JP2516922Y2 - 排水トラップ及びそれを使用した排水ユニット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は浴室の洗い場等の床ある
いは土間等に埋設して使用される排水トラップ及びそれ
を使用した排水ユニットに係り、更に詳しくは、横方向
に排水する場合の排水効率を向上させた排水トラップ及
びそれを使用した排水ユニットに関するものである。

【０００２】

【従来技術】排水トラップは水封構造となっており、排
水管からの臭気が逆流したり虫等が侵入することがない
ようにしてある。一般的な排水トラップの排水口は、ト
ラップボックスの底部に垂直方向に設けてあり、排水管
はこの排水口に接続されている。

【０００３】しかし、例えばマンション等の集合住宅に
おいては、上階の床部の厚さにそれほど余裕をもたせる
ことができない。しかし排水口が垂直方向に設けてある
と、排水管を接続して接続部直下から折り曲げても排水
管の元部は一定長さ垂下されるために、排水枡上面から
排水管の折り曲げ下端部までの全体厚が厚くなる。従っ
て、省スペースの観点からは不利であり、排水管を接続
する配管口が横方向に設けてある場合等は施工がしにく
くなる。

【０００４】特公昭６０−４３３６号公報には縦方向及
び横方向に排水口が設けてある排水トラップが開示して
ある。この排水トラップは排水口を選択的に使用し、使
用しない排水口は蓋で止栓することによって縦方向及び
横方向に排水することができる。このため上記問題点は
一応解決できる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】前記排水トラップにお
いて、縦方向に排水するための排水口は排水管との接続
のために筒状に形成されて下方に突設されている。該排
水口を止栓する栓体は筒状の螺合部を有し、排水口の下
端部に螺合されている。このため排水口の筒部は窪みと
なり湯垢や頭髪などのたまり場となる。また、横方向に
排水するための排水口はトラップ本体の底壁から段差を
もって上部に設けられており、前記窪みと相俟って湯垢
や頭髪などの溜り場となり、横方向に排水する場合の排
水効率の低下は避けられない。

【０００６】本考案の目的は縦方向及び横方向に排水口
が設けてあり、この排水口を選択的に使用し、使用しな
い排水口は止栓する排水トラップにおいて、横方向に排
水する場合の排水の流路に窪みや段差を設けないように
することによって横方向に排水する場合の排水効率の低
下を防止した排水トラップ及びそれを使用した排水ユニ
ットを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた本考案の手段は次のとおりである。第１の手段
にあっては、トラップボックスの側部に設けられており
横排水口を有する横引き排水管と、前記トラップボック
スの底部に設けられており縦排水口を有する縦引き排水
管と、前記トラップボックス中に設けられており、前記
横排水口と縦排水口のそれぞれに共通している水封部
と、を備え、前記横排水口と縦排水口は択一的に止栓さ
れる排水トラップにおいて、前記横引き排水管の内底面
は前記トラップボックスの内底面と面一になるよう形成
されており、前記縦排水口を止栓する止栓部材には、縦
排水口から縦引き排水管内に挿入される挿入部が設けら
れており、当該挿入部は止栓時には上面が前記トラップ
ボックスの内底面と面一になるように形成されているこ
とを特徴とする、排水トラップである。

【０００８】第２の手段にあっては、第１の手段に係る
排水トラップと、当該排水トラップが装着可能な装着口
を有する排水枡と、を備えてなることを特徴とする、排
水ユニットである。

【０００９】第３の手段にあっては、第１の手段に係る
排水トラップと、当該排水トラップが装着可能な装着口
を有する排水枡と、前記排水トラップの上部に装着され
る目皿と、前記排水枡の開口部に装着される蓋体と、を
備えてなることを特徴とする、排水ユニットである。

【００１０】本考案にいう排水枡は、深さが深いいわゆ
る枡状のものと、浅い皿状のものとをも含む概念であ
る。

【００１１】

【作用】横引き排水管の内底面はトラップボックスの内
底面と面一になるよう形成されており、縦排水口を止栓
する止栓部材には、縦排水口から縦引き排水管内に挿入
される挿入部が設けられており、挿入部は止栓時には上
面はトラップボックスの内底面と面一になるように形成
されている。このように横方向に排水する場合の排水の
流路に湯垢や頭髪が溜まるような窪みや段差が設けられ
ないので横方向に排水する場合の排水効率の低下を防止
することができる。

【００１２】

【実施例】本考案を図面に示した実施例に基づき更に詳
細に説明する。図１は本考案にかかる排水ユニットの一
実施例を示す分解斜視図、図２は目皿と蓋体を除いた要
部断面図である。符号Ａ１は排水ユニットで、排水トラ
ップ１と排水枡２と目皿３および蓋体４を備えている。
排水トラップ１は排水枡２に装着される。排水枡２はス
テンレス製の長方形の浅い枡状で、底板２０の一端側に
は円形の装着口２１が設けてある。装着口２１の周縁部
には底板２０よりやや低く形成された装着フランジ２２
が設けてある。

【００１３】排水トラップ１は合成樹脂製のトラップボ
ックス１０と各種トラップ部品を有している。トラップ
ボックス１０の上部開口縁部には挟持フランジ１１が設
けてある。トラップボックス１０の上部内周壁には螺子
部１２が設けてあり、内底部には複数の受けリブ１３
（図２に図示）が設けてある。そして受けリブ１３には
トラップ部品である椀体１４が装着してある。

【００１４】トラップボックス１０の側部には、横排水
口１５０を有する横引き排水管１５が設けられている。
トラップボックス１０の底部には、縦排水口１９０を有
する縦引き排水管１９が設けれられている。トラップボ
ックス１０は、横排水口１５０と縦排水口１９０のそれ
ぞれに共通している水封部１００を有している。そうし
て横排水口１５０と縦排水口１９０は択一的に止栓され
る。水封部１００の構造については後で説明する。

【００１５】横引き排水管１５の内底面１５１はトラッ
プボックス１０の内底面１０１と面一になるよう形成さ
れている。縦排水口１９０を止栓する止栓部材Ｃ２に
は、縦排水口１９０から縦引き排水管１９内に挿入され
る挿入部Ｃ２０が設けられている。挿入部Ｃ２０は止栓
時には上面Ｃ２１がトラップボックス１０の内底面１０
１と面一になるように形成されている。Ｃ１は横排水口
１５０を止栓する止栓部材である。

【００１６】トラップ部品は椀体１４の他、リング状の
パッキン１６、締付挟持具１７、導水具１８を備えてな
る。締付挟持具１７は挟持フランジ１７０を有し、外周
壁には螺子部１７１が設けてある。内底部には受けフラ
ンジ１７２が設けてあり、受けフランジ１７２には爪溝
１７３が設けてある。導水具１８は載置フランジ１８０
を有し、その下部には筒状の導水筒１８１が設けてあ
る。載置フランジ１８０にはリング状のパッキン１８２
が嵌め込んであり、載置フランジ１８０下部にはＬ状の
掛止爪１８３が設けてある。なお導水筒１８１の上部に
はつまみバー１８４が設けてある。

【００１７】排水トラップ１を排水枡２の装着口２１へ
装着する方法は次のとおりである。まず、排水枡２の装
着フランジ２２の上部にパッキン１６を載置し、その上
から装着口２１に締付挟持具１７を挿入する。次に、装
着フランジ２２の下側から締付挟持具１７に螺子部１７
１と螺子部１２を螺合してトラップボックス１０をねじ
込み、装着フランジ２２を挟持して固定する。そして、
締付挟持具１７に導水具１８を挿入し、掛止爪１８３を
爪溝１７３に嵌め入れ、一方へ回して掛止する。

【００１８】導水具１８には目皿３が載置される。目皿
３は合成樹脂製で円形である。目皿３は中心へ向かって
なだらかに盛り上がった三本のリブからなる突出リブ３
０を有している。突出リブ３０で区画された部分には一
定間隔で複数の分離リブ３１が設けてあり、通水可能に
してある。

【００１９】排水枡２には、ステンレス製の蓋体４が嵌
め入れて載置してある。蓋体４の上板４０の両側には垂
下方向に脚板４１が設けてある。上板４０にはほぼ全面
にわたり通水孔４２が多数設けてある。４３は指掛部で
ある。

【００２０】図３は排水口の方向が調整可能であること
を示す説明図、図４は施工状態を示す説明図である。図
１ないし図４を参照して本実施例の作用を説明する。排
水ユニットＡ１は、図４に示すように浴室の洗い場床等
に埋設して施工される。排水ユニットＡ１が有している
排水枡２は長方形で比較的大きいので貯留水量も大き
く、床排水は床にあふれることなく一旦排水枡の中に貯
留され、その後に排出される。

【００２１】また排水トラップ１は、締付挟持具１７と
導水具１８を螺合して装着フランジ２２を挟持して固定
される構造であるので、緩めた状態では排水トラップ１
は周方向に回すことができる。つまり、トラップボック
ス１０に設けてある横引き排水管１５の方向は自由に設
定できるので、施工時に便利である。

【００２２】図５は本考案の他の実施例を示す分解斜視
図、図６は目皿と蓋体を除いた断面図である。本実施例
における排水ユニットＡ２の排水枡２ａは正方形の浅い
枡体で、蓋体４ａもそれに対応して上板４０が正方形と
なっている。排水枡２ａはタイルとの整合性がよいの
で、例えばタイルを一枚抜いた部分に施工でき、施工が
しやすく外観も美麗である。なお、図５、図６におい
て、図１、図２に示す排水ユニットＡ１と同一または同
等箇所には同一符号を付して示している。本考案は図示
の実施例に限定されるものではなく、実用新案登録請求
の範囲の記載内において種々の変形が可能である。

【００２３】

【考案の効果】本考案は上記構成を備え、横引き排水管
の内底面はトラップボックスの内底面と面一になるよう
形成されており、縦排水口を止栓する止栓部材には、縦
排水口から縦引き排水管内に挿入される挿入部が設けら
れており、挿入部は止栓時には上面はトラップボックス
の内底面と面一になるように形成されている。このよう
に横方向に排水する場合の排水の流路に湯垢や頭髪が溜
まるような窪みや段差が設けられないので横方向に排水
する場合の排水効率の低下を防止した排水トラップ及び
それを使用した排水ユニットが提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる排水ユニットの一実施例を示す
分解斜視図。

【図２】一実施例の目皿と蓋体を除いた要部断面図。

【図３】排水口の方向が調整可能であることを示す説明
図。

【図４】施工状態を示す説明図。

【図５】本考案の他の実施例を示す分解斜視図。

【図６】他の実施例の目皿と蓋体を除いた断面図。

【符号の説明】

Ａ１、Ａ２ 排水ユニット １ 排水トラップ １０ トラップボックス １５ 横引き排水管 １５０ 横排水口 １５１ 内底面 １９ 縦引き排水管 １９０ 縦排水口 １００ 水封部 １０１ 内底面 Ｃ２ 止栓部材 Ｃ２０ 挿入部 Ｃ２１ 上面 ２ 排水枡 ３ 目皿 ４ 蓋体

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トラップボックス（１０）の側部に設け
   られており横排水口（１５０）を有する横引き排水管
   （１５）と、 前記トラップボックス（１０）の底部に設けられており
   縦排水口（１９０）を有する縦引き排水管（１９）と、 前記トラップボックス（１０）中に設けられており、前
   記横排水口（１５０）と縦排水口（１９０）のそれぞれ
   に共通している水封部（１００）と、 を備え、前記横排水口（１５０）と縦排水口（１９０）
   は択一的に止栓される排水トラップにおいて、 前記横引き排水管（１５）の内底面（１５１）は前記ト
   ラップボックス（１０）の内底面（１０１）と面一にな
   るよう形成されており、 前記縦排水口（１９０）を止栓する止栓部材（Ｃ２）に
   は、縦排水口（１９０）から縦引き排水管（１９）内に
   挿入される挿入部（Ｃ２０）が設けられており、 当該挿入部（Ｃ２０）は止栓時には上面（Ｃ２１）が前
   記トラップボックス（１０）の内底面（１０１）と面一
   になるように形成されていることを特徴とする、 排水トラップ。
2. 【請求項２】 請求項１記載の排水トラップと、 当該排水トラップが装着可能な装着口を有する排水枡
   と、 を備えてなることを特徴とする、 排水ユニット。
3. 【請求項３】 請求項１記載の排水トラップと、 当該排水トラップが装着可能な装着口を有する排水枡
   と、 前記排水トラップの上部に装着される目皿と、 前記排水枡の開口部に装着される蓋体と、 を備えてなることを特徴とする、 排水ユニット。