JP2021191818A - アクリルゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】加硫遅延剤を配合することなく高速加硫および良好なスコーチ安定性を両立せしめたアクリルゴム組成物を提供する。【解決手段】カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、一般式(ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜5の低級アルキル基であり、R3は水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基であり、nは2〜10の整数であり、aは1または2である)で表されるカルバミン酸エステル化合物0.1〜10重量部を配合してなるアクリルゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリルゴム組成物に関する。さらに詳しくは、加硫遅延剤を配合することなく高速加硫および良好なスコーチ安定性を両立せしめるアクリルゴム組成物に関する。
カルボキシル基含有アクリルゴムは、アクリルゴムの中でも特に耐熱性、耐圧縮永久歪特性にすぐれ、かつ金属への非腐食性、環境への配慮などがなされたハロゲン非含有アクリルゴムであるため、近年ホース、シール材用途等への需要が増えている。しかしながら、加硫速度に対してスコーチタイムが短く、すなわち加硫速度を速くすればスコーチタイムが短すぎ、加硫速度を遅くすればスコーチタイムは長くなるという二律相反の傾向を有している。
より具体的には、加硫速度を満足し得る速さにまで高めた場合、スコーチタイムが短く、生地流れの悪化を招き、成形不良となる。加硫速度を遅くした場合には、成形時間が長くなり、コストの上昇につながる。このことは、加硫速度が速く、スコーチタイムが長いという理想からいうと、成形性に劣るということになる。
アクリルゴムの加硫成形方法としては、一般に型成形(射出成形、圧縮成形、トランスファー成形等)と押出成形とが用いられており、現在は成形時の加硫速度とスコーチタイムとのバランスをとるために、下記2つの加硫系の流れがある。
(1) 脂肪族ジアミン(加硫剤)/グアニジン(加硫促進剤)
(2) 芳香族ジアミン(加硫剤)/グアニジン(加硫促進剤)
主に加硫速度を優先する金型成形用途に用いられる脂肪族ジアミン加硫系は、主にスコーチタイム(t5:10分以上)を優先する押出成形用途の芳香族ジアミン加硫系よりも、加硫速度は速いがスコーチタイムが短く、一方脂肪族ジアミン加硫系よりもスコーチタイムが長い芳香族ジアミン加硫系(加硫剤としては4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、メチレンジアニリン等が用いられる)は、加硫速度が遅いといった欠点がみられる。したがって、高速加硫を可能とし、かつ非スコーチを両立することができる加硫系が望まれている。
ここで、脂肪族ジアミン加硫系の加硫機構について考えてみるに、脂肪族ジアミンとしてはヘキサメチレンジアミンカーバメート(6-アミノヘキシルカルバミン酸)H3N+(CH2)6NHCOO-がカルボキシル基含有アクリルゴムの加硫に広く用いられており、その加硫反応はこの加硫剤化合物に熱が適用されることで、ヘキサメチレンジアミンのアミノ基の保護基が100℃付近から熱分解脱炭酸してヘキサメチレンジアミンとなり、アクリルゴム中の架橋性官能基であるカルボキシル基等と反応して、加硫反応が進行するという形をとっている。このため、スコーチタイムが短い(スコーチ安定性に劣る)という欠点を有する。また、ヘキサメチレンジアミンを炭酸塩としている理由の一つは、ヘキサメチレンジアミンは吸湿性が強くかつ気化し易いため、取扱いが困難であることによる。
そこで、脂肪族ジアミン加硫系においては加硫遅延剤を配合させることが必要となるが、加硫遅延剤の配合は加硫物の物性低下を免れず好ましくない。
なお、カルボキシル基含有アクリルゴムとしては、カルボキシル基含有エチレンアクリルゴム(デュポン社製品ベーマックシリーズ)、特定のカルボキシル基含有アクリルゴム(電気化学工業製品電化ER)等も含まれ、これらのカルボキシル基含有アクリルゴムについてもスコーチタイムが短いという問題がみられる。なお、特許文献1〜10中には、加硫速度が速く、スコーチタイムも長くなるものもあるが、これらの場合には耐圧縮永久歪特性の低下を免れないものもある。
また、本出願人の出願に係る特許文献11には、HMDA-Fmoc
Figure 2021191818
または
HMDA-Dmoc
Figure 2021191818
等の一般式 R2(SO2)m(CH2)nOCONH-R1-NHCOO(CH2)n(SO2)mR2
R1:C1〜C20の2価脂肪族アルキレン基
2価脂環式シクロアルキレン基
2価芳香族基
R2:カーバメート構造としたとき、塩基性加硫促進剤の作
用で分解し、促進剤の作用で分解し、ジアミンを発生
し得る基
n:0、1または2
m:0または1
で表されるジウレタン化合物が記載されているが、後記比較例3に記載される如く、tc10の値が十分短いとはいえない。
特開平11−255997号公報 特開平11−100478号公報 特開平11−140264号公報 WO 2005/103143 特開2001−181464号公報 特開2001−316554号公報 特開2003−342437号公報 特開2002−317091号公報 特開2004−269873号公報 再表2003−4563号公報 WO 2009/096545
本発明の目的は、加硫遅延剤を配合することなく高速加硫および良好なスコーチ安定性を両立せしめたアクリルゴム組成物を提供することにある。
かかる本発明の目的は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、一般式
Figure 2021191818
(ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜5の低級アルキル基であり、R3は水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基であり、nは2〜10の整数であり、aは1または2である)で表されるカルバミン酸エステル化合物0.1〜10重量部を配合してなるアクリルゴム組成物によって達成される。
本発明に係るアクリルゴム組成物は、加硫遅延剤を配合することなく、脂肪族ジアミンの有する迅速な加硫速度および芳香族ジアミンの有する良好なスコーチ安定性といった両特性を有し、従来のアミン加硫系では実現できなかった短時間射出成形などを可能とする。
また、スコーチの観点からみて、脂肪族ジアミン加硫系が使用できず芳香族ジアミン加硫系を使用していた押出成形用途の加硫成形においても、本発明のカルバミン酸エステル化合物の使用により、高速加硫(短時間加硫)および高温押出が可能となる。
このため、スコーチの抑制による加硫速度の遅延を改善することができ、射出成形時などに問題となっていたこの問題を解決することで、成形条件の設定範囲を広げることを可能としている。また、加硫物性、特に耐圧縮永久歪特性の大きな低下もみられない。その結果、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形等の型成形のみならず、押出成形にも有効に適用することができ、オイルシール、ガスケット、Oリング等の各種シール類、ホース、ダイヤフラム、ロール、防振ゴム、工業用ゴム部品等の加硫成形に有効に用いることができる。
一般式
Figure 2021191818
(ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜5の低級アルキル基であり、R3は水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基であり、nは2〜10の整数であり、aは1または2である)で表されるカルバミン酸エステル化合物は、直鎖状アルキレンジイソシアネート OCN(CH2)2〜10NCOと一般式
Figure 2021191818
で表される水酸基含有フェニル化合物との反応によって容易に製造することができる。ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜5の低級アルキル基であり、R3は水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基であり、aは1または2である。
具体的には、次のような反応によって製造される。
Figure 2021191818
カルバミン酸エステル化合物および水酸基含有化合物とは、トルエン、ジオキサン、メチルエチルケトン等の有機溶媒中で約10〜120℃で反応させた後、不溶部をろ別することにより、それの製造が行われる。
かかる反応は、ウレタン硬化触媒存在下で行うこともできる。ウレタン硬化触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アミン化合物等が挙げられ、有機アミン化合物と有機スズ化合物を併用することもでき、これらは直鎖状アルキレンジイソシアネート100重量部に対して約0.1〜10重量部の割合で用いられる。
ウレタン硬化触媒として用いられる有機スズ化合物としては、例えばジラウリン酸ジブチルスズ、ビス(2-エチルヘキサン酸)スズ、ジブチルスズビス(2,4-ペンタンジオネート)等が、有機チタン化合物としては、例えばチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等が、有機ジルコニウム化合物としては、例えばジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラ(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
また、有機アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N,N,N-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7またはその有機酸塩、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5等が挙げられる。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7の有機酸塩としては、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7のギ酸塩、2-エチルヘキサン塩、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、o-フタル酸塩等が挙げられる。
得られたカルバミン酸エステル化合物は、カルボキシル基含有アクリルゴムに加硫剤として配合され、アクリルゴム組成物を形成させる。
カルボキシル基含有アクリルゴムとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートおよび炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレートの少なくとも1種類とカルボキシル基含有不飽和化合物と、エチレンとを共重合させたカルボキシル基含有エチレン−アクリレートゴムが用いられる。
アルキルアクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレートおよびこれらに対応するメタクリレートが用いられる。一般的に、アルキル基の鎖長が長くなると耐寒性の点では有利となるが、耐油性では不利となり、鎖長が短いとその逆の傾向がみられ、耐油性、耐寒性のバランス上からはエチルアクリレート、n-ブチルアクリレートが好んで用いられる。
また、アルコキシアルキルアクリレートとしては、例えばメトキシメチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-n-ブトキシエチルアクリレート、3-エトキシプロピルアクリレート等が用いられ、好ましくは2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレートが用いられる。アルコキシアルキルアクリレートとアルキルアクリレートとは、それぞれ単独でも用いられるが、好ましくは前者が約60〜0重量%、また後者が約40〜100重量%の割合で用いられ、アルコキシアルキルアクリレートを共重合させた場合には耐油性と耐寒性のバランスが良好となり、ただしこれよりも多い割合で共重合させると常態物性と耐熱性が低下する傾向がみられるようになる。
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、マレイン酸またはフマル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル等のモノアルキルエステル、イタコン酸またはシトラコン酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル等のモノアルキルエステル等が挙げられ、好ましくはマレイン酸モノn-ブチルエステル、フマル酸モノエチルエステル、フマル酸モノn-ブチルエステルが用いられる。これらのカルボキシル基含有不飽和化合物は、カルボキシル基含有アクリルエラストマー中約0.5〜10重量%、好ましくは約1〜7重量%を占めるような共重合割合で用いられ、これよりも少ない共重合割合では加硫が不十分となって圧縮永久歪値が悪化し、一方これよりも共重合割合を多くするとスコーチし易くなる。なお、共重合反応は、重合転化率が90%以上となるように行われるので、仕込み各単量体重量比がほぼ生成共重合体の共重合組成重量比となる。
カルボキシル基含有アクリルエラストマー中には、さらに他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、酢酸ビニル、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、プロピレン、ピペリレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン等を、約50重量%以下の割合で共重合させることができる。
さらに、必要に応じて、混練加工性や押出加工性などを改善する目的で、多官能性(メタ)アクリレートまたはオリゴマー、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、3-アクリロイルオキシグリセリンモノメタクリレート等をさらに共重合して用いることもできる。ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを指している。
加硫剤としてのカルバミン酸エステル化合物は、カルボキシル基含有アクリルエラストマー100重量部当り、約0.1〜10重量部、好ましくは約0.5〜5重量部の割合で用いられる。この加硫剤の使用割合がこれよりも少ないと、加硫が不十分となり、引張強さ、圧縮永久歪などの点で十分な物性が得られない。一方、これよりも多い割合で用いられると、破断時伸びの低下や圧縮永久歪の悪化を招くようになる。
カルバミン酸エステル化合物加硫剤には、塩基性加硫促進剤を併用することもできる。塩基性加硫促進剤としては、グアニジン化合物あるいは1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン-5等のジアザビシクロアルケン化合物またはその有機酸塩、無機酸塩が用いられ、好ましくはその添加効果がより高いといった観点から、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7が用いられる。また、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7とシリカとの混合物を用いることもでき、実際にはSafic Alcan社製品Vulcofac ACT55等が用いられる。
ジアザビシクロアルケン化合物の有機酸塩または無機酸塩を形成する化合物としては、塩酸、硫酸、カルボン酸、スルホン酸、フェノール等が挙げられる。カルボン酸としては、例えばオクチル酸、オレイン酸、ギ酸、オルソフタル酸、アジピン酸等が、またスルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。これらは単独または二種以上を併用することができる。
グアニジン化合物としては、グアニジンまたはその置換体、例えばアミノグアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、n-ドデシルグアニジン、メチロールグアニジン、ジメチロールグアニジン、1-フェニルグアニジン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、1-ベンジル-2,3-ジメチルグアニジン、シアノグアニジン等が用いられ、この他1,6-グアニジノヘキサン、グアニル尿素、ビグアニド、1-o-トリルビグアニド等も用いられる。
塩基性加硫促進剤としてのグアニジン化合物は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部当り約0.1〜10重量部、好ましくは約0.3〜6重量部の割合で用いられ、前記ジアザビシクロアルケン化合物は約0.01〜2重量部、好ましくは約0.05〜1.0重量部の割合で用いられる。また、ジアザビシクロアルケン化合物の有機酸塩または無機酸塩は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部当り約0.1〜5重量部、好ましくは約0.2〜2重量部の割合で用いられる。塩基性加硫促進剤の添加割合がこれより多い割合で用いられると、スコーチが短くなり好ましくない。
アクリルゴム組成物の調製は、カルボキシル基含有アクリルゴムおよびゴムの配合剤等として一般に用いられているカーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、可塑剤、滑剤、老化防止剤、その他必要な配合剤をバンバリーミキサ等の密閉型混練機で混練した後、加硫剤および加硫促進剤を加え、オープンロールを用いて混合することにより行われる。調製されたアクリルゴム組成物は、一般に約150〜200℃、約1〜60分間のプレス加硫(一次加硫)によって加硫され、必要に応じて約150〜200℃、約1〜10時間のオーブン加硫(二次加硫)が行われる。
次に、実施例について本発明を説明する。
参考例
容量50mlのナスフラスコに、α,α,4-トリメチル-ジメチルベンジルアルコール(東京化成工業製品)8.43g(56.1ミリモル)、ジラウリン酸ジブチルスズ 360mg(0.570ミリモル)およびヘキサメチレンジイソシアネート 4.50g(26.7ミリモル)を仕込み、反応器を80℃に加温し、2.5時間攪拌した。
反応終了後冷却し、白色の粉末状固体のカルバミン酸エステル化合物1,6-ビス{〔1-メチル-1-(4-メチルフェニル)エチル〕カーバメート}ヘキサン12.06g(収率91%)を得た。
Figure 2021191818
得られた固体は、1H NMRおよびFT-IRを用いてその構造を同定した。
Figure 2021191818
1H NMR:(a) 2.3ppm (s 6H)
(b) 7.1ppm (t 2H)
(c) 7.2ppm (m 4H)
(d) 1.7ppm (s 12H)
(e) 4.7ppm (m 2H)
(f) 3.0ppm (m 4H)
(g) 1.4ppm (m 4H)
(h) 1.3ppm (m 4H)
FT-IR:3307cm-1:ウレタン結合由来のN-H伸縮振動
1687cm-1:ウレタン結合由来のC=O伸縮振動
実施例
カルボキシル基含有エチレン−アクリレートゴム 100重量部
(DuPont社製品Vamac Ultra IP)
カーボンブラック(東海カーボン製品シーストGS) 50 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品DTST) 1 〃
4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン 2 〃
(大内新興化学工業製品ノクラックCD)
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸 1 〃
(東邦化学工業製品ホスファノールRL210)
1,6-ビス{〔1-メチル-1-(4-メチルフェニル)エチル〕 3.3 〃
カーバメート}ヘキサン
(参考例で得られたカルバミン酸エステル化合物)
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7二塩基酸塩 2 〃
−アモルファスシリカ(重量比70:30)混合物
(Safic Alcan社製品Vulcofac ACT55)
以上の各成分の内、加硫剤および加硫促進剤を除く各成分をバンバリーミキサで混練した後、オープンロールを用いて加硫剤および加硫促進剤の添加が行われた。このようにして調製されたアクリルゴム組成物は、180℃で10分間のプレス加硫(一次加硫)および175℃、4時間のオーブン加硫(二次加硫)によって加硫された。
アクリルゴム組成物である生地の加硫特性および加硫物物性の測定が、次のようにして行われた。
ムーニー・スコーチ試験:ISO 289に対応するJIS K6300-1準拠(125℃)
t5の値(単位:分)は長い程成形時の生地ヤケ
の懸念が少なく、ヤケに起因する不良が少な

一般には、t5の値が10分以上であれば、射出
成形、圧縮成形、押出成形でのヤケに起因す
る不良が少なくなる
MLmin:ムーニー粘度の最低値であり、加工性
の指標となる
加硫試験:ISO 6502に対応するJIS K6300-2準拠(180℃、12分間)
東洋精機製作所製ロータレス・レオメーターRLR-3使用
ML:最小トルク
MH:最大トルク
tc10:加硫トルクがML+(MH-ML)×0.1に達するまでに要する
時間
tc90:加硫トルクがML+(MH-ML)×0.9に達するまでに要する
時間
加硫速度の評価は、加硫試験のtc10、tc90およびME(MH- ML)
で判断でき、tc10およびtc90が短くかつMEが大きい程加硫速
度は速い
常態値:ISO 37に対応するJIS K6251、ISO 7619-1に対応するJIS K6253
準拠
圧縮永久歪:ISO 815-1に対応するJIS K6262準拠(175℃、70時間)
空気加熱老化試験:ISO 188に対応するJIS K6257準拠(175℃、70時間)
常態値変化を測定
比較例1
実施例において、カルバミン酸エステル化合物の代わりに、脂肪族アミン加硫剤(ユニマテック製品ケミノックスAC-6F)1.2重量部が用いられた。
比較例2
比較例1において、さらに加硫遅延剤としてステアリルアミン(花王製品ファーミン80S)1重量部が用いられた。
比較例3
実施例において、カルバミン酸エステル化合物の代わりに、4.0重量部のHMDA-Fmocが用いられた。
Figure 2021191818
以上の実施例および比較例1〜3で得られた結果は、次の表に示される。


比較例
測定項目 実施例
ムーニー・スコーチ試験
MLmin (pts) 21 33 30 23
t5 (分) 27.9 6.8 10.5 >60
加硫試験
tc10 (分) 1.73 0.86 1.02 4.11
tc90 (分) 8.01 5.65 6.95 8.35
ML (N・m) 0.04 0.06 0.06 0.05
MH (N・m) 0.85 1.10 1.00 0.95
ME(MH-ML) (N・m) 0.81 1.04 0.94 0.90
常態値
硬度 (デュロA) 66 64 62 67
100%モジュラス(MPa) 3.5 3.6 2.9 3.4
破断強度 (MPa) 20.8 23.4 19.8 19.4
破断時伸び (%) 360 360 450 400
圧縮永久歪
175℃、70時間 (%) 22 18 20 20
175℃、70時間後の常態値変化
硬度 (デュロA) +1 -1 +1 +1
100%モジュラス(MPa) -9 -11 -7 -9
破断強度 (MPa) -13 -13 -5 -11
破断時伸び (%) +6 +3 ±0 ±0
以上の結果から、次のことがいえる。
(1) 実施例は、脂肪族ジアミンを加硫剤として用いた比較例1、さらに加硫遅延剤を用いた比較例2と比較して、加硫遅延剤を用いていないにもかかわらずスコーチタイム(t5)が長くなり、一般に生地ヤケのおそれのある10分を大幅に超えている。その一方で、物性に大きな差はみられない。
(2) 比較例1と比較して、実施例ではMLminが10ポイント以上も低下しており、生地粘度の低下が確認されたことから、型流し性が良化することが期待される。
(3) 実施例では、比較例3と比較して、tc10の値も大きく良化している。

Claims (8)

  1. カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、一般式
    Figure 2021191818
    (ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜5の低級アルキル基であり、R3は水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基であり、nは2〜10の整数であり、aは1または2である)で表されるカルバミン酸エステル化合物0.1〜10重量部を配合してなるアクリルゴム組成物。
  2. カルボキシル基含有アクリルゴムが、カルボキシル基含有エチレン-アクリレートゴムである請求項1記載のアクリルゴム組成物。
  3. nが6である請求項1記載のアクリルゴム組成物。
  4. さらにグアニジン化合物加硫促進剤が0.1〜10重量部配合された請求項1または2記載のアクリルゴム組成物。
  5. さらにジアザビシクロアルケン化合物加硫促進剤が0.01〜2重量部配合された請求項1または2記載のアクリルゴム組成物。
  6. さらにジアザビシクロアルケン化合物の有機酸塩または無機酸塩加硫促進剤が0.1〜5重量部配合された請求項1または2記載のアクリルゴム組成物。
  7. 請求項1または2記載のアクリルゴム組成物から型成形された加硫成形品。
  8. 請求項1または2記載のアクリルゴム組成物から押出成形された加硫成形品。
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