本発明は、ピッキングシステムに関する。
例えば電子商取引を行う事業者は、物流倉庫に多種の物品を保管しておき、注文を受けた際、購入された物品を物流倉庫から直接購入者に発送する場合がある。このような場合には、保管されている複数の物品の中から必要な物品を収集して出庫するピッキングシステムが用いられる。かかるピッキングシステムの一例が、特開2004−189417号公報(特許文献1)に開示されている。
このピッキングシステムは、走行方向に対して直交する方向に傾動自在な仕分けトレイ121を備えた多数のキャリッジ122を仕分け装置として備えている。目的の仕分け位置までキャリッジ122を走行させた後、仕分けトレイ121を傾動させて物品を排出して、排出された物品を回収ボックスBで受け取ることにより、仕分けを行っている。
特許文献1のピッキングシステムでは、例えば一度にまとめて処理するオーダー数が多くなると、仕分け装置の可動範囲を延長して、その延長したエリアに回収ボックスBを追加して対応することになる。このため、スペース効率が悪かった。また、特許文献1には、仕分け後の物品を収容した回収ボックスBの搬出及びその後の処理に関して一切記載がなく、仕分け後の物品を効率的に搬出することについては特に考慮されていなかった。
限られたスペースで物品の収集から出庫までを効率的に行うことができるピッキングシステムの実現が望まれている。
本開示に係るピッキングシステムは、
保管されている複数の物品の中から必要な物品を収集して出庫するピッキングシステムであって、
上下方向の高さが異なる複数段の間口を有し、オーダーに基づいて前記物品を複数段の前記間口のいずれかに仕分けして排出する複数段仕分け装置と、
複数段の前記間口のそれぞれに対応して複数段に設けられた複数の容器支持部を有し、前記オーダー毎の前記物品の集合である物品群が集まるまで、前記間口から排出される前記物品を受け取って収容する収容容器を、前記容器支持部に支持可能な容器支持装置と、
前記物品が収容された前記収容容器を前記容器支持部から搬出し、前記容器支持部に空の前記収容容器を搬入する搬送装置と、を備える。
この構成によれば、オーダーに基づいて物品を仕分ける仕分け装置が、複数段の間口を有する複数段仕分け装置で構成されるので、上下方向の異なる高さの各段を利用して、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。すなわち、仕分け装置の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。また、この構成では、各オーダーの物品群が集まるまで、間口から排出される物品が容器支持装置の容器支持部に支持されている収容容器で受け取られ、その後、搬送装置で自動搬出される。この搬出処理により各容器支持部には収容容器が不在となるので、それを補填するように空の収容容器が搬送装置で自動搬入される。このように、各オーダーの物品群が収容された収容容器の搬出及び空の収容容器の搬入が搬送装置によって自動で行われるので、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができる。以上より、限られたスペースで物品の収集から出庫までを効率的に行うことができるピッキングシステムを実現することができる。
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
ピッキングシステムの概略平面図
複数段仕分け装置の斜視図
ピッキングシステムの側面図
制御ブロック図
各物品の供給・分配の様子を示すモデル図
ピッキングシステムの動作手順を示す模式図
ピッキングシステムの動作中の一局面を示す模式図
ピッキングシステムの動作中の一局面を示す模式図
ピッキングシステムの動作中の一局面を示す模式図
第2実施形態に係るピッキングシステムの要部を示す概略平面図
第2実施形態に係るピッキングシステムの要部を示す並び方向視図
第2実施形態に係るピッキングシステムの各処理の説明図
第2実施形態に係るピッキングシステムの要部を示す幅方向視図
第2実施形態に係るピッキングシステムの各処理の流れを示すタイムチャート
別態様のピッキングシステムの側面図
別態様のピッキングシステムの側面図
〔第1実施形態〕
ピッキングシステムの第1実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態のピッキングシステム1は、例えば電子商取引を行う事業者が保有する物流設備に備えられ、保管されている複数の物品Aの中から必要な物品Aを収集(ピッキング)して出庫するために用いられる。
図1に示すように、ピッキングシステム1は、複数段仕分け装置2と、当該複数段仕分け装置2に並んで配置される容器支持装置3と、搬送装置4と、自動倉庫7とを主要な構成要素として備えている。また、本実施形態のピッキングシステム1は、物品ばらし部8と、空容器供給装置9とを備えている。
以下の説明では、複数段仕分け装置2と容器支持装置3とが並ぶ方向を「並び方向Y」とする。また、複数段仕分け装置2及び容器支持装置3の並び方向Yに沿う並び方向視で上下方向Zに交差する方向を幅方向Xとする。なお、本明細書では、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態をも含む概念として用いるものとする。
自動倉庫7は、多数の物品Aを保管するとともに、必要時に特定の物品Aを自動で搬出するように構成されている。物品Aは、種別毎に元梱容器に収納されて保管されている。
自動倉庫7は、物品Aを収容した元梱容器を保管する複数段の保管棚と、特定の物品Aが収容された元梱容器を保管棚から搬出する搬出装置とを備えている。搬出装置は、例えば保管棚の各段に対応して設けられた複数段の搬送台車であっても良いし、スタッカークレーン等であっても良い。
自動倉庫5には、元梱供給装置71が接続されている。元梱供給装置71は、自動倉庫7から搬出された元梱容器を複数段仕分け装置2側に向けて供給するための装置である。
元梱供給装置71は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。
元梱供給装置71には、物品ばらし部8が接続されている。物品ばらし部8は、元梱容器から物品Aをピース単位で取り出して複数段仕分け装置2側に供給するための部位である。この物品ばらし部8では、作業者が当該作業を人手で行っても良いし、ロボットアーム等が当該作業を自動で行っても良い。
物品ばらし部8には、元梱戻し装置72と物品供給装置81とが接続されている。元梱戻し装置72は、物品ばらし部8で必要個数の物品Aが取り出された後の元梱容器を自動倉庫7に戻して再入庫させるための装置である。元梱戻し装置72は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。物品供給装置81は、物品ばらし部8で元梱容器から取り出された物品Aを、順次、複数段仕分け装置2側に供給するため装置である。物品供給装置81は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。
物品供給装置81の搬送経路は、搬送方向における下流側で複数(具体的には、複数段仕分け装置2の個数)に分岐している。そして、複数の分岐径路のそれぞれが複数段仕分け装置2まで延びている。こうして、共通の自動倉庫7に、物品ばらし部8を介して複数の複数段仕分け装置2が接続されており、複数段仕分け装置2には、必要な物品Aがピース単位で供給されるようになっている。なお、必要な物品Aは、出荷すべき物品A(単一種であっても良いし、複数種の組み合わせであっても良い)の種別及び数量を示すオーダー(ピッキングオーダー)で指定される種別の物品である。
本実施形態のピッキングシステム1は複数の複数段仕分け装置2を備えている。これらは、並び方向Yに沿って所定間隔を隔てつつ互いに平行に配置されている。
図2に示すように、複数段仕分け装置2は、上下方向Zの高さが異なる複数段の間口21を有している。また、複数段仕分け装置2は、幅方向Xの位置が異なる複数列の間口21を有している。すなわち、複数段仕分け装置2は、複数段及び複数列からなる直交格子状配列の複数の間口21を有している。ここで、間口21は、例えば複数段仕分け装置2がその外周を取り囲む筐体を備える場合には、当該筐体に形成された複数の開口(窓部)であって良い。そのような筐体が複数段仕分け装置2に特に具備されていない場合には、間口21は、後述する容器支持装置3の個々の容器支持部32に対向する位置に設定される仮想的なものであっても良い。
間口21の段数は、2段以上であれば特に限定されない。段数が多くなるに従い、後述するように一度にまとめて処理可能なオーダー数が増加するので好ましい。但し、段数が多くなり過ぎると、初期コストが嵩んだり処理能力が過剰になったりする可能性がある。
複数段仕分け装置2は、例えば5段〜30段程度の間口21を有する多段仕分け装置であることが好ましい。間口21の列数も、2列以上であれば特に限定されず、例えば5列〜40列程度であって良い。
複数段仕分け装置2は、オーダーに基づいて物品Aを複数段及び複数列からなる複数の間口21のいずれかに仕分けして排出する。従来から良く知られている仕分け装置は単一段で平面的な仕分けを行うだけ(単段仕分け装置)であるのに対して、複数段仕分け装置2は、上下方向Zの異なる高さの各段を利用して立体的な仕分けを行う。このため、複数段仕分け装置2の段数に応じて、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。そして、仕分け装置用の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。
複数段仕分け装置2は、並び方向Yの両側に、複数段及び複数列からなる複数の間口21をそれぞれ有している。そして、複数段仕分け装置2は、オーダーに基づいて、物品Aを並び方向Yの両側の複数の間口21のいずれかに仕分けして排出する。このような構成では、さらに、一度にまとめて処理可能なオーダー数を倍増させることができるという利点がある。
図2に示すように、本実施形態の複数段仕分け装置2は、複数(具体的には、間口21の段数に応じた個数)の搬送台車25を備えている。複数段仕分け装置2には、複数段の間口21にそれぞれ対応して走行レール24が設置されている。各段の走行レール24は、幅方向Xに沿って設置されている。そして、搬送台車25が、各段の走行レール24上を当該走行レール24に沿って(幅方向Xに沿って)往復走行するように構成されている。また、各段の搬送台車25は、複数列の間口21に対応する位置で停止可能に構成されている。
搬送台車25には、物品Aを載置する排出コンベヤ26が固定されている。排出コンベヤ26は、走行レール24に直交する方向(並び方向Y)に駆動する。この排出コンベヤ26は、正逆両方向に駆動可能となっている。排出コンベヤ26が正転駆動することで、並び方向Yにおける一方側の間口21から物品Aが排出され、排出コンベヤ26が逆転駆動することで、並び方向Yにおける他方側の間口21から物品Aが排出される。こうして、複数段仕分け装置2は並び方向Yの両側の間口21から物品Aを排出可能となっている。
容器支持装置3は、複数の容器支持部32を有しており、それぞれの容器支持部32に収容容器Bを支持可能である。図3に示すように、複数の容器支持部32は、複数段仕分け装置2が有する複数段の間口21のそれぞれに対応して、複数段に設けられている。また、複数の容器支持部32は、複数段仕分け装置2が有する複数列の間口21のそれぞれに対応して、複数列に設けられている。こうして、容器支持装置3は、複数段及び複数列からなる直交格子状配列の複数の容器支持部32を有している。容器支持装置3は、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側にそれぞれ配置されている。
本実施形態の容器支持装置3は、床面に固定された容器収納棚31で構成されている。
この場合、容器支持部32は、当該容器収納棚31に備えられた棚板で構成されている。
棚板からなる容器支持部32には、収容容器Bが、載置状態で支持可能となっている。このように、容器支持装置3は、必ずしも駆動部を有する装置である必要はなく、静的な設備であっても良い。なお、収容容器Bは、例えば上方開放型の籠状体(バケット)等を用いることができる。
容器支持装置3は、容器支持部32に支持された収容容器Bが複数段仕分け装置2の間口21に対して並び方向Yに隣接するように配置されている。このため、複数段仕分け装置2が各間口21から仕分け後の物品Aを排出したとき、対応する容器支持部32に支持されている収容容器Bで、当該物品Aを受け取ることができる。容器支持部32に支持された収容容器Bは、少なくとも対応するオーダーの物品Aの集合である物品群Gが集まるまで、当該容器支持部32に支持された状態に維持される。本実施形態では、一度にまとめて処理される全てのオーダーに応じた物品群Gがそれぞれ対応する収容容器Bに集まるまで、各収容容器Bが対応する容器支持部32に支持された状態に維持される。そして、各収容容器Bは、複数段仕分け装置2の間口21から排出される物品Aを受け取って、それを収容する。
本実施形態では、1バッチで、1つの複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側に有する間口21の個数(段数×列数)と同数のオーダーがまとめて処理されるものとされている。例えば、各収容容器Bは、1つの複数段仕分け装置2の片側に位置している全ての収容容器Bに、対応するオーダーの物品群Gが集まるまで、容器支持部32に支持された状態に維持される。全ての収容容器Bに対応するオーダーの物品群Gが集まった後は、各収容容器Bは、容器支持部32から移載されて良い。
搬送装置4は、複数段仕分け装置2から排出される物品Aを容器支持部32に支持された状態の収容容器Bで受け取って搬出し、容器支持部32に空の収容容器Bを搬入する。
なお、以下では、空の収容容器Bを「空収容容器Be」と言い、物品A(物品群G)が収容された収容容器Bを「実収容容器Bf」と言う。図3等に示すように、搬送装置4は、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側にそれぞれ配置されている。
図1及び図3に示すように、搬送装置4は、搬入コンベヤ41と、搬出コンベヤ43と、スタッカークレーン45とを含む。搬入コンベヤ41、搬出コンベヤ43、及びスタッカークレーン45は、1つの複数段仕分け装置2あたり1つずつ設けられている。
搬入コンベヤ41は、空容器供給装置9の下流側に設けられている(図1を参照)。搬入コンベヤ41は、空容器供給装置9から供給される空収容容器Beを搬入する。搬入コンベヤ41は、少なくともその下流側の部分が、複数段仕分け装置2に沿って(幅方向Xに沿って)直線状に設けられている。また、搬入コンベヤ41は、容器支持装置3(容器収納棚31)の上方に、上下方向Zに見て容器支持装置3と重複する位置に配置されている。搬入コンベヤ41は、複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの一方側(図3の例では右側)だけに設けられており、他方側(図3の例では左側)には設けられていない。
搬出コンベヤ43は、実収容容器Bfを出荷エリア側に向けて搬出する。搬出コンベヤ43は、少なくともその上流側の部分が、複数段仕分け装置2に沿って(幅方向Xに沿って)直線状に設けられている。また、搬出コンベヤ43は、容器支持装置3(容器収納棚31)の下方に、上下方向Zに見て容器支持装置3と重複する位置に配置されている。
搬出コンベヤ43も、複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの一方側(図3の例では、搬入コンベヤ41と同じ側である右側)だけに設けられており、他方側(図3の例では左側)には設けられていない。
スタッカークレーン45は、移動装置46と、移載機47とを有している。移動装置46は、床面に設置された走行レール44に沿って往復走行する走行台車46Aと、この走行台車46Aから立設された一対のマストに沿って昇降する昇降台46Bとを有する。昇降台46Bに、移載機47が設置されている。移動装置46は、走行台車46Aが各列の容器支持部32にわたって往復走行し、昇降台46Bが各段の容器支持部32にわたって昇降することで、移載機47を複数の容器支持部32にわたって移動させる。移載機47は、容器支持装置3の容器支持部32から収容容器B(例えば実収容容器Bf)を受け取り、収容容器B(例えば空収容容器Be)を容器支持部32へ渡す。移載機47の形式は特に限定されないが、フック式であれば、容器支持装置3における容器支持部32の高さピッチを小さく抑えることができて好ましい。
図1及び図3に示すように、スタッカークレーン45は、容器支持装置3に対して並び方向Yに隣接して配置されている。容器支持装置3、複数段仕分け装置2、容器支持装置3、スタッカークレーン45は、並び方向Yにおいて記載の順に配置されている。また、それらを1つのユニットとして、複数のユニットが並び方向Yに隣接して配置されている。本実施形態のピッキングシステム1においては、一のユニットに属するスタッカークレーン45が、当該スタッカークレーン45に対して並び方向Yに隣接する他のユニットでも共用される構成となっている。すなわち、並び方向Yに隣り合う2つの複数段仕分け装置2どうしの間に位置するスタッカークレーン45が、一方の複数段仕分け装置2側からの実収容容器Bfの搬出と、他方の複数段仕分け装置2側からの実収容容器Bfの搬出とを、時期を異ならせて両方担うように構成されている。同様に、当該スタッカークレーン45は、一方の複数段仕分け装置2側への空収容容器Beの搬入と、他方の複数段仕分け装置2側への空収容容器Beの搬入とを、時期を異ならせて両方担う。この点に関しては後述する。
ピッキングシステム1は、当該ピッキングシステム1の各部の動作を制御する制御装置6を備えている。図4に示すように、制御装置6は、複数段仕分け装置2(搬送台車25及び排出コンベヤ26)及び搬送装置4(搬入コンベヤ41、搬出コンベヤ43、及びスタッカークレーン45)の動作を制御する。また、制御装置6は、自動倉庫7、元梱供給装置71、元梱戻し装置72、物品供給装置81、及び空容器供給装置9の動作を制御する。具体的には、制御装置6は、各部を駆動するための駆動装置(例えば駆動モータ等)を駆動制御することにより、各部の動作を制御する。
なお、各物品Aや各収容容器Bには、バーコードやICタグ等の識別標識が付されている。そして、ピッキングシステム1の複数位置にはバーコードリーダーやICタグリーダー等の読取装置が設置されており、制御装置6は、各読取装置からの読取情報を取得可能に構成されている。制御装置6は、当該読取情報に基づいて、各物品Aや各収容容器Bの位置を管理している。
以下、本実施形態のピッキングシステム1の動作の一例について説明する。本実施形態では、1つの複数段仕分け装置2あたり、当該複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側に有する間口21の個数(段数×列数)と同数のオーダーが、1バッチでまとめて処理される。図6の上段及び図7に示すように、一のバッチでは、オーダーに基づき複数段仕分け装置2によって仕分けられた物品Aは、並び方向Yにおける一方側(図示の例では右側)に排出され、当該一方側にある容器支持装置3に支持されている収容容器Bに収容される。このとき、まず、当該バッチを構成する全てのオーダーに含まれる物品Aが、複数段仕分け装置2に順次供給されてくる。その際、全てのオーダーに基づき、出荷すべき全種類の物品Aが、それぞれ必要個数ずつ、ピース単位で供給されてくる。
なお、複数の複数段仕分け装置2が同時に稼働する場合には、複数の複数段仕分け装置2のそれぞれに割り当てられている全てのオーダーに含まれる物品Aが、種別毎に集約してまとめて自動倉庫7から供給される。その後、各オーダーに基づき、必要個数ずつ各複数段仕分け装置2に分配される。この点について、図5に示す単純化モデルを参照して説明する。この図において、「α」〜「δ」は、物品Aの種別を表している。そして、「Aα」〜「Aδ」は各種別の個々の物品A(ピース)を表し、「Cα」〜「Cδ」は各種別の物品Aを収容している元梱容器を表している。
この例では、第1の複数段仕分け装置2Aに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は50個、種別βの物品Aの総数は30個、種別γの物品Aの総数は20個、種別δの物品Aの総数は100個である。また、第2の複数段仕分け装置2Bに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は10個、種別βの物品Aの総数は40個、種別γの物品Aの総数は60個、種別δの物品Aの総数は60個である。また、第3の複数段仕分け装置2Cに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は20個、種別βの物品Aの総数は20個、種別γの物品Aの総数は40個、種別δの物品Aの総数は30個である。また、第4の複数段仕分け装置2Dに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は60個、種別βの物品Aの総数は40個、種別γの物品Aの総数は80個、種別δの物品Aの総数は30個である。
この場合、4つの複数段仕分け装置2A〜2Dの全体で、種別αの物品Aが140個必要となり、種別βの物品Aが130個必要となり、種別γの物品Aが200個必要となり、種別δの物品Aが220個必要となる。そこで、自動倉庫7からは、140個以上の種別αの物品Aを収容した元梱容器、130個以上の種別βの物品Aを収容した元梱容器、200個以上の種別γの物品Aを収容した元梱容器、220個以上の種別δの物品Aを収容した元梱容器が搬出される。なお、各種別の物品Aを収容した元梱容器は、1つで必要個数を賄えない場合には、複数個に分かれていても良い。
その後、物品ばらし部8で、各種別の元梱容器から物品Aがピース単位で取り出される。その際、種別αの物品Aが140個取り出され、種別βの物品Aが130個取り出され、種別γの物品Aが200個取り出され、種別δの物品Aが220個取り出されて、順次、各複数段仕分け装置2側に送られていく。そして、各複数段仕分け装置2A〜2Dに、各種別の物品Aが、それぞれの必要個数ずつ分配されて供給される。
順次供給される物品Aは、複数段仕分け装置2により、オーダー毎に仕分けられる。1つの複数段仕分け装置2が有する複数の間口21は、それぞれ1つのオーダーに対応付けられている。このため、各物品Aは、複数段仕分け装置2により、その物品Aを含むオーダーに対応する間口21の位置まで搬送台車25で搬送された後、排出コンベヤ26によって当該間口21から排出される。そして、各間口21から排出された物品Aは、図7に示すように、容器支持装置3に支持されている収容容器Bに収容される。この処理は、1バッチに含まれる全てのオーダー分の仕分けが完了するまで、言い換えれば、並び方向Yの一方側の収容容器Bに物品群Gが集まるまで(図8を参照)、継続して行われる。
一のバッチの全てのオーダー分の仕分けが完了すると、次バッチの仕分け処理が開始される。このとき、次バッチでは、図6の下段及び図9に示すように、オーダーに基づき複数段仕分け装置2によって仕分けられた物品Aは、並び方向Yにおける他方側(図示の例では左側)に排出され、当該他方側にある容器支持装置3に支持されている収容容器Bに収容される。具体的な仕分け処理の内容は、上記と同様である。
このとき、複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの一方側(図示の例では右側)では前バッチの仕分けが完了しており、一方側の容器支持装置3には実収容容器Bfが支持されている。そこで、この並び方向Yの一方側にある実収容容器Bfを、順次、スタッカークレーン45で搬出コンベヤ43に運び出し、搬出コンベヤ43から搬出する。実収容容器Bfが搬出された容器支持部32には収容容器Bが不在となるので、当該容器支持部32に、搬入コンベヤ41から供給されてくる空収容容器Beをスタッカークレーン45で運び入れて補填する。このとき、搬出コンベヤ43及び搬入コンベヤ41は上下方向Zに見て容器支持装置3と重複する位置に配置されているので、収容容器Bの搬出や搬入のためのスタッカークレーン45の移動距離を短く抑えることができる。なお、この実収容容器Bfの搬出及び空収容容器Beの搬入は、当該バッチでの仕分け処理中に完了することが好ましい(図8を参照)。
全てのオーダー分の仕分けが完了すると、さらに次のバッチの仕分け処理が開始される。このとき、当該バッチでは、図6の上段及び図7に示すように、オーダーに基づき複数段仕分け装置2によって仕分けられた物品Aは、並び方向Yにおける一方側(図示の例では右側)に排出され、当該一方側にある容器支持装置3に支持されている収容容器Bに収容される。具体的な仕分け処理の内容は、上記と同様である。
このとき、複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの他方側では前バッチの仕分けが完了しており、他方側の容器支持装置3には実収容容器Bfが支持されている。そこで、この並び方向Yの他方側にある実収容容器Bfを、順次、スタッカークレーン45で搬出コンベヤ43に運び出し、搬出コンベヤ43から搬出する。実収容容器Bfが搬出された容器支持部32には収容容器Bが不在となるので、当該容器支持部32に、搬入コンベヤ41から供給されてくる空収容容器Beをスタッカークレーン45で運び入れて補填する。
以上の動作を、繰り返し実行する。
このように、本実施形態では、複数段仕分け装置2から物品Aを受け取る複数の収容容器Bは、並び方向Yにおける複数段仕分け装置2に対する位置に応じて2つの組(第1組容器群,第2組容器群)に分けられる。そして、図6〜図9に示すように、第1組容器群及び第2組容器群のうちの一方に属する収容容器Bに対する搬出及び搬入処理と、他方に属する収容容器Bへの仕分け(複数段仕分け装置2からの物品Aの排出)とが、時期的に重ねて実行される。さらに、それらの動作が、第1組容器群と第2組容器群とで交互に実行される。なお、図6において、「Ast」は仕分け処理が行われていることを表し、「Bf−out」は実収容容器Bfが搬出されていることを表し、「Be−in」は空収容容器Beが搬入されていることを表している。
すわなち、一のバッチにおいて、搬送装置4が第1組容器群に属する収容容器Bの搬出及び搬入(実収容容器Bfの搬出及び空収容容器Beの搬入)を行っている間に、複数段仕分け装置2が第2組容器群に属する収容容器Bへの物品Aの排出(仕分け処理)を行う。また、次バッチにおいて、搬送装置4が第2組容器群に属する収容容器Bの搬出及び搬入(実収容容器Bfの搬出及び空収容容器Beの搬入)を行っている間に、複数段仕分け装置2が第1組容器群に属する収容容器Bへの物品Aの排出(仕分け処理)を行う。
本実施形態のピッキングシステム1は、複数段複数列からなる複数の間口21を有する複数段仕分け装置2で仕分け処理を行うので、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。しかも、複数段仕分け装置2は並び方向Yの両側にそれぞれ複数の間口21を有するので、一度にまとめて処理可能なオーダー数をさらに増加させることができる。よって、仕分け装置の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。
また、本実施形態のピッキングシステム1は、搬送装置4として搬入コンベヤ41、搬出コンベヤ43、及びスタッカークレーン45を備えているので、各実収容容器Bfの搬出や、各空収容容器Beの搬入をそれぞれ自動でスムーズに行うことができる。よって、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができ、システム全体としての処理効率を高めることができる。
さらに、本実施形態のピッキングシステム1では、スタッカークレーン45が並び方向Yに隣接する2つの複数段仕分け装置2で共用されるので、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。また、スタッカークレーン45を共用しながらも、仕分け処理と実収容容器Bfの搬出及び空収容容器Beの搬入とを、時期的に重ねて、かつ、第1組容器群と第2組容器群とで交互に実行する。よって、この点からも、システム全体としての処理効率を高めることができる。
〔第2実施形態〕
次に、ピッキングシステムの第2実施形態について説明する。以下、本実施形態について、上記第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。特に説明しない点については、上記第1実施形態と同様である。
図10は、ピッキングシステム1の要部を模式的に示す平面図である。図11は、並び方向Yに沿う並び方向視において、ピッキングシステム1の要部を模式的に示す図である。なお、図10と図11とは、互いに対応しているものではなく、それぞれピッキングシステム1の異なる動作状態を示している。
図10及び図11に示すように、本実施形態では、搬送装置4が搬送コンベヤ450を備えている。更に本例では、搬送装置4が、中継搬送装置420と、実収容容器Bfを中継搬送装置420を介して搬送コンベヤ450から受け取って搬出する搬出コンベヤ430と、空収容容器Beを中継搬送装置420を介して搬送コンベヤ450に搬入する搬入コンベヤ410と、を備えている。
本実施形態では、搬送装置4は、1つの複数段仕分け装置2を挟んで並び方向Yの両側に配置されている。具体的には、搬送コンベヤ450、中継搬送装置420、搬出コンベヤ430、及び搬入コンベヤ410のそれぞれが、1つの複数段仕分け装置2を挟んで並び方向Yの両側に配置されている。
本実施形態では、搬送コンベヤ450は、収容容器Bを幅方向Xに沿って複数列の間口21(図2参照)と同数並べた状態で支持可能な支持面4Fを有し、支持面4Fに支持された複数の収容容器Bを幅方向Xに沿って搬送するように構成されている。すなわち本例では、支持面4Fが、収容容器Bを支持するための容器支持部32(図3等参照)を兼ねている。そして、搬送装置4の一部を構成する搬送コンベヤ450が、容器支持装置3(図3等参照)を兼ねている。
本実施形態では、図10に示すように、搬送コンベヤ450による収容容器Bの搬送経路Pは、閉じた環状の経路となるように設定されている。換言すれば、搬送コンベヤ450は、搬送経路Pに沿って収容容器Bを搬送することで、当該収容容器Bを搬送コンベヤ450内で循環させることができるように構成されている。そのため、ここでは、搬送コンベヤ450は、支持面4Fを有する第1搬送部451に加えて、支持面4Fに支持される収容容器Bの数と同数の収容容器Bを支持及び搬送する第2搬送部452と、第1搬送部451の第1端部e11と第2搬送部452の第1端部e21とを接続する第1接続搬送部453と、第1搬送部451の第2端部e12と第2搬送部452の第2端部e22とを接続する第2接続搬送部454と、を備えている。
本実施形態では、第1搬送部451が、複数段仕分け装置2に隣接して配置されると共に、第2搬送部452が、第1搬送部451よりも複数段仕分け装置2から遠い側配置されている。そして、第1搬送部451は、複数段仕分け装置2から物品Aを受け取る空収容容器Beを支持する容器支持部32として機能する部分である。また、第2搬送部452は、第1搬送部451に供給する空収容容器Beを一時的に貯留し、及び、第1搬送部451から供給された実収容容器Bfを一時的に貯留する貯留部(バッファ)として機能する部分である。図10に示す例では、第1搬送部451と第2搬送部452との双方が、直線状の搬送経路を形成するように構成されている。そして、第1搬送部451と第2搬送部452とが、並び方向Yに隣接して互いに平行に配置されている。
本実施形態では、第1搬送部451は、幅方向Xに沿って直線状に延在している。また、第2搬送部452も、幅方向Xに沿って直線状に延在している。このように、第1搬送部451と第2搬送部452との双方が、幅方向Xに沿って延在しているため、ピッキングシステム1全体として、当該幅方向Xに対して直交する並び方向Yでの省スペース化を図ることができる。
第1接続搬送部453は、第1搬送部451の第1端部e11と第2搬送部452の第1端部e21とを接続しており、並び方向Yに延在している。第1接続搬送部453は、並び方向Y及び幅方向Xの双方向に収容容器Bを搬送可能に構成されている。具体的には、第1接続搬送部453は、第1搬送部451との収容容器Bの受け渡し部、及び、第2搬送部452との収容容器Bの受け渡し部では、幅方向Xに収容容器Bを搬送可能であり、その他の部分では並び方向Yに収容容器Bを搬送可能であるように構成されている。第1接続搬送部453は、収容容器Bの搬送方向を変更可能な、いわゆるトランサー(搬送方向変更装置)として構成されている。なお、第1搬送部451の第1端部e11は、当該第1搬送部451における幅方向Xの一方側(図10における左側)の端部である。同様に、第2搬送部452の第1端部e21は、当該第2搬送部452における幅方向Xの一方側(図10における左側)の端部である。
第2接続搬送部454は、第1搬送部451の第2端部e12と第2搬送部452の第2端部e22とを接続しており、並び方向Yに延在している。第2接続搬送部454は、並び方向Y及び幅方向Xの双方向に収容容器Bを搬送可能に構成されている。具体的には、第2接続搬送部454は、第1搬送部451との収容容器Bの受け渡し部、及び、第2搬送部452との収容容器Bの受け渡し部では、幅方向Xに収容容器Bを搬送可能であり、その他の部分では並び方向Yに収容容器Bを搬送可能であるように構成されている。第2接続搬送部454は、上述の第1接続搬送部453と同様に、収容容器Bの搬送方向を変更可能な、いわゆるトランサー(搬送方向変更装置)として構成されている。なお、第1搬送部451の第2端部e12は、幅方向Xにおける、当該第1搬送部451の第1端部e11とは反対側(図10における右側)の端部(他端部)である。同様に、第2搬送部452の第2端部e22は、幅方向Xにおける、当該第2搬送部452の第1端部e21とは反対側(図10における右側)の端部(他端部)である。
このように、搬送コンベヤ450は、直接的又は間接的に互いに接続された第1搬送部451、第2搬送部452、第1接続搬送部453、及び、第2接続搬送部454を備えているため、搬送コンベヤ450内において収容容器Bを循環させることが可能となっている。搬送コンベヤ450による収容容器Bの搬送経路Pは、これら第1搬送部451、第2搬送部452、第1接続搬送部453、及び、第2接続搬送部454に沿って設定されている。本例では、搬送装置4は、このような搬送コンベヤ450を、上下方向Zの高さを異ならせて複数段備えている(図11参照)。図11に示す例では、6段の搬送コンベヤ450が、上下方向Zに並べて配置されている。
図10及び図11に示すように、搬出コンベヤ430は、実収容容器Bfを中継搬送装置420を介して搬送コンベヤ450から受け取って搬出するように構成されている。搬出コンベヤ430は、実収容容器Bfを出荷エリア側(図10〜図12における右側)に向けて搬出する。本実施形態では、搬出コンベヤ430は、上下方向視において、第2搬送部452及び中継搬送装置420と幅方向Xに並ぶように配置されている(図10参照)。すなわち本実施形態では、搬出コンベヤ430は、第2搬送部452に支持されている実収容容器Bfを、第2接続搬送部454と中継搬送装置420とを介して受け取るように構成されている。また図11に示すように、本例では、搬出コンベヤ430は、上下方向Zに複数段並べて配置される搬送コンベヤ450よりも少ない数(ここでは1つ)設けられている。図示の例では、搬出コンベヤ430は、下から3段目の搬送コンベヤ450と同じ高さに設置されている。但し、このような構成に限定されることなく、搬出コンベヤ430の設置高さは、任意の高さとすることができる。また、搬出コンベヤ430の数は、任意の数とすることができる。例えば、搬出コンベヤ430を搬送コンベヤ450と同数設けても良いし、搬出コンベヤ430の数を搬送コンベヤ450の半数としても良い。
図10及び図11に示すように、搬入コンベヤ410は、空収容容器Beを中継搬送装置420を介して搬送コンベヤ450に搬入するように構成されている。搬入コンベヤ410は、例えば、空容器供給装置(不図示)から供給される空収容容器Beを搬入する。本実施形態では、搬入コンベヤ410は、上下方向視において、第2搬送部452及び中継搬送装置420と幅方向Xに並ぶように配置されている(図10参照)。すなわち本実施形態では、搬入コンベヤ410は、空収容容器Beを、中継搬送装置420と第2接続搬送部454とを介して第2搬送部452に引き渡すように構成されている。また図11に示すように、本例では、搬入コンベヤ410は、上下方向Zに複数段並べて配置される搬送コンベヤ450よりも少ない数(ここでは1つ)設けられている。図示の例では、搬入コンベヤ410は、下から2段目の搬送コンベヤ450と同じ高さに設置されている。但し、このような構成に限定されることなく、搬入コンベヤ410の設置高さは、任意の高さとすることができる。また、搬入コンベヤ410の数は、任意の数とすることができる。例えば、搬入コンベヤ410を搬送コンベヤ450と同数設けても良いし、搬入コンベヤ410の数を搬送コンベヤ450の半数としても良い。
図10及び図11に示すように、本実施形態では、搬出コンベヤ430と搬入コンベヤ410とが、上下方向Zに沿う上下方向視で重複すると共に上下方向Zに離間して配置されている。これにより、ピッキングシステム1の全体により占有する床面積を小さく抑えることができる。
図10に示すように、中継搬送装置420は、上下方向視で、搬出コンベヤ430及び搬入コンベヤ410のそれぞれと、搬送コンベヤ450との間に配置されている。そして、中継搬送装置420は、搬出コンベヤ430及び搬入コンベヤ410のそれぞれと、搬送コンベヤ450との間で、収容容器Bを中継するように構成されている。図示の例では、中継搬送装置420は、上下方向視で、搬送コンベヤ450における第2搬送部452と、搬出コンベヤ430及び搬入コンベヤ410のそれぞれと、の間に配置されている。また、中継搬送装置420は、上下方向Zに複数段並べて配置される搬送コンベヤ450に対して、1つ設けられている。
本実施形態では、中継搬送装置420は、収容容器Bを上下方向Zに搬送するように構成されている。本例では、中継搬送装置420は、収容容器Bを載置支持した状態で上下方向Zに昇降する、いわゆるリフタ―として構成されている。また、中継搬送装置420は、支持した収容容器Bを幅方向Xにも搬送可能に構成されている。すなわち、中継搬送装置420は、収容容器Bを、上下方向Z及び幅方向Xに搬送するように構成されている。例えば、実収容容器Bfが搬出される際には、中継搬送装置420は、複数段の搬送コンベヤ450のうち対象となる搬送コンベヤ450に対応した位置まで上昇又は下降して、当該位置において幅方向Xに搬送されてくる実収容容器Bfを受け取る。そして、中継搬送装置420は、搬出コンベヤ430に対応する位置まで上昇又は下降して、当該位置において実収容容器Bfを幅方向Xに搬送することにより、搬出コンベヤ430に当該実収容容器Bfを引き渡す。また、例えば、空収容容器Beが搬入される際には、中継搬送装置420は、搬入コンベヤ410に対応する位置まで上昇又は下降して、当該位置において幅方向Xに搬送されてくる空収容容器Beを受け取る。そして、中継搬送装置420は、複数段の搬送コンベヤ450のうち対象となる搬送コンベヤ450に対応した位置まで上昇又は下降して、当該位置において空収容容器Beを幅方向Xに搬送することにより、対応する搬送コンベヤ450に当該空収容容器Beを引き渡す。
ここでは、中継搬送装置420が搬送可能な収容容器Bの数は、第1搬送部451又は第2搬送部452によって支持可能な収容容器Bの数よりも少ない。図10に示す例では、第1搬送部451及び第2搬送部452のそれぞれは、12個の収容容器Bを一度に支持可能に構成されている。一方、中継搬送装置420は、一度に4個の収容容器Bを搬送可能に構成されている(図11参照)。従って、本例では、中継搬送装置420は、第1搬送部451又は第2搬送部452がまとめて支持可能な12個の収容容器Bを、3回に分けて搬送する。
このピッキングシステム1は、オーダーに基づいて物品Aを仕分けして、仕分けした物品Aを対象の収容容器Bに収容する仕分け処理(Ast:Assort)と、仕分け処理(Ast)が完了した実収容容器Bfを搬出する搬出処理(Bf−out)と、空収容容器Beを搬入する搬入処理(Be−in)と、を実行する。更に本例では、ピッキングシステム1は、第1搬送部451に支持された実収容容器Bfと第2搬送部452に支持された空収容容器Beとを入れ替える入替処理(Rot:Rotation)を実行する。これらの各処理は、制御装置6(図4参照)が各部の動作を制御することによって実行される。
図10は、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側において、仕分け処理(Ast)が完了した後の状態を示している。仕分け処理(Ast)は、複数段仕分け装置2の動作によって実行される。仕分け処理(Ast)の完了後は、第1搬送部451(支持面4F)によって支持された全ての収容容器Bが実収容容器Bfとなる。図10に示す例では、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側に配置された第1搬送部451によって支持された12個の収容容器Bの全てが実収容容器Bfとなっている。また、後述する搬入処理(Be−in)により、この時点で、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側に配置された第2搬送部452には、12個の空収容容器Beが搬入されて支持されている。
そして、仕分け処理(Ast)の完了後、図12に示すように、入替処理(Rot)が実行される。入替処理(Rot)では、第1搬送部451に支持された実収容容器Bfと第2搬送部452に支持された空収容容器Beとを入れ替える。すなわち、第2搬送部452によって支持されていた空収容容器Beを第1搬送部451に搬送し、第1搬送部451によって支持されていた実収容容器Bfを第2搬送部452に搬送する。本例では、ピッキングシステム1は、第1搬送部451、第1接続搬送部453、第2搬送部452、及び第2接続搬送部454に沿って、搬送コンベヤ450内において実収容容器Bf及び空収容容器Beを循環させることにより、入替処理(Rot)を実行する。
そして、入替処理(Rot)の完了後、搬出処理(Bf−out)が実行される。搬出処理(Bf−out)では、第2搬送部452に支持されている実収容容器Bfを、中継搬送装置420を介して搬出コンベヤ430へ搬送し、更に、搬出コンベヤ430によって搬出先へ搬出する。本例の搬出処理(Bf−out)では、中継搬送装置420は、第2搬送部452に支持されている12個の実収容容器Bfを、1回の搬送で4個ずつ、3回に分けて搬出コンベヤ430へ搬送する。搬出処理(Bf−out)の完了後には、第2搬送部452に収容容器Bが配置されていない状態となる。
そして、搬出処理(Bf−out)の完了後、搬入処理(Be−in)が実行される。搬入処理(Be−in)では、収容容器Bが配置されていない状態の第2搬送部452に対して、搬入コンベヤ410から中継搬送装置420を介して空収容容器Beを搬送する。本例の搬入処理(Be−in)では、中継搬送装置420は、1回の搬送で4個ずつ、3回に分けて12個の空収容容器Beを第2搬送部452に搬送する。
ここで、搬出処理(Bf−out)及び搬入処理(Be−in)を実行する前段階において、第1搬送部451には、入替処理(Rot)の実行によって空収容容器Beが配置された状態となっている。そこで、本実施形態では、搬出処理(Bf−out)及び搬入処理(Be−in)の実行中にも、仕分けした物品Aを対象の収容容器Bに収容する仕分け処理(Ast)を実行する(Bf−out&Ast、Be−in&Ast)。すなわち、本実施形態では、仕分け処理(Ast)を停止する必要がある期間は、入替処理(Rot)の実行中のみとなっている。そのため、ピッキングシステム1全体として処理効率を向上させることができる。なお、仕分け処理(Ast)を、搬出処理(Bf−out)及び搬入処理(Be−in)のいずれか一方の実行中にのみ実行するようにしても良い。
次に、1つの複数段仕分け装置2の単位で実行される各処理の順序の具体例について説明する。
図13に示すように、本実施形態では、1つの複数段仕分け装置2を挟んで並び方向Yの両側に、搬送装置4が設けられている。図示の例では、複数段仕分け装置2に対して、右側Rと左側Lとの双方に、搬送装置4が設けられている。一対の搬送装置4のそれぞれは、6段の搬送コンベヤ450を備えている。図13に示すように、複数段仕分け装置2の右側R及び左側Lのそれぞれにおいて、下方から、1段目の搬送コンベヤ450、2段目の搬送コンベヤ450、・・・6段目の搬送コンベヤ450、が配置されている。
また、図14は、横軸が時間軸とされたタイムチャートを示している。図14における「R1」は、図13における右側Rの1段目の搬送コンベヤ450を示しており、「R2」は、右側Rの2段目の搬送コンベヤ450を示している。「R3」〜「R6」についても同様の規則で、図13における右側Rの各段の搬送コンベヤ450を示している。図14における「L1」は、図13における左側Lの1段目の搬送コンベヤ450を示しており、「L2」は、左側Lの2段目の搬送コンベヤ450を示している。「L3」〜「L6」についても同様の規則で、図13における左側Lの各段の搬送コンベヤ450を示している。そして、図14は、各段各側の搬送コンベヤ450において実行される動作と時間経過との関係を示している。
本実施形態では、ピッキングシステム1(制御装置6:図4参照)は、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側(例えば右側R)に配置された複数段の搬送コンベヤ450のうち一部の搬送コンベヤ450と、他方側(例えば左側L)に配置された複数段の搬送コンベヤ450のうち一部の搬送コンベヤ450とを、時期を重複させて動作させる。そして、ピッキングシステム1は、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側(例えば右側R)に配置された複数段の搬送コンベヤ450のうち残りの一部の搬送コンベヤ450と、他方側(例えば左側L)に配置された複数段の搬送コンベヤ450のうち残りの一部の搬送コンベヤ450とを、時期を重複させて動作させる。
具体的には、図14に示すように、本実施形態では、ピッキングシステム1は、右側Rに配置された1段目、3段目、及び5段目の搬送コンベヤ(R1,R3,R5)と、左側Lに配置された2段目、4段目、及び6段目の搬送コンベヤ(L2,L4,L6)とを、第1コンベヤグループU1として、時期を重複させてこれらを動作させる。また、ピッキングシステム1は、右側Rに配置された2段目、4段目、及び6段目の搬送コンベヤ(R2,R4,R6)と、左側Lに配置された1段目、3段目、及び5段目の搬送コンベヤ(L1,L3,L5)とを、第2コンベヤグループU2として、時期を重複させてこれらを動作させる。
本実施形態では、複数段仕分け装置2は、複数段のそれぞれで物品Aを搬送して仕分けを行う構成となっている。そのため、第1コンベヤグループU1と第2コンベヤグループU2とのそれぞれに属する搬送コンベヤ450は、同じ段の左右の搬送コンベヤ450が時期を重複させて仕分け処理(Ast)の対象となることがないように設定されている。これにより、複数段仕分け装置2の各段の仕分け能力を有効に活用することができるため、仕分け処理の効率を高めることができる。なお、複数段仕分け装置2の構成は上記のものには限られないため、第1コンベヤグループU1又は第2コンベヤグループU2を構成する各搬送コンベヤ450の組み合わせは、複数段仕分け装置2の構成に応じて適宜設定されると良い。
図14に示すように、本例では、ピッキングシステム1は、第1ターム(Term1)で、第1コンベヤグループU1において仕分け処理(Ast)を実行すると共に、第2コンベヤグループU2において入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び、搬入処理(Be−in)を実行する。
具体的には、ピッキングシステム1は、第1ターム(Term1)において、複数段仕分け装置2によりオーダー毎に仕分けした物品Aを、第1コンベヤグループU1に属する各搬送コンベヤ(R1,R3,R5,L2,L4,L6)に支持されている収容容器Bに収容する仕分け処理(Ast)を実行する。
また、この第1ターム(Term1)の間に、ピッキングシステム1は、第2コンベヤグループU2に属する各搬送コンベヤ(R2,R4,R6,L1,L3,L5)において、まず入替処理(Rot)を実行して、第1搬送部451に支持された12個の実収容容器Bfを各搬送コンベヤ(R2,R4,R6,L1,L3,L5)における第2搬送部452に移動させると共に、第2搬送部452に支持された12個の空収容容器Beを第1搬送部451に移動させる。なお、ここで第1搬送部451に支持された12個の実収容容器Bfは、図示しない前のタームでの仕分け処理(Ast)の結果であり、第2搬送部452に支持された12個の空収容容器Beは、図示しない前のタームでの搬入処理(Be−in)の結果である。入替処理(Rot)の実行により、複数段仕分け装置2から排出された物品Aを収容可能な位置に空収容容器Beを配置できると共に、中継搬送装置420によって搬送可能な位置に実収容容器Bfを配置できる。これにより、次の第2ターム(Term2)での仕分け処理(Ast)の準備と、この第1ターム(Term1)での搬出処理(Bf−out)の準備が整う。そして、複数段仕分け装置2の右側Rと左側Lとのそれぞれにおいて、中継搬送装置420が、1段ずつ、搬出処理(Bf−out)と搬入処理(Be−in)とを実行する。
本例では、図14に示すように、第1ターム(Term1)では、複数段仕分け装置2の右側Rにおいて、2段目の搬送コンベヤR2、4段目の搬送コンベヤR4、6段目の搬送コンベヤR6の順に、搬出処理(Bf−out)を実行する。そして、これと同時進行で、複数段仕分け装置2の左側Lにおいて、1段目の搬送コンベヤL1、3段目の搬送コンベヤL3、5段目の搬送コンベヤL5の順に、搬出処理(Bf−out)を実行する。
また、複数段仕分け装置2の右側Rにおいて搬出処理(Bf−out)が終了すると、各搬送コンベヤ(R2,R4,R6)の第2搬送部452は、収容容器Bが配置されていない空き状態となる。そこで、複数段仕分け装置2の右側Rにおいて、2段目の搬送コンベヤR2、4段目の搬送コンベヤR4、6段目の搬送コンベヤR6の順に、搬入処理(Be−in)を実行する。同様に、複数段仕分け装置2の左側Lにおいて搬出処理(Bf−out)が終了すると、各搬送コンベヤ(L1,L3,L5)の第2搬送部452は、収容容器Bが配置されていない空き状態となる。そこで、複数段仕分け装置2の左側Lにおいて、1段目の搬送コンベヤL1、3段目の搬送コンベヤL3、5段目の搬送コンベヤL5の順に、搬入処理(Be−in)を実行する。以上のような、第1ターム(Term1)における、第2コンベヤグループU2の入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び搬入処理(Be−in)は、第1コンベヤグループU1の仕分け処理(Ast)の完了前に完了していることが望ましい。
第1ターム(Term1)終了後、第2ターム(Term2)で、図14に示すように、ピッキングシステム1は、第2コンベヤグループU2に属する各搬送コンベヤ(R2,R4,R6,L1,L3,L5)において仕分け処理(Ast)を実行すると共に、第1コンベヤグループU1に属する各搬送コンベヤ(R1,R3,R5,L2,L4,L6)において入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び、搬入処理(Be−in)を実行する。
すなわち、第2ターム(Term2)では、第1ターム(Term1)において各コンベヤグループ(U1,U2)で実行されていた各処理を入れ替えて、各コンベヤグループ(U1,U2)においてそれらの各処理を実行する。なお、第1コンベヤグループU1での入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び、搬入処理(Be−in)は、上述した第2コンベヤグループU2での入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び、搬入処理(Be−in)と同様の流れで実行されるため、説明を省略する。
そして、第2ターム(Term2)終了後、第3ターム(Term3)では、第2ターム(Term2)において各コンベヤグループ(U1,U2)で実行されていた各処理を再度入れ替えて、各コンベヤグループ(U1,U2)においてそれらの各処理を実行する。このように、ピッキングシステム1では、各ターム(Term1,Term2,Term3,・・・)毎に、各コンベヤグループ(U1,U2)における処理を入れ替えて実行する。これにより、複数段仕分け装置2及び搬送装置4を含む各装置を効率的に連携させて運用することができ、ピッキングシステム1全体として、高い処理効率を実現することができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態では、複数段仕分け装置2が、排出コンベヤ26を有する複数の搬送台車25を備えて構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、複数段仕分け装置2が、例えば各間口21に対応する位置に押出機構が設けられた複数段のスラットコンベヤを備えて構成されても良い。また、複数段仕分け装置2は、物品Aを複数の間口21のいずれかに仕分けして排出するものであれば、いかなる構造のものを用いても良い。
(2)上記の各実施形態では、複数段仕分け装置2が並び方向Yの両側に間口21を有しており、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側に容器支持装置3が配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側だけに間口21を有し、その間口21の側だけに容器支持装置3が配置されても良い。
(3)上記の各実施形態では、ピッキングシステム1が複数の複数段仕分け装置2を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばピッキングシステム1が、単一の複数段仕分け装置2だけを備えて構成されても良い。
(4)上記の各実施形態では、収容容器Bが、容器支持装置3の容器支持部32に載置状態で支持可能となっている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、収容容器Bが、例えば容器支持装置3の容器支持部32に吊下状態で支持可能に構成されても良い。この場合、容器支持部32や収容容器Bの構造は、吊下支持に適したものとされる。
(5)上記の各実施形態では、スタッカークレーン45の移載機47が実収容容器Bfの搬出や空収容容器Beの搬入を、1つずつ行う構成を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、移載機47が、実収容容器Bfの搬出や空収容容器Beの移載を、複数個ずつ同時に行うように構成されても良い。
(6)上記の第1実施形態では、スタッカークレーン45が並び方向Yに隣接する2つの複数段仕分け装置2で共用される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図15に示すように、並び方向Yに隣接する2つの複数段仕分け装置2が、それらの間に、それぞれ専用のスタッカークレーン45を備えても良い。この場合、1つの複数段仕分け装置2あたり、専用のスタッカークレーン45が2つずつ設けられる。
(7)上記の第1実施形態では、搬送装置4がスタッカークレーン45を含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、搬送装置4が、例えば容器支持装置3の容器支持部32の各段に対応して複数段に設けられた搬送台車を含んで構成されても良い。
(8)上記の第1実施形態では、容器支持装置3が容器収納棚31で構成され、搬送装置4が容器収納棚31とは別のスタッカークレーン45を含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図16に示すように、容器支持装置3と搬送装置4の一部とが、複数段仕分け装置2の間口21の各段に対応して複数段に設けられた払出コンベヤ49で兼用されても良い。この払出コンベヤ49は、停止状態で、その上に載置支持された収容容器Bで複数段仕分け装置2から排出された物品Aを受け取り、駆動状態で、実収容容器Bfの搬出や空収容容器Beの搬入を行う。
(9)上記の第1実施形態では、複数の収容容器Bが並び方向Yにおける複数段仕分け装置2に対する位置に応じて2つの組(第1組容器群,第2組容器群)に分けられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、複数の収容容器Bが、例えば容器支持装置3における容器支持部32の位置(例えば、奇数段/偶数段、半分より上側段/下側段、奇数列/偶数列、半分より右側段/左側段、・・・)に応じて2つの組に分けられても良い。
(10)上記の第1実施形態では、1つの複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側に有する間口21の個数(段数×列数)と同数のオーダーを1バッチでまとめて処理する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1バッチでまとめて処理するオーダー数は、適宜変更されても良い。
(11)上記の第2実施形態では、第1搬送部451及び第2搬送部452が、幅方向Xに沿う直線状に形成された構成を例として説明した。しかし、これらの形状は、幅方向Xに沿う直線状には限定されない。但し、第1搬送部451は、複数段仕分け装置2の各段の複数の間口21から排出される物品Aを受け取り可能な位置に配置されている必要がある。従って、第1搬送部451は、複数段仕分け装置2の複数の間口21の幅方向Xの配置形状に応じた形状とされることが望ましい。一方、第2搬送部452は、第1搬送部451に比べて形状の自由度が高い。例えば、第1搬送部451が幅方向Xに延在している場合であっても、第2搬送部452については、幅方向Xに延在していなくても良い。また、第2搬送部452の平面視での形状についても、例えば円弧状やS字状等の曲線状に形成されていても良い。
(12)上記の第2実施形態では、搬送コンベヤ450が、第1搬送部451に加えて、第2搬送部452、第1接続搬送部453、及び第2接続搬送部454を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2搬送部452の形状によっては、搬送コンベヤ450が、第1接続搬送部453及び第2接続搬送部454を備えず、第1搬送部451と第2搬送部452とが直接接続された構成としても良い。或いは、搬送コンベヤ450は、第2搬送部452、第1接続搬送部453、及び第2接続搬送部454を備えていなくても良い。この場合、第1搬送部451と中継搬送装置420とが、直接的に収容容器Bを受け渡しするように構成されても良い。例えば、第1搬送部451における幅方向Xの両側のそれぞれに中継搬送装置420が設けられ、一方の中継搬送装置420(例えば第1中継搬送装置)から第1搬送部451に空収容容器Beを搬送するように構成されると共に、当該第1搬送部451から他方の中継搬送装置420(例えば第2中継搬送装置)に実収容容器Bfを搬送するように構成されていると良い。但し、これに限定されることなく、第1搬送部451における幅方向Xの一方側のみに中継搬送装置420が設けられ、当該中継搬送装置420が、第1搬送部451への空収容容器Beの引き渡し、及び、第1搬送部451からの実収容容器Bfの受け取りの双方を行うように構成されていても良い。
(13)上記の第2実施形態では、中継搬送装置420が、上下方向視で、搬送コンベヤ450における第2搬送部452と、搬出コンベヤ430及び搬入コンベヤ410のそれぞれと、の間に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、中継搬送装置420は、搬送コンベヤ450における第1搬送部451と第2搬送部452との双方に対応して、1つの搬送コンベヤ450に対して一対設けられていても良い。この場合、一方の中継搬送装置420(例えば第1中継搬送装置)は、上下方向視で、第1搬送部451と搬入コンベヤ410との間に配置され、搬入コンベヤ410から受け取った空収容容器Beを第1搬送部451に搬送するように構成されると良い。そして、他方の中継搬送装置420(例えば第2中継搬送装置)は、上下方向視で、第2搬送部452と搬出コンベヤ430との間に配置され、第2搬送部452から受け取った実収容容器Bfを搬出コンベヤ430に搬送するように構成されると良い。
(14)上記の第2実施形態では、搬出コンベヤ430と搬入コンベヤ410とが、上下方向Zに沿う上下方向視で重複すると共に上下方向Zに離間して配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、搬出コンベヤ430と搬入コンベヤ410とは、上下方向視で重複しないように配置されていても良い。この場合、搬出コンベヤ430と搬入コンベヤ410とは、上下方向Zに離間して配置されていても良いし、上下方向Zにおける同じ位置(同じ高さ)に配置されていても良い。
(15)上記の第2実施形態では、中継搬送装置420が、収容容器Bを上下方向Z及び幅方向Xに搬送するように構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、中継搬送装置420は、収容容器Bを上下方向Z及び幅方向Xに加えて、並び方向Yにも搬送するように構成されていても良い。或いは、中継搬送装置420は、例えば、収容容器Bを幅方向Xにのみ搬送するコンベヤとして構成され、上下方向Zに複数段並べて配置される搬送コンベヤ450の数に応じて設けられると良い。この場合、上下方向Zに複数段並べて配置される中継搬送装置420のそれぞれは、幅方向Xにおける搬送コンベヤ450とは反対側において、収容容器Bの搬出及び搬入の双方を実行可能な搬出入コンベヤに接続されていると好適である。搬出入コンベヤは、幅方向Xの両側のそれぞれに向けて収容容器Bを搬送可能に構成され、上下方向Zに複数段並べて配置される中継搬送装置420の数に応じて設けられる。なお、搬出入コンベヤは、幅方向Xにおける中継搬送装置420とは反対側において、空収容容器Beを搬入する搬入ライン及び実収容容器Bfを搬出する搬出ラインの双方に接続される。なお、中継搬送装置420がコンベヤとして構成される場合、当該中継搬送装置420として、例えば、収容容器Bを螺旋状の搬送経路に沿って搬送するスパイラルコンベヤ、傾斜角度を変更自在な可変傾斜コンベヤ、或いは、その他の周知のコンベヤを採用しても良い。中継搬送装置420の数は、その構成に応じて適宜設定される。なお、中継搬送装置420として可変傾斜コンベヤを用いる場合、例えば、当該可変傾斜コンベヤが第1の傾斜角度の状態で、当該可変傾斜コンベヤによって搬送コンベヤ450と搬入コンベヤ410とが接続され、当該可変傾斜コンベヤが第2の傾斜角度の状態で、当該可変傾斜コンベヤによって搬送コンベヤ450と搬出コンベヤ430とが接続されるように、角度変更する構成としても好適である。
(16)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係るピッキングシステムは、好適には、以下の各構成を備える。
保管されている複数の物品の中から必要な物品を収集して出庫するピッキングシステムであって、
上下方向の高さが異なる複数段の間口を有し、オーダーに基づいて前記物品を複数段の前記間口のいずれかに仕分けして排出する複数段仕分け装置と、
複数段の前記間口のそれぞれに対応して複数段に設けられた複数の容器支持部を有し、前記オーダー毎の前記物品の集合である物品群が集まるまで、前記間口から排出される前記物品を受け取って収容する収容容器を、前記容器支持部に支持可能な容器支持装置と、
前記物品が収容された前記収容容器を前記容器支持部から搬出し、前記容器支持部に空の前記収容容器を搬入する搬送装置と、を備える。
この構成によれば、オーダーに基づいて物品を仕分ける仕分け装置が、複数段の間口を有する複数段仕分け装置で構成されるので、上下方向の異なる高さの各段を利用して、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。すなわち、仕分け装置の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。また、この構成では、各オーダーの物品群が集まるまで、間口から排出される物品が容器支持装置の容器支持部に支持されている収容容器で受け取られ、その後、搬送装置で自動搬出される。この搬出処理により各容器支持部には収容容器が不在となるので、それを補填するように空の収容容器が搬送装置で自動搬入される。このように、各オーダーの物品群が収容された収容容器の搬出及び空の収容容器の搬入が搬送装置によって自動で行われるので、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができる。以上より、限られたスペースで物品の収集から出庫までを効率的に行うことができるピッキングシステムを実現することができる。
一態様として、
前記複数段仕分け装置は、前記複数段仕分け装置及び前記容器支持装置の並び方向の両側に前記間口をそれぞれ有しており、
前記複数段仕分け装置に対して前記並び方向の両側に、前記容器支持装置及び前記搬送装置がそれぞれ配置されていることが好ましい。
この構成によれば、複数段仕分け装置が片側だけに間口を有して物品を片側だけに排出するような構成に比べて、一度にまとめて処理可能なオーダー数を倍増させることができる。
一態様として、
前記複数段仕分け装置が、前記並び方向に沿って複数設けられ、
前記並び方向に隣り合う2つの前記複数段仕分け装置どうしの間に位置する前記搬送装置が、一方の前記複数段仕分け装置側からの前記収容容器の搬出と、他方の前記複数段仕分け装置側からの前記収容容器の搬出と、の両方を担うように構成されていることが好ましい。
この構成によれば、並び方向に隣り合う2つの複数段仕分け装置どうしの間にそれぞれ専用の搬送装置が設置される構成に比べて、2つの複数段仕分け装置で1つの搬送装置を共用する分、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。
一態様として、
前記搬送装置が、前記容器支持部から前記収容容器を受け取り及び前記収容容器を前記容器支持部へ渡す移載機と、前記移載機を複数の前記容器支持部にわたって移動させる移動装置と、を有するスタッカークレーンを含むことが好ましい。
この構成によれば、スタッカークレーンに含まれる上下移動可能な移動装置と移載機とを利用して、容器支持装置において複数段にわたって支持されている各段の収容容器を、共通のスタッカークレーンを用いて搬出することができる。また、容器支持装置の各段の容器支持部に、共通のスタッカークレーンを用いて、空の収容容器を搬入することができる。よって、例えば搬送装置が複数段のコンベヤを含むような構成に比べて、搬送装置の構造の簡素化を図ることができる。
一態様として、
前記搬送装置が、前記物品が収容された前記収容容器を前記スタッカークレーンから受け取って搬出する搬出コンベヤと、空の前記収容容器を搬入して前記スタッカークレーンに引き渡す搬入コンベヤと、を含み、
前記搬出コンベヤ及び前記搬入コンベヤが、前記上下方向に見て前記容器支持装置と重複する位置に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、搬出コンベヤを用いて物品が収容された収容容器を上下方向に見て容器支持装置と重複する位置から搬出することができ、搬入コンベヤを用いて空の収容容器を上下方向に見て容器支持装置と重複する位置まで搬入することができる。従って、スタッカークレーンを用いた、収容容器の搬出や搬入を短い距離で行うことができる。よって、搬送装置がスタッカークレーンを含んで構成される場合において、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を、効率的に行うことができる。その際、容器支持装置の上下の空間を利用して搬出コンベヤ及び搬入コンベヤを配置することができるので、システム全体としての平面的な設置スペースを小さく抑えることができる。
一態様として、
前記複数段仕分け装置及び前記容器支持装置の並び方向に沿う並び方向視で前記上下方向に交差する方向を幅方向として、
前記複数段仕分け装置は、前記幅方向の位置が異なる複数列の前記間口を有し、
前記搬送装置が搬送コンベヤを備え、
前記搬送コンベヤは、前記収容容器を前記幅方向に沿って複数列の前記間口と同数並べた状態で支持可能な支持面を有し、前記支持面に支持された複数の前記収容容器を前記幅方向に沿って搬送し、
前記支持面が前記容器支持部を兼ね、
前記搬送コンベヤが前記容器支持装置を兼ねていることが好ましい。
この構成によれば、収容容器の支持及び搬送を、搬送装置と容器支持装置とを兼ねた搬送コンベヤによって行うことができる。このため、搬送装置と容器支持装置とを別々に備える場合に比べて、システム全体として構成の簡略化と省スペース化とを図ることができる。また、本構成によれば、容器支持部を兼ねた搬送コンベヤの支持面によって、複数列の間口と同数並べられた収容容器をまとめて支持できると共に、これらをまとめて幅方向に沿って搬送することができる。そのため、収容容器の搬送効率を高めることができる。
一態様として、
前記搬送コンベヤが、前記支持面を有する第1搬送部に加えて、前記支持面に支持される前記収容容器の数と同数の前記収容容器を支持及び搬送する第2搬送部と、前記第1搬送部の第1端部と前記第2搬送部の第1端部とを接続する第1接続搬送部と、前記第1搬送部の第2端部と前記第2搬送部の第2端部とを接続する第2接続搬送部と、を備えることが好ましい。
この構成によれば、第1搬送部及び第2搬送部のそれぞれが、互いに同数の収容容器を支持することができ、また、これらが第1接続搬送部及び第2接続搬送部によって互いに接続されている。そのため、例えば、第1搬送部が、物品が収容された収容容器(実収容容器)を複数支持し、かつ、第2搬送部が、物品が収容されていない空の収容容器(空収容容器)を第1搬送部と同数支持した状態で、これら実収容容器と空収容容器とを、第1搬送部と第2搬送部との間で一度に入れ替えることができる。そのため、実収容容器と空収容容器との入れ替えを待つために物品の仕分け作業が停止する時間を、短くすることができる。従って、本構成によれば、システム全体として処理効率を高めることができる。
一態様として、
前記搬送装置が、中継搬送装置と、前記物品が収容された前記収容容器を前記中継搬送装置を介して前記搬送コンベヤから受け取って搬出する搬出コンベヤと、空の前記収容容器を前記中継搬送装置を介して前記搬送コンベヤに搬入する搬入コンベヤと、を備え、
前記搬出コンベヤと前記搬入コンベヤとが、前記上下方向に沿う上下方向視で重複すると共に前記上下方向に離間して配置され、
前記中継搬送装置が、前記収容容器を前記上下方向に搬送することが好ましい。
この構成によれば、収容容器を搬出するための搬出コンベヤと収容容器を搬入するための搬入コンベヤとが、上下方向視で重複すると共に上下方向に離間して配置されているため、システム全体により占有する床面積を小さく抑えることができる。また、このように搬出コンベヤと搬入コンベヤとが上下方向に離間して配置された構成であっても、中継搬送装置が収容容器を上下方向に搬送するように構成されているため、搬出コンベヤ及び搬入コンベヤのそれぞれと搬送コンベヤとの間で、収容容器を適切に搬送することができる。
一態様として、
前記複数段仕分け装置から前記物品を受け取る複数の前記収容容器には、第1組に属する前記収容容器の集合である第1組容器群と、第2組に属する前記収容容器の集合である第2組容器群と、が含まれ、
前記搬送装置が、前記第1組容器群に属する前記収容容器の搬出及び搬入を行っている間に、前記複数段仕分け装置が、前記第2組容器群に属する前記収容容器への前記物品の排出を行い、
前記搬送装置が、前記第2組容器群に属する前記収容容器の搬出及び搬入を行っている間に、前記複数段仕分け装置が、前記第1組容器群に属する前記収容容器への前記物品の排出を行うことが好ましい。
この構成によれば、第1組容器群及び第2組容器群のうちの一方に属する収容容器に対する搬出及び搬入処理と、他方に属する収容容器への仕分け(複数段仕分け装置からの物品の排出)とを、時期的に重ねて実行することができる。そして、それらの動作を第1組容器群と第2組容器群とで交互に行うことで、ピッキングシステム全体としての処理効率を向上させることができる。
一態様として、
前記物品を保管する自動倉庫をさらに備え、
前記複数段仕分け装置が複数設けられているとともに、複数の複数段仕分け装置が共通の前記自動倉庫に接続されており、
複数の複数段仕分け装置のそれぞれに対応する前記オーダーに含まれる前記物品が、種別毎に集約して前記自動倉庫側から供給され、その後、必要個数ずつ各複数段仕分け装置に分配されることが好ましい。
この構成によれば、個々の複数段仕分け装置に対して、順次、各オーダーに含まれる物品を自動倉庫側から供給するような構成に比べて、自動倉庫の動作量を少なく抑えることができる。よって、自動倉庫からの複数の複数段仕分け装置のそれぞれへの物品の供給を円滑に行うことができる。また、システム全体としての処理効率を高めることができる。
本開示に係るピッキングシステムは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
1 ピッキングシステム
2 複数段仕分け装置
3 容器支持装置
4 搬送装置
21 間口
31 容器収納棚
32 容器支持部
41 搬入コンベヤ
43 搬出コンベヤ
45 スタッカークレーン
46 移動装置
47 移載機
A 物品
G 物品群
B 収容容器
Bf 実収容容器
Be 空収容容器
Y 並び方向
Z 上下方向
本発明は、ピッキングシステムに関する。
例えば電子商取引を行う事業者は、物流倉庫に多種の物品を保管しておき、注文を受けた際、購入された物品を物流倉庫から直接購入者に発送する場合がある。このような場合には、保管されている複数の物品の中から必要な物品を収集して出庫するピッキングシステムが用いられる。かかるピッキングシステムの一例が、特開2004−189417号公報(特許文献1)に開示されている。
このピッキングシステムは、走行方向に対して直交する方向に傾動自在な仕分けトレイ121を備えた多数のキャリッジ122を仕分け装置として備えている。目的の仕分け位置までキャリッジ122を走行させた後、仕分けトレイ121を傾動させて物品を排出して、排出された物品を回収ボックスBで受け取ることにより、仕分けを行っている。
特許文献1のピッキングシステムでは、例えば一度にまとめて処理するオーダー数が多くなると、仕分け装置の可動範囲を延長して、その延長したエリアに回収ボックスBを追加して対応することになる。このため、スペース効率が悪かった。また、特許文献1には、仕分け後の物品を収容した回収ボックスBの搬出及びその後の処理に関して一切記載がなく、仕分け後の物品を効率的に搬出することについては特に考慮されていなかった。
限られたスペースで物品の収集から出庫までを効率的に行うことができるピッキングシステムの実現が望まれている。
本開示に係るピッキングシステムは、
保管されている複数の物品の中から必要な物品を収集して出庫するピッキングシステムであって、
上下方向の高さが異なる複数段の間口を有し、オーダーに基づいて前記物品を複数段の前記間口のいずれかに仕分けして排出する複数段仕分け装置と、
複数段の前記間口のそれぞれに対応して複数段に設けられた複数の容器支持部を有し、前記オーダー毎の前記物品の集合である物品群が集まるまで、前記間口から排出される前記物品を受け取って収容する収容容器を、前記容器支持部に支持可能な容器支持装置と、
前記物品が収容された前記収容容器を前記容器支持部から搬出し、前記容器支持部に空の前記収容容器を搬入する搬送装置と、を備え、
前記複数段仕分け装置及び前記容器支持装置の並び方向に沿う並び方向視で前記上下方向に交差する方向を幅方向として、
前記複数段仕分け装置は、複数段のそれぞれに配置されると共に前記幅方向の位置が異なる複数列の前記間口と、前記幅方向に沿って走行可能な搬送台車と、を有し、
前記搬送台車は、複数段および複数列の前記間口のそれぞれに前記物品を排出するように構成されている。
この構成によれば、オーダーに基づいて物品を仕分ける仕分け装置が、複数段の間口を有する複数段仕分け装置で構成されるので、上下方向の異なる高さの各段を利用して、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。すなわち、仕分け装置の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。また、この構成では、各オーダーの物品群が集まるまで、間口から排出される物品が容器支持装置の容器支持部に支持されている収容容器で受け取られ、その後、搬送装置で自動搬出される。この搬出処理により各容器支持部には収容容器が不在となるので、それを補填するように空の収容容器が搬送装置で自動搬入される。このように、各オーダーの物品群が収容された収容容器の搬出及び空の収容容器の搬入が搬送装置によって自動で行われるので、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができる。以上より、限られたスペースで物品の収集から出庫までを効率的に行うことができるピッキングシステムを実現することができる。
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
ピッキングシステムの概略平面図
複数段仕分け装置の斜視図
ピッキングシステムの側面図
制御ブロック図
各物品の供給・分配の様子を示すモデル図
ピッキングシステムの動作手順を示す模式図
ピッキングシステムの動作中の一局面を示す模式図
ピッキングシステムの動作中の一局面を示す模式図
ピッキングシステムの動作中の一局面を示す模式図
第2実施形態に係るピッキングシステムの要部を示す概略平面図
第2実施形態に係るピッキングシステムの要部を示す並び方向視図
第2実施形態に係るピッキングシステムの各処理の説明図
第2実施形態に係るピッキングシステムの要部を示す幅方向視図
第2実施形態に係るピッキングシステムの各処理の流れを示すタイムチャート
別態様のピッキングシステムの側面図
別態様のピッキングシステムの側面図
〔第1実施形態〕
ピッキングシステムの第1実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態のピッキングシステム1は、例えば電子商取引を行う事業者が保有する物流設備に備えられ、保管されている複数の物品Aの中から必要な物品Aを収集(ピッキング)して出庫するために用いられる。
図1に示すように、ピッキングシステム1は、複数段仕分け装置2と、当該複数段仕分け装置2に並んで配置される容器支持装置3と、搬送装置4と、自動倉庫7とを主要な構成要素として備えている。また、本実施形態のピッキングシステム1は、物品ばらし部8と、空容器供給装置9とを備えている。
以下の説明では、複数段仕分け装置2と容器支持装置3とが並ぶ方向を「並び方向Y」とする。また、複数段仕分け装置2及び容器支持装置3の並び方向Yに沿う並び方向視で上下方向Zに交差する方向を幅方向Xとする。なお、本明細書では、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態をも含む概念として用いるものとする。
自動倉庫7は、多数の物品Aを保管するとともに、必要時に特定の物品Aを自動で搬出するように構成されている。物品Aは、種別毎に元梱容器に収納されて保管されている。
自動倉庫7は、物品Aを収容した元梱容器を保管する複数段の保管棚と、特定の物品Aが収容された元梱容器を保管棚から搬出する搬出装置とを備えている。搬出装置は、例えば保管棚の各段に対応して設けられた複数段の搬送台車であっても良いし、スタッカークレーン等であっても良い。
自動倉庫5には、元梱供給装置71が接続されている。元梱供給装置71は、自動倉庫7から搬出された元梱容器を複数段仕分け装置2側に向けて供給するための装置である。
元梱供給装置71は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。
元梱供給装置71には、物品ばらし部8が接続されている。物品ばらし部8は、元梱容器から物品Aをピース単位で取り出して複数段仕分け装置2側に供給するための部位である。この物品ばらし部8では、作業者が当該作業を人手で行っても良いし、ロボットアーム等が当該作業を自動で行っても良い。
物品ばらし部8には、元梱戻し装置72と物品供給装置81とが接続されている。元梱戻し装置72は、物品ばらし部8で必要個数の物品Aが取り出された後の元梱容器を自動倉庫7に戻して再入庫させるための装置である。元梱戻し装置72は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。物品供給装置81は、物品ばらし部8で元梱容器から取り出された物品Aを、順次、複数段仕分け装置2側に供給するため装置である。物品供給装置81は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。
物品供給装置81の搬送経路は、搬送方向における下流側で複数(具体的には、複数段仕分け装置2の個数)に分岐している。そして、複数の分岐径路のそれぞれが複数段仕分け装置2まで延びている。こうして、共通の自動倉庫7に、物品ばらし部8を介して複数の複数段仕分け装置2が接続されており、複数段仕分け装置2には、必要な物品Aがピース単位で供給されるようになっている。なお、必要な物品Aは、出荷すべき物品A(単一種であっても良いし、複数種の組み合わせであっても良い)の種別及び数量を示すオーダー(ピッキングオーダー)で指定される種別の物品である。
本実施形態のピッキングシステム1は複数の複数段仕分け装置2を備えている。これらは、並び方向Yに沿って所定間隔を隔てつつ互いに平行に配置されている。
図2に示すように、複数段仕分け装置2は、上下方向Zの高さが異なる複数段の間口21を有している。また、複数段仕分け装置2は、幅方向Xの位置が異なる複数列の間口21を有している。すなわち、複数段仕分け装置2は、複数段及び複数列からなる直交格子状配列の複数の間口21を有している。ここで、間口21は、例えば複数段仕分け装置2がその外周を取り囲む筐体を備える場合には、当該筐体に形成された複数の開口(窓部)であって良い。そのような筐体が複数段仕分け装置2に特に具備されていない場合には、間口21は、後述する容器支持装置3の個々の容器支持部32に対向する位置に設定される仮想的なものであっても良い。
間口21の段数は、2段以上であれば特に限定されない。段数が多くなるに従い、後述するように一度にまとめて処理可能なオーダー数が増加するので好ましい。但し、段数が多くなり過ぎると、初期コストが嵩んだり処理能力が過剰になったりする可能性がある。
複数段仕分け装置2は、例えば5段〜30段程度の間口21を有する多段仕分け装置であることが好ましい。間口21の列数も、2列以上であれば特に限定されず、例えば5列〜40列程度であって良い。
複数段仕分け装置2は、オーダーに基づいて物品Aを複数段及び複数列からなる複数の間口21のいずれかに仕分けして排出する。従来から良く知られている仕分け装置は単一段で平面的な仕分けを行うだけ(単段仕分け装置)であるのに対して、複数段仕分け装置2は、上下方向Zの異なる高さの各段を利用して立体的な仕分けを行う。このため、複数段仕分け装置2の段数に応じて、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。そして、仕分け装置用の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。
複数段仕分け装置2は、並び方向Yの両側に、複数段及び複数列からなる複数の間口21をそれぞれ有している。そして、複数段仕分け装置2は、オーダーに基づいて、物品Aを並び方向Yの両側の複数の間口21のいずれかに仕分けして排出する。このような構成では、さらに、一度にまとめて処理可能なオーダー数を倍増させることができるという利点がある。
図2に示すように、本実施形態の複数段仕分け装置2は、複数(具体的には、間口21の段数に応じた個数)の搬送台車25を備えている。複数段仕分け装置2には、複数段の間口21にそれぞれ対応して走行レール24が設置されている。各段の走行レール24は、幅方向Xに沿って設置されている。そして、搬送台車25が、各段の走行レール24上を当該走行レール24に沿って(幅方向Xに沿って)往復走行するように構成されている。また、各段の搬送台車25は、複数列の間口21に対応する位置で停止可能に構成されている。
搬送台車25には、物品Aを載置する排出コンベヤ26が固定されている。排出コンベヤ26は、走行レール24に直交する方向(並び方向Y)に駆動する。この排出コンベヤ26は、正逆両方向に駆動可能となっている。排出コンベヤ26が正転駆動することで、並び方向Yにおける一方側の間口21から物品Aが排出され、排出コンベヤ26が逆転駆動することで、並び方向Yにおける他方側の間口21から物品Aが排出される。こうして、複数段仕分け装置2は並び方向Yの両側の間口21から物品Aを排出可能となっている。
容器支持装置3は、複数の容器支持部32を有しており、それぞれの容器支持部32に収容容器Bを支持可能である。図3に示すように、複数の容器支持部32は、複数段仕分け装置2が有する複数段の間口21のそれぞれに対応して、複数段に設けられている。また、複数の容器支持部32は、複数段仕分け装置2が有する複数列の間口21のそれぞれに対応して、複数列に設けられている。こうして、容器支持装置3は、複数段及び複数列からなる直交格子状配列の複数の容器支持部32を有している。容器支持装置3は、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側にそれぞれ配置されている。
本実施形態の容器支持装置3は、床面に固定された容器収納棚31で構成されている。
この場合、容器支持部32は、当該容器収納棚31に備えられた棚板で構成されている。
棚板からなる容器支持部32には、収容容器Bが、載置状態で支持可能となっている。このように、容器支持装置3は、必ずしも駆動部を有する装置である必要はなく、静的な設備であっても良い。なお、収容容器Bは、例えば上方開放型の籠状体(バケット)等を用いることができる。
容器支持装置3は、容器支持部32に支持された収容容器Bが複数段仕分け装置2の間口21に対して並び方向Yに隣接するように配置されている。このため、複数段仕分け装置2が各間口21から仕分け後の物品Aを排出したとき、対応する容器支持部32に支持されている収容容器Bで、当該物品Aを受け取ることができる。容器支持部32に支持された収容容器Bは、少なくとも対応するオーダーの物品Aの集合である物品群Gが集まるまで、当該容器支持部32に支持された状態に維持される。本実施形態では、一度にまとめて処理される全てのオーダーに応じた物品群Gがそれぞれ対応する収容容器Bに集まるまで、各収容容器Bが対応する容器支持部32に支持された状態に維持される。そして、各収容容器Bは、複数段仕分け装置2の間口21から排出される物品Aを受け取って、それを収容する。
本実施形態では、1バッチで、1つの複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側に有する間口21の個数(段数×列数)と同数のオーダーがまとめて処理されるものとされている。例えば、各収容容器Bは、1つの複数段仕分け装置2の片側に位置している全ての収容容器Bに、対応するオーダーの物品群Gが集まるまで、容器支持部32に支持された状態に維持される。全ての収容容器Bに対応するオーダーの物品群Gが集まった後は、各収容容器Bは、容器支持部32から移載されて良い。
搬送装置4は、複数段仕分け装置2から排出される物品Aを容器支持部32に支持された状態の収容容器Bで受け取って搬出し、容器支持部32に空の収容容器Bを搬入する。
なお、以下では、空の収容容器Bを「空収容容器Be」と言い、物品A(物品群G)が収容された収容容器Bを「実収容容器Bf」と言う。図3等に示すように、搬送装置4は、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側にそれぞれ配置されている。
図1及び図3に示すように、搬送装置4は、搬入コンベヤ41と、搬出コンベヤ43と、スタッカークレーン45とを含む。搬入コンベヤ41、搬出コンベヤ43、及びスタッカークレーン45は、1つの複数段仕分け装置2あたり1つずつ設けられている。
搬入コンベヤ41は、空容器供給装置9の下流側に設けられている(図1を参照)。搬入コンベヤ41は、空容器供給装置9から供給される空収容容器Beを搬入する。搬入コンベヤ41は、少なくともその下流側の部分が、複数段仕分け装置2に沿って(幅方向Xに沿って)直線状に設けられている。また、搬入コンベヤ41は、容器支持装置3(容器収納棚31)の上方に、上下方向Zに見て容器支持装置3と重複する位置に配置されている。搬入コンベヤ41は、複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの一方側(図3の例では右側)だけに設けられており、他方側(図3の例では左側)には設けられていない。
搬出コンベヤ43は、実収容容器Bfを出荷エリア側に向けて搬出する。搬出コンベヤ43は、少なくともその上流側の部分が、複数段仕分け装置2に沿って(幅方向Xに沿って)直線状に設けられている。また、搬出コンベヤ43は、容器支持装置3(容器収納棚31)の下方に、上下方向Zに見て容器支持装置3と重複する位置に配置されている。
搬出コンベヤ43も、複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの一方側(図3の例では、搬入コンベヤ41と同じ側である右側)だけに設けられており、他方側(図3の例では左側)には設けられていない。
スタッカークレーン45は、移動装置46と、移載機47とを有している。移動装置46は、床面に設置された走行レール44に沿って往復走行する走行台車46Aと、この走行台車46Aから立設された一対のマストに沿って昇降する昇降台46Bとを有する。昇降台46Bに、移載機47が設置されている。移動装置46は、走行台車46Aが各列の容器支持部32にわたって往復走行し、昇降台46Bが各段の容器支持部32にわたって昇降することで、移載機47を複数の容器支持部32にわたって移動させる。移載機47は、容器支持装置3の容器支持部32から収容容器B(例えば実収容容器Bf)を受け取り、収容容器B(例えば空収容容器Be)を容器支持部32へ渡す。移載機47の形式は特に限定されないが、フック式であれば、容器支持装置3における容器支持部32の高さピッチを小さく抑えることができて好ましい。
図1及び図3に示すように、スタッカークレーン45は、容器支持装置3に対して並び方向Yに隣接して配置されている。容器支持装置3、複数段仕分け装置2、容器支持装置3、スタッカークレーン45は、並び方向Yにおいて記載の順に配置されている。また、それらを1つのユニットとして、複数のユニットが並び方向Yに隣接して配置されている。本実施形態のピッキングシステム1においては、一のユニットに属するスタッカークレーン45が、当該スタッカークレーン45に対して並び方向Yに隣接する他のユニットでも共用される構成となっている。すなわち、並び方向Yに隣り合う2つの複数段仕分け装置2どうしの間に位置するスタッカークレーン45が、一方の複数段仕分け装置2側からの実収容容器Bfの搬出と、他方の複数段仕分け装置2側からの実収容容器Bfの搬出とを、時期を異ならせて両方担うように構成されている。同様に、当該スタッカークレーン45は、一方の複数段仕分け装置2側への空収容容器Beの搬入と、他方の複数段仕分け装置2側への空収容容器Beの搬入とを、時期を異ならせて両方担う。この点に関しては後述する。
ピッキングシステム1は、当該ピッキングシステム1の各部の動作を制御する制御装置6を備えている。図4に示すように、制御装置6は、複数段仕分け装置2(搬送台車25及び排出コンベヤ26)及び搬送装置4(搬入コンベヤ41、搬出コンベヤ43、及びスタッカークレーン45)の動作を制御する。また、制御装置6は、自動倉庫7、元梱供給装置71、元梱戻し装置72、物品供給装置81、及び空容器供給装置9の動作を制御する。具体的には、制御装置6は、各部を駆動するための駆動装置(例えば駆動モータ等)を駆動制御することにより、各部の動作を制御する。
なお、各物品Aや各収容容器Bには、バーコードやICタグ等の識別標識が付されている。そして、ピッキングシステム1の複数位置にはバーコードリーダーやICタグリーダー等の読取装置が設置されており、制御装置6は、各読取装置からの読取情報を取得可能に構成されている。制御装置6は、当該読取情報に基づいて、各物品Aや各収容容器Bの位置を管理している。
以下、本実施形態のピッキングシステム1の動作の一例について説明する。本実施形態では、1つの複数段仕分け装置2あたり、当該複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側に有する間口21の個数(段数×列数)と同数のオーダーが、1バッチでまとめて処理される。図6の上段及び図7に示すように、一のバッチでは、オーダーに基づき複数段仕分け装置2によって仕分けられた物品Aは、並び方向Yにおける一方側(図示の例では右側)に排出され、当該一方側にある容器支持装置3に支持されている収容容器Bに収容される。このとき、まず、当該バッチを構成する全てのオーダーに含まれる物品Aが、複数段仕分け装置2に順次供給されてくる。その際、全てのオーダーに基づき、出荷すべき全種類の物品Aが、それぞれ必要個数ずつ、ピース単位で供給されてくる。
なお、複数の複数段仕分け装置2が同時に稼働する場合には、複数の複数段仕分け装置2のそれぞれに割り当てられている全てのオーダーに含まれる物品Aが、種別毎に集約してまとめて自動倉庫7から供給される。その後、各オーダーに基づき、必要個数ずつ各複数段仕分け装置2に分配される。この点について、図5に示す単純化モデルを参照して説明する。この図において、「α」〜「δ」は、物品Aの種別を表している。そして、「Aα」〜「Aδ」は各種別の個々の物品A(ピース)を表し、「Cα」〜「Cδ」は各種別の物品Aを収容している元梱容器を表している。
この例では、第1の複数段仕分け装置2Aに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は50個、種別βの物品Aの総数は30個、種別γの物品Aの総数は20個、種別δの物品Aの総数は100個である。また、第2の複数段仕分け装置2Bに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は10個、種別βの物品Aの総数は40個、種別γの物品Aの総数は60個、種別δの物品Aの総数は60個である。また、第3の複数段仕分け装置2Cに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は20個、種別βの物品Aの総数は20個、種別γの物品Aの総数は40個、種別δの物品Aの総数は30個である。また、第4の複数段仕分け装置2Dに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は60個、種別βの物品Aの総数は40個、種別γの物品Aの総数は80個、種別δの物品Aの総数は30個である。
この場合、4つの複数段仕分け装置2A〜2Dの全体で、種別αの物品Aが140個必要となり、種別βの物品Aが130個必要となり、種別γの物品Aが200個必要となり、種別δの物品Aが220個必要となる。そこで、自動倉庫7からは、140個以上の種別αの物品Aを収容した元梱容器、130個以上の種別βの物品Aを収容した元梱容器、200個以上の種別γの物品Aを収容した元梱容器、220個以上の種別δの物品Aを収容した元梱容器が搬出される。なお、各種別の物品Aを収容した元梱容器は、1つで必要個数を賄えない場合には、複数個に分かれていても良い。
その後、物品ばらし部8で、各種別の元梱容器から物品Aがピース単位で取り出される。その際、種別αの物品Aが140個取り出され、種別βの物品Aが130個取り出され、種別γの物品Aが200個取り出され、種別δの物品Aが220個取り出されて、順次、各複数段仕分け装置2側に送られていく。そして、各複数段仕分け装置2A〜2Dに、各種別の物品Aが、それぞれの必要個数ずつ分配されて供給される。
順次供給される物品Aは、複数段仕分け装置2により、オーダー毎に仕分けられる。1つの複数段仕分け装置2が有する複数の間口21は、それぞれ1つのオーダーに対応付けられている。このため、各物品Aは、複数段仕分け装置2により、その物品Aを含むオーダーに対応する間口21の位置まで搬送台車25で搬送された後、排出コンベヤ26によって当該間口21から排出される。そして、各間口21から排出された物品Aは、図7に示すように、容器支持装置3に支持されている収容容器Bに収容される。この処理は、1バッチに含まれる全てのオーダー分の仕分けが完了するまで、言い換えれば、並び方向Yの一方側の収容容器Bに物品群Gが集まるまで(図8を参照)、継続して行われる。
一のバッチの全てのオーダー分の仕分けが完了すると、次バッチの仕分け処理が開始される。このとき、次バッチでは、図6の下段及び図9に示すように、オーダーに基づき複数段仕分け装置2によって仕分けられた物品Aは、並び方向Yにおける他方側(図示の例では左側)に排出され、当該他方側にある容器支持装置3に支持されている収容容器Bに収容される。具体的な仕分け処理の内容は、上記と同様である。
このとき、複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの一方側(図示の例では右側)では前バッチの仕分けが完了しており、一方側の容器支持装置3には実収容容器Bfが支持されている。そこで、この並び方向Yの一方側にある実収容容器Bfを、順次、スタッカークレーン45で搬出コンベヤ43に運び出し、搬出コンベヤ43から搬出する。実収容容器Bfが搬出された容器支持部32には収容容器Bが不在となるので、当該容器支持部32に、搬入コンベヤ41から供給されてくる空収容容器Beをスタッカークレーン45で運び入れて補填する。このとき、搬出コンベヤ43及び搬入コンベヤ41は上下方向Zに見て容器支持装置3と重複する位置に配置されているので、収容容器Bの搬出や搬入のためのスタッカークレーン45の移動距離を短く抑えることができる。なお、この実収容容器Bfの搬出及び空収容容器Beの搬入は、当該バッチでの仕分け処理中に完了することが好ましい(図8を参照)。
全てのオーダー分の仕分けが完了すると、さらに次のバッチの仕分け処理が開始される。このとき、当該バッチでは、図6の上段及び図7に示すように、オーダーに基づき複数段仕分け装置2によって仕分けられた物品Aは、並び方向Yにおける一方側(図示の例では右側)に排出され、当該一方側にある容器支持装置3に支持されている収容容器Bに収容される。具体的な仕分け処理の内容は、上記と同様である。
このとき、複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの他方側では前バッチの仕分けが完了しており、他方側の容器支持装置3には実収容容器Bfが支持されている。そこで、この並び方向Yの他方側にある実収容容器Bfを、順次、スタッカークレーン45で搬出コンベヤ43に運び出し、搬出コンベヤ43から搬出する。実収容容器Bfが搬出された容器支持部32には収容容器Bが不在となるので、当該容器支持部32に、搬入コンベヤ41から供給されてくる空収容容器Beをスタッカークレーン45で運び入れて補填する。
以上の動作を、繰り返し実行する。
このように、本実施形態では、複数段仕分け装置2から物品Aを受け取る複数の収容容器Bは、並び方向Yにおける複数段仕分け装置2に対する位置に応じて2つの組(第1組容器群,第2組容器群)に分けられる。そして、図6〜図9に示すように、第1組容器群及び第2組容器群のうちの一方に属する収容容器Bに対する搬出及び搬入処理と、他方に属する収容容器Bへの仕分け(複数段仕分け装置2からの物品Aの排出)とが、時期的に重ねて実行される。さらに、それらの動作が、第1組容器群と第2組容器群とで交互に実行される。なお、図6において、「Ast」は仕分け処理が行われていることを表し、「Bf−out」は実収容容器Bfが搬出されていることを表し、「Be−in」は空収容容器Beが搬入されていることを表している。
すわなち、一のバッチにおいて、搬送装置4が第1組容器群に属する収容容器Bの搬出及び搬入(実収容容器Bfの搬出及び空収容容器Beの搬入)を行っている間に、複数段仕分け装置2が第2組容器群に属する収容容器Bへの物品Aの排出(仕分け処理)を行う。また、次バッチにおいて、搬送装置4が第2組容器群に属する収容容器Bの搬出及び搬入(実収容容器Bfの搬出及び空収容容器Beの搬入)を行っている間に、複数段仕分け装置2が第1組容器群に属する収容容器Bへの物品Aの排出(仕分け処理)を行う。
本実施形態のピッキングシステム1は、複数段複数列からなる複数の間口21を有する複数段仕分け装置2で仕分け処理を行うので、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。しかも、複数段仕分け装置2は並び方向Yの両側にそれぞれ複数の間口21を有するので、一度にまとめて処理可能なオーダー数をさらに増加させることができる。よって、仕分け装置の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。
また、本実施形態のピッキングシステム1は、搬送装置4として搬入コンベヤ41、搬出コンベヤ43、及びスタッカークレーン45を備えているので、各実収容容器Bfの搬出や、各空収容容器Beの搬入をそれぞれ自動でスムーズに行うことができる。よって、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができ、システム全体としての処理効率を高めることができる。
さらに、本実施形態のピッキングシステム1では、スタッカークレーン45が並び方向Yに隣接する2つの複数段仕分け装置2で共用されるので、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。また、スタッカークレーン45を共用しながらも、仕分け処理と実収容容器Bfの搬出及び空収容容器Beの搬入とを、時期的に重ねて、かつ、第1組容器群と第2組容器群とで交互に実行する。よって、この点からも、システム全体としての処理効率を高めることができる。
〔第2実施形態〕
次に、ピッキングシステムの第2実施形態について説明する。以下、本実施形態について、上記第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。特に説明しない点については、上記第1実施形態と同様である。
図10は、ピッキングシステム1の要部を模式的に示す平面図である。図11は、並び方向Yに沿う並び方向視において、ピッキングシステム1の要部を模式的に示す図である。なお、図10と図11とは、互いに対応しているものではなく、それぞれピッキングシステム1の異なる動作状態を示している。
図10及び図11に示すように、本実施形態では、搬送装置4が搬送コンベヤ450を備えている。更に本例では、搬送装置4が、中継搬送装置420と、実収容容器Bfを中継搬送装置420を介して搬送コンベヤ450から受け取って搬出する搬出コンベヤ430と、空収容容器Beを中継搬送装置420を介して搬送コンベヤ450に搬入する搬入コンベヤ410と、を備えている。
本実施形態では、搬送装置4は、1つの複数段仕分け装置2を挟んで並び方向Yの両側に配置されている。具体的には、搬送コンベヤ450、中継搬送装置420、搬出コンベヤ430、及び搬入コンベヤ410のそれぞれが、1つの複数段仕分け装置2を挟んで並び方向Yの両側に配置されている。
本実施形態では、搬送コンベヤ450は、収容容器Bを幅方向Xに沿って複数列の間口21(図2参照)と同数並べた状態で支持可能な支持面4Fを有し、支持面4Fに支持された複数の収容容器Bを幅方向Xに沿って搬送するように構成されている。すなわち本例では、支持面4Fが、収容容器Bを支持するための容器支持部32(図3等参照)を兼ねている。そして、搬送装置4の一部を構成する搬送コンベヤ450が、容器支持装置3(図3等参照)を兼ねている。
本実施形態では、図10に示すように、搬送コンベヤ450による収容容器Bの搬送経路Pは、閉じた環状の経路となるように設定されている。換言すれば、搬送コンベヤ450は、搬送経路Pに沿って収容容器Bを搬送することで、当該収容容器Bを搬送コンベヤ450内で循環させることができるように構成されている。そのため、ここでは、搬送コンベヤ450は、支持面4Fを有する第1搬送部451に加えて、支持面4Fに支持される収容容器Bの数と同数の収容容器Bを支持及び搬送する第2搬送部452と、第1搬送部451の第1端部e11と第2搬送部452の第1端部e21とを接続する第1接続搬送部453と、第1搬送部451の第2端部e12と第2搬送部452の第2端部e22とを接続する第2接続搬送部454と、を備えている。
本実施形態では、第1搬送部451が、複数段仕分け装置2に隣接して配置されると共に、第2搬送部452が、第1搬送部451よりも複数段仕分け装置2から遠い側配置されている。そして、第1搬送部451は、複数段仕分け装置2から物品Aを受け取る空収容容器Beを支持する容器支持部32として機能する部分である。また、第2搬送部452は、第1搬送部451に供給する空収容容器Beを一時的に貯留し、及び、第1搬送部451から供給された実収容容器Bfを一時的に貯留する貯留部(バッファ)として機能する部分である。図10に示す例では、第1搬送部451と第2搬送部452との双方が、直線状の搬送経路を形成するように構成されている。そして、第1搬送部451と第2搬送部452とが、並び方向Yに隣接して互いに平行に配置されている。
本実施形態では、第1搬送部451は、幅方向Xに沿って直線状に延在している。また、第2搬送部452も、幅方向Xに沿って直線状に延在している。このように、第1搬送部451と第2搬送部452との双方が、幅方向Xに沿って延在しているため、ピッキングシステム1全体として、当該幅方向Xに対して直交する並び方向Yでの省スペース化を図ることができる。
第1接続搬送部453は、第1搬送部451の第1端部e11と第2搬送部452の第1端部e21とを接続しており、並び方向Yに延在している。第1接続搬送部453は、並び方向Y及び幅方向Xの双方向に収容容器Bを搬送可能に構成されている。具体的には、第1接続搬送部453は、第1搬送部451との収容容器Bの受け渡し部、及び、第2搬送部452との収容容器Bの受け渡し部では、幅方向Xに収容容器Bを搬送可能であり、その他の部分では並び方向Yに収容容器Bを搬送可能であるように構成されている。第1接続搬送部453は、収容容器Bの搬送方向を変更可能な、いわゆるトランサー(搬送方向変更装置)として構成されている。なお、第1搬送部451の第1端部e11は、当該第1搬送部451における幅方向Xの一方側(図10における左側)の端部である。同様に、第2搬送部452の第1端部e21は、当該第2搬送部452における幅方向Xの一方側(図10における左側)の端部である。
第2接続搬送部454は、第1搬送部451の第2端部e12と第2搬送部452の第2端部e22とを接続しており、並び方向Yに延在している。第2接続搬送部454は、並び方向Y及び幅方向Xの双方向に収容容器Bを搬送可能に構成されている。具体的には、第2接続搬送部454は、第1搬送部451との収容容器Bの受け渡し部、及び、第2搬送部452との収容容器Bの受け渡し部では、幅方向Xに収容容器Bを搬送可能であり、その他の部分では並び方向Yに収容容器Bを搬送可能であるように構成されている。第2接続搬送部454は、上述の第1接続搬送部453と同様に、収容容器Bの搬送方向を変更可能な、いわゆるトランサー(搬送方向変更装置)として構成されている。なお、第1搬送部451の第2端部e12は、幅方向Xにおける、当該第1搬送部451の第1端部e11とは反対側(図10における右側)の端部(他端部)である。同様に、第2搬送部452の第2端部e22は、幅方向Xにおける、当該第2搬送部452の第1端部e21とは反対側(図10における右側)の端部(他端部)である。
このように、搬送コンベヤ450は、直接的又は間接的に互いに接続された第1搬送部451、第2搬送部452、第1接続搬送部453、及び、第2接続搬送部454を備えているため、搬送コンベヤ450内において収容容器Bを循環させることが可能となっている。搬送コンベヤ450による収容容器Bの搬送経路Pは、これら第1搬送部451、第2搬送部452、第1接続搬送部453、及び、第2接続搬送部454に沿って設定されている。本例では、搬送装置4は、このような搬送コンベヤ450を、上下方向Zの高さを異ならせて複数段備えている(図11参照)。図11に示す例では、6段の搬送コンベヤ450が、上下方向Zに並べて配置されている。
図10及び図11に示すように、搬出コンベヤ430は、実収容容器Bfを中継搬送装置420を介して搬送コンベヤ450から受け取って搬出するように構成されている。搬出コンベヤ430は、実収容容器Bfを出荷エリア側(図10〜図12における右側)に向けて搬出する。本実施形態では、搬出コンベヤ430は、上下方向視において、第2搬送部452及び中継搬送装置420と幅方向Xに並ぶように配置されている(図10参照)。すなわち本実施形態では、搬出コンベヤ430は、第2搬送部452に支持されている実収容容器Bfを、第2接続搬送部454と中継搬送装置420とを介して受け取るように構成されている。また図11に示すように、本例では、搬出コンベヤ430は、上下方向Zに複数段並べて配置される搬送コンベヤ450よりも少ない数(ここでは1つ)設けられている。図示の例では、搬出コンベヤ430は、下から3段目の搬送コンベヤ450と同じ高さに設置されている。但し、このような構成に限定されることなく、搬出コンベヤ430の設置高さは、任意の高さとすることができる。また、搬出コンベヤ430の数は、任意の数とすることができる。例えば、搬出コンベヤ430を搬送コンベヤ450と同数設けても良いし、搬出コンベヤ430の数を搬送コンベヤ450の半数としても良い。
図10及び図11に示すように、搬入コンベヤ410は、空収容容器Beを中継搬送装置420を介して搬送コンベヤ450に搬入するように構成されている。搬入コンベヤ410は、例えば、空容器供給装置(不図示)から供給される空収容容器Beを搬入する。本実施形態では、搬入コンベヤ410は、上下方向視において、第2搬送部452及び中継搬送装置420と幅方向Xに並ぶように配置されている(図10参照)。すなわち本実施形態では、搬入コンベヤ410は、空収容容器Beを、中継搬送装置420と第2接続搬送部454とを介して第2搬送部452に引き渡すように構成されている。また図11に示すように、本例では、搬入コンベヤ410は、上下方向Zに複数段並べて配置される搬送コンベヤ450よりも少ない数(ここでは1つ)設けられている。図示の例では、搬入コンベヤ410は、下から2段目の搬送コンベヤ450と同じ高さに設置されている。但し、このような構成に限定されることなく、搬入コンベヤ410の設置高さは、任意の高さとすることができる。また、搬入コンベヤ410の数は、任意の数とすることができる。例えば、搬入コンベヤ410を搬送コンベヤ450と同数設けても良いし、搬入コンベヤ410の数を搬送コンベヤ450の半数としても良い。
図10及び図11に示すように、本実施形態では、搬出コンベヤ430と搬入コンベヤ410とが、上下方向Zに沿う上下方向視で重複すると共に上下方向Zに離間して配置されている。これにより、ピッキングシステム1の全体により占有する床面積を小さく抑えることができる。
図10に示すように、中継搬送装置420は、上下方向視で、搬出コンベヤ430及び搬入コンベヤ410のそれぞれと、搬送コンベヤ450との間に配置されている。そして、中継搬送装置420は、搬出コンベヤ430及び搬入コンベヤ410のそれぞれと、搬送コンベヤ450との間で、収容容器Bを中継するように構成されている。図示の例では、中継搬送装置420は、上下方向視で、搬送コンベヤ450における第2搬送部452と、搬出コンベヤ430及び搬入コンベヤ410のそれぞれと、の間に配置されている。また、中継搬送装置420は、上下方向Zに複数段並べて配置される搬送コンベヤ450に対して、1つ設けられている。
本実施形態では、中継搬送装置420は、収容容器Bを上下方向Zに搬送するように構成されている。本例では、中継搬送装置420は、収容容器Bを載置支持した状態で上下方向Zに昇降する、いわゆるリフタ―として構成されている。また、中継搬送装置420は、支持した収容容器Bを幅方向Xにも搬送可能に構成されている。すなわち、中継搬送装置420は、収容容器Bを、上下方向Z及び幅方向Xに搬送するように構成されている。例えば、実収容容器Bfが搬出される際には、中継搬送装置420は、複数段の搬送コンベヤ450のうち対象となる搬送コンベヤ450に対応した位置まで上昇又は下降して、当該位置において幅方向Xに搬送されてくる実収容容器Bfを受け取る。そして、中継搬送装置420は、搬出コンベヤ430に対応する位置まで上昇又は下降して、当該位置において実収容容器Bfを幅方向Xに搬送することにより、搬出コンベヤ430に当該実収容容器Bfを引き渡す。また、例えば、空収容容器Beが搬入される際には、中継搬送装置420は、搬入コンベヤ410に対応する位置まで上昇又は下降して、当該位置において幅方向Xに搬送されてくる空収容容器Beを受け取る。そして、中継搬送装置420は、複数段の搬送コンベヤ450のうち対象となる搬送コンベヤ450に対応した位置まで上昇又は下降して、当該位置において空収容容器Beを幅方向Xに搬送することにより、対応する搬送コンベヤ450に当該空収容容器Beを引き渡す。
ここでは、中継搬送装置420が搬送可能な収容容器Bの数は、第1搬送部451又は第2搬送部452によって支持可能な収容容器Bの数よりも少ない。図10に示す例では、第1搬送部451及び第2搬送部452のそれぞれは、12個の収容容器Bを一度に支持可能に構成されている。一方、中継搬送装置420は、一度に4個の収容容器Bを搬送可能に構成されている(図11参照)。従って、本例では、中継搬送装置420は、第1搬送部451又は第2搬送部452がまとめて支持可能な12個の収容容器Bを、3回に分けて搬送する。
このピッキングシステム1は、オーダーに基づいて物品Aを仕分けして、仕分けした物品Aを対象の収容容器Bに収容する仕分け処理(Ast:Assort)と、仕分け処理(Ast)が完了した実収容容器Bfを搬出する搬出処理(Bf−out)と、空収容容器Beを搬入する搬入処理(Be−in)と、を実行する。更に本例では、ピッキングシステム1は、第1搬送部451に支持された実収容容器Bfと第2搬送部452に支持された空収容容器Beとを入れ替える入替処理(Rot:Rotation)を実行する。これらの各処理は、制御装置6(図4参照)が各部の動作を制御することによって実行される。
図10は、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側において、仕分け処理(Ast)が完了した後の状態を示している。仕分け処理(Ast)は、複数段仕分け装置2の動作によって実行される。仕分け処理(Ast)の完了後は、第1搬送部451(支持面4F)によって支持された全ての収容容器Bが実収容容器Bfとなる。図10に示す例では、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側に配置された第1搬送部451によって支持された12個の収容容器Bの全てが実収容容器Bfとなっている。また、後述する搬入処理(Be−in)により、この時点で、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側に配置された第2搬送部452には、12個の空収容容器Beが搬入されて支持されている。
そして、仕分け処理(Ast)の完了後、図12に示すように、入替処理(Rot)が実行される。入替処理(Rot)では、第1搬送部451に支持された実収容容器Bfと第2搬送部452に支持された空収容容器Beとを入れ替える。すなわち、第2搬送部452によって支持されていた空収容容器Beを第1搬送部451に搬送し、第1搬送部451によって支持されていた実収容容器Bfを第2搬送部452に搬送する。本例では、ピッキングシステム1は、第1搬送部451、第1接続搬送部453、第2搬送部452、及び第2接続搬送部454に沿って、搬送コンベヤ450内において実収容容器Bf及び空収容容器Beを循環させることにより、入替処理(Rot)を実行する。
そして、入替処理(Rot)の完了後、搬出処理(Bf−out)が実行される。搬出処理(Bf−out)では、第2搬送部452に支持されている実収容容器Bfを、中継搬送装置420を介して搬出コンベヤ430へ搬送し、更に、搬出コンベヤ430によって搬出先へ搬出する。本例の搬出処理(Bf−out)では、中継搬送装置420は、第2搬送部452に支持されている12個の実収容容器Bfを、1回の搬送で4個ずつ、3回に分けて搬出コンベヤ430へ搬送する。搬出処理(Bf−out)の完了後には、第2搬送部452に収容容器Bが配置されていない状態となる。
そして、搬出処理(Bf−out)の完了後、搬入処理(Be−in)が実行される。搬入処理(Be−in)では、収容容器Bが配置されていない状態の第2搬送部452に対して、搬入コンベヤ410から中継搬送装置420を介して空収容容器Beを搬送する。本例の搬入処理(Be−in)では、中継搬送装置420は、1回の搬送で4個ずつ、3回に分けて12個の空収容容器Beを第2搬送部452に搬送する。
ここで、搬出処理(Bf−out)及び搬入処理(Be−in)を実行する前段階において、第1搬送部451には、入替処理(Rot)の実行によって空収容容器Beが配置された状態となっている。そこで、本実施形態では、搬出処理(Bf−out)及び搬入処理(Be−in)の実行中にも、仕分けした物品Aを対象の収容容器Bに収容する仕分け処理(Ast)を実行する(Bf−out&Ast、Be−in&Ast)。すなわち、本実施形態では、仕分け処理(Ast)を停止する必要がある期間は、入替処理(Rot)の実行中のみとなっている。そのため、ピッキングシステム1全体として処理効率を向上させることができる。なお、仕分け処理(Ast)を、搬出処理(Bf−out)及び搬入処理(Be−in)のいずれか一方の実行中にのみ実行するようにしても良い。
次に、1つの複数段仕分け装置2の単位で実行される各処理の順序の具体例について説明する。
図13に示すように、本実施形態では、1つの複数段仕分け装置2を挟んで並び方向Yの両側に、搬送装置4が設けられている。図示の例では、複数段仕分け装置2に対して、右側Rと左側Lとの双方に、搬送装置4が設けられている。一対の搬送装置4のそれぞれは、6段の搬送コンベヤ450を備えている。図13に示すように、複数段仕分け装置2の右側R及び左側Lのそれぞれにおいて、下方から、1段目の搬送コンベヤ450、2段目の搬送コンベヤ450、・・・6段目の搬送コンベヤ450、が配置されている。
また、図14は、横軸が時間軸とされたタイムチャートを示している。図14における「R1」は、図13における右側Rの1段目の搬送コンベヤ450を示しており、「R2」は、右側Rの2段目の搬送コンベヤ450を示している。「R3」〜「R6」についても同様の規則で、図13における右側Rの各段の搬送コンベヤ450を示している。図14における「L1」は、図13における左側Lの1段目の搬送コンベヤ450を示しており、「L2」は、左側Lの2段目の搬送コンベヤ450を示している。「L3」〜「L6」についても同様の規則で、図13における左側Lの各段の搬送コンベヤ450を示している。そして、図14は、各段各側の搬送コンベヤ450において実行される動作と時間経過との関係を示している。
本実施形態では、ピッキングシステム1(制御装置6:図4参照)は、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側(例えば右側R)に配置された複数段の搬送コンベヤ450のうち一部の搬送コンベヤ450と、他方側(例えば左側L)に配置された複数段の搬送コンベヤ450のうち一部の搬送コンベヤ450とを、時期を重複させて動作させる。そして、ピッキングシステム1は、複数段仕分け装置2の並び方向Yにおける一方側(例えば右側R)に配置された複数段の搬送コンベヤ450のうち残りの一部の搬送コンベヤ450と、他方側(例えば左側L)に配置された複数段の搬送コンベヤ450のうち残りの一部の搬送コンベヤ450とを、時期を重複させて動作させる。
具体的には、図14に示すように、本実施形態では、ピッキングシステム1は、右側Rに配置された1段目、3段目、及び5段目の搬送コンベヤ(R1,R3,R5)と、左側Lに配置された2段目、4段目、及び6段目の搬送コンベヤ(L2,L4,L6)とを、第1コンベヤグループU1として、時期を重複させてこれらを動作させる。また、ピッキングシステム1は、右側Rに配置された2段目、4段目、及び6段目の搬送コンベヤ(R2,R4,R6)と、左側Lに配置された1段目、3段目、及び5段目の搬送コンベヤ(L1,L3,L5)とを、第2コンベヤグループU2として、時期を重複させてこれらを動作させる。
本実施形態では、複数段仕分け装置2は、複数段のそれぞれで物品Aを搬送して仕分けを行う構成となっている。そのため、第1コンベヤグループU1と第2コンベヤグループU2とのそれぞれに属する搬送コンベヤ450は、同じ段の左右の搬送コンベヤ450が時期を重複させて仕分け処理(Ast)の対象となることがないように設定されている。これにより、複数段仕分け装置2の各段の仕分け能力を有効に活用することができるため、仕分け処理の効率を高めることができる。なお、複数段仕分け装置2の構成は上記のものには限られないため、第1コンベヤグループU1又は第2コンベヤグループU2を構成する各搬送コンベヤ450の組み合わせは、複数段仕分け装置2の構成に応じて適宜設定されると良い。
図14に示すように、本例では、ピッキングシステム1は、第1ターム(Term1)で、第1コンベヤグループU1において仕分け処理(Ast)を実行すると共に、第2コンベヤグループU2において入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び、搬入処理(Be−in)を実行する。
具体的には、ピッキングシステム1は、第1ターム(Term1)において、複数段仕分け装置2によりオーダー毎に仕分けした物品Aを、第1コンベヤグループU1に属する各搬送コンベヤ(R1,R3,R5,L2,L4,L6)に支持されている収容容器Bに収容する仕分け処理(Ast)を実行する。
また、この第1ターム(Term1)の間に、ピッキングシステム1は、第2コンベヤグループU2に属する各搬送コンベヤ(R2,R4,R6,L1,L3,L5)において、まず入替処理(Rot)を実行して、第1搬送部451に支持された12個の実収容容器Bfを各搬送コンベヤ(R2,R4,R6,L1,L3,L5)における第2搬送部452に移動させると共に、第2搬送部452に支持された12個の空収容容器Beを第1搬送部451に移動させる。なお、ここで第1搬送部451に支持された12個の実収容容器Bfは、図示しない前のタームでの仕分け処理(Ast)の結果であり、第2搬送部452に支持された12個の空収容容器Beは、図示しない前のタームでの搬入処理(Be−in)の結果である。入替処理(Rot)の実行により、複数段仕分け装置2から排出された物品Aを収容可能な位置に空収容容器Beを配置できると共に、中継搬送装置420によって搬送可能な位置に実収容容器Bfを配置できる。これにより、次の第2ターム(Term2)での仕分け処理(Ast)の準備と、この第1ターム(Term1)での搬出処理(Bf−out)の準備が整う。そして、複数段仕分け装置2の右側Rと左側Lとのそれぞれにおいて、中継搬送装置420が、1段ずつ、搬出処理(Bf−out)と搬入処理(Be−in)とを実行する。
本例では、図14に示すように、第1ターム(Term1)では、複数段仕分け装置2の右側Rにおいて、2段目の搬送コンベヤR2、4段目の搬送コンベヤR4、6段目の搬送コンベヤR6の順に、搬出処理(Bf−out)を実行する。そして、これと同時進行で、複数段仕分け装置2の左側Lにおいて、1段目の搬送コンベヤL1、3段目の搬送コンベヤL3、5段目の搬送コンベヤL5の順に、搬出処理(Bf−out)を実行する。
また、複数段仕分け装置2の右側Rにおいて搬出処理(Bf−out)が終了すると、各搬送コンベヤ(R2,R4,R6)の第2搬送部452は、収容容器Bが配置されていない空き状態となる。そこで、複数段仕分け装置2の右側Rにおいて、2段目の搬送コンベヤR2、4段目の搬送コンベヤR4、6段目の搬送コンベヤR6の順に、搬入処理(Be−in)を実行する。同様に、複数段仕分け装置2の左側Lにおいて搬出処理(Bf−out)が終了すると、各搬送コンベヤ(L1,L3,L5)の第2搬送部452は、収容容器Bが配置されていない空き状態となる。そこで、複数段仕分け装置2の左側Lにおいて、1段目の搬送コンベヤL1、3段目の搬送コンベヤL3、5段目の搬送コンベヤL5の順に、搬入処理(Be−in)を実行する。以上のような、第1ターム(Term1)における、第2コンベヤグループU2の入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び搬入処理(Be−in)は、第1コンベヤグループU1の仕分け処理(Ast)の完了前に完了していることが望ましい。
第1ターム(Term1)終了後、第2ターム(Term2)で、図14に示すように、ピッキングシステム1は、第2コンベヤグループU2に属する各搬送コンベヤ(R2,R4,R6,L1,L3,L5)において仕分け処理(Ast)を実行すると共に、第1コンベヤグループU1に属する各搬送コンベヤ(R1,R3,R5,L2,L4,L6)において入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び、搬入処理(Be−in)を実行する。
すなわち、第2ターム(Term2)では、第1ターム(Term1)において各コンベヤグループ(U1,U2)で実行されていた各処理を入れ替えて、各コンベヤグループ(U1,U2)においてそれらの各処理を実行する。なお、第1コンベヤグループU1での入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び、搬入処理(Be−in)は、上述した第2コンベヤグループU2での入替処理(Rot)、搬出処理(Bf−out)、及び、搬入処理(Be−in)と同様の流れで実行されるため、説明を省略する。
そして、第2ターム(Term2)終了後、第3ターム(Term3)では、第2ターム(Term2)において各コンベヤグループ(U1,U2)で実行されていた各処理を再度入れ替えて、各コンベヤグループ(U1,U2)においてそれらの各処理を実行する。このように、ピッキングシステム1では、各ターム(Term1,Term2,Term3,・・・)毎に、各コンベヤグループ(U1,U2)における処理を入れ替えて実行する。これにより、複数段仕分け装置2及び搬送装置4を含む各装置を効率的に連携させて運用することができ、ピッキングシステム1全体として、高い処理効率を実現することができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態では、複数段仕分け装置2が、排出コンベヤ26を有する複数の搬送台車25を備えて構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、複数段仕分け装置2が、例えば各間口21に対応する位置に押出機構が設けられた複数段のスラットコンベヤを備えて構成されても良い。また、複数段仕分け装置2は、物品Aを複数の間口21のいずれかに仕分けして排出するものであれば、いかなる構造のものを用いても良い。
(2)上記の各実施形態では、複数段仕分け装置2が並び方向Yの両側に間口21を有しており、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側に容器支持装置3が配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側だけに間口21を有し、その間口21の側だけに容器支持装置3が配置されても良い。
(3)上記の各実施形態では、ピッキングシステム1が複数の複数段仕分け装置2を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばピッキングシステム1が、単一の複数段仕分け装置2だけを備えて構成されても良い。
(4)上記の各実施形態では、収容容器Bが、容器支持装置3の容器支持部32に載置状態で支持可能となっている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、収容容器Bが、例えば容器支持装置3の容器支持部32に吊下状態で支持可能に構成されても良い。この場合、容器支持部32や収容容器Bの構造は、吊下支持に適したものとされる。
(5)上記の各実施形態では、スタッカークレーン45の移載機47が実収容容器Bfの搬出や空収容容器Beの搬入を、1つずつ行う構成を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、移載機47が、実収容容器Bfの搬出や空収容容器Beの移載を、複数個ずつ同時に行うように構成されても良い。
(6)上記の第1実施形態では、スタッカークレーン45が並び方向Yに隣接する2つの複数段仕分け装置2で共用される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図15に示すように、並び方向Yに隣接する2つの複数段仕分け装置2が、それらの間に、それぞれ専用のスタッカークレーン45を備えても良い。この場合、1つの複数段仕分け装置2あたり、専用のスタッカークレーン45が2つずつ設けられる。
(7)上記の第1実施形態では、搬送装置4がスタッカークレーン45を含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、搬送装置4が、例えば容器支持装置3の容器支持部32の各段に対応して複数段に設けられた搬送台車を含んで構成されても良い。
(8)上記の第1実施形態では、容器支持装置3が容器収納棚31で構成され、搬送装置4が容器収納棚31とは別のスタッカークレーン45を含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図16に示すように、容器支持装置3と搬送装置4の一部とが、複数段仕分け装置2の間口21の各段に対応して複数段に設けられた払出コンベヤ49で兼用されても良い。この払出コンベヤ49は、停止状態で、その上に載置支持された収容容器Bで複数段仕分け装置2から排出された物品Aを受け取り、駆動状態で、実収容容器Bfの搬出や空収容容器Beの搬入を行う。
(9)上記の第1実施形態では、複数の収容容器Bが並び方向Yにおける複数段仕分け装置2に対する位置に応じて2つの組(第1組容器群,第2組容器群)に分けられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、複数の収容容器Bが、例えば容器支持装置3における容器支持部32の位置(例えば、奇数段/偶数段、半分より上側段/下側段、奇数列/偶数列、半分より右側段/左側段、・・・)に応じて2つの組に分けられても良い。
(10)上記の第1実施形態では、1つの複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側に有する間口21の個数(段数×列数)と同数のオーダーを1バッチでまとめて処理する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1バッチでまとめて処理するオーダー数は、適宜変更されても良い。
(11)上記の第2実施形態では、第1搬送部451及び第2搬送部452が、幅方向Xに沿う直線状に形成された構成を例として説明した。しかし、これらの形状は、幅方向Xに沿う直線状には限定されない。但し、第1搬送部451は、複数段仕分け装置2の各段の複数の間口21から排出される物品Aを受け取り可能な位置に配置されている必要がある。従って、第1搬送部451は、複数段仕分け装置2の複数の間口21の幅方向Xの配置形状に応じた形状とされることが望ましい。一方、第2搬送部452は、第1搬送部451に比べて形状の自由度が高い。例えば、第1搬送部451が幅方向Xに延在している場合であっても、第2搬送部452については、幅方向Xに延在していなくても良い。また、第2搬送部452の平面視での形状についても、例えば円弧状やS字状等の曲線状に形成されていても良い。
(12)上記の第2実施形態では、搬送コンベヤ450が、第1搬送部451に加えて、第2搬送部452、第1接続搬送部453、及び第2接続搬送部454を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2搬送部452の形状によっては、搬送コンベヤ450が、第1接続搬送部453及び第2接続搬送部454を備えず、第1搬送部451と第2搬送部452とが直接接続された構成としても良い。或いは、搬送コンベヤ450は、第2搬送部452、第1接続搬送部453、及び第2接続搬送部454を備えていなくても良い。この場合、第1搬送部451と中継搬送装置420とが、直接的に収容容器Bを受け渡しするように構成されても良い。例えば、第1搬送部451における幅方向Xの両側のそれぞれに中継搬送装置420が設けられ、一方の中継搬送装置420(例えば第1中継搬送装置)から第1搬送部451に空収容容器Beを搬送するように構成されると共に、当該第1搬送部451から他方の中継搬送装置420(例えば第2中継搬送装置)に実収容容器Bfを搬送するように構成されていると良い。但し、これに限定されることなく、第1搬送部451における幅方向Xの一方側のみに中継搬送装置420が設けられ、当該中継搬送装置420が、第1搬送部451への空収容容器Beの引き渡し、及び、第1搬送部451からの実収容容器Bfの受け取りの双方を行うように構成されていても良い。
(13)上記の第2実施形態では、中継搬送装置420が、上下方向視で、搬送コンベヤ450における第2搬送部452と、搬出コンベヤ430及び搬入コンベヤ410のそれぞれと、の間に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、中継搬送装置420は、搬送コンベヤ450における第1搬送部451と第2搬送部452との双方に対応して、1つの搬送コンベヤ450に対して一対設けられていても良い。この場合、一方の中継搬送装置420(例えば第1中継搬送装置)は、上下方向視で、第1搬送部451と搬入コンベヤ410との間に配置され、搬入コンベヤ410から受け取った空収容容器Beを第1搬送部451に搬送するように構成されると良い。そして、他方の中継搬送装置420(例えば第2中継搬送装置)は、上下方向視で、第2搬送部452と搬出コンベヤ430との間に配置され、第2搬送部452から受け取った実収容容器Bfを搬出コンベヤ430に搬送するように構成されると良い。
(14)上記の第2実施形態では、搬出コンベヤ430と搬入コンベヤ410とが、上下方向Zに沿う上下方向視で重複すると共に上下方向Zに離間して配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、搬出コンベヤ430と搬入コンベヤ410とは、上下方向視で重複しないように配置されていても良い。この場合、搬出コンベヤ430と搬入コンベヤ410とは、上下方向Zに離間して配置されていても良いし、上下方向Zにおける同じ位置(同じ高さ)に配置されていても良い。
(15)上記の第2実施形態では、中継搬送装置420が、収容容器Bを上下方向Z及び幅方向Xに搬送するように構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、中継搬送装置420は、収容容器Bを上下方向Z及び幅方向Xに加えて、並び方向Yにも搬送するように構成されていても良い。或いは、中継搬送装置420は、例えば、収容容器Bを幅方向Xにのみ搬送するコンベヤとして構成され、上下方向Zに複数段並べて配置される搬送コンベヤ450の数に応じて設けられると良い。この場合、上下方向Zに複数段並べて配置される中継搬送装置420のそれぞれは、幅方向Xにおける搬送コンベヤ450とは反対側において、収容容器Bの搬出及び搬入の双方を実行可能な搬出入コンベヤに接続されていると好適である。搬出入コンベヤは、幅方向Xの両側のそれぞれに向けて収容容器Bを搬送可能に構成され、上下方向Zに複数段並べて配置される中継搬送装置420の数に応じて設けられる。なお、搬出入コンベヤは、幅方向Xにおける中継搬送装置420とは反対側において、空収容容器Beを搬入する搬入ライン及び実収容容器Bfを搬出する搬出ラインの双方に接続される。なお、中継搬送装置420がコンベヤとして構成される場合、当該中継搬送装置420として、例えば、収容容器Bを螺旋状の搬送経路に沿って搬送するスパイラルコンベヤ、傾斜角度を変更自在な可変傾斜コンベヤ、或いは、その他の周知のコンベヤを採用しても良い。中継搬送装置420の数は、その構成に応じて適宜設定される。なお、中継搬送装置420として可変傾斜コンベヤを用いる場合、例えば、当該可変傾斜コンベヤが第1の傾斜角度の状態で、当該可変傾斜コンベヤによって搬送コンベヤ450と搬入コンベヤ410とが接続され、当該可変傾斜コンベヤが第2の傾斜角度の状態で、当該可変傾斜コンベヤによって搬送コンベヤ450と搬出コンベヤ430とが接続されるように、角度変更する構成としても好適である。
(16)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係るピッキングシステムは、好適には、以下の各構成を備える。
保管されている複数の物品の中から必要な物品を収集して出庫するピッキングシステムであって、
上下方向の高さが異なる複数段の間口を有し、オーダーに基づいて前記物品を複数段の前記間口のいずれかに仕分けして排出する複数段仕分け装置と、
複数段の前記間口のそれぞれに対応して複数段に設けられた複数の容器支持部を有し、前記オーダー毎の前記物品の集合である物品群が集まるまで、前記間口から排出される前記物品を受け取って収容する収容容器を、前記容器支持部に支持可能な容器支持装置と、
前記物品が収容された前記収容容器を前記容器支持部から搬出し、前記容器支持部に空の前記収容容器を搬入する搬送装置と、を備え、
前記複数段仕分け装置及び前記容器支持装置の並び方向に沿う並び方向視で前記上下方向に交差する方向を幅方向として、
前記複数段仕分け装置は、複数段のそれぞれに配置されると共に前記幅方向の位置が異なる複数列の前記間口と、前記幅方向に沿って走行可能な搬送台車と、を有し、
前記搬送台車は、複数段および複数列の前記間口のそれぞれに前記物品を排出するように構成されている。
この構成によれば、オーダーに基づいて物品を仕分ける仕分け装置が、複数段の間口を有する複数段仕分け装置で構成されるので、上下方向の異なる高さの各段を利用して、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。すなわち、仕分け装置の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。また、この構成では、各オーダーの物品群が集まるまで、間口から排出される物品が容器支持装置の容器支持部に支持されている収容容器で受け取られ、その後、搬送装置で自動搬出される。この搬出処理により各容器支持部には収容容器が不在となるので、それを補填するように空の収容容器が搬送装置で自動搬入される。このように、各オーダーの物品群が収容された収容容器の搬出及び空の収容容器の搬入が搬送装置によって自動で行われるので、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができる。以上より、限られたスペースで物品の収集から出庫までを効率的に行うことができるピッキングシステムを実現することができる。
一態様として、
複数段の前記間口のそれぞれに対応して、レールが前記幅方向に沿って設置され、
複数段の前記レールのそれぞれに対応して、対応する前記レール上を走行する前記搬送台車が設けられていることが好ましい。
一態様として、
前記複数段仕分け装置は、前記複数段仕分け装置及び前記容器支持装置の並び方向の両側に前記間口をそれぞれ有しており、
前記複数段仕分け装置に対して前記並び方向の両側に、前記容器支持装置及び前記搬送装置がそれぞれ配置されていることが好ましい。
この構成によれば、複数段仕分け装置が片側だけに間口を有して物品を片側だけに排出するような構成に比べて、一度にまとめて処理可能なオーダー数を倍増させることができる。
一態様として、
前記複数段仕分け装置が、前記並び方向に沿って複数設けられ、
前記並び方向に隣り合う2つの前記複数段仕分け装置どうしの間に位置する前記搬送装置が、一方の前記複数段仕分け装置側からの前記収容容器の搬出と、他方の前記複数段仕分け装置側からの前記収容容器の搬出と、の両方を担うように構成されていることが好ましい。
この構成によれば、並び方向に隣り合う2つの複数段仕分け装置どうしの間にそれぞれ専用の搬送装置が設置される構成に比べて、2つの複数段仕分け装置で1つの搬送装置を共用する分、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。
一態様として、
前記搬送装置が、前記容器支持部から前記収容容器を受け取り及び前記収容容器を前記容器支持部へ渡す移載機と、前記移載機を複数の前記容器支持部にわたって移動させる移動装置と、を有するスタッカークレーンを含むことが好ましい。
この構成によれば、スタッカークレーンに含まれる上下移動可能な移動装置と移載機とを利用して、容器支持装置において複数段にわたって支持されている各段の収容容器を、共通のスタッカークレーンを用いて搬出することができる。また、容器支持装置の各段の容器支持部に、共通のスタッカークレーンを用いて、空の収容容器を搬入することができる。よって、例えば搬送装置が複数段のコンベヤを含むような構成に比べて、搬送装置の構造の簡素化を図ることができる。
一態様として、
前記搬送装置が、前記物品が収容された前記収容容器を前記スタッカークレーンから受け取って搬出する搬出コンベヤと、空の前記収容容器を搬入して前記スタッカークレーンに引き渡す搬入コンベヤと、を含み、
前記搬出コンベヤ及び前記搬入コンベヤが、前記上下方向に見て前記容器支持装置と重複する位置に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、搬出コンベヤを用いて物品が収容された収容容器を上下方向に見て容器支持装置と重複する位置から搬出することができ、搬入コンベヤを用いて空の収容容器を上下方向に見て容器支持装置と重複する位置まで搬入することができる。従って、スタッカークレーンを用いた、収容容器の搬出や搬入を短い距離で行うことができる。よって、搬送装置がスタッカークレーンを含んで構成される場合において、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を、効率的に行うことができる。その際、容器支持装置の上下の空間を利用して搬出コンベヤ及び搬入コンベヤを配置することができるので、システム全体としての平面的な設置スペースを小さく抑えることができる。
一態様として、
前記搬送装置が搬送コンベヤを備え、
前記搬送コンベヤは、前記収容容器を前記幅方向に沿って複数列の前記間口と同数並べた状態で支持可能な支持面を有し、前記支持面に支持された複数の前記収容容器を前記幅方向に沿って搬送し、
前記支持面が前記容器支持部を兼ね、
前記搬送コンベヤが前記容器支持装置を兼ねていることが好ましい。
この構成によれば、収容容器の支持及び搬送を、搬送装置と容器支持装置とを兼ねた搬送コンベヤによって行うことができる。このため、搬送装置と容器支持装置とを別々に備える場合に比べて、システム全体として構成の簡略化と省スペース化とを図ることができる。また、本構成によれば、容器支持部を兼ねた搬送コンベヤの支持面によって、複数列の間口と同数並べられた収容容器をまとめて支持できると共に、これらをまとめて幅方向に沿って搬送することができる。そのため、収容容器の搬送効率を高めることができる。
一態様として、
前記搬送コンベヤが、前記支持面を有する第1搬送部に加えて、前記支持面に支持される前記収容容器の数と同数の前記収容容器を支持及び搬送する第2搬送部と、前記第1搬送部の第1端部と前記第2搬送部の第1端部とを接続する第1接続搬送部と、前記第1搬送部の第2端部と前記第2搬送部の第2端部とを接続する第2接続搬送部と、を備えることが好ましい。
この構成によれば、第1搬送部及び第2搬送部のそれぞれが、互いに同数の収容容器を支持することができ、また、これらが第1接続搬送部及び第2接続搬送部によって互いに接続されている。そのため、例えば、第1搬送部が、物品が収容された収容容器(実収容容器)を複数支持し、かつ、第2搬送部が、物品が収容されていない空の収容容器(空収容容器)を第1搬送部と同数支持した状態で、これら実収容容器と空収容容器とを、第1搬送部と第2搬送部との間で一度に入れ替えることができる。そのため、実収容容器と空収容容器との入れ替えを待つために物品の仕分け作業が停止する時間を、短くすることができる。従って、本構成によれば、システム全体として処理効率を高めることができる。
一態様として、
前記搬送装置が、中継搬送装置と、前記物品が収容された前記収容容器を前記中継搬送装置を介して前記搬送コンベヤから受け取って搬出する搬出コンベヤと、空の前記収容容器を前記中継搬送装置を介して前記搬送コンベヤに搬入する搬入コンベヤと、を備え、
前記搬出コンベヤと前記搬入コンベヤとが、前記上下方向に沿う上下方向視で重複すると共に前記上下方向に離間して配置され、
前記中継搬送装置が、前記収容容器を前記上下方向に搬送することが好ましい。
この構成によれば、収容容器を搬出するための搬出コンベヤと収容容器を搬入するための搬入コンベヤとが、上下方向視で重複すると共に上下方向に離間して配置されているため、システム全体により占有する床面積を小さく抑えることができる。また、このように搬出コンベヤと搬入コンベヤとが上下方向に離間して配置された構成であっても、中継搬送装置が収容容器を上下方向に搬送するように構成されているため、搬出コンベヤ及び搬入コンベヤのそれぞれと搬送コンベヤとの間で、収容容器を適切に搬送することができる。
一態様として、
前記複数段仕分け装置から前記物品を受け取る複数の前記収容容器には、第1組に属する前記収容容器の集合である第1組容器群と、第2組に属する前記収容容器の集合である第2組容器群と、が含まれ、
前記搬送装置が、前記第1組容器群に属する前記収容容器の搬出及び搬入を行っている間に、前記複数段仕分け装置が、前記第2組容器群に属する前記収容容器への前記物品の排出を行い、
前記搬送装置が、前記第2組容器群に属する前記収容容器の搬出及び搬入を行っている間に、前記複数段仕分け装置が、前記第1組容器群に属する前記収容容器への前記物品の排出を行うことが好ましい。
この構成によれば、第1組容器群及び第2組容器群のうちの一方に属する収容容器に対する搬出及び搬入処理と、他方に属する収容容器への仕分け(複数段仕分け装置からの物品の排出)とを、時期的に重ねて実行することができる。そして、それらの動作を第1組容器群と第2組容器群とで交互に行うことで、ピッキングシステム全体としての処理効率を向上させることができる。
一態様として、
前記物品を保管する自動倉庫をさらに備え、
前記複数段仕分け装置が複数設けられているとともに、複数の複数段仕分け装置が共通の前記自動倉庫に接続されており、
複数の複数段仕分け装置のそれぞれに対応する前記オーダーに含まれる前記物品が、種別毎に集約して前記自動倉庫側から供給され、その後、必要個数ずつ各複数段仕分け装置に分配されることが好ましい。
この構成によれば、個々の複数段仕分け装置に対して、順次、各オーダーに含まれる物品を自動倉庫側から供給するような構成に比べて、自動倉庫の動作量を少なく抑えることができる。よって、自動倉庫からの複数の複数段仕分け装置のそれぞれへの物品の供給を円滑に行うことができる。また、システム全体としての処理効率を高めることができる。
本開示に係るピッキングシステムは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
1 ピッキングシステム
2 複数段仕分け装置
3 容器支持装置
4 搬送装置
21 間口
31 容器収納棚
32 容器支持部
41 搬入コンベヤ
43 搬出コンベヤ
45 スタッカークレーン
46 移動装置
47 移載機
A 物品
G 物品群
B 収容容器
Bf 実収容容器
Be 空収容容器
Y 並び方向
Z 上下方向