と、前記作業床と前記ウインチ装置との間をロープによって連結するロープ連結工程と、前記作業床が取付けられた前記リーダを直立状態に立上げるリーダ立上げ工程とからなる杭打機の作業床取付方法。 - 前記作業床取付け工程は、地面に倒した前記リーダの先端側に設けたシーブに前記ウインチ装置からのロープを巻回するロープ巻回工程と、地面に倒した前記リーダに向けて前記作業床を移送する作業床移送工程と、移送されてきた前記作業床の係合部材を前記リーダのガイドレールに係合させる作業床係合工程とからなる請求項2に記載の杭打機の作業床取付方法。
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