JP2022145654A - エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法 - Google Patents

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大樹 渡辺
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一成 阿部
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Ikuo Saotome
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Abstract

【課題】耐熱性および成形加工性にすぐれた加硫物を与えるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法を提供する。【解決手段】エチレン40~79.9モル%、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレート20.0~50.0モル%、不飽和ジカルボン酸モノ飽和エステル0.05~20.0モル%および不飽和ジカルボン酸無水物0~20.0モル%の割合で共重合された構造を有し、IRで測定した酸無水物のモノ飽和エステル化率が70%以上であるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法に関する。さらに詳しくは、耐熱性および成形加工性にすぐれた加硫物を与えるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法に関する。
耐油耐熱性にすぐれた加硫物を与える共重合体として、特許文献1では、エチレン、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルおよび1,4-ブテンジオン酸モノアルキルエステルを単量体として含有するランダム共重合体が提案されている。かかる共重合体は、高圧で重合して製造されるが、1,4-ブテンジオン酸モノアルキルエステルの腐蝕性のため、耐蝕性の高圧設備が必要となる。
特開昭50-49389号公報 特開平8-25586号公報 特公平7-94486号公報 特開昭61-272204号公報 特開2010-235955号公報
本発明の目的は、耐熱性および成形加工性にすぐれた加硫物を与えるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法を提供することにある。
かかる本発明の目的は、エチレン40~79.9モル%、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレート20.0~50.0モル%、不飽和ジカルボン酸モノ飽和エステル0.05~20.0モル%および不飽和ジカルボン酸無水物0~20.0モル%の割合で共重合された構造を有し、赤外吸収スペクトル(IR)で測定した酸無水物のモノ飽和エステル化率が70%以上であるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーによって達成される。
このエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーは、エチレン、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレートおよび不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体について、不飽和ジカルボン酸無水物をモノ飽和エステル化変性処理することによって製造される。
本発明にかかるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーから得られる加硫物は、耐熱性および成形加工性にすぐれており、自動車等の輸送機器、産業機械、一般機器、電気機器等の幅広い分野におけるゴム部品、例えばOリング、各種パッキン、オイルシール、ベアリングシール、ヘッドカバーガスケット、プラグチューブガスケット、エンジンヘッドカバーガスケット、オイルフィルターパッキン、オイルパンガスケット、防振部品、オイルホース、燃料ホース、エアーホース、エアーダクトホース、ターボチャージャーホース、PCVホース、EGRホース、インタークーラーホース等のホース類などとして有効に用いられる。
(メタ)アクリレートとしては、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレートの少なくとも一種が用いられ、これらは単独または組み合わせて用いることができる。ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを指している。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート等が用いられる。一般的に、アルキル基の鎖長が長くなると耐寒性の点では有利となるが、耐油性では不利となり、鎖長が短いとその逆の傾向がみられ、耐油性、耐寒性のバランス上からはメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレートが好んで用いられる。さらに好ましくは、メチルアクリレートが用いられる。
また、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等が用いられる。
不飽和ジカルボン酸無水物は、分子中にラジカル重合可能な不飽和結合と酸無水物基を各々1個以上有する化合物であり、例えば無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、2-(2-カルボキシエチル)-3-メチルマレイン酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3-ジフェニルマレイン酸無水物、アリルこはく酸無水物、(2-メチル-2-プロペニル)こはく酸無水物、2-ブテン-1-イルこはく酸無水物、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物等が挙げられ、好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が用いられる。これらは単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
以上の単量体に加えて、必要に応じて、その特性が損なわれない範囲で他の共重合可能な単量体、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ペンタフロロプロピル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート等のビニル化合物やイソプレン、ペンタジエン、ブタジエン等のジエン化合物、プロプレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィンを、また混練加工性や押出加工性などを改善する目的で、多官能性(メタ)アクリレートまたはオリゴマー、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、3-アクリロイルオキシグリセリンモノメタクリレート等をさらに共重合して用いることもできる。
共重合体の製造方法は特に限定されないが、ラジカル溶液重合法など(特許文献2~3)、種々の重合方法を適宜用いることができる。一般には、高圧法低密度ポリエチレンの製造設備およびその技術を利用して製造することができ、例えば塊状重合法により、70~350MPa、好ましくは100~250MPaの重合圧力で、また100~300℃、好ましくは150~270℃の重合温度で、ラジカル重合法で製造される。重合圧力が70MPa未満では、重合体の分子量が低くなり、成形性、樹脂組成物の樹脂物性が悪化する。一方、350MPaを超えると、製造コストを高めるだけで、実質的には無意味である。また、重合温度が100℃未満では重合反応が安定せず、共重合体への転化率が低下し、経済的に問題がある。一方、300℃を超えると、共重合体の分子量が低下すると同時に暴走反応の危険性が生じる。
ラジカル重合性ジカルボン酸無水物は重合安定性が乏しいため、高度の反応器内の均一化が必要である。また、必要に応じて複数個の反応器を直列または並列に接続し、多段重合を行うこともできる。さらに、反応器内部を複数のゾーンに仕切ることによって、より緻密な温度コントロールを行うこともできる。また、重合に供するエチレンの温度を調整することで重合反応速度を調節することが可能であり、重合温度との温度差が大きいほど重合反応速度を高められる。
重合反応は、少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤の存在下で行われる。ラジカル重合に使用されるフリーラジカル重合開始剤は遊離基を発生させる化合物が選択され、例えば酸素、ジ第3ブチルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、第3ブチルパーオキシイソブチレート、第3ブチルパーオキシネオデカネート、第3ブチルパーオキシピバレート、第3ブチルパーオキシラウレート等のパーオキシエステル、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、1,1-ビス第3ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2-ビス第3ブチルパーオキシオクタン等のパーオキシケタール、第3ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、2,2-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。
得られた酸無水物を含むエチレン-(メタ)アクリレート系共重合体は、せん断条件下でモノ飽和エステル化変性処理するせん断溶融混練法、好ましくはロール型混練機、密閉式混練機または二軸押出機を用いてのモノ飽和エステル化変性処理が行われる。
せん断溶融混錬法によるモノ飽和エステル化変性処理は、酸無水物を含むエチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を、混練機を用いてせん断を加えながら、飽和アルコール、好ましくは一級飽和アルコールと反応させることにより行われる。飽和アルコールは、変性時に使用する設備や、反応温度あるいは触媒の種類などの処理条件に適したものが用いられ、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、メトキシメタノール、エトキシメタノール、ブトキシメタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2-[2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール等が、好ましくは1-ブタノール、1-ヘキサノール、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノールが、(アルコールのモル数)/(共重合されたマレイン酸無水物のモル数)が1.6以上となるように用いられる。この値が1.6未満では、モノエステル化率が70%以上とならない。
モノ飽和エステル化を促進するためには、モノ飽和エステル化触媒を用いることもできる。また、モノ飽和エステル化変性処理は溶媒を用いることなく行うことができるが、流動性を調整する目的で少量の溶媒を使用することもできる。
モノ飽和エステル化変性処理に利用可能な混練機としては、例えばロール型混練機、単軸押出機、二軸押出機、ニーダ、ロール型混練機、バンバリーミキサ、ブラベンダ、往復式混練機(BUSS KNEADER)等を制限なく使用することができ、好ましくは連続的にモノ飽和エステル化変性処理をすることが可能で生産性の面で有利なロール型混練機、単軸押出機、二軸押出機、往復式混練機(BUSS KNEADER)であり、さらに好ましくは付帯設備の汎用性の観点からロール型混練機または二軸押出機が用いられる。
モノ飽和エステル化触媒としては、酸触媒と塩基触媒のいずれも使用することが可能であり、酸触媒として、例えばベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸類;塩酸、硝酸、硫酸、りん酸等の鉱酸類;ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸塩等のヘテロポリ酸類が、塩基触媒としては、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩や水酸化物等の無機塩基、脂肪族や芳香族の有機塩基、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の脂肪酸塩等を用いることができ、好ましくはアルカリ金属の脂肪酸塩、有機塩基が用いられる。アルカリ金属の脂肪酸塩としては、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸のアルカリ金属塩、好ましくはステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウムのアルカリ金属塩が、有機塩基としては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7または1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン-5およびこれらの塩、三級アミン等のアミン化合物、イミダゾール等が挙げられる。モノ飽和エステル化触媒の使用量は、エチレン-(メタ)アクリレート系共重合体100重量部に対し約0.01~10重量部、好ましくは約0.1~5重量部の割合で用いられ、モノ飽和エステル化変性処理により、ジカルボン酸無水物がモノ飽和エステルとなる。
なお、特許文献4には、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキル・無水マレイン酸・マレイン酸エステル4元共重合体を、不飽和アミンまたは不飽和アルコールで変性するに際し、マレイン酸のハーフエステル共重合体のラボプラストミルによる混練が行われると記載されている。
原料3元共重合体の加水分解反応またはハーフエステル化反応については、加水分解反応が有機溶媒中で3級アミン塩等の触媒の存在下で行われており、ハーフエステル化反応は同じような溶液法または溶融法により行われ、溶融法ではバンバリミキサ、押出機等の混練機が使用されると述べられてはいるが、実施例はいずれも溶液法が用いられている。
モノ飽和エステル化変性処理をした後、モノ飽和エステル化率を向上させるために好ましくはエイジング処理が行われる。エイジング温度は約0~100℃であり、エイジング時間はエイジング温度によって適宜設定される。例えば23℃の室温では1日以上のエイジング時間が設定され、エイジング温度が高くなればそれに伴いエイジング時間を短くすることが可能であるが、経済性の観点からは室温下でのエイジングが採用される。
モノ飽和エステル化変性処理されたエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの内、耐熱性および成形加工性にすぐれた加硫物を得るといった観点から、エチレン40~79.9モル%、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレート20.0~50.0モル%、不飽和ジカルボン酸モノ飽和エステル0.05~20.0モル%および不飽和ジカルボン酸無水物0~20.0モル%の割合で共重合された構造を有し、IRで測定した酸無水物のモノ飽和エステル化率が70%以上であるものが選択され、これに加硫剤を配合してエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー組成物の調製が行われる。
なお、IRで測定した酸無水物のモノ飽和エステル化率が70%未満のものを用いると、これに加硫剤を配合した組成物の混合物のMLmin(125℃)が大きく、かつt5が短いために、成形物に成形することができない。また、IRで測定したエステル化率は、IR吸光度比の検量線を使って、ピーク比(A1855/A4254)から算出される。
エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの加硫剤としては、アミン系加硫剤、有機過酸化物架橋剤を用いることができる。
アミン系加硫剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N′-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、4,4′-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、エチレンジアミン、エチレンジアミンカルバメート、シクロヘキサンジアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、3,3′-ジアミノプロピルアミン、シクロヘキサントリアミン、ヘキサメチレンジアミン-シンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミンベンゾエート、ジアミノ変性シロキサン等の脂肪族多価アミン化合物、4,4′-メチレンビスシクロヘキシルアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、4,4′-メチレンビスシクロヘキシルアミン-シンナムアルデヒド付加物等の脂環状ポリアミン化合物、N,N´-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、4,4′-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4′-メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、p-フェニレンジアミン、p,p′-エチレンジアニリン、4,4′-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4′-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルスルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェノール、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3,5-ベンゼントリアミン、4,4′-ジアミノベンズアニリド等の芳香族ポリアミン化合物などが挙げられる。さらにアミノ基が有機基で保護された脂肪族多価アミンも用いることができる。
また、特許文献5などにおいて開示されている、一般式
R2(SO2)m(CH2)nOCONHR1NHCOO(CH2)n(SO2)mR2
(ここで、R1はC1~C20の直鎖状または分岐状構造の2価の脂肪族アルキレン基、2価の脂環式炭化水素基または2価の芳香族基であり、R2は、カルバメート構造としたとき、塩基性加硫促進剤の作用で分解し、ジアミンを発生させ得る基であって、C1~C20のアルキル基、アルコキシル基、フェノキシ基、ハロアルキル基、オレフィン基、アリール基またはアラルキル基、フルオレニル含有基、S含有基、Si含有基、N含有基またはP含有基であり、S含有基またはN含有基は芳香族または脂環式の複素環式基であり、n:0、1または2であり、m:0または1である)で表されるジウレタン化合物、好ましくは一般式 H2N(CH2)lNH2(l=4~6)で表されるアルキレンジアミンのアミノ基を9-フルオレニルメチルクロロホーメート〔Fmoc〕でジ置換したジウレタン化合物、さらに好ましくはヘキサメチレンジアミン(l=6)のアミノ基を〔Fmoc〕でジ置換したジウレタン化合物〔HMDA-Fmoc〕
Figure 2022145654000001
を用いることもできる。
このようなポリアミン化合物加硫剤は、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー100重量部当り約0.1~5重量部、好ましくは約0.5~2重量部の割合で用いられる。加硫剤の配合量がこれより少ないと加硫が不十分となり、加硫物の機械的物性の低下、加硫速度の低下を招く。加硫剤の配合量がこれより多いと、加硫が過度に進行し加硫物の弾性が低下する場合がある。加硫に際しては、塩基性加硫促進剤、チウラム系架橋促進剤、チオ尿素系架橋促進剤が、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー100重量部当り約0.5~5重量部、好ましくは約0.5~3重量部の割合で併用される。
塩基性加硫促進剤としては、グアニジン化合物あるいは1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン-5等のジアザビシクロアルケン化合物またはその有機酸塩、無機酸塩が用いられ、好ましくはその添加効果がより高いといった観点から、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7〔DBU〕が用いられる。また、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7とシリカとの混合物を用いることもでき、実際にはSafic Alcan社製品Vulcofac ACT55等が用いられる。
ジアザビシクロアルケン化合物の有機酸塩または無機酸塩を形成する化合物としては、塩酸、硫酸、カルボン酸、スルホン酸、フェノール等が挙げられる。カルボン酸としては、例えばオクチル酸、オレイン酸、ギ酸、オルソフタル酸、アジピン酸等が、またスルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。これらは単独または二種以上を併用することができる。
グアニジン化合物としては、グアニジンまたはその置換体、例えばアミノグアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、n-ドデシルグアニジン、メチロールグアニジン、ジメチロールグアニジン、1-フェニルグアニジン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、1-ベンジル-2,3-ジメチルグアニジン、シアノグアニジン等が用いられ、この他1,6-グアニジノヘキサン、グアニル尿素、ビグアニド、1-o-トリルビグアニド等も用いられる。
チウラム系化合物としてはテトラメチルチウラムジスルフィド等が、チオ尿素系化合物としてはN,N′-ジフェニルチオ尿素等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばジ第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ(第3ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ジ(第3ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n-ブチル-4,4-ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー100重量部当り約0.2~10重量部、好ましくは約0.75~2重量部の割合で用いられる。
過酸化物架橋性組成物には多官能性不飽和化合物よりなる過酸化物架橋用架橋助剤が併用されることが好ましく、多官能性不飽和化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリテート、ビスマレイミド化合物(例えば、N,N′-m-フェニレンビスマレイミド、N,N′-p-フェニレンビスマレイミド、N,N′-p-フェニレン-(1-メチル)ビスマレイミド、N,N′-2,7-ナフタレンビスマレイミド、N,N′-m-フェニレン-4-メチルビスマレイミド、N,N′-m-フェニレン(4-エチル)ビスマレイミド等が用いられ、好ましくはN,N′-m-フェニレンジマレイミドが、共重合体100重量部当り約0.2~15重量部、好ましくは約1~10重量部の割合で用いられる。
エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーには、必要に応じて補強剤、充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、スコーチ防止剤、滑剤等の各種添加剤が適宜配合されて用いられる。
補強材・充填剤としては、例えば塩基性シリカ、酸性シリカ等のシリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;合成ハイドロタルサイト;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック(MTカーボンブラック、SRFカーボンブラック、FEFカーボンブラック、HAFカーボンブラック等)、フッ素化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えばフェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-β-ナフチルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)-ジフェニルアミン、4,4′-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド-アニリン縮合物等のアミン系老化防止剤;2,6-ジ第3ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6-ジ第3ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、オクタデシル-3-(3,5-ジ第3ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、モノ、ジまたはトリ(α-メチルベンジル)フェノール等のスチレン化フェノール、2,2′-メチレン-ビス(6-α-メチルベンジル-p-クレゾール)、4,4′-メチレンビス(2,6-ジ第3ブチルフノール)、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6第3ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p-クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、1,3,5-トリス(3′,5′-ジ第3ブチル-4′-ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5第3ブチルフェニル)ブタン、ブチリデンビス(メチル-ブチルフェノール)、3-(4′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ第3ブチルフェニル)プロピオン酸-n-オクタデシル、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3′,5′-ジ第3ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2′-ジメチル-2,2′-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイル)ジプロパン-1,1′-ジイルビス[3-(第3ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノアート]、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ第3ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6-ジ第3ブチル-4-メチルフェノール等のフェノール老化防止剤;3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ第3ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10-テトラ第3ブチル-6-[(2-エチルヘキサン-1-イル)オキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、トリス(2,4-ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスフィト、2-エチルヘキシルジフェニルホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシルホスフィット、トリフェニルホスファイト等のホスファイト系老化防止剤;その他チオフェノール系老化防止剤、硫黄エステル系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ハイドロキノン系老化防止剤等が挙げられる。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
加工助剤としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤等が挙げられる。
可塑剤としては例えばエポキシ樹脂、フタル酸やセバシン酸の誘導体等が、軟化剤としては例えば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
組成物の調製は、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーにオープンロールあるいは密閉式混練機を用いて補強剤、安定剤、加工助剤等を添加した後、さらに加硫剤および加硫促進剤を添加することにより調製される。加硫成形は、約150~200℃、約1~30分間の一次加硫を行った後、必要に応じて約150~200℃、約1~16時間のオーブン加硫(二次加硫)が行われる。成形は、製品に応じてプレス成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形等の公知な方法を適用することができる。
次に、実施例について本発明を説明する。
重合例1~4
重合例1は、容積5Lオートクレーブを有する高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備を使用し、反応器入口におけるモノマー組成が、エチレン89.7wt%、アクリル酸メチル10.1wt%および無水マレイン酸0.19wt%となるように反応器に注入した。反応開始剤としてジ-(2-エチルへキシルパーオキシ)ジカーボネートを使用し、重合温度165℃(重合例4のみ155℃)、重合圧力140MPa(重合例4のみ170MPa)の条件下で重合した。その他の製造例も、モノマー組成、重合温度、重合圧力を調整することにより製造し、表1の共重合体を得た。
ここで、3元共重合体の共重合組成(mol%)は、主モノマー組成比(MA/E)とMAH含有量から計算された。
・主モノマー組成比(mol%)は、IRで測定された。はじめに、4600cm-1と3500cm-1でベースラインを引き、エチレン由来の4254cm-1ピークの高さを測定した。次に、3510cm-1で1点ベースラインを引き、MA由来の3457cm-1ピーク高さを測定した。さらに、ピーク比(A3457/A4254)を算出し、別途NMRを用いて作成したMA含有量とIR吸光度比の検量線を使用して、主モノマー組成比(mol%)を算出した。
・MAH含有量(mol%)は、IRで測定された。はじめに、4600cm-1で1点ベースラインを引き、エチレン由来の4254cm-1ピーク高さを測定した。次に、1875cm-1と1825cm-1でベースラインを引き、MAH由来の1855cm-1ピークの高さを測定した。さらに、別途作成された滴定法によるMAH含量とIR吸光度比の検量線を使って、ピーク比(A1855/A4254)からMAH含量を算出した。
Figure 2022145654000002
実施例1
(1) 重合例1で得られた3元共重合体 100重量部
1-ブタノール(b.p.117℃、Mw 74.1) 6 〃
(アルコール/MAH モル比:1.89)
ステアリン酸カリウム 2 〃
以上の各成分を用い、容積100ml、ローラ型ブレード形状の密閉式混練機(東洋精機製品ラボプラストミルR100)による、モノ飽和エステル化変性処理を次のようにして行った。
はじめに、混練機を80~90℃に予熱し、ポリマーおよび変性触媒を投入し、素練りを回転速度30rpmで2分間実施した。次に、アルコールを規定量投入し、回転速度30rpmで15分間混練し、排出した。さらに、排出された共重合体を2~3cm程度の小片に切断し、温度60℃で24時間の減圧乾燥を実施した。この時の圧力は、-0.1MPa(減圧乾燥器の圧力表示)であった。なお、アルコール/MAH モル比は、変性に使われた飽和アルコール量と3元共重合体のMAH含量を用いて、次の計算式で算出された。
アルコールの量(mol/100g共重合体)/3元共重合体のMAH含量(mol/100g共重合体)
・モノ飽和エステル化変性率(%)は 次の計算式で計算された。
〔(3元共重合体のMAH含有量(mol%)-変性後のMAH含有量(mol%)〕/(3元共重合体のMAH含有量(mol%)〕×100
得られたモノ飽和エステル化変性処理共重合体について、MFR(メルトフローレイト;JIS K-7210準拠、190℃、2.16kg)およびDSCを用いた耐寒性の測定を行った。DSCは、SII社製 DSC6220を使用し、-100℃から100℃に毎分10℃の昇温速度で昇温し、DSC曲線の微分値のピークを与える温度をTgとした。
(2) 上記(1)で得られたモノ飽和エステル化変性処理共重合体 100重量部
ステアリン酸 2 〃
アミン系老化防止剤(大内新興化学工業製品ノクラックCD) 2 〃
FEFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストGS) 50 〃
リン酸ハーフエステル(東邦化学製品Phosphanol RL210) 1 〃
ステアリルアミン(花王製品ファーミン80) 1 〃
ヘキサメチレンジアミンカルバメート 1.25 〃
(ユニマテック製品CHEMINOX AC-6)
DBU-ドデカン二塩酸(70%品、Safic-Alcan製品 2 〃
Vulcofac ACT55)
以上の各成分を用い、大竹機械工業製8インチロールを用いた混練により、ゴム物性評価用組成物を作製し、得られた混練組成物について、180℃、10分間の一次加硫および175℃、4時間のオーブン加硫(二次加硫)を行い、加硫シートおよびJIS準拠の圧縮永久歪用ブロックを成形した。
得られた組成物および成形物について、次の各項目を測定した。
ムーニー粘度スコーチ:JIS K 6300準拠 機種:東洋精機製AM-4 125℃
常態値:JIS K 6253、6251準拠
耐熱老化性:JIS K 6257準拠 175℃/70hrs 硬度変化を評価
圧縮永久歪:JIS K 6262準拠 175℃/70hrs 25%圧縮
実施例2
実施例1において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理で用いられた1-ブタノール量が12重量部(アルコール/MAH モル比:3.77)に変更された。
比較例1
実施例1において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理で用いられた1-ブタノール量が4重量部(アルコール/MAH モル比:1.25)に変更された。
比較例2
実施例1において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理が行われなかった。
以上の各実施例1~2および比較例1で得られた結果は、次の表2に示される。ただし、比較例1では、混練物のMLminが大きく、かつt5が短いために加硫シートおよび圧縮永久歪用ブロックの成形ができず、成形物の物性は測定できなかった。また、比較例2では、混練時に生地焼けが生じ、特性の測定ができなかった。
Figure 2022145654000003
Figure 2022145654000004
実施例3
実施例1において、3元共重合体として重合例2で得られたものが同量(100重量部)用いられ、また工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に1-ヘキサノール(b.p.157℃、Mw 102.17)が18重量部(アルコール/MAH モル比:6.88)およびラウリン酸カリウムが2.5重量部用いられた。
実施例4
実施例3において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に用いられた1-ヘキサノール量が9重量部(アルコール/MAH モル比:3.44)に変更されて用いられた。
実施例5
実施例3において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に用いられた1-ヘキサノール量が27重量部(アルコール/MAH モル比:10.33)に変更されて用いられた。
比較例3
実施例3において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に用いられた1-ヘキサノール量が4重量部(アルコール/MAH モル比:1.53)に変更されて用いられた。
比較例4
実施例3において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理が行われなかった。
以上の各実施例3~5および比較例3で得られた結果は、次の表3に示される。ただし、比較例3では、混練物のMLminが大きく、かつt5が短いために加硫シートおよび圧縮永久歪用ブロックの成形ができず、成形物の物性は測定できなかった。また、比較例4では、混練時に生地焼けが生じ、特性の測定ができなかった。
Figure 2022145654000005
Figure 2022145654000006
実施例6
実施例3において、3元共重合体として、重合例3で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられ(アルコール/MAH モル比9.45)、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に用いる密閉式混練機として、1Lニーダー(モリヤマ製DS1-5MHB-E)が用いられ、ラウリン酸カリウムは用いられなかった。また、工程(2)において、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(CHEMINOX AC-6)およびDBU-ドデカン二塩酸以外の各成分を、モリヤマ製1Lニーダー(DS1-5MHB-E)を用いて混練し、次いで8インチオープンロール(大竹機械工業製)を用いて、ヘキサメチレンジアミンカルバメート1.2重量部およびDBU-ドデカン二塩酸(70%品)2重量部を配合し、混練してゴム物性評価用組成物を作製した。得られた混練組成物について、180℃、10分間の一次加硫および175℃、4時間のオーブン加硫(二次加硫)を行い、加硫シートおよびJIS準拠の圧縮永久歪用ブロックを成形した。
実施例7
実施例6において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に際し、さらにラウリン酸カリウム 50%マスターバッチ(金属石鹸製品)3重量部が用いられた。
実施例8
実施例6において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に際し、さらにジメチルステアリルアミン(花王製品Farmin DM8098)2重量部が用いられた。
実施例9
実施例6において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に際し、さらに1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(サンアプロ製品DBU)1重量部が用いられた。
実施例10
実施例6において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に際し、さらにジメチルステアリルアミン(花王製品Farmin D86)3.3重量部が用いられた。
比較例5
実施例6において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理が行われなかった。
実施例6~10で得られた結果は、次の表4に示される。ただし、比較例5では、混練時に生地焼けが生じ、特性の測定ができなかった。
Figure 2022145654000007
Figure 2022145654000008
実施例11
実施例1において、モノ飽和エステル化変性処理に用いる密閉式混練機として、1Lニーダー(モリヤマ製DS1-5MHB-E)が用いられ、3元共重合体として重合例4で得られたモノ飽和エステル化変性処理共重合体(アルコール/MAH モル比:5.67)を乾燥完了後、23℃、50%RH(相対湿度)下において4週間保管したものが同量(100重量部)用いられた。また、モノエステル化率については、乾燥完了後に加え、23℃、50%RH(相対湿度)の条件下で1週間保管時および4週間保管時においても、エイジングによるエステル化率の変化を確認すべく測定が行われた。
実施例12
実施例11において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に1-ヘキサノール9重量部(アルコール/MAH モル比:6.17)およびラウリン酸カリウム2.5重量部が用いられた。
実施例13
実施例11において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール(Mw:164.2) 7重量部(アルコール/MAH モル比:2.99)およびDBU-オクチル酸塩(サンアプロ製品製品U-CAT SA102)2重量部が用いられた。
実施例11~13で得られた結果は、次の表5に示される。
Figure 2022145654000009
Figure 2022145654000010
実施例14
実施例11において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に1-ヘキサノール18重量部(アルコール/MAH モル比:12.34)が用いられた。また、工程(2)において、ヘキサメチレンジアミンカルバメートおよびDBU-ドデカン二塩酸が用いられなかった。
実施例15
実施例14において、工程(1)のモノ飽和エステル化変性処理に際し、さらに1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)1重量部が用いられた。
実施例14~15で得られた結果は、次の表6に示される。
Figure 2022145654000011
Figure 2022145654000012

Claims (12)

  1. エチレン40~79.9モル%、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレート20.0~50.0モル%、不飽和ジカルボン酸モノ飽和エステル0.05~20.0モル%および不飽和ジカルボン酸無水物0~20.0モル%の割合で共重合された構造を有し、赤外吸収スペクトルで測定した酸無水物のモノ飽和エステル化率が70%以上であるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。
  2. アルキル(メタ)アクリレートがメチルアクリレートである請求項1記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。
  3. 不飽和ジカルボン酸モノ飽和エステルがマレイン酸モノ飽和エステルであり、不飽和ジカルボン酸無水物が無水マレイン酸である請求項1記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。
  4. エチレン、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレートおよび不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体について、不飽和ジカルボン酸無水物のモノ飽和エステル化変性処理を行うことを特徴とするエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  5. モノ飽和エステル化変性処理が、せん断溶融混練法を用い、共重合体を飽和アルコールと反応させることにより行われる請求項4記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  6. 飽和アルコールが、(アルコールのモル数)/(共重合されたマレイン酸無水物のモル数)が1.6以上の割合で用いられる請求項5記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  7. せん断溶融混練法がロール型混練機、密閉式混練機または二軸押出機を用いて行われる請求項5記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  8. モノ飽和エステル化変性処理が触媒を用いて行われる請求項4記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  9. 触媒が高級脂肪酸のアルカリ金属塩である請求項8記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  10. モノ飽和エステル化変性処理後にエイジング処理が行われる請求項4記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  11. 請求項1記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーに加硫剤を配合してなるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー組成物。
  12. 請求項11記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー組成物を加硫成形してなる加硫成形物。
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