JP2507894Y2 - パイプ固定部を備えたパイプ - Google Patents

パイプ固定部を備えたパイプ

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JP2507894Y2 JP1989074984U JP7498489U JP2507894Y2 JP 2507894 Y2 JP2507894 Y2 JP 2507894Y2 JP 1989074984 U JP1989074984 U JP 1989074984U JP 7498489 U JP7498489 U JP 7498489U JP 2507894 Y2 JP2507894 Y2 JP 2507894Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、自動車の燃料配管や油圧配管等に用いられ
る金属製のパイプに関するもので、特に、車体パネル等
の支持体に固定するための固定部を備えたパイプに関す
るものである。
(従来の技術) 自動車には、燃料配管やブレーキ装置用の油圧配管、
ステアリング装置用の油圧配管など、多数の配管が施さ
れる。それらの配管は長いので、その配管には防食処理
を施した金属製のパイプが用いられる。そして、そのパ
イプは途中の数個所で固定される。通常、そのパイプは
車体パネル等の支持体に沿って配設されるので、その支
持体によって固定支持されるようにする。
そのようにパイプを支持体に固定する場合、従来は、
パイプ把持部を有する樹脂クランプにパイプを把持さ
せ、その樹脂クランプを支持体に嵌合固着したり、パイ
プをベルトによって押さえ付け、そのベルトをボルト等
によって支持体に締め付けたりするようにしていた。ま
た、パイプにブラケットを溶接固着し、そのブラケット
をボルトによって支持体に締結するようなことも行われ
ていた。
(考案が解決しようとする課題) しかしながら、樹脂クランプやベルトを用いるもので
は、パイプの長手方向の移動やその軸線まわりの回転を
抑制することができない。そのために、パイプの正確な
位置決めができないという問題がある。また、その樹脂
クランプやベルトはパイプとは別部品となるので、部品
点数が増加するという問題もある。
一方、パイプにブラケットを溶接するものでは、防食
処理が施されたパイプを用いても、その溶接によって表
面処理被膜が破損してしまう。したがって、防食処理は
溶接後に行わなければならず、工程数が増加してコスト
もかさむという問題がある。しかも、溶接部には表面処
理被膜が付着しにくいので、溶接後に防食処理したとし
ても、安定した防食性能が得られない。
本考案は、このような問題に鑑みてなされたものであ
って、その目的は、あらかじめ表面処理が施されたパイ
プであっても、その表面処理を損なうことなく、高い位
置精度で支持体に固定することができるようにすること
である。
(課題を解決するための手段) この目的を達成するために、本考案では、金属製のパ
イプを支持体に固定するための取り付け部材を、そのパ
イプの全長の一部に一体成形される樹脂成形品によって
形成するようにしている。その取り付け部材が設けられ
る部分のパイプには、横断面形状が非円形の部分、ある
いは曲げ部が形成される。また、パイプに保護チューブ
が被覆されている場合には、そのチューブの端末部から
パイプの露出部にかけての部分に取り付け部材が設けら
れる。
このように構成することにより、樹脂成形品の取り付
け部材は、その成形時にパイプに強固に接着される。し
たがって、その取り付け部材をボルト等によって支持体
に締め付ければ、パイプはその位置で確実に固定され
る。そして、樹脂の成形温度は比較的低いので、表面処
理が施されたパイプにそのような取り付け部材を一体成
形しても、パイプの表面処理被膜が損傷することはな
い。また、取り付け部材はパイプの一部のみに設けられ
るので、金属製のパイプと樹脂材からなる取り付け部材
との熱膨張率の差に基づく応力や剥離の発生も少なくな
る。
(実施例) 以下、図面を用いて本考案の実施例を説明する。
図中、第1〜3図は本考案によるパイプ固定部を備え
たパイプの一実施例を示すもので、第1図はその全体斜
視図であり、第2,3図はその要部の水平断面図及び垂直
断面図である。
第1図から明らかなように、この実施例においては、
2本のパイプ1,1がほぼ並列状に配置されている。それ
らのパイプ1,1は金属製のもので、その長手方向の適所
には、それらのパイプ1,1を車体パネル2等の支持体に
固定するための取り付け部材3が固着されている。その
取り付け部材3は、2本のパイプ1,1を取り付け部材3
の成形用金型にセットし、その金型内に樹脂を射出する
ことにより、パイプ1,1と一体成形した樹脂成形品で、
2本のパイプ1,1を取り囲む本体部3aと、その本体部3a
の下端部から側方に突出するステー部3bとを備えてい
る。そのステー部3bにはボルト挿通孔4が設けられてお
り、その挿通孔4に挿通されるボルト5によって取り付
け部材3が車体パネル2に締結され、それによってパイ
プ1,1が固定されるようになっている。すなわち、その
取り付け部材3が設けられる部分がパイプ固定部となっ
ている。
第2,3図に示されているように、一般部において円形
断面のパイプ1,1は、取り付け部材3が設けられる部分
においては部分的にひし形断面とされている。また、そ
のパイプ1,1は、防食のための表面処理を施したものと
されている。
このように構成されたパイプ1,1においては、取り付
け部材3がパイプ1,1に一体成形されるので、その成形
時に溶融樹脂がパイプ1,1の表面に付着して固化するこ
とにより、取り付け部材3とパイプ1,1とは強固に接着
される。しかも、取り付け部材3がパイプ1,1とともに
型成形されることにより、ボルト挿通孔4とパイプ1,1
との位置関係も極めて正確となる。したがって、パイプ
1,1は高い位置精度で固定されるようになる。そして、
射出される溶融樹脂の温度は、溶接時の温度に比べれば
はるかに低いので、取り付け部材3の射出成形によって
パイプ1,1の表面処理が損なわれることもない。したが
って、改めて表面処理を施す必要がない。更に、パイプ
1,1と取り付け部材3とが一体化されることにより、そ
れらが一つの部品となる。したがって、部品管理も容易
となる。
こうして、位置決め精度が高く、安価で、しかも防食
性能の安定した、パイプ固定部を有するパイプ1,1を得
ることができる。
そして、取り付け部材3が設けられる部分のパイプ1,
1の横断面を、一般部とは異なるひし形状とすることに
より、その取り付け部材3に対してパイプ1,1が長手方
向に移動したり軸線まわりに回転したりすることが防止
される。したがって、パイプ1,1と取り付け部材3との
熱膨張差などに基づく経年変化により取り付け部材3が
パイプ1,1の表面から剥離したとしても、パイプ1,1の位
置は確実に保持される。
なお、取り付け部材3が設けられる部分のパイプ1の
横断面は、上記実施例のようなひし形のほか、第4図に
示されているような長円形形状や、第5図に示されてい
るような正方形形状とすることもできる。その部分が一
般部とは異なる非円形断面とされていさえすれば、同様
な作用効果を得ることができる。
また、取り付け部材3のステー部3bも、第4図に示さ
れているように本体部3aから下方に突出するものとした
り、第5図に示されているように本体部3aの中央部から
側方に突出するものとしたりすることができる。そのよ
うにすることによって、車体パネル2等の支持体の形状
にかかわらず、パイプ1を正確に配設することが可能と
なる。取り付け部材3が樹脂成形品とされているので、
そのように自由に形状を設定することができる。
第6,7図は本考案によるパイプの他の実施例を示す斜
視図及びその水平断面図である。
この実施例の場合には、パイプ1はほぼ直角に折り曲
げられている。そして、その折り曲げ部1aに、取り付け
部材3が一体成形されている。
このように構成されたものにおいても、パイプ1が取
り付け部材3に対して長手方向に移動したり軸線まわり
に回転したりすることは確実に阻止される。したがっ
て、パイプ1の位置決めは正確に行われる。しかも、パ
イプ1の断面は、全長にわたって同一形状とすることが
できる。
パイプ1を例えば車体前後方向など、一定方向に配置
する必要がある場合には、第8図に示されているように
パイプ1の途中に屈曲部1bを設け、そこに取り付け部材
3を一体成形するようにすればよい。また、パイプ1を
できるだけ同一軸線上に配置することが求められる場合
には、第9図に示されているように、取り付け部材3が
設けられる部分に局部的な湾曲部1cを形成するようにす
ればよい。このようなものにおいても、第6,7図の実施
例と同様な作用効果が得られることは明らかであろう。
第10図は本考案によるパイプの更に異なる実施例を示
すものである。
この実施例においては、パイプ1の中間部外周に樹脂
材からなる保護チューブ6が被覆されており、そのチュ
ーブ6によってパイプ1がチッピングから保護されるよ
うになっている。パイプ1の端部はチューブ6から露出
しており、その露出部からチューブ6の端末部にかけて
の部分を覆うようにして、取り付け部材3が一体成形さ
れている。
このように構成されたものにおいても、前述の実施例
と同様の作用効果を得ることができる。また、チューブ
6の端末部が取り付け部材3によって覆われるので、チ
ューブ6が端末部からまくれ上がるようなことが防止さ
れる。更に、チューブ6の端末部が密封されるので、チ
ューブ6とパイプ1との間に水などが浸入することも防
止される。
第11図は本考案によるパイプ固定部を備えたパイプの
更に他の実施例を示す横断面図である。
この図から明らかなように、この実施例の場合には、
取り付け部材3がパイプ1に一体成形されるとともに、
その取り付け部材3のステー部3bに、ねじ部材であるボ
ルト7が一体に埋設されて固着されている。
このようなパイプ固定部は、取り付け部材3の成形用
金型にパイプ1及びボルト7をそれぞれセットしてお
き、その金型内に溶融樹脂を射出注入することによって
容易に得ることができる。
このようにすれば、パイプ1を固定するためのボルト
7までが一部品となるので、部品管理が更に容易とな
る。また、位置精度もより高めることができる。そし
て、ボルト7は取り付け部材3の成形時に同時に埋設さ
れるので、製造コストが増大することもない。
このように取り付け部材3に埋設されるねじ部材とし
ては、ナット等とすることもできることはいうまでもな
い。
なお、上記実施例においては、取り付け部材3がボル
ト5,7等のねじ部材によって車体パネル2等の支持体に
締結されるものとしているが、例えば取り付け部材3の
下面にクリップを一体成形しておき、そのクリップによ
って支持体に固着されるようにすることもできる。
また、締め付け部材3の本体部3aは、必ずしもパイプ
1の全周を取り囲むものとする必要はなく、その外周を
部分的に取り囲むものとすることもできる。
(考案の効果) 以上の説明から明らかなように、本考案によれば、樹
脂からなる取り付け部材をパイプに一体成形するように
しているので、パイプの固定位置精度を高めることがで
きる。しかも、樹脂を一体成形することによってもパイ
プの表面処理被膜が損傷することがないので、あらかじ
め表面処理されたパイプを用いることができる。したが
って、組み付け精度が高く、防食性能の安定した、安価
なパイプ固定部を有するパイプを得ることができる。ま
た、取り付け部材はパイプの非円形断面部や曲げ部が形
成されている部分のみに設けられるので、その取り付け
部材のパイプ軸線方向の長さは短い。したがって、金属
製のパイプと樹脂材からなる取り付け部材との熱膨張率
の差に基づく応力や剥離の発生も少なくすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案によるパイプ固定部を備えたパイプの
一実施例を示す斜視図、 第2図は、そのパイプ固定部の水平断面図、 第3図は、第2図のIII−III線に沿う横断面図、 第4図及び第5図は、そのパイプ固定部の変形例を示す
第3図と同様の横断面図、 第6図は、本考案によるパイプの他の実施例を示す斜視
図、 第7図は、そのパイプ固定部の水平断面図、 第8図及び第9図は、そのパイプ固定部の変形例を示す
第7図と同様の水平断面図、 第10図は、本考案によるパイプの異なる実施例を示す縦
断面図、 第11図は、本考案によるパイプの更に異なる実施例を示
すパイプ固定部の横断面図である。 1…パイプ、2…車体パネル(支持体) 3…取り付け部材 6…保護チューブ 7…ボルト(ねじ部材)

Claims (4)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属製のパイプに、横断面が非円形形状を
    なす非円形断面部が設けられており、 その非円形断面部を含む前記パイプの一部に、前記パイ
    プを支持体に固定するための樹脂成形品からなる取り付
    け部材が一体成形されていることを特徴とする、 パイプ固定部を備えたパイプ。
  2. 【請求項2】金属製のパイプに曲げ部が形成されてお
    り、 その曲げ部を含む前記パイプの一部に、前記パイプを支
    持体に固定するための樹脂成形品からなる取り付け部材
    が一体成形されていることを特徴とする、 パイプ固定部を備えたパイプ。
  3. 【請求項3】金属製パイプの外周に樹脂材からなる保護
    チューブが被覆されており、 そのチューブの端末部外周から前記パイプの露出部外周
    にかけての部分に、前記パイプを支持体に固定するため
    の樹脂成形品からなる取り付け部材が一体成形されてい
    ることを特徴とする、 パイプ固定部を備えたパイプ。
  4. 【請求項4】前記取り付け部材に、その取り付け部材を
    前記支持体に固着するためのねじ部材が埋設されてい
    る、 請求項1ないし3のいずれか記載のパイプ固定部を備え
    たパイプ。
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