JP2021521307A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリアリーレンスルフィドの製造方法に関し、硫黄化合物に対するジハロゲン化芳香族化合物の当量比を所定の範囲で用い、脱水反応と重合工程を全て最適条件下で行うことによって、既存に比べて同等以上の物性を有するポリアリーレンスルフィドを高い重合収率で製造することができる。

Description

関連出願との相互引用
本出願は、2018年7月3日付韓国特許出願第10−2018−0077236号および2019年7月2日付韓国特許出願第10−2019−0079236号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
本発明は、成形品として加工時に優れた強度、耐熱性、難燃性、および加工性を有するポリアリーレンスルフィドをより向上した収率で製造する方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(Polyphenylene sulfide;PPS)に代表されるポリアリーレンスルフィド(Polyarylene sulfide、PAS)は、優れた強度、耐熱性、難燃性および加工性により自動車、電気・電子製品、機械類などで金属、特にアルミニウムや亜鉛のようなダイカスト(die casting)金属を代替する素材として幅広く用いられている。特に、PPS樹脂の場合、流動性がよいため、ガラス繊維などのフィラーや補強剤と混練してコンパウンドとして用いるのに有利である。
通常、PASは、N−メチルピロリドン(NMP)のようなアミド系化合物の存在下の重合条件で硫黄供給源とジハロゲン化芳香族化合物を重合反応させて製造されており、選択的にアルカリ金属塩などの分子量改質剤がさらに用いられたりもする。
特に、PASの需要拡大に伴い、PASの製造時の収率向上も要求されている。一例として、特許第5623277号には相分離重合工程後、重合反応系内の液相にジハロ芳香族化合物、トリハロ芳香族化合物などの芳香族化合物を加える工程、および前記液相を冷却する工程を備えることによって、高収率に粒状PASを得るPASの製造方法が記載されている。このようにPASの製造方法として、PASを得る収率をより一層向上させることができる方法が要求されていた。
したがって、アミド系化合物の存在下で硫黄供給源とジハロゲン化芳香族化合物を重合反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、ポリアリーレンスルフィドを高い収率で製造する方法に対する研究が必要である。
特許第5623277号
本発明の目的は、硫黄化合物に対するジハロゲン化芳香族化合物の当量比を所定の範囲で用い、脱水反応と重合工程条件を最適化して反応させることによって、優れた強度、耐熱性、難燃性、および加工性などを示すポリアリーレンスルフィドを優れた収率で製造する方法を提供することにある。
発明の一実施形態によれば、アルカリ金属の水硫化物およびアルカリ金属の水酸化物を、アルカリ金属の有機酸塩の存在下で水およびアミド系化合物の混合溶媒中で185℃以上205℃以下の温度で脱水反応(dehydration)を行い、アルカリ金属の硫化物、および水とアミド系化合物の混合溶媒を含む硫黄供給源を製造する第1段階;および
前記硫黄供給源を含む反応器にジハロゲン化芳香族化合物およびアミド系化合物を添加し、225℃以上245℃以下の温度で重合反応させた後に、250℃以上260℃以下の温度に昇温して重合反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する第2段階;
を含み、
前記第1段階の脱水反応を行う間に除去される脱水液は、総体積を基準にアミド系化合物を15%乃至35%(v/v)で含み、
前記第2段階の重合反応で前記ジハロゲン化芳香族化合物は、前記アルカリ金属の水硫化物1当量を基準に1.04乃至1.08当量比で使用する、ポリアリーレンスルフィドの製造方法が提供される。
本発明において、前記ポリアリーレンスルフィドは、85%以上の収率で生成されてもよく、20Pa・S乃至150Pa・Sの溶融粘度を有するものであってもよい。
前述のように、本発明によれば、硫黄化合物に対するジハロゲン化芳香族化合物の当量比を所定の範囲で用い、脱水反応と重合工程条件を最適化して反応させることによって、優れた強度、耐熱性、難燃性、および加工性などを有するポリアリーレンスルフィドを高い収率で製造することができる優れた効果がある。
本発明の一実施形態により実施例1のポリアリーレンスルフィドを製造する工程図を簡略に示したものである。
本発明において、第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明することに使用され、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
また、本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」、または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるところ、特定の実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
以下、本発明をより詳細に説明する。
発明の一実施形態によれば、硫黄供給源を製造する脱水反応(dehydration)をアルカリ金属の有機酸塩の存在下で行うと同時に、硫黄化合物に対するジハロゲン化芳香族化合物の当量比を所定の範囲で用い、脱水反応と重合工程を全て最適条件で行うことによって、優れた強度と耐熱性、難燃性、加工性などを有するポリアリーレンスルフィドを高い収率で製造する方法が提供される。
前記ポリアリーレンスルフィドの製造方法は、アルカリ金属の水硫化物およびアルカリ金属の水酸化物を、アルカリ金属の有機酸塩の存在下で水およびアミド系化合物の混合溶媒中で185℃以上205℃以下の温度で脱水反応(dehydration)を行い、アルカリ金属の硫化物、および水とアミド系化合物の混合溶媒を含む硫黄供給源を製造する第1段階;および前記硫黄供給源を含む反応器にジハロゲン化芳香族化合物およびアミド系化合物を添加し、225℃以上245℃以下の温度で重合反応させた後に、250℃以上260℃以下の温度に昇温して重合反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する第2段階;を含む。
これと共に、本発明は、ポリアリーレンスルフィドを製造するためにアルカリ金属の水硫化物などを用いた脱水反応(dehydration)を行う間に除去される脱水液は、総体積を基準にアミド系化合物を約15%(v/v)乃至約35%(v/v)で含み、前記脱水反応(dehydration)を通じて製造された硫黄供給源とジハロゲン化芳香族化合物を反応させる重合反応で、前記ジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属の水硫化物1当量を基準に約1.04当量以上乃至約1.08当量以下で用いることを特徴とする。
特に、本発明は、このようにジハロゲン化芳香族化合物を所定の含有量範囲で投入すると同時に、脱水工程反応と重合工程反応を最適化した条件下で行うことによって最終生成されるポリアリーレンスルフィドの収率を顕著に高めることができる。また、最終ポリマー生成物の熱的物性も既存に比べて同等以上を示すポリアリーレンスルフィドを容易に製造することができる。また、本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法は、収率も向上して、最終生成物の生産量を増加させることができる。
さらに、従来は特殊目的でなく、一般に多く使用する一般粘度のポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する時、収率向上に如何なる因子が影響を与えるのか正確に現れなかったが、本発明者らは、多様な工程因子のうち、収率に大きく影響を与える主要因子を反応表面分析法を通じて確認して本発明を完成した。特に、本発明は、各反応有効因子間の交互作用が如何に及ぶのかを綿密に確認することによって、一般粘度のポリアリーレンスルフィドを優れた収率で製造することができるため、経済性を高めることができる優れた効果を得ることができる。
まず、本発明の一実施形態による前記ポリアリーレンスルフィドの製造方法において、各段階別に説明する。
前述した第1段階は、硫黄供給源を準備する段階である。
前記硫黄供給源は、アルカリ金属の水硫化物、およびアルカリ金属の水酸化物を、アルカリ金属の有機酸塩の存在下で水およびアミド系化合物の混合溶媒中で脱水反応(dehydration)を行って製造されたものである。したがって、前記硫黄供給源は、アルカリ金属の水硫化物とアルカリ金属の水酸化物の反応により生成されたアルカリ金属の硫化物と共に、脱水反応後に残留する水、アミド系化合物の混合溶媒を含むことができる。
以降、本発明では、連続で前記硫黄供給源とジハロゲン化芳香族化合物およびアミド系化合物を利用して、重合を通じて収率に優れたポリアリーレンスルフィドを製造する。
前記アルカリ金属の硫化物は、反応時に使用されるアルカリ金属の水硫化物の種類により決定されてもよく、具体的な例としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウムまたは硫化セシウムなどが挙げられ、これらのうちいずれか一または二以上の混合物が含まれてもよい。
前記アルカリ金属の水硫化物とアルカリ金属の水酸化物の反応による硫黄供給源の製造時、使用可能なアルカリ金属の水硫化物は、具体的な例としては、硫化水素リチウム、硫化水素ナトリウム、硫化水素カリウム、硫化水素ルビジウムまたは硫化水素セシウムなどが挙げられる。これらのうちいずれか一または二以上の混合物が用いられてもよく、これらの無水物または水和物も使用可能である。
また、前記アルカリ金属の水酸化物の具体的な例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、または水酸化セシウムなどが挙げられ、これらのうちいずれか一または二以上の混合物が用いられてもよい。前記アルカリ金属の水酸化物は、アルカリ金属の水硫化物1当量に対して約0.90乃至約2.0の当量比、より具体的には約1.0乃至約1.5の当量比、さらに具体的には約1.0乃至約1.1の当量比で用いられてもよい。
一方、本発明において、当量はモル当量(eq/mol)を意味する。
また、前記アルカリ金属の水硫化物とアルカリ金属の水酸化物の反応による硫黄供給源の製造時、重合助剤として重合反応を促進させて短時間内にポリアリーレンスルフィドの重合度を高めることができるアルカリ金属の有機酸塩が投入されてもよい。前記アルカリ金属の有機酸塩は、具体的に、酢酸リチウム、または酢酸ナトリウムなどであってもよく、これらのうちいずれか一または二以上の混合物が用いられてもよい。また、前記アルカリ金属の有機酸塩は、一般に使用する用途に合う溶融粘度を高い収率で製造する側面から、アルカリ金属の水硫化物1当量に対して約0.01以上、または約0.05以上、または約0.1以上、または約0.18以上、または約0.23以上の当量比で用いられてもよい。ただし、前記アルカリ金属の有機酸塩が触媒の役割を果たす重合助剤であるという側面から、過量使用時、製造原価上昇の要因であることを考慮する時、好ましくは約1.0以下、または約0.8以下、または約0.6以下、または約0.5以下、または約0.45以下の当量比で用いられてもよい。
前記アルカリ金属の水硫化物とアルカリ金属の水酸化物の反応は、水とアミド系化合物の混合溶媒中で行われてもよいが、この時、前記アミド系化合物の具体的な例としては、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)またはN−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどのピロリドン化合物;N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンなどのイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素などの尿素化合物;またはヘキサメチルリン酸トリアミドなどのリン酸アミド化合物などが挙げられ、これらのうちいずれか一または二以上の混合物が用いられてもよい。この中でも反応効率およびポリアリーレンスルフィド製造のための重合時、重合溶媒への共溶媒効果を考慮する時、前記アミド系化合物はより具体的にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)であってもよい。
また、前記水は、アミド系化合物1当量に対して約1乃至約8の当量比で用いられてもよく、より具体的には約1.5乃至約5の当量比、さらに具体的には約2.5乃至約4.5の当量比で用いられてもよい。
一方、前記第1段階で、アルカリ金属の水硫化物およびアルカリ金属の水酸化物などを含む反応物は、脱水反応(dehydration)を通じてアルカリ金属の硫化物を生成させることができる。この時、前記脱水反応は、約185℃乃至約205℃の温度範囲で行い、約100rpm乃至500rpmの速度で、より具体的には約100rpm乃至約300rpmの速度で攪拌して行われてもよい。前記脱水反応温度は、後続する重合工程に使用される硫黄供給源に含まれる有効硫黄の量を最適化する側面から、脱水されて残った水の量が有効硫黄1モルに対して約3.5モル当量以下に下げるために約185℃以上で行われなければならない。また、前記脱水反応を通じて抜け出るアミド系化合物の含有量を最適化し、硫黄供給源に残存する水の量が有効硫黄1モルに対して約1.5モル当量以上になるようにするためには、前記脱水反応温度は約205℃下で行われなければならない。
このような脱水工程の間に反応物中の水などの溶媒が蒸留などを通じて除去されることがあり、水と共にアミド系化合物の一部が排出され、また硫黄供給源内に含まれている一部硫黄が脱水工程の間の熱により水と反応して硫化水素気体として揮散されることがある。またこの時、前記硫化水素と同一モルのアルカリ金属の水酸化物が生成され得る。
特に、前記第1段階での脱水反応を行う間に発生する脱水液、つまり、脱水工程を行いながら外部に除去される脱水液において、水とアミド系化合物の混合溶媒を含む全体混合物の総体積を基準にアミド系化合物は、約15%乃至約35%(v/v)で含まれる。前記アルカリ金属の水硫化物などを用いた脱水反応(dehydration)を通じて製造された硫黄供給源とジハロゲン化芳香族化合物を反応させて最終的に得られるポリアリーレンスルフィドの溶融粘度を最適化しながら高い収率で製造するためには、脱水液中のアミド系化合物の濃度は前述した範囲に維持されなければならない。具体的に、前記脱水液中のアミド系化合物の濃度は、約25%乃至約35%(v/v)、または約28%乃至約32%(v/v)になり得る。
一方、前記のようなアルカリ金属の水硫化物、アルカリ金属の水酸化物およびアルカリ金属塩の反応結果として、アルカリ金属の硫化物が水とアミド系化合物の混合溶媒中に固相で析出され、反応系中には未反応のアルカリ金属の水硫化物が一部残留することがある。これによって、本発明によるポリアリーレンスルフィド製造時、硫黄供給源として、前記アルカリ金属の水硫化物とアルカリ金属の水酸化物を反応させて製造した硫黄供給源が用いられる場合、硫黄供給源のモル比は、反応結果で析出されたアルカリ金属の硫化物と、未反応のアルカリ金属水硫化物の総モル比を意味する。
また、前記脱水工程の間に硫黄供給源内、つまり、硫黄含有反応物に投入したアルカリ金属の水硫化物などと系内に残存する硫黄供給源内に含まれている硫黄が水と反応して硫化水素とアルカリ金属水酸化物が生成され、生成された硫化水素は揮散されるため、脱水工程の間に系外に揮散する硫化水素により脱水工程後に系内に残存する硫黄供給源中の硫黄の量は減少され得る。一例として、アルカリ金属水硫化物を主成分とする硫黄供給源を用いる場合、脱水工程後に系内に残存する硫黄の量は、反応物に投入した硫黄供給源、つまり、硫黄含有反応物であるアルカリ金属の水硫化物に含まれている硫黄のモル量から系外に揮散した硫化水素のモル量を引いた値と同一である。これによって、系外に揮散した硫化水素の量から脱水工程後に系内に残存する硫黄供給源中に含まれている有効硫黄の量を定量することが必要である。具体的に、前記脱水工程が終わってから系内に残存する水は、有効硫黄1モルに対して約1.5乃至約3.5のモル比、より具体的には約1.6乃至約3.0、さらに具体的には約1.8乃至約2.8のモル比になるまで行われてもよい。前記脱水工程により硫黄供給源内の水分量が過度に減少する場合には、重合工程に先立ち、水を添加して水分量を調節することができる。
これによって、前記のようなアルカリ金属の水硫化物とアルカリ金属の水酸化物の反応および脱水により製造された硫黄供給源は、アルカリ金属の硫化物と共に、水およびアミド系化合物の混合溶媒を含むことができ、前記水は硫黄供給源内に含まれている硫黄1モルに対して具体的に約1.5乃至約3.5のモル比で含まれてもよい。また、前記硫黄供給源は、硫黄と水の反応により生成されたアルカリ金属の水酸化物をさらに含むことができる。
一方、本発明の一実施形態により、第2段階は、前記硫黄供給源をジハロゲン化芳香族化合物と重合反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する段階である。
前記ポリアリーレンスルフィドの製造のために使用可能なジハロゲン化芳香族化合物は、芳香族環での二つの水素がハロゲン原子で置換された化合物であり、具体的な例としては、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシドまたはジハロジフェニルケトンなどが挙げられ、これらのうちいずれか一または二以上の混合物が用いられてもよい。前記ジハロゲン化芳香族化合物において、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。この中でもポリアリーレンスルフィド製造時の反応性および副反応生成減少効果などを考慮する時、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)を用いてもよい。
前記ジハロゲン化芳香族化合物は、前記アルカリ金属の水硫化物1当量を基準に約1.04乃至約1.08当量で投入されなければならない。前記含有量範囲内に投入される場合、製造されるポリアリーレンスルフィド内に存在するクロリン含有量の増加に対する虞なしに、優れた物性的特徴を有するポリアリーレンスルフィドを製造することができる。硫黄供給源とジハロゲン化芳香族化合物の添加量制御による改善効果の優秀さを考慮し、溶融粘度および揮発成分(total volatile organic compound)調節しながら収率向上を達成するために、ジハロゲン化芳香族化合物は、約1.04乃至約1.08当量で投入されなければならない。
また、前記第2段階を行う前に、ジハロゲン化芳香族化合物の気化を防止するために前記硫黄供給源を含む反応器の温度を約150℃以上から約200℃未満の温度に低下させる段階をさらに含むことができる。
また、前記硫黄供給源とジハロゲン化芳香族化合物の重合反応は、非プロトン性極性有機溶媒として、高温でアルカリに対して安定したアミド系化合物の溶媒中で行われてもよい。
前記アミド系化合物の具体的な例は、前述したとおりであり、例示した化合物の中でも反応効率などを考慮する時、より具体的に前記アミド系化合物はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)であってもよい。
前記第1段階での硫黄供給源中に含まれているアミド系化合物が共溶媒として作用することができるため、第2段階で添加されるアミド系化合物は、重合反応系内に存在するアミド系化合物に対する水(HO)のモル比(水/アミド系化合物のモル比)が約0.85以上になるようにする量で添加されてもよい。
特に、前記第2段階で追加的に投入されるアミド系化合物は、前記アルカリ金属の水硫化物1当量を基準に約1.0当量乃至約2.0当量あるいは約1.1当量乃至約1.85当量、あるいは約1.1当量乃至約1.35当量で添加することができる。ここで、前記第2段階で重合反応進行時にアミド系化合物は、硫黄1モルに対して2.5乃至4.0のモル比になるように追加投入する。これは第2段階の重合反応進行時に系内に存在する最終アミド系化合物の含有量に該当するもので、第1段階の脱水反応を通じて得られた硫黄供給源で残っているアミド系化合物と第2段階で追加的に投入されるアミド系化合物の総量といえる。一方、前記第2段階の重合反応時に系内に存在するアミド系化合物の最終含有量は、例えば、第1段階および第2段階進行時にそれぞれ投入されるアミド系化合物の総量から第1段階の脱水液で抜け出るアミド系化合物の量を引いて算側することによって確認することができる。
また、前記重合反応時、分子量調節剤、架橋剤など重合反応や分子量を調節するためのその他添加剤が最終製造されるポリアリーレンスルフィドの物性および製造収率を低下させない範囲内の含有量でさらに添加されることもできる。
一方、本発明の前記硫黄供給源をジハロゲン化芳香族化合物と重合反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する第2段階の重合工程は、ハロゲン化芳香族化合物と硫化物を反応させてポリアリーレンスルフィドのプレポリマー(pre−polymer)を生成させる前段重合工程と、前記プレポリマーを利用して分子量および溶融粘度を増加させる後段重合工程を含み、多段階で行われることを特徴とする。
これによって、本発明で前記硫黄供給源とジハロゲン化芳香族化合物の重合反応は、具体的には約225℃以上約245℃以下の1次重合反応後、連続して1次重合反応時の温度よりも高い温度で、具体的には約250℃以上約260℃以下で2次重合反応が行われなければならない。前記1次重合反応は、プレポリマーが効果的に生成され得るように芳香族化合物が転換率と収率向上の側面から約225℃以上約245℃以下の温度範囲で行われなければならず、具体的には約228℃以上約245℃以下、または約230℃以上約245℃以下の温度範囲で行うことができる。また、前記2次重合反応は、溶融粘度を十分な程度に維持して射出成形を効果的に行うことができるようにする側面から250℃以上で行われなければならず、過度な温度上昇で高温分解反応による収率低下および溶融粘度減少を防止する側面から260℃以下で行われなければならない。
一例として、前記2次重合反応は、1次重合反応温度に比べて約5℃乃至約35℃に高い温度で行うことができ、具体的には約5℃乃至約32℃、または約20℃乃至約30℃に高い温度で行うことができる。
前記重合反応の結果で生成された反応生成物は、水相と有機相に分離されており、この時、有機相中に重合反応物であるポリアリーレンスルフィドが溶解されて含まれる。これによって、製造されたポリアリーレンスルフィドの析出および分離のための工程が選択的にさらに行われてもよい。
具体的に、前記ポリアリーレンスルフィドの析出は、硫黄1当量に対して水を3乃至5の当量比で反応混合物に添加して冷却することによって行われてもよい。前記含有量範囲で水が添加される時、優れた効率にポリアリーレンスルフィドを析出することができる。
以降、析出されたポリアリーレンスルフィドに対しては通常の方法により、洗浄および濾過乾燥工程が選択的にさらに行われてもよい。
前記ポリアリーレンスルフィドの具体的な製造方法は、後述する実施例を参考にすることができる。しかし、ポリアリーレンスルフィドの製造方法が本明細書で記述した内容に限定されるのではなく、前記製造方法は本発明が属する技術分野における通常採用する段階を追加的に採用することができ、前記製造方法の段階(ら)は通常変更可能な段階(ら)により変更されてもよい。
一方、前記のような本発明の一実施形態によるポリアリーレンスルフィドの製造方法により既存に比べて同等以上の熱的物性を示しながらも、収率に優れたポリアリーレンスルフィドを容易に製造することができる。
具体的には、前記製造方法により製造されるポリアリーレンスルフィドは、約85%以上、あるいは約85.5%以上の収率で生成され、約20Pa・S乃至150Pa・S、あるいは約22Pa・S乃至130Pa・S、あるいは約25Pa・S乃至120Pa・S、あるいは約40Pa・S乃至120Pa・Sを有することができる。ここで、前記ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度が過度に低くなれば、ポリマー繰り返し単位体が短くなるため、末端基、Clなどの含有量が高くなり、これによって機械的強度が落ちるという問題が発生することがあり、約20Pa・S以上が好ましい。一方、このようなポリアリーレンスルフィドの溶融粘度が過度に高ければ、射出成形時、成形を円滑にするためにモールディング条件(mold condition)が変わり得、約150Pa・S以下が好ましい。つまり、前記ポリアリーレンスルフィドは、溶融粘度が過度に小さければ、機械的強度が不十分になり、過度に大きければ樹脂組成物の溶融成形時の流動性が不良で成形作業が難しくなるため、前述した範囲に維持され得る。
また、前記ポリアリーレンスルフィドは、約270℃乃至約300℃の溶融温度(T)、および約180℃乃至250℃の結晶化温度(T)を有することができる。ここで、前記ポリアリーレンスルフィドの融点(T)および結晶化温度(T)は、示差走査熱量分析(DSC:Differential Scanning Calorimeter)装置(TA instrument、TA Q2000)を利用して測定することができ、これに対する測定方法は当該技術分野によく知られているため、具体的な説明は省略する。
一方、前記ポリアリーレンスルフィドは、約10000g/mol超過乃至約30000g/mol以下の重量平均分子量(M)を有するものであってもよい。ここで、前記ポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量(M)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができ、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置でWaters PL−GPC220機器を利用し、Polymer Laboratories PLgel MIX−B 300mmの長さのカラムを用いて測定することができ、これに対する測定方法は当該技術分野によく知られているため、具体的な説明は省略する。
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供させるものに過ぎず、これによって本発明の内容が限定されるのではない。
<実施例>
実施例1
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら195℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時30.2%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は1.82に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.04当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.63に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び260℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は85.8%であり、粘度は73.8Pa・Sであった。
実施例2
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら205℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時30.6%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は1.85に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.06当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.62に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び250℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は86.4%であり、粘度は58.0Pa・Sであった。
実施例3
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら205℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時30.9%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は1.81に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.04当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.61に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び255℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は85.0%であり、粘度は65.1Pa・Sであった。
実施例4
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら185℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時31.0%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は2.30に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.06当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.65に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び260℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は91.6%であり、粘度は46.4Pa・Sであった。
実施例5
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら195℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時29.9%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は1.92に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.08当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.64に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び250℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は87.8%であり、粘度は27.3Pa・Sであった。
比較例1
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら185℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時29.7%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は2.09に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.015当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.66に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び250℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は79.6%であり、粘度は56.4Pa・Sであった。
比較例2
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら180℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時31.2%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は2.38に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、0.99当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.63に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び250℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は77.7%であり、粘度は61.1Pa・Sであった。
比較例3
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら180℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時30.4%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は2.44に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、0.99当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.65に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び260℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は69.4%であり、粘度は220.3Pa・Sであった。
比較例4
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら215℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時35.0%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は2.13に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.025当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.55に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び250℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は74.8%であり、粘度は62.3Pa・Sであった。
比較例5
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら185℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時28.9%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は2.21に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.10当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.68に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び250℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は83.2%であり、粘度は9.8Pa・Sであった。
比較例6
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.20当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら210℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時28.6%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は1.82に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.04当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.65当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.96に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び245℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は68.0%であり、粘度は6.1Pa・Sであった。
比較例7
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.20当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら205℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時28.9%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は1.72に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.04当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.65当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.95に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び270℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)を利用して濾過させたが、ポリフェニレンスルフィド粒子が得られなかった。
比較例8
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら185℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時30.2%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は2.26に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.04当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.63に計算された。そして、得られた混合溶液を220℃まで加熱して2時間反応させ、再び250℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は74.6%であり、粘度は38.3Pa・Sであった。
比較例9
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、1.65当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら185℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時30.0%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は1.50に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.04当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は2.60に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び250℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)、および蒸留水を利用して順次洗浄した後に濾過し、続いて90℃で10分間NMPで洗浄した後に濾過し、また0.4%酢酸水溶液で90℃で洗浄した後に濾過し、再び90℃で10分間蒸留水で濾過する工程を行った。洗浄したポリフェニレンスルフィドは、真空オーブンで150℃、8時間乾燥して回収した。
この時、回収したポリフェニレンスルフィドの収率は64.8%であり、粘度は5.4Pa・Sであった。
比較例10
PPSポリマーを作るために、図1のような方法により脱水反応(第1段階)および重合反応(第2段階)を行った。
(1)脱水反応
1.00当量の硫化水素ナトリウム(NaSH)と1.05当量の水酸化ナトリウム(NaOH)を反応器内で混合して硫化ナトリウム(NaS)を製造した。この時、0.44当量の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末、4.00当量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)および4.72当量の蒸留水を前記反応器に添加した。前記反応器を150rpmで攪拌しながら185℃まで1時間加熱して脱水反応を行い、脱水反応後に得られた残存混合物を硫黄供給源として得た。この時、前記脱水反応を行いながら外部に除去される脱水液中の測定したNMP濃度(v/v%)は、ガスクロマトグラフィーで測定時53.0%であった。また、前記硫黄供給源として得られた残存混合物内でのHO/Sのモル比は1.64に計算された。
(2)重合反応
前記脱水反応を通じて得られた硫黄供給源を含む反応器の温度を170℃未満に下げた後、1.04当量のパラ−ジクロロベンゼン(p−DCB)と1.35当量のNMPを前記反応器に添加した。この時、NMP/Sのモル比は4.05に計算された。そして、得られた混合溶液を230℃まで加熱して2時間反応させ、再び260℃まで加熱してさらに2時間反応させた。反応終了後、前記反応器内に存在する硫黄1当量に対して3当量比の蒸留水を反応器内に添加し、十分に温度を下げた後、結果物を回収した。結果物を蒸留水とNMPの混合液(混合体積比=1:1)を利用して濾過させたが、ポリフェニレンスルフィド粒子が得られなかった。
試験例1
実施例および比較例で製造したポリフェニレンスルフィド(PPS)に対して下記のような方法で物性を測定し、その結果を下記表1に示した。
1)溶融粘度(Pa・S):ARES−G2(Advanced Rhoeometric Expansion System)を用いて各ポリフェニレンスルフィド樹脂(乾燥試料重量約5〜10g)を平衡プレートに置いて周波数掃引(frequency sweeping)方式を利用して角周波数(Angular frequency)を0.1から100rad/sまで変化させながら300℃で測定した。
2)収率:乾燥されたポリフェニレンスルフィドの重量を電子秤で測定した後に、繰り返し単位(repeat unit)値(108.16g/mol)基準にモル数を計算した。これはより少なく投入された硫化ナトリウムのモル数またはパラ−ジクロロベンゼンのモル数を基準にして実際に回収したポリマーの収率(mol/mol%)を算出した。
Figure 2021521307
前記表1で比較例7および比較例10は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)粒子が生成されず、物性評価自体が不可であった。
前記表1に示したように、ポリアリーレンスルフィドの重合段階でジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属の水硫化物に対して1.04乃至1.08の当量比に最適化して投入すると同時に、第1段階の脱水反応と第2段階の重合工程を全て最適条件下で行うことによって、溶融粘度27.3Pa・S乃至73.8Pa・Sのポリアリーレンスルフィドを全て85%以上の高い収率で効果的に製造することができた。

Claims (11)

  1. アルカリ金属の水硫化物およびアルカリ金属の水酸化物を、アルカリ金属の有機酸塩の存在下で水およびアミド系化合物の混合溶媒中で185℃以上から205℃以下までの温度で脱水反応(dehydration)を行い、アルカリ金属の硫化物、および水とアミド系化合物の混合溶媒を含む硫黄供給源を製造する第1段階;および
    前記硫黄供給源を含む反応器にジハロゲン化芳香族化合物およびアミド系化合物を添加し、225℃以上245℃以下の温度で重合反応させた後に、250℃以上260℃以下の温度に昇温して重合反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する第2段階;
    を含み、
    前記第1段階の脱水反応を行う間に除去される脱水液は、総体積を基準にアミド系化合物を15%(v/v)乃至35%(v/v)で含み、
    前記第2段階の重合反応で前記ジハロゲン化芳香族化合物は、前記アルカリ金属の水硫化物1当量を基準に1.04乃至1.08の当量比で使用する、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  2. 前記アルカリ金属の有機酸塩は、アルカリ金属の水硫化物1当量に対して0.01乃至1.0の当量比で使用される、請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  3. 前記アルカリ金属の有機酸塩は、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、またはこれらの混合物を含む、請求項1または2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 前記第1段階での水は、アミド系化合物1当量に対して1乃至8の当量比で使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  5. 前記第1段階で製造される硫黄供給源は、硫黄1モルに対して水を1.5乃至3.5のモル比で含むものである、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  6. 前記第2段階を行う前に、前記硫黄供給源を含む反応器の温度を150℃以上200℃未満に低下させる段階をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  7. 前記第2段階でアミド系化合物は、硫黄1モルに対して2.5乃至4.0のモル比になるように添加する、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  8. 前記ジハロゲン化芳香族化合物は、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシドおよびジハロジフェニルケトンからなる群より選択されるいずれか一または二以上を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  9. 前記ポリアリーレンスルフィドは、85%以上の収率で生成され、溶融粘度が20Pa・S乃至150Pa・Sを有するものである、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  10. 前記第2段階での重合反応後、反応混合物に硫黄1当量に対して水を3乃至5の当量比で添加して冷却する段階をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  11. 前記冷却する段階の後に、水およびアミド系化合物を用いて反応混合物を洗浄した後に乾燥する段階をさらに含む、請求項10に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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